JP3033845B2 - 皮膚炎を治療するための2,3−ジアリル−1−ベンゾピラン - Google Patents

皮膚炎を治療するための2,3−ジアリル−1−ベンゾピラン

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Description

【発明の詳細な説明】 技術的背景 皮膚炎は、うろこ状の厚くなった斑に発展し得る赤ら
んだ皮膚傷害を特徴とするいくつかの状態を含む。これ
らの傷害は、アレルゲン、紫外線、もしくは化学薬品と
の接触、全身に投与された薬、又は局部的な外傷(刺
激)を含む、いくつかの主要な原因のいずれかから発生
し得る。特定の形態の皮膚炎の原因は知られていない。
湿疹性皮膚炎とは、しばしば水疱を含む水腫性滲出斑
を最初の段階における特徴とする状態の一群をいう。こ
れらの傷害は、バクテリア感染の傾向がある。流体が表
皮において細胞間スペースに流出し、海綿状の姿を与え
る。時間が経過すると、滲出が少なくなり、表皮が厚く
なる(表皮の過形成)ようなうろこ状になる。
乾癬及び慢性的な段階の湿疹性皮膚炎を含む、皮膚病
の慢性的な形態が特に重要である。乾癬は、銀白色のう
ろこ状のものに包まれた円形の、厚い乾燥した、赤らび
た斑を特徴とする。乾癬は、局所的又は全体的に広がる
可能性があり、後者の場合は、命を脅かすようになり得
る。乾癬皮膚炎は、著しい表皮の過形成及び表皮ケラチ
ン細胞の過剰増殖を示す。乾癬の病因は遺伝性及び自己
免疫性構成物を含むと確信されている。湿疹性皮膚炎の
慢性的な傷害は、乾癬の斑と同様、臨床的かつ組織学的
である。
細胞の増殖(例えば、表皮ケラチン細胞の増殖)は、
細胞内カルシウムレベルにより部分的に制御される。細
胞内カルシウム濃度の変化は蛋白質のリン酸化に影響を
およぼし、これは増殖及び他の細胞プロセスに影響を与
える。タンパク質のリン酸化への細胞内カルシウムレベ
ルの影響を媒介する分子の一つは、プロテインキナーゼ
Cの蛋白質補因子であるカルモジュリンである。
乾癬は、コルチコステロイド、コールタール軟膏、又
はアントラリンの貼用により治療される。これらの治療
は、部分的に効果的であるだけで、前記の病気を、逆で
はなく、単に含み得るのみである。アントラリンは刺激
の原因となる可能性があり、子供及び妊娠した女性にお
けるその安全性は確立されていない。コルチコステロイ
ドは、水腫及びミネラルのアンバランスを含むいくつか
の望ましくない副作用を有する。非ステロイドの抗炎症
剤は、一般的に効果的でない。
特定の置換された2,3−ジアリル−1−ベンゾピラン
は、ほとんど又は全く発情性(estrogenicity)を伴う
ことなく抗エストロゲン括性を有することが示されてお
り、乳がんの治療における使用が提案されている。カピ
ラら(Kapil et al)の米国特許第5,254,568号、サイー
ドらの論文(Saeed et al.,J.Med.Chem33:3210−321
6,1990)、シャーマらの論文(Sharma et al.,J.Med.Ch
em33:3222−3229,1990,Sharma et al.,J.Med.Chem3
3:3216−3222,1990)を参照のこと。これらの化合物は
抗炎症特性を有するか、又は皮膚炎に対して効果的であ
ることが以前に示されている。
効果的で激しい副作用のない皮膚炎のための治療が、
当該技術において必要とされている。本発明は、この要
求に向けて、他の関係する利点を提供する。
発明の開示 一つの態様において、本発明は、表皮ケラチン細胞の
過剰増殖を特徴とする、慢性的な段階の皮膚炎を含む
(乾癬を含む)皮膚炎を治療するための方法に関する。
本発明は、式I: 〔式中、R1及びR2の各々は、独立して、H,OH、直鎖も
しくは分岐鎖のC〜C17アルコキシ、直鎖もしくは分
岐鎖のC〜C18アシロキシ、又は直鎖もしくは分岐鎖
のC〜C18アルコキシカルボニルであり、R3は、 (式中、R4及びR5の各々は、独立して、1〜18の炭素原
子の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基であるか、又は両
方ともNであり、R4及びR5は3〜10員環を形成し、及び
nは1〜6の整数である。)である。〕の化合物を用い
る。
一つの態様において、本発明は、医薬として許容され
る担体と組み合わせて、式Iの化合物又はその医薬とし
て許容される塩を含む効果的な量の組成物を、湿疹性皮
膚炎を患う患者に投与することを含む湿疹性皮膚炎を治
療するための方法を提供する。
関連する態様において、本発明は、上述のような式I
の化合物又はその医薬として許容される塩を含む組成物
を患者に投与することを含む、乾癬を治療するための方
法を提供する。
更に他の態様において、本発明は、患者における表皮
ケラチン細胞の増殖を抑制するための方法を提供する。
要約すると、医薬として許容される担体と組み合わされ
た、式Iの化合物又はその医薬として許容される塩が、
表皮ケラチン細胞の増殖を抑制するのに十分な量、患者
に投与される。
本発明の更に他の態様において、カルモジュリン活性
を阻害するのに十分な量において、医薬として許容され
る担体と組み合わせて、式Iの化合物又はその医薬とし
て許容される塩を、患者に投与することを含む、患者に
おいてカルモジュリン活性を阻害するための方法を提供
する。
本発明のこれら及び他の態様は、以下の詳細な記載及
び添付された図面を参照することにより明らかになるで
あろう。
図面の簡単な説明 図は、本発明において有用な特定の化合物の調製を示
す。
発明の詳細な記載 本発明は、表皮ケラチン細胞の過剰増殖を特徴とす
る、慢性的な段階の皮膚炎を含む、(乾癬を含む)皮膚
炎を治療するための方法を提供する。本発明は、一般式
I: 〔式中、R1及びR2の各々は、独立して、H,OH、直鎖も
しくは分岐鎖のC〜C17のアルコキシ、直鎖もしくは
分岐鎖のC〜C18のアシロキシ、又は直鎖もしくは分
岐鎖のC〜C18のアルコキシカルボニルであり、R3
は、 (式中、R4及びR5の各々は、独立して、1〜18の炭素原
子の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基であるか、又は両
方ともNであり、R4及びR5は3〜10員環を形成し、及び
nは1〜6、好ましくは1〜3、最も好ましくは1の整
数である。)である。〕により定義される2,3−ジアリ
ル−1−ベンゾピランを用いる。好ましくはR4及びR5の
各々は、独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプ
ロピル、ブチル、イソブチル。sec−ブチル、もしくはt
ert−ブチルであるか、又は両方ともNであり、R4及びR
5は5又は6員環を形成することである。最も好ましく
は、R3は、 である。好ましい態様において、前記化合物Iは、構造
式: である。
他の好ましい態様において、R1及びR2はアルコキシで
ある。他の好ましい態様において、R1及びR2は、独立し
て、H,OH、もしくはC〜Cアルコキシ、C〜C
アルコキシガルボニル、又はC〜Cアシロキシであ
る。R3は、好ましくは2−ピペリジノエトキシ基であ
る。他の好ましい態様において、R1及びR2は、独立し
て、H又はOHである。本明細書に用いられる、“アシロ
キシ”という言葉は構造式: (式中、R′は直鎖又は分岐鎖のアルキル又はアミノア
ルキルである。)の基をいう。
本発明において使用のための、特に好ましい化合物
は、 即ち、R1=R2=H、及びR3が であるもの; 即ち、R1=OH、R2=H、及びR3が であるもの; 即ち、R1=H、R2=OH、及びR3が であるもの;及び 即ち、R1=R2=OH、及びR3が であるものを含む。
上述の2,3−ジアリル−2H−1−ベンゾピランを用い
ることが好ましいが、2つの位置において置換された2,
3−ジアリル−−1−ベンゾビランも、皮膚炎及びこれ
に関係する病状を治療するのに用いることができる。こ
の事についての好ましい置換は、メチル、エチル、プロ
ピル、及びブチルを含む。加えて、Iの芳香環の各々
は、OH、フルオロ、CF、CN、1〜18の炭素原子の直鎖
のアルキル、アルコキシ、もしくはアシルオキシ基、3
〜18の炭素原子の分岐鎖のアルキル、アルコキシ、もし
くはアシロキシ基、NO、NH、又はR″が1〜18の炭
素原子の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基であるNHCO
R″のような成分で、1つ以上の位置において更に置換
することができる。溶解性、レセプターとの相互作用、
生物学的活性等における大きな変化のため分子の機能が
失われることがないように、置換がその数及び/又はサ
イズにおいて一般的に限定されるべきであることは、当
業者に認識されよう。このように、置換は、その後にお
いて好ましくは限定され、より小さなサイズの群、例え
ば低級(C〜C)アルキル基からなるであろう。
その全体が引用により本明細書に組み込まれる、サイ
ードらの論文(Saeed et al.,J.Med.Chem33:3210〜32
16,1990)、シャルマらの論文(Sharma et al.,J.Med.C
hem33 3222−3229,1990)、及び米国特許第5,254,568
号において開示される方法に従って、式Iのベンゾピラ
ンを調製することができる。代表的な合成スキームを図
1に示す。デオキシベンゾインIIと4−ヒドロキシベン
ズアルデヒドとの塩基触媒縮合により、ジヒドロ−4H−
1−ベンゾピラン−4−オンIVと2−フェニルカルコン
VIとの混合物が生成される。同様に、デオキシベンゾイ
ンIIIと4−ヒドロキシベンズアルデヒドとの縮合で、
ジヒドロベンゾピラン−4−オンVと2−フェニルカル
コンVIIとの混合物が生成される。フェニルカルコンVI
及びVIIの水素化ホウ素ナトリウムでの還元の後のアル
コールの熱脱水環化により、各々2H−ベンゾピランフェ
ノールVIII及びIXが生成される。その後、化合物VIII及
びIXをアルキル化して各々エーテルXおよびXIが生成さ
れる。適切にOTHP(O−テトラヒドロピラニル)で保護
されたデオキシベンゾインのヒドロキシ誘導体と4−ヒ
ドロキシベンズアルデヒドとの縮合により、シャルマら
の論文(前掲)及び米国特許第5,254,568号に開示され
るように、Iのヒドロキシ誘導体(例えば、R1及びR2の
少くとも一つがOHであるもの)を調製することができ
る。2−フェニル上にピペリジノエトキシ残基を有する
フェノール誘導体を、適切なジオキシベンゾインのTHP
エーテルから出発することにより調製し、これにより、
その側鎖が必要なOH基に選択的に結合することが可能と
なる。
芳香環の1つ以上の位置において置換された2,3−ジ
アリル−1−ベンゾピランの合成は、適した前駆体、例
えば置換ジオキシベンゾイン、及び/又は4−ヒドロキ
シ−3−メトキシベンズアルデヒド、3,4−ジヒドロキ
シベンズアルデヒド、もしくは2,4−ジヒドロキシベン
ズアルデヒドのような置換ベンズアルデヒドから貫用の
合成技術を用いて行われる。
本発明において、2,3−ジアリル−1−ベンゾピラン
は、医薬として許容される円、特に有機酸及び無機酸の
塩を含む酸付加塩の形態において調製され得る。このよ
うな塩の例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール
酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、コハク酸、リンゴ
酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、及びサリチル酸等の
ような有機酸の塩を含む。適した無機酸付加塩は、塩
酸、臭化水素酸、硫酸、及びリン酸等を含む。前記酸付
加塩は、化合物合成の直接の産物として得ることができ
る。代わりとして、遊離塩基を適切な酸を含有する適切
な溶媒に溶解させ、該溶媒を蒸発させるか、又はさもな
ければ前記塩と溶媒とを分離することにより、前記塩を
単離することができる。
本発明に従うと、2,3−ジアリル−1−ベンゾピラン
及びその塩は、湿疹性皮膚炎及び乾癬の治療のために、
ヒト及び家畜の薬の範囲において用いられる。“湿疹性
皮膚炎”は、アレルギー性接触皮膚炎、アトピー性皮膚
炎、光湿疹性皮膚炎、及び一次性刺激皮膚炎を含む。本
発明の方法は、激しい又は慢性的な段階におけるこれら
の病状を治療するのに用いられ得る。理論に関係するこ
とを意図するわけではないが、2,3−ジアリル−1−ベ
ンゾピランの治療効果は、少くとも部分的には、湿疹性
皮膚炎及び乾癬の慢性的な過剰増殖段階において特に効
力をおよぼすこれらの化合物を生成するカルモジュリン
に対する拮抗的な効果のためであると確信される。
本発明における使用において、2,3−ジアリル−1−
ベンゾピラン及びその医薬として許容される塩は、貫用
の方法に従って、医薬として許容される担体とともに製
剤化され、局所又は経口の投与のための薬剤を提供す
る。薬剤は、1つ以上の、希釈剤、充填剤、乳化剤、防
腐剤、緩衝剤、及び賦形剤等を更に含有することがで
き、液体、軟膏(ointments)、膏薬(salves)、ゲ
ル、及びエマルション等のような形態で提供され得る。
(その全体が引用により本明細書に組み込まれる)レミ
ントンズファルマシアチカルサイエンス(Remington′s
Pharmaceutical Sciences,18th ed.,Gennaro,ed.,Mack
Publishing Co.,Easton,PA,1990)に開示されるものの
ような、適切な方法において、及び受け入れられ得る実
施に従って、当業者が前記化合物を製剤化することがで
きる。このような組成物は、湿式剤、安定剤、着色剤、
浸透促進剤のような1つ以上の補助物質を更に含むこと
ができる。
好ましい態様において、薬剤的組成物は、皮膚傷害に
局所的に貼用される。この事について適切な組成物は、
軟膏、油中水型エマルション、及びエタノール/エーテ
ル混合物のような揮発性溶剤中の活性剤の溶液のような
油ベースの製剤を含む。この型の組成物は、一日に1回
ないし数回、貼用される。水ベースの製剤は、湿式膏薬
として貼用され得る。
前記薬剤組成物は、好ましくは錠剤又はカプセルとし
て、経口投与をすることもできる。経口投与は、毎日な
いし週1日の間隔で、一般的に行われるであろう。
このような薬剤組成物の“効果的な量”は治療される
べき病状の徴候において臨床的に意味のある改善を提供
する量である。特に、それは表皮の過形成及び/又は表
皮ケラチン細胞の過剰増殖の削減を達成することが要求
される。上記量の決定は、一般的に実験的になされ、当
該技術の通常のレベルの範囲内である。この治療は、製
剤の活性含有物の濃度を変える、又は、治療スケジュー
ルを変えることによるような、要求される効果を得る必
要性に応じて調節され得る。もちろん、投与される実際
の量は、患者の、(病気の程度及び厳しさ含む)治療さ
れるべき特定の病状、年齢、体重、及び全般的な健康
度、並びに当業者に明らかである他の要因に部分的によ
る。例えば、局部的投与の典型的な製剤は、適したビヒ
クルにおいて0.01〜10重量%の2,3−ジアリル−1−ベ
ンゾピランであり、より好ましくは、0.5〜5重量%で
ある。前記製剤は、要求される改善が達成されるまで、
1日に1回ないし数回、冒された皮膚に貼用されるであ
ろう。
治療体系の一般的な導入は、関心の病気の動物モデル
においてなされる実験から得られる。例えば、乾癬の動
物モデルは成熟したマウスの尾の表皮における組織学的
変化の解析を含む(引用により本明細書に組み込まれる
Hofbauer et al,Brit.J.Dermatol118:85〜89,1988;Bl
adon et al.,Arch.Dermatol.Res277:121〜125,198
5)。このモデルにおいて、抗乾癬活性は、尾の表皮の
関節の間のうろこ様の領域における粒状層及び角化症
(orthokeratosis)の誘発により示される。典型的に
は、局部的な膏薬は、連続7日間毎日投与され、その後
動物が犠牲になって尾の皮膚が組織学的に実験される。
乾癬のヒトの皮膚を先天性無胸腺マウス(ヌードマウ
ス)に移植することにより、追加のモデルが提供される
(引用により本明細書に組み込まれるKrueger et al.,
J.Invest.Dermatol64:307〜312,1975)。このような
移植は11週までの間特徴的な組織構造を維持することが
示されている。マウスの尾のモデルにおいては、動物が
犠牲になり、皮膚の移植が組織学的に実験される時にお
ける1なし数週間の期間、テスト組成物が予め決定され
た間隔で皮膚に投与される。第3のモデルはフレットラ
ンドら(Fretland et al.)により開示されている(引
用により本明細書に組み込まれるInflammation 14: 727
〜739,1990)。簡単に言うと、ホルボールエステル(ホ
ルボール−12−ミリステート−13−アセテート;PMA)
を、典型的にはアセトン中に約2g/ml、一方の耳に、及
びビヒクルを反対側の耳に典型的に投与することによ
り、モルモットの表皮において、炎症が導入される。テ
スト組成物は、PMAと同時に投与されるか又は経口的に
与えられ得る。PMAの投与後96時間において、組織学的
解析を行う。このモデルは、水腫、炎症性細胞漏出及び
浸潤、高LTBレベル、並びに表皮増殖を含むヒト乾癬
の多くの徴候を再現する。
カルモジュリン活性は、カルモジュリン依存酵素の活
性を測定することにより、都合よくアッセイされる。例
えば、引用により本明細書に組み込まれるブルメンター
ルらの論文(Blumenthal et al.,Biochem.Biophys.Res.
Comm156:860〜865,1988)を参照のこと。カルモジュ
リン依存酵素は、ホスホリラーゼキナーゼ、脳多機能カ
ルモジュリン依存蛋白質キナーゼ、及びカルモジュリン
依存蛋白質ホスファターゼ(カルシニューリン)を含
む。ホスホリラーゼキナーゼ活性は、濾紙アッセイを用
いてホスホリラーゼb内への32Pの混入の割合を測定す
ることにより決定される(引用により本明細書に組み込
まれるRoskoski,Methods Enzymol.99:3〜6,1983)。50m
M酢酸マグネシウム、200μM CaCl,5mg/mlホスホリラ
ーゼb,0.9μg/ml骨格筋ホスホリラーゼキナーゼ、カル
モジュリン、及びテスト組成物を含有する反応混合物を
組み合わせた。該混合物を30℃で5分間インキュベート
して、この反応は〔γ−32P〕ATPを添加することにより
開始される。ホスファターゼ活性は、ウシ心臓cAMP依存
蛋白質キナーゼ調節サブユニットの81〜99の残基に相当
する合成ホスホペプチドから遊離した32Piの割合も決定
することによりアッセイされる。前記反応混合物は、50
mM MOPS(4−morpholinepropanesulfonic acid)pH7.
0、15mM2−メルカプトエタノール、2mM酢酸マグネシウ
ム、2mM MnCl,0.3μg/mlウシ脳カルモジュリン依存ホ
スファターゼ、カルモジュリン、及びテスト組成物を含
む。前記混合物は30℃で5分間インキューベートされ、
この反応は32P標識ペプチドの添加により開始される。
蛋白質キナーゼ活性は、50mMトリス,pH7.6、0.6mMジチ
オトレイトール、0.6mg/mlウシ血清アルブミン(BS
A)、80mM NaCl、0.5mM CaCl、1.0μg/mlキナーゼ、
カルモジュリン、及びテスト化合物の反応混合物におけ
る濾紙法(ロスコスキー、前掲)を用いてトリ砂嚢筋ミ
オシン軽鎖内への32Pの混合の割合を決定することによ
りアッセイされ得る。この反応は、25℃でMg−〔γ−32
P〕ATP及びミオシン軽鎖(40μM最終濃度)の添加によ
り開始する。カルモジュリンは、1nM〜1μMの間の典
型的な範囲の濃度である。
カルモジュリンは、やけど及び凍傷を原因とする組織
損傷(Beitner et al.,Gen.Pharmac20:641〜646,198
9)において、並びに皮膚炎及び表皮ケラチン細胞の過
剰増殖を含む他の病状において、病原的な役割を果たす
と確信される。本発明の方法は、カルモジュリン活性の
拮抗作用が要求されるこれら及び他の病状の治療に適用
され得る。
次の実施例は、実例の手段により提供され、限定され
るものではない。
実施例1 コロジオン溶媒を純粋な2−〔4−(2−ピペリジノ
エトキシ)フェニル〕−3−フェニル−2H−1−ベンゾ
ピランに添加して、最終濃度100mg/10mlの溶媒を得る。
該溶媒は、エタノール1容量部に対してジエチルエーテ
ル3容量部の混合物である。該混合物を無菌ドロッパボ
トルに分取する。使用においては、この製剤を冒された
領域を包うのに十分な量で、ドロッパを用いて冒された
皮膚に直接投与する。
実施例2 軟白パラフィンBPをそれが融解する温度である60℃に
加熱する。2−〔4−(2−ピペリジノエトキシ)フェ
ニル〕−3−フェニル−2H−1−ベンゾピランをパラフ
ィンのグラム当り10mgの濃度になるよう直接添加して、
この混合物をまんべんなく攪拌する。冷却した後、この
製剤を無菌容器で包装する。使用においては、この製剤
を直接冒された皮膚にすり込むことにより投与する。
実施例3 (CDRI85/287と標示される)2−〔4−(2−ピペリ
ジノエトキシ)フェニル〕−3−フェニル−2H−1−ベ
ンゾピランを中央薬剤調査機関(Central Drug.Researc
h Institute,Lucknow,India)から得た。この化合物
を、ジョンソンらの論文(Johnson et al.,Anal.Bioche
m162:291〜295,1987)に本質的に開示されるように、
カルモジュリンによる環状ヌクレオチドホスホジエステ
ラーゼの58kDアイソザイムの濃度依存活性の阻害につい
てアッセイした。簡単に言うと、環状ヌクレオチドホス
ホジエステラーゼの58kDアイソザイムの酵素活性を、サ
イクリックGMPの2′−メチルアントラニロイル誘導体
(Hiratsuka,J.Biol.Chem 257:13354〜13358,1982;M
olecular Probes,Inc.,Eugene,ORから得られる)の蛍光
の減少を監視することにより測定した。10mM MOPS(3
−〔N−モルホリノ〕プロパンスルホン酸),pH6.8、90
mM KCl,5mM MgCl、1mM EGTA、1mM CaCl(遊離カル
シウムはおおよそ50μM)、10μMcGMP(2′−メチル
アントラニロイル誘導体)、9nM環状ヌクレオチドホス
ホジエステラーゼ、及び0〜55nMカルモジュリンを用い
て標準曲線から決定される飽和量のカルモジュリンにお
いてアッセイを行った。励起は280nmであり、蛍光変化
を、25℃で4nmバンド幅におけるアミンコ−バウマンシ
リーズ2(Aminco−Bowman(Urbana,IL)Series 2)ル
ミネセンス分光光度計を用いて450nMにおいて監視し
た。
CDRI85/287、トリフルオペラジン、タモキシフェン、
及びカルミダゾリウム(DMSO内に10mM)の保存溶液を担
体(DMSO)で希釈して最終濃度1、3、及び7mMにし
た。テスト化合物又は担体のみをアッセイ混合物内に1:
1000に希釈した。担体は酵素活性に影響を与えなかっ
た。
有力なカルモジュリンインヒビターであるCDRI85/287
は、おおよそ2.5μM濃度で50%阻害であり、7〜10μ
Mの間で完全な阻害が発生することが結果より示され
た。
上述の発明は、理解を明快にする目的で、実施例及び
実施例の手段によりいくらか詳細に記載されているが、
添付の請求の範囲内において特定の変換及び改良が行わ
れ得ることは明らかであろう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ピゴット,ジェームズ アール. アメリカ合衆国,ワシントン 98021, ボーセル,メリディアン プレイス ウ エスト 23612 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) CA(STN)

Claims (29)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】皮膚炎を治療するための医薬組成物であっ
    て、一般式: 〔式中、R1及びR2の各々は、独立して、H,OH、直鎖もし
    くは分枝鎖のC〜C17アルコキシ、直鎖もしくは分枝
    鎖のC〜C18アシロキシ、又は直鎖もしくは分枝鎖の
    〜C18アルコキシカルボニルであり、R3が一般式: (式中、R4及びR5の各々は、独立して1〜18の炭素原子
    の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基であるか、又はNと
    一緒に、R4及びR5は3〜10員環を形成し、並びにnは1
    〜6の整数である。)である。〕である化合物又は該化
    合物の医薬として許容される塩を、医薬として許容され
    る担体と組み合わせて含むことを特徴とする医薬組成
    物。
  2. 【請求項2】R1及びR2の各々が、独立してH,OH、又はC
    〜Cアルコキシであることを特徴とする請求項1に
    記載の医薬組成物。
  3. 【請求項3】R1がH又はOHであることを特徴とする請求
    項1に記載の医薬組成物。
  4. 【請求項4】R2がH又はOHであることを特徴とする請求
    項1に記載の医薬組成物。
  5. 【請求項5】R4及びR5の各々が、独立して、メチル、エ
    チル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、
    sec−ブチル、若しくはtert−ブチルであるか、又はN
    と一緒に、R4及びR5が5又は6員環を形成することを特
    徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
  6. 【請求項6】R3が であることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
  7. 【請求項7】R1及びR2の各々が、独立して、H又はOHで
    ある請求項6に記載の医薬組成物。
  8. 【請求項8】前記化合物が一般式: であることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
  9. 【請求項9】R1及びR2の各々が、独立してH又はOHであ
    り、R3が であることを特徴とする請求項8に記載の医薬組成物。
  10. 【請求項10】前記皮膚炎が、乾癬及び湿疹性皮膚炎か
    らなる群が選択される病状であることを特徴とする請求
    項1に記載の医薬組成物。
  11. 【請求項11】前記病状が乾癬であることを特徴とする
    請求項10に記載の医薬組成物。
  12. 【請求項12】前記病状がアトピー性皮膚炎、光湿疹性
    皮膚炎、一次性刺激皮膚炎、又はアレルギー性接触皮膚
    炎であることを特徴とする請求項10に記載の医薬組成
    物。
  13. 【請求項13】前記組成物が局所的投与に適した形態で
    あることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
  14. 【請求項14】表皮ケラチン細胞の増殖を抑制するため
    の医薬組成物であって、一般式: 〔式中、R1およびR2の各々は、独立して、H,OH、直鎖も
    しくは分枝鎖のC〜C17アルコキシ、直鎖もしくは分
    枝鎖のC〜C18アシロキシ、又は直鎖もしくは分枝鎖
    のC〜C18アルコキシカルボニルであり、R3が一般
    式: (式中、R4及びR5の各々は、独立して1〜18の炭素原子
    の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基であるか、又はNと
    一緒に、R4及びR5は3〜10員環を形成し、並びにnは1
    〜6の整数である。)である。〕である化合物又は該化
    合物の医薬として許容される塩を、医薬として許容され
    る担体と組み合わせて含むことを特徴とする医薬組成
    物。
  15. 【請求項15】R1及びR2の各々が、独立してH、OH、又
    はC〜Cのアルコキシであることを特徴とする請求
    項14に記載の医薬組成物。
  16. 【請求項16】R1がH又はOHであることを特徴とする請
    求項14に記載の医薬組成物。
  17. 【請求項17】R2がH又はOHであることを特徴とする請
    求項14に記載の医薬組成物。
  18. 【請求項18】R4及びR5が独立してメチル、エチル、プ
    ロピル、イソプロピノル、ブチル、イソブチル、sec−
    ブチル、もしくはtert−ブチルであるか、又はNと一緒
    に、R4及びR5は5又は6員環を形成することを特徴とす
    る請求項14に記載の医薬組成物。
  19. 【請求項19】R3が、 であることを特徴とする請求項14に記載の医薬組成物。
  20. 【請求項20】R1及びR2の各々が、独立してH又はOHで
    あることを特徴とする請求項19に記載の医薬組成物。
  21. 【請求項21】前記化合物が一般式: であることを特徴とする請求項14に記載の医薬組成物。
  22. 【請求項22】R1及びR2の各々が、独立してH又はOHで
    あり、R3が、 であることを特徴とする請求項21に記載の医薬組成物。
  23. 【請求項23】前記化合物が局部的に投与されることを
    特徴とする請求項14に記載の医薬組成物。
  24. 【請求項24】カルモジュリン活性を阻害するための医
    薬組成物であって、一般式: 〔式中、R1及びR2の各々は、独立してH,OH,直鎖もしく
    は分枝鎖のC〜C17アルコキシ、直鎖もしくは分枝鎖
    のC〜C18アシロキシ、又は直鎖もしくは分枝鎖のC
    〜C18アルコキシカルボニルであり、R3が一般式: (式中、R4及びR5は、独立して1〜18の炭素原子の直鎖
    もしくは分枝鎖のアルキル基であるか、又はNと一緒
    に、R4及びR5は3〜10員環を形成し、並びにnは1〜6
    の整数である。)である。〕である化合物又は該化合物
    の医薬として許容される塩を、医薬として許容される担
    体と組み合わせて含むことを特徴とする医薬組成物。
  25. 【請求項25】R1及びR2の各々が、独立して、H,OH、又
    はC〜Cアルコキシであることを特徴とする請求項
    24に記載の医薬組成物。
  26. 【請求項26】R3が であることを特徴とする請求項25に記載の医薬組成物。
  27. 【請求項27】前記化合物が一般式: であることを特徴とする請求項24に記載の医薬組成物。
  28. 【請求項28】R1及びR2の各々が、独立して、H又はOH
    であり、R3が であることを特徴とする請求項27に記載の医薬組成物。
  29. 【請求項29】皮膚炎を患う患者において皮膚炎を治療
    するための薬剤的組成物を調製するための、一般式: 〔式中、R1及びR2の各々は、独立して、H,OH、直鎖もし
    くは分枝鎖のC〜C17アルコキシ、直鎖もしくは分枝
    鎖のC〜C18アシロキシ、又は直鎖もしくは分枝鎖の
    〜C18アルコキシカルボニルであり、R3が一般式: (式中、R4及びR5の各々は、独立して1〜18の炭素原子
    の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基であるか、又はNと
    一緒に、R4及びR5は、3〜10員環を形成し、並びにnは
    1〜6の整数である。)である。〕である化合物又は該
    化合物の医薬として許容される塩の使用。
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