JP3024440B2 - 液晶シール剤 - Google Patents

液晶シール剤

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、液晶シール剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来の例えば2枚の電極付き基板間に液
晶を封入した構造の液晶表示パネルは以下のようにして
作成されている。
【0003】即ち、一方の電極付き基板にスクリーン印
刷又はディスペンサーによりシール剤を塗布し、ビーズ
状又はロッド状のスペーサー剤を介して他方の電極付き
基板を重ね合わせ、両者を加圧した状態でシール剤を硬
化させ、2枚の電極付き基板間に液晶を封入する。
【0004】従来、シール剤としては、接着性、耐湿性
に優れた熱硬化型の一液エポキシ樹脂が用いられてい
る。
【0005】また、エポキシアクリレートを主成分とし
た光(紫外線)硬化性接着剤を用いることも提案されて
いる(特開平1-243029号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする問題点】しかし、シール剤と
して熱硬化型接着剤を用いると、耐湿性等の信頼性に関
しては優れているが、製造工程において硬化方法が加熱
硬化に約2時間以上という長時間を要するため、作業効
率が阻害される。
【0007】また、予め位置合わせした2枚の基板間に
横方向のずれが生じたり、ギャップのばらつきが生じ
る。
【0008】一方、光(紫外線)硬化性樹脂を使用した
場合は硬化が常温、短時間で行えるため、シール剤の硬
化中に2枚の基板間に横方向にずれが生じたり、ギャッ
プのばらつきが生ずることがないが、従来使用されてき
たエポキシアクリレートを主成分とするものは接着力に
おいて十分に満足するものではなく、またポリエーテル
変性ウレタンアクリレートやポリエステル変性ウレタン
アクリレートを主成分とするものは耐湿性等の信頼性試
験において配向性を劣化させる等満足なものではなかっ
た。
【0009】このため、光(紫外線)硬化官能基と熱硬
化官能基の両方を有するシール剤も提案されているが、
保存安定性が劣悪であったり、或は液晶表示パネルを製
造するに際して紫外線照射後、加熱硬化して液晶を封入
する工程を採用するため、一液エポキシ樹脂と比較して
も生産性が向上するまでには至らなかった。
【0010】
【問題点を解決するための手段】以上の問題点を解決す
るため、この発明では(A) イソボルニル(メタ)アクリ
レート、(B) エポキシアクリレート、(C) 光重合開始
剤、(D) 分子内に少なくとも一つ以上の重合可能なグリ
シジル基を有する化合物、(E) 潜在性熱硬化剤を必須成
分として含有する液晶シール剤を提案するものである。
案するものである。
【0011】この発明のシール剤組成物には前記以外の
成分として接着性を向上させるためのカップリング剤
や、粘度を調製するための無機充填剤や、ギャップを調
製するためのスペーサー剤を配合してもよい。
【0012】また、(A) 項のイソボルニル(メタ)アク
リレートは以下の一般式(1)或は(2)で表される化
合物である。
【0013】
【化1】
【0014】(B) 項のエポキシ(メタ)アクリレートと
はエポキシ樹脂に、このエポキシ樹脂のエポキシ基とほ
ぼ当量の(メタ)アクリル酸を反応させて得られた物
質、或はエポキシ樹脂に、このエポキシ基とほぼ当量の
カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートと多塩基
酸との混合物を反応させて得られた物質である。
【0015】このエポキシ(メタ)アクリレートとして
は、例えばビスフェノールA型ジグシジルエーテル型、
グリセリンジグリシジルエーテル型、ポリアルキレング
リコールジグリシジルエーテル型、多塩基酸ジグリシジ
ルエステル型、シクロヘキセンオキサイド型などエポキ
シ樹脂と(メタ)アクリル酸、またはカルボキシル基を
有する(メタ)アクリレートとの付加反応物を挙げるこ
とができる。
【0016】(C) 項の光重合開始剤としては、1−ヒド
ロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメト
キシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−
2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ジエト
キシアセトフェノン、2−メチル−1−(4−メチルチ
オフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、ベ
ンゾフェノン、ベンゾインイソプロピルエーテル、メチ
ルフェニルグリオキシレート等の紫外線を照射するとラ
ジカルを発生する化合物であればこの発明に使用でき
る。
【0017】(D) 項の分子内に少なくとも一つ以上の重
合可能なグリシジル基を有する化合物としては、一分子
内にグリシジル基を一つ以上持つエポキシ樹脂、及びそ
のグリシジル基の開環重合によって生成するエポキシ樹
脂等を挙げることができるが、この発明においては特に
限定されない。
【0018】ここでエポキシ樹脂としては、例えばビス
フェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポ
キシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂等やこれ
らを水添加したエポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹
脂、(モノ)グリシジルエステル型エポキシ樹脂、ウレ
タン変性エポキシ樹脂、メタキシレンジアミンなどをエ
ポキシ化した含窒素エポキシ樹脂、ポリブタジエン或は
NBRなどを含有するゴム変性エポキシ樹脂を挙げるこ
とができるが、これらに限定されるものでなく、また固
状、液状を問わず使用することができる。
【0019】また、(E) 項の潜在性熱硬化剤としては、
ジシアンジアミド、二塩基酸ヒドラジド類、イミダゾー
ル類、イミダゾール・エポキシ付加物、三フッ化ホウ素
アミン錯体等一般に使用されている潜在性熱硬化剤を使
用することができる。
【0020】また、この発明に係る液晶シール剤には上
記の成分以外にも必要に応じて種々の添加剤を加えるこ
とができ、例えば接着力向上を目的としてカップリング
剤やビス[(2−ヒドロキシエチル)メタクリレート]
アシッド・フォスフェート等のリン化合物や染料や顔料
等の着色剤や、重合禁止剤、酸化防止剤、レベリング
剤、粘度を調整するための無機充填剤、ギャップを調製
するためのスペーサー剤等を加えることも可能である。
【0021】更に、この発明によれば液晶表示パネルの
製造に際して2枚の電極付き基板に液晶シール剤を挟ん
で重ね合わせた状態で光(紫外線)を照射してシール剤
を一次硬化させ、次に2枚の電極基板間に液晶を封入し
たのち、等方性加熱処理によってシール剤を完全硬化さ
せることができるため、シール剤の硬化のために長時間
加熱する必要がなく、従来の一液エポキシ樹脂と比較し
て、生産性を向上させることができる。
【0022】
【実施例】以下、この発明の実施例及び比較例を表1に
示す。実施例1、2は光(紫外線)硬化成分の他に熱硬
化成分であるイソボルニルメタクリレートを配合して、
保存安定性、接着性、配向性等を確認した。
【0023】比較例1、2はイソボルニルメタクリレー
トの代わりに2−ヒドロキシエチルメタクリレートを配
合して、保存安定性、接着性、配向性等を確認した。
【0024】
【表1】
【0025】これによれば、実施例1、2では光(紫外
線)硬化成分と熱硬化成分の配合比を変えているが、モ
ノマー成分としてイソボルニルメタクリレートを用いて
いるので、保存安定性は常温で3ケ月以上の保存が可能
であり、充分に実用のレベルにあり、また硬化後のパネ
ルとしての性能も耐熱性、耐湿性ともに良好な結果が得
られている。
【0026】一方、比較例1、2の場合は保存安定性が
極端に悪くなり、また光(紫外線)硬化後、液晶を封入
して等方性処理時に熱硬化させる工程を採った場合には
耐熱時の配向性が悪くなる。
【0027】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明に係る液
晶シール剤はシール剤として本来必要とされる接着性、
耐湿性、耐熱性に優れ、高温高湿動作等においても配向
不良などを起こさないという優れた特性の他に、保存安
定性においても優れた特性を有している。
【0028】また、この発明に係る液晶シール剤によれ
ば、液晶表示パネルの製造に際して紫外線で一次硬化
し、液晶封入後、等方性処理等の熱で完全硬化させるこ
とができるため、従来の一液エポキシ樹脂と比較して、
生産性を向上させることができ、しかも基板間の位置ず
れやギャップ不良をなくすことができるため、高信頼性
の液晶表示パネルを得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1339 C08G 59/18 C09J 4/00 C09J 163/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A) イソボルニル(メタ)アクリレー
    ト、(B) エポキシアクリレート、(C) 光重合開始剤、
    (D) 分子内に少なくとも一つ以上の重合可能なグリシジ
    ル基を有するエポキシ樹脂、(E) 潜在性熱硬化剤を必須
    成分として含有することを特徴とする液晶シール剤。
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