JP3043480B2 - 試料中の有形成分攪拌吸引方法及び装置 - Google Patents

試料中の有形成分攪拌吸引方法及び装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動分析装置におい
て、尿等の液体試料を攪拌し吸引する方法及び装置、詳
しくは、試料を異なる位置で吸引、排出することによ
り、細長い容器に多量に入った試料であっても、泡立つ
ことなく、効率よく攪拌吸引することができる方法及び
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】分析装置において、試料中の有形成分を
分析する場合には、その試料をサンプリングする前に、
予め試料を攪拌し均一化しておく必要がある。攪拌しな
いと有形成分は底に沈澱したままとなり、正しいサンプ
リングができない。従来、攪拌方法としては、容器を
転倒するもの、試料内に攪拌棒を入れ回転させるもの
が良く知られている。しかし、は、容器を密閉させる
必要があり、蓋のない容器には使用できない。また、
は、細長い容器の場合には、充分には攪拌できない。特
に尿沈渣用の容器の場合、底部が狭められているので
(図4、図5参照)、底に沈澱した有形成分を均一に分
散させることは困難である。
【0003】特開昭63−66466号公報には、反応
容器内に一旦分注混合された混合液を分注用ノズル内に
吸引し、次いでこの反応容器内に吐出して攪拌する装置
が記載されている。そして、その実施例において、試料
が入れられた反応容器内に、ノズルから試薬を吐出して
試料と混合し、その後、反応容器内底部までノズル先端
を下げ、ノズル内に混合液のほぼ全量を吸引し、次いで
ノズルからこの全量を吐出することが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公報のも
のは、底部で吸引し底部で吐出しているので、攪拌効果
が十分とはいえない。それを補うために液のほぼ全量を
吸引、吐出している。液量が少ない場合には、全量の吸
引・吐出も可能であるが、液量が多い場合には困難であ
る。この公報記載の装置を、実現しようとすれば、大容
量で吸引力の大きい吸引手段が必要となり、吸引、吐出
工程に時間がかかる。また、試料、例えば尿中には、血
球、上皮細胞、円柱等の有形成分が含まれており、この
うち、とくに円柱のような壊れやすい成分については、
激しすぎる攪拌によるダメージが問題となる。本発明
は、上記の諸点に鑑みなされたもので、細長い容器に入
った多量の液体試料であっても、ダメージ少なく効率良
く攪拌でき、攪拌終了後はそのまま試料吸引ができる構
成の簡単な、試料攪拌吸引方法及び装置を提供すること
を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用】上記の目的を達
成するために、本発明の試料中の有形成分攪拌吸引方法
、試料吸引用のピペットで試料容器内の試料を吸引
し、吸引した試料を排出することにより、試料容器内
試料を攪拌した後、このピペットで試料をサンプリング
する方法において、ピペットが試料の吸引を行いながら
試料容器内を上昇し、ピペットが試料の排出を行いなが
ら試料容器内を下降することを特徴としている 上記の
方法において、試料液面を検知し、その液面検知情報に
基づきピペットを移動させ、試料の吸引と試料の排出と
を行なう場合もある。
【0006】そして、本発明の試料中の有形成分攪拌吸
引装置は、試料吸引用のピペットで試料容器内の試料を
吸引し、吸引した試料を排出することにより、試料容
の試料を攪拌した後、このピペットで試料をサンプリ
ングする装置において、ピペットが試料の吸引を行いな
がら試料容器内を上昇し、ピペットが試料の排出を行い
ながら試料容器内を下降するように、試料の吸引時と試
料の排出時のピペットの位置を変える駆動手段を設けた
ことを特徴としている。このように構成された本発明の
装置において、例えば、駆動手段により、吸引時にピペ
トを下方から上方に移動させ、排出時にピペットを
から下方に移動させることができる また、試料の液
面を検知する液面検知手段と、液面検知手段からの信号
を入力しピペットの移動を制御する制御回路と、制御回
路の信号に基づき駆動手段を駆動させる駆動回路とが設
けられる場合もある。
【0007】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の好適な実施例
を詳細に説明する。ただし、この実施例に記載されてい
る構成機器の形状、その相対配置などは、とくに特定的
な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定
する趣旨のものではなく、単なる説明例にすぎない。 実施例1 図1は、本発明の一実施例を示す試料攪拌吸引装置の系
統説明図である。10は試料吸引用のピペットであり、
このピペット10には吸引手段12が接続されている。
吸引手段12として、一例としてダイヤフラム式のポン
プ(以下、ダイヤフラムポンプ12という)が用いられ
ている。ダイヤフラムポンプ12のダイヤフラム13に
区切られた一室14はピペット10に、他室16は、陽
圧(大気圧より高い圧力)源18と陰圧(大気圧より低
い圧力)源20とを切り換える弁22に接続されてい
る。ピペット10は駆動手段25により、上下に移動さ
せられる。この駆動手段25は、一例として、ピペット
10を保持する略水平方向のアーム24と、このアーム
24を取り付けた略鉛直方向の無端ベルト30と、この
無端ベルト30の上端と下端に設けられたプーリ27、
28と、プーリ27を駆動させる駆動源26、例えばス
テッピングモータとからなっている。無端ベルト30は
プーリ27、28間にかけ渡されており、プーリが正逆
に回転することにより、アーム24及びピペット10
は、試料容器11、例えば尿沈渣スピッツ内を上下に移
動する。
【0008】図2は、本発明の装置における動作を説明
するためのタイミングチャートの一例である。図4は、
試料吸引時の状態、図5は、試料排出時の状態を示す図
である。試料容器11は、例えば10ml用の尿沈渣スピ
ッツを示している。以下、図2に基づいて攪拌動作を説
明する。 (1)駆動源26が動作し、ピペット10を図4の状態
まで下降させる。 (2)弁22が動作し、ダイヤフラムポンプ12の他室
16と陰圧源20がつながることにより、ダイヤフラム
ポンプ12が吸引モードになり、ピペット10から試料
が、例えば2ml吸引される。 (3)駆動源26が動作し、ピペット10を図5の状態
まで上昇させる。 (4)弁22が元の状態に復帰し、ダイヤフラムポンプ
12の他室16と陽圧源18がつながることにより、ダ
イヤフラムポンプ12が排出モードになり、ピペット1
0から先程吸引した試料2mlを排出する。 (5)駆動源26が動作し、ピペット10を図4の状態
まで下降させる。 (6)上記(2)〜(5)を繰り返す。 (7)均一に攪拌された試料、例えば1mlをピペット1
0で吸引し、分析に必要な所定の処理に移る。
【0009】このように、容器内下部の試料を吸引し容
器内上部で排出する事により、吸引量が少なくても細長
い容器の下部に沈澱している有形成分は、有形成分の少
ない領域に移動されるので、効率的に濃度を均一化する
ことができる。また、上記とは逆に、容器内上部で試料
を吸引し、容器内下部で排出する事によっても、同様の
効果を得ることができる。このときには、有形成分を含
有しない試料部分が、有形成分を多く含有する部分に移
動されることにより、効率的に均一化できる。さらに、
図3のように、ピペットを上下に移動させながら、試料
の吸引および攪拌を行えば、容器内の液体はより強く攪
乱され、攪拌に要する時間を短縮することができる。試
料攪拌吸引工程が終了すると、洗浄工程が開始される。
ピペット10は洗浄槽(図示せず)に移動する。ダイヤ
フラムポンプ12の一室14には、弁32を介して洗浄
液タンク36と弁34を介して陽圧源18が接続されて
いる。弁32が開き洗浄液タンク36から洗浄液が供給
され、ポンプ12、ピペット10を含む試料吸引ライン
が洗い流される。そして、弁32が閉じ弁34が開くこ
とにより洗浄液をエアーで除去し、洗浄工程が終了す
る。
【0010】実施例2 本実施例は、図6及び図7に示すように、液面検知機能
を付加することにより、さらに効果的な攪拌を行なうよ
うにしたものである。以下、液面検知による攪拌動作の
制御について説明する。分析装置において、試料容器1
1に入った試料の量は常に一定とはかぎらない(液面の
高さが一定とはかぎらない)。試料が少ない場合に、ピ
ペットの移動量を一定にしたままで試料を吸引・排出し
て攪拌すると、試料の泡立ち、サンプリング時の気泡吸
引、試料の飛散等が発生することがある。上記の問題点
を解決するためには、液面を検知してその情報をもとに
して攪拌時のピペットの移動距離を決めるようにすれば
よい。液面検知手段としては公知のものを利用すれば良
い。液面検知手段により得た液面の位置情報からピペッ
トの移動距離を求める具体的方法について、図6を参照
しながら説明する。まず、原点O(ピペット降下位置)
をとる。これはリミットスイッチにより定まる。原点O
からピペット10までの高さは、ステッピングモータの
パルス数と対応している。攪拌時のピペット移動距離に
対応するパルス数Pbを、液面の位置情報から次のよう
にして求める。液面aを検知してから原点Oまでの移動
パルス数をPaとすると、 Pb=K1*Pa又はPb=Pa−K2 により求められる。なお、K1、K2は定数であり、そ
れぞれ所望の値にすればよい。以上のようにして、試料
の量(液面の高さ)の違いに対応してピペット10の移
動距離を変えることにより前記問題点を解決でき、試料
容器11内の試料の量が多い場合においても、少ない場
合においても、良好に攪拌することができる。図6にお
いて、bは攪拌時のピペット10bの上昇位置、10a
は液面aを検知しているピペット、10cは原点Oに位
置するピペット、10dはスタンバイ位置のピペットを
示している。具体的には、図7に示すように、試料の液
面を液面検知手段38で検知し、検知信号を制御回路4
0に入力する。そして、制御回路40の信号を駆動回路
42に導入して駆動手段25を駆動させピペット10を
移動させる。
【0011】
【発明の効果】本発明は、上記のように構成されている
ので、つぎのような効果を奏する。 (1) ピペットが試料の吸引を行いながら試料容器内
を上昇し、ピペットが試料の排出を行いながら試料容器
内を下降することにより、試料容器内の試料中の底部に
沈殿する有形成分が均一化され、試料を効率よく良好に
攪拌できる。 (2) 液面検知機能を付加する場合には、試料の泡立
ち、サンプリング時の気泡吸引、試料の飛散等を防止で
き、さらに効率的な攪拌が行える。 (3) ピペットによる吸引、排出を行なって攪拌した
後、同じピペットでサンプリングするようにしているの
で、構成が簡単である。 (4) 長さ(高さ)の異なる試料容器や試料の量の多
少に対しても、ピペットの移動距離を変えることで容易
に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す試料攪拌吸引装置の系
統説明図である。
【図2】本発明の装置における動作の一例を説明するた
めのタイムチャートである。
【図3】本発明の装置における動作の他の例を説明する
ためのタイムチャートである。
【図4】試料吸引時の試料容器内のピペットの位置を示
す説明図である。
【図5】試料排出時の試料容器内のピペットの位置を示
す説明図である。
【図6】本発明の他の実施例における装置のピペット周
りの状態を示す説明図である。
【図7】本発明の他の実施例における装置のブロック図
である。
【符号の説明】
10 ピペット 11 試料容器 12 吸引手段(ダイヤフラムポンプ) 22 弁 18 陽圧源 20 陰圧源 24 アーム 25 駆動手段 26 駆動源 27 プーリ 28 プーリ 30 無端ベルト 36 洗浄液タンク 38 液面検知手段 40 制御回路 42 駆動回路

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料吸引用のピペットで試料容器内の試
    料を吸引し、吸引した試料を排出することにより、試料
    器内の試料を攪拌した後、このピペットで試料をサン
    プリングする方法において、ピペットが試料の吸引を行いながら試料容器内を上昇
    し、ピペットが試料の排出を行いながら試料容器内を下
    降する ことを特徴とする試料中の有形成分攪拌吸引方
  2. 【請求項2】 試料液面を検知し、その液面検知情報に
    基づきピペットを移動させ、試料の吸引と試料の排出と
    を行なうことを特徴とする請求項1記載の試料中の有形
    成分攪拌吸引方法。
  3. 【請求項3】 試料吸引用のピペットで試料容器内の試
    料を吸引し、吸引した試料を排出することにより、試料
    器内の試料を攪拌した後、このピペットで試料をサン
    プリングする装置において、ピペットが試料の吸引を行いながら試料容器内を上昇
    し、ピペットが試料の排出を行いながら試料容器内を下
    降するように、 試料の吸引時と試料の排出時のピペッ
    位置を変える駆動手段を設けたことを特徴とする試料
    中の有形成分攪拌吸引装置。
  4. 【請求項4】 試料の液面を検知する液面検知手段と、 液面検知手段からの信号を入力しピペットの移動を制御
    する制御回路と、 制御回路の信号に基づき駆動手段を駆動させる駆動回
    、 が設けられたことを特徴とする請求項記載の試料中の
    有形成分攪拌吸引装置。
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