JP3035566U - 重量物運搬車用の歩み板装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 車輌デッキ長さを短尺化することなく有効長
さを最大限確保しつつ、歩み板の左右スライド作動と上
下起伏作動とを自動制御せしめ、そして、補修、交換作
業が一回で容易に実施可能にキット化された重量物運搬
車用の歩み板装置を提供する。 【解決手段】 取付け板１８を車輌デッキｂの後端面ｂ
１に着脱可能に形成し、この取付け板表面１８ａ左右の
それぞれ所望間隔をあけて突設してある一対の左右支持
板１、１間に掛け渡した第一スライド軸９に、歩み板ａ
を回動且つスライド可能に保持すると共に、第一スライ
ド軸９と上下位置で並設して備えられる第二スライド軸
１０とを挿通せしめると共に、スライド用シリンダ１１
の一端１１ａを接続して左右スライド可能にシリンダ保
持部４を保持し、該保持部４と上記歩み板側面ａ1 とに
は起伏用シリンダ３が掛け渡されている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、運搬車の車輌デッキに、ブルドーザー，ショベルカー等の重量機械 （車輌）を積み上げ，積み降ろしする時に、デッキと路面とにわたって傾斜状に 歩み板を掛け渡して使用する歩み板装置の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来この種の歩み板装置には、例えば実公昭５７−１５０６５号公報記載のよ うに、車輌デッキ後端位置に、該デッキの長さ方向に並設した起伏用シリンダを 備えると共に、該シリンダのピストンロッド先端が回動可能に接続される腕杆を 介して回転軸の下面に直交状に軸着し、該回転軸がその上面に歩み板を固定して なる構成としており、デッキ長さ方向へのピストンロッドの伸縮作動によって回 転軸を正逆回転せしめて歩み板を自動起伏可能としていたものがある。

【０００３】 また、運搬車の車輌デッキに積まれるブルドーザー，ショベルカー等の重量機 械（車輌）の左右クローラー（無限軌道）間隔は、各車輌によって異なるため、 その度歩み板の左右間隔を調整する必要があったが、上記従来技術ではこの間隔 調整作業は自動化されておらず、使用者がその度歩み板を左右方向に手作業にて スライドせしめて調整していたものであった。 しかし、上記従来技術では、デッキの後端位置に、該デッキの長さ方向へのピ ストンロッド伸縮作動スペースを広い範囲で必要とする歩み板の自動起伏構造で あったため、その分車輌デッキの後方に突出する長さが長くなってしまい、車輌 デッキ自身を短尺化しなければならないという規制上の不都合が生じている。 そして、歩み板装置は車輛デッキ後端に一体不可分に構成していることにより 、同装置をデッキ後端に架装し終えるまでに作業時間がかかり、その間の作業ス ペースや製作コストの問題がある。また、一体不可分な構成であるが故に、仮に 損傷が歩み板を軸支している回転軸やその支持板であった場合、取換え作業は大 変である。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、従来技術の有するこのような問題点に鑑みなされたものであり、そ の目的とするところは、車輌デッキ長さを短尺化することなく有効長さを最大限 確保しつつ、歩み板の左右スライド作動と上下起伏作動とを自動制御せしめ、そ して、補修、交換作業が一回で容易に実施可能にキット化された重量物運搬車用 の歩み板装置を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために本考案がなした技術的手段は、取付け板を車輌デッ キ後端に着脱可能に形成し、この取付け板表面の左右にそれぞれ一対の左右支持 板を所望間隔をあけて突設すると共に、各左右支持板の内面間にわたって第一ス ライド軸をそれぞれ掛け渡し、各第一スライド軸は歩み板の基端側を挿通せしめ て回動可能かつスライド可能に歩み板を保持し、該歩み板は起伏用シリンダの一 端を接続し、該起伏用シリンダは、その他端をシリンダ保持部の左右突片間にて 回動可能に軸着し、該シリンダ保持部は、上記第一スライド軸と、該第一スライ ド軸と上下位置で並設して備えられる第二スライド軸とを挿通せしめると共に、 上記各スライド軸と並設されたスライド用シリンダの一端側を接続して左右スラ イド可能に保持されていることを特徴とする。

【０００６】

【考案の実施の形態】

図１乃至図３には本考案の歩み板装置を重量物運搬車に架装した実施の１形態 を例示しており、キット化してある歩み板装置Ａは、トレーラー，ダンプローダ ー，セルフローダー等の周知の運搬車輌Ｂの車輌デッキｂ後端に着脱可能に備え られている。 歩み板装置Ａにおける取付け板１８は、車輌デッキｂの後端面ｂ1 に取付け可 能な適宜形状、例えば後端面ｂ1 と略同一大きさの長尺矩形状に形成してあり、 具体的には、車輌デッキｂの後端面ｂ1 に突設されているボルト１９…を、取付 け板表面１８ａに設けた連結孔２１…に差込むと共に、締付けナット２０…で締 付け固着せしめることにより取り外し可能に保持されるものであり、その接続手 段は任意であり、デッキ後端面ｂ1 に取り外し可能に備えられる周知の構成であ ればよく限定されない。 そして、取付け板１８における取付け板表面１８ａの略中心位置を境にした一 半部域１８ａ’に左右一対の支持板１、１を、そして他半部域１８ａ”に左右一 対の支持板１、１を夫々所望間隔をあけて取付け板表面１８ａから直交状に突設 せしめ、車輌デッキｂの後端面ｂ1 の左右位置すなわち取付け板１８の左右位置 に歩み板ａ，ａを並設せしめている。以下、一方の歩み板ａについて説明するが 、並設される他方の歩み板ａも同様構成からなり、同一箇所に同一符号を付して その説明は省略してある。

【０００７】 歩み板ａは、例えばブルドーザー等の重量物の重量に充分に耐え得る鋼材等の 周知材料にて所定幅、かつデッキ後端面ｂ1 に起立せしめた際に、規制最大高さ を示す長さの矩形状板に形成されると共に、その先端を傾斜状に形成して接地面 ２を備えてなる。 また、各歩み板ａ，ａの長さは、デッキｂ後端位置に起立せしめた際の高さが 、規制最大高さ範囲内となる長さのものであれば長短任意であり適宜選択可能な ものである。 そして、上記歩み板ａは、支持板１，１の内面間にわたって掛け渡された第一 スライド軸９を基端側に挿通せしめることで前後方向に回転可能、且つ左右方向 にスライド可能に保持され、そしてその側面に起伏用シリンダ３のピストンロッ ド３ｂの先端３ｂ’を軸着する。

【０００８】 起伏用シリンダ３は、他端３ａ側をシリンダ保持部４にて回動可能に軸着し、 上記せるようにピストンロッド３ｂの先端３ｂ’を歩み板ａの側面ａ1 に軸着す ることで、歩み板ａとシリンダ保持部４とにわたって両者連結状に備えられてい る。 シリンダ保持部４は、矩形板状本体５ａ、５ａの夫々の前面下端から前方へと 突片５ｂ、５ｂを延設してなる側面形状略Ｌ字型を有するブラケット５、５と、 その両突片５ｂ、５ｂ間に掛け渡される支軸６とで構成され、そしてその本体５ ａ、５ａの側面５ａ’、５ａ’に設けた貫通孔７、７及び８、８に、上記第一ス ライド軸９と、該第一スライド軸９と上下位置で並設して支持板１、１間に掛け 渡される第二スライド軸１０とを夫々挿通せしめると共に、支軸６を起伏用シリ ンダ３の一端３ａ側に挿通せしめて軸着して保持し、そして上記シリンダ保持部 ４は、上記第一スライド軸９、第二スライド軸１０と並設して備えられるスライ ド用シリンダ１１の一端１１ａ側を一体的に接続して、第一スライド軸９と第二 スライド軸１０上を、左右方向にスライド可能に保持されている。

【０００９】 従って、起伏用シリンダ３は、歩み板ａの基端側軸着部位置よりも少し後方に ずれた位置で、その一端３ａが位置して備えられている（図２参照）。また、本 形態では歩み板ａの内側に起伏用シリンダ３を備えたが、歩み板ａの外側位置に 備えるものとしてもよく適宜設定変更可能である。

【００１０】 スライド用シリンダ１１は、一端１１ａ側を上記シリンダ保持部４の本体５ａ 、５ａの貫通孔１２、１２に挿通せしめると共に、その本体５ａ、５ａ間にて固 着部材１３により一体的に接続すると共に、支持板１の貫通孔１４を挿通せしめ て取付け体１８の表面に他端１１ｂ’側を接続して備えられている。 尚、本形態ではその配設レベルを第一スライド軸９の配設レベルより低く、第 二スライド軸１０の配設レベルよりも高い位置に設定されているが、これに何等 限定されるものではなく、これら夫々の配設レベル位置関係は上下変更可能であ る。

【００１１】 また、本形態では、第一スライド軸９の外周面上に、所望長さのスライドパイ プ１５を滑動自在に備え、該パイプ１５はシリンダ保持部４の本体５ａ、５ａの 貫通孔７、７を挿通すると共に、歩み板ａの挿通路内面ａ2 と固定され、かつ前 端１５ａ側をシリンダ保持部４の外方でナット１６と結合せしめ、該ナット１６ と歩み板ａとでシリンダ保持部４が挟まれている状態とする。また、シリンダ保 持部４の本体５ａ、５ａの貫通孔７、７には、周面端縁１７ａ、１７ａが固定さ れてパイプ１７が配設されている。

【００１２】 ここで、前記形態の歩み板装置Ａの使用状態を説明すると、本装置Ａの取付け 板１８をデッキ後端面ｂ1 に締付けナット２０…で取付け固定する。そして、歩 み板ａを車輌デッキＢと路面との間に傾斜状態に掛け渡して重量物の積み上げ， 積み降ろし作業をする場合には、まず歩み板ａ，ａ間隔が、ブルドーザー，ショ ベルカー等の重量機械（車輌）の左右クローラー（無限軌道）間隔と合致するよ う調整する。

【００１３】 そして、スライド用シリンダ１１のピストンロッド１１ｂを伸張作動せしめれ ば、該スライド用シリンダ１１と一体的に備えられているシリンダ保持部４が、 上記伸張方向へと第一スライド軸９及び第二スライド軸１０上を滑動し、そして その保持部４の側面５ａ’が、歩み板ａの側面ａ1 に当接して上記伸張方向へと 移動させて歩み板ａ、ａ間隔を拡張調整する。また、上記の場合とは逆に、歩み 板ａ、ａ間隔を狭めたい場合には、スライド用シリンダ１１のピストンロッド１ １ｂを収縮作動せしめれば、シリンダ保持部４が上記収縮方向へと第一スライド 軸９及び第二スライド軸１０上を滑動し、そしてその保持部４の側面５ａ’がナ ット１６に当接して押圧することにより、ナット１６と一体化されているスライ ドパイプ１５を介して歩み板ａを上記収縮方向へと移動させる。

【００１４】 そして次に、起伏用シリンダ３のピストンロッド３ｂを収縮作動せしめると、 歩み板ａが第一スライド軸９上を、正方向（時計方向）へと回転して倒伏作動す ると共に、歩み板ａの先端接地面２が路面に接地される。 また、歩み板ａをデッキ後端面ｂ1 位置に起立させて収納する場合には、起伏 用シリンダ３を伸張作動せしめれば、その伸張作動にしたがって、歩み板ａが軸 着された基端側を支点として回転して上昇し、デッキ後端面ｂ1 位置にて立設さ れる。

【００１５】 従って、本形態の構成を採用すれば、デッキ後端面ｂ1 への取付けが容易であ り、そして、締付けナット２０…を外して取付け板１８とデッキ後端面ｂ1 との 結合状態を解けば、歩み板装置Ａが一体として車輌Ｂから取り外すことができる ため、歩み板装置Ａの補修、交換作業において、作業容易となる。これは、歩み 板装置Ａの補修、交換作業性を向上せしむることを目的とする場合に有効な構成 である。

【００１６】 図４には本考案の歩み装置の実施の他の１例を例示しており、本形態にあって は歩み板ａの裏面ａ3 側に、起伏シリンダ３のピストンロッド３ｂ先端３ｂ’を 軸着してなる構成とし、詳しくは、歩み板ａの裏面ａ3 側を所望深さで凹設し、 凹部２２内の下方にて露出する第一スライド軸９を、本体５ａ、５ａの貫通孔７ 、７に挿通して上記凹部２２内にシリンダ保持部４を位置せしめ、その保持部４ の突片５ｂ、５ｂ間に起伏シリンダ３の一端３ａを軸着すると共に、凹部２２内 上方にて軸２３を介してピストンロッド３ｂの先端３ｂ’を軸着して起伏シリン ダ３を歩み板ａの裏面ａ3 側に位置せしめている。 また、第二スライド軸１０は上記シリンダ保持部４を挿通して支持板１、１間 にわたって掛け渡され、またスライド用シリンダ１１は一端１１ａをシリンダ保 持部４に接続固定せしめると共に、他端１１ｂ’を取付け板１８の表面１８ａに 接続固定されている。

【００１７】 従って、上記構成により歩み板ａを左右にスライドさせて間隔調整をする場合 、スライド用シリンダ１１を伸縮作動せしめると、スライド用シリンダ１１の一 端１１ａを接続固定するシリンダ保持部４が左右いずれかの方向にスライ ドし、その本体５ａ、５ａの側面５ａ’、５ａ’のいずれか一面が、歩み板ａの 凹部２２内壁面２２ａ、２２ｂのいずれか一面に当接して押圧することにより、 歩み板ａを左右いずれかの方向へとスライドせしめることとなる。

【００１８】 従って、本形態の構成としても、デッキ後端面ｂ1 への取付けが容易であり、 そして、締付けナット２０…を外して取付け板１８とデッキ後端面ｂ1 との結合 状態を解けば、歩み板装置Ａが一体として車輌Ｂから取り外すことができるため 、上記同様に歩み板装置Ａの補修、交換作業において、作業容易となり、歩み板 装置Ａの補修、交換作業性を向上せしむることを目的とする場合に有効な構成で ある。

【００１９】 尚、図示せしめないが、本形態にあっても、デッキ後端面ｂ1 所定位置にボル ト１９…が突設されており、該ボルト１９…を取付け板１８の連結孔２１…に差 込むと共に、取付け板１８上から締付けナット２０…で締付け固着せしめること により取り外し可能に保持されるものである。

【００２０】

【考案の効果】

本考案は、車輌デッキ後端に着脱可能に形成してある取付け板表面の左右にそ れぞれ一対の左右支持板を突設せしめて、この左右の一対の左右支持板に自動起 伏且つ自動スライド可能な歩み板構造を配設することにより、歩み板装置として キット化してあるため、上記取付け板をデッキ後端面に取付け固定して容易に備 えることができると共に、取付け板とデッキ後端面との結合状態を解けば、歩み 板装置が一体として車輌から取り外すことができるため、歩み板装置の補修、交 換作業において作業容易となる。

【００２１】 また、デッキ後方に備えられる左右支持板の内面間にわたって歩み板の基端側 を挿通せしめた第一スライド軸を掛け渡し、上記第一スライド軸と、該第一スラ イド軸と上下位置で並設して備えられる第二スライド軸とを挿通せしめると共に 、各スライド軸と並設されたスライド用シリンダの一端側を接続して左右スライ ド可能にシリンダ保持部を備えた構成として、起伏用シリンダを歩み板側近に添 わせるものとしたため、デッキの後端位置に、該デッキの長さ方向へのピストン ロッド伸縮作動スペースを広い範囲で必要とする従来の歩み板自動起伏装置と異 なり、車輌デッキ長さを短尺化することなく有効長さを最大限確保しながら、歩 み板の左右スライド作動と上下起伏作動とを自動制御せしめることが可能な重量 物運搬車用の歩み板装置が提供できる。

【００２２】 従って、キット化してある歩み板装置Ａの補修、交換作業性を向上せしめられ 、そしてブルドーザー，ショベルカー等の重量機械（車輌）の積み上げ，積み降 ろし作業時の使用者の労力軽減が図れ、従来技術の有していた問題点が充分に解 消され、使用勝手に大変優れるばかりか安全性の向上も図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の歩み板装置の実施の１形態を例示し
ている斜視図。

【図２】 部分拡大横断面図。

【図３】 部分拡大横断面図。

【図４】 本考案の歩み板装置の実施の他の１形態を例
示している斜視図。

【符号の説明】

Ａ：歩み板装置 ａ：歩み板 ａ1 ：歩み板側面 ｂ：車輌デッキ ｂ1 ：後端面 １：支持板 ３：起伏用シリンダ ３ａ：起伏用シリン
ダの一端 ３ｂ’：起伏用シリンダの他端 ４：シリンダ保持部 ５ｂ：突片 ９：第一スライド軸 １０：第二スライド軸 １１：スライド用シ
リンダ １１ａ：スライド用シリンダの一端 １８：取付け板 １８ａ：取付け板表
面

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 取付け板を車輌デッキ後端に着脱可能に
   形成し、この取付け板表面の左右にそれぞれ一対の左右
   支持板を所望間隔をあけて突設すると共に、各左右支持
   板の内面間にわたって第一スライド軸をそれぞれ掛け渡
   し、各第一スライド軸は歩み板の基端側を挿通せしめて
   回動可能かつスライド可能に歩み板を保持し、該歩み板
   は起伏用シリンダの一端を接続し、該起伏用シリンダ
   は、その他端をシリンダ保持部の左右突片間にて回動可
   能に軸着し、該シリンダ保持部は、上記第一スライド軸
   と、該第一スライド軸と上下位置で並設して備えられる
   第二スライド軸とを挿通せしめると共に、上記各スライ
   ド軸と並設されたスライド用シリンダの一端側を接続し
   て左右スライド可能に保持されていることを特徴とする
   重量物運搬車用の歩み板装置。