JP3039651B2 - 強誘電性カイラルスメクチック液晶組成物及びこれを有する液晶素子 - Google Patents

強誘電性カイラルスメクチック液晶組成物及びこれを有する液晶素子

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JP3039651B2 JP63175784A JP17578488A JP3039651B2 JP 3039651 B2 JP3039651 B2 JP 3039651B2 JP 63175784 A JP63175784 A JP 63175784A JP 17578488 A JP17578488 A JP 17578488A JP 3039651 B2 JP3039651 B2 JP 3039651B2
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【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明は液晶表示素子や液晶−光シヤツター等に利用
される液晶素子に用いる液晶組成物に関し、更に詳しく
は、電界に対する応答特性が改善された新規な液晶組成
物に関するものである。
〔背景技術〕
従来より、液晶は電気光学素子として種々の分野で応
用されている。現在実用化されている液晶素子はほとん
どが、例えばM.SchadtとW.Helfrich著“Applied Physic
s Letters"Vo.18、No.4(1971.2.15)、P.127〜128の
“Voltage−Spendent Optical Activity of a Twisted
Nematic Liquid Crystal"に示されたTN(twisted nemat
ic)型の液晶を用いたものである。
これらは、液晶の誘電的配列効果に基づいており、液
晶分子の誘電異方性のために平均分子軸方向が、加えら
れた電場により特定の方向を向く効果を利用している。
これらの素子の光学的な応答速度の限界はミリ秒である
といわれ、多くの応用のためには遅すぎる。一方、大型
平面デイスプレイへの応用では、価格、生産性などを考
え合せると単純マトリクス方式による駆動が最も有力で
ある。単純マトリクス方式においては、走査電極群と信
号電極群をマトリクス状に構成した電極構成が採用さ
れ、その駆動のためには、走査電極群に順次周期的にア
ドレス信号を選択印加し、信号電極群には所定の情報信
号をアドレス信号と同期させて並列的に選択印加する時
分割駆動方式が採用される。
しかしこのような駆動方式の素子に前述したTN型の液
晶を採用すると走査電極が選択され、信号電極が選択さ
れない領域、或いは走査電極が選択されず、信号電極が
選択される領域(所謂“半選択点”)にも有限に電界が
かかってしまう。選択点にかかる電圧と、半選択点にか
かる電圧の差が充分に大きく、液晶分子を電界に垂直に
配列させるのに要する電圧閾値がこの中間の電圧値に設
定されるならば、表示素子は正常に動作するわけである
が、走査線数(N)を増やして行った場合、画面全体
(1フレーム)を走査する間に一つの選択点に有効な電
界がかかっている時間(duty比)が1/Nの割合で減少し
てしまう。このために、くり返し走査を行った場合の選
択点と非選択点にかかる実効値としての電圧差は、走査
線数が増えれば増える程小さくなり、結果的には画像コ
ントラストの低下やクロストークが避け難い欠点となっ
ている。このような現象は、双安定性を有さない液晶
(電極面に対し、液晶分子が水平に配向しているのが安
定状態であり、電界が有効に印加されている間のみ垂直
に配向する)を時間的蓄積効果を利用して駆動する(即
ち、繰り返し走査する)ときに生ずる本質的には避け難
い問題点である。この点を改良するために、電圧平均化
法、2周波駆動法や、多重マトリクス法等が既に提案さ
れているが、いずれの方法でも不充分であり、表示素子
の大画面化や高密度化は、走査線数が充分に増やせない
ことによって頭打ちになっているのが現状である。
この様な従来型の液晶素子の欠点を改善するものとし
て、双安定性を有する液晶素子の使用がClark及びLager
wallにより提案されている(特開昭56−107216号公報、
米国特許第4367924号明細書等)。双安定性液晶として
は一般に、カイラルスメクテイツクC相(SmC)又は
H相(SmH)を有する強誘電性液晶が用いられる。こ
の強誘電性液晶は電界に対して第1の光学的安定状態と
第2の光学的安定状態からなる双安定状態を有し、従っ
て前述のTN型の液晶で用いられた光学変調素子とは異な
り、例えば一方の電界ベクトルに対して第1の光学的安
定状態に液晶が配向し、他方の電界ベクトルに対しては
第2の光学的安定状態に液晶が配向される。また、この
型の液晶は、加えられる電界に応答して、上記2つの安
定状態のいずれかを取り、且つ電界の印加のないときは
その状態を維持する性質(双安定性)を有する。
以上のような双安定性を有する特徴に加えて、強誘電
液晶は高速応答性であるという優れた特徴を持つ。それ
は強誘電液晶の持つ自発分極と印加電場が直接作用して
配向状態の転移を誘起するためであり、誘電率異方性と
電場の作用による応答速度より3〜4オーダー速い。
このように強誘電液晶はきわめて優れた特性を潜在的
に有しており、このような性質を利用することにより、
上述した従来のTN型素子の問題点の多くに対して、かな
り本質的な改善が得られる。特に、高速光学光シヤツタ
ーや、高密度、大画面デイスプレイへの応用が期待され
る。
この強誘電性液晶層を一対の基板間に挾持した素子で
前述した様な単純マトリクス表示装置とした場合では、
例えば特開昭59−193426号公報、同59−193427号公報、
同60−156046号公報や同60−156047号公報などに開示さ
れた駆動法を適用することができる。
第4図は、本発明の実施例中で用いた駆動法の波形図
である。又、第5図は、本発明で用いたマトリクス電極
を配置した強誘電性液晶パネル51の平面図である。第5
図のパネル51には、走査線52とデータ線53とが互いに交
差して配線され、その交差部の走査線52とデータ線53と
の間には強誘電性液晶が配置されている。
第4図(A)中のSSは選択された走査線に印加する選
択走査波形を、SNは選択されていない非選択走査波形
を、ISは選択されたデータ線に印加する選択情報波形
(黒)を、INは選択されていないデータ線に印加する非
選択情報信号(白)を表わしている。又、図中(IS
SS)と(IN−SS)は選択された走査線上の画素に印加す
る電圧波形で、電圧(IS−SS)が印加された画素は黒の
表示状態をとり、電圧(IN−SS)が印加された画素は白
の表示状態をとる。
第4図(B)は第4図(A)に示す駆動波形で第6図
に示す表示を行ったときの時系列波形である。
第4図に示す駆動例では、選択された走査線上の画素
に印加される単一極性電圧の最小印加時間△tが書込み
位相t2の時間に相当し、1ラインクリヤt1位相の時間が
2△tに設定されている。
さて、第4図に示した駆動波形の各パラメータVS,VI,
△tの値は使用する液晶材料のスイツチング特性によっ
て決定される。
第7図は後述するバイアス比を一定に保ったまま駆動
電圧(VS+VI)を変化されたときの透過率Tの変化即ち
V−T特性を示したものである。ここでは、△t=50μ
s、バイアス比VI/(VI+VS)=1/3に固定されている。
第7図の正側は第4図で示した(IN−SS)、負側は(IS
−SS)で示した波形が印加される。ここで、V1,V3をそ
れぞれ実駆動閾値電圧、及びクロストーク電圧と呼ぶ。
但し(V2<V1<V3)また△V=(V3−V1)を電圧マージ
ンと呼び、マトリクス駆動可能な電圧幅となる。V3はFL
Cのマトリクス駆動上、一般的に存在すると言ってよ
い。具体的には、第4図(A)(IN−SS)の波形におけ
るVB′によるスイツチングを起こす電圧値である。勿
論、バイアス比を大きくすることによりV3の値を大きく
することは可能であるが、バイアス比を増すことは情報
信号の振幅を大きくすることを意味し、画質的にはちら
つきの増大、コントラストの低下を招き好ましくない。
我々の検討ではバイアス比は1/3〜1/4程度が実用的であ
った。ところでバイアス比を固定すれば電圧マージン△
Vは液晶材料のスイツチング特性に強く依存し、△Vの
大きい液晶材料がマトリクス駆動上非常に有利であるこ
とは言うまでもない。
この様な、ある一定温度において、情報信号の2通り
の向きによって選択画素に「黒」および「白」の二状態
を書き込むことが可能であり、非選択画素はその「黒」
または「白」の状態を保持することが可能である印加電
圧の上下限の値およびその幅(駆動電圧マージン△V)
は液晶材料間で差があり、特有なものである。また環境
温度の変化によっても駆動マージンはズレていくため、
実際の表示装置の場合、液晶材料や環境温度に対して最
適駆動電圧にしておく必要がある。
しかしながら、実用上この様なマトリクス表示装置の
表示面積を拡大していく場合、各画素における液晶の存
在環境の差(具体的には、温度や電極間のセルギヤツプ
差)は当然大きくなり、駆動電圧マージンが小さな液晶
では表示エリア全体に良好な画像を得ることが出来なく
なる。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明は、強誘電性液晶素子を実用できるように、駆
動電圧マージンが大きく、液晶素子の表示エリア上にあ
る程度の温度バラツキがあっても、全画素が良好にマト
リクス駆動できる駆動温度マージンの広いカイラルスメ
クチツク液晶組成物および該液晶組成物を使用する液晶
素子を提供することにある。
[問題を解決するための手段] 本発明は、下記一般式(I)で示される化合物の少な
くとも1種と、 〔式中、R1は炭素数1〜18の直鎖状又は分岐状のアルキ
ル基を示し、R2は直鎖状のアルキル基を示すものであっ
て、−(CH2)u−CH(CH3)−R2における総炭素数
が18以下であり、且つuが1〜7であり、X1は単結合、 のいずれかを示す。〕 下記一般式(II)で示される化合物の少なくとも1種
と、 〔式中、R3、R4は炭素数1〜18の直鎖状のアルキル基を
示し、X2、X3は単結合、 のいずれかを示し、m、nは夫々0、1もしくは2を示
す。但し、m+nは2以上である。〕 を含有することを特徴とする強誘電性カイラルスメクチ
ック液晶組成物、並びに該液晶組成物を、一対の電極基
板間に配置してなることを特徴とする液晶素子、を提供
するものである。
前述の一般式(I)で示される化合物のうち、好まし
い化合物例としては、一般式(I)においてX1が−O−
である下記(I−a)で示されるものが挙げられる。
又、上記(I−a)におけるR1のより好ましい例とし
ては下記(I−i)及び(I−ii)を挙げることができ
る。
(I−i) R1がn−アルキル基, (tは0〜7であり、R6は直鎖状又は分岐状のアルキル
基) 又、前述の一般式(II)で示される化合物のうち、好
ましい化合物例としては、一般式(II−a)から(II−
c)式で示される化合物が挙げられる。
(R3,R4,X2,X3は前述の通り) 又さらに、上述の(II−a)〜(II−c)式における
X2、X3の好ましい例としては下記(II−i)〜(II−vi
ii)を挙げることができる。
前記一般式(I)で示される化合物の具体的な構造式
の例を以下に示す。
前記一般式(I)で示される化合物は、例えば特開昭
61−93170,特開昭61−24576,特開昭61−129170,特開昭6
1−215372などに記載の合成方法により得られる。例え
ば下記に示すような合成経路で得ることができる。
前記一般式(II)で示される化合物の具体的な構造式
の例を以下に示す。
一般式(II)で示される化合物は、例えば特許公報昭
62−5434(1987)などに記載の方法により得ることがで
きる。又、例えば、 で示される化合物は、下記の合成経路で合成することが
できる。
本発明の液晶組成物は前記一般式(I)で示される化
合物の少なくとも1種と、前記一般式(II)で示される
化合物の少なくとも1種と、さらに他の液晶性化合物1
種以上とを適当な割合で混合することにより得ることが
できる。また、本発明による液晶組成物は、強誘電性液
晶組成物、特に強誘電性カイラルスメクチツク液晶組成
物が好ましい。
本発明で用いる他の液晶性化合物の具体例を下記にあ
げる。
本発明の一般式(I)で示される液晶性化合物および
一般式(II)で示される液晶性化合物それぞれと、一種
以上の上述した他の液晶性化合物あるいは、それを含強
誘電性液晶組成物(以下強誘電性液晶材料と略す)との
配向割合は、強誘電性液晶材料100重量部当り、本発明
一般式(I)および一般式(II)で示される液晶性化合
物それぞれを1〜300重量部より好ましくは、5〜100重
量部とすることが好ましい。
また、本発明の一般式(I)および一般式(II)で示
される液晶性化合物の一方もしくは両方を2種以上用い
る場合も強誘電性液晶材料との配合割合は前述した強誘
電性液晶材料100重量部当り、本発明一般式(I)およ
び一般式(II)で示される液晶性化合物の一方もしくは
両方の2種以上の混合物を1〜500重量部、より好まし
くは10〜100重量部とすることが好ましい。
第1図は強誘電性液晶素子の構成の説明のために、本
発明の強誘電性液晶層を有する液晶素子の1例の断面概
略図である。
第1図において符号1は強誘電性液晶層、2はガラス
基板、3は透明電極、4は絶縁性配向制御層、5はスペ
ーサー、6はリード線、7は電源、8は偏光板、9は光
源を示している。
2枚のガラス基板2には、それぞれIn2O3,SnO2あるい
はITO(Indium−Tin Oxide)等の薄膜から成る透明電極
が被覆されている。その上にポリイミドの様な高分子の
薄膜をガーゼやアセテート植毛布等でラビングして、液
晶をラビング方向に並べる絶縁性配向制御層が形成され
ている。また絶縁物質として例えばシリコン窒化物、水
素を含有するシリコン炭化物、シリコン酸化物、硼素窒
化物、水素を含有する硼素窒化物、セリウム酸化物、ア
ルミニウム酸化物、ジルコニウム酸化物、チタン酸化物
やフツ化マグネシウムなどの無機物質絶縁層を形成し、
その上にポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアミ
ドイミド、ポリエステルイミド、ポリパラキシレン、ポ
リエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセター
ル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポ
リスチレン、セルロース樹脂、メラミン樹脂、ユリヤ樹
脂、アクリル樹脂やフオトレジスト樹脂などの有機絶縁
物質を配向制御層として、2層で絶縁性配向制御層が形
成されていてもよく、また無機物質絶縁性配向制御層あ
るいは有機物質絶縁性配向制御層単層であっても良い。
この絶縁性配向制御層が無機系ならば蒸着法などで形成
でき、有機系ならば有機絶縁物質を溶解させた溶液、ま
たはその前駆体溶液(溶剤0.1〜20重量%、好ましくは
0.2〜10重量%)を用いて、スピンナー塗布法、浸漬塗
布法、スクリーン印刷法、スプレー塗布法、ロール塗布
法等で塗布し、所定の硬化条件下(例えば加熱下)で硬
化させ形成させることができる。
絶縁性配向制御層の層厚は通常30Å〜1μm、好まし
くは30Å〜3000Å、さらに好ましくは50Å〜1000Åが適
している。
この2枚のガラス基板2はスペーサー5によって任意
の間隔に保たれている。例えば所定の直径を持つシリカ
ビーズ、アルミナビーズをスペーサーとしてガラス基板
2枚で挾持し、周囲をシール材、例えばエポキシ系接着
材を用いて密封する方法がある。その他スペーサーとし
て高分子フイルムやガラスフアイバーを使用しても良
い。この2枚のガラス基板の間に強誘電性液晶が封入さ
れている。
強誘電性液晶が封入された強誘電性液晶層は、一般に
は0.5〜20μm、好ましくは1〜5μmである。
また、この強誘電性液晶は室温を含む広い温度域(特
に低温側)でSmC相(カイラルスメクチツクC相)を
有し、かつ、素子とした場合には駆動電圧マージン、お
よび駆動温度マージンが広いことが望まれる。
また、特に素子とした場合に良好な均一配向性を示し
モノドメイン状態を得るには、その強誘電性液晶は等方
相からCh相(コレステリツク相)−SmA相(スメクチツ
クA相)−SmC相(カイラルスメクチツクC相)とい
う相転移系列を有していることが望ましい。
透明電極3からはリード線によって外部電源7に接続
されている。
またガラス基板2の外側には偏光板8が貼り合わせて
ある。
第1図は透明型なので光源9を備えている。
第2図は強誘電性液晶素子の動作説明のために、セル
の例を模式的に描いたものである。21aと21bはそれぞれ
In2O3,SnO2あるいはITO(Indium−Tin Oxide)等の薄
膜からなる透明電極で被覆された基板(ガラス板)であ
り、その間に液晶分子層22がガラス面に垂直になるよう
配向したSmC相またはSmH相の液晶が封入されてい
る。太線で示した線23が液晶分子を表わしており、この
液晶分子23はその分子に直交した方向に双極子モーメン
ト(P⊥)24を有している。基板21aと21b上の電極間に
一定の閾値以上の電圧を印加すると、液晶分子23のらせ
ん構造がほどけ、双極子モーメント(P⊥)24がすべて
電界方向に向くよう、液晶分子23は配向方向を変えるこ
とができる。液晶分子23は細長い形状を有しており、そ
の長軸方向と短軸方向で屈折率異方性を示し、従って例
えばガラス面の上下に互いにクロスニコルの偏光子を置
けば、電圧印加極性によって光学特性が変わる液晶光学
変調素子となることは、容易に理解される。
本発明の光学変調素子で好ましく用いられる液晶セル
は、その厚さを充分に薄く(例えば10μ以下)すること
ができる。このように液晶層が薄くなるにしたがい、第
3図に示すように電界を印加していない状態でも液晶分
子のらせん構造がほどけ、その双極子モーメントPaまた
はPbは上向き(34a)または下向き(34b)のどちらかの
状態をとる。このようなセルに、第3図に示す如く一定
の閾値以上の極性の異る電界EaまたはEbを電圧印加手段
と31bにより付与すると、双極子モーメントは電界Eaま
たはEbの電界ベクトルに対応して上向き34aまたは下向
き34bと向きを変え、それに応じて液晶分子は、第1の
安定状態33aかあるいは第2の安定状態33bの何れか一方
に配向する。
このような強誘電性を光学変調素子として用いること
の利点は先にも述べたが2つある。
その第1は、応答速度が極めて速いことであり、第2
は液晶分子の配向が双安定性を有することである。第2
の点を例えば第3図によって更に説明すると、電界Eaを
印加すると液晶分子は第1の安定状態33aに配向する
が、この状態は電界を切っても安定である。また、逆向
きの電界Ebを印加すると、液晶分子は第2の安定状態33
bに配向してその分子の向きを変えるが、やはり電界を
切ってもこの状態に留っている。また与える電界Eaある
いはEbが一定の閾値を越えない限り、それぞれ前の配向
状態にやはり維持されている。
この様な特性を有する強誘電性液晶材料を一対の基板
間に挾持した素子で単純マトリクス表示装置とした場
合、例えば特開昭59−193426号公報、同59−193427号公
報、同60−156046号公報や同60−156047号公報などに開
示された駆動法を適用することができる。
第4図は、本発明の実施例中で用いた駆動法の波形図
である。また、第5図は、本発明で用いたマトリクス電
極を配置した強誘電性液晶パネル51の平面図である。第
5図のパネル51には、走査線52とデータ線53とが互いに
交差して配線され、その交差部の走査線52とデータ線53
との間には強誘電性液晶が配置されている。
第4図(A)中のSSは選択された走査線に印加する選
択走査波形を、SNは選択されていない非選択走査波形
を、ISは選択されたデータ線に印加する選択情報波形
(黒)を、INは選択されていないデータ線に印加する非
選択情報信号(白)を表わしている。また、図中(IS
SS)と(IN−SS)は選択された走査線上の画素に印加す
る電圧波形で、電圧(IS−SS)が印加された画素は黒の
表示状態をとり、電圧(IN−SS)が印加された画素は白
の表示状態をとる。
第4図(B)は第4図(A)に示す駆動波形で第6図
に示す表示を行ったときの時系列波形である。
第4図に示す駆動例では、選択された走査線上の画素
に印加される単一極性電圧の最小印加時間△tが書込み
位相t2の時間に相当し、1ラインクリヤt1位相の時間が
2△tに設定されている。
さて、第4図に示した駆動波形の各パラメータVS,VI,
△tの値は使用する液晶材料のスイツチング特性によっ
て決定される。第7図は後述するバイアス比を一定に保
ったまま駆動電圧(VS+VI)を変化させたときの透過率
Tの変化、即ちV−T特性を示したものである。ここで
は、△t=50μs,バイアス比VI/(VI+VS)=1/3に固定
されている。第7図の正側は第4図で示した(IN
SS)、負側は(IS−SS)で示した波形が印加される。こ
こでV1,V3をそれぞれ実駆動閾値電圧、及びクロストー
ク電圧と呼ぶ。但し(V2<V1<V3)また△V=(V3
V1)を電圧マージンと呼び、マトリクス駆動可能な電圧
幅となる。V3はFLCのマトリクス駆動上、一般的に存在
すると言ってよい。具体的には、第4図(A)(IN
SS)の波形におけるVB′によるスイツチングを起こす電
圧値である。勿論、バイアス比を大きくすることにより
V3の値を大きくすることは可能であるが、バイアス比を
増すことは情報信号の振幅を大きくすることを意味し、
画質的にはちらつきの増大、コントラストの低下を招き
好ましくない。我々の検討ではバイアス比は1/3〜1/4程
度が実用的であった。ところでバイアス比を固定すれ
ば、電圧マージン△Vは液晶材料のスイツチング特性に
強く依存し、△Vの大きい液晶材料がマトリクス駆動上
非常に有利であることは言うまでもない。
この様な、ある一定温度において、情報信号の2通り
の向きによって選択画素に「黒」および「白」の二状態
を書き込むことが可能であり、非選択画素は、その
「黒」または「白」の状態を保持することが可能である
印加電圧の上下限の値およびその幅(駆動電圧マージン
△V)は液晶材料間で差があり特有なものである。また
環境温度の変化によっても、駆動マージンはズレていく
ため、実際の表示装置の場合、液晶材料や環境温度に対
して最適駆動電圧にしておく必要がある。
しかしながら、実用上この様なマトリクス表示装置の
表示面積を拡大していく場合、各画素における液晶の存
在環境の差(具体的には、温度や電極間のセルギヤツプ
の差)は当然大きくなり、駆動電圧マージンが小さな液
晶では、表示エリア全体に良好な画像を得ることが出来
なくなる。以下実施例により本発明について更に詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。
実施例1 下記重量部で混合した液晶組成物1−Aを作成した。
この液晶組成物1−Aに対して例示化合物1−18,2−
29をそれぞれ下記の重量部で混合し、液晶組成物1−B
を得た。
次に、これらの液晶組成物を以下の手順で作製したセ
ルを用いて、光学的な応答を観察した。
2枚の1.1mm厚のガラス板を用意し、それぞれのガラ
ス板上にITO膜を形成し、電圧印加電極を作成し、さら
にこの上にSiO2を蒸着させ絶縁層とした。
この基板上にポリイミド樹脂前駆体[東レ(株)SP−
510]1.0%ジメチルアセトアミド溶液を回転数3000r.p.
m.のスピンナーで15秒間塗布した。成膜後、60分間,300
℃加熱縮合焼成処理を施した。この時の塗膜の膜厚は約
120Åであった。
この焼成後の被膜には、アセテート植毛布によるラビ
ング処理がなされ、その後イソプロピルアルコール液で
洗浄し、平均粒径1.5μmのシリカビーズを一方のガラ
ス板上に散布した後、それぞれのラビング処理軸が互い
に平行となる様にし、接着シール剤[リクソンボンド
(チツソ(株))]を用いてガラス板をはり合わせ、60
分間,100℃にて加熱乾燥しセルを作成した。このセルの
セル厚をベレツク位相板によって測定したところ約1.5
μmであった。
このセルに上述の液晶組成物1−Bを等方性液体状態
で注入し、等方相から20℃/hで25℃まで徐冷することに
より、強誘電性液晶素子を作成した。
この強誘電性液晶素子を用いて、前述した第4図に示
す駆動波形(1/3バイアス)で駆動電圧マージン△V(V
3−V1)を測定した。その結果を次に示す。(尚、△t
はV1≒15Vとなる様に設定) さらに25℃における駆動電圧マージンの中央値に電圧を
設定して測定温度を変化させた場合駆動可能な温度差
(以下、駆動温度マージンという)は±3.1℃であっ
た。
また、25℃におけるこの駆動時のコントラストは8で
あった。
比較例1 実施例1で混合した液晶組成物1−Bのうち例示化合
物No.2−29を混合せずに1−Aに対して例示化合物No.1
−18のみを混合した液晶組成物1−Cと例示化合物No.1
−18を混合せずに1−Aに対して例示化合物No.2−29の
みを混合した液晶組成物1−Dを作成した。
液晶組成物1−Bを用いる代わりに液晶組成物1−A,
1−C及び1−Dをセル内に注入する以外は、全く実施
例1と同様の方法で強誘電性液晶素子を作成し、駆動電
圧マージン△Vを測定した。その結果を次に示す。
さらに25℃における駆動温度マージンは、1−Aで±
2.4℃、1−Cで±2.6℃、1−Dで±2.7℃であった。
実施例1と比較例1より明らかな様に、本発明による
液晶組成物1−Bを含有する強誘電性液晶素子の方が駆
動電圧及び温度マージンは広がっており、環境温度の変
化や、セルギヤツプのバラツキに対して画像を良好に保
つ能力にすぐれている。
実施例2 実施例1で混合した液晶組成物1−Aに対して、以下
に示す例示化合物を以下に示す重量部で混合して液晶組
成物2−Bを得た。
これを用いた他は実施例1と同様の方法で強誘電性液
晶素子を作成し、実施例1と同様の方法で駆動マージン
を測定し、スイツチング状態等を観察した。この液晶素
子内の均一配向性は良好であり、モノドメイン状態が得
られた。測定結果を次に示す。
さらに25℃における駆動温度マージンは、±3.8℃で
あった。またこの温度における、この駆動時のコントラ
ストは9であった。
比較例2 実施例2で混合した液晶組成物2−Bのうち例示化合
物No.2−12を混合せずに1−Aに対して例示化合物No.1
−13,1−37のみを混合した液晶組成物2−Cと例示化合
物No.1−13,1−37を混合せずに1−Aに対して例示化合
物No.2−12のみを混合した液晶組成物2−Dを作成し
た。
液晶組成物1−Bを用いる代わりに液晶組成物1−A,
2−C及び2−Dをセル内に注入する以外は、全く実施
例1と同様の方法で強誘電性液晶素子を作成し、駆動電
圧マージン△Vを測定した。その結果を次に示す。
さらに25℃における駆動温度マージンは、1−Aで±
2.4℃、2−Cで±2.7℃、2−Dで±2.9℃であった。
実施例2と比較例2より明らかな様に、本発明による
液晶組成物2−Bを含有する強誘電性液晶素子の方が駆
動電圧及び温度マージンは広がっており、環境温度の変
化や、セルギヤツプのバラツキに対して画像を良好に保
つ能力がすぐれている。
実施例3 実施例1で混合した液晶組成物1−Aに対して、以下
に示す例示化合物を以下に示す重量部で混合して液晶組
成物3−Bを得た。
これを用いた他は実施例1と同様の方法で強誘電性液
晶素子を作成し、実施例1と同様の方法で駆動マージン
を測定し、スイツチング状態等を観察した。この液晶素
子内の均一配向性は良好であり、モノドメイン状態が得
られた。測定結果を次に示す。
さらに25℃における駆動温度マージンは、±3.5℃で
あった。またこの温度における、この駆動時のコントラ
ストは10であった。
比較例3 実施例3で混合した液晶組成物3−Bのうち例示化合
物No.2−11,2−44を混合せずに1−Aに対して例示化合
物No.1−16のみを混合した液晶組成物3−Cと例示化合
物No.1−16を混合せずに1−Aに対して例示化合物No.2
−11,2−44のみを混合した液晶組成物3−Dを作成し
た。
液晶組成物1−Bを用いる代わりに液晶組成物1−A,
3−C及び3−Dをセル内に注入する以外は、全く実施
例1と同様の方法で強誘電性液晶素子を作成し、駆動電
圧マージン△Vを測定した。その結果を次に示す。
さらに25℃における駆動温度マージンは、1−Aで±
2.4℃、3−Cで±2.5℃、3−Dで±2.8℃であった。
実施例3と比較例3より明らかな様に、本発明による
液晶性化合物3−Bを含有する強誘電性液晶素子の方が
駆動マージンは広がっており、環境温度の変化や、セル
ギヤツプのバラツキに対して画像を良好に保つ能力にす
ぐれている。
実施例4 下記の重量部で混合した液晶性組成物4−Aを作成し
た。
この液晶組成物4−Aに対して例示化合物1−14,1−
25,2−5,2−8をそれぞれ下記の重量部で混合し、液晶
組成物4−Bを得た。
液晶組成物1−Bをこの液晶組成物4−Bに代えたほ
かは実施例1と同様の方法で強誘電性液晶素子を作成
し、実施例1と同様の方法で駆動マージン△Vを測定
し、スイツチング状態等を観察した。この液晶素子内の
均一配向性は良好でありモノドメイン状態が得られた。
測定結果を次に示す。
さらに25℃における駆動温度マージンは、±3.0℃で
あった。またこの温度における、この駆動時のコントラ
ストは9であった。
比較例4 実施例4で混合した液晶組成物4−Bのうち例示化合
物No.2−5,2−8を混合せずに4−Aに対して例示化合
物No.1−14,1−25のみを混合した液晶組成物4−Cと例
示化合物No.1−14,1−25を混合せずに4−Aに対して例
示化合物No.2−5,2−8のみを混合した液晶組成物4−
Dを作成した。
液晶組成物1−Bを用いる代わりに液晶組成物4−A,
4−C及び4−Dをセル内に注入する以外は、全く実施
例1と同様の方法で強誘電性液晶素子を作成し、駆動電
圧マージン△Vを測定した。その結果を次に示す。
さらに25℃における駆動温度マージンは、4−Aで±
2.0℃,4−Cで±2.1℃,4−Dで±2.3℃であった。
実施例4と比較例4より明らかな様に、本発明による
液晶組成物4−Bを含有する強誘電性液晶素子の方が駆
動電圧及び温度マージンは広がっており、環境温度の変
化や、セルギヤツプのバラツキに対して画像を良好に保
つ能力がすぐれている。
実施例5 実施例4で混合した液晶組成物4−Aに対して、以下
に示す例示化合物を以下に示す重量部で混合して液晶組
成物5−Bを得た。
これを用いた他は実施例1と同様の方法で強誘電性液
晶素子を作成し、実施例1と同様の方法で駆動マージン
を測定し、スイツチング状態等を観察した。この液晶素
子内の均一配向性は良好であり、モノドメイン状態が得
られた。測定結果を次に示す。
さらに25℃における駆動温度マージンは、±3.0℃で
あった。またこの温度における、この駆動時のコントラ
ストは10であった。
比較例5 実施例5で混合した液晶組成物5−Bのうち例示化合
物No.2−14,2−50,2−11を混合せずに4−Aに対して例
示化合物No.1−16,1−2のみを混合した液晶組成物5−
Cと例示化合物No.1−16,1−2を混合せずに4−Aに対
して例示化合物No.2−14,2−50,2−11のみを混合した液
晶組成物5−Dを作成した。
液晶組成物1−Bを用いる代わりに液晶組成物4−A,
5−C及び5−Dをセル内に注入する以外は、全く実施
例1と同様の方法で強誘電性液晶素子を作成し、駆動電
圧マージン△Vを測定した。その結果を次に示す。
さらに25℃における駆動温度マージンは、4−Aで±
2.0℃、5−Cで±2.2℃、5−Dで±2.4℃であった。
実施例5と比較例5より明らかな様に、本発明による
液晶組成物5−Bを含有する強誘電性液晶素子の方が駆
動マージンは広がっており、環境温度の変化や、セルギ
ヤツプのバラツキに対して画像を良好に保つ能力がすぐ
れている。
実施例6 下記重量部で混合した液晶組成物6−Aを作成した。
この液晶組成物6−Aに対して例示化合物1−16,2−
11,2−44をそれぞれ下記の重量部で混合し、液晶組成物
6−Bを得た。
液晶組成物1−Bをこの液晶組成物6−Bに代えたほ
かは実施例1と同様の方法で強誘電性液晶素子を作成
し、実施例1と同様の方法で駆動電圧マージン△Vを測
定し、スイツチング状態等を観察した。この液晶素子内
の均一配向性は良好でありモノドメイン状態が得られ
た。測定結果を次に示す。
さらに25℃における駆動温度マージンは、±4.0℃で
あった。またこの温度における、この駆動時のコントラ
ストは11であった。
比較例6 実施例6で混合した液晶組成物6−Bのうち例示化合
物No.2−11,2−44を混合せずに6−Aに対して例示化合
物No.1−16のみを混合した液晶組成物6−Cと例示化合
物No.1−16を混合せずに6−Aに対して例示化合物No.2
−11,2−44のみを混合した液晶組成物6−Dを作成し
た。
液晶組成物1−Bを用いる代わりに液晶組成物6−A,
6−C及び6−Dをセル内に注入する以外は、全く実施
例1と同様の方法で強誘電性液晶素子を作成し、駆動電
圧マージン△Vを測定した。その結果を次に示す。
さらに25℃における駆動温度マージンは、6−Aで±
2.2℃、6−Cで±2.6℃、6−Dで±2.6℃であった。
実施例6と比較例6より明らかな様に、本発明による
液晶組成物6−Bを含有する強誘電性液晶素子の方が駆
動マージンは広がっており、環境温度の変化や、セルギ
ヤツプのバラツキに対して画像を良好に保つ能力がすぐ
れている。
実施例7 実施例6で混合した液晶組成物6−Aに対して、以下
に示す例示化合物を以下に示す重量部で混合して液晶組
成物7−Bを得た。
これを用いた他は実施例1と同様の方法で強誘電性液
晶素子を作成し、実施例1と同様の方法で駆動マージン
を測定し、スイツチング状態等を観察した。この液晶素
子内の均一配向性は良好であり、モノドメイン状態が得
られた。測定結果を次に示す。
さらに25℃における駆動温度マージンは、±3.0℃で
あった。またこの温度における、この駆動時のコントラ
ストは10であった。
比較例7 実施例7で混合した液晶組成物7−Bのうち例示化合
物No.2−10,2−32を混合せずに6−Aに対して例示化合
物No.1−6のみを混合した液晶組成物7−Cと例示化合
物No.1−6を混合せずに6−Aに対して例示化合物No.2
−10,2−32のみを混合した液晶組成物7−Dを作成し
た。
液晶組成物1−Bを用いる代わりに液晶組成物6−A,
7−C及び7−Dをセル内に注入する以外は、全く実施
例1と同様の方法で強誘電性液晶素子を作成し、駆動電
圧マージン△Vを測定した。その結果を次に示す。
さらに25℃における駆動温度マージンは、6−Aで±
2.2℃、7−Cで±2.2℃、7−Dで±2.5℃であった。
実施例7と比較例7より明らかな様に、本発明による
液晶組成物7−Bを含有する強誘電性液晶素子の方が駆
動電圧及び温度マージンは広がっており、環境温度の変
化や、セルギヤツプのバラツキに対して画像を良好に保
つ能力がすぐれている。
実施例8 実施例6及び比較例6で使用した液晶組成物6−B,6
−C,6−D,6−AをSiO2を用いずに、ポリイミド樹脂だけ
で配向制御層を作成した以外は全く実施例1と同様の方
法で強誘電性液晶素子を作成し、実施例1と同様の方法
で駆動電圧マージンを測定した。その結果を次に示す。
さらに25℃における駆動温度マージンは、 6−B ±4.0℃ 6−C ±2.7℃ 6−D ±2.7℃ 6−A ±2.4℃ であった。
実施例8より明らかな様に、素子構成を変えた場合で
も本発明に従う強誘電性液晶組成物6−Bを含有する素
子は、他の液晶組成物を含む素子に比べ実施例6と同様
に駆動マージンは広がっており、環境温度の変化や、セ
ルギヤツプのバラツキに対して画像を良好に保つ能力に
すぐれている。
実施例9〜16 実施例1,4,6で用いた例示化合物及び液晶性組成物に
代えて表1に示した例示化合物及び液晶性組成物を各重
量部で用い9−B〜16−Bの液晶性組成物を得た。これ
らを用いた他は全く実施例1と同様の方法により強誘電
性液晶素子を作成し、実施例1と同様の方法で25℃の駆
動マージンを測定し、スイツチング状態等を観察した。
作成した各々の液晶素子内の均一配向性は良好であり、
モノドメイン状態が得られた。測定結果を表1に示す。
実施例9〜16より明らかな様に本発明による液晶性組
成物9−B〜17−Bを含有する強誘電性液晶素子は駆動
マージンは広がっており環境温度の変化やセルギヤツプ
のバラツキに対して画像を良好に保つ能力にすぐれてい
る。
〔発明の効果〕
本発明の強誘電性液晶組成物を含有する素子は、スイ
ツチング特性が良好で、駆動電圧マージンが大きく、素
子の表示エリア上にある程度の温度バラツキがあっても
全画素が良好にマトリクス駆動できる駆動温度マージン
の広がった液晶素子とすることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は強誘電性液晶を用いた液晶表示素子の1例の断
面概略図、 第2図および第3図は強誘電性液晶素子の動作説明のた
めに、素子セルの一例を模式的に表す斜視図、 第4図は実施例中で用いた駆動法の波形図、 第5図はマトリクス電極を配置した強誘電性液晶パネル
の平面図、 第6図は、第4図(B)に示す時系列駆動波形で実際の
駆動を行ったときの表示パターンの模式図、 第7図は、駆動電圧を変化させたときの透過率の変化を
表すつまりV−T特性図、 第1図において、 1……強誘電性液晶層 2……ガラス基板 3……透明電極 4……絶縁性配向制御層 5……スペーサー 6……リード線 7……電源 8……偏光板 9……光源 Io……入射光 I……透過光 第2図において、 21a……基板 21b……基板 22……強誘電性液晶層 23……液晶分子 24……双極子モーメント(P⊥) 第3図において、 31a……電圧印加手段 31b……電圧印加手段 33a……第1の安定状態 33b……第2の安定状態 34a……上向きの双極子モーメント 34b……下向きの双極子モーメント Ea……上向きの電界 Eb……下向きの電界
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山下 眞孝 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 岩城 孝志 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 森 省誠 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−260564(JP,A) 特開 昭61−215372(JP,A) 特開 昭61−24576(JP,A) 特開 昭61−93170(JP,A) 特開 昭63−165345(JP,A) 特開 昭63−122650(JP,A) 特開 昭61−200972(JP,A) 特開 昭63−152347(JP,A) 特開 昭61−291679(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I)で示される化合物の少な
    くとも1種と、 〔式中、R1は炭素数1〜18の直鎖状又は分岐状のアルキ
    ル基を示し、R2は直鎖状のアルキル基を示すものであっ
    て、−(CH2)u−CH(CH3)−R2における総炭素数
    が18以下であり、且つuが1〜7であり、X1は単結合、 のいずれかを示す。〕 下記一般式(II)で示される化合物の少なくとも1種
    と、 〔式中、R3,R4は炭素数1〜18の直鎖状のアルキル基を
    示し、X2、X3は単結合、 のいずれかを示し、m、nは夫々0、1もしくは2を示
    す。但し、m+nは2以上である。〕 を含有することを特徴とする強誘電性カイラルスメクチ
    ック液晶組成物。
  2. 【請求項2】下記一般式(I)で示される化合物の少な
    くとも1種と、 〔式中、R1は炭素数1〜18の直鎖状又は分岐状のアルキ
    ル基を示し、R2は直鎖状のアルキル基を示すものであっ
    て、−(CH2)u−CH(CH3)−R2における総炭素数
    が18以下であり、且つuが1〜7であり、X1は単結合、 のいずれかを示す。〕 下記一般式(II)で示される化合物の少なくとも1種
    と、 〔式中、R3,R4は炭素数1〜18の直鎖状のアルキル基を
    示し、X2、X3は単結合、 のいずれかを示し、m、nは夫々0、1もしくは2を示
    す。但し、m+nは2以上である。〕 を含有する強誘電性カイラルスメクチック液晶組成物
    を、一対の電極基板間に配置してなることを特徴とする
    液晶素子。
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