JP3028874B2 - (±)−2,5,5,8a−テトラメチル−1−(カルボキシメチル)−2−ヒドロキシデカリンの光学分割方法 - Google Patents

(±)−2,5,5,8a−テトラメチル−1−(カルボキシメチル)−2−ヒドロキシデカリンの光学分割方法

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JP3028874B2 JP03358777A JP35877791A JP3028874B2 JP 3028874 B2 JP3028874 B2 JP 3028874B2 JP 03358777 A JP03358777 A JP 03358777A JP 35877791 A JP35877791 A JP 35877791A JP 3028874 B2 JP3028874 B2 JP 3028874B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、式(1a)と式(1
b)とで表される化合物の混合物である式(1)の光学
的に不活性な(±)−2,5,5,8a−テトラメチル
−1−(カルボキシメチル)−2−ヒドロキシデカリン
(以下、(±)HC酸と略する)の光学分割方法に関す
る。
【0002】
【化1】
【0003】より詳しくは、生理活性や特徴的な香気を
有する式(2)のトリメチル−トランスデカリンの骨格
【0004】
【化2】
【0005】を有する化合物の合成原料として有用な光
学活性な式(1a)の(+)−2,5,5,8a−テト
ラメチル−1−(カルボキシメチル)−2−ヒドロキシ
デカリン(以下、(+)HC酸と略する)と式(1b)
の(−)−2,5,5,8a−テトラメチル−1−(カ
ルボキシメチル)−2−ヒドロキシデカリン(以下、
(−)HC酸と略する)とを光学不活性な(±)HC酸
から光学分割する方法に関する。
【0006】
【従来の技術】トリメチル−トランスデカリン骨格を有
する光学活性な物質が天然に存在しており、そのような
物質の多くが有用な生理活性や特徴的な香気を有するこ
とが知られている[Von Gerhard Buch
bauer,et al.,Chemiker Zei
tung,112,319〜333(1988)]。例
えば、式(3)の光学活性な(−)−3a,6,6,9
a−テトラメチル−1−ドデカヒドロナフト[2,1−
b]フラン(慣用名、L−アンブロックス)は、アンバ
ー様の香気を有する香料物質として知られている。
【0007】
【化3】
【0008】しかしながら、そのような光学活性物質の
光学異性体は、同じような生理活性を示さない場合がほ
とんどであることも知られている。例えば、L−アンブ
ロックスの光学異性体である(+)−3a,6,6,9
a−テトラメチル−1−ドデカヒドロナフト[2,1−
b]フランはL−アンブロックスと同様なアンバ−香を
有さない。
【0009】従って、光学活性のトリメチル−トランス
デカリン骨格を有する化合物、例えば光学純度の高いL
−アンブロックスを得るためには、その光学活性を示す
もとになる立体構造を選択的に化合物に実現する必要が
あり、そのために従来から様々な製造方法が提案されて
いる。例えば、天然から得られる光学活性な原料を用い
て目的化合物を製造する方法や、光学不活性な原料を用
いて酵素反応やそれに類似の反応を利用して所望の光学
活性化合物を製造する方法が知られている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
ような天然から得られる光学活性な原料を用いて目的化
合物を製造する従来の方法には、光学活性な原料の入手
が困難であったり原料自体が高コストであるという問題
があった。また、光学不活性な原料を用いて酵素反応や
それに類似の反応を利用して所望の光学活性化合物を製
造する方法では、基質濃度が極めて低いので工業的に実
施するには適さない場合が多く、また場合により得られ
た目的化合物の光学純度も十分とはいえないという問題
があった。また、いずれの方法の場合にも最終目的化合
物に変換するまでの工程が長く、工業的なスケールで実
施するには困難な反応工程が存在する場合が多いという
問題もあった。
【0011】このように、L−アンブロックスをはじめ
として光学活性のトリメチル−トランスデカリン骨格を
有する化合物を工業的に高い光学純度で製造することが
望まれていた。
【0012】この発明は以上のような従来技術の問題点
を解決しようとするものであり、L−アンブロックスを
はじめとして光学活性のトリメチル−トランスデカリン
骨格を有する化合物を工業的に高い光学純度で製造する
ための原料となる光学活性な(+)又は(−)HC酸
を、光学不活性な(±)HC酸から効率良く工業的に分
割できるようにすることを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】この発明者らは、上記の
目的が、光学不活性な(±)HC酸に光学活性な1−
(アリ−ル)エチルアミンを分割剤として反応させるこ
とにより達成できることを見出し、この発明を完成する
に至った。
【0014】即ち、この発明は、光学不活性な(±)−
2,5,5,8a−テトラメチル−1−(カルボキシメ
チル)−2−ヒドロキシデカリンを光学活性なその
(−)体と(+)体とに光学分割する方法において、
(±)−2,5,5,8a−テトラメチル−1−(カル
ボキシメチル)−2−ヒドロキシデカリンと光学分割剤
として光学活性な1−(アリール)エチルアミンとを反
応させてジアステレオマー塩を形成することを特徴とす
る(±)−2,5,5,8a−テトラメチル−1−(カ
ルボキシメチル)−2−ヒドロキシデカリンの光学分割
方法を提供する。
【0015】以下、詳細にこの発明の分割方法を説明す
る。
【0016】この発明においては、まず光学不活性な
(±)HC酸分割剤として光学活性な1−(アリー
ル)エチルアミンと反応させて、(+)HC酸と(−)
HC酸とに対応する2種のジアステレオマー塩を形成す
る。ジアステレオマー塩の形成は、(±)HC酸と分割
剤とを溶媒中に加熱溶解させることにより行うことが好
ましい。
【0017】この反応に使用する分割剤としての光学活
性な1−(アリール)エチルアミンとしては種々のアミ
ン類を使用することができるが、入手容易性、ジアステ
レオマー塩の形成のし易さ等の点から(+)又は(−)
−1−(p−トリル)エチルアミン又は(+)又は
(−)−1−(α−ナフチル)エチルアミンが好まし
い。また、(±)HC酸と分割剤とのモル比は特に限定
されないが、分割を効率良く且つ高純度で実施するため
に、(±)HC酸に対し分割剤を0.4〜1.0
使用することが好ましい。
【0018】また、溶媒としては、メタノール、エタノ
ール、n−プロパノール、イソプロパノール,n−ブタ
ノール等の炭素数が1〜6、好ましくは炭素数が1〜
アルコール類、アセトン、メチルイソブチルケトン
等の炭素数が3〜6のアルキルケトン類、ジオキサン、
テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル
類、水又はそれらの混合物、ベンゼン、トルエン、キシ
レン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン等の炭素数
3〜8シクロアルカン類、n−ヘキサン、n−ヘプ
タン、n−オクタン、n−デカン等のアルカン類などを
使用することができる。中でも、高純度の光学活性な
(+)又は(−)HC酸を得ることができる点から水と
メタノールの混合溶媒又はジオキサンを溶媒として使用
することが好ましい。
【0019】なお、溶媒として水を用いた場合には、ジ
アステレオマー塩を形成後に未反応の(±)HC酸を水
酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ
やアンモニアなどの塩基により中和することによって水
溶性の形にし、生成したジアステレオマー塩から容易に
分離することができるので、より高純度の光学活性な
(+)又は(−)HC酸を得ることができる。
【0020】使用する溶媒の量は、分割剤の種類、溶媒
の種類、ジアステレオマー塩の溶解度等により異なる
が、分割剤として光学活性な1−(p−トリル)エチル
アミン又は1−(α−ナフチル)エチルアミンを使用し
た場合には、分割剤1モル当たり溶媒を1〜20リット
ル使用する。
【0021】なお、得られるジアステレオマー塩は、使
用する分割剤が(+)−1−(アリール)エチルアミン
の場合には、(+)HC酸と(−)HC酸とに対応し
て、[(+)HC酸・(+)−1−(アリール)エチル
アミン]塩と[(−)HC酸・(+)−1−(アリー
ル)エチルアミン]塩との2種のジアステレオマー塩で
ある。また、使用する分割剤が(−)−1−(アリー
ル)エチルアミンの場合には、(+)HC酸と(−)H
C酸とに対応して、[(+)HC酸・(−)−1−(ア
リール)エチルアミン]塩と[(−)HC酸・(−)−
1−(アリール)エチルアミン]塩との2種のジアステ
レオマー塩が得られる。
【0022】次に、2種のジアステレオマー塩を常法に
より分離する。例えば、ジアステレオマー塩の溶媒に対
する溶解度差を利用して分離することができる。この場
合、ジアステレオマー塩を形成した反応液から、より難
溶性の一方のジアステレオマ−塩を優先的に晶析させる
ために、反応液を所定の晶析温度に冷却して過飽和状態
とすることが好ましい。晶析温度は、溶媒の種類やその
量、ジアステレオマーの溶解度差等により異なるが、経
済的な見地から−20〜+50℃の範囲に設定すること
が好ましい。なお、一方のジアステレオマー塩を析出さ
せる場合に、その少量のジアステレオマー塩を種結晶と
して反応液に加えることが好ましい。また、析出したジ
アステレオマー塩は、濾過や遠心分離などの一般的手法
により単離することができる。
【0023】最後に、得られたジアステレオマー塩を常
法によりフリーのカルボン酸とすることにより目的の
(+)又は(−)HC酸を得る。例えば、得られたジア
ステレオマー塩をメタノール等の溶媒と水との混合溶媒
に溶解し、塩酸、硫酸、燐酸、などの鉱酸類、p−トル
エンスルホン等のスルホン酸類などの酸を加えて酸性化
することによりフリーのカルボン酸である(+)又は
(−)HC酸とし、これを酢酸エチル等の溶媒で抽出
し、洗浄後、溶媒を除去することにより高純度の(+)
又は(−)HC酸を得ることができる。なお、必要に応
じ、光学活性の分割剤を回収するために、ジアステレオ
マ−塩溶液を酸性化する前に水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、ナトリウムメトキシドなどの塩基により溶液
をアルカリ性とした後にエーテル等の抽出溶媒で光学活
性な分割剤を回収除去してもよく、また、酸を加えて
(+)又は(−)HC酸を抽出した水性残液に対してこ
のような回収操作を行ってもよい。
【0024】なお、この発明の分割方法の対象となる
(±)HC酸は、種々の方法により製造したものを使用
することができる。例えば、入手容易なβ−ヨノンを部
分水添して得られるジヒドロ−β−ヨノンとβ−カルボ
キシエチルトリフェニルホスホニウムクロリドとのウィ
ティヒ反応により誘導されるβ−モノシクロホモファル
ネシル酸を酸触媒で環化する方法(特開昭57−145
869号公報)などを利用することにより製造したもの
を使用することができるが、光学活性なトリメチル−ト
ランスデカリン骨格を有する化合物を経済的且つ工業的
に製造するという観点から、以下に説明する方法により
製造したものを使用することが好ましい。
【0025】即ち、以下の反応スキームに示すように、
【0026】
【化4】
【0027】まず、工業的に入手可能な式(II)のβ−ヨ
ノンをニッケルケイソウ土触媒の存在下で部分水添して
式(III) のジヒドロ−β−ヨノ−ルとし、ビニルマグネ
シウムクロリドを作用させて式(IV)のジヒドロ−β−ビ
ルヨノ−ルに変換する。次に、水素化ナトリウムを反
応させた後に、クロルギ酸エステルを反応させて式(V)
の炭酸エステルとし、さらにパラジウム触媒の存在下で
一酸化炭素の挿入反応を行い、加水分解して式(VI)のβ
−モノシクロホモファルネシル酸を合成する。得られた
β−モノシクロホモファルネシル酸にクロルスルホン酸
を作用させて環化することにより式(VII) の(±)−ノ
ルアンブレノリドを製造する。この(±)−ノルアンブ
レノリドを加水分解することにより式(1)の(±)H
C酸を得る。この発明ではこのようにして得られた
(±)HC酸を使用することが好ましい。
【0028】なお、分離されたジアステレオマー塩の光
学純度は常法により求めることができる。例えば、旋光
度やNMRのデ−タから以下に説明するように求めるこ
とができる。
【0029】旋光度により光学純度を求める場合 (−)体の1−(p−トリル)エチルアミンとの塩であ
るジアステレオマー塩をメタノールに溶解させて旋光度
を測定する。これとは別に、天然のスクラレオールから
導いた(−)HC酸{[α]D 29 −3.17°(c=
0.50、メタノール)}の(−)体の1−(p−トリ
ル)エチルアミンとの塩の旋光度を測定し、その結果
{[α]D 30 +16.18°(c=1.00)}と先
に得たジアステレオマー塩の旋光度と比較することによ
り光学純度を求めることができる。
【0030】NMRにより光学純度を求める場合 まず、測定の前段階として、光学不活性な(±)HC酸
に等モル量の(−)体の1−(α−ナフチル)エチルア
ミンを作用させて塩を形成し、これを重水素クロロホル
ムに溶解し、プロトンNMRを測定し、δ1.12p
pmとδ1.15ppmにジアステレオマ−に由来す
る1:1の比率で分離したメチル基のシグナルが存在す
ることを確認する。また、天然のスクラレオールから導
いた(−)HC酸と(−)体の1−(α−ナフチル)エ
チルアミンとからなる塩のプロトンNMRデータか
δ1.12ppmのシグナルだけが存在することを確
認する。このシグナルは以下に示すようにC8位のメチ
ル基に由来する。
【0031】
【化5】
【0032】このような事実を踏まえて、次にこの発明
で得たジアステレオマー塩のプロトンNMRを測定し、
δ1.12ppmとδ1.15ppmのシグナルの
相対強度から光学純度を求めることができる。
【0033】
【作用】この発明の(±)HC酸(±)−2,5,
5,8a−テトラメチル−1−(カルボキシメチル)−
2−ヒドロキシデカリンの分割方法によれば、分割剤
としての光学活性な1−(アリール)エチルアミンと
(±)HC酸とを反応させて(+)HC酸と(−)HC
酸に対応するジアステレオマー塩を形成させるので、例
えば溶解度差を利用して一方のアステレオマー塩を優
先的に分別結晶化させることが可能となる。
【0034】
【実施例】以下、この発明の分割方法の対象となる
(±)HC酸の製造を参考例として説明し、更にこの発
明を実施例により具体的に説明する。
【0035】参考例1 攪拌装置を備えた300mlのオートクレーブに、触媒
として1.2gのニッケルケイソウ土(N−113、日
揮化学製)と80gのエタノールとを仕込み、水素圧1
0気圧、150℃で3時間、還元処理を施した後に、1
20gのβ−ヨノンを添加し、水素圧10気圧、温度8
0℃で5時間、水素添加反応を行った。
【0036】反応終了後、触媒を濾別し、濾液から溶媒
を留去した残油を減圧蒸留することによりジヒドロ−β
−ヨノンを115.6g得た(沸点70〜72℃/0.
4Torr、純度94.0%、収率89.6%)。ま
た、その1NMRと13NMRのデ−タは以下の
通りである。
【0037】1NMR(300MHz、CDCl3δ: 0.885(s,6H,2×CH3),1.28〜
1.35(m,2H,CH2),1.473(s,3
H,CH3),1.42〜1.52(m,2H,C
2),1.806(t,J=6.0Hz,2H,C
2),2.045(s,3H,CH3),2.10〜
2.20(m,2H,CH2),2.36〜2.44
(m,2H,CH2
【0038】13NMR(75.5MHz、CDCl
3δ: 19.2(t),19.5(q),22.0
(t).28.2(2×q),29.5(q),32.
5(t),34.8(s),39,5(t),44.3
(t),127.5(s),135.7(s),20
8.4(s)。
【0039】参考例2 テトラヒドロフラン800ml中にビニルマグネシウム
クロライド45.57g(0.525モル)を含む溶液
を氷冷し、窒素雰囲気下で参考例1で得られたジヒドロ
−β−ヨノン103.2g(純度94.0%、0.50
モル)を15〜20℃の温度範囲で約1時間に亘って滴
下した。
【0040】滴下後、トルエン1000mlを反応液に
加え、徐々に加熱し、テトラドロフランを留去しなが
ら、反応液の温度が100℃になるまで加熱を続け、大
部分のテトラヒドロフランを回収した後、室温まで反応
液を冷却し、氷冷した5%硫酸水溶液600gの中へ反
応混合物を注ぎ入れ、トルエンで抽出した。トルエン層
を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、更に水層が中性
になるまで水洗し、最後に飽和食塩水で洗浄し、常法に
従ってトルエンを留去し、残渣を減圧蒸留しジヒドロ−
β−ビニルヨノ−ル99.3g(沸点82〜83℃/
0.4Torr、純度95.0%、収率85.0%)を
得た。また、その1NMRと13NMRのデ−タ
は以下の通りである。
【0041】1NMR(300MHz、CDCl3δ: 0.944(s,6H,2×CH3),1.262
(s,3H,CH3),1.32〜1.40(m,2
H),1.538(s,3H,CH3),1.45〜
1.60(m,4H),1.852(t,J=6.0H
z,2H,CH2),1.90〜2.10(m,2
H),5.03(d,J=10.8Hz,1H),5.
20(d,J=17.3Hz,1H),5.91(d
d,J=10.8,17.3Hz,1H)
【0042】13NMR(75.5MHz、CCCl
3δ: 19.4(t),19.6(qt),22.6
(t),27.3(q),28.5(2×q),32.
6(t),34.9(s),39.7(t),42.2
(t),73.3(s),111.6(t),126.
7(s),136.5(s),144.8(d)。
【0043】参考例3 トルエン800ml中に窒素雰囲気下で水素化ナトリウ
ム16.8g(60%、0.42モル)を加え、次に参
考例2で得られたジヒドロ−β−ビニルヨノール93.
5g(純度95%、0.40モル)を室温で加え、還流
下10時間反応させた。
【0044】次に0〜5℃でクロルギ酸メチル39.7
g(0.42モル)を加えた後に、更に室温で2時間攪
拌した。この反応液を氷冷下、水1000mlに注ぎ入
れた後、有機層をトルエンで抽出し、水層が中性になる
まで水洗し、最後に飽和食塩水で洗浄したのち、溶媒を
除去し、ジヒドロ−β−ビニルヨノールの炭酸メチルエ
ステル113.5g(純度95%、収率96.3%)を
得た。また、その1NMRのデ−タは以下の通りで
ある。
【0045】1NMR(300MHz、CDCl3δ: 0.973(s,6H,2×CH3),1.37〜
1.43(m,2H),1.572(s,3H,C
3),1.602(s,3H,CH3),1.50〜
1.60(m,2H),1.80〜2.05(m,4
H),5.20(d,J=11Hz,1H),5.24
(d,J=18Hz,1H),6.04(dd,J=1
1,18Hz,1H)。
【0046】参考例4 300mlのオートクレーブに参考例3で得られたジヒ
ドロ−β−ビニルヨノールの炭酸メチルエステル58.
9g(純度95%、0.2モル)、パラジウムカーボン
0.85g(5%担持品、Pdとして0.4ミリモ
ル)、トリ(o−トリル)ホスフィン0.487g
(1.6ミリモル)、及びイソプロパノール120gを
仕込み、50〜60℃の温度範囲、一酸化炭素圧50気
圧という条件で5時間攪拌した。
【0047】反応終了後、反応混合物をオートクレーブ
より取り出し、触媒を濾別し、濾液に30%水酸化ナト
リウム水溶液60gを加え、40℃で2時間攪拌した。
その後、反応液を室温まで冷却し、n−ヘキサン(10
0ml×2回)で中性成分を抽出した。次いで氷冷下、
5%硫酸水溶液500gを加えて酸性化した後、n−ヘ
キサン(200ml×2回)を加えて抽出した。n−ヘ
キサン層を水層が中性になるまで水洗し、最後に飽和食
塩水で洗浄し、溶媒を留去してβ−モノシクロホモファ
ルネシル酸35.6g(収率71.2%)を得た。
【0048】なお、得られたβ−モノシクロホモファル
ネシル酸のカルボキシル基のβγ位の2重結合に基づ
く異性体の比率はNMR分析によれは、シス体:トラン
ス体=33:67であった。
【0049】1NMR(300MHz、CDC
3): トランス体に特徴的シグナル;δ0.996(s,
6H,2×CH3),1.606(s,3H,CH3),
1.682(s,3H,CH3),3.08(d,J=
7Hz,2H),5.35(t,J=7Hz,1H)
【0050】シス体に特徴的シグナル;δ1.01
4(s,6H,2×CH3),1.644(s,3H,
CH3),1.805(s,3H,CH3),3.12
(d,J=7Hz,2H),5.28(t,J=7H
z,1H)
【0051】その他のシグナル;1.38〜1.46
(m,2H),1.52〜1.62(m,2H),1.
86〜1.96(m,2H)、2.05〜2.10
(m,4H)。
【0052】参考例5 参考例4で得られたβ−モノシクロホモファルネシル酸
25.0g(0.10モル)のジクロロメタン50ml
溶液を、窒素雰囲気下において、−60〜−70℃に冷
却したクロロスルホン酸23.3g(0.2モル)とジ
クロロメタン200mlとの溶液に滴下した。滴下終了
後、20分間攪拌した後、反応液を氷500gに注ぎ、
ジクロロメタンで有機層を抽出した。ジクロロメタン層
を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、水層が中性にな
るまで水洗し、最後に飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去
し粗−ノルアンブレノリドを得、更にn−ヘキサンで再
結晶することにより20.8gのノルアンブレノリド
(収率83.2%)の結晶を得た。なお、結晶は、
(±)−ノルアンブレノリドと(±)−9−epi−ノ
ルアンブレノリドとの混合物であった(67:33)。
【0053】次に、この混合結晶をメタノール100m
lに溶解し、30%水酸化ナトリウム30gを加え、還
流条件下で加水分解した。これにより(±)−ノルアン
ブレノリドが選択的に加水分解され水層に移行した。室
温まで冷却した反応液から加水分解されなかった(±)
−9−epi−ノルアンブレノリドをn−ヘキサン(1
00ml×3回)で抽出分離し、残った水性反応液に、
氷冷下、5%硫酸水溶液250gを加え酸性化した後
に、酢酸エチル(100ml×3回)で抽出し、水層が
中性になるまで水洗し、最後に飽和食塩水で洗浄し、溶
媒を留去し(±)−ノルアンブレノリドのラクトン環が
開環した(±)−HC酸、即ち(±)−2,5,5,8
a−テトラメチル−1−(カルボキシメチル)−2−ヒ
ドロキシデカリンの結晶13.3gを得た。
【0054】また、(±)−9−epi−ノルアンブレ
ノリドのn−ヘキサン溶液からは、常法にしたがって
6.80gの(±)−9−epi−ノルアンブレノリド
(純度96%)が得られた。これらの化合物の物理化学
的性質は以下の通りである。
【0055】(±)HC酸[IUPAC名、(±)−
2,5,5,8a−テトラメチル−1−(カルボキシメ
チル)−2−ヒドロキシデカリン] 融点:73〜75℃1NMR(300MHz、CDCl3δ: 0.799(s,6H,2×CH3),0.886
(s,3H,CH3),1.172(s,3H,C
3),0.94〜1.75(m,10H),1.83
5(t,J=6Hz,1H),1.95(dt,J=
3,13Hz,1H),2.34(dd,J=4,16
Hz,1H),2.51(dd,J=6,16Hz)
【0056】13NMR(75.5MHz、CDCl
3δ: 15.8(q),18.8(t),20.8
(t),21.8(q),23.5(q),30.5
(t),33.6(s),33.7(q),38.9
(s),39.6(t),42.1(t),44.7
(t),56.2(d),58.0(d),77.9
(s),180.5(s)。
【0057】(±)−9−epi−ノルアンブレノリド 融点:93〜94℃1NMR(300MHz、CDCl3δ: 0.823(s,3H,CH3),0.908
(s,3H,CH3),1.101(s,3H,C
3),1.546(s,3H,CH3),1.02〜
1.68(m,10H),1.95〜2.05(m,2
H),2.40(dd,J=8,17Hz,1H),
2.62(dd,J=14,17Hz,1H)。
【0058】13NMR(75.5MHz、CDCl
3δ: 18.0(t),19.1(t),21.7
(q),22.7(q),27.2(q),32.5
(t),32.7(s),33.3(q),35.8
(s),36.9(t),38.1(t),41.8
(t),46.4(d),56.7(d),85.9
(s),175.5(s)。
【0059】実施例1 ジオキサン150mlに参考例5で得られた(±)HC
酸1.34g(5.00mmol)、及び(−)−1−
(p−トリル)エチルアミン0.54g(4.00mm
ol)を加え加熱溶解した後、室温まで徐冷し、一晩撹
拌した。析出した結晶を濾別することにより(−)HC
酸・(−)−1−(p−トリル)エチルアミン塩0.8
66g(2.149mmol)を得た。用いた(−)H
C酸に対する収率は86.0%、旋光度は[α]D 30
+9.42°(c=1.0、メタノール)であり、光学
純度は58.2%であった。
【0060】この塩をジオキサン30mlから再結晶す
ることにより、(−)HC酸・(−)−1−(p−トリ
ル)エチルアミン塩0.587g(1.457mmo
l)を得た。用いた(−)HC酸に対する収率は58.
2%、旋光度は[α]D 30 +15.27°(c=1.
0、メタノール)であり、光学純度は94.4%であっ
た。
【0061】この塩に1規定の水酸化ナトリウム水溶液
2.0mlを加え加水分解した後に、エーテル抽出して
(−)−1−(p−トリル)エチルアミンを回収した。
エーテル抽出した後の水層に、1規定の塩酸2.5ml
を加えた後、エーテル抽出し、エーテル層を無水硫酸ナ
トリウムで乾燥し、減圧下でエーテルを除去することに
より、(−)HC酸0.375g(1.399mmo
l、収率56.0%)を得た。
【0062】実施例2 メタノール63ml、水40mlの混合液に(±)HC
酸5.36g(20.0mmol)、(−)−1−(p
−トリル)エチルアミン1.35g(10.0mmo
l)及び1規定水酸化ナトリウム溶液10ml(10.
0mmol)を加え加熱溶解した後、室温まで徐冷し、
一晩撹拌した。析出した結晶を濾別することにより
(−)HC酸・(−)−1−(p−トリル)エチルアミ
塩2.859g(7.094mmol)を得た。用い
た(−)HC酸に対する収率は70.9%、旋光度は
[α]D 30 +15.66°(c=1.0、メタノー
ル)であり、光学純度は96.8%であった。
【0063】この塩に1規定の水酸化ナトリウム水溶液
10.0mlを加え加水分解した後に、エーテル抽出し
て(−)−1−(p−トリル)エチルアミンを回収し
た。エーテル抽出した後の水層に、1規定の塩酸12.
5mlを加えた後、エーテル抽出し、エーテル層を無水
硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下でエーテルを除去する
ことにより、(−)HC酸1.825g(6.810m
mol、収率68.1%)を得た。
【0064】実施例3 メタノール32ml、水20mlの混合液に(±)HC
酸2.68g(10.00mmol)、(−)−1−
(α−ナフチル)エチルアミン0.865g(5.00
mmol)及び1規定水酸化ナトリウム溶液5ml
(5.00mmol)を加え加熱溶解した後、室温まで
徐冷し、一晩撹拌した。析出した結晶を濾別することに
より(−)HC酸・(−)−1−(α−ナフチル)エチ
ルアミン塩1.497g(3.408mmol)を得
た。用いた(−)HC酸に対する収率は68.2%であ
、プロトンNMR測定の結果、得られた結晶は(+)
HC・(−)−1−(α−ナフチル)エチルアミン塩
と(−)HC・(−)−1−(α−ナフチル)エチル
アミン塩とを前者:後者=5.60:94.4の割合で
含有しており、光学純度は88.8%であることが分か
った
【0065】この塩に1規定の水酸化ナトリウム水溶液
7.0mlを加え加水分解した後に、エーテル抽出して
(−)−1−(α−ナフチル)エチルアミンを回収し
た。エーテル抽出した後の水層に、1規定の塩酸12.
5mlを加えた後、エーテル抽出し、エーテル層を無水
硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下でエーテルを除去する
ことにより、(−)HC酸0.860g(3.208m
mol、収率64.2%)を得た。
【0066】
【発明の効果】この発明によれば、生理活性を有するト
リメチル−トランスデカリン骨格を有する化合物の合成
原料となる光学純度の高い(+)又は(−)−2,5,
5,8a−テトラメチル−1−(カルボキシメチル)−
2−ヒドロキシデカリンを、それらの混合物から簡便に
分離することができるようになった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−43053(JP,A) 特開 昭55−43052(JP,A) 特開 昭58−15938(JP,A) 特開 平3−261743(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 51/487 C07C 59/11 C07B 57/00 346 C07C 53/132

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (±)−2,5,5,8a−テトラメチ
    ル−1−(カルボキシメチル)−2−ヒドロキシデカリ
    ンを光学活性なその(−)体と(+)体とに光学分割す
    る方法において、(±)−2,5,5,8a−テトラメ
    チル−1−(カルボキシメチル)−2−ヒドロキシデカ
    リンと光学分割剤として光学活性な1−(アリール)エ
    チルアミンとを反応させてジアステレオマー塩を形成す
    ることを特徴とする(±)−2,5,5,8a−テトラ
    メチル−1−(カルボキシメチル)−2−ヒドロキシデ
    カリンの光学分割方法。
  2. 【請求項2】 1−(アリール)エチルアミンが1−
    (p−トリル)エチルアミンまたは1−(α−ナフチ
    ル)エチルアミンである請求項1記載の光学分割方法。
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