JP3025493B1 - マルエ―ジング鋼のガス窒化方法 - Google Patents

マルエ―ジング鋼のガス窒化方法

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Abstract

【要約】 【課題】 マルエージング鋼の表面に白層や酸化物を生
じさせることなく、窒素濃度の高い均一な窒化層を得て
表面の硬さを高めることができるマルエージング鋼のガ
ス窒化方法を提供する。 【解決手段】 マルエージング鋼製の薄板に溶体化処理
を施した後、薄板を窒化処理炉に収容し、この窒化処理
炉内に少なくとも一酸化炭素を含む窒素ガスを導入して
この窒素ガスを昇温させる昇温工程と、窒化処理炉に硫
化物ガスを含むアンモニアガスを導入してこのアンモニ
アガスを窒化温度に保持する前期均熱工程と、窒化処理
炉にアンモニアガスを導入してこのアンモニアガスを窒
化温度に保持する後期均熱工程と、窒化処理炉に不活性
ガスを導入して薄板を冷却する冷却工程とを上記の順に
行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばCVT(Co
ntinuously Variable Transmission)用のスチールベル
トなどに用いて好適なマルエージング鋼の窒化方法に係
り、特に、耐摩耗性と曲げ疲労強度を向上させる技術に
関する。
【0002】
【従来の技術】マルエージング鋼は、高ニッケルの超高
張力鋼であって、溶体化処理によってマルテンサイト中
に合金元素を固溶した状態を得、これを時効することに
よって高張力と高い靭性を付与したものである。従来、
マルエージング鋼は金型用鋼として使用されていたが、
その高張力に着目されて近年では上記のようなスチール
ベルトに適用されつつある。
【0003】しかしながら、マルエージング鋼は耐摩耗
性と疲労強度が不充分なため、高い曲げ応力が加えられ
る用途に用いる場合には、マルエージング鋼製の薄板に
窒化を施すことにより、表面部の硬さを高くして耐摩耗
性と疲労強度を高めるようにしている。この窒化処理と
しては、従来、アンモニアガスの雰囲気中でマルエージ
ング鋼製の薄板を時効処理を兼ねて加熱するガス窒化が
行われている。しかしながら、マルエージング鋼は表面
に酸化被膜が形成され易いために窒化され難く、このた
め、所望の窒化層を得るためには処理時間が長くなると
いう不具合がある。また、窒化をタフトライド法で行う
ことも検討されているが、この方法では処理温度が55
0℃以上という高温のため、マルエージング鋼製薄板の
過時効や変形を伴うという問題がある。さらに、低温で
ガス窒化を行う目的で、アンモニアガスにRXガス(二
酸化炭素とアンモニアガスの混合ガス)を混合して窒化
温度に保持するガス軟窒化方法も提案されているが、こ
の方法では、RXガスの反応で生成するCOによってマ
ルエージング鋼の炭素含有量が増加するため好ましくな
い。
【0004】そこで、特開平10−306364号公報
では、窒素ガスをベースとしたガス軟窒化法の雰囲気中
に、微量の硫化水素ガスを添加して処理するガス浸硫窒
化法が提案されている。このガス浸硫窒化法は、窒素ガ
スで置換された容器内に、昇温工程中からアンモニアガ
スと硫化水素ガスを添加することにより、マルエージン
グ鋼製薄板の表面に硫化物と窒化物とからなる均一な化
合物層を生成するものである。この方法によれば、マル
エージング鋼製薄板の表面に硫化物と窒化物からなる潤
滑性に富む化合物層が生成され、耐摩耗性を向上させる
ことができるとされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記提
案に係るガス浸硫窒化法においても、窒素ガスで雰囲気
を置換し、昇温工程中も窒素ガスを供給し続けても微量
の酸素が残存し、この酸素によって薄板の表面が酸化さ
れる。その結果、酸化被膜が形成された部分での窒素の
浸透が不充分となり、窒化層の深さや表面の硬さが不均
一になるという問題があった。また、このガス浸硫窒化
法において窒素ガスに替えてRXガスを用いて窒化温度
に保持することにより、COによって酸化を防止するこ
とも考えられる。ところが、そのようにすると、薄板の
表面に窒素化合物層(白層)が生じ、この窒素化合物層
が疲労破壊の起点となって薄板の靭性を低下させること
が判った。本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、
マルエージング鋼の表面に白層や酸化物を生じさせるこ
となく、窒素濃度の高い均一な窒化層を得て表面の硬さ
を高めることができるマルエージング鋼のガス窒化方法
を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】窒化処理炉内を真空にし
ても酸素を完全に除去することは不可能であり、また、
炉体や治具等からも酸素が放出され、これによって、マ
ルエージング鋼の表面が酸化されて窒化むらの原因とな
っていた。本発明者の検討によれば、微量の酸素の存在
により、雰囲気の温度が150℃程度になるとマルエー
ジング鋼の表面が酸化することが判った。一方、硫化水
素ガスは酸化抑止効果があるものの、150℃程度の温
度ではその効果が発揮されないことも判明している。そ
こで、本発明者は、雰囲気ガスの昇温工程で窒化処理炉
に一酸化炭素を導入したところ、酸素が一酸化炭素との
反応で二酸化炭素となり、マルエージング鋼の酸化が大
幅に抑制されることを見出した。
【0007】本発明は、上記知見に基づいてなされたも
ので、マルエージング鋼製の薄板に溶体化処理を施した
後、薄板を窒化処理炉に収容し、この窒化処理炉内に少
なくとも一酸化炭素を含む窒素ガスを導入してこの窒素
ガスを昇温させる昇温工程と、窒化処理炉に硫化物ガス
を含むアンモニアガスを導入してこのアンモニアガスを
窒化温度に保持する前期均熱工程と、窒化処理炉にアン
モニアガスを導入してこのアンモニアガスを窒化温度に
保持する後期均熱工程と、窒化処理炉に不活性ガスを導
入して薄板を冷却する冷却工程とを上記の順に行うこと
を特徴としている。以下、各工程の好適な実施の形態に
ついて本発明の作用とともに詳細に説明する。
【0008】
【発明の実施の形態】A.素材および溶体化処理 マルエージング鋼の素材は、重量%で、Ni:17〜2
6%、Al:0.05〜0.5%、Mo:4〜6%、T
i:0.2〜1.6%、Co:7〜12%、残部鉄の組
成を有するように調整する。また、CVT用スチールベ
ルトに適用する場合には、マルエージング鋼素材を厚さ
0.1〜0.3mmの無端ベルトに加工する。溶体化処
理は、ニッケル、アルミニウム、チタンなどの溶出原子
をオーステナイト中に固溶させる工程であり、溶体化処
理における薄板の表面酸化を防止するために、真空炉に
おいて800〜850℃で30分〜5時間保持して行う
ことが望ましい。
【0009】B.昇温工程 昇温工程は、雰囲気ガスを窒化温度まで上昇させる工程
であり、昇温工程で室温から一酸化炭素を導入すること
により、これを酸素と化合させて薄板表面の酸化を防止
することができる。なお、昇温工程で導入する窒素ガス
には、一酸化炭素の他に硫化物ガスやアンモニアガスも
含めることができる。昇温工程の後期では硫化物ガスも
酸化抑制に寄与するとともに、浸硫によってマルエージ
ング鋼の表面がFeSによってポーラス状に荒らされる
と窒化が促進される。また、アンモニアガスを昇温工程
から導入することにより、次の前期均熱工程にスムーズ
に移行することができる。
【0010】昇温工程で導入する窒素ガスに含有させる
一酸化炭素の割合は、体積比で10.0〜40.0%で
あることが望ましい。一酸化炭素の割合が10%未満で
は酸素除去の効果が乏しく、逆に40%を上回ると、前
期均熱工程に持ち越された一酸化炭素が多くなり過ぎて
前述した不都合が生じるようになる。
【0011】C.前期均熱工程 前期均熱工程では、下記式(1)に示す反応を生じさ
せ、活性化した窒素[2N]を発生させてマルエージン
グ鋼の表面から浸透させる。ところが、その際に一酸化
炭素が存在すると、下記式(2)に示す反応が生じる。
これにより、活性化した炭素[C]がマルエージング鋼
の表面から浸透し、炭素濃度が上昇するとともに式
(1)の反応が促進される。その結果、アンモニアガス
の分解率が高まって窒素の浸透が急激に行われ、好まし
くない窒素化合物が生成される。よって、本発明では、
一酸化炭素の導入を昇温工程のみとしている。ただし、
次の前期均熱工程に一酸化炭素が持ち越されることもあ
るが、その場合は一酸化炭素の影響は初期段階だけであ
るので前述したような弊害はなく、むしろ、浸炭による
硬さ上昇の効果が期待される。
【0012】
【数1】2NH→[2N]+3H (1) CO+H→[C]+HO (2)
【0013】また、本発明では前期均熱工程に硫化物ガ
スを含むアンモニアガスを導入することにより、下記式
(3)に示す反応を生じさせ、酸素をさらに効果的に除
去する。硫化物ガスとしては、硫化水素や二硫化炭素な
どを用いることができ、式(3)は硫化水素の例であ
る。
【0014】
【数2】HS+O→SO+HO (3)
【0015】また、前期均熱工程に導入するアンモニア
ガスに含有させる硫化物ガスの割合は、体積比で0.5
〜3.0%であることが望ましい。硫化物ガスの割合が
0.5%未満では、酸素除去の効果が乏しく、逆に、
3.0%を上回ると、脆弱な浸硫層が厚く生じるように
なる。ただし、前述のように、窒化促進の観点からある
程度の浸硫層の形成は好ましい。
【0016】以上のように、本発明では、昇温工程では
一酸化炭素、前期均熱工程では硫化物ガスを導入して酸
素を効果的に除去するので、マルエージング鋼の表面の
酸化を極力抑えることができ、均一でしかも窒素が充分
に拡散した窒化層を得ることができる。これにより、薄
板の表面の硬さを高くして耐摩耗性と疲労強度を向上さ
せることができる。
【0017】D.後期均熱工程 前述のように、本発明では昇温工程にのみ一酸化炭素を
導入するが、後期均熱工程で使用するアンモニアガスに
二酸化炭素を含有させることが望ましい。その場合に
は、下記式(1)〜(3)に示す反応が生じる。この反
応は、式(2)を介しているために比較的緩やかに進行
し、COガスによる前述したような不都合は生じないと
ともに、浸炭の効果によりマルエージング鋼の表面部に
硬質なFe−N−C炭窒化物からなる窒化層が形成され
るため、表面の硬さをさらに高めることができる。ま
た、後期均熱工程にのみ二酸化炭素を使用するため、均
熱工程の全てに亘ってRXガスを使用する従来法の場合
のように、炭素含有量が無視できない程度にまで上昇し
たり白層が生じるといった問題は生じない。
【0018】
【数3】2NH→[2N]+3H (1) CO+H→CO+HO (2) CO+H→[C]+HO (3)
【0019】さらに、後期均熱工程に導入するアンモニ
アガスに含有させる二酸化炭素の割合は、体積比で3.
0〜10.0%であることが望ましい。二酸化炭素の割
合が3.0%未満では浸炭の効果が乏しく、逆に、10
%を上回るとマルエージング鋼の炭素濃度の増加が無視
できない程度となる。加えて、前期均熱工程から後期均
熱工程までを460〜500℃の温度で1〜3時間行う
ことにより、窒化を時効処理と兼ねて行うことができ
る。ただし、窒化と時効処理とを別工程で行うことも可
能である。
【0020】次に、図1は窒化処理炉を簡略化して示す
ものであり、真空引きが可能なバッチ式の炉を示してい
る。この窒化処理炉は、内壁に断熱材が設けられた炉体
1の内部に、ヒータ2と真空チャンバ3を配置して概略
構成されている。真空チャンバ3には、窒素ボンベ4、
硫化水素ボンベ5、アンモニアボンベ6、一酸化炭素ボ
ンベ7および二酸化炭素ボンベ8がそれぞれバルブV4
〜V8を介して接続され、さらに、真空ポンプ9がバル
ブV9を介して接続されている。また、真空チャンバ3
には、ガス排出用バルブV10が接続され、真空チャン
バ3内のガスが図示しない排ガス処理装置に送られるよ
うになっている。
【0021】上記構成の窒化処理炉でマルエージング鋼
製薄板の窒化を行うには、まず、真空チャンバ3内に、
溶体化処理を施した薄板Wを収容した状態でバルブV9
を開けて真空ポンプ9を作動させ、真空チャンバ3内を
真空排気する。次いで、バルブV9を閉じ、バルブV4
を開いて真空チャンバ3内をNガスで大気圧まで復圧
した後、バルブV7を開いて一酸化炭素ボンベ7からC
Oを供給する。また、ガス排出用バルブV10を開いて
ガスを排出するとともに、真空チャンバ3内のCOの濃
度が10〜40体積%となるように調整し、ヒータ2に
通電して雰囲気ガスの加熱を開始する。
【0022】雰囲気ガスの温度が460〜500℃の範
囲の所定温度に達したら、ヒータ2への通電を調整して
雰囲気ガスの温度が一定となるようにするとともに、バ
ルブV4およびV7を閉めてNガスとCOガスの供給
を停止し、バルブV5およびV6を開いてHSガスと
NHガスを真空チャンバ3に供給する。この前期均熱
工程での真空チャンバ3内のHSガスの濃度は、0.
5〜3.0体積%とする。この前期均熱工程を所定時間
行ったら、バルブV5を閉じてHSガスの供給を停止
するとともに、バルブV8を開いてCOガスの供給を
開始する。この後期均熱工程での真空チャンバ3内のC
ガスの濃度は、3.0〜10.0体積%とする。
【0023】後期均熱工程を所定時間行ったら、ヒータ
2への通電を停止して薄板Wを冷却する。その際、薄板
Wの温度が所定温度(例えば350℃程度)となるまで
CO ガスとNHガスの供給を継続し、それ以降はN
ガスのみを供給する。これにより、窒化の最後の仕上
げを行うことができる。その後は薄板Wの温度が例えば
150℃程度になるまでNガスを供給し続け、真空チ
ャンバ3内のNHガスを全てパージしてからNガス
の供給を停止して薄板Wを取り出す。なお、本発明で
は、前期均熱工程と後期均熱工程とを互いに異なる温度
で行うことができ、また、異なる時間で行うこともでき
る。
【0024】
【実施例】次に、具体的な実施例によって本発明をさら
に詳細に説明する。まず、重量%で、Ni:17.9
%、Al:0.07%、Mo:4.78%、Ti:0.
48%、Co:7.76%、C:0.005%、S:
0.0003%、Mn:0.008%、残部鉄の組成を
有する材料を厚さ0.2mm、幅9.0mm、長さ30
0mmに加工した。次いで、この薄板を真空炉に収容
し、800℃で30分間加熱することにより溶体化処理
を行い、その後に冷却した。
【0025】図1に示す窒化処理炉の真空チャンバ3に
薄板を収容し、真空チャンバ3内を真空ポンプ9で真空
にした後、Nガスで大気圧に復圧した。次いで、ヒー
タ2への通電を開始し、雰囲気ガスの温度を図2に示す
ように変化させるとともに、真空チャンバ3内のガスの
成分を表1に示すように変化させた。
【0026】
【表1】
【0027】冷却後の薄板を厚さ方向に切断し、マイク
ロビッカース硬度計(加重50g)を用いて薄板の断面
の硬さを表面からの距離を変化させながら測定した。そ
の結果を図4に示した。また、薄板の断面をナイタール
で腐食し、625倍の金属顕微鏡で観察した組織を図6
に示した。図4に示すように、実施例の薄板では、表面
部は850HVもの硬さを有する。このような高い硬さ
が得られるのは、窒化とともに浸炭の効果によるものと
考えられ、CVT用スチールベルトの用途として充分な
硬さを有することが確認された。また、窒化による硬化
層が表面から30μmに達し、しかも内部側へ向かうに
したがって硬さがほぼ直線的に減少していることから、
窒化が極めて均一に行われたことが判る。さらに、図6
に示すように、薄板の表面には窒素化合物層(白層)は
確認されなかった。
【0028】次に、比較のために従来のガス浸硫窒化法
による窒化を行った。この比較例では、上記実施例と同
じ薄板を真空チャンバ3内に収容してNガスでパージ
するところまでは同じであるが、昇温工程の最初からH
Sガス(0.2体積%)、NHガス(67体積%)
およびRXガス(残部)を真空チャンバ3内に供給し、
その雰囲気ガスの温度を図3に示すように変化させた。
冷却後の薄板を厚さ方向に切断し、マイクロビッカース
硬度計(加重50g)を用いて薄板の断面の硬さを表面
からの距離を変化させながら測定した。その結果を図5
に示した。また、薄板の断面をナイタールで腐食し、6
25倍の金属顕微鏡で観察した組織を図7に示した。
【0029】図5に示すように、比較例の薄板では、表
面部の硬さは750HV程度にしかならず、低い所では
540HVの箇所があった。また、窒化による硬化層は
表面から10μmにしか達せず、上記実施例と比較して
窒化が不充分であることが判る。さらに、表面からの距
離に対する硬さの分布が不均一であり、窒化が不均一で
あることが判る。さらに、図7に示すように、薄板の表
面には窒素化合物層(白層)が確認された。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように本発明においては、
窒化処理炉に一酸化炭素を含む窒素ガスを導入して薄板
を昇温させるから、マルエージング鋼製の薄板の酸化が
抑制されて窒化が確実かつ均一に行われ、薄板の耐摩耗
性と疲労強度を向上させることができるという効果が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 窒化処理装置の概略を示す断面図である。
【図2】 本発明の実施例における雰囲気温度の変化を
示す線図である。
【図3】 比較例における雰囲気温度の変化を示す線図
である。
【図4】 本発明の実施例における表面からの距離と硬
さとの関係を示す線図である。
【図5】 比較例における表面からの距離と硬さとの関
係を示す線図である。
【図6】 実施例で窒化したマルエージング鋼製薄板の
断面を示す顕微鏡写真である。
【図7】 比較例で窒化したマルエージング鋼製薄板の
断面を示す顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1…炉体、2…ヒータ、W…薄板。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マルエージング鋼製の薄板に溶体化処理
    を施した後、上記薄板を窒化処理炉に収容し、この窒化
    処理炉内に少なくとも一酸化炭素を含む窒素ガスを導入
    してこの窒素ガスを昇温させる昇温工程と、上記窒化処
    理炉に硫化物ガスを含むアンモニアガスを導入してこの
    アンモニアガスを窒化温度に保持する前期均熱工程と、
    上記窒化処理炉にアンモニアガスを導入してこのアンモ
    ニアガスを窒化温度に保持する後期均熱工程と、上記窒
    化処理炉に不活性ガスを導入して上記薄板を冷却する冷
    却工程とを上記の順に行うことを特徴とするマルエージ
    ング鋼のガス窒化方法。
  2. 【請求項2】 後期均熱工程で使用するアンモニアガス
    に二酸化炭素を含有させたことを特徴とする請求項1に
    記載のマルエージング鋼のガス窒化方法。
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