JP3040700B2 - ラマー・ドラブ効果を利用する非破壊読取り強誘電メモリセル - Google Patents

ラマー・ドラブ効果を利用する非破壊読取り強誘電メモリセル

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はランダムアクセスメ
モリ、特に記憶情報を損失せずに読取り期間中に中断さ
れることができるこのようなメモリに関する。
【0002】
【従来の技術】多数の軍用および民間システムは非揮発
性であり破壊事故によるデータ損失に対して耐久性のあ
るランダムアクセスメモリにおけるデータ記憶能力と必
要とする。非揮発性メモリはパワーがある期間オフに切
換えられるときでさえも記憶データを保持する。このよ
うな非揮発性メモリはデータが記憶されるときメモリ素
子で生じる物理的変化に基づくことが多く、この物理的
変化はパワーの失われた時に反転またはランダム化され
ない。
【0003】強誘電材料は非揮発性メモリで使用される
ために開発に成功している。強誘電材料はその物理的状
態が、磁界が与えられる強磁性材料が受ける変化と類似
した方法で電界の供給で変化する。強誘電材料は物理的
状態が磁界でなく電圧の供給により制御されることがで
きる利点を有し、測定可能な物理的状態はパワーの失わ
れた後にも保持され、小さい寸法のメモリ素子はマイク
ロ電子製造技術により構成されることができ、メモリ素
子の消費するパワーは少なくなる。
【0004】ランダムアクセスメモリは破壊的読取り
(DRO)と非破壊的読取り(NDRO)として区分さ
れることができる。破壊的読取りメモリではメモリ装置
の物理的状態は読取りの時に変更され、従ってさらに別
の動作が行われなければメモリに対する記憶されたデー
タ値は失われる。この情報損失を防ぐため、記憶された
値は各読取り後に回復されなければならず、従って記憶
されたデータは次の読取りに有効である。データの回復
(リフレッシュ)がなければ、一度だけデータを読取る
ことが可能である。
【0005】多くの応用では、回復は読取り/回復サイ
クルの規則的な部分として確実に行われることができる
ことが想定される。破壊的読取りメモリはそれ故このよ
うな状態で使用されてもよい。しかしながら、他の応用
では読取りが達成される瞬間と回復が通常行われる瞬間
との間の短時間中にシステムが破壊を受けるのでこのよ
うな想定はできない。このような破壊は例えば民間用シ
ステムにおける停電と、軍用システムが受ける核事故等
のために生じる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】今日まで、強誘電破壊
読取りメモリが開発され、適用されている。ある応用に
便利であるが、このようなメモリはシステムが破壊事故
の効果に耐久性でなければならない場合、価値が限定さ
れる。非破壊的読取り(NDRO)の強誘電メモリはメ
モリ状態が長いパワーの停止時間を通じて保持されなけ
ればならず、メモリの読取り中に生じた短時間の多数の
破壊を通じて安定でなければならない状態の応用があ
る。いくつかの非破壊的読取りメモリの方法が提案され
ている。しかしながら、データをリフレッシュせずに多
数回任意に読取られる意味では本当に非破壊的であるメ
モリは得られていない。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のメモリ装置は、
第1および第2の2つの異なる値のゼロ電界キャパシタ
ンス状態をとることが可能な強誘電体で構成された絶縁
体を有する強誘電キャパシタと、第1の時間において強
誘電キャパシタに第1のゼロ電界キャパシタンス状態を
書込み、第2の時間において強誘電キャパシタに第2の
ゼロ電界キャパシタンス状態を書込む書込む書込み手段
と、強誘電キャパシタのキャパシタンスを読取る読取り
回路とを具備し、第1および第2のキャパシタンス状態
は異なった記憶データ値を表しており、強誘電キャパシ
タの絶縁体を構成している強誘電体は、一方の極性の分
極飽和された状態から同じ極性の充電経路で記第1およ
び第2のゼロ電界キャパシタンス状態に到達することの
できる材料で構成され、第1のゼロ電界キャパシタンス
状態は、分極飽和された状態から充電経路を通ってゼロ
電界にされたときに到達するゼロ電界キャパシタンス状
態であり、第2のゼロ電界キャパシタンス状態はこの充
電経路を同じ極性でさらに進んで反対方向の極性の分極
飽和となる前の状態でゼロ電界にすることにより得られ
る部分的分極解除のゼロ電界キャパシタンス状態である
ことを特徴とする。
【0008】本発明のメモリは多数回の読取り後でも有
用な読取り信号を提供することが可能であり、また、リ
フレッシュ動作なしに読取り可能であり、読取りから生
じるデータ損失に対して安定である。したがって、真の
非破壊的読取りの可能なメモリを提供することができ
る。また、本発明のメモリは維持電力ーをほとんど使用
せず、コンパクトであり、放射線による損傷に対して頑
強である。本発明のメモリはマイクロ電子製造技術を使
用して製造されることができる。安定である形で与えら
れる。
【0009】メモリ装置は1個または2個の強誘電キャ
パシタを使用し、これらが2個であるならば並列に配置
される。メモリ装置は2つの異なった分極状態を強誘電
キャパシタに書込む手段を含み、異なった分極状態は異
なった記憶データ値を表している。強誘電キャパシタの
電荷状態を切換えず、DCバイアス電界を強誘電キャパ
シタに供給せずに強誘電キャパシタのキャパシタンスを
読取る手段が設けられる。単一の強誘電性キャパシタの
みがメモリ装置で使用されるならば、2個のゼロ電界キ
ャパシタンスは互いに弁別されるようにその絶対値が認
識されなければならない。2つの強誘電キャパシタが使
用されるならば、情報は相対的キャパシタンス値として
記憶されることができる。大きなメモリアレイで形成さ
れる個々の強誘電キャパシタ特性に変化がある可能性が
あるために後者が好ましい。
【0010】強誘電キャパシタの分極状態として情報を
蓄積することはメモリを非揮発性にする。強誘電分極状
態は入力電界の供給下のみで変化し、従って記憶された
情報はパワー停止の場合に失われない。記憶データが読
取られるとき、キャパシタンスのみが計測され、電荷ま
たは分極状態の切換えはない。従って、データは強誘電
キャパシタまたは記憶データの状態を変更せずに所望の
回数だけメモリ装置から読取られる。それ故、メモリは
いつでもパワー停止によりまたは読取り/書込みサイク
ル期間の破壊によるデータ損失を生じない。
【0011】本発明はランダムアクセスメモリの技術を
発展させている。本発明のメモリは非揮発性であり、真
の記憶データが読取られるときに生じる破壊に耐久性で
ある非破壊記憶装置と読取りを使用する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明はラマー・ドラブ効果とい
う名称のある種の強誘電材料で見られる新たに観察され
た現象の利用に基づいている。図1は強誘電キャパシタ
の絶縁体として本発明で使用される強誘電材料のキャパ
シタンス−電圧特性を示している。有効なキャパシタン
ス特性は材料に電界を供給する期間の材料の性質を説明
することにより、良好に理解されるであろう。説明を通
して、ラマー・ドラブ効果を示す好ましい強誘電材料を
構成する“Y1”材料を参照する。これらの参照は本発
明の効果とその応用を限定するためのものではなく値お
よび特性の例示として行うものである。
【0013】図1はラマー・ドラブ効果を示す材料、こ
の場合ではY1材料のキャパシタンス−電圧特性のグラ
フである。保持(coercive)電圧の少なくとも約6倍の
負の電圧またはY1材料の場合約−3ボルト以上の電圧
が強誘電材料を横切って供給されるとき、強誘電材料の
キャパシタンスは曲線20に従って左側の十分に分極され
た状態22に到達する。電界が除去されたとき、キャパシ
タンスは曲線24に従って右側へ変化し、第1のゼロ電界
キャパシタンス26に到達する。従って、第1の方向の飽
和された分極状態の発生は第1のゼロ電界キャパシタン
ス26を生じる。
【0014】電圧が次に強誘電材料を横切って反対方向
に供給されるとき、即ち図の正の電圧が供給されると
き、キャパシタンスは曲線28で示されているように曲線
24の延長に従う。正の電圧が増加するとき、強誘電材料
の分極状態は十分に飽和された分極状態から部分的に分
極された状態に変化する。しかしながら本発明の方法で
は供給される正の電圧は分極状態を十分に飽和するのに
必要とされる電圧よりも少なく、好ましくは図1の符号
30で示されているように保持電圧とほぼ等しい。
【0015】電圧が曲線32に沿ってゼロに戻るとき、キ
ャパシタンスは第2のゼロ電界キャパシタンス34として
測定される。第2のゼロ電界キャパシタンス34は比較的
小さいが定めることができ、測定可能なキャパシタンス
差(デルタC)であることにより、第1のゼロ電界キャ
パシタンス26と異なっている。キャパシタンス差は典型
的にキャパシタンス値の約10%程度であり、供給され
た電圧と無関係である。
【0016】それ故、メモリ装置は2進データビットの
1つの計測(例えば“0”状態)を記録するように第1
のゼロ電界状態26を設定するためおよび、他の時間に2
進データビットの他の計測(例えば“1”状態)を記録
するように第2のゼロ電界状態34を設定するため単一の
強誘電キャパシタに対する書込みに基づいている。デー
タは一般的な方法でキャパシタンス値を感知することに
よりメモリ装置から読取られる。分極状態を変化しない
ように好ましくキャパシタンスの計測が行われるなら
ば、データビットはメモリ装置のリフレッシュを必要と
せずに所望の回数だけメモリから読取られることができ
る。後述する理由のため、実用的な応用では、反対の状
態が2つの強誘電キャパシタに交互に書込まれ、データ
読取り期間中に差動キャパシタンスが計測されるよう
に、並列に配置された2つの強誘電キャパシタを使用す
ることが好ましい。2つの強誘電キャパシタを使用する
このメモリ装置は、単一の強誘電キャパシタを使用する
メモリ装置と同一の物理的原理で強誘電材料に関して前
述したように動作する。
【0017】図2は供給電界により十分に飽和された分
極状態に駆動されるときの一般的な強誘電材料のキャパ
シタンス特性を比較のため示している。強誘電材料が負
の電圧(曲線の左端の範囲)で十分に飽和され、ゼロ電
界状態に戻るならば、ゼロ電界キャパシタンス36が観察
される。強誘電材料がその後、正の電圧で十分に飽和
(曲線の右端の範囲)され、ゼロ電界状態に戻るなら
ば、同一のゼロ電界キャパシタンス36が観察される。即
ち、十分に分極を飽和することにより発生されるゼロ電
界キャパシタンスはそれ自身データ指示装置として使用
されることができない。
【0018】Y1として知られている強誘電材料は図1
に関して説明した差動ゼロ電界キャパシタンスを示して
いる。好ましいY1強誘電材料は既知の積層超格子強誘
電材料であり、これはシメトリックス社(Symetrix Cor
poration)から市場で入手可能であり、例えばPCT公
開のWO93/12542、WO93/12538、WO93/10627明細書に記載
されている。Y1は一般的に以下の組成である。
【0019】 (A1w1+a1 (A2w2+a2 …(Ajwj+aj (S1x1+s1 (S2x2+s2 …(Skxk+sk (B1y1+b1 (B2y2+b2 …(Bly1+b1 (Qz -2 ここでA1、A2、…Ajはペロブスカイト(perovski
te)状構造のAサイト元素であり、S1、S2、…Sk
は超格子発生元素であり、B1、B2、…Blはペロブ
スカイト状の構造のBサイト元素であり、Qは陰イオン
であり、上付き符号は各元素の原子価を示し、下付き符
号はペロブスカイト状構造のユニットセルの元素の平均
原子数を示しており、少なくともw1とy1はゼロではな
い。Aサイト元素の例はストロンチウム、カルシウム、
バリウム、ビスマス、カドミウム、鉛を含んでおり、B
サイト元素の例はチタニウム、タンタル、ハフニウム、
タングステン、ニオブ、ジルコニウムを含んでおり、超
格子発生元素の例はビスマス、スカンジウム、イットリ
ウム、ランタン、アンチモン、クロム、タリウムを含ん
でおり、陰イオンの例は酸素、塩素、フッ素を含んでい
る。
【0020】Y1のような積層超格子の強誘電材料は分
極特性の疲労に対して高い抵抗性を有する。多数の他の
強誘電材料は強誘電メモリ装置で必要とされるタイプの
多数の状態の切換え後、分極特性の劣化を示す。Y1の
ような材料は疲労に基づいた劣化をそれほど受けない。
【0021】図3は強誘電体が2つのゼロ電界キャパシ
タンス状態を有することのできる単一の強誘電キャパシ
タ52を有する基本的形態のメモリ装置50を示している。
強誘電キャパシタ52の第1の端子は可変電圧源54に接続
されている。第2の端子は強誘電キャパシタ52を十分に
飽和する程度の高さの電圧を有する飽和のためのバイア
ス電圧源56と、接地58と、測定キャパシタ60とに切換え
て接続することができる。また電圧計62が強誘電キャパ
シタ52の第2の端子に接続されている。
【0022】負の方向で強誘電キャパシタ52を十分に飽
和分極するように強誘電キャパシタ52の第2の端子をバ
イアス電圧源56に接続し、その後強誘電キャパシタの第
2の端子を切換えて接地58に接続した状態でデータがメ
モリ装置50に書込まれる。電圧パルスは可変電圧源54に
より発生される。強誘電キャパシタ52が例えば“0”デ
ータビットを記録するために図1の26の第1のゼロ電界
キャパシタンス状態に維持されるときには、可変電圧源
54により発生される電圧パルスはゼロ電圧である。強誘
電キャパシタが例えば“1”データビットを記録するた
めに図1の30の第2のゼロ電界キャパシタンス状態に維
持されるときには、電圧パルスは図1で符号30で示され
ている正の電圧を有し、好ましくはほぼ強誘電キャパシ
タの保持電圧に等しい。典型的なY1材料の場合、負の
飽和分極電圧は−4ボルトであり符号30で示されている
正の電圧は約0.5ボルトである。
【0023】次に、データの読取りについて説明する。
データは強誘電キャパシタ52のキャパシタンス値を計測
する方法を使用して読取られる。読取りは強誘電キャパ
シタ中の電荷の切換えを使用しないような方法で行われ
ることが好ましい。それは電荷の切換えはデータを読取
りのための中断の数を減少させるからである。読取り方
法は強誘電キャパシタへのDCバイアス電圧の供給を使
用しないように行われることが好ましい。それはDCバ
イアス電圧を与えるために付加的な回路を必要とするか
らであり、DCバイアス電圧は電荷の切換えを行わせる
ために通常使用されるものであるからである。
【0024】図3に示されたメモリ装置50では、データ
の読取りのために強誘電キャパシタ52の第2の端子は接
地58に接続した状態から切換えられて測定キャパシタ60
の接地と反対側の端子に接続され、典型的に約1ボルト
の小さい読取り電圧パルスが電圧源54から強誘電キャパ
シタ52の第1の端子に供給され、電圧計62を使用して強
誘電キャパシタ52の第2の端子の電圧を計測することに
よって強誘電キャパシタ52からデータが読取られる。強
誘電キャパシタ52のキャパシタンスが大きいほど強誘電
キャパシタ52の第2の端子の測定された電圧が大きくな
る。読取り回路の論理装置64は、読取りパルスにより生
成された電圧計62で測定された測定電圧に基づいたキャ
パシタンス値とデータビットの記憶に使用されている第
1のゼロ電界キャパシタンス状態と第2のゼロ電界キャ
パシタンス状態の基準となる値を使用して測定された測
定電圧に基づいたキャパシタンス値が第1のゼロ電界キ
ャパシタンス状態と第2のゼロ電界キャパシタンス状態
のいずれを表しているかを決定してメモリ装置50に記憶
されているデータの0,1を識別する。
【0025】以上説明した図3に示されたメモリ装置50
は満足できる動作を行うものであるが、このメモリ装置
50では基準となる第1および第2の2つのゼロ電界キャ
パシタンスの絶対値がある程度の正確性で知られなけれ
ばならない。これらの値は誘電体材料と強誘電キャパシ
タの形状に基づいて決定されることができる。しかしな
がら、大きなメモリアレイでは、個々の強誘電キャパシ
タ間の変動がかなり大きいので、異なった多数の強誘電
キャパシタの中にはそのキャパシタの第1と第2のゼロ
電界キャパシタンス値が基準となる第1と第2のゼロ電
界キャパシタンス値と異なり、そのために測定されたキ
ャパシタンス値を誤ったゼロ電界キャパシタンス値と判
断する可能性がある。また基準となる第1と第2のゼロ
電界キャパシタンス値は強誘電キャパシタの温度による
影響についても考慮しなければならない。
【0026】この問題を克服するため、2個のキャパシ
タのメモリ装置を構成する既知の技術が使用されること
ができる。2個のキャパシタのメモリ装置は情報が2個
のキャパシタのキャパシタンスの計測(即ち正または負
の差)として記憶されることを可能にし、従ってキャパ
シタのキャパシタンスの絶対値が知られる必要はない。
【0027】図4で示されているメモリ装置70の実施例
を参照すると、第1の強誘電キャパシタ72と第2の強誘
電キャパシタ74の第1の端子は並列に可変電圧源76に接
続されている。強誘電キャパシタ72と74の第2の端子は
図3の飽和電圧源56および接地58と同一機能を有する書
込み/接地源78に接続されている。第2の端子はキャパ
シタンスまたは差動キャパシタンス測定装置にも接続さ
れている。この場合、第2の端子は各測定キャパシタ8
0,82 を通って接地に接続され、また差動電圧計84に接
続される。差動電圧計84にはキャパシタンス状態の読取
りがこれらの状態を変えることができないことを確実に
するため隔離用バッファが設けられている。読取り論理
装置86は計測されたキャパシタンス差の相対的大きさを
感知する。これらの素子は次に説明する点を除いて図3
の実施例に関連して説明したのと同一方法で動作する。
【0028】動作において、第1の強誘電キャパシタ72
は一方のゼロ電界キャパシタンス状態に駆動され、第2
の強誘電キャパシタ74は他方のゼロ電界キャパシタンス
状態に駆動される。例えば“1”を書込むために、第1
の強誘電キャパシタ72は低いゼロ電界キャパシタンスに
駆動され、第2の強誘電キャパシタ74は高いゼロ電界キ
ャパシタンスに駆動される。この例では“0”を書込む
ため第1の強誘電キャパシタは高いゼロ電界キャパシタ
ンスに駆動され、第2の強誘電キャパシタは低いゼロ電
界キャパシタンスに駆動される。データは2つのうち高
い方のキャパシタのキャパシタンスを決定することによ
り読取られ、キャパシタンスの絶対値を設定する必要は
ない。
【0029】メモリ装置70はまたキャパシタ72,74 の一
方のみが強誘電キャパシタであり他方が一般的な線形キ
ャパシタである場合にも動作可能である。
【0030】ラマー・ドラブ効果はY1材料で示されて
いる。設定後1秒で測定したとき、約3.42pf(ピ
コファラド)の第1のゼロ電界キャパシタンスを有する
強誘電キャパシタが構成された。キャパシタは設定後1
秒で測定した時、約3.77pfの第2の零電界キャパ
シタンスを有していた。キャパシタンス差の安定性はゼ
ロ電界キャパシタンス状態を設定し、キャパシタンスを
測定し、強誘電キャパシタが期間中に無変化であること
を可能にし、キャパシタンスを再度測定することにより
決定される。キャパシタンス値は時間にわたって僅かに
変化するが、104 秒まで延長された測定から、これら
が十分に安定であり、ゼロ電界キャパシタンス状態のキ
ャパシタンス差が約1012秒まで本来の差の25%に落
下しないことが確認された。安定で長期間のメモリの基
礎であるラマー・ドラブの有効性はそれ故証明された。
【0031】図4で示されたメモリ装置の変形は前述し
た線形キャパシタにより強誘電キャパシタ74が置換され
ている点を除いて同様に構成された。絶縁体材料として
Y1を使用する強誘電キャパシタは0.18マイクロメ
ートルの厚さであり横方向の寸法が100×100マイ
クロメートルである。データビットは適切に記憶され、
前述の方法により読取られる。メモリ装置が真の非破壊
的読取りを有するか否かを決定するために105 のシミ
ュレートした読取りパルスが記憶データをリフレッシュ
せずに供給され、記憶データは再度適切に読取られる。
リフレッシュせずに105 回の読取り後に測定されたキ
ャパシタンスの劣化は認められなかった。
【0032】図5はラマー・ドラブ効果を示す強誘電キ
ャパシタを使用した別のタイプのメモリ装置90を示して
いる。第1の強誘電キャパシタ92と第2の強誘電キャパ
シタ94は電圧源96と直列に接続され、データ記憶セルと
して動作する。線形の第1の感知キャパシタ98と線形の
第2の感知キャパシタ100 は同一の電圧源96と直列に接
続され、基準セルとして動作する。感知増幅器102 は2
つの直列アレイの間に接続され、第1の入力104 は強誘
電キャパシタ92,94 と接続するラインと接続され、第2
の入力106 は感知キャパシタ98,100と接続するラインと
接続される。情報は前述した方法と同一方法でラマー・
ドラブ効果により設定されるように2つの強誘電キャパ
シタ92,94 を異なったキャパシタンスに充電することに
より一般的にこのメモリ装置90に書込まれる。情報は2
つの強誘電キャパシタ92,94 のキャパシタンス測定によ
りこのメモリ装置から読取られる。
【0033】図6は本発明の方法を実施する好ましい方
法を示している。ラマー・ドラブ効果を示す強誘電キャ
パシタに基づくメモリセルが符号120 で示されたステッ
プにおいて与えられる。このメモリセルはここで説明す
るタイプのまたはこの物理的効果に基づく他のセルであ
る。第1のキャパシタンス状態は強誘電キャパシタンス
に書込まれ、セルには第2の強誘電キャパシタが存在
し、第2のメモリ状態は符号122 で示されたステップで
第2の強誘電キャパシタに書込まれる。データはその後
前述したように符号124 で示されたステップでキャパシ
タンス値の計測またはキャパシタンス差の計測によりセ
ルから読取られる。読取りは強誘電キャパシタの電荷状
態を切換えずDCバイアス電界を強誘電キャパシタに供
給せずに達成されることが好ましい。
【0034】本発明は強誘電メモリに重要な発展を提供
する。ラマー・ドラブ効果の使用は真のNDROメモリ
セルが構成されることを可能にする。メモリセルは種々
の方法で書込まれ読取られ、種々の変形が所望に性能を
改良するように行われることができる。本発明の特定の
実施例を例示の目的で詳細に説明したが、種々の変形お
よび強化が本発明の技術的範囲を逸脱することなく行わ
れよう。従って、本発明は特許請求の範囲によってのみ
限定される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用されるY1強誘電材料のキャパシ
タンス−電圧のグラフ。
【図2】典型的な一般的強誘電材料のキャパシタンス−
電圧のグラフ。
【図3】単一の強誘電キャパシタを使用した基本メモリ
装置の概略図。
【図4】並列の2つの強誘電キャパシタまたは1つの強
誘電キャパシタと1つの線形キャパシタを使用した基本
メモリ装置の概略図。
【図5】直列の2つの強誘電キャパシタを使用した基本
メモリ装置の概略図。
【図6】本発明の実施方法のフロー図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−198161(JP,A) 特開 平2−301093(JP,A) 特開 平5−198194(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11C 11/40 - 11/409

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1および第2の2つの異なる値のゼロ
    電界キャパシタンス状態をとることが可能な強誘電
    構成された絶縁体を有する強誘電キャパシタと、第1の時間において前記強誘電キャパシタに前記第1の
    ゼロ電界 キャパシタンス状態を書込み、第2の時間にお
    いて前記強誘電キャパシタに前記第2のゼロ電界キャパ
    シタンス状態を書込む書込む書込み手段と、 前記強誘電キャパシタのキャパシタンスを読取る読取り
    回路とを具備し、 前記第1および第2のキャパシタンス状態は異なった記
    憶データ値を表しており、 前記強誘電キャパシタの絶縁体を構成している強誘電体
    は、一方の極性の分極飽和された状態から同じ極性の充
    電経路で前記第1および第2のゼロ電界キャパシタンス
    状態に到達することのできる材料で構成され、 前記第1のゼロ電界キャパシタンス状態は、分極飽和さ
    れた状態から前記充電経路を通ってゼロ電界にされたと
    きに到達するゼロ電界キャパシタンス状態であり、前記
    第2のゼロ電界キャパシタンス状態はこの充電経路を同
    じ極性でさらに進んで反対方向の極性の分極飽和となる
    前の状態でゼロ電界にすることにより得られる部分的分
    極解除のゼロ電界キャパシタンス状態 であることを特徴
    とするメモリ装置。
  2. 【請求項2】 強誘電キャパシタと並列であり、強誘電
    キャパシタの強誘電材料と同一の材料特性の強誘電材料
    の絶縁体を有する第2の強誘電キャパシタをさらに具備
    する請求項1記載のメモリ装置。
  3. 【請求項3】 強誘電キャパシタと並列である第2の線
    形キャパシタをさらに含んでいる請求項1記載のメモリ
    装置。
  4. 【請求項4】 メモリ装置が、強誘電キャパシタと並列
    である第2のキャパシタをさらに具備し、前記書込み
    は異なったキャパシタンス状態を強誘電キャパシタと
    第2のキャパシタに書込む回路を含んでいる請求項1記
    載のメモリ装置。
  5. 【請求項5】 読取り回路が第1のキャパシタと第2の
    キャパシタのどちらが高いキャパシタンスを有するかを
    決定する回路を含んでいる請求項2乃至4のいずれか1
    項記載のメモリ装置。
  6. 【請求項6】 読取り回路が強誘電キャパシタのキャパ
    シタンスと第2のキャパシタのキャパシタンスを決定す
    るための回路を含んでいる請求項2乃至4のいずれか1
    項記載のメモリ装置。
  7. 【請求項7】 前記強誘電体の強誘電材料は、 第1のゼロ電界キャパシタンスが第1の極性供給電圧
    よって得られた第1の極性の分極飽和状態から第1の
    極性の供給電圧を0に減少させることによって得られ、 第2のゼロ電界キャパシタンスが、第1の供給電圧によ
    って得られた第1の極性の分極飽和状態から第1の極性
    の供給電圧を0に減少させ、さらに第1の極性の供給電
    圧と反対の極性を有し第1の分極飽和極性と反対の第2
    の極性の分極飽和状態にするには小さい大きさの第2の
    電圧を供給して部分的に分極を解除することによって得
    られる請求項1または2記載のメモリ装置。
  8. 【請求項8】 読取り回路が、強誘電キャパシタンスの
    電荷状態を切換えない状態で、DCバイアス電界を強誘
    電キャパシタに供給することなく強誘電キャパシタのキ
    ャパシタンスを読取る回路を含んでいる請求項1乃至
    7のいずれか1項記載のメモリ装置。
  9. 【請求項9】 強誘電材料が積層された超格子強誘電材
    料を具備する請求項1、2、または7のいずれか1項記
    載のメモリ装置。前記第1のゼロ電界キャパシタンス状
    態は、分極飽和された状態から前記充電経路を通ってゼ
    ロ電界にされたときに到達するゼロ電界キャパシタンス
    状態であり、前記第2のゼロ電界キャパシタンス状態は
    この充電経路を同じ極性でさらに進んで反対の極性の分
    極飽和となる前の電界の状態でゼロ電界にすることによ
    り得られる部分的分極のゼロ電界キャパシタンス状態
    あることを特徴とするメモリ装置。
  10. 【請求項10】 第1および第2の2つの異なる値のゼ
    ロ電界キャパシタンス状態をとることが可能な強誘電体
    で構成された絶縁体を有する強誘電キャパシ タを使用す
    データの記憶および再生方法において、前記強誘電キャパシタの絶縁体を構成している強誘電体
    は、一方の極性の分極飽和された状態から同じ極性の充
    電経路で前記第1および第2の ゼロ電界キャパシタンス
    状態に到達することのできる材料で構成され、 第1のゼロ電界キャパシタンス状態と第2のゼロ電界
    ャパシタンス状態の一方を強誘電キャパシタンスに書込
    み、 第1のゼロ電界キャパシタンス状態は、第1の極性の供
    給電圧によって得られた第1の極性の分極飽和状態から
    第1の極性の供給電圧を0に減少させることによって
    込まれ、 第2のゼロ電界キャパシタンス状態は、第1の極性の供
    給電圧によって得られた第1の極性の分極飽和状態から
    第1の極性の供給電圧を0に減少させ、さらに第1の極
    性の供給電圧と反対極性を有し第1の極性と反対の第2
    の極性の分極飽和状態にするには小さい大きさの第2の
    電圧を供給して部分的分極解除することによって書
    込まれ、 強誘電キャパシタの書込まれたゼロ電界キャパシタンス
    状態を読取るステップを有することを特徴とするデータ
    の記憶および再生方法。
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