JP3039937B2 - 超微粒子 - Google Patents

超微粒子

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は超微粒子、その製造及びその応用に係り、特
に陰極線管の導電性反射防止膜として有効に機能し得る
超微粒子、その製法及びその利用に関する。
〔従来の技術〕
従来より2つの異なる機能の超微粒子を混合し、これ
を特定の目的のために利用する技術は知られている。こ
の場合、2つの異なる機能を同時に満たすことが要求さ
れるが、現実には両機能とも希薄化されてしまい実用性
に乏しいものしか得られていないのが現状である。
一方、陰極線管においてはガラス面の帯電防止の為に
導電性膜を形成すると共に反射防止の工夫も要求されて
いる。
ところで、ブラウン管など陰極線管の前面パネル表面
(画像表示面板)が帯電することが知られているが、そ
の理由は第3図に示すごとく、通常ブラウン管7の内面
9に塗布されている蛍光体10の上に薄く均一なアルミニ
ウム蒸着しているがそのアルミニウム膜11に高電圧が印
加されると、その印加時及び遮断時にブラウン管前面パ
ネル12に静電誘導により帯電現象を起こすことによる。
このような表示管表面での帯電防止に更に反射防止を
かねて導電性反射防止膜を形成させる方法が特開昭61−
51101号公報に開示されている。この場合にはまずガラ
ス基板に真空蒸着法,スパツタリング法などの物理的気
相法あるいは化学的気相法などにより導電性膜を形成
し、その上に反射防止膜を形成するようになつていた。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし上記の如く混合超微粒子はその原料超微粒子の
機能を希薄化させてしまうという欠点がある。かと言つ
て2種の超微粒子膜の積層化は生産性,価格,膜強度に
おいて問題がある。
特に従来技術は、導電性膜と反射防止膜をそれぞれ形
成する2層構造であり、生産性,価格の点で問題があつ
た。また膜焼成温度が低温に限定されるブラウン管など
の表示管表面に膜形成する場合には膜強度,反射特性に
問題があつた。
本発明の第一の目的は、機能の相異なる原料成分から
構成され各成分の機能を低下させることなく保持してい
る超微粒子であり、第2の目的は導電性と反射防止機能
を有する酸化物よりなる超微粒子を製造することであ
り、第3の目的はこの超微粒子をブラウン管などの表示
管(又は面板)にコートすることにより形成された効率
のよい導電性でかつ反射機能を有する薄膜である。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的は超微粒子一粒の中に原料成分を混在させる
ことにより達成される。
(超微粒子) 本発明の超微粒子とは、2種以上の無機酸化物より構
成されるコンポジツトな粒状物であつて、2種以上の無
機酸化物が相互に入り混りあつているか、又は一方の無
機酸化物が他方の無機酸化物に包含されて粒状構造を形
成していて、かつその平均粒径が0.1μm以下のものを
言う。好ましくはその粒度分布が平均粒径付近の粒径を
有する粒子のところに最大ピークを示し、かつその粒径
を有する粒子が全粒子のほぼ50%以上を占め、かつ最大
粒子径が平均粒径のほぼ2倍、最小粒子径がその約1/2
倍のものが挙げられる。各超微粒子(溶媒相当)に混入
している微少成分(溶質相当)の平均粒径は0.01〜0.05
μmが好ましい。
上記超微粒子は、球状に限らず、第7図に示すように
不良全球体であつてもよい。但し超微粒子の粒径が小さ
すぎると、形成される膜の最外表面が平滑になりすぎて
十分な反射防止効果が得られないおそれがあるので平均
粒径は0.05μm以上が好ましい。逆に大きすぎても拡散
効果が大きすぎてしまい解像度が低下すると共に膜強度
も低下するので、その平均粒子が0.1μm以下であるこ
とが望まれる。上記の2種以上の無機酸化物の代表的な
組合せ例は、導電性成分と反射防止機能成分とから成
る。導電性成分と反射防止機能成分との構成割合は製造
条件により多少変動するが導電性成分が超微粒子の全重
量の10%以上(体積比0.1以上)であることが好まし
い。尚、この量が50%以上を超えると反射防止機能の低
下をきたす恐れがあり、50%以下に調整する必要があ
る。尚、便宜的に導電性成分を少量成分、反射防止機能
成分を多量成分と称する場合もある。
本発明に係る超微粒子の構成する各成分がいかなる形
で粒状体を形成するかは各成分の種類,性能等により必
ずしも一定の形態を取るか否かは判然としていないが、
少量成分が多量成分中に粒状物の形態で包含されている
場合もあり、その場合少量成分により形成される粒状体
の平均粒径は0.01〜0.05μmであることが好ましい。
反射防止機能成分の代表例はSiO2(酸化ケイ素)であ
る。一方導電性成分の代表例はSnO2(酸化スズ)、In2O
3(酸化インジウム)Sb2O3(酸化アンチモン)などが挙
げられる。尚、導電性成分は2種以上併用してもよい。
両成分の組合せは上記成分間の組合せに限定されるもの
ではなく、要は2種機能を各超微粒子が充足できればよ
い。上記の如く多量成分に少量成分が混入している場合
は多量成分で構成される超微粒子を海に例えれば混入し
ている少量成分の微小粒子はあたかも島の如く存在する
ことになる。また本発明の超微粒子に平均粒径が0.01〜
0.05μmの導電性成分又は導電性成分と反射防止機能成
分よりなる微粒子を重量比で10%以下添加しても本発明
の超微粒子のみを用いた場合と同様の効果が得られる。
本発明の超微粒子は通常金属成分を用いて超微粒子を
製造するための装置を用いて製造することができる。係
る製造装置としてはアーク,プラズマ(誘導プラズマ,
アークプラズマ),レーザ,電子ビーム,ガスなどを熱
源として用いて反射防止機能成分と導電性成分とを共に
蒸発させ、ついで急冷してこれら原料成分が相互に混じ
り合つた形で超微粒子として産出させうる装置が挙げら
れる。
本発明の超微粒子の製造方法は系内ガス雰囲気を酸素
ガスもしくは酸素ガスと不活性ガスとの混合ガス雰囲気
として、少なくとも2種以上の材料を混合した超微粒子
原材料と、この原材料に斜向又は直行させた放電用電極
との間にアークを発生させて原材料の酸化物混合超微粒
子を生成するようにしたものである。
より具体的には米国特許第4,619,691号記載のレーザ
を用いた超微粒子製造装置や米国特許第4,610,718号及
び同第4,732,369号記載のアークを利用した超微粒子発
生装置で、第8図に模式的に示した装置などが例示され
る。
第8図において、14はタングステン電極、15は混合超
微粒子用原材料、16は水冷用ルツボ、17はアーク、18は
シールドガスノズル、19は放電用電源、20はシールドガ
ス導入口、21は雰囲気ガス導入口、22は超微粒子発生
室、23は超微粒子捕集部、24は循環ポンプ、25は排気ポ
ンプをそれぞれ示す。
かかる構成において、まず排気ポンプ25により系内を
真空排気後、雰囲気ガス導入口21から酸素ガス又は同ガ
スと不活性ガス例えばアルゴンガスとの混合ガスを適当
な気圧約0.1MPaまで封入し、循環ポンプ24によつて系内
を循環させる。次にシールドガス導入口20からアルゴム
ガスを、雰囲気ガス導入口21から上記ガスを一定量系内
に導入すると同時にこのガスと同量のガスを排気ポンプ
によつて系外に排気する。この状態でタングステン電極
14と少なくとも2種以上の材料を混合した超微粒子用原
材料15との間に放電用電源19から電流を供給してアーク
17を発生させることにより、超微粒子用原材料15がアー
ク熱により蒸発し活性化された酸素ガスと反応して酸化
物混合超微粒子となり、循環ガスと一緒に捕集部23に搬
送されて捕集される。この時、タングステン電極14はア
ルゴンガスでシールドされることになるので、タングス
テン電極の消耗は非常に少なく、タングステンが不純物
として生成された超微粒子に混在することはほとんどな
い。また常時新しい酸素ガス又は同ガスと不活性ガスと
の混合ガスが系内には導入されることになるので、生成
した超微粒子の酸化による系内の酸素濃度低下を防ぐこ
とができる。
不活性ガスとしてはヘリウム,アルゴンガスなどが例
示される。
これらの装置は常法に従つて操作すればよく、本発明
に係る超微粒子はこれらの装置を利用することによりな
んら困難を伴うことなく製造することができる。
少なくとも2種以上の材料を混合した超微粒子原材料
を用いれば原材料の酸化物混合超微粒子を生成すること
ができるがこの場合、蒸発速度のほぼ等しい材料を混合
することにより、混合原材料の組成比に近い酸化物濃度
超微粒子を生成することができる。
また原材料は金属でも金属酸化物でも同様の酸化物超
微粒子が生成される。この時、混合した金属材料同士が
化合しやすい場合には化合物超微粒子が、化合しにくい
場合にはそれぞれの酸化物超微粒子が生成される傾向に
ある。導電性を有する酸化物と反射防止機能を有する酸
化物は通常は化合しないのでそれぞれの酸化物が混在し
た超微粒子が生成される。
(薄膜) 本発明の薄膜は上記超微粒子を主体とするものであ
る。尚、上記超微粒子の原料成分を極少超微粒子(平均
粒径0.01〜0.05μm)とすれば上記本発明超微粒子と該
極少超微粒子との混合物も本発明の範囲である。
層数は一層で十分であるが、所望により二層としても
差し支えない。この薄層の厚さとしては0.1〜0.2μmが
好ましい。
薄膜中での導電性成分と反射防止機能成分との最適比
率は上記超微粒子の項で述べた最適比率と同じである。
導電性成分と反射防止機能成分との混合超微粒子の薄膜
化は、適当量の超微粒子を基板上にコートすることによ
り行えばよく、作業性,経済性などから一層コートが理
想的である。超微粒子間に形成される谷の深さは0.05〜
0.2μmであることが好ましい。また接する超微粒子同
士の導電性成分間の距離は0.05μm以下であることが好
ましい。
薄膜形成方法は、Si(OR)(ただし、Rはアルキル
基)を溶解したアルコール溶液に、本発明超微粒子、あ
るいは更に原料超微粒子を分散し、この溶液を透光性画
像表示画板上に塗布した後、この塗布面を加熱(焼成)
して前記Si(OR)を分解して超微粒子薄膜をSiO2で覆
つた膜を形成することになる。Si(OR)の分解物たる
SiO2は超微粒子と基板との間隙にも入り込むから接着剤
の役目もある。
上記Si(OR)のRとしては、一般に炭素数1〜5の
アルキル基が好ましい。またSi(OR)を溶解させるた
めのアルコールは、上記Rの炭素数の増加と共にSi(O
R)アルコール溶液の粘性が高くなるので、作業性を
考慮して粘性が高くなりすぎないように適宜アルコール
を選択すればよい。一般に使用可能なアルコールとして
は炭素数が1ないし5のアルコールが挙げられる。
更に上記薄膜には、帯電防止効果を付与するために周
期律表第II族,第III族金属の塩を添加して使用しても
よい。代表的な例としてはアルミニウムの塩酸塩,硝酸
塩,硫酸塩及びカルボン酸塩が挙げられる。
更にSi(OR)が加水分解の促進のため水及び触媒と
して鉱酸、例えば硝酸などを加えて、薄膜コート用溶液
を調整してもよい。
上記アルコール溶液を基板上に塗布する方法として、
スピニング法,デイツピング法及びスプレイ法もしくは
これらの組合せからなる塗布方法を用いると共に塗布面
の加熱処理を50〜200℃とすることが実用的である。
(超微粒子膜利用装置) 本発明に係る薄膜が最も効果を発揮する装置は上記薄
膜ガラス基板等透光性基板上に形成した画像表示面板あ
るいは反射防止膜であり、更にはこの画像表示面板を組
み込んだ陰極線管である。
基板への本発明に係る超微粒子の固定量は(特に反射
防止機能成分にSiO2を用いる場合は)0.01〜1mg/cm2
好ましく、より望ましくは0.1〜0.3mg/cm2である。
尚、上記の如き利用装置の場合は導電成分は透明であ
ることが望ましい。光路の邪魔にならないからである。
〔作用〕
本発明の超微粒子で薄膜化を行うと、少量成分の機能
はメイン(多量成分)の超微粒子の機能として活き続け
る。残る極小超微粒子(混在成分)の機能は隣接する超
微粒子間に着目すると極小超微粒子間には距離があるの
だが超微粒子の大きさを超えぬ極短い距離の為、トンネ
ル効果にて発揮される。
この場合少量成分から形成され、超微粒子中に極小超
微粒子の形で混在する成分の機能は、隣接する超微粒子
中に存在する各極少超微粒子間には距離があるのだが超
微粒子の大きさを超えぬ極短い距離のため、導電性の点
でトンネル効果が発揮されることとなる。この場合、多
量成分はその粘度から必然的に形成される主に表面の粗
さが効を奏して低反射機能を達成することとなる。導電
成分についてはトンネル効果にて導電性を発揮すること
になる。従つて各機能成分の積層物よりも剥離箇所の減
少で膜強度は向上する。また各機能成分ごとに超微粒子
を作つて混合したものに比べてトンネル効果を利用でき
るから両機能の持続向上が図れることにもなる。
メインの超微粒子を反射防止機能成分とすれば主に表
面の粗さが効を奏して低反射機能を達成する。導電成分
についてはトンネル効果にて導電性を発揮することにな
る。従つて各機能成分の積層物よりも剥離箇所(ポテン
シヤル)の減少で膜強度は向上する。また各機能成分ご
とに超微粒子を作つて混合したものに比べてトンネル効
果を利用できるから両機能の維持が図れることにもな
る。
系内ガス雰囲気を酸素ガスもしくは酸素ガスと不活性
ガスとの混合ガス雰囲気として超微粒子原材料と放電用
電極との間にアークを発生させ、このアーク熱により超
微粒子原材料から蒸気を発生させ、活性化された雰囲気
ガス中の酸素と反応させ酸化物超微粒子を生成する。
この時、少なくとも2種以上の材料を混合した超微粒
子原材料を用いることにより、酸化物混合超微粒子を生
成することができる。この場合、蒸発速度のほぼ等しい
材料を混合することにより、混合原材料の組成比に近い
酸化物混合超微粒子を生成することができる。
また原材料は金属でも金属酸化物でも同様の酸化物超
微粒子が生成される。この時、混合した材料同士が化合
しやすい場合には化合物超微粒子が、化合しにくい場合
にはそれぞれの酸化物超微粒子が生成される傾向にあ
る。この中で導電性を有する酸化物と反射防止機能を有
する酸化物は化合しない場合があり、その時はそれぞれ
の酸化物が混在した超微粒子が生成される。
この酸化物混合超微粒子をガラス又は表示管表面に塗
布し膜を形成した場合には、導電性と反射防止機能を2
つの特性を有する膜が得られる。
こうして表示管表面には導電性反射防止膜を一層でか
つ低温で形成することが可能となる。
〔実施例〕
更に本発明に係る薄膜について図面に言及しつつ詳述
する。
第1図は反射防止膜をガラス基板に形成した断面図で
あり、第2図はその部分拡大図である。
本例ではガラス基板3上に一層の超微粒子薄膜5が形
成されている。超微粒子薄膜は主として超微粒子1から
成り、各超微粒子1は導電性成分2と反射防止機能成分
6との混合体になつている。導電性成分2はいわば極小
超微粒子であつて超微粒子1の外側にも存在していても
よい。本例では、この超微粒子はSiO2薄膜4で覆われて
いるが、本発明はこれに限定されずつまり超微粒子をSi
O2被膜でコーテイングせずむき出しのままとしてもよ
い。超微粒子とガラス基板3との間隙にはSiO2充填部
4′が形成される。SiO2薄膜4やSiO2充填部4′はSi
(OR)の焼成分解生成物である。
尚、本例では導電性成分2としてSnO2を用い、反射防
止機能成分6としてSiO2を用いている。成膜中のSnO2/S
iO2の体積比率は0.1(10%)以上0.5(50%)以下であ
る、この場合、成膜中の導電性機能成分が超微粒子中に
占める比率は、重量%表示で1%以上50%以下であり、
その場合SiO2薄膜4やSiO2充填部4′を除外して計算す
る。
また、超微粒子間の距離は、相隣接する超微粒子の中
に含まれる導電性成分間の距離がいわゆるトンネル効果
が表れるような長さに保持される間隔にあることが必要
である。そのような距離としては0.05μm以下が好まし
い。
超微粒子の平均粒径(≒一層の薄膜厚さ)が0.1μm
以下であることから薄膜の厚さとしては0.1μm〜0.2μ
mが許容されるが、その場合粒子と粒子間に形成される
薄膜の谷の深さは通常0.05μm〜0.2μm(SiO2薄膜で
被覆される場合は、谷の高さは0.05μm〜0.2μm)と
なる。これらの関係を図示したものが第2図であり、a
は導電性成分間の距離、bは超微粒子の粒径、cは谷の
深さ、dはSiO2薄膜で覆われた場合の最終谷の深さを示
す。
またSi(OR)の分解物たるSiO2は超微粒子と薄膜と
の間隙にも入り込むから接着剤の役目もある。
上述したような反射防止膜を形成したガラス面板にお
いて、反射率を低下させることができる理由を次に説明
する。
第6図は反射膜の断面を示したものであるが、Aに示
す位置における屈折率は空気の屈折率nで、その値は約
1である。一方、Bに示す位置では超微粒子1(SiO2
体)の屈折率ng=1.48に等しい。このA,Bに挾まれた凹
凸部分において、屈折率は、SiO2の体積分率、つまりA,
B平面に平行な平面で切つた微小な厚みの板を仮想した
とき、その板の体積全体に占めるSiO2部分の体積の割合
に応じて連続的に変化する。Aよりわずかに内側に入つ
たC位置での屈折率n1、Bよりわずかに外側に出たD位
置での屈折率をn2としたとき、この反射防止膜を形成し
たガラス面表面での反射率Rが最小となる条件は、 であり、これから、 の条件を満足するときに、無反射性能が得られる。
ここで、n2/n1の値は、凹凸の形状によつて決まる
が、前述したように超微粒子を添加したSi(OR)のア
ルコール溶液を塗布後焼成することにより、上式を近似
的に満足するような凹凸が形成でき、1%以下と言うよ
うな低い反射率が得られたものと考えられる。
次に、本例の反射防止膜が高い機械的強度を保持して
いる理由は、Si(OR)が次のように加水分解してでき
たSiO2膜が存在し、これが保護膜となつているためと考
えられる。
Si(OC2H5)+4H2O→Si(OH)+4C2H5OH→SiO2+5H2O また、本発明に係る超微粒子による細かい凹凸が平板
上に規則的にかつ均一に形成されることになるから、全
面にわたり、良好な反射防止効果が得られると共に、必
要以上の凹凸によつて解像度が低下することもなくな
る。
実施例1(超微粒子の調製例) 第8図に模式的に示した混合超微粒子原材料としてS
i;80wt%と20wt%のSnO2及びSb(SnO2;90wt%とSb;10wt
%)の混合物の圧縮粉末,系内ガス雰囲気としてアルゴ
ンガス+30%酸素ガス,シールドガスとしてアルゴン3
/min,雰囲気導入ガスとしてアルゴン+30%酸素ガス2
0/minを用いて、150A−30Vのアーク条件で酸化物混合
超微粒子を生成させた。生成された超微粒子はSiO2+Sn
O2+Sb2O3の酸化物混合超微粒子であり、組成比はほぼ
原材料と変わらない40:9:1であつた。また比表面積は60
〜70m2/gであり、生成量は15〜20g/時間でSiを超微粒子
原材料としてSiO2超微粒子を生成した場合の値と比べて
約6倍の生成量が得られた。第9図は生成した酸化物混
合超微粒子の走査型電子顕微鏡によるSnの分布測定結果
であり、均一に分散されていることが分かる。また第10
図は透過型電子顕微鏡による観察結果であり、アモルフ
アスSiO2超微粒子の中及び周囲にSnO2+Sb2O3超微粒子
が細かく分散している様子が判る。
以上のように、本実施例によればアーク熱源を用いて
少なくとも2種以上の酸化物超微粒子がほぼ均一に混合
した形で生成できる。
また酸化物混合超微粒子を生成する熱源としてはAr+
O2の誘導プラスマ又はアークプラズマを用い、このプラ
ズマに前記混合粉末を添加することでも同様の酸化物混
合超微粒子が得られる。尚、この酸化物混合超微粒子を
溶剤に分散させ、ガラス基板に塗布し、導電性反射防止
膜を形成した。
実施例2〜6(薄膜の形成例) ブラウン管の前面パネル表面(ガラス面板)に本発明
を適用した例を以下に示す。
テトラエトキシシラン〔Si(OC2H5〕をエタノー
ルに溶解し、さらに加水分野のための水(H2O)と触媒
としての硝酸(HNO3)とを添加した溶液を作る。上記ア
ルコール溶液に実施例1と同様にして整粒された超微粒
子(粒形はほぼ球形)1を1gの割合で添加する。このと
き、粒子が十分に分散するようにアセチルアセトンを分
散媒として適量添加する。
上記アルコール溶液には、超微粒子1を添加する前
に、第1表に示す各種添加剤を所定量添加した。
上記第1表の配合溶液をガラス面板上に滴下し、さら
にスピンナーで均一に塗布する。
その後、150℃で約30分空気中で焼成し、テトラエト
キシシラン〔Si(OC2H5〕を分解する。アルコール
溶液に添加した超微粒子は、分解してできたSiO2の連続
した均一の薄膜により強固に固着され、ガラス面板上に
凹凸が形成される。このようにして形成された反射防止
膜の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、第4図
の部分拡大図である第5図に示すうよに、最外表面に深
さ1,000ű200Å,ピツチ500Åの均一な凹凸を有する
反射防止膜13が形成された。尚、反射防止膜13の構成は
第1図,第2図に示したものと同様であるが、4,4′は
テトラエトキシシランが分解してできたSiO2部分であ
り、添加剤である帯電防止成分を含んでいる。
溶剤の塗布方法としては、上記スピニング法に限ら
ず、デイツピング法やコーテイング法,スプレー法及び
それらの組合せなどでもよい。また、塗布後の焼成温度
は50〜200℃程度が適当である。
この反射防止膜を形成したガラス面板に5゜の入射角
で光を入射させ、その反射率を測定した結果、第1表に
示すように波長500nmで0.5%以下、第5図の曲線Iに示
す如く波長450〜650nmの範囲で1%以下の反射率であつ
た。この値は、VDT(ビジユアル・デイスプレイ・ター
ミナル)としての条件を十分に満足する値である。
次に、この反射防止膜を形成したガラス面板の表面を
消しゴム〔(株)ライオン事務器、商品名ライオン50−
50〕で1kgの加圧力下で均一に50回こすつたところ、反
射率は、表1の強度及び第5図の曲線IIに示すように、
0.1〜0.2%程度増加しただけで、その品質上は全く問題
がなかつた。比較のため、従来のエツチングにより凹凸
を形成したガラス面板について同様の試験を行つたとこ
ろ、消しゴム1回のこすりで反射率は2%増加し、5回
のこすりにより、第5図の曲線IIIに示した無処理のガ
ラス面板と全く同じ反射率となつた。
さらに、第1表に示す如く、低い表面抵抗が得られる
理由は溶液中の各種の帯電防止成分が有効に働き、かつ
反射防止性能,膜強度に大きな影響を与えないためと考
えられる。
さらに、このような反射防止膜を形成するプロセスと
しては、完成球に直接形成することができ既存のSi(O
R)アルコール溶液に市販のSiO2微粒子を添加して塗
布し焼成するだけでよく、フツ酸などの有害な薬品の使
用は一切なく、完全にしかも低コストで製造することが
できる。
超微粒子1は、球形に限らず、第7図に示すように不
定形であつてもよい。但し超微粒子の粒径が小さすぎる
と、形成される膜の最外表面が平滑になりすぎて充分な
反射防止効果が得られない恐れがあるので平均粒径100
Å以上が好ましい。逆に大きすぎても拡散効果が大きす
ぎてしまい解像度が低下するとともに膜強度も低下する
ので、いわゆる超微粒子1と定義される0.1μm以下の
平均粒径が好ましい。
超微粒子を添加したSi(OR)のアルコール溶液の塗
布方法は、上記実施例で示したスピニング法に限らず、
デイツピング法やコーテイング法,スプレー法及びそれ
らの組合せなどでもよい。また、塗布後の焼成温度は50
〜200℃程度が適当である。
また、上記実施例では、Si(OR)としてRがエチル
基の例を示したが、前述したとおりR=CnH2n+1とした
とき、n=1〜5の範囲で実施可能であり、nが大きく
なる場合、溶液の粘性が少し高くなるので、溶媒として
は作業性を考慮してそれに応じたアルコールを選択すれ
ばよい。
さらにまた、帯電防止効果を付与する添加剤として、
金属塩の例としてはアルミニウムの塩を代表して例示し
たが、その他の吸湿性のある周期律表第II族,第III族
の金属元素の塩であればいずれも同等の効果が得られ
る。導電性金属酸化物についても実施例ではSnO2を代表
して例示したが、その他周知の例えばIn2O3,Sb2O3,ペロ
ブスカイト型構造を有する複合金属酸化物例えばLaNi
O3,La1-xSrxC0O3(これらは常温に於ける比抵抗がいず
れも10-4Ωcm)などいずれのものでもよい。
本例によれば、反射防止効果にすぐれ、かつ機械的に
も強い帯電防止機能を有する反射防止膜の形成された画
像表示面板が得られる。しかも、本発明のこの面板は、
フツ酸などの有害な処理薬品を使用せず、簡単で安全な
プロセスで製造でき、量産化に好適で、耐汚染性にもす
ぐれている。
実施例7(薄膜の形成例) 硝酸1gに実施例1で得た酸化物の超微粒子を0.2g分散
させ、この溶液にケイ酸エステルアルコール溶液5gとア
セチルアセトン5gおよびジカルボン酸0.1gを添加し、撹
拌,分散した。この溶液をガラス基板に滴下し、600rpm
で1分間保持するスピンコートを行い、160℃で30分焼
成した。形成した膜の5゜正反射率は400〜700nmの可視
領域で0.06%、表面抵抗は0.5〜1×107Ω/□であつ
た。
SiO2超微粒子とSnO2+Sb2O3超微粒子を別々に生成し
た材料を混合して用い、上記実施例と同様の方法で膜形
成した場合の表面抵抗は数10GΩ/□であつた。
以上のように、本実施例によればアーク熱源を用いて
少なくとも2種以上の酸化物超微粒子がほぼ均一に混合
した形で生成できる。またこの酸化物混合超微粒子を用
いて、導電性と反射防止の複合機能を持つ膜を一度の塗
布作業で形成できる。
また酸化物混合超微粒子を生成する熱源としてはAr−
O2の誘導プラズマ又はアークプラズマを用い、このプラ
ズマに前記混合粉末を添加することでも同様の酸化物混
合超微粒子が得られる。
〔発明の効果〕
本発明によれば機能のことなる原料成分の混合物を、
原料成分の機能を低下させずに超微粒子として得ること
ができる。
また本発明の製法によれば、アーク熱源を用いて少な
くとも2種以上の混合原材料から均一に分散した酸化物
混合超微粒子が得られる効果がある。更にこの酸化物混
合超微粒子を用いて導電性反射防止膜を簡便にしかも低
価格で製造できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図,第6図,第7図は夫々本発明の一実施例に係る
超微粒子膜の断面模式図、第2図は第1図の部分拡大
図、第3図は本発明の適用対象例である陰極線管の一般
的な断面図、第4図は本発明の超微粒子膜を塗工した陰
極線管の断面図、第5図は本発明の薄膜を反射防止膜に
適用した場合の反射率特性図、第8図は本発明の超微粒
子製造装置の配置図、第9図及び第10図は夫々本発明の
実施例により製造された酸化物混合超微粒子の粒子構造
を示す顕微鏡写真である。 1……超微粒子、2……導電性成分、3……ガラス基
板、4……SiO2薄膜、5……超微粒子薄膜、6……反射
防止機能成分。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01J 9/20 H01J 29/88 29/88 G02B 1/10 A (72)発明者 河村 孝男 千葉県茂原市早野3300番地 株式会社日 立製作所茂原工場内 (72)発明者 河村 啓溢 千葉県茂原市早野3300番地 株式会社日 立製作所茂原工場内 (56)参考文献 特開 昭59−107905(JP,A) 特開 昭61−168503(JP,A) 特開 昭63−50305(JP,A) 特開 昭62−280286(JP,A) 特開 昭61−141604(JP,A) 特開 昭50−119044(JP,A) 実開 昭59−168951(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01B 13/14 - 13/36 C01B 33/12 C01B 33/18 C01G 19/00 C01G 30/00 C01G 15/00 H01J 29/88 H01J 9/20 G02B 1/11 H01B 1/08 C03C 17/23 CA(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン
    の少なくとも一種の導電性を有する無機酸化物と、酸化
    珪素からなる反射防止機能を有する無機酸化物とを混合
    し、酸素ガス及び不活性ガスの存在下で、アーク、レー
    ザ、電子ビームから選ばれた1種の熱源を用いて生成さ
    れた超微粒子であって、前記酸化珪素中に前記酸化錫、
    酸化インジウム、酸化アンチモンの少なくとも1種を包
    含した構造であり、その平均粒径bが0.05μm≦b≦0.
    1μmの範囲で、超微粒子の全重量の前記導電性の無機
    酸化物の重量比率wが10%≦w≦50%の範囲内であるこ
    とを特徴とする超微粒子。
  2. 【請求項2】請求項1記載の超微粒子において、前記酸
    化珪素に包含される導電性を有する無機酸化物の粒径を
    0.05μm以下としたことを特徴とする超微粒子。
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