JP3026680B2 - 光重合性基を有するコポリマー、該コポリマー含有組成物及び該組成物による光ファイバーのクラッド形成法 - Google Patents

光重合性基を有するコポリマー、該コポリマー含有組成物及び該組成物による光ファイバーのクラッド形成法

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JP3026680B2 JP4165034A JP16503492A JP3026680B2 JP 3026680 B2 JP3026680 B2 JP 3026680B2 JP 4165034 A JP4165034 A JP 4165034A JP 16503492 A JP16503492 A JP 16503492A JP 3026680 B2 JP3026680 B2 JP 3026680B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
【0001】本発明は光ファイバーにクラッドを形成す
るための光重合性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、ブライラー(Blyler)と
アロイシオ(Aloisio)のChemtech、1
987年11月号、第680〜684頁の光ファイバー
用ポリマー被覆剤において考察されているように、光フ
ァイバーは通常は高度に透明なガラス(シリカ;各種の
ドーピング物質を含有していることが多い)である中心
コアより成り、中心コアはコアガラスの屈折率より小さ
い屈折率を有するクラッドにより包囲されている。この
クラッドはコア表面からの放射線損失を低下させ、従っ
てコアに沿って走行している放射線の減衰を低下させる
ために光を中心コア内に局限するように作用する。
【0003】大部分の光ファイバーにおいて、クラッド
は第二のガラスから形成される。このようなガラスクラ
ッドはその中に小さな傷があると光ファイバーの引っ張
り強さを著しく低下させるので、光ファイバーには高分
子物質から通常形成される第二の保護クラッドを設ける
のが通例である。例えば、米国特許第4,558,08
2号及び同第4,663,185号明細書には、とりわ
け光ファイバー用クラッド形成剤として有用なアクリレ
ート化シリコーンポリマーが記載される。これらのシリ
コーンポリマーはリモネキンオキシド−官能性シリコー
ンをアクリル酸又は置換アクリル酸と触媒の存在下で反
応させることによって製造される。触媒はテトラアルキ
ル尿素又はテトラアルキルグアニジンであることができ
る。
【0004】アクリル樹脂も光ファイバー用保護クラッ
ド形成剤として用いられて来た。米国特許第4,42
7,823号明細書には、(a)0〜75重量%のトリ
−以上のアクリレートと25〜100重量%のジアクリ
レートから成る多官能性のアクリルタイプのカルボン酸
エステルモノマー又はそのプレポリマー100重量部;
(b)重合開始剤0.001〜20重量部及び(c)
1.40〜1.60の屈折率と少なくとも1mμである
が1μ未満である平均一次粒径を有する無機固体充填材
5〜250重量部を含んで成る未硬化の充填被覆組成物
が記載される。
【0005】上記のブライラー及びアロイシオの報文に
よれば、ポリマークラッド付き光ファイバーは通常ポリ
(ジメチルシロキサン)樹脂か又は弗素化アクリルポリ
マーでクラッドが形成されたシリカコアより成る。例え
ば、米国特許第4,568,566号明細書には化学的
に結合したシロキシ単位と式R2 SiO(ただし、多数
のR単位はアクリレートエステル基又はアルキル置換ア
クリレートエステル基である)の単位を含む、光ファイ
バーのクラッド形成剤として有用な光硬化性シリコーン
組成物が記載される。
【0006】しかし、シリコーンの一次クラッド形成剤
には多数の重大な欠点がある。即ち、シリコーンの粘度
と硬化要件はクラッド付き光ファイバーの製造速度を約
0.5メーター/秒に制限する。シリコーンクラッドは
石英に十分に接着せず、そのクラッドの軟らかさはクラ
ッド付き光ファイバーを光学系の他の構成部材に接続す
る際に困難をもたらす。温度変化は石英のコアを接続部
のクラッド層に押し入らせ、それより押し出す。更に、
米国特許第第4,511,209号明細書によれば、シ
リコーンクラッド付き光ファイバーを−40から−50
℃の範囲の低温に暴露すると10〜20dBe/kmの
減衰増加が起こり、また多くの場合光ファイバーをその
ような低温に暴露した後は室温減衰の増加も起こる。
【0007】弗素含有物質をアクリレート及びメタクリ
レートを含有するクラッド形成剤に配合することが可能
なことも知られている。例えば、米国特許第4,50
8,916号明細書には少なくとも1個のペンダント弗
素化有機基が結合された脂肪族の主鎖を有する、末端が
アクリル基又はメタクリル基でキャップされた硬化性の
置換ウレタンアクリレート又は同メタクリレートが記載
される。
【0008】米国特許第5,024,507号明細書に
は、紫外線に暴露したとき重合することができる光重合
性の組成物にして、
【0009】(a)未置換又は弗素置換ジアクリレート
モノマー; (b)ジアクリレートモノマー1重量部当たり約2〜約
12重量部の量の弗素化1官能性アクリレートモノマ
ー; (c)光重合開始剤;及び (d)組成物の粘度を約1,000〜約15,000c
pの範囲の値に高めるのに十分な量の粘度調整剤
【0010】の実質的に均一な混合物を含んで成る、光
硬化すると約1.43以下の屈折率を有する硬化した組
成物を形成する、前記光重合性組成物が記載され、かつ
特許請求される。この米国特許の実施例4には1つの好
ましい光重合性組成物から屈折率1.378の硬化ポリ
マーが製造されたことが示される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】この米国特許に記載さ
れるクラッド形成剤は多くの目的に対して満足できるも
のではあるけれども、例えばレーザーダイオードのアウ
トプットを光ファイバーにカップリングする等のある種
の特定の適用例があり、その場合はより高い開口数とカ
ップリング効率を持つ光ファイバー得るためには更に小
さい屈折率を持つクラッドが望ましい。しかし、本発明
者は高度に弗素化されたジアクリレートモノマー、高度
に弗素化されたモノアクリレートモノマー及び粘度調整
剤として高度に弗素化されたモノアクリレートホモポリ
マーを用いることによって上記米国特許に記載される組
成物を使用して屈折率が非常に小さいクラッドを生成さ
せようと試みても不満足な結果しか得られないことを見
い出した。即ち、まず粘度調整剤のモノマー混合物中溶
液の重合時には、明らかに、生成しているポリマーと粘
度調整剤との間の相分離のために実質的な曇りが現れて
しまうのである。第二に、入手可能な光重合開始剤は大
部分高度に弗素化されたアクリレートモノマーの混合物
に不溶で、モノマー混合物に若干は溶解し得るジエトキ
シアセトフェノンでさえも非相容性となり、粘度調整剤
の存在下では非常に曇った混合物を与えてしまうのであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の諸問題は光重合開
始性基とエチレン性不飽和基の両基を有する光重合開始
剤モノマーをまずエチレン性不飽和基を有する弗素置換
モノマーと反応させてペンダントの光重合開始性基を有
するコポリマーを形成し、次いで結合された粘度調整剤
と光重合開始剤としてのこのコポリマーを光重合性組成
物において用いることによって排除するか、少なくとも
実質的に減少させることができることがここに発見され
た。
【0013】従って、本発明はエチレン性不飽和基を有
する弗素置換モノマーに由来する繰り返し単位を有する
コポリマーを提供するものである。このコポリマーは光
重合開始性基とエチレン性不飽和基の両基を有する光重
合開始剤モノマーに由来する繰り返し単位も有し、そし
てこの光重合開始剤モノマーに由来するこれら繰り返し
単位はコポリマーにおいてペンダントの光重合開始性基
をなしていることに特徴がある。
【0014】本発明はまた光重合開始性基とエチレン性
不飽和基の両基を有する光重合開始剤モノマーをエチレ
ン性不飽和基を有する弗素置換モノマーと反応させるこ
とを特徴とする上記のようなコポリマーの製造法も提供
する。
【0015】本発明は更に弗素置換ジアクリレートを含
んで成る、紫外線に暴露したとき重合することができ
る、本発明のコポリマーも含んで成る光重合性組成物を
提供する。
【0016】最後に、本発明は光ファイバーを光重合性
組成物の層で被覆し、被覆された光ファイバーを紫外線
に暴露することにより光重合性組成物を硬化させて光フ
ァイバーの上にクラッドを生成させる工程を含んで成る
光ファイバーのクラッド形成法において、その光重合性
組成物が本発明の光重合性組成物であることを特徴とす
る前記方法を提供する。
【0017】既に述べたように、本発明の方法では、光
重合開始性基とエチレン性不飽和基の両基を有する光重
合開始剤モノマーをエチレン性不飽和基を有する弗素置
換モノマーは反応させてペンダントの光重合開始性基を
有するコポリマーを形成する。このコポリマーを次に弗
素置換ジアクリレートと混合して光重合性組成物を形成
する。この光重合性組成物はこれを光ファイバーに被覆
し、紫外線に暴露することによって硬化させることがで
き、それによってファイバー上にクラッドが形成され
る。
【0018】本発明のコポリマーを形成するのに使用さ
れる弗素置換モノマーはモノアクリレート又はモノメタ
クリレートが好ましく、そしてモノアクリレートがそれ
らの屈折率が小さい故にモノメタクリレートより一般に
好ましい。モノアクリレートとしては、最低限3個のC
−F結合が存在し、そして対応する未置換モノマー中の
C−H結合の少なくとも25%がC−F結合で置換され
ているものが望ましい。このモノアクリレートは30〜
65重量%の弗素を含有していることが望ましい。使用
することができるモノアクリレートの中に、例えば式
【化4】CH2 =CH−CO−OCH2 −Y−T
【0019】(式中、Yはペルフルオロアルキレン基で
あり、Tは弗素又は−CF2 H基である。)
【0020】で表されるものがある。この弗素化モノア
クリレートはまたヘテロ原子、例えば硫黄、酸素及び窒
素を含有していてもよい。このようなモノマーの例は式
【化5】 Z−SO2 −NR−CH2 −CH2 −O−CO−CA=CH2
【0021】(式中、ZはH(CF2 m 又はF(CF
2 m であり、mは3〜12の整数であり、Rはアルキ
ル基であり、そしてAは水素又はメチルである。)
【0022】で表されるものである。本発明の方法に有
用な市販のモノアクリレートの例は全て米国、フロリダ
州(Florida)32602、ゲインズビル(Ga
inesville)、私書箱1466のPCR社(P
CR Corporated)から入手できる。1H,
1H,5H−オクタフルオロペンチルアルリレート、ト
リフルオロエチルアルリレート及びヘプタフルオロブチ
ルアルリレート、並びに米国、ミネソタ州(Minne
sota)、セント ポール(St.Paul)のミネ
ソタ マイニング アンド マニュファクチャリング社
(Minnesota Minning and Ma
nufacturing Company)から商品名
FX−13で入手できる式
【化6】 で表される化合物である。弗素置換モノアクリレートは
弗素置換ポリエーテルが望ましく、そして特に好ましい
ポリエーテルはミネソタ マイニング アンドマニュフ
ァクチャリング社から商品名L−9911で入手できる
【化7】 で表されるものである。
【0023】本発明で用いられる光重合開始剤モノマー
のエチレン性不飽和基はアクリレート基又はメタクリレ
ート基が好ましい。好ましい(メタ)アクリレートはフ
ェノキシアルカノール又はフェニルアルカノールの(メ
タ)アクリレートであり、特定の好ましい光重合開始剤
は米国、ニュー ヨーク州(NY)10532、ハウソ
ーン(Hawthorne)、スカイライン ドライブ
(Skyline Drive)5のEM インダスリ
ーズ社(EM Industries,Inc.)が商
標名ダロカー(Darocur)ZLI−3331で販
売する式
【化8】 で表されるものである。
【0024】光重合開始剤モノマーと弗素化モノマーと
の共重合は勿論両モノマーのエチレン性不飽和基のみが
反応し、光重合開始剤モノマーの光重合開始剤基の反応
は本質的に起こらないように行われるべきである。エチ
レン性不飽和基を光重合開始剤基の反応を引き起こすこ
となく反応させることができる触媒は勿論このポリマー
技術の分野の当業者には周知であって、市販されてい
る。本発明の方法において好結果を与えることが見い出
された1つの特定の触媒はアゾビス(イソブチロニトリ
ル)(AIBN)である。光重合開始剤モノマーと弗素
化モノマーとの混合物及び得られるコポリマーは勿論光
重合性組成物が光ファイバーに適用されるまでは光重合
開始剤の反応を引き起こしがちな放射線(典型的には、
紫外線)から遮蔽されているべきである。
【0025】光重合開始剤モノマー対弗素化モノマーの
最適モル比は経験的に容易に決定することができる。こ
のモル比は最終クラッドの架橋度、従ってクラッドの物
性に影響を及ぼす。典型的には、弗素化モノマー1モル
につき約0.02〜約0.2モルの光重合開始剤モノマ
ーが用いられる。光重合開始剤モノマーと弗素化モノマ
ーとの共重合は弗素化溶剤中で行うのが好適である。ト
リフルオロ酢酸エチルと1,3−ビス(トリフルオロメ
チル)ベンゼン(ヘキサフルオロ−m−キシレン、即ち
HFX)の両者が溶剤として使用することができるが、
前者はトリフルオロ酢酸へのその易加水分解性に起因し
て有毒であるので、後者が好ましい。
【0026】本発明の方法で用いられる弗素置換ジアク
リレートは少なくとも約25重量%、好ましくは約25
〜約65重量%の弗素を含有していることが望ましい。
弗素置換ジアクリレートの好ましい群は式
【化9】 CH2 −CH−CO−OCH2 −X−CH2 −O−CO−CH=CH2 、及び X′−SO2 N(CH2 CH2 −O−CO−CH=CH2 2
【0027】(式中、Xはペルフルオロアルキレン基、
又は1個以上の炭素原子が−O−結合で置換されている
ペルフルオロアルキレン基であり、そしてX′はペルフ
ルオロアルキル基である。)
【0028】で表されるものである。このようにジアク
リレートの例は次の通りである:
【化10】
【0029】これらのジアクリレートを製造するのに適
したジオールは米国、ミネソタ州、セント ポールのミ
ネソタ マイニング アンド マニュファクチャリング
社から入手できる。本発明の方法において使用するのが
好ましい特定のジアクリレートは式
【化11】 CH2=CH-CO-OCH2CF2O(CF2CF2O)m (CF2O)n -CF2-CH2O-CO-CH =CH2
【0030】(ただし、m/nは0.2:1〜5:1の
範囲である。)
【0031】で表されるものであり、これはミネソタ
マイニング アンド マニュファクチャリング社が商品
名L−9367で販売している。
【0032】重合性組成物中のコポリマーと弗素化ジア
クリレートとの相対量は組成物の粘度と作られるクラッ
ドの物性の両方に影響を及ぼす。一般に、重合性組成物
の粘度は約1,000〜約15,000cpの範囲にあ
るのが望ましい。この範囲の粘度が常用の被覆装置を用
いての光ファイバーに対する適正な被覆を可能にするの
に望ましいからである。弗素置換ジアクリレートモノマ
ー1重量部当たり0.5〜2重量部のコポリマーを含ん
で成る重合性組成物が好ましい。このような組成物が通
常被覆処理に適切な粘度を有し、良好な物性を有するク
ラッドを生成させるからである。
【0033】本発明によれば、約1.35未満の屈折率
を持つクラッドを生成させることができ、実際後記の実
施例に記載されるように、本発明の好ましい方法によれ
ば1.33ほどの小さい屈折率を持つクラッドを生成さ
せることができる。
【0034】本発明の方法による光ファイバーのクラッ
ド形成はこの技術分野の当業者に公知の常用のいずれの
技術を用いても行うことができる。好ましい方法におい
て、本発明の光重合性組成物による光ファイバーの被覆
は添付図1に模式的に示される装置を用いて行われる。
この装置は10で一般に表示されるが、ガラスプリフォ
ームを含有する炉12を含む。炉12の下には2つの被
覆用カップ14及び16が配置されており、各カップに
は重合性組成物が入っている。被覆用カップ16の下方
には紫外線ランプ18〔例えば、フュージョン リサー
チ社(Fusion Research)の電極なし紫
外線水銀灯〕が配置され、その水銀灯18の下方にはキ
ャプスタン20が配置されている。装置は更に巻取ロー
ル22を含む。
【0035】光ファイバー24はキャプスタン20によ
り約0.5m/秒の速度で炉12から引き出され、被覆
用カップを通過する。これらのカップには下方に向かっ
て先細になっている円錐基部が設けられ、各円錐体の先
端は直径が光重合性組成物で被覆された光ファイバーの
所望径に等しい垂直の貫通内腔を有し、その内腔によっ
て過剰の光重合性組成物がファイバーから掃去されるよ
うになっている。表面に光重合性組成物を有する光ファ
イバーを次に水銀灯18を横断通過させ、そこで組成物
の溶液を硬化させて光ファイバー上に接着性の澄明なク
ラッドを生成させる。
【0036】所望ならば、本発明の比較的軟らかいクラ
ッドをロール22に粘着しないよう保護するために、ク
ラッド付きファイバーをロール22に巻き取る前に追加
の被覆用カップに通し、かつ追加の紫外線ランプの下を
通過させて上塗りクラッドを適用することができる。
【0037】本発明の組成物はいかなる光ファイバーに
もそのクラッド形成のために用いることができる。これ
らの組成物は、例えば米国特許第4,815,079号
明細書に記載されるもののような光ファイバーレーザー
のファイバーにクラッドを形成するために用いることか
できる。この米国特許明細書に記載される光ファイバー
レーザーは比較的大きいマルチモードのクラッド内に、
コアがクラッドの断面中心から移されるように配置され
たシングルモードのコアを含む。クラッドは更に他の層
(第二クラッド)で包囲され、放射線がクラッドから伝
わらないようになっている。本発明の組成物はそのよう
な光ファイバーレーザーの第二クラッドを形成し、この
クラッドの屈折率を、例えばその光ファイバーについて
0.4より大の開口数〔次式
【数1】N.A.=(N1 2−N2 21/2 (式中、N1 は第一クラッドの屈折率であり、N2 は第
二クラッドの屈折率である)で与えられる〕を光ファイ
バーレーザーに生成させるのを可能にすることができ
る。
【0038】以上の説明から、本発明の方法は重合性組
成物の製造中に又はその組成物を硬化させてクラッド自
体を形成する際に曇り或いは層分離を発生させることな
く非常に小さい屈折率のクラッドを光ファイバー上に生
成させるのを可能にすることが分かるだろう。更に、本
発明の光重合性組成物の光ファイバーに対する適用及び
その硬化は常用の装置を用いて達成することができる。
【0039】
【実施例】本発明において用いられる好ましい試剤、条
件及び方法の細部を示すために次の実施例を与える。た
だし、これらの実施例は単なる例示説明のためのもので
ある。
【0040】実施例1:ペンダントの光重合開始性基を
有するコポリマーの製造 本実施例は光開始性基とアクリレート基の両基を有する
光重合開始剤モノマーと弗素置換モノアクリレートとの
反応によるペンダント光重合開始性基を有するコポリマ
ーの製造を説明するものである。
【0041】ダロカーZLI−3331(6.0g;化
学式とメーカーについては前記した)をジクロロメタン
(10mL)に溶解することによって精製し、得られた
溶液を溶離剤としてジエチルエーテルの3%ジクロロメ
タン溶液を用いてシリカゲル(32〜63μm)カラム
によるフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、
50mLの画分を集めた。純生成物を含有する画分15
−45を合わせ、その溶剤を室温において回転蒸発器で
除去した。得られた残分をジクロロメタン/ペンタン混
合物に溶解し、その溶剤を再度室温において回転蒸発器
で除去した。溶剤の大部分が除去されたとき、結晶化が
始まったのでオイルポンプにより中度に高い真空を印加
して結晶化を完結させた。得られたクリーム色をした固
体を砕解し、アンバーガラスのジャーに移してその生成
物を紫外線から保護し、そして真空下、室温において恒
量になるまで乾燥して55〜56℃で溶融する物質5.
22g(87%)を得た。
【0042】L−9911(360g;化学式とメーカ
ーについては前記した)を磁気攪拌子、温度計、30c
mのヴィグロウカラム、並びにマノメーターと冷却され
た液体窒素トラップを介して真空ポンプに接続された還
流比可変性蒸留ヘッドを備えた250mLの3つ口丸底
フラスコから分別蒸留により精製した。フラスコに重合
禁止剤としてジ−第三ブチルヒドロキノンを加えた。そ
の圧力を5mmHgに保ち、そのフラスコを95〜12
1℃に保持された油浴上で加熱した。カラムヘッドにお
いて55〜57℃で蒸留している留分を集め(158.
5g、44%)、以下に記載する製造例において使用し
た。この留分は出発物質に存在する3500cm-1(未
反応アルコールに起因)と1810cm-1(不純物のト
リフルオロアセテートに起因)の赤外吸収ピークを持っ
ていないことが判明した。
【0043】精製ダロカーZLI−3331(4.0
g)を温HFX(50mL;ヴィグロウカラムによる蒸
留により前以て精製したもの)に渦巻き攪拌を行いなが
ら溶解し、そして少量の不溶性ポリマーをコットンウー
ルを通して濾過することによって除去した。この澄明な
濾過された溶液を磁気攪拌子、温度計及び凝集器を備え
た250mLの3つ口丸底フラスコにアルゴン下で加え
た。このフラスコに精製L−9911(96g)を攪拌
しながらゆっくり注加し、次いで追加のHFX(50m
L)を加えた。最後に、アゾビス(イソブチロニトリ
ル)(100mg)を加え、その溶液を油浴中のそのフ
ラスコを60℃に保持して攪拌した。HFXが還流し始
めるまでフラスコを交互に排気し、次いでにフラスコに
アルゴンを満たして大気圧まで戻し、このサイクルを5
回繰り返すことによって脱酸素化を行った。
【0044】反応混合物を25時間攪拌した後、得られ
た粘稠な溶液をピペットでエルレンマイヤーフラスコに
入っているアセトン(600mL、試薬級)に移した。
得られたアセトン溶液をポリマーガムからデカントする
ことによって除き、そのガムをアセトンで洗浄し、アセ
トンを再度デカントで除いた。フルオロカーボン溶剤
〔100mLのフルオリナート(Fluoriner
t)FC−72;ミネソタマイニング アンド マニュ
ファクチァリング社が販売;この物質は主としてC 6
14であって、約56℃の沸点を有する〕を加え、得られ
た白色混合物を250mLの丸底フラスコに移した。ア
セトンとFC−72を回転蒸発器を用い、真空下、室温
においてフラスコから蒸留し、回収されたこれら2種の
不混和性溶剤を分離した。そのエルレンマイヤーフラス
コを回収FC−72で洗浄し、その洗液をフラスコ中の
ポリマーに加え、得られた混合物を再度回転蒸発器で蒸
留した。その際、FC−72の再循環はアセトンがそれ
以上蒸留されず、ポリマー溶液が澄明になるまで繰り返
された。ポリマーからのFC−72の最終蒸留は回転蒸
発器にオイルポンプを取り付けることによって2mmH
gの圧力下、25℃において行い、次いでポリマーを恒
量になるまで暗所で室温、真空の下で貯蔵した。
【0045】このようにして製造されたコポリマー(8
7.3g、収率87%)は澄明、淡黄色の非常に粘稠
な、屈折率(nD 25)が1.3435である油であっ
た。このコポリマー(51.9mg)を1,1,2−ト
リクロロトリフルオロエタンに総容量10.0mLにな
るまで溶解し、そしてその固有粘度(ηinh )をサイズ
50のカノン−ウッベローデ希薄粘度計(Cannon
−UbbelholdeDilution Visco
meter)で測定すると、0.08dL/gであるこ
とが判明した。このコポリマーはトリフルオロトルエン
(C6 5 CF3)及びトリフルオロエチルアセテート
(CH3 CO2 CH2 CF3 )に不溶であった。
【0046】実施例2:光ファイバーのクラッド形成に
適した樹脂の製造と硬化 本実施例は光ファイバーのクラッドとして使用するのに
適した樹脂の製造と硬化を説明するものである。
【0047】L−9367(約450g)をシリカゲル
から濾過することによって精製した。かくして調製され
た精製L−9367(87.3g)を250mLの丸底
フラスコに入っている上記実施例1で製造したコポリマ
ー(87.3g)に加えた。得られた混合物をフラスコ
を手動回転させ、かつ内容物を磁気攪拌しながらスチー
ムバスで加温して澄明で曇りのない淡黄色の粘稠、均一
な溶液を生成させ、この溶液を依然として温状態にある
間に褐色のガラスびんに移した。移された溶液の正味重
量は171.7g(98%)で、そのブルックフィール
ド粘度は3850cpであった。
【0048】この溶液の硬化を証明するために、その少
量を2つの厚さ(約0.25mm)を持つパラフィルム
(Parafilm)〔米国、グリニッジ(Greew
ich)CT06830のアメリカン カン社(Ame
rican Can Company)が販売〕で隔て
られた2枚の顕微鏡用ガラススライド(25×75m
m)間に置いた。屈折率(nD 23)は屈折率のプリズム
とガラススライドのサンドイッチとの間に1滴の油を有
するアッベ(Abbe)屈折計で測定して1.3270
であった。そのサンドイッチを次に水冷した450Wの
ハノビア(Hanovia)中圧水銀灯の下5cmにセ
ットした。10秒間の暴露後nD 23=1.3307、更
に10秒間の暴露後nD 23=1.3312、そして更に
30秒間の暴露後nD 23=1.3315となった。
【0049】次いで、ガラススライドを引き離すと、ガ
ラスに十分よく密着した澄明な可撓性のフィルムとなっ
ていることが明らかになった。その屈折率はアッベ屈折
計のプリズムで測定することがで、nD 22=1.331
7、nD 25=1.3312であった。アッベ屈折計の分
散読み取り(dispersion reading)
から屈折率を計算すると、n807 =1.3287であっ
た。45°、45°、90°の2個のガラスプリズム間
にサンドイッチされた硬化したポリマーフィルムの、臨
界角における屈折率の直接測定をゴニオメーターと80
7nmに調整されたチタン/サファイアレーザーを持つ
光学台で行うと、n807 =1.3280であった。
【0050】この光重合性溶液を用いて屈折率約1.4
5の光ファイバーを被覆し、硬化させて光ファイバー上
にクラッドを生成させた。得られたクラッドは屈折率が
約1.33であり、そのクラッド付きファイバーの開口
数は約0.59であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の光重合性組成物により光ファイ
バーを被覆するための装置の模式図である。
【符号の説明】
10 被覆装置 12 炉 14、16 重合性組成物収容被覆用カップ 18 紫外線ランプ 20 キャプスタン 22 巻取ロール 24 光ファイバー
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G02B 6/16 G02B 6/16 G03F 7/027 501 G03F 7/027 501 // C08F 2/44 C08F 2/44 C 220/22 220/22 220/30 220/30 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 6/00 - 6/02 G02B 6/16 C08L 57/00 - 57/12 C08L 33/00 - 33/26 C09D 4/00 - 4/06 C08F 20/00 - 20/40 C08F 220/00 - 220/40

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)エチレン性不飽和基を持つフッ素
    置換モノマーに由来する繰り返し単位を有するコポリマ
    ーであって、 該コポリマーが、光重合性開始性基とエチレン性不飽和
    基の両基を有する光重合開始剤モノマーに由来する繰り
    返し単位も有し、 該光重合開始剤モノマー由来のこれらの繰り返し単位が
    コポリマーにおいて、ペンダントの光重合開始性基をな
    しているコポリマー;及び (2)フッ素置換ジアクリレートを含む、 光ファイバーの上にクラッドを形成するための光重合性
    組成物。
  2. 【請求項2】 コポリマーは、フッ素置換モノマー1モ
    ルにつき、0.02〜0.2モルの光重合開始剤モノマ
    ーを含み、そして光重合性組成物は、フッ素置換ジアク
    リレート1重量部あたり0.5〜2重量部のコポリマー
    を含む請求項1に記載の光重合性組成物。
  3. 【請求項3】 フッ素置換モノマーがモノアクリレート
    又はモノメタクリレートから成ることを特徴とする請求
    項1または2に記載の光重合性組成物。
  4. 【請求項4】 フッ素置換モノアクリレートがフッ素置
    換ポリエーテル、好ましくは、 【化1】 から成ることを特徴とする請求項3に記載の光重合性組
    成物。
  5. 【請求項5】 光重合開始剤モノマーのエチレン性不飽
    和基がアクリレート基又はメタクリレート基、好ましく
    はフェノキシアルカノール又はフェニルアルカノールの
    アクリレート基であることを特徴とする請求項1〜4の
    いずれか1項に記載の光重合性組成物。
  6. 【請求項6】 光重合開始剤モノマーが 【化2】 を含むことを特徴とする請求項5に記載の光重合性組成
    物。
  7. 【請求項7】 粘度が1,000〜15,000cpの
    範囲であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1
    項に記載の光重合性組成物。
  8. 【請求項8】 フッ素置換ジアクリレートモノマーが少
    なくとも25重量%のフッ素を含有することを特徴とす
    る請求項1〜7のいずれか1項に記載の光重合性組成
    物。
  9. 【請求項9】 フッ素置換ジアクリレートモノマーが 【化3】 (ただし、m/nは0.2:1〜5:1の範囲であ
    る。) から成ることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項
    に記載の光重合性組成物。
  10. 【請求項10】 光ファイバーを光重合性組成物の層で
    被覆し、被覆された光ファイバーを紫外線に暴露するこ
    とにより該光重合性組成物を硬化させて該光ファイバー
    の上にクラッドを形成させる工程を含んで成る光ファイ
    バーのクラッド形成法において、該光重合性組成物が請
    求項1〜9のいずれか1項に記載のものであることを特
    徴とする方法。
  11. 【請求項11】 光重合性組成物によって形成されたク
    ラッドを有する光ファイバーであって、光重合性組成物
    が請求項1−9のいずれか1項に記載のものであること
    を特徴とする光ファイバー。
  12. 【請求項12】 クラッドの屈折率が1.35未満であ
    ることを特徴する請求項11に記載の光ファイバー。
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