JP3042096B2 - ウレタン結合を含むポリエステルを用いて成形してなるフィルム - Google Patents
ウレタン結合を含むポリエステルを用いて成形してなるフィルムInfo
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Description
をもった、少くとも1分子中に2個のウレタン結合を含
む飽和のブタンジオール1,4とコハク酸とから合成さ
れた脂肪族ポリエステルを用いて成形された機械的強度
に優れたフィルムに関するものである。
成形に用いられていた高分子量ポリエステル(ここで言
う高分子量ポリエステルとは、数平均分子量が10,0
00以上を指すものとする)は、テレフタル酸(ジメチ
ルエステルを含む)とエチレングリコールの縮合体であ
るポリエチレンテレフタレートに限られる、といっても
過言ではなかった。
ンジカルボン酸を用いると、得られるポリエステルの耐
熱性、強度を向上させることが知られているが、脂肪族
ジカルボン酸を用いてポリエステルを合成し、これをフ
ィルム、繊維等に成形し、実用化された例は見出されて
いない。実用化されていない理由としては、脂肪族ポリ
エステルの融点は、一般に100℃以下と低いうえに、
熔融時の熱安定性に乏しく、例えば数平均分子量がほぼ
15,000程度で一定値に達した後、分解反応が生長
反応に優先して数平均分子量が時間と共に低減する傾向
が認められること、さらに重要なことは、脂肪族ポリエ
ステルの物性、特に引張り強さ、延伸性がポリエチレン
テレフタレートと同一レベルの15,000位の数平均
分子量では、著しく劣った値しか示さず、実用性がまっ
たく見出せなかったからに他ならない。脂肪族ポリエス
テルの数平均分子量をより上昇させて物性向上を期待す
る研究は、その熱安定性の不良から進展していないよう
に思われる。
な高分子量を有し、熱安定性、引張り強さおよび延伸性
等に優れたフィルムを提供することを目的とする。
リエステルの中では、例外的に113〜115℃の融点
を示すブタンジオール1,4とコハク酸とから合成され
た結晶性ポリエステルをより高物性のものとし、フィル
ムとして実用可能な物性をもたせるべく検討を重ねた結
果、上記結晶性ポリエステルに、その融点以上の熔融状
態でジイソシアナートを反応させて得られる、1分子中
に少くとも2個のウレタン結合を含むポリエステルが実
用上十分な高分子量を有し、これから成形されたフィル
ムは熱安定性、引張り強さおよび延伸性に優れているこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
コハク酸とから合成された数平均分子量が5,000以
上の結晶性ポリエステル100重量部に、該結晶性ポリ
エステルの融点以上の熔融状態で0.1〜5重量部のジ
イソシアナートを反応させて得られる一般式
アナート残基である)で表わされる、数平均分子量が1
0,000以上で、かつ1分子中に少くとも2個のウレ
タン結合を含むポリエステルを用いて成形してなるフィ
ルムに関する。
成された結晶性ポリエステルは、数平均分子量が5,0
00以上、望ましくは10,000以上であり、末端基
が実質的にヒドロキシル基である。本発明のフィルム
は、この結晶性ポリエステル100重量部に、その融点
以上の熔融状態で、0.1〜5重量部のジイソシアナー
トを反応させて得られる前記一般式で示されるウレタン
結合を少くとも1分子中に2個含む、数平均分子量が1
0,000以上、望ましくは20,000以上のポリエ
ステルから成形される。
は、MFR(メルトフローレート,JIS−K−721
0で規定された条件4、即ち温度190℃、試験重量2
1.18N)が0.01以上、10以下であることが求
められているが、本発明によるウレタン結合を含むポリ
エステルはこれを十分に満足するが、より特徴的にはオ
ルトクロロフェノールの10%溶液(オルトクロロフェ
ノール90重量部、ウレタン結合を含むポリエステル1
0重量部)の25℃における粘度が10ポイズ以上であ
るものが、フィルム形成性があり、得られるフィルムの
強度も十分で実用に耐えることを見出した点に基づいて
いる。
ト残基であり、代表的には
数平均分子量2,000〜2,500程度のポリエステ
ルを、ポリウレタン樹脂の原料成分とし、ジイソシアナ
ートと反応させて、ゴム、フォーム、塗料、接着剤とす
ることは広く行われている。しかし、既存のポリウレタ
ンに用いられるポリエステルは、数平均分子量が2,0
00〜2,500の、いわばプレポリマーであり、この
低分子量ポリエステル100重量部に対して、実用的な
物性を得るためには、ジイソシアナートの分子量にもよ
るが、ジイソシアナートの使用量は10重量部以上15
〜20重量部にもおよぶ必要がある。しかしながら、例
えば10重量部以上のジイソシアナートを熔融ポリエス
テル(種類にもよるがほぼ150℃以上)に添加する
と、低分子量ポリエステルであると、高分子量ポリエス
テルであるとに拘わらず、必ずゲル化して、取扱可能な
樹脂は得られない。実際には、10重量部以上のジイソ
シアナートの添加は、溶剤に溶解した溶液状態で行われ
るか、或はフォーム或はRIM成形にみられるように、
一度で最終硬化樹脂を得るか、である。
アナート基に転換し(ジイソシアナートを加えて)、さ
らにグリコールで数平均分子量を増大することも行われ
ているが、イソシアナートの量は前述のように10重量
部以上という多さである。このような場合、ポリエステ
ルの合成に重金属系の触媒を用いると、これがイソシア
ナート基の反応性を著しく促進して、保存性不良、望ま
しからざる架橋(分岐)をもたらすことから、一般にポ
リウレタン樹脂原料の低分子量ポリエステルは、無触媒
で合成されている。従って、数平均分子量は高くても
2,500位が限界である。
応させる結晶性ポリエステルは、末端基が実質的にヒド
ロキシル基である、数平均分子量が5,000以上、好
ましくは10,000以上の飽和ポリエステルでなけれ
ばならない。これが低分子量ポリエステル、例えば数平
均分子量が2,500程度であると、本発明で利用する
0.1〜5重量部のジイソシアナートを用いても、良好
な物性を有する最終樹脂を得ることができないばかり
か、熔融添加にあっては、前出した0.1〜5重量部で
も、量によっては反応中にゲル化を生ずることが認めら
れる等の不都合がある。従って、末端ヒドロキシル価が
ほぼ30以下位でなければ、安全な反応が行えない。本
発明の数平均分子量5,000以上ポリエステルは、必
然的にこのレベルまたは以下のヒドロキシル価であり、
少量のジイソシアナートの使用で、熔融状態といった苛
酷な条件下でも、安全に高分子量ポリエステルを合成す
ることができる。従って、本発明でいう結晶性ポリエス
テルは、少くとも数平均分子量5,000当たり1個の
ウレタン結合を含むことになる。本発明により得られる
数平均分子量10,000以上、望ましくは20,00
0以上のポリエステルは、前記した粘度範囲のもので強
靭なフィルムを形成させることができ、包装フィルム、
農業用マルチフィルム等、各種用途に供することが可能
である。
オール1,4とコハク酸とから合成されるが、高分子量
化するためには脱グリコール反応による関係上、末端基
は実質的にヒドロキシル基であり、従って、ブタンジオ
ール1,4の使用モル比は、コハク酸と等モルよりも幾
分多い方が望ましく、例えばコハク酸1モルに対して
1.05〜1.2モル位が好適である。
えば0.1phr 〜0.001phr のチタンの有機化合物
(生成ポリエステル100重量部に対してチタンの有機
化合物0.001〜0.1重量部)を用いることが必要
である。これらの例としては、例えばアセトアセトイル
型チタンキレート化合物、並びに有機アルコキシチタン
化合物があげられる。これらのチタンの有機化合物は、
併用もできるが、その必要性は少い。これらの例として
は、例えばジアセトアセトキシオキシチタン(日本化学
産業(株)社製“ナーセムチタン”)、テトラエトキシ
チタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタ
ン等があげられ、いずれも市販品があり入手可能であ
る。チタンの有機化合物は、エステル化の最初から加え
てもよく、また脱グリコール反応の直前に加えてもよ
い。
数平均分子量5,000以上、望ましくは10,000
以上の末端基が実質的にヒドロキシル基である結晶性ポ
リエステルに、さらに数平均分子量を高めるために加え
られるジイソシアナートには特に制限はないが、例えば
市販の次の種類があげられる。2,4−トリレンジイソ
シアナート、2,4−トリレンジイソシアナートと2,
6−トリレンジイソシアナートとの混合体、ジフェニル
メタンジイソシアナート、1,5−ナフチレンジイソシ
アナート、キシリレンジイソシアナート、水素化キシリ
レンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナー
ト、イソホロンジイソシアナート、特に、ヘキサメチレ
ンジイソシアナートが、生成樹脂の色相、ポリエステル
添加時の反応性、等の点から好ましい。これらジイソシ
アナートの添加量は、分子量にもよるが、結晶性ポリエ
ステル100重量部に対して0.1〜5重量部、望まし
くは0.5〜3重量部である。添加は、結晶性ポリエス
テルが均一な熔融状態で溶剤を含まず、容易に撹拌可能
な条件下で行われることが望ましい。別に、固形状の結
晶性ポリエステルに添加し、エクストルーダーを通して
熔融、混合することも不可能ではないが、一般には結晶
性ポリエステル製造装置内か、或は熔融状態の結晶性ポ
リエステル(例えばニーダー内での)に添加することが
実用的である。
は、インフレーション法、T−ダイス法等の成形法によ
ってフィルムまたはシート化される。従って、本発明で
は、フィルムおよびシートを含めてフィルムと言う。
または2軸延伸フィルムを得るには、ウレタン結合を含
むポリエステルを通常のT−ダイまたは環状ダイから、
フラット状またはチューブ状に170〜200℃で押出
成形し、得られた未延伸物を1軸延伸または2軸延伸す
る。例えば1軸延伸の場合、フィルム、シート状の場合
はカレンダーロール等で押出方向に、またはテンター等
で押出方向と直交する方向に延伸し、チューブ状の場合
はチューブの押出方向または円周方向に延伸する。
合には押出フィルムまたはシートをロール等で縦方向に
延伸した後テンター等で横方向に延伸し、チューブ状の
場合にはチューブの押出方向およびチューブの円周方
向、即ちチューブ軸と直角をなす方向にそれぞれ同時
に、または別々に延伸する。延伸温度は室温〜90℃で
あり、必要に応じ選択される。また、延伸倍率は用途に
よって適宜選定される。
を用いて成形された1軸延伸、または2軸延伸フィルム
は、強靭であり、包装フィルム、農業用マルチフィル
ム、に利用可能である。
を使用するに際しては、必要に応じて滑剤、ワックス
類、着色剤、フィラー、等を併用できることは勿論であ
る。
施例を示す。
た1lのセパラブルフラスコに、ブタンジオール1,4
を300g、コハク酸348g、チタンオキシアセチル
アセトネート(日本化学産業(株)社製“ナーセムチタ
ン”)0.13gを仕込み、200〜205℃、窒素ガ
ス気流中でエステル化して、酸価7.9とした後、更に
210〜215℃で最終的には0.5Torrの減圧下8時
間脱グリコール反応を行ったところ、数平均分子量1
6,600、室温では結晶性のため白色ワックス状の融
点が約113℃のポリエステル(a)が得られた。数平
均分子量の測定は、Shodex GPC SYSTE
M−11;溶離液CF3 COONa 5mmol/HFIP.で
行った。
0℃に熔融した状態で撹拌しながらヘキサメチレンジイ
ソシアナート7gを加えた。粘度は急速に増大したが、
ゲル化は生じなかった。
ステル(a−1)の数平均分子量は32,000となっ
た。ポリエステル(a−1)は、前記一般式においてm
が約90、Mが約2に相当する。ポリエステル(a−
1)の赤外吸収スペクトルを図1に示す。ポリエステル
(a−1)の10%オルトクロロフェノール溶液の25
℃における粘度は233ポイズであった。また、ポリエ
ステル(a−1)のMFRは1.9を示した。
融、T−ダイで押出フィルムとしたものを、更に4×
2.5倍に80℃で延伸して製造された厚さ35〜40
μの透明なフィルムは頗る強靭で、その長さ方向の引張
り強さは1490kg/cm2 であった。
た3lのセパラブルフラスコに、ブタンジオール1,4
を1000g、コハク酸1180g、テトライソプロポ
キシチタン0.03gを仕込み、窒素気流中200〜2
05℃にてエステル化を行い、酸価9.1とした後、最
終的には0.5Torrの減圧下210〜215℃にて脱グ
リコール反応を8時間行い、数平均分子量15,10
0、融点が約113℃のポリエステル(b)を得た。
サー、温度計を付した1lのセパラブルフラスコに、そ
れぞれ400gの前記ポリエステル(b)を仕込み、窒
素気流中205℃に加熱、熔融させてから、イソホロン
ジイソシアナートを、 (I)として2g(0.5phr) (II)として4g(1.0phr) (III)として6g(1.5phr) づつ加え、15分間撹拌して、それぞれポリエステル
(I)(一般式においてmが約90)、ポリエステル
(II)(一般式においてmが約90)、ポリエステル(I
II)(一般式においてmが約90)を得た。
全量流出したが、ポリエステル(I)は17、ポリエス
テル(II)は4.1、ポリエステル(III)は0.08で
あった。
(I),(II)および(III)を、それぞれ実施例1と同
様に、オルトクロロフェノール溶液として25℃におけ
る粘度を測定した。また、実施例1と同様にフィルム成
形し、延伸して得られたフィルムの引張り強さを測定し
た。結果を表1に示す。
ルから成形されたフィルムは、生分解性を有し、引張り
強さに優れており、包装フィルム、農業用マルチフィル
ムとして有用である。
ステル(a−1)の赤外吸収スペクトル図である。
Claims (2)
- 【請求項1】ブタンジオール1,4とコハク酸とから合
成された数平均分子量が5,000以上の結晶性ポリエ
ステル100重量部に、該結晶性ポリエステルの融点以
上の熔融状体で0.1〜5重量部のジイソシアナートを
反応させて得られる一般式 【化1】 (式中、m,m′≧30,M≧1であり、Rがジイソシ
アナート残基である)で表わされる、数平均分子量が1
0,000以上で、かつ1分子中に少くとも2個のウレ
タン結合を含むポリエステルを用いて成形してなるフィ
ルム。 - 【請求項2】 ウレタン結合を含むポリエステルのオル
トクロロフェノールの10%溶液の25℃における粘度
が10ポイズ以上である請求項1記載のフィルム。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP3298474A JP3042096B2 (ja) | 1991-10-17 | 1991-10-17 | ウレタン結合を含むポリエステルを用いて成形してなるフィルム |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3298474A JP3042096B2 (ja) | 1991-10-17 | 1991-10-17 | ウレタン結合を含むポリエステルを用いて成形してなるフィルム |
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JPH05105736A JPH05105736A (ja) | 1993-04-27 |
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JP3298474A Expired - Fee Related JP3042096B2 (ja) | 1991-10-17 | 1991-10-17 | ウレタン結合を含むポリエステルを用いて成形してなるフィルム |
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1991
- 1991-10-17 JP JP3298474A patent/JP3042096B2/ja not_active Expired - Fee Related
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