JP3031024B2 - チップ型セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents

チップ型セラミック電子部品の製造方法

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JP3031024B2
JP3031024B2 JP3356025A JP35602591A JP3031024B2 JP 3031024 B2 JP3031024 B2 JP 3031024B2 JP 3356025 A JP3356025 A JP 3356025A JP 35602591 A JP35602591 A JP 35602591A JP 3031024 B2 JP3031024 B2 JP 3031024B2
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chip
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淳 小島
範光 鬼頭
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、セラミック電子部品
に関し、詳しくは、セラミック電子部品素体上に電極を
設けてなるチップ型正特性サーミスタなどのチップ型セ
ラミック電子部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】チップ型セラミック電子部品(この従来
例においてはチップ型正特性サーミスタ)は、例えば、
図3に示すように、所定の特性を有するセラミック電子
部品素体(正特性サーミスタ素体)21に電極25を設
けることにより形成されている。そして、この従来のチ
ップ型セラミック電子部品は、図4に示すように、セラ
ミック電子部品素体21にNiの無電解メッキを行い、
その表面にNiメッキ層22を形成した後、Niメッキ
層22の不要部分をエッチングなどの方法により除去
(図5)した後、図3に示すように、残ったNiメッキ
層(下層側電極)22の表面にAgを主成分とするペー
スト23aを塗布し、これを焼き付けて上層側電極23
を形成することにより製造されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の製
造方法においては、Agペーストを焼き付けるときに下
層側電極22を構成するNiの酸化が進行し、半田付け
性が著しく低下する。そのため、実装基板への実装工程
で半田付けを行う場合に、上層側電極23を構成するA
gが半田くわれを起こすとチップ型セラミック電子部品
(チップ型正特性サーミスタ)が実装基板上から外れ落
ちてしまうという問題点がある。
【0004】また、チップ型セラミック電子部品が実装
基板上から外れ落ちてしまうほどAgが半田くわれを起
こしていない場合にも、チップ型セラミック電子部品
(の電極25)と実装基板との間の接続強度が低下し、
応力がかかって実装基板がたわんだりした場合にチップ
型セラミック電子部品が外れ落ちることがあり、信頼性
に欠けるという問題点がある。
【0005】さらに、上記従来の製造方法では、実装工
程でフロー半田を適用することができず、実装方法に関
する制約がチップ型正特性サーミスタなどのチップ型セ
ラミック電子部品の用途を制約するという問題点があ
り、また、リフロー半田を行うにしても、温度、時間、
フラックスの種類などの諸条件を厳密に管理しなければ
ならず、実装工程の作業性が悪いという問題点がある。
【0006】この発明は、上記の問題点を解決するもの
であり、半田耐熱性や半田付け性に優れ、リフロー半田
やフロー半田などの方法を適用して容易かつ確実に実装
することが可能なチップ型セラミック電子部品の製造方
法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明のチップ型セラミック電子部品は、オーミ
ック性を有する下層側電極と、半田付け性を有する上層
側電極とを備えてなる電極をセラミック電子部品素体上
に配設してなるチップ型セラミック電子部品の製造方法
において、Ti、Zn及びAlからなる群より選ばれる
いずれか1種の金属または前記群から選ばれる少なくと
も1種を含む合金を蒸着することにより下層側電極を形
成する工程と、前記下層側電極上に、NiとCuのいず
れか1種の金属または少なくとも1種を含む合金を蒸着
することにより中間層電極を形成する工程と、前記中間
電極に半田コーティングを施すことにより、前記中間
層電極上に上層側電極を形成する工程とを具備すること
を特徴とする。
【0008】
【作用】下層側電極は、Ti、Zn及びAlからなる群
から選ばれるいずれか1種の金属または少なくとも1種
を含む合金を蒸着することにより形成されるため、下層
側電極とセラミック電子部品素体との間には安定したオ
ーミック接触が得られる。
【0009】そして、下層側電極上に、NiとCuのい
ずれか1種の金属または少なくとも1種を含む合金を蒸
着して中間層電極を形成することにより、下層側電極
が、その表面に直接に半田コーティングを行うことによ
っては上層側電極を形成することができないような材料
からなる場合にも、中間層電極を介して半田コーティン
グにより上層側電極を形成することが可能になる。
【0010】また、上層側電極は、半田コーティング
よって形成することができるため、その形成が容易であ
るとともに、上層側電極が中間層電極を確実に覆って、
半田付け性を向上させ、フロー半田などによる実装基板
への容易な実装を可能にする作用を果たす
【0011】すなわち、従来例の製造方法のように、下
層側電極が形成されたセラミック電子部品素体を高温に
さらすようなAgペーストの焼付工程が不要になるた
め、下層側電極の半田付け性の低下を招くようなことが
なく、また、上層側電極が半田層であることから半田付
け性が向上し、実装工程でフロー半田を適用することが
可能になるとともに、リフロー半田付けを行う場合に
も、温度、時間、フラックスの種類などの条件を特に厳
密に管理する必要性が緩和され、実装工程において容易
かつ確実に半田付けを行うことが可能になる。
【0012】
【実施例】以下、この発明の実施例を図に基づいて説明
する。図1及び図2は、それぞれこの発明の一実施例に
かかるチップ型セラミック電子部品を示す断面図及び斜
視図である。図1,図2に示すように、この実施例にか
かるチップ型セラミック電子部品(チップ型正特性サー
ミスタ)は、セラミック電子部品素体(正特性サーミス
タ素体)1の両端側に電極5を配設することにより形成
されている。
【0013】そして、このチップ型正特性サーミスタを
製造する場合、まず、所定の正特性を有する正特性サー
ミスタ素体1に、スパッタ蒸着法により、厚さ0.2μ
mのTi薄膜を析出させて下層側電極2を形成する。次
に、この下層側電極2の表面に、スパッタ蒸着法により
厚さ1.0μmのNi薄膜を析出させて中間層電極4を
形成する。その後、直ちに、中間層電極4が形成された
正特性サーミスタ素体1を、250℃±5℃に調整した
Sn:Pb=60:40の溶融半田中に3秒間浸漬して
半田コーティングを行い、半田膜からなる上層側電極3
を形成する。なお、半田コーティングを行うにあたって
は、フラックスとして、0.2重量%のClを含むロジ
ン系フラックスを使用した。
【0014】なお、比較のために、正特性サーミスタ素
体にNiの無電解メッキを行って、Niメッキ層(下層
側電極)を形成した後、Niメッキ層の不要部分をエッ
チングなどの方法により除去し、次いで、残されたNi
メッキ層(下層側電極)上にAgペーストを塗布し、こ
れを最高温度700℃±10℃で10分間焼き付けて厚
さ25μmの上層側電極(Ag膜)を形成することによ
りチップ型正特性サーミスタ(比較例)を製造した。
【0015】上記実施例及び比較例のチップ型正特性サ
ーミスタを、270℃±5℃に調整したSn:Pb=6
0:40の噴流半田中に10秒間浸漬することにより半
田耐熱性の評価を行った。なお、フラックスとしては、
0.2重量%のClを含むロジン系フラックスを使用し
た。
【0016】上記の半田耐熱性テストの結果、実施例の
チップ型正特性サーミスタにおいては、電極(上層側電
極)の全面が半田で覆われており、半田くわれはまった
く認められなかった。
【0017】一方、比較例のチップ型正特性サーミスタ
については、電極(上層側電極)の表面に半田が斑点状
に付着した状態となり、電極表面の大部分がいわゆる半
田くわれの状態を呈していた。
【0018】上記実施例では、下層側電極をスパッタ蒸
着法により形成した場合について説明したが、下層側電
極はスパッタ蒸着法に限らず、真空蒸着、電子ビーム蒸
着などの他の蒸着法や、蒸着法に準ずるCVD法や溶射
法などの方法で形成することも可能であり、その場合に
も上記実施例と同様の効果を得ることができる。
【0019】また、上記実施例では、下層側電極を構成
する材料としてTiを用いた場合について説明したが、
この発明において、下層側電極を構成する材料はこれに
限られるものではなく、Ti、Zn及びAlからなる群
より選ばれるいずれか1種の金属または少なくとも1種
を含む合金を用いて下層側電極を形成することができ
る。
【0020】なお、上記実施例では、下層側電極Ti
蒸着膜であり、溶融半田に浸漬することにより、その上
に直接半田コーティングを行って上層側電極を形成する
ことはできないが、下層側電極の上に中間層電極として
Niを蒸着するようにしているので、その上に半田コー
ティングを行うことにより容易に上層側電極を形成する
ことができる。
【0021】なお、上記実施例では、上層側電極を構成
する半田として、Sn:Pb=60:40の半田を用い
たが、半田の組成はこれに限定されるものではなく、そ
の割合を変化させたり、他の添加成分を添加したりする
ことも可能である。
【0022】また、上記実施例では、中間層電極として
Niを蒸着した場合について説明したが、中間層電極を
構成する材料としてはNi及びCuのいずれか1種の金
属または少なくとも1種を含む合金を用いることが好ま
しく、また、その形成方法としては、上記下層側電極と
同様に蒸着法を用いることが好ましい。
【0023】さらに、上記実施例においては、チップ型
正特性サーミスタの製造方法について説明したが、この
発明はチップ型正特性サーミスタに限られるものではな
く、チップ型負特性サーミスタなどの他のチップ型セラ
ミック電子部品の製造方法にも適用することが可能であ
る。
【0024】
【発明の効果】上述のように、この発明のチップ型セラ
ミック電子部品の製造方法は、Ti、Zn及びAlから
なる群から選ばれるいずれか1種の金属または少なくと
も1種を含む合金を蒸着することにより下層側電極を形
成するとともに、下層側電極上に、NiとCuのいずれ
か1種の金属または少なくとも1種を含む合金を蒸着し
て中間層電極を形成し、この中間層電極に半田コーティ
ングを施しこれを上層側電極とするようにしているの
で、下層側電極が、その表面に直接に半田コーティング
を行うことによって上層側電極を形成することができな
いような材料からなる場合にも、上層側電極を容易、か
つ、確実に形成することができるとともに、下層側電極
が形成されたセラミック電子部品素体を高温にさらすよ
うな工程(例えば、従来例の、Agペーストの焼付工程
など)がないので、下層側電極の半田付け性を特に低下
させるようなことがなく、また、上層側電極が半田層で
あることから、全体的な半田付け性が向上し、信頼性が
向上する。
【0025】また、半田付け性が向上するため、実装工
程でフロー半田を適用することが可能になるとともに、
リフロー半田付けを行う場合にも半田付け条件が緩和さ
るため、実装工程における制約を排除して実装コスト
を低減することが可能になるとともに、その用途を拡大
することができるようになる
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例にかかるチップ型セラミッ
ク電子部品(チップ型正特性サーミスタ)を示す断面図
である。
【図2】この発明の一実施例にかかるチップ型セラミッ
ク電子部品(チップ型正特性サーミスタ)を示す斜視図
である。
【図3】従来のチップ型セラミック電子部品を示す斜視
図である。
【図4】従来のチップ型セラミック電子部品の製造工程
を示す斜視図である。
【図5】従来のチップ型セラミック電子部品の製造工程
を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 セラミック電子部品素体(正特性サーミ
スタ素体) 2 下層側電極 3 上層側電極 4 中間層電極 5 電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−159102(JP,A) 特公 昭47−25954(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01C 7/02 - 7/22

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】オーミック性を有する下層側電極と、半田
    付け性を有する上層側電極とを備えてなる電極をセラミ
    ック電子部品素体上に配設してなるチップ型セラミック
    電子部品の製造方法において、 Ti、Zn及びAlからなる群より選ばれるいずれか1
    種の金属または前記群から選ばれる少なくとも1種を含
    む合金を蒸着することにより下層側電極を形成する工程
    と、前記下層側電極上に、NiとCuのいずれか1種の金属
    または少なくとも1種を含む合金を蒸着することにより
    中間層電極を形成する工程と、 前記中間層電極に半田コーティングを施すことにより
    前記中間層電極上に上層側電極を形成する工程とを具備
    することを特徴とするチップ型セラミック電子部品の製
    造方法。
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