JP3034768U - 飲料水兼用耐震性貯水槽 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 停滞水を生じず、緊急災害時に水の供給が停
止しても、流出せずに貯水できる貯水槽を提供する。 【解決手段】 水平方向に両端を開口した筒型の胴部
と、この胴部の両端にそれぞれ連通する水平方向に両端
を開口した筒型の２個の端部とを有してなり、これら端
部は、胴部と同内径の胴部接続口端と、この胴部接続口
端よりも小内径で水道管に連通する導水口とを有してお
り、導水口は前記端部の頂端に設けられている貯水槽。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、地中に埋設され、水道管に連結して常時水が流れるようにした耐震 性の貯水槽に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、この種貯水槽としては円筒型あるいはこれを改良したロケット型（例え ば登録新案第１６２９６５３号および本考案者の考案になる登録新案第１９０６ ３２４号）のものが提案されている。これらのものは、いずれも使用の実際にお いて水道管との連結部に緊急遮断弁を付設して災害等の緊急時にこれを作動させ 、断水状態に陥った水槽内の水が水道管へ流出するのを防止して水槽内を満水に するようにされている。 しかしながら、大きな地震、津波、火災等の緊急時において、ガス栓の始末ま では何とかなし得ても、被災者に前記緊急遮断弁を操作するような気持ちの余裕 は殆どないのが実情である。 従って、折角設けた緊急遮断弁は必要な時にその用をなさず、貴重な水をいた ずらに流出させてしまうことになる。

【０００３】 さらにこの緊急遮断弁は、不慣れな者が急激に作動させると水道管内に水激波 が生じて水道管を破壊したり、また貯水槽より水を汲み上げると遮断弁により水 流が完全に停止しているため、貯水槽内部に陰圧がかかって貯水槽を破壊してし まう欠点がある。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本考案者は、従来貯水槽のこのような欠点を解消するために、緊急遮断弁を用 いずに水槽内に水を確保する方法を鋭意研究の結果、従来水槽の上下方向中間点 に設けられている導水口を可及的上方に位置させるようにすれば良いことに想到 し、本考案を完成させるに至った。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案貯水槽は、水平方向に両端を開口した筒型の胴部１と、この胴部１の両 端にそれぞれ連通する水平方向に両端を開口した筒型の２個の端部２、３とを有 してなり、これら端部２、３は、胴部１と同内径の胴部接続口端２ａ、３ａと、 この胴部接続口端２ａ、３ａよりも小内径で水道管４、４に連通する導水口２ｂ 、３ｂとを有しており、前記導水口２ｂ、３ｂは前記端部２、３の頂端に設けら れている貯水槽である。

【０００６】 本考案において前記胴部１には、鋼鉄、鋳鉄、鉄アルミニウム、鉄クロミニウ ム、チタン鉄その他の金属、合成樹脂、セラミック、コンクリート、その他この 種貯水槽に使用可能な材料を選択使用するが、水密性および強靱性の点で鋼鉄が 好ましい。 また胴部１は、前述したように水平方向に両端を開口した筒型に作られている （図２参照）。その形状は円筒形、楕円筒形、三角筒形、四角筒形、多角筒形、 その他いずれにするも任意であるが、作業性および水流の円滑化の点から円筒形 が好ましい。

【０００７】 この胴部１の上部には、水使用の便に供する消火栓口及び空気弁口５および取 水口６が、さらに下部には、泥溜を行う適数のドレーン排水釜場７が取付けられ ている。 なお、この胴部１の寸法は任意に定めてよいが、通常、開口部の内径２−３ｍ 、長さ８−１０ｍ程度である。勿論、これよりも大きくすることも、また一般家 庭用に開口部の内径０．５−１ｍ、長さ１−２ｍ程度の小規模に作ることもでき る。

【０００８】 前記胴部１の一方の開口端１ａには胴部１と同材料の端部２が、そしてもう一 方の開口端１ａには端部３が溶接、接着、螺合、その他の固定手段で固定されて いる。必要によりこれら胴部１と端部２、３とは一体成形するようにしてもよい 。 即ちこれらの端部２、３は、水平方向に両端を開口した筒型に作られており、 前記胴部１と同内径乃至ほぼ同内径の胴部接続口端２ａ、３ａとがそれぞれ前記 胴部１に連通する態様で固定されているのである。

【０００９】 そしてこれら端部２、３の他端には、前記胴部接続口端２ａ、３ａよりも小内 径、好ましくは水道管４、４と同内径乃至ほぼ同内径で、それぞれ水道管４、４ に連通する導水口２ｂ、３ｂが開口しており、さらにこれら導水口２ｂ、３ｂは 前記端部２、３の頂端に取付けられている。なお、これら導水口２ｂ、３ｂには 同内径乃至ほぼ同内径の可撓管２ｃ、３ｃを連通させ、これら可撓管２ｃ、３ｃ と水道管４、４とをストレーナー（砂取り、ゴム取り）８、８を介して連通させ るようにするのが実際的である。 従って、前記端部２、３の形状は、導水口２ｂ、３ｂ乃至可撓管２ｃ、３ｃが 偏心した円錐、角錐、楕円錐、その他前記胴部１の口形に合わせた偏心錐形乃至 偏心濾斗状を呈した筒型である（図２参照）。

【００１０】 本考案貯水槽は上記のような構成のものであり、側面は両頂端に導水口２ｂ、 ３ｂが付いている船型の形状を呈している（図１参照）。 この貯水槽は、導水口２ｂ、３ｂもしくは可撓管２ｃ、３ｃをそれぞれ水道管 ４、４に連結して使用する。即ち、水道管４の水道水は導水口２ｂ、必要により 可撓管２ｃを通過して前記端部２の内部に流入し、胴部１に達して貯水されるの である。 胴部１への水道水の流入は常時行われるから、貯水は押し出されて順に導水口 ３ｂ、必要により可撓管３ｃを通って水道管４に流出する。端部２、３は偏心錐 形乃至偏心濾斗状を呈しているので水道水の流れはスムーズであり貯水槽内に停 滞水が生じる恐れはなく、従って水が劣化して飲用に適さなくなる状態は防止さ れる。 以下に本考案の実施例を挙げて説明する。

【００１１】

【実施例】

厚み１ｃｍの鋼鉄板９を円曲させ、溶接して内径２ｍ、長さ６ｍの円筒形の胴 部１を作った。この胴部１の周面に３ｍ程度間隔をあけて、長手方向直線上に直 径約３０ｃｍの穴を２個切削し、これらの穴の周囲にそれぞれ高さ５０ｃｍの円 筒を溶接、固定し、消火栓空気弁口５および取水口６を設けた。さらに、これら 消火栓空気弁口５および取水口６に対向する周面にも前記と同様の穴を切削しド レーン排水釜場７、７を取付けた。 一方、厚み１ｃｍの変形した台形の２枚の鋼鉄板９ａ、９ａを曲げ加工し、は み出し部分を切断した後、溶接して内径２ｍの胴部接続口端２ａ、３ａおよび内 径５ｃｍの導水口２ｂ、３ｂを有し、長さ２ｍの偏心した円錐筒型の端部２、２ を作った。 これら端部２、２の各胴部接続口端２ａ、３ａを前記胴部１の開口端１ａ、１ ａに、導水口２ｂ、３ｂが胴部１の消火栓口及び空気弁口５および取水口６と直 線上に並列するように溶接して胴部１と端部２、３とを固定した。この固定作業 により導水口２ｂ、３ｂは端部２、３の頂端に位置せしめられた。 前記端部２、２の導水口２ｂ、３ｂには可撓管２ｃ、３ｃを連通・固定させた 。 このようにして製造した貯水槽を、可撓管２ｃ、３ｃがストレーナー８、８を 介して水道管４、４に連結するようにし、さらに消火栓口及び空気弁口５および 取水口６を地上に露出するようにして地中に埋設した。 この貯水槽に水道管４より水道水を流入させると、水はスムーズに貯水槽内を 循環し停滞水の発生は認められなかった。 さらに、水道水の流入をストップさせてみると、貯水槽の空積率は５−８％に 過ぎず、非常に高い貯水率を得ることができた。このことからこの貯水槽では緊 急遮断弁の装備が不要であることが明らかとなった。

【００１２】

【考案の効果】

本考案貯水槽は、水道管に連絡する導水口が貯水槽の頂端に位置しているため 、災害緊急時に水道管からの水の供給が停止しても、導水口より下方に貯溜して いる水は貯水槽から流出してしまうことがない。従って、緊急時に遮断弁を作動 させなければならない煩わしさがなく、また遮断弁作動によって生じる水道管内 の水激波の発生による水道管の破壊や貯水槽内部の陰圧発生による貯水槽の破壊 を防止することができる。さらに本考案貯水槽は端部が錐形をしているので、水 道が正常に機能している場合に水道水の流れがスムーズで、また水の流入、流出 方向が変わっても両端が同形状であり、水槽内部配管よりの流入流出でないため 水の流れ方向が変わっても自動変換ができる。 また内部に余分な配管がないため維持管理が不要で赤水の発生がない故に停滞 水がなく、水質の劣化を来すことがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案貯水相の実施態様を示す側面図である。

【図２】本考案貯水相の実施態様を示す分解斜視図であ
る。

【図３】（１）胴部の材料である鋳鉄板、（２）端部の
材料である台形の鋳鉄板の形状を示す平面図である。

【符号の説明】

１ 胴部 １ａ 開口端 ２、３ 端部 ２ａ、３ａ 胴部接続口端 ２ｂ、３ｂ 導水口 ２ｃ ３ｃ 可撓管 ４ 水道管 ５ 消火栓口及び空気弁口 ６ 給水口 ７ ドレーン ８ ストレーナー ９、９ａ 鋼鉄板

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 水平方向に両端を開口した筒型の胴部
   と、この胴部の両端にそれぞれ連通する水平方向に両端
   を開口した筒型の２個の端部とを有してなり、これら端
   部は、胴部と同内径の胴部接続口端と、この胴部接続口
   端よりも小内径で水道管に連通する導水口とを有してお
   り、前記導水口は前記端部の頂端に設けられていること
   を特徴とする貯水槽。