JP3040190B2 - タンパクの精製方法 - Google Patents

タンパクの精製方法

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JP3040190B2 JP8676491A JP8676491A JP3040190B2 JP 3040190 B2 JP3040190 B2 JP 3040190B2 JP 8676491 A JP8676491 A JP 8676491A JP 8676491 A JP8676491 A JP 8676491A JP 3040190 B2 JP3040190 B2 JP 3040190B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、大腸菌によって産生さ
れたヒトC型肝炎ウイルスコア抗原タンパクまたはその
コア抗原領域を含むタンパクの精製法に関する。
【0002】
【従来の技術】ヒトC型肝炎は、ヒトC型肝炎ウイルス
によって引き起こされる肝炎であり、輸血後の非A非B
型肝炎のほとんどは、この肝炎であると言われている。
【0003】そして、その多くは更に肝ガンへと病状が
進行する。ヒトC型肝炎ウイルスは、遺伝子の長さ約1
0Kb(約1万ヌクレオチド)のRNAウイルスとされ、
フラビウイルスとの類似性から5′末端から約1.5Kb
の部分が構造タンパク遺伝子部分に相当し、残りが非構
造タンパク遺伝子部分に相当すると考えられている。
又、約1.5Kbの構造タンパク遺伝子部分は、コア抗原
遺伝子部分、膜タンパク遺伝子部分、外皮タンパク遺伝
子部分に機能的に分かれているものと考えられている。
【0004】C型肝炎ウイルスの遺伝子の非構造タンパ
ク遺伝子領域および構造タンパク遺伝子領域について、
前者は、カイロン社によるヨーロッパ特許(EP0318216)
での報告があり、後者は、カイロン社によるヨーロッパ
特許(EP0388232) での報告および下遠野らの平成2年7
月3日日本ガン学会における口頭発表による報告等があ
る。
【0005】その後の国内外の研究により、ヒトC型肝
炎ウイルス遺伝子の構造タンパク遺伝子領域のうちのコ
ア抗原遺伝子部分でコードされるタンパク(コア抗原)
は、その他の抗原性を有する領域(C─100抗原等)
よりも抗原性が強く、特異性も高く、且つヒトC型肝炎
ウイルス感染の初期診断が可能であるタンパクであるこ
とが明らかにされた。(Muraiso.K,et al.,Biochem.Bio
phys.Res.Commun.,172,(2),511-16(1990) )近年輸
血後非A非B型肝炎患者の血液中に存在する抗体を検出
する診断薬に使用できるタンパク試料として、又、ヒト
C型肝炎ウイルスに関する分子生物学的、免疫学的研究
に使用できるタンパク試料として、高度に純化したタン
パク試料の供給が強く望まれている。そのためには、ヒ
トC型肝炎ウイルスコア抗原領域を含むタンパクを大腸
菌および酵母等で大量産生させる製造方法、産生された
該タンパクを産生細胞から抽出する方法、および、得ら
れた抽出物から該タンパクを純化する精製方法とを確立
することが必要である。
【0006】大腸菌で産生されたヒトC型肝炎ウイルス
のコア抗原タンパクまたはその抗原領域を含むタンパク
を大腸菌から抽出する方法および抽出物から該タンパク
を純化する精製方法については現在まで報告がないが、
大腸菌で産生されたタンパクを抽出し、精製した他のタ
ンパクの例は数多くなされている。
【0007】大腸菌で産生された可溶性タンパクは、一
般に菌を集菌後、変性剤および界面活性剤を含んでいな
い通常の緩衝液でタンパクを抽出し、続いて、イオン交
換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、
アフィニティークロマトグラフィー、硫酸アンモニウム
沈殿(分画)等の精製手段を用いて精製できる。又、大
腸菌で産生された不溶性又は難溶性タンパクの精製法と
しては、菌を集菌後、内容物を変性剤又は界面活性剤を
含んだ緩衝液で抽出した後、該抽出物に対して、SPS
−ポリアクリルアミド電気泳動を行ない、目的のタンパ
ク部分のゲルを切り出しゲルから電気泳動的にタンパク
を抽出する方法、および菌を集菌後、変性剤又は界面活
性剤を含んだ緩衝液で内容物を抽出し、同緩衝液存在下
で、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィーを行なっ
た例が報告されている。
【0008】具体例としては、組換えレニンタンパクを
大腸菌で産生させ、集菌し、変性剤を含んでいない緩衝
液に懸濁させ、リゾチーム処理、超音波処理、低速遠心
分離による沈殿を行なった後、該沈殿物を6Mグアニジ
ン塩酸を含有した緩衝液で可溶化し、同緩衝液存在下で
ゲル濾過して、95%以上の純度をもつ組換えレニンタ
ンパクを精製した例(Imai,T.,et al,J.Biochem,10
,425(1986))等が挙げられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、大腸菌
で産生されるヒトC型肝炎ウイルスのコア抗原タンパク
又はそのコア抗原領域を含むタンパク(以下、C−タン
パクと略す。)の抽出方法及び精製方法に付いて検討し
た。その結果、C−タンパクは該タンパクのコア抗原領
域の性質に起因して水に難溶性であり、変性剤非存在下
あるいは界面活性剤非存在下では該タンパクを効率よく
抽出できないことを見い出した。
【0010】又、上記の方法で得られた抽出物に対して
変性剤非存在下、又は、界面活性剤非存在下でのイオン
交換クロマログラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー
等の精製手段を用いて精製を進めても大腸菌内のその他
の不純タンパクおよび核酸等と凝集するために有効に精
製できないことがわかった。そして、界面活性剤存在下
でのC−タンパクの抽出では、抽出はできるものの、該
抽出物を使用すると、後に続く精製工程を進めることが
容易でないことがわかった。
【0011】さらに、C−タンパクの変性剤存在下での
抽出を検討した結果、尿素存在下で大腸菌で産生される
C−タンパクを抽出すると抽出中にC−タンパクが大腸
菌内のプロテアーゼにより分解されることがわかった。
【0012】又、展開緩衝液中に尿素を含有させて、該
タンパク生産菌の抽出液に対して、イオン交換クロマト
グラフィーおよびゲル濾過クロマトグラフィーを行なっ
たところ、上記の変性剤非存在下の場合と同様に、C−
タンパクと大腸菌内のその他の不純タンパクおよび核酸
等と凝集するために、C−タンパクとクロマトグラフィ
ーを妨害する成分との分離ができず、得られたC−タン
パク画分に対して、さらなる精製手段を加えても、有効
に精製できないこともわかった。
【0013】C−タンパク精製法として、従来技術で紹
介したSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を使用
した精製法を適用した場合、ある程度精製できるもの
の、産生したC−タンパクと分子量の近い大腸菌由来の
不純タンパクも精製タンパク試料に含まれてしまうこ
と、工業的な大量精製法として適当でないこと等の問題
点がわかった。
【0014】さらに、従来技術で紹介した組換えレニン
タンパクの抽出及び精製法は、ゲル濾過クロマトグラフ
ィーを行なう前に、該タンパク抽出物に対して煩雑な前
処理を行わなければならず、工業的な大量精製法という
点で不適である。
【0015】本発明者らは、大腸菌で産生されたC−タ
ンパクをいかなる変性剤を含んだ緩衝液で大腸菌から抽
出すれば効率よく且つ、C−タンパクが大腸菌内のプロ
テアーゼに分解されずに済むか、そして更に抽出物から
C−タンパクを精製するために、クロマトグラフィーを
妨害する成分を除去するのにいかなる精製手段で行なえ
ばよいか、又、その精製手段が操作的に簡便で、工業的
な大量精製法に適しているかどうか等について、数多く
の研究を行なった。鋭意研究の結果、大腸菌によって産
生されたC−タンパクを2─メルカプトエタノール及び
グアニジン塩酸を含有する緩衝液で抽出した後、グアニ
ジン塩酸を含有する緩衝液存在下で、ゲル濾過クロマト
グラフィーを行ない、C−タンパク画分を分取すること
で、かかる目的を達成し得ることを見い出し、本発明を
完成するに至った。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、大腸菌によっ
て産生されたヒトC型肝炎ウイルスコア抗原タンパクま
たはそのコア抗原その領域を含むタンパクを2−メルカ
プトエタノール及びグアニジン塩酸を含有する緩衝液で
抽出した後、グアニジン塩酸を含有する緩衝液存在下で
ゲル濾過クロマトグラフィーを行って分取することを特
徴とするタンパクの精製方法である。
【0017】本発明においてヒトC型肝炎ウイルスコア
抗原タンパクとは、ヒトC型肝炎ウイルス遺伝子の構造
タンパク遺伝子領域のうちコア抗原遺伝子部分でコード
されるタンパクであり、少なくともヒトC型肝炎ウイル
ス遺伝子の開始コドンの最初の塩基(アデニン)から始
まる360個の塩基がコードするタンパクを指す。例え
ば開始コドンから始まる482塩基のDNA塩基配列が
コードする161個のアミノ酸をヒトC型肝炎ウイルス
由来タンパクとして含むタンパクが例示される。
【0018】本発明のタンパクは、上記コア抗原遺伝子
部分でコードされるタンパクの端部が不可避的に切断さ
れた場合、或いは付加的に例えばベクター由来のペプチ
ドが連結されている場合も含む。
【0019】本発明において使用されるC−タンパクを
産生するための大腸菌は、特に制限されるものではな
い。大腸菌でのC−タンパクの産生方法は、ヒトC型肝
炎ウイルスコア抗原をコードする遺伝子を大腸菌で遺伝
子発現が可能なベクターに組込んで組換えベクターを
得、該組換えベクターで大腸菌を形質転換された大腸菌
を使用して、C−タンパクを産生する方法である。ヒト
C型肝炎ウイルスのコア抗原領域を含むタンパクを大腸
菌で産生させる方法の具体例としては、ヒトC型肝炎ウ
イルスコア抗原をコードする遺伝子断片をベクターpET-
3d に挿入して得た組換えベクターpKMR3を用いて、大
腸菌BL21(DE3)を形質転換させ、該形質転換体をラ
クトースを含まない栄養培養で培養後、IPTG(イソ
プロピルチオガラクトシド)を添加して、引き続き培養
することで産生させる方法(Muraiso.K,et al,Biochem.
Biophys,Res.Commun.,172(2),511-16(1990)が挙げら
れる。
【0020】上記の方法で、C−タンパクを産生させた
大腸菌を遠心分離することで、大腸菌ペレットを得る。
そして、該大腸菌ペレットを2─メルカプトエタノール
及びグアニジン塩酸を含有する緩衝液に懸濁する。該緩
衝液中に含有される2─メルカプトエタノールの濃度
は、1mM〜100mMの範囲であればいかなる濃度で
も良いが、40mM〜60mMが好適である。
【0021】又、グアニジン塩酸の濃度は、1M〜8M
の範囲であればいかなる濃度でも適用できるが、5M〜
6Mが好適である。
【0022】又、緩衝液のpHは、5〜9の範囲であれば
いかなるpHでも適用できるが、6〜8が好適である。
【0023】該緩衝液の種類としては、上記のpHで緩衝
作用を示すものであれば何んら制限されず例えば、リン
酸緩衝液、トリス−塩酸緩衝液等が好適に使用される。
【0024】又、該緩衝液の濃度は、5mM〜100m
Mの範囲で適用できるが、10mM〜50mMが好適で
ある。
【0025】次に、細胞懸濁液に対して、ダイノミル破
砕機、超音波破砕装置等を使用し、細胞の破砕を行な
い、該破砕物を遠心分離し、その上清を得ることでC−
タンパクと大腸菌の不純タンパク等とが混合した抽出物
を得る。さらに、該抽出物を使用して、グアニジン塩酸
を含有する緩衝液存在下で、ゲル濾過クロマトグラフィ
ーを行なう。ゲル濾過クロマトグラフィーに使用する緩
衝液に含有されるグアニジン塩酸の濃度は、1M〜8M
の範囲であればいずれの濃度でも良いが、2M〜4Mが
好適である。
【0026】該緩衝液のpHは、5〜9の範囲であればい
ずれのpHでも適用できるが、細胞懸濁時に使用した緩衝
液のpHと合わせることが望ましい。
【0027】該緩衝液の種類としては、上記のpHで緩衝
作用を示すものであれば、何ら制限されず、細胞懸濁時
に使用した緩衝液の種類と合わせることが望ましい。
【0028】該緩衝液の濃度は、5mM〜100mMの
範囲で適用できるが、10mM〜50mMが好適であ
る。
【0029】ゲル濾過クロマトグラフィーに使用できる
担体としては、担体のタンパク分画範囲内にC−タンパ
クの分子量が入っているものであれば、特に限定されな
い。例えば Sephacryl S-200 HR , Sephacryl S-300
HR( pharmacia 社製)が好適である。ゲル濾過クロマ
トグラフィーの操作および分取方法は特に限定されず、
一般の公知の方法で行なえる。分取されたフラクション
をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって検
定し、そのデータを元にして、C−タンパク画分を集め
る。
【0030】大腸菌内に存在するクロマログフィーを妨
害する成分が除かれた上記画分に対して、更にイオン交
換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー等の
公知の方法で精製を進めることができる。具体的に例示
すれば、該画分を、尿素を含有する緩衝液に交換した
後、該交換液に硫酸アンモニウムを最終濃度0.5M〜
2Mになるように添加し、溶解後、さらに該硫酸アンモ
ニウム溶解液を、疎水性担体を充填したカラムにかけ、
カラムを出発用緩衝液で洗浄後硫酸アンモニウムの逆濃
度勾配で吸着画分を溶出させ、分取されたフラクション
をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動によって検定
し、その結果をもとにして、C−タンパク画分を集める
疎水性クロトグラフィーが挙げられる。
【0031】
【発明の効果】本精製方法は、大腸菌で産生されたヒト
C型肝炎ウィルスコア抗原タンパクまたはそのコア抗原
領域を含むタンパクを大腸菌から高収率で、且つ、大腸
菌内のプロテアーゼによる分解を受けずに抽出でき、更
に抽出物から緩衝液を交換することなく直接即ち、操作
的に簡便で、且つ迅速に該タンパクを精製するためのク
ロマトグラフィーを妨害する成分を除去することができ
る有用な精製法である。本精製法で得られた画分は、イ
オン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィ
ー等の公知の方法でさらに精製を進めることが可能であ
る。
【0032】
【実施例】以下、実施例をあげて説明するが、本発明は
これに限定されるものではない。 実施例1 ヒトC型肝炎ウィルスコア抗原領域を含む組換えタンパ
ク(分子量23kd;以下、corexタンパクと略
す)を産生する大腸菌HCVKMR3からのcorex
タンパクの精製 プラスミドpKMR3で形質転換されたBL21(DE
3)大腸菌HCVKMR3(微工研菌寄第11569
号;FERM P−11569)を20リットルのM9
ZB倍地(NH4 Cl 0.3%,KH2 PO4 0.
3%,Na2 HPO4 0.6%,NaCl 0.5
%,MgSO4 1mM,バクトトリプトン1%,グル
コース0.1%,アンピシリン50μg/ml)で培養
し、OD600 が0.4となった時点で、IPTG(イソ
プロピルチオガラクトシド)を最終濃度が0.4mMに
なるように添加し、引続き、37℃で2時間培養するこ
とで、corexタンパクを生産させた。
【0033】その後、細胞を8000rpm,4℃で連
続遠心し、ペレットを凍結することにより保存用に回収
した。
【0034】湿潤重量は、20gであった。次に湿潤重
量5gの凍結HCVKMR3ペレットを解凍し、ペレッ
ト1gにつき、抽出用緩衝液4mlの比率で懸濁した。
【0035】抽出用緩衝液の組成は、3Mグアニジン塩
酸、40mMメルカプトエタノール、pH7.0の10
mMリン酸緩衝液とした。
【0036】該懸濁物を超音波処理によりcorexタ
ンパクを抽出し、遠心分離(15000rpm,30m
in,4℃)し、上清(19ml)を得た。
【0037】上清の全タンパク量は、1860mgであ
った。
【0038】次に、該上清画分19mlに対して、展開
緩衝液を2Mグアニジン塩酸、pH7.0の20mMリ
ン酸緩衝液とし、担体として、SephacrylS−
300HR(pharmacia(株)社製)を使用し
てゲル濾過クロマトグラフィーを行なった。
【0039】使用カラムは内径4cm,長さ150cm
で担体容量は、1.8リットルであった。流速は36m
l/hrで行なった。カラムからの溶出液を7ml画分
毎に集め、その後、集めた各フラクションをSDS−ポ
リアクリルアミド電気泳動によって検定し、その結果を
もとにしてcorexタンパク画分を集めた。
【0040】該corexタンパク画分は、80ml中
にたんぱく質60mgを含有していた。次に、上記co
rexタンパク画分に対して疎水性クロマトグラフィー
を行うために、緩衝液変換を行なった。
【0041】corexタンパク画分を6M尿素を含ん
だ10mMリン酸緩衝液(pH7.0)2リットルに対
して、2回透析することで、緩衝液変換を行なった。
尚、1回の透析時間は5hrで、4℃で行なった。
【0042】続いて、該透析液に硫酸アンモニウム濃度
0.8Mになるように粉末硫酸アンモニウムを添加し、
溶解した。
【0043】最後に該溶解液に対して、第二段階のクロ
マトグラフィーとして、疎水性クロマトグラフィーを行
なった。
【0044】まず、出発用緩衝液を0.8M硫酸アンモ
ニウム、6M尿素を含んだ10mMリン酸緩衝液(pH
7.0)とし、担体としてButyl−Toyopea
rl(東ソ−(株)社製)を使用するカラムを作製し
た。
【0045】上記の溶解液85mlを、作成したカラム
にかけた。尚、作製したカラムは、内径1.4cm,長
さ18cmで担体容量25mlのものであった。又、流
速は14ml/hrで行なった。
【0046】カラムにかけた後、出発用緩衝液100m
lでカラムを洗浄し、末吸着画分を溶出した。洗浄後、
吸着画分を0.8M→OM硫酸アンモニウム直線勾配で
溶出させた。(勾配の全容量は、300mlで行なっ
た。)カラムからの溶出液を2ml画分毎に集め、その
後、集めた各フラクションをSDS−ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動によって検定し、その結果をもとに、c
orexタンパク画分を集めた。その画分は、56ml
中にタンパク4mgを含有していた。
【0047】以上の精製法により、HCVKMR3 5
gにつきcorexタンパク4mgを得た。SDS−ポ
リアクリルアミドゲル電気泳動による評価では、純度9
5%以上であった。
【0048】図1にcorexタンパクの各精製工程で
の純度をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動で調
べた結果を示す。
【0049】Lane1:corexタンパクを産生し
ているHCVKMR3のペレットをグアニジン塩酸を含
有した緩衝液で懸濁、続いて超音波処理した処理液を遠
心分離し、得た上清。
【0050】Lane2:上記処理液を遠心分離し、得
た沈殿物 Lane3:Lane1の上清に対して、ゲル濾過クロ
マトグラフィーを行なって得られたcorexタンパク
画分 Lane4:Lane3のcorexタンパク画分に対
し緩衝液交換、硫酸アンモニウム添加、溶解後、疎水性
クロマトグラフィーを行なって得られたcorexタン
パク画分(精製タンパク試料) 比較例1 実施例1で得られた凍結HCVKMR3ペレット5gを
解凍し、ペレット1gにつき抽出用緩衝液4mlの比率
で懸濁した。抽出用緩衝液の組成は、pH7.0の10
mMリン酸緩衝液とした。
【0051】該懸濁物を超音波処理によりcorexタ
ンパクを抽出し、遠心分離し、上清(15ml)を得
た。上清の全タンパク量は、1100mgであった。
【0052】得られた上清(15ml)を20mMリン
酸緩衝液(pH7.0)2リットルに対して、2回透析
することで、緩衝液交換した。
【0053】尚、1回の透析時間は5hrで、4℃で行
なった。
【0054】次に、該交換液に対して、展開用緩衝液を
20mMリン酸緩衝液(pH7.0)とし、担体として
Sephacryl S−300HR(pharmac
ia社製)を使用したゲル濾過クロマトグラフィーを行
なった。
【0055】使用カラムは、内径4cm、長さ150c
mで担体容量は、1.8リットルであった。流速は36
ml/hrで行なった。
【0056】カラムからの溶出液を7ml画分毎に集
め、その後、集めたフラクションをSDS−ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動によって検定し、そのデータを元
にして、corexタンパク画分を集めた。該core
xタンパク画分は白濁しており、150ml中にタンパ
ク質900mgを含有していた。
【0057】次に、上記corexタンパク画分に対し
て、疎水性クロマトグラフィーを行うために、まず最終
濃度6Mになるように粉末尿素を添加、溶解した。
【0058】次に、該溶解液を6M尿素を含んだ10m
Mリン酸緩衝液(pH7.0)2リットルに対して、2
回透析することで、緩衝液交換を行なった。尚、1回の
透析時間は5hrで4℃で行なった。
【0059】続いて、該透析液に硫酸アンモニウム濃度
0.8Mになるように粉末硫酸アンモニウムを添加し、
溶解した。
【0060】最後に該溶解液に対して、疎水性クロマト
グラフィーを行なった。まず、出発用緩衝液を0.8M
硫酸アンモニウム、6M尿素を含んだ10mMリン酸緩
衝液(pH7.0)とし、担体としてButyl−To
yopearl(東ソ−(株)社製)を使用するカラム
を作製した。上記の溶解液170mlを作製したカラム
にかけた。
【0061】尚、作製したカラムは、内径1.4cm,
長さ18cmで担体容量25mlのものであった。又、
流速は14ml/hrで行なった。
【0062】カラムにかけた後、出発用緩衝液100m
lでカラムを洗浄し未吸着画分を溶出した。
【0063】洗浄後、吸着画分を0.8→0M硫酸アン
モニウム直線勾配で溶出させた。(勾配の全容量は、3
00mlで行なった。)カラムからの溶出液を3ml画
分毎に集め、その後集めたフラクションをSDS−ポリ
アクリルアミドゲル電気泳動によって検定し、そのデー
タを元にcorexタンパク画分を集めた。
【0064】その画分は、100ml中にタンパク22
mgを含有していた。SDS−ポリアクリルアミドゲル
電気泳動による評価では、純度約6%以下であった。
【0065】図2に、比較例1で行なったcorexタ
ンパクの各精製工程での純度をSDS−ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動で調べた結果を示す。
【0066】Lane1:corexタンパクを産生し
ているHCVKMR3のペレットを2−メルカプトエタ
ール及びグアニジン塩酸を含有しない緩衝液で懸濁、続
いて超音波処理した処理液を遠心分離し、得た上清La
ne2:上記処理液を遠心分離し、得た沈殿物Lane
3:Lane1の上清に対して、ゲル濾過クロマトグラ
フィーを行なって得られたcorexタンパク画分La
ne4:Lane3のcorexタンパク画分に対し緩
衝液交換硫酸アンモニウム添加、溶解後、疎水性クロマ
トグラフィーを行なって得られたcorexタンパク画
分である。
【0067】以上の結果よりcorexタンパクを産生
しているHCVKMR3のペレットを2−メルカプトエ
タール及びグアニジン塩酸を含有しない緩衝液を使用し
て抽出した場合、抽出効率が低く、抽出操作後、遠心分
離した沈殿物にかなりcorexタンパクが残ってい
る、(デンシドメトリーによる分析で、約40%程のc
orexタンパクが残っていることが判った)又、得ら
れた上清に対して、グアニジン塩酸を含有しない展開用
緩衝液存在下で、ゲル濾過クロマトグラフィーを行なっ
た場合、corexタンパクが核酸および他の不純タン
パクと凝集するため、効果的に精製されず、上記ゲル濾
過クロマトグラフィーのcorexタンパク画分に対し
て、実施例1と同様な疎水性クロマトグラフィーを行な
っても、得られたcorexタンパク画分の該タンパク
の純度は悪いものになっていることがわかった。
【0068】実施例1と比較例1の比較から、本発明に
よりcorexタンパクが該タンパクを産生しているH
CVKMR3から高収率で抽出され、該抽出物に対し
て、本法の方法で精製することで、該タンパクと大腸菌
内の核酸および他の不純タンパクとの凝集が阻止され
る。
【0069】又、本法によって得られたcorexタン
パク画分は、公知の一般的な方法でさらに精製できるこ
とが判明した。
【0070】比較例2 実施例1で得られた凍結HCVKMR3ペレットを解凍
し、ペレット1gにつき、表1に示す組成の各々の緩衝
液4mlの割合でそれぞれ懸濁し、該懸濁物を超音波処
理後遠心分離(15000rpm,4℃,30min)
し、上清4mlと沈殿物を得た。
【0071】
【表1】
【0072】得られた沈殿物および上清をそれぞれ別々
にSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動し、ゲルを
クーマシー染色した後、脱色した。脱色したゲルをデン
シドメトリーで分析することで、電気泳動したゲル上の
corexタンパクのバンドの濃さを上清と沈殿とで比
較し、上清に抽出された割合を抽出効率として求め、そ
れぞれ表2に示した。
【0073】又、上清を電気泳動したゲル上のcore
xタンパクのバンドの濃さを表1の1〜5の緩衝液間で
比較した。表1の緩衝液5を使用して得られた上清のc
orexタンパクのバンドの濃さを100%とし、表1
の緩衝液1〜4を用いて、抽出して得られた上清のco
rexタンパクのバンドの濃さをcorexタンパク相
対量として表わした。(表2)
【0074】
【表2】
【0075】表1の1.2で示されている変性剤を含有
しない緩衝液を使用した場合、表2に示す通り、抽出効
率が低い。
【0076】又、表1の緩衝液3,緩衝液4を使用した
場合、抽出効率は100%であるが、緩衝液5で抽出し
た時のcorexタンパク量を100%とした場合、c
orexタンパク相対量はそれぞれ30%,60%と少
ない。
【0077】これは、抽出操作時に大腸菌内のプロテア
ーゼによりcorexタンパクが分解されていることが
原因と考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のSDS−ポリアクリルアミドゲル電
気泳動で調べたcorexタンパクの各精製工程での純
度を示す図である。
【図2】比較例1のSDS−ポリアクリルアミドゲル電
気泳動で調べたcorexタンパクの各精製工程での純
度を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 Biochem.Biophys.R es.Commun.(1990)Vol. 172,No.2,p.511−516 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12P 21/00 - 21/02 C07K 1/16 C12N 15/51 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大腸菌によって産生されたヒトC型肝炎
    ウイルスコア抗原タンパクまたはそのコア抗原領域を含
    むタンパクを2−メルカプトエタノール及びグアニジン
    塩酸を含有する緩衝液で抽出した後、グアニジン塩酸を
    含有する緩衝液存在下でゲル濾過クロマトグラフィーを
    行って分取することを特徴とするタンパクの精製方法。
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