JP3030938U - 複写防止模様を有する印刷物 - Google Patents

複写防止模様を有する印刷物

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 各種証明書及び重要書類等をはじめ、銀行
券、株券、債券などの有価証券等の地紋模様等に、複写
防止模様を有する印刷物を提供する。 【解決手段】 一定の画線幅の線画を有する複数の多角
形に、前記多角形の辺をなす線分の外向には、多角形の
線分と同一の画線幅の定量連続拡張した線画を施し、前
記多角形の辺をなす線分の内向には、多角形の線分と同
一の画線幅の収縮配列した線画を施し、前記多角形の辺
をなす線分と、定量連続拡張した線画と、収縮配列した
線画とが等差数列をなす線画の集合模様であり、集合模
様を、潜像を施さない部分の線画を連続線、潜像を施し
た部分の線画を基本曲線方向に一定の間隔で配列された
所定の形状の画線からなる定周期断絶線で構成する。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、偽造、変造防止を必要とする印刷物において、デジタルカラー複写 機及びデジタルモノクロ複写機(以下、複写機と称する)による複写やプロセス 印刷によって複製した場合に、モアレや潜像による顕著な模様を発現させる複写 防止模様の作成方法及びその印刷物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近の複写機の著しい普及に伴い、銀行券、株券、債券等の有価証券、各種証 明書及び重要書類等の印刷物において、複写機による偽造、変造に対する防止策 は重要な要素である。そうした複写機による複写物に対して、真正物であるか否 かを判定する場合の有効な偽造防止策の一つにモアレによる模様がある。モアレ による模様は、一定の画線幅を有する直線や曲線が一定間隔で連続配列している 印刷物上の模様と、複写時において複写機の走査入出力の走査線とが干渉し、干 渉縞として発生するものである。また、印刷物を複写機で複写すると目視では認 識できなかった潜像を現出するコピー防止画線等がある。しかし最近のカラー複 写機の著しい普及に伴い、偽造、変造による犯罪が増加する危険性を有しており 、より一層効果の高い偽造、変造防止策として技術の開発が望まれていた。
【0003】 前記偽造防止策としてのモアレによる模様を発生させる画線構成として、まず 万線パターンによるものがある。例えば、実公平2−43747号公報によると 、電子写真方式のカラーコピーマシンによる複写偽造を防止するために、シート 基材上に1つの色で万線パターンによる印刷層を形成し、更に該印刷層上に他の 色で上記パターンと角度を変えて、万線パターン又は網点パターンによる印刷層 を形成して、これをカラーコピーマシンによりコピーすると、カラーコピーマシ ンに用いられているレンズのレンズ収差により周辺部に歪みが生じるとともに、 パターンを各々異なる色で構成しているので、色収差のために各色間でずれが生 じ、本物の印刷物のモアレとは異なったモアレが発生するので、目視のみでカラ ーコピーマシンによる複写偽造のチェックができる複写偽造防止用印刷物が開示 されており、また、実開平1−36866号公報によると、隣り合う放射状線相 互の間隔が略一定になるようにして、被画線形成物上の基準点から放射する多数 本の放射状線を具備し、被画線形成物を複写した際にCCDセンサーの走査方向 と平行になる部分に確実にモアレを発生させて複写物であることを特定できる画 像形成体が開示されている。しかし、前記いずれの考案も、万線パターンを利用 しているので画線を構成する万線の角度に依存せざるを得ず、従って万線パター ンの角度をかえた画線を多く組み合わせることが必要とされる。
【0004】 そこで前述した角度に依存せずにモアレを発生させるものとして、同心円パタ ーンを用いた、例えば、実開平5−12173号公報によると、被複写紙上に一 定間隔を隔てた多数の同心円、あるいは多数の放射線よりなる背景部を印刷形成 し、デジタルコピー機による複写時に上記背景部中のいずれかの部分がデジタル コピー機の読取り方向に対してモアレを発生させる傾斜角度のアミ点あるいは線 群とさせることにより、複写紙上にこの部分を被複写紙の背景部にはないモアレ 発生部として現出させることによって、どのような読取り方向から複写した場合 でも被複写紙と同一の複写を行なわさせず、複写紙上に差異部を現出させて被複 写紙との違いを明確とさせることが可能な、デジタルコピー機による複写偽造防 止用の被複写紙が開示されている。また、特開平6−262893号公報による と、基紙の表面に施された潜像と背景の一方が150線10%程度の網点で形成 されると他方が同心円パターンで形成され、同心円パターンの円形を構成する細 線が1/10mmの太さを有し、且つ細線相互の間隔Sが1/2mm程度であり 、潜像と背景は同色であり、同心円パターンを構成する細線は網点同様無数に存 在し、且つ目立たないため、通常は網点との識別がつかず、肉眼で潜像と背景は 一様平面に観察されるが、コピーをすると複写機の形式を問わず、また光の走査 方向や用紙の置き方にも関係なく潜像が明瞭に現出するとともにモアレが発生す ることによって、潜像の視認性とモアレの視認性によって偽造防止する複写機適 応型コピー偽造防止用紙が開示されている。
【0005】 しかし、前記いずれの技術を用いても、モアレの発生は複写機の走査方向に応 じて印刷物中の図柄の一部分で発現するので、単純なモアレによる模様とならざ るを得ず、モアレによる模様そのものを知らない一般の人が、市場流通過程にお いて真正な印刷物を複写した場合に発現するモアレによる模様によって、複写機 による複写物であると判別するには、十分な真偽判別要素となり得ていないとい う問題点があった。
【0006】 そこで本願考案者は前述の問題点を解決するため、特願平7−192674で は、一定の画線幅の画線を有する複数の多角形に、前記多角形の辺をなす線分の 外向には、多角形の線分と同一の画線幅の定量連続拡張した画線を施し、前記多 角形の辺をなす線分の内向には、多角形の線分と同一の画線幅の収縮配列した画 線を施し、前記多角形の辺をなす線分と、定量連続拡張した線画と、収縮配列し た線画とが等差数列をなす線画の集合体で構成した複写防止模様の作成方法とそ の印刷物を出願している。
【0007】 また、印刷物を複写機で複写すると目視では認識できなかった潜像を現出する ような方法の代表的な技術として、一般的にコピー防止画線と称する一連の技術 がある。即ち複写機によって複写することにより、印刷物中に施してあった潜像 が現出するものである。このような複写機による偽造防止に適する印刷物におい ては、例えば、特開昭57−20395号公報によると、基紙表面に例えば85 線30%の網点である微細構成素子よりなる文字を表示した潜像を銀インキを用 いて印刷し、次にこの潜像以外の余白部に前記潜像より粗または密(例えば15 0線30%)の網点で印刷を施すと共に、前記潜像の上面に彩紋や地紋等の印刷 模様を施す、複写による偽造防止に適する潜像入り印刷物があり、また、特開昭 60−79991号公報によると、用紙の表面に網点で潜像を印刷し、万線で潜 像と同濃度の背景を同時印刷し、背景を含む潜像の上面に装飾模様をコピーで再 現されない程度の薄色の透明性インキで重ね刷りすることにより、印刷物表面を 体裁よく仕上げ、コピーにかけると模様は見えなくなり、背景は再現されると共 に潜像は再現されず、背景と潜像の濃度差が歴然となって複写物であることが一 見して分かる、複写防止に適する印刷物があり、更に、特開昭60−87380 号公報によると、150線10%の網点よりなる潜像をそなえ、且つ潜像周囲の 白地面に50〜60線10%程度の万線よりなる背景を備えた潜像版を用いて、 用紙の表面に濃色の印刷を施し、背景の万線と干渉した時にモアレ模様を形成す る平行線よりなる波形パターンを備えたオーバープリント版を用いて、用紙表面 に複写機で再生されない淡色の重ね刷りを施すことにより、印刷物の表面は肉眼 を幻惑するモアレ模様が形成されるので潜像の存在は識別困難となり、複写機に かけると潜像と波形パターンは再生されずに背景のみが再生されるので、潜像が 背景と区別して認められる、印刷物における複写防止用潜像カムフラージ法等が 開示されている。
【0008】 前記公報等による印刷物は、いずれも網点もしくは万線等の点及び線が一定周 期で連続配置する画線群(以下、スクリーンパターンと称する)の粗密によって 潜像が施され、図1の印刷物(1)に示すように、印刷面全体の模様(2)が均 一濃度を持ったスクリーンパターンとなっている。前記潜像が施された印刷物( 1)を複写機によって複写した際、再生されない密構成のスクリーンパターン( 3)と、再生される粗構成のスクリーンパターン(4)とは、図2の複写物(1 ’)の模様(2’)に示すように濃度差が生じて、再生される粗構成のスクリー ンパターン(4’)に対して、再生されない密構成のスクリーンパターン(3’ )の潜像部分が現出するようにして、複写物であることが一目瞭然となるように したものであるが、印刷面全体が均一濃度を持ったスクリーンパターンという特 徴から、肉眼視においても同一印刷面上の異なるスクリーンパターンによって、 スクリーン形状の違いによる異別感及びスクリーンパターンゆえに生ずる潜像の 境界線との干渉部(5)により、潜像の存在を識別できてしまう欠点がある。前 記欠点を解決する方法として、前記公報等はいずれも潜像をカムフラージするた めに別の模様や薄色の透明インキ、淡色の重ね刷りを施しているが、前記方法は 潜像を識別しにくくする点では有効であるが、工程数が増え経済的でないという 欠点を有している。
【0009】 そこで本願考案者は前述の問題点を解決するため、特願平7−138879の 、曲線状の集合模様を、潜像を施さない部分の線画を連続線、潜像を施した部分 の線画を基本曲線方向に一定の間隔で配列された所定の形状の画線からなる定周 期断絶線で構成し、潜像を施した部分の定周期断絶線のうち、基本曲線方向に連 続した一つの画線部と非画線部からなる一周期に相当する部分の画線面積が、潜 像を施さない部分の連続線のうち、基本曲線方向における前記一周期と同一の長 さに相当する部分の画線面積と等しくなることを特徴としている。また、潜像を 施さない部分の線画と潜像を施した部分の線画の線画上の境界線が、基本曲線と 潜像の輪郭線との交点において前記基本曲線に接する直線に対し、略直角に交わ る直線となり、併せて、定周期断絶線上の画線部と非画線部の境界線が、基本曲 線と定周期断絶線上の画線部と非画線部の境界線との交点において前記基本曲線 に接する直線に対し、略直角に交わる直線となることを特徴とする複写防止模様 の作成方法と印刷物を出願した。
【0010】 しかし本願考案者が出願した特願平7−192674及び特願平7−1388 79の複写防止模様は、前者が複写時におけるモアレの現出であり、後者は複写 時における潜像の現出であるから、各々の複写防止も模様が固有の効果を有する に過ぎない。
【0011】
【考案が解決しようとする課題】
本考案は上述の点に鑑みなされたもので、複写防止を必要とする各種証明書及 び重要書類等をはじめ、銀行券、株券、債券などの有価証券等の印刷物において 、同一印刷物上に特願平7−192674及び特願平7−138879の両者の 機能を付与することにより、複写機による複写や、通称プロセス印刷といわれる もののうち、幾何学的に規則正しく分布された点または線を用いた、例えばスク ウェアドット、チェーンドット等の印刷スクリーン製版法により複製(以下複写 機等により複写という)されたものであるか否かを、印刷物上の模様と複写時に おける複写機の走査入出力の走査線との干渉によって生じる模様(以下モアレ模 様という)そのものを知らない一般の人であっても、真正物には存在しない図形 状模様を、複写物には明瞭に発現させることによって、容易に、且つ、確実に複 写物であると識別することができるだけでなく、通常は肉眼で識別できない潜像 を施すことによって、カムフラージのための重ね刷りも必要とせず、デジタル複 写機だけでなくアナログ複写機を含めた様々な機種に対応した偽造、変造防止効 果を有する複写防止模様を有する印刷物の提供を目的としたものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本考案は、一定の画線幅の線画を有する複数の多角形に、前記多角形の辺をな す線分の外向、即ち線分の外側には、多角形の線分と同一の画線幅の定量連続拡 張した線画を施し、前記多角形の辺をなす線分の内向、即ち線分の内側には、多 角形の線分と同一の画線幅の収縮配列した線画を施し、前記多角形の辺をなす線 分と、定量連続拡張した線画と、収縮配列した線画との各々の間隔が同一間隔の 線画の集合体であり、また前記複数の多角形を円状配置し、それら複数の多角形 の辺をなす線分の外向には、多角形の線分と同一の画線幅の定量連続拡張した線 画を施し、前記多角形の辺をなす線分の内向には、多角形の線分と同一の画線幅 の収縮配列した線画を施すことにより、複写した場合に発現する図柄化したモア レ模様を予め設定することができることを特徴とする複写防止模様を有する印刷 物である。(定量連続拡張した線画とは、多角形の線分を基準として、該線分の 外向方向に一定間隔で拡張を繰り返した線画をいい、収縮配列した線画とは、多 角形の線分を基準として、該線分の内向方向に一定間隔で収縮を繰り返した線画 をいう。)
【0013】 更に、前述で得た線画の直線及び曲線状の集合模様を、潜像を施さない部分の 線画を連続線、潜像を施した部分の線画を基本曲線(直線を含む)方向に一定の 間隔で配列された所定の形状の画線からなる定周期断絶線で構成し、潜像を施し た部分の定周期断絶線のうち、基本曲線方向に連続した一つの画線部と非画線部 からなる一周期に相当する部分の画線面積が、潜像を施さない部分の連続線のう ち、基本曲線方向における前記一周期と同一の長さに相当する部分の画線面積と 等しくなることを特徴としている。また、潜像を施さない部分の線画と潜像を施 した部分の線画の線画上の境界線が、基本曲線と潜像の輪郭線との交点において 前記基本曲線に接する直線に対し、略直角に交わる直線となり、併せて、定周期 断絶線上の画線部と非画線部の境界線が、基本曲線と定周期断絶線上の画線部と 非画線部の境界線との交点において前記基本曲線に接する直線に対し、略直角に 交わる直線となることを特徴としている。
【0014】
【考案の実施の形態】
本考案の複写防止模様は、一定の画線幅の線画を有する複数の多角形を基本と した多角形群に、多角形群の各線分の外向には多角形群と同一の画線幅の線画を 定量連続拡張した線画で、多角形群の各線分の内向には多角形群と同一の画線幅 の線画を収縮配列した線画の集合体によって、複写機等により複写された場合に 発現するモアレ模様を、意図する図形に図形化して構成している。従って、肉眼 で視認した場合は、用いる線画の画線幅が全て同一で、且つ、線画と線画の間隔 が等しい、即ち、等差数列をなしているから、一様の地紋状模様として視認され るが、複写機等により複写すると、本考案の複写防止模様中には、異なる方向の 直万線状態の直線画線構成領域と、開口方向が異なる方向の同心円弧万線状態の 扇状画線構成領域とが形成されているので、これらの各々の異なる方向の線画と 複写機の走査線の線配列とが干渉し、予め意図した図形化されたモアレ模様が発 現し、複写機等により複写した複写物であることが一目瞭然となる。また、複数 の多角形を円状配置したり、円状を多層に階層配置する等により、複写した場合 に発現する真正物にはない図柄化したモアレ模様を予め設定することができるの で、複写物であると判定する要素として、図柄によって広く一般に周知すること ができる。
【0015】 更に、直線及び曲線状の集合模様を形成する地紋状模様の線画を、潜像を施さ ない部分の線画を連続線、潜像を施した部分の線画を基本曲線(直線を含む)方 向に一定の間隔で配列された所定の形状の画線からなる定周期断絶線で構成し、 潜像を施した定周期断絶線のうち、基本曲線方向に連続した一つの画線部と非画 線部からなる一周期に相当する部分の画線面積が、潜像を施さない部分の連続線 のうち、基本曲線方向における前記一周期と同一の長さに相当する部分の画線面 積と等しくなるように複写防止模様が構成される。即ち、潜像を施さない部分の 線画と潜像を施した部分の線画を、基本曲線方向における前記一周期と同一の長 さに相当する部分で同一の画線面積とし、且つ、膨張値等を加味した線画を印刷 した印刷物の全体を観察した場合、観察者には、潜像を施した部分が定周期断絶 線であるにもかかわらず、潜像を施さない部分の連続線の延長であるかのように 認識されることにより、肉眼では潜像をまったく識別できなくすることを可能に している。また、本考案の線画構成を有した印刷物を複写機により複写すると、 複写機の解像力から、潜像を施さない部分の連続線はそのまま再生され、潜像を 施した部分の定周期断絶線は再生されないか、もしくは再生不良となるため、複 写物を肉眼で観察した場合、潜像を施さない部分の線画は、基本曲線方向に連続 した一本の線画として認識されるが、潜像を施した部分の線画は認識不能となり 、潜像を施した部分と潜像を施さない部分に濃度差が生じ、潜像が発現する。
【0016】 また、潜像を施さない部分の線画と潜像を施した部分の線画の線画上の境界線 を、基本曲線と潜像の輪郭線との交点において前記基本曲線に接する直線に対し 、略直角に交わる直線とし、併せて、定周期断絶線上の画線部と非画線部の境界 線を、基本曲線と定周期断絶線上の画線部と非画線部の境界線との交点において 、前記基本曲線に接する直線に対し、略直角に交わる直線とすることで、基本曲 線の曲線形状に応じて、各々の境界線に異なる角度を付与できる。従って、潜像 を施さない部分の線画と潜像を施した部分の線画の線画上の境界線、及び、潜像 を施した部分の定周期断絶線上の画線部と非画線部の境界線は、潜像の輪郭線に 関係なく複写防止模様の曲線形状によって常に変化し、潜像を施さない部分の線 画と潜像を施した部分の線画の線画上の境界線と、潜像を施した部分の定周期断 絶線上の画線部と非画線部の境界線は、必ずしも互いに同一方向にならないので 、潜像の輪郭線と複写防止模様の線画の干渉を防止でき、肉眼による潜像の非視 認性に有効に作用している。
【0017】
【実施例】 本考案の効果を奏する模様は、一定の画線幅の線画を有する複数の多角形を基 本に、前記多角形から内向及び外向した等差数列をなし、且つ前記多角形と同一 の画線幅を有する直線及び曲線による線群で構成した線画の集合模様であり、前 記多角形は、多角形の一辺が直線であれば、三角形、四角形、五角形・・・N角 形によるものであっても良い。また、隣接する多角形の一辺の長さや面積及び角 数等が異なっても、本考案の効果を奏する模様が作成される。
【0018】 本実施例では、考案の技術的内容をより明確にするために、前記多角形を図3 に示すように2次元座標上において、辺L1、L2、L3と三つの頂点P、P’ 、P”で構成される三角形が並んだ状態のもので説明する。
【0019】 図4は、図3の三角形群を構成する各線分を基に、三角形群から内向及び外向 した等差数列をなし、且つ前記多角形と同一の画線幅を有する直線及び曲線で構 成する線(以下、α線という)群の描画方法を示したものである。まず本考案の 偽造防止模様を構成する線画は、図4に示す三角形群から外向するα線は定量連 続拡張による線画、即ち、三角形群の各線分の外周を半径rの円Rを用いて、三 角形群の各線分の外周と円Rの外周が接する状態で円Rを周回させる時に、円R の中心が描く軌跡に等しい位置に、また三角形群から内向するα線は、収縮配列 をなす線画、即ち、三角形群の各線分の内周を半径rの円Rを用いて、三角形群 の各線分の内周と円Rの外周が接する状態で円Rを周回させる時に、円Rの中心 が描く軌跡に等しい位置に得る。従って、三角形群より外向する線分α1、α2 、α3と、三角形群より内向する線分α4、α5の各々の間隔r′は、半径rの 円Rの中心が描く軌跡に等しくなる。従って、α線を次々と増加することにより 、三角形群から外向した等差数列をなす直線及び曲線で構成するα線群が形成さ れ、更に外向する方向にα線を描画し続ければ、最も外側に位置するα線は正円 に近似してくる。
【0020】 図5は、円Rの半径rをr=400μmとした時の、前記α線群の描画方法に 従い作成した模様である。作成された模様から分かるように、三つの頂点P、P ’、P”及びQ、Q’、Q”で構成される三角形に隣接した部分には、三つの頂 点P、P’、P”で構成される三角形の辺L1、L2、L3に接する半径r=4 00μmの円Rの中心線が描く軌跡の外向、内向する等差数列をなす直万線状態 の直線構成領域f1と、三つの頂点Q、Q’、Q”で構成される三角形の辺S、 T、Uに接する半径r=400μmの円Rの中心線が描く軌跡の外向、内向する 等差数列をなす直万線状態の直線構成領域f1’ができ、三角形群の隣接しない 頂点P、P’部分には同心円弧万線状態の扇状構成領域f2及びf2’が形成さ れ、直線万線画線部分と曲線万線画線部分が一体となって模様化された複写防止 模様ができる。
【0021】 次に、前述したα線群の描画方法によって、複写機等により複写された偽造品 が一目瞭然となるように、一定の図柄パターンを想定した場合の複写防止模様の 作成方法について説明する。
【0022】 まず図6に示すように、四角形で示す基本の多角形群(6)を、A5版サイズ の用紙枠(7)に、基準点0を中心にして所望の位置に放射状に円状配置する。
【0023】 次に、図7に示すように各々の列に円状配置した多角形群(6)に対して、図 4の説明の項で前述したα線の描画方法によってα線、即ち線画を得る。そして 、α線群(8)がA5版サイズの用紙枠(7)の大きさに収るまで描画する。
【0024】 次に、円状配置した多角形群(6)及び描画したα線群(8)(以下、線画と 称する)に潜像を施すため、線画構成を図によって説明する。本考案の線画構成 による複写防止模様は、本来、図8に示すように潜像を施さない部分の曲線及び 直線状の線画(9)と潜像を施した部分の曲線及び直線状の線画(10)によっ て構成されるものであるが、本発明の線画構成をより詳細に示すために、曲線及 び直線上の前記線画を直線と仮定して、図9を用いて説明する。図9は潜像を施 さない部分の線画と、潜像を施した部分の線画が直線状に連続している場合を仮 定して、各々の線画上の境界部分を拡大した図である。従って、本考案の複写防 止模様を曲線及び直線上の線画によって構成した際の、潜像を施さない部分と潜 像を施した部分の線画構成を示した図10における、基本曲線(11)と潜像の 輪郭線(12)との交点(13)において、前記基本曲線(11)に接する直線 (14)、及び、基本曲線(11)と潜像を施した部分の定周期断絶線上の画線 部と非画線部の境界線(17)との交点(13’)において、前記基本曲線(1 1)に接する直線(14)は、図4においては基本曲線(11)と同一となる。
【0025】 まず、図9において、潜像を施さない部分の連続線の基本曲線に対して直角方 向の画線幅をA、潜像を施した部分の定周期断絶線の画線部の基本曲線に対して 直角方向の画線幅をa、潜像を施した部分の定周期断絶線の画線部の基本曲線方 向の長さをb、潜像を施した部分の定周期断絶線の非画線部の基本曲線方向の長 さをC、潜像を施した部分の定周期断絶線の連続した一つの画線部と非画線部か らなる一周期の基本曲線方向の長さをB、印刷した際に画線部の周囲に生じる膨 張値(または収縮値)をχ’とする。ここで、本考案の線画構成による複写防止 模様を印刷する場合、前述のような本考案の効果を奏するためには、潜像を施さ ない部分の連続線と潜像を施した部分の定周期断絶線の画線面積が重要な要素と なるから、印刷時の画線部における基本曲線に対して直角方向の画線幅と基本曲 線方向の画線長さの変化を考慮することが好ましい。印刷物上において、潜像を 施さない部分の連続線の基本曲線に対して直角方向の画線幅はA+χ’+χ’と なり、潜像を施した部分の定周期断絶線の画線部(16)の基本曲線に対して直 角方向の画線幅はa+χ’+χ’、同画線部(16)の基本曲線方向の長さはb +χ’+χ’となる。本考案の作用及び効果を生じさせるためには、基本曲線方 向における前記一周期の長さBにおける、潜像を施さない部分の連続線(15) の領域面積Z1と、潜像を施した部分の定周期断絶線の画線部(16)の領域面 積Z2が等しくなければならない。即ち、本考案の効果を奏する線画構成では、 線画設計の段階において、潜像を施さない部分の連続線(15)の基本曲線に対 して直角方向の画線幅Aと、潜像を施した部分の定周期断絶線の画線部(16) の基本曲線に対して直角方向の画線幅aが、a=B(A+χ’+χ’)/(b+ χ’+χ’)−(χ’+χ’)の関係を満足しなければならない。
【0026】 更に、本考案の複写防止模様の線画構成は、曲線及び直線上の集合模様を形成 する線画を、潜像を施さない部分の線画を連続線、潜像を施した部分の線画を基 本曲線方向に一定の間隔で配列された所定の形状の画線からなる定周期断絶線で 構成し、潜像を施した部分の定周期断絶線のうち、基本曲線方向に連続した一つ の画線部と非画線部からなる一周期に相当する部分の画線面積が、潜像を施さな い部分の連続線のうち、基本曲線方向における前記一周期と同一の長さに相当す る部分の画線面積と等しくなることを特徴としている。印刷物上で、潜像を施し た部分の定周期断絶線の非画線部の基本曲線方向の長さをCとしたとき、図9に 示すCは、潜像が肉眼で視認されず、且つ、複写機では解像されない範囲の30 μm〜150μmで設定すれば良い。
【0027】 また、従来開示されている複写防止用印刷物は、網点もしくは万線等における スクリーンパターンの粗密によって潜像が施されているため、複写防止模様を形 成する各々の線画の、潜像を施さない部分の線画と潜像を施した部分の線画の画 線上の境界線の方向が、潜像を施さない部分と潜像を施した部分の境界部におい て、同一方向に規則性を持ってしまうために干渉が生じ、潜像が目視で視認され てしまうことから、カムフラージ模様を用いらざるを得ない一要因となっていた が、本考案の線画構成は、複写防止模様における潜像の非視認性を高める方法と して、図10に示すように、潜像を施さない部分の連続線と、潜像を施した部分 の定周期断絶線の境界線(18)を、基本曲線(11)と潜像の輪郭線(12) との交点(13)において、前記基本曲線(11)に接する直線(14)に対し 、略直角に交わる直線とし、併せて、定周期断絶線上の画線部と非画線部の境界 線(17)を、基本曲線(11)と定周期断絶線上の画線部と非画線部の境界線 (17)との交点(13’)において、前記基本曲線(11)に接する直線(1 4)に対し、略直角に交わる直線とすることができる。これにより、前記境界線 (18)を、基本曲線(11)と潜像の輪郭線(12)との交点において前記基 本曲線(11)に接する直線(14)に対し、略直角に交わる直線とすることが できるから、潜像を施さない部分の連続線(15)と潜像を施した部分の低周期 断絶線の境界線(18)と、潜像の輪郭線(12)とは同一方向に規則性を持た なくすることができる。よって、本考案による線画構成を用いた複写防止模様を 印刷した場合、潜像を施さない部分の連続線(15)、潜像を施した部分の定周 期断絶線の画線部(16)、潜像の輪郭線(12)及び定周期断絶線上の画線部 と非画線部の境界線(17)の相互間における干渉を防止できる。
【0028】 本考案の実施例をさらに詳細に説明する。本実施例においては市販のコンピュ ータ・グラフィック・デザイン装置(以下CGSという。)を用いた例で説明す る。
【0029】 本考案においては、前述したように、印刷時の画線の膨張値(または収縮値) を加味して製版時における線画設計を行うにあたり、予め膨張値(または収縮値 )をテスト線画で調査したテスト線画として、製版用フィルム原版上の画線幅を 55μmとした線画の形態を有する印刷物を作製した。この印刷物は、用紙に市 販の上質紙を用い、インキのレオロジー適性を、一般的な適性である粘度99ポ アズ、タック値4.4とした市販のオフセットインキ(黒)でオフセット印刷を 行った後、前記印刷物の線画の画線幅を測定した結果、73μmと計測されたの で、画線幅方向の線画合計18μmであり、印刷をした際の画線周囲に生じる膨 張値(または収縮値)χ’は9μmであることがわかった。
【0030】 前記テスト線画により得られた画線周囲に生じる膨張値9μmの値を用いて、 本考案の線画構成により、潜像を施さない部分の連続線の基本曲線に対して直角 方向の印刷画線幅が73μmとなる彩紋模様印刷物を得るための刷版を作製した 。まず市販のCGSを用い、図7に示すような線画を構成する基本をなすスプラ イン曲線からなる基本曲線(11)を二次元座標上に設定し、図11に示すよう に潜像パターン(19)をスプライン曲線からなる基本曲線(11)上に配置し た。なお、前記潜像パターンは、本考案の印刷物が不心得者により複写機によっ て複製された場合に、目視によって明瞭に識別できるものであれば、文字、図形 の何れをも問わない。潜像を施さない部分の線画と潜像を施した部分の線画の境 界は、前記図11におけるスプライン曲線からなる基本曲線(11)と前記潜像 パターンの輪郭線(12)との交点(13)において形成される。
【0031】 まず、本実施例で作成しようとしている複写防止用彩紋模様では、図9におけ る潜像を施さない部分の連続線の基本曲線に対して直角方向の印刷画線幅を73 μmとし、線画設計上の画線幅Aを、前述のテスト線画で把握した画線幅方向の 画線の膨張値18μmを差し引いた55μmと設定した。次に、潜像を施した部 分の線画設計、即ち、図9における定周期断絶線の画線部の基本曲線に対して直 角方向の画線幅aを規定づけるため、定周期断絶線の画線部の基本曲線方向の長 さbと、定周期断絶線の非画線部の基本曲線方向の長さCを設定することが必要 である。まず、印刷物上における定周期断絶線の画線部の基本曲線方向の長さb +χ’+χ’については、潜像が肉眼で視認されず、且つ、複写機で解像されな いことが必要であるから、一般的な複写機の出力解像度を400dpiとすると 1画素は64μmであるため、解像されにくい長さの目安として64μm以下が 適しており、本実施例では、前記長さb+χ’+χ’を48μmとした。従って 、テスト線画で把握した基本曲線方向の画線の膨張値18μmを差し引くことに より、bを30μmとした。次に、定周期断絶線の非画線部の基本曲線方向の長 さCは、潜像が肉眼で視認されず、且つ、複写機で解像されない範囲の30μm 〜150μmが可能であるが、本実施例では102μmとした。これにより、定 周期断絶線の一周期の基本曲線方向の長さBとして、30+18+102の15 0μmが得られた。従って、設定されたbとBを前記計算式にあてはめると、a =150(55+9+9)/(30+9+9)−(9+9)となり、定周期断絶 線の画線部の基本曲線に対して直角方向の画線幅aとして約210μmが得られ た。
【0032】 更に、前記計算式で得られた数値によって、図12のように二次元データ上で 、線画設計段階における、潜像を施さない部分の連続線(15’)の基本曲線に 対して直角方向の画線幅Aを55μm、潜像を施した部分の定周期断絶線の画線 部(16’)の基本曲線に対して直角方向の画線部aを210μm、同画像部( 16’)の基本曲線方向の長さbを30μm、潜像を施した部分の定周期断絶線 の一周期の基本曲線方向の長さBを150μmで構成した彩紋模様を、市販のレ ーザープロッターを用いて製版用フィルム原版を得、市販のポジタイプPS版で 刷版を作製した。次に、得られた刷版を用い、市販の上質紙上に、インキのレオ ロジー適性を、粘度99ポアズ、タック値4.4とした市販のオフセットインキ (黒)で、印刷機器の調整は一般の平版オフセット印刷に等しく、特別に調整す ることなくオフセット印刷を行い、図14の印刷物を得た。
【0033】 図13の印刷物(20)を目視で観察した場合、観察者には、潜像を施した部 分の線画(22)が定周期断絶線であるにもかかわらず、潜像を施さない部分の 線画(21)基本曲線方向に連続した一本の線画であるかのように認識されるこ とにより、肉眼では潜像をまったく識別できなくすることを可能にしている。従 って、観察者は印刷画線の拡大視を試みない限り、潜像パターン(19)の存在 をまったく視認することができず、一様な地紋模様のように見える
【0034】 図14は、本考案の複写防止模様を有する図13の印刷物(20)を、デジタ ルカラー複写機(キャノン・カラーレーザーコピア470)によって複製した複 製物(23)を示したものである。図13に示す潜像を施した部分(22)に対 置する図14の潜像を施した部分(25)は、複写機で再生不能となり、潜像を 施さない部分の連続線(24)のみが認識できる線画となることから顕像(25 )の状態となり、複写機を用いた複製物であることは一目瞭然であった。これに よって真偽判別が可能となる。
【0035】 更に、図13の潜像を施さない部分(21)は、前述したように、複雑な画線 形状を形成しているので、部分的には直万線状態であったり、同心円弧万線状態 であったりしていることから、図14のデジタルカラー複写機(キャノン・カラ ーレーザーコピア470)の複製物(23)において、図複写すると部分的に直 万線状態部分の線配列とデジタルカラー複写機の走査線の線配列が干渉し、干渉 縞を発生させ、また、部分的に同心円弧万線状態部分の線配列とデジタルカラー 複写機の走査線の線配列が干渉し、干渉縞が発生する。これらの各々の干渉縞が 合成されて、図9に示す印刷物の背景の一様の地紋状模様が、複写機等により複 写した場合には図10に示すように、複写印刷物の背景に予め意図した同心円状 の図形化された模様が顕著に発現し、複写機を用いた複製物であることは一目瞭 然となる。
【0036】
【考案の効果】
以上詳細に説明したように、本考案の方法による複写防止模様を有する各種証 明書及び重要書類等をはじめ、銀行券、株券、債券などの有価証券等の印刷物は 、肉眼で視認した場合には単なる一様な地紋状模様として認識され、複写機等に より複写した場合には、モアレ模様による図形化されたパターンが顕著に発現す る。従って、本考案の方法による複写防止模様を施すことによって、前記有価証 券等の印刷物が複写機等により複写されたものであるか否かを、モアレ模様その ものを知らない一般の人が、真正物には存在しない円形状等の模様を視認するこ とによって、何等の器具、装置を用いずに真正物であるか複写物であるかの識別 をすることができるだけでなく、複写機により複写した場合は潜像を施した部分 が再生不能となり、潜像が顕像化されるので、複写機による偽造、変造を防止で きる。また、本考案の地紋模様では、単色印刷においても容易に肉眼では潜像を 識別できないことから、あえてカムフラージ模様を重ね刷りする必要がなく、前 記地紋模様を単色の地紋模様として用いることもできる。
【0037】 本考案は、モアレ模様の発生と潜像の現出という一つの印刷物いおいて二重の 複写防止効果を有しており、一方の複写機にはモアレ模様の発生が効果を有した り、もう一方の複写機には潜像の現出の効果を有したり、更にもう一方ではモア レ模様の発生と潜像の現出が同時に生じたりすることによって、複写機おける複 写で両者の模様の複写機による偽造、変造を防止しなければならない銀行券、株 券、債券等の有価証券や、各種証明書及び重要書類等の複写機において、容易に 、且つ、確実に複写物であると識別することができるだけでなく、デジタル複写 機だけでなくアナログ複写機の様々な機種に対応した偽造、変造防止効果を有す る技術として有効である。
【提出日】平成8年5月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】 【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、偽造、変造防止を必要とする印刷物において、該印刷物をデジタル カラー複写機及びデジタルモノクロ複写機(以下、複写機と称する)による複写 や、プロセス印刷によって複製した場合に、モアレや潜像による顕著な模様を発 現させる複写防止を有する印刷物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近の複写機の著しい普及に伴い、銀行券、株券、債券等の有価証券、各種証 明書及び重要書類等の印刷物において、複写機による偽造、変造に対する防止策 は重要な要素である。そうした複写機による複写物に対して、真正物であるか否 かを判定する場合の有効な偽造防止策の一つにモアレによる模様がある。モアレ による模様は、一定の画線幅を有する直線や曲線が一定間隔で連続配列している 印刷物上の模様と、複写時において複写機の走査入出力の走査線とが干渉し、干 渉縞として発生するものである。また、印刷物を複写機で複写すると目視では認 識できなかった潜像を現出するコピー防止画線等がある。しかし最近のカラー複 写機の著しい普及に伴い、偽造、変造による犯罪が増加する危険性を有しており 、より一層効果の高い偽造、変造防止策としての技術の開発が望まれていた。
【0003】 前記偽造防止策としてのモアレによる模様を発生させる画線構成として、まず 万線パターンによるものがある。例えば、実公平2−43747号公報には、電 子写真方式のカラーコピーマシンによる複写偽造を防止するために、シート基材 上に1つの色で万線パターンによる印刷層を形成し、更に該印刷層上に他の色で 上記パターンと角度を変えて、万線パターン又は網点パターンによる印刷層を形 成して、これをカラーコピーマシンによりコピーすると、カラーコピーマシンに 用いられているレンズのレンズ収差により周辺部に歪みが生じるとともに、パタ ーンを各々異なる色で構成しているので、色収差のために各色間でずれが生じ、 本物の印刷物のモアレとは異なったモアレが発生するので、目視のみでカラーコ ピーマシンによる複写偽造のチェックができる、複写偽造防止用印刷物が開示さ れており、また、実開平1−36866号公報によると、隣り合う放射状線相互 の間隔が略一定になるようにして、被画線形成物上の基準点から放射する多数本 の放射状線を具備し、被画線形成物を複写した際にCCDセンサーの走査方向と 平行になる部分に、確実にモアレを発生させて複写物であることを特定できる画 像形成体が開示されている。しかし、前記いずれの考案も、万線パターンを利用 しているので、画線を構成する万線の角度に依存せざるを得ず、従って万線パタ ーンの角度をかえた画線を多く組み合わせることが必要とされる。
【0004】 そこで前述した角度に依存せずにモアレを発生させるものとして、同心円パタ ーンを用いた、例えば、実開平5−12173号公報には、被複写紙上に一定間 隔を隔てた多数の同心円、あるいは多数の放射線よりなる背景部を印刷形成し、 デジタルコピー機による複写時に、上記背景部中のいずれかの部分がデジタルコ ピー機の読取り方向に対してモアレを発生させる傾斜角度のアミ点あるいは線群 とさせることにより、複写紙上にこの部分を被複写紙の背景部にはないモアレ発 生部として現出させることによって、どのような読取り方向から複写した場合で も被複写紙と同一の複写を行なわさせず、複写紙上に差異部を現出させて被複写 紙との違いを明確とさせることが可能な、デジタルコピー機による複写偽造防止 用の被複写紙が開示されている。また、特開平6−262893号公報には、基 紙の表面に施された潜像と背景の一方が150線10%程度の網点で形成される と他方が同心円パターンで形成され、同心円パターンの円形を構成する細線が1 /10mmの太さを有し、且つ細線相互の間隔Sが1/2mm程度であり、潜像 と背景は同色であり、同心円パターンを構成する細線は網点同様無数に存在し、 且つ目立たないため、通常は網点との識別がつかず、肉眼で潜像と背景は一様平 面に観察されるが、コピーをすると複写機の形式を問わず、また光の走査方向や 用紙の置き方にも関係なく潜像が明瞭に現出するとともにモアレが発生すること によって、潜像の視認性とモアレの視認性によって偽造防止する、複写機適応型 コピー偽造防止用紙が開示されている。
【0005】 しかし、前記いずれの技術を用いても、モアレの発生は複写機の走査方向に応 じて印刷物中の図柄の一部分で発現するので、単純なモアレによる模様とならざ るを得ず、モアレによる模様そのものを知らない一般の人が、市場流通過程にお いて真正な印刷物を複写した場合に発現するモアレによる模様によって、複写機 による複写物であると判別するには、十分な真偽判別要素となり得ていないとい う問題点があった。
【0006】 そこで本願考案者は前述の問題点を解決するため、先に特願平7−19267 4号において、一定の画線幅の画線を有する複数の多角形に、前記多角形の辺を なす線分の外向には、多角形の線分と同一の画線幅の定量連続拡張した画線を施 し、前記多角形の辺をなす線分の内向には、多角形の線分と同一の画線幅の収縮 配列した画線を施し、前記多角形の辺をなす線分と、定量連続拡張した線画と、 収縮配列した線画とが等差数列をなす線画の集合体で構成した、複写防止模様の 作成方法とその印刷物を提案した。
【0007】 また、印刷物を複写機で複写すると目視では認識できなかった潜像を現出する ような方法の代表的な技術として、一般的にコピー防止画線と称する一連の技術 がある。即ち複写機によって複写することにより、印刷物中に施してあった潜像 が現出するものである。このような複写機による偽造防止に適する印刷物におい ては、例えば、特開昭57−20395号公報には、基紙表面に例えば85線3 0%の網点である微細構成素子よりなる文字を表示した潜像を銀インキを用いて 印刷し、次にこの潜像以外の余白部に前記潜像より粗または密(例えば150線 30%)の網点で印刷を施すと共に、前記潜像の上面に彩紋や地紋等の印刷模様 を施す、複写による偽造防止に適する潜像入り印刷物が開示されており、また、 特開昭60−79991号公報には、用紙の表面に網点で潜像を印刷し、万線で 潜像と同濃度の背景を同時印刷し、背景を含む潜像の上面に装飾模様をコピーで 再現されない程度の薄色の透明性インキで重ね刷りすることにより、印刷物表面 を体裁よく仕上げ、コピーにかけると模様は見えなくなり、背景は再現されると 共に潜像は再現されず、背景と潜像の濃度差が歴然となって複写物であることが 一見して分かる、複写防止に適する印刷物が、更に、特開昭60−87380号 公報には、150線10%の網点よりなる潜像をそなえ、且つ潜像周囲の白地面 に50〜60線10%程度の万線よりなる背景を備えた潜像版を用いて、用紙の 表面に濃色の印刷を施し、背景の万線と干渉した時にモアレ模様を形成する平行 線よりなる波形パターンを備えたオーバープリント版を用いて、用紙表面に複写 機で再生されない淡色の重ね刷りを施すことにより、印刷物の表面は肉眼を幻惑 するモアレ模様が形成されるので潜像の存在は識別困難となり、複写機にかける と潜像と波形パターンは再生されずに背景のみが再生されるので、潜像が背景と 区別して認められる、印刷物における複写防止用潜像カムフラージ法等が開示さ れている。
【0008】 前記公報等による印刷物は、いずれも網点もしくは万線等の点及び線が一定周 期で連続配置する画線群(以下、スクリーンパターンと称する)の粗密によって 潜像が施され、図1の印刷物(1)に示すように、印刷面全体の模様(2)が均 一濃度を持ったスクリーンパターンとなっている。前記潜像が施された印刷物( 1)を複写機によって複写した際、再生されない密構成のスクリーンパターン( 3)と、再生される粗構成のスクリーンパターン(4)とは、図2の複写物(1 ’)の模様(2’)に示すように濃度差が生じて、再生される粗構成のスクリー ンパターン(4’)に対して、再生されない密構成のスクリーンパターン(3’ )の潜像部分が現出するようにして、複写物であることが一目瞭然となるように したものであるが、印刷面全体が均一濃度を持ったスクリーンパターンという特 徴から、肉眼視においても同一印刷面上の異なるスクリーンパターンによって、 スクリーン形状の違いによる異別感及びスクリーンパターンゆえに生ずる潜像の 境界線との干渉部(5)により、潜像の存在を識別できてしまう欠点がある。前 記欠点を解決する方法として、前記公報等はいずれも潜像をカムフラージするた めに別の模様や薄色の透明インキ、淡色の重ね刷りを施しているが、前記方法は 潜像を識別しにくくする点では有効であるが、工程数が増え経済的でないという 欠点を有している。
【0009】 そこで本願考案者は前述の問題点を解決するため、先に特願平7−13887 9号において、曲線状の集合模様を、潜像を施さない部分の線画を連続線、潜像 を施した部分の線画を基本曲線方向に一定の間隔で配列された所定の形状の画線 からなる定周期断絶線で構成し、潜像を施した部分の定周期断絶線のうち、基本 曲線方向に連続した一つの画線部と非画線部からなる一周期に相当する部分の画 線面積が、潜像を施さない部分の連続線のうち、基本曲線方向における前記一周 期と同一の長さに相当する部分の画線面積と等しくなることを特徴とし、また、 潜像を施さない部分の線画と潜像を施した部分の線画の線画上の境界線が、基本 曲線と潜像の輪郭線との交点において前記基本曲線に接する直線に対し、略直角 に交わる直線となり、併せて、定周期断絶線上の画線部と非画線部の境界線が、 基本曲線と定周期断絶線上の画線部と非画線部の境界線との交点において前記基 本曲線に接する直線に対し、略直角に交わる直線となることを特徴とする複写防 止模様の作成方法と印刷物を提案した。
【0010】 しかし、本願考案者が先に提案した、前記特願平7−192674号及び特願 平7−138879号の複写防止模様は、前者は複写時におけるモアレの現出で あり、後者は複写時における潜像の現出という、各々の複写防止模様が、複写時 における偽造、変造を防止するために、固有の効果を奏しているに過ぎず、複写 機等の解像度、性能等の向上による技術の進歩に伴い、偽造、変造に対して何段 階ものガードが必要になり、更に効果を奏する複写防止技術が望まれていた。
【0011】
【考案が解決しようとする課題】
本考案は上述の点に鑑みなされたもので、複写防止を必要とする各種証明書及 び重要書類等をはじめ、銀行券、株券、債券などの有価証券等の印刷物において 、同一印刷物上に、前記特願平7−192674号及び前記特願平7−1388 79号の両者の機能を付与することにより、複写機による複写や、通称プロセス 印刷といわれるもののうち、幾何学的に規則正しく分布された点または線を用い た、例えばスクウェアドット、チェーンドット等の印刷スクリーン製版法により 複製(以下複写機等により複写という)されたものであるか否かを、印刷物上の 模様と複写時における複写機の走査入出力の走査線との干渉によって生じる模様 (以下モアレ模様という)そのものを知らない一般の人であっても、真正物には 存在しない図形状模様を、複写物には明瞭に発現させることによって、容易に、 且つ、確実に複写物であると識別することができるだけでなく、通常は肉眼で識 別できない潜像を施すことによって、カムフラージのための重ね刷りも必要とせ ず、デジタル複写機だけでなくアナログ複写機を含めた様々な機種に対応した偽 造、変造防止効果を有する複写防止模様を有する印刷物の提供を目的としたもの である。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本考案は、一定の画線幅の線画を有する複数の多角形に、前記多角形の辺をな す線分の外向、即ち線分の外側には、多角形の線分と同一の画線幅の定量連続拡 張した線画を施し、前記多角形の辺をなす線分の内向、即ち線分の内側には、多 角形の線分と同一の画線幅の収縮配列した線画を施し、前記多角形の辺をなす線 分と、定量連続拡張した線画と、収縮配列した線画との各々の間隔が同一間隔の 線画の集合体であり、また前記複数の多角形を円状配置し、それら複数の多角形 の辺をなす線分の外向には、多角形の線分と同一の画線幅の定量連続拡張した線 画を施し、前記多角形の辺をなす線分の内向には、多角形の線分と同一の画線幅 の収縮配列した線画を施すことにより、複写した場合に発現する図柄化したモア レ模様を予め設定することができることを特徴とする複写防止模様を有する印刷 物である。なお、定量連続拡張した線画とは、多角形の線分を基準として、該線 分の外向方向に一定間隔で拡張を繰り返した線画をいい、収縮配列した線画とは 、多角形の線分を基準として、該線分の内向方向に一定間隔で収縮を繰り返した 線画をいう。
【0013】 更に、前述のようにして得た複写防止模様の線画の直線及び曲線状の集合模様 を、潜像を施さない部分の線画を連続線、潜像を施した部分の線画を基本曲線( 直線を含む)方向に一定の間隔で配列された所定の形状の画線からなる定周期断 絶線で構成し、潜像を施した部分の定周期断絶線のうち、基本曲線方向に連続し た一つの画線部と非画線部からなる一周期に相当する部分の画線面積が、潜像を 施さない部分の連続線のうち、基本曲線方向における前記一周期と同一の長さに 相当する部分の画線面積と等しくなることを特徴としている。また、潜像を施さ ない部分の線画と潜像を施した部分の線画の線画上の境界線が、基本曲線と潜像 の輪郭線との交点において前記基本曲線に接する直線に対し、略直角に交わる直 線となり、併せて、定周期断絶線上の画線部と非画線部の境界線が、基本曲線と 定周期断絶線上の画線部と非画線部の境界線との交点において前記基本曲線に接 する直線に対し、略直角に交わる直線となることを特徴としている。
【0014】
【考案の実施の形態】
本考案の複写防止模様は、一定の画線幅の線画を有する複数の多角形を基本と した多角形群に、多角形群の各線分の外向には多角形群と同一の画線幅の線画を 定量連続拡張した線画で、多角形群の各線分の内向には多角形群と同一の画線幅 の線画を収縮配列した線画の集合体によって、複写機等により複写された場合に 発現するモアレ模様を、意図する図形に図形化して構成している。従って、肉眼 で視認した場合は、用いる線画の画線幅が全て同一で、且つ、線画と線画の間隔 が等しい、即ち、等差数列をなしているから、一様の地紋状模様として視認され るが、複写機等により複写すると、本考案の複写防止模様中には、異なる方向の 直万線状態の直線画線構成領域と、開口方向が異なる方向の同心円弧万線状態の 扇状画線構成領域とが形成されているので、これらの各々の異なる方向の線画と 複写機の走査線の線配列とが干渉し、予め意図した図形化されたモアレ模様が発 現し、複写機等により複写した複写物であることが一目瞭然となる。また、複数 の多角形を円状配置したり、円状を多層に階層配置する等により、複写した場合 に発現する真正物にはない図柄化したモアレ模様を予め設定することができるの で、複写物であると判定する要素として、図柄によって広く一般に周知すること ができる。
【0015】 更に、直線及び曲線状の集合模様を形成する地紋状模様の線画を、潜像を施さ ない部分の線画を連続線、潜像を施した部分の線画を基本曲線(直線を含む)方 向に一定の間隔で配列された所定の形状の画線からなる定周期断絶線で構成し、 潜像を施した定周期断絶線のうち、基本曲線方向に連続した一つの画線部と非画 線部からなる一周期に相当する部分の画線面積が、潜像を施さない部分の連続線 のうち、基本曲線方向における前記一周期と同一の長さに相当する部分の画線面 積と等しくなるように複写防止模様が構成される。即ち、潜像を施さない部分の 線画と潜像を施した部分の線画を、基本曲線方向における前記一周期と同一の長 さに相当する部分で同一の画線面積とし、且つ、膨張値等を加味した線画を印刷 した印刷物の全体を観察した場合、観察者には、潜像を施した部分が定周期断絶 線であるにもかかわらず、潜像を施さない部分の連続線の延長であるかのように 認識されることにより、肉眼では潜像をまったく識別できなくすることを可能に している。また、本考案の線画構成を有した印刷物を複写機により複写すると、 複写機の解像力から、潜像を施さない部分の連続線はそのまま再生され、潜像を 施した部分の定周期断絶線は再生されないか、もしくは再生不良となるため、複 写物を肉眼で観察した場合、潜像を施さない部分の線画は、基本曲線方向に連続 した一本の線画として認識されるが、潜像を施した部分の線画は認識不能となり 、潜像を施した部分と潜像を施さない部分に濃度差が生じ、潜像が発現する。
【0016】 また、潜像を施さない部分の線画と潜像を施した部分の線画の線画上の境界線 を、基本曲線と潜像の輪郭線との交点において前記基本曲線に接する直線に対し 、略直角に交わる直線とし、併せて、定周期断絶線上の画線部と非画線部の境界 線を、基本曲線と定周期断絶線上の画線部と非画線部の境界線との交点において 、前記基本曲線に接する直線に対し、略直角に交わる直線とすることで、基本曲 線の曲線形状に応じて、各々の境界線に異なる角度を付与できる。従って、潜像 を施さない部分の線画と潜像を施した部分の線画の線画上の境界線、及び、潜像 を施した部分の定周期断絶線上の画線部と非画線部の境界線は、潜像の輪郭線に 関係なく複写防止模様の曲線形状によって常に変化し、潜像を施さない部分の線 画と潜像を施した部分の線画の線画上の境界線と、潜像を施した部分の定周期断 絶線上の画線部と非画線部の境界線は、必ずしも互いに同一方向にならないので 、潜像の輪郭線と複写防止模様の線画の干渉を防止でき、肉眼による潜像の非視 認性に有効に作用している。
【0017】
【実施例】
本考案の効果を奏する模様は、一定の画線幅の線画を有する複数の多角形を基 本に、前記多角形から内向及び外向した等差数列をなし、且つ前記多角形と同一 の画線幅を有する直線及び曲線による線群で構成した線画の集合模様であり、前 記多角形は、多角形の一辺が直線であれば、三角形、四角形、五角形・・・N角 形によるものであっても良い。また、隣接する多角形の一辺の長さや面積及び角 数等が異なっても、本考案の効果を奏する模様が作成される。
【0018】 本実施例では、考案の技術的内容をより明確にするために、前記多角形を図3 に示すように2次元座標上において、辺L1、L2、L3と三つの頂点P、P’ 、P”で構成される三角形が並んだ状態のもので説明する。
【0019】 図4は、図3の三角形群を構成する各線分を基に、三角形群から内向及び外向 した等差数列をなし、且つ前記多角形と同一の画線幅を有する直線及び曲線で構 成する線(以下、α線という)群の描画方法を示したものである。まず本考案の 偽造防止模様を構成する線画は、図4に示す三角形群から外向するα線は定量連 続拡張による線画、即ち、三角形群の各線分の外周を半径rの円Rを用いて、三 角形群の各線分の外周と円Rの外周が接する状態で円Rを周回させる時に、円R の中心が描く軌跡に等しい位置に、また三角形群から内向するα線は、収縮配列 をなす線画、即ち、三角形群の各線分の内周を半径rの円Rを用いて、三角形群 の各線分の内周と円Rの外周が接する状態で円Rを周回させる時に、円Rの中心 が描く軌跡に等しい位置に得る。従って、三角形群より外向する線分α1、α2 、α3と、三角形群より内向する線分α4、α5の各々の間隔r′は、半径rの 円Rの中心が描く軌跡に等しくなる。従って、α線を次々と増加することにより 、三角形群から外向した等差数列をなす直線及び曲線で構成するα線群が形成さ れ、更に外向する方向にα線を描画し続ければ、最も外側に位置するα線は正円 に近似してくる。
【0020】 図5は、円Rの半径rをr=400μmとした時の、前記α線群の描画方法に 従い作成した模様である。作成された模様から分かるように、三つの頂点P、P ’、P”及びQ、Q’、Q”で構成される三角形に隣接した部分には、三つの頂 点P、P’、P”で構成される三角形の辺L1、L2、L3に接する半径r=4 00μmの円Rの中心線が描く軌跡の外向、内向する等差数列をなす直万線状態 の直線構成領域f1と、三つの頂点Q、Q’、Q”で構成される三角形の辺S、 T、Uに接する半径r=400μmの円Rの中心線が描く軌跡の外向、内向する 等差数列をなす直万線状態の直線構成領域f1’ができ、三角形群の隣接しない 頂点P、部分には同心円弧万線状態の扇状構成領域f2及びf2’が形成され 、直線万線画線部分と曲線万線画線部分が一体となって模様化された複写防止模 様ができる。
【0021】 次に、前述したα線群の描画方法によって、複写機等により複写された偽造品 が一目瞭然となるように、一定の図柄パターンを想定した場合の複写防止模様の 作成方法について説明する。
【0022】 まず図6に示すように、四角形で示す基本の多角形群(6)を、A5版サイズ の用紙枠(7)に、基準点0を中心にして所望の位置に放射状に円状配置する。
【0023】 次に、図7に示すように、放射状に円状配置した各々の四角形に対して、図4 の説明の項で前述したα線の描画方法によってα線群(8)を形成し、α線群( 8)がA5版サイズの用紙枠(7)の大きさに収るまで描画する。
【0024】 次に、放射状に円状配置した多四角形群(6)及び描画したα線群(8)(以 下、線画と称する)に潜像を施すため、線画構成を図によって説明する。本考案 の線画構成による複写防止模様は、本来、図8に示すように潜像を施さない部分 の曲線及び直線状の線画(9)と潜像を施した部分の曲線及び直線状の線画(1 0)によって構成されるものであるが、本考案の線画構成をより詳細に示すため に、曲線及び直線状で構成される前記線画を直線と仮定して、図9を用いて説明 する。図9は潜像を施さない部分の線画と、潜像を施した部分の線画が直線状に 連続している場合を仮定して、各々の線画上の境界部分を拡大した図である。従 って、本考案の複写防止模様を曲線及び直線の線画によって構成した際の、潜 像を施さない部分と潜像を施した部分の線画構成を示した図10における、基本 曲線(11)と潜像の輪郭線(12)との交点(13)において、前記基本曲線 (11)に接する直線(14)、及び、基本曲線(11)と潜像を施した部分の 定周期断絶線上の画線部と非画線部の境界線(17)との交点(13’)におい て、前記基本曲線(11)に接する直線(14)は、図4においては基本曲線( 11)と同一となる。
【0025】 まず、図9において、潜像を施さない部分の連続線の基本曲線に対して直角方 向の画線幅をA、潜像を施した部分の定周期断絶線の画線部の基本曲線に対して 直角方向の画線幅をa、潜像を施した部分の定周期断絶線の画線部の基本曲線方 向の長さをb、潜像を施した部分の定周期断絶線の非画線部の基本曲線方向の長 さをC、潜像を施した部分の定周期断絶線の連続した一つの画線部と非画線部か らなる一周期の基本曲線方向の長さをB、印刷した際に画線部の周囲に生じる膨 張値(または収縮値)をχ’とする。ここで、本考案の線画構成による複写防止 模様を印刷する場合、前述のような本考案の効果を奏するためには、潜像を施さ ない部分の連続線と潜像を施した部分の定周期断絶線の画線面積が重要な要素と なるから、印刷時の画線部における基本曲線に対して直角方向の画線幅と基本曲 線方向の画線長さの変化を考慮することが好ましい。印刷物上において、潜像を 施さない部分の連続線の基本曲線に対して直角方向の画線幅はA+χ’+χ’と なり、潜像を施した部分の定周期断絶線の画線部(16)の基本曲線に対して直 角方向の画線幅はa+χ’+χ’、同画線部(16)の基本曲線方向の長さはb +χ’+χ’となる。本考案の作用及び効果を生じさせるためには、基本曲線方 向における前記一周期の長さBにおける、潜像を施さない部分の連続線(15) の領域面積Z1と、潜像を施した部分の定周期断絶線の画線部(16)の領域面 積Z2が等しくなければならない。即ち、本考案の効果を奏する線画構成では、 線画設計の段階において、潜像を施さない部分の連続線(15)の基本曲線に対 して直角方向の画線幅Aと、潜像を施した部分の定周期断絶線の画線部(16) の基本曲線に対して直角方向の画線幅aが、a=B(A+χ’+χ’)/(b+ χ’+χ’)−(χ’+χ’)の関係を満足しなければならない。
【0026】 更に、本考案の複写防止模様の線画構成は、曲線及び直線状の集合模様を形成 する線画を、潜像を施さない部分の線画を連続線、潜像を施した部分の線画を基 本曲線方向に一定の間隔で配列された所定の形状の画線からなる定周期断絶線で 構成し、潜像を施した部分の定周期断絶線のうち、基本曲線方向に連続した一つ の画線部と非画線部からなる一周期に相当する部分の画線面積が、潜像を施さな い部分の連続線のうち、基本曲線方向における前記一周期と同一の長さに相当す る部分の画線面積と等しくなることを特徴としている。印刷物上で、潜像を施し た部分の定周期断絶線の非画線部の基本曲線方向の長さをCとしたとき、図9に 示すCは、潜像が肉眼で視認されず、且つ、複写機では解像されない範囲の30 μm〜150μmで設定すれば良い。
【0027】 また、従来開示されている複写防止用印刷物は、網点もしくは万線等における スクリーンパターンの粗密によって潜像が施されているため、複写防止模様を形 成する各々の線画の、潜像を施さない部分の線画と潜像を施した部分の線画の画 線上の境界線の方向が、潜像を施さない部分と潜像を施した部分の境界部におい て、同一方向に規則性を持ってしまうために干渉が生じ、潜像が目視で視認され てしまうことから、カムフラージ模様を用いらざるを得ない一要因となっていた が、本考案の線画構成は、複写防止模様における潜像の非視認性を高める方法と して、図10に示すように、潜像を施さない部分の連続線と、潜像を施した部分 の定周期断絶線の境界線(18)を、基本曲線(11)と潜像の輪郭線(12) との交点(13)において、前記基本曲線(11)に接する直線(14)に対し 、略直角に交わる直線とし、併せて、定周期断絶線上の画線部と非画線部の境界 線(17)を、基本曲線(11)と定周期断絶線上の画線部と非画線部の境界線 (17)との交点(13’)において、前記基本曲線(11)に接する直線(1 4)に対し、略直角に交わる直線とすることができる。これにより、前記境界線 (18)を、基本曲線(11)と潜像の輪郭線(12)との交点において前記基 本曲線(11)に接する直線(14)に対し、略直角に交わる直線とすることが できるから、潜像を施さない部分の連続線(15)と潜像を施した部分の周期 断絶線の境界線(18)と、潜像の輪郭線(12)とは同一方向に規則性を持た なくすることができる。よって、本考案による線画構成を用いた複写防止模様を 印刷した場合、潜像を施さない部分の連続線(15)、潜像を施した部分の定周 期断絶線の画線部(16)、潜像の輪郭線(12)及び定周期断絶線上の画線部 と非画線部の境界線(17)の相互間における干渉を防止できる。
【0028】 本考案の実施例をさらに詳細に説明する。本実施例においては市販のコンピュ ータ・グラフィック・デザイン装置(以下CGSという。)を用いた例で説明す る。
【0029】 本考案においては、前述したように、印刷時の画線の膨張値(または収縮値) を加味して製版時における線画設計を行うにあたり、予め膨張値(または収縮値 )をテスト線画で調査した。テスト線画として、製版用フィルム原版上の画線幅 を55μmとした線画の形態を有する印刷物を作製した。この印刷物は、用紙に 市販の上質紙を用い、インキのレオロジー適性を、一般的な適性である粘度99 ポアズ、タック値4.4とした市販のオフセットインキ(黒)でオフセット印刷 を行った後、前記印刷物の線画画線の画線幅を測定した結果、73μmと計測さ れたので、画線幅方向の線画画線の膨張値は合計18μmであり、印刷をした際 の画線周囲に生じる膨張値(または収縮値)χ’は9μmであることがわかった 。
【0030】 前記テスト線画画線により得られた画線周囲に生じる膨張値9μmの値を用い て、本考案の線画構成により、潜像を施さない部分の連続線の基本曲線に対して 直角方向の印刷画線幅が73μmとなる彩紋模様印刷物を得るための刷版を作製 した。まず市販のCGSを用い、図7に示すような線画を構成する基本をなすス プライン曲線からなる基本曲線(11)を二次元座標上に設定し、図11に示す ように潜像パターン(19)をスプライン曲線からなる基本曲線(11)上に配 置した。なお、前記潜像パターンは、本考案の印刷物が不心得者により複写機に よって複製された場合に、目視によって明瞭に識別できるものであれば、文字、 図形の何れをも問わない。潜像を施さない部分の線画と潜像を施した部分の線画 の境界は、前記図11におけるスプライン曲線からなる基本曲線(11)と前記 潜像パターンの輪郭線(12)との交点(13)において形成される。
【0031】 まず、本実施例で作成しようとしている複写防止用彩紋模様では、図9におけ る潜像を施さない部分の連続線の基本曲線に対して直角方向の印刷画線幅を73 μmとし、線画設計上の画線幅Aを、前述のテスト線画画線で把握した画線幅方 向の画線の膨張値18μmを差し引いた55μmと設定した。次に、潜像を施し た部分の線画設計、即ち、図9における定周期断絶線の画線部の基本曲線に対し て直角方向の画線幅aを規定づけるため、定周期断絶線の画線部の基本曲線方向 の長さbと、定周期断絶線の非画線部の基本曲線方向の長さCを設定することが 必要である。まず、印刷物上における定周期断絶線の画線部の基本曲線方向の長 さb+χ’+χ’については、潜像が肉眼で視認されず、且つ、複写機で解像さ れないことが必要であるから、一般的な複写機の出力解像度を400dpiとす ると1画素は64μmであるため、解像されにくい長さの目安として64μm以 下が適しており、本実施例では、前記長さb+χ’+χ’を48μmとした。従 って、テスト線画画線で把握した基本曲線方向の画線の膨張値18μmを差し引 くことにより、bを30μmとした。次に、定周期断絶線の非画線部の基本曲線 方向の長さCは、潜像が肉眼で視認されず、且つ、複写機で解像されない範囲の 30μm〜150μmが可能であるが、本実施例では102μmとした。これに より、定周期断絶線の一周期の基本曲線方向の長さBとして、30+18+10 2の150μmが得られた。従って、設定されたbとBを前記計算式にあてはめ ると、a=150(55+9+9)/(30+9+9)−(9+9)となり、定 周期断絶線の画線部の基本曲線に対して直角方向の画線幅aとして約210μm が得られた。
【0032】 更に、前記計算式で得られた数値によって、図12のように二次元データ上で 、線画設計段階における、潜像を施さない部分の連続線(15’)の基本曲線に 対して直角方向の画線幅Aを55μm、潜像を施した部分の定周期断絶線の画線 部(16’)の基本曲線に対して直角方向の画線部aを210μm、同画像部( 16’)の基本曲線方向の長さbを30μm、潜像を施した部分の定周期断絶線 の一周期の基本曲線方向の長さBを150μmで構成した彩紋模様を、市販のレ ーザープロッターを用いて製版用フィルム原版を得、市販のポジタイプPS版で 刷版を作製した。次に、得られた刷版を用い、市販の上質紙上に、インキのレオ ロジー適性を、粘度99ポアズ、タック値4.4とした市販のオフセットインキ (黒)で、印刷機器の調整は一般の平版オフセット印刷に等しく、特別に調整す ることなくオフセット印刷を行い、図13の印刷物を得た。
【0033】 図13の印刷物(20)を目視で観察した場合、観察者には、潜像を施した部 分の線画(22)が定周期断絶線であるにもかかわらず、基本曲線方向に連続し た一本の線画であるかのように認識されることにより、肉眼では潜像をまったく 識別できなくすることを可能にしている。従って、観察者は印刷画線の拡大視を 試みない限り、潜像パターン(19)の存在をまったく視認することができず、 一様な地紋模様のように見える。
【0034】 図14は、本考案の複写防止模様を有する図13の印刷物(20)を、デジタ ルカラー複写機(キャノン・カラーレーザーコピア470)によって複製した複 製物(23)を示したものである。図13に示す潜像を施した部分(22)に対 置する図14の潜像を施した部分(25)は、複写機で再生不能となり、潜像を 施さない部分の連続線(24)のみが認識できる線画となることから顕像(26 )の状態となり、複写機を用いた複製物であることは一目瞭然であった。これに よって真偽判別が可能となる。
【0035】 更に、図13の潜像を施さない部分(21)は、前述したように、複雑な画線 形状を形成しているので、部分的には直万線状態であったり、同心円弧万線状態 であったりしていることから、図14のデジタルカラー複写機(キャノン・カラ ーレーザーコピア470)の複製物(23)においては、部分的に直万線状態部 分の線配列とデジタルカラー複写機の走査線の線配列が干渉し、干渉縞を発生さ せ、また、部分的に同心円弧万線状態部分の線配列とデジタルカラー複写機の走 査線の線配列が干渉し、干渉縞が発生しているのが確認される。これらの各々の 干渉縞が合成されて、図7に示す印刷物の背景の一様の地紋状模様が、複写機等 により複写した場合には図14に示すように、複写印刷物の背景に予め意図した 同心円状の図形化された模様が顕著に発現し、複写機を用いた複製物であること は一目瞭然となる。
【0036】
【考案の効果】
以上詳細に説明したように、本考案による複写防止模様を有する各種証明書及 び重要書類等をはじめ、銀行券、株券、債券などの有価証券等の印刷物は、肉眼 で視認した場合には単なる一様な地紋状模様として認識され、複写機等により複 写した場合には、モアレ模様による図形化されたパターンが顕著に発現する。従 って、本考案による複写防止模様を施すことによって、前記有価証券等の印刷物 が複写機等により複写されたものであるか否かを、モアレ模様そのものを知らな い一般の人が、真正物には存在しない円形状等の模様を視認することによって、 何等の器具、装置を用いずに真正物であるか複写物であるかの識別をすることが できるだけでなく、複写機により複写した場合は潜像を施した部分が再生不能と なり、潜像が顕像化されるので、複写機による偽造、変造を防止できる。また、 本考案の地紋模様では、単色印刷においても容易に肉眼では潜像を識別できない ことから、あえてカムフラージ模様を重ね刷りする必要がなく、前記地紋模様を 単色の地紋模様として用いることもできる。
【0037】 本考案は、モアレ模様の発生と潜像の現出という一つの印刷物において二重の 複写防止効果を有しており、一方の複写機にはモアレ模様の発生が効果を有した り、もう一方の複写機には潜像の現出の効果を有したり、更にもう一方ではモア レ模様の発生と潜像の現出が同時に生じたりすることによって、複写機における 複写で両者の模様の複写機による偽造、変造を防止しなければならない銀行券、 株券、債券等の有価証券や、各種証明書及び重要書類等の複写機において、容易 に、且つ、確実に複写物であると識別することができるだけでなく、デジタル複 写機だけでなくアナログ複写機の様々な機種に対応した偽造、変造防止効果を有 する技術として有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の複写防止用印刷物の模様及び前記模様
の一部拡大図
【図2】 従来の複写防止用印刷物の複写物の模様及び
前記模様の一部拡大図
【図3】 辺L1、L2、L3と三つの頂点P、P’
P”で構成される三角形が並んだ図。
【図4】 三角形のベクトルデータに従って万線を描画
する方法を示した図。
【図5】 複写防止模様の構成を示した図。
【図6】 基本の多角形を放射状に円状配置した図。
【図7】 α線群をΑ5版サイズの大きさに収るまで描
画した図
【図8】 潜像を施さない部分と潜像を施した部分の線
画構成を示した図
【図9】 潜像を施さない部分の線画と潜像を施した部
分の線画の境界線を、潜像の輪郭線と同一方向とし、定
周期断絶線上の画線部と非画線部の境界線を、基本曲線
と関係なく一方向とした場合を示した図
【図10】 本考案の集合模様を有する印刷物及び前記
模様の拡大図
【図11】 基本曲線状に潜像パターンを配置した図と
一部拡大図
【図12】 二次元データ上の線画構成図と一部拡大図
【図13】 本考案の印刷物を示した図と一部拡大図
【図14】 本考案の印刷物の複製物を示した図と一部
拡大図
【符号の説明】
1 従来の複写防止用印刷物 2 印刷面全体の模様 3 印刷物上の再生されない密構成のスクリーンパタ
ーン 3’ 複写物上の再生されない密構成のスクリーンパタ
ーン 4 印刷物上の再生される粗構成のスクリーンパター
ン 4’ 複写物上の再生される粗構成のスクリーンパター
ン 5 潜像の境界線との干渉部 6 円状配置した多角形群 7 A5版サイズの用紙枠 8 描画したα線群 9 潜像を施さない曲線及び直線状の線画 10 潜像を施した曲線及び直線状の線画 11 基本曲線 12 潜像の輪郭線 13 基本曲線と潜像の輪郭線との交点 13’定周期断絶線上の画線部と非画線部の境界線と基
本曲線との交点 14 基本曲線に接する直線 15 潜像を施さない部分の連続線 15’潜像を施さない部分の連続線 16 潜像を施した部分の定周期断絶線の画線部 16’潜像を施した部分の定周期断絶線の画線部 17 潜像を施した部分の定周期断絶線上の画線部と非
画線部の境界線 18 潜像を施さない部分の線画と潜像を施した部分の
線画の境界線 19 潜像パターン 20 印刷物 21 潜像を施さない部分の線画 22 潜像を施した部分の線画 23 複製物 24 潜像を施さない部分の線画 25 潜像を施した部分の線画 L1、L2、L3、S、T、U 三角形の1辺 P、P’、P”、Q、Q’、Q” 三角形の1頂点 f1、f1’、f3、f5 直線構成領域 f2、f2’、f4 扇状構成領域 R 円の直径 r 円Rの半径 r’ 各々の線分の間隔 α1、α2、α3、α4、α5 α線 A 潜像を施さない部分の連続線の基本曲線に対して
直角方向の画線幅 B 潜像を施した部分の定周期断絶線の一周期の基本
曲線方向の長さ C 潜像を施した部分の定周期断絶線の非画線部の基
本曲線方向の長さ a 潜像を施した部分の定周期断絶線の画線部の基本
曲線に対して直角方向の画線幅 b 潜像を施した部分の定周期断絶線の画線部の基本
曲線方向の長さ χ’ 画線周囲に生じる膨張値(または収縮値)
【手続補正書】
【提出日】平成8年5月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【考案の名称】 複写防止模様を有する印刷物
【実用新案登録請求の範囲】
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の複写防止用印刷物の模様及び前記模様
の一部拡大図
【図2】 従来の複写防止用印刷物の複写物の模様及び
前記模様の一部拡大 図
【図3】 辺L1、L2、L3と三つの頂点P、P’
P”で構成される三角形 が並んだ図
【図4】 三角形のベクトルデータに従って万線を描画
する方法を示した図
【図5】 複写防止模様の構成を示した図
【図6】 基本の多角形を放射状に円状配置した図
【図7】 α線群をA5版サイズの大きさに収るまで描
画した図
【図8】 潜像を施さない部分と潜像を施した部分の線
画構成を示した図
【図9】 潜像を施さない部分の線画と潜像を施した部
分の線画の境界部の拡 大図
【図10】 潜像を施さない部分と潜像を施した部分の
線画構成を示した図
【図11】 基本曲線状に潜像パターンを配置した図と
一部拡大図
【図12】 二次元データ上の線画構成図と一部拡大図
【図13】 本考案の印刷物を示した図と一部拡大図
【図14】 本考案の印刷物の複製物を示した図と一部
拡大図
【符号の説明】 1 従来の複写防止用印刷物 2 印刷面全体の模様 3 印刷物上の再生されない密構成のスクリーンパタ
ーン 3’ 複写物上の再生されない密構成のスクリーンパタ
ーン 4 印刷物上の再生される粗構成のスクリーンパター
ン 4’ 複写物上の再生される粗構成のスクリーンパター
ン 5 潜像の境界線との干渉部 6 円状配置した多角形群 7 A5版サイズの用紙枠 8 描画したα線群 9 潜像を施さない曲線及び直線状の線画 10 潜像を施した曲線及び直線状の線画 11 基本曲線 12 潜像の輪郭線 13 基本曲線と潜像の輪郭線との交点 13’定周期断絶線上の画線部と非画線部の境界線と基
本曲線との交点 14 基本曲線に接する直線 15 潜像を施さない部分の連続線 15’潜像を施さない部分の連続線 16 潜像を施した部分の定周期断絶線の画線部 16’潜像を施した部分の定周期断絶線の画線部 17 潜像を施した部分の定周期断絶線上の画線部と非
画線部の境界線 18 潜像を施さない部分の線画と潜像を施した部分の
線画の境界線 19 潜像パターン 20 印刷物 21 潜像を施さない部分の線画 22 潜像を施した部分の線画 23 複製物 24 潜像を施さない部分の線画 25 潜像を施した部分の線画 L1、L2、L3、S、T、U 三角形の1辺 P、P’、P”、Q、Q’、Q” 三角形の1頂点 f1、f1’、f3、f5 直線構成領域 f2、f2’、f4 扇状構成領域 R 円の直径 r 円Rの半径 r’ 各々の線分の間隔 α1、α2、α3、α4、α5 α線 A 潜像を施さない部分の連続線の基本曲線に対して
直角方向の画線幅 B 潜像を施した部分の定周期断絶線の一周期の基本
曲線方向の長さ C 潜像を施した部分の定周期断絶線の非画線部の基
本曲線方向の長さ a 潜像を施した部分の定周期断絶線の画線部の基本
曲線に対して直角方向の画線幅 b 潜像を施した部分の定周期断絶線の画線部の基本
曲線方向の長さ χ’ 画線周囲に生じる膨張値(または収縮値)

Claims (4)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一定の画線幅の線画を有する複数の多角
    形に、前記多角形の辺をなす線分の外向には、多角形の
    線分と同一の画線幅の定量連続拡張した線画を施し、前
    記多角形の辺をなす線分の内向には、多角形の線分と同
    一の画線幅の収縮配列した線画を施し、前記多角形の辺
    をなす線分と、定量連続拡張した線画と、収縮配列した
    線画との各々の間隔が同一間隔の線画の集合模様におい
    て、前記集合模様の線画を、潜像を施さない部分の線画
    を連続線で、潜像を施した部分の線画を基本曲線(直線
    を含む)方向に一定の間隔で配列された所定の形状の画
    線からなる定周期断絶線で構成し、潜像を施した部分の
    定周期断絶線のうち、基本曲線方向に連続した一つの画
    線部と非画線部からなる一周期に相当する部分の画線面
    積が、潜像を施さない部分の連続線のうち、基本曲線方
    向における前記一周期と同一の長さに相当する部分の画
    線面積と等しくしたことを特徴とする複写防止模様を有
    する印刷物。
  2. 【請求項2】 一定の画線幅の線画を有する複数の多角
    形を円状に配置し、前記多角形の辺をなす線分の外向に
    は、多角形の線分と同一の画線幅の定量連続拡張した線
    画を施し、前記多角形の辺をなす線分の内向には、多角
    形の線分と同一の画線幅の収縮配列した線画を施し、前
    記多角形の辺をなす線分と、定量連続拡張した線画と、
    収縮配列した線画との各々の間隔が同一間隔の線画の集
    合模様において、前記集合模様の線画を、潜像を施さな
    い部分の線画を連続線で、潜像を施した部分の線画を基
    本曲線(直線を含む)方向に一定の間隔で配列された所
    定の形状の画線からなる定周期断絶線で構成し、潜像を
    施した部分の定周期断絶線のうち、基本曲線方向に連続
    した一つの画線部と非画線部からなる一周期に相当する
    部分の画線面積が、潜像を施さない部分の連続線のう
    ち、基本曲線方向における前記一周期と同一の長さに相
    当する部分の画線面積と等しくしたことを特徴とする複
    写防止模様を有する印刷物。録請求の範囲第2項記載の
    複写防止模様を有する印刷物。
  3. 【請求項3】 前記集合模様が地紋模様であることを特
    徴とする実用新案登録請求の範囲第1項記載の複写防止
    模様を有する印刷物。
  4. 【請求項4】 前記集合模様が地紋模様であることを特
    徴とする実用新案登録請求の範囲第2項記載の複写防止
    模様を有する印刷物。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016147439A (ja) * 2015-02-13 2016-08-18 小林クリエイト株式会社 偽造防止帳票

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016147439A (ja) * 2015-02-13 2016-08-18 小林クリエイト株式会社 偽造防止帳票

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