JP3024298B2 - シクロペンテンエステル類及びその利用 - Google Patents

シクロペンテンエステル類及びその利用

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JP3024298B2
JP3024298B2 JP3234643A JP23464391A JP3024298B2 JP 3024298 B2 JP3024298 B2 JP 3024298B2 JP 3234643 A JP3234643 A JP 3234643A JP 23464391 A JP23464391 A JP 23464391A JP 3024298 B2 JP3024298 B2 JP 3024298B2
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は医薬、農薬、特にプロス
タグランディン中間体として有用なシクロペンテンエス
テル類及びその利用に関する。
【0002】
【従来技術】一般式〔8〕 (式中、*印は不斉炭素を表す。)で示される光学活性
なラクトンはプロスタグランディン類の重要中間体であ
る。この光学活性なラクトン類の微生物または酵素によ
る製造法については、J. Chem. Soc., Chem. Commun.,
1976, 189 、J. Am. Chem. Soc., 99, 1625(1977)、J.
Chem. Soc., Chem. Commun., 1979, 908 等が知られて
いるが、いずれもその原料の合成が困難であったり、製
造における操作が煩雑である等、満足できるものではな
かった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、光学活
性なラクトン類の製造法について種々検討を重ねた結
果、該化合物のキー中間体として重要なシクロペンテン
エステル類を見出し、さらに該シクロペンテンエステル
類を用いて不斉加水分解することにより、光学活性なラ
クトンの前駆体として有用な光学活性なシクロペンテン
アルコール類及び光学活性なシクロペンテンエステル類
を工業的に有利に取得する方法を見出し、本発明に至っ
た。
【0004】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、一般式
〔1〕 (式中、R1 は低級アルキル基を表し、Aは水素原子ま
たは水酸基の保護基を表す。)で示されるシクロペンテ
ンエステル類、及び該化合物の光学異性体の一方のみを
選択的に加水分解する能力を有するエステラーゼを作用
させることを特徴とする一般式〔2〕 (式中、Aは前記と同じ意味を表し、*印は不斉炭素原
子を表す。)で示される光学活性なシクロペンテンアル
コール類及び一般式〔3〕 (式中、R1 及びAは前記と同じ意味を表し、#印は*
印とは逆の立体配置の不斉炭素原子を表す。)で示され
る光学活性なシクロペンテンエステル類の製造法に関す
るものである。以下、本発明を詳細に説明する。
【0005】本発明化合物であるシクロペンテンエステ
ル類〔1〕の置換基R1 としては、例えばメチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基等を挙げることができ、保護基Aとしては、例えば
2,3−ジヒドロピラニル基、トリメチルシリル基、ト
リエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、α−
エトキシエチル基、メトキシメチル基等を挙げることが
できる。
【0006】シクロペンテンエステル類〔1〕に該化合
物の光学異性体の一方のみを選択的に加水分解する能力
を有するエステラーゼを作用させることにより、光学活
性なシクロペンテンアルコール類〔2〕及び光学活性な
シクロペンテンエステル類〔3〕を製造することができ
る。
【0007】本反応におけるシクロペンテンエステル類
の光学異性体の一方のみを選択的に加水分解する能力を
有するエステラーゼとはリパーゼを含む広義のエステラ
ーゼを意味する。中でもリパーゼが好ましい。本反応に
おいて、エステラーゼとしては動物、植物、微生物から
得られた酵素が用いられ、その使用形態としては、精製
酵素、粗酵素、酵素含有物、微生物培養液、培養物、菌
体、培養ロ液、またはそれらを処理したものなど種々の
形態で必要に応じて用いることができ、酵素と微生物を
組み合わせて用いることもできる。あるいはまた、樹脂
等に固定化した固定化酵素、固定化菌体としても用いる
ことができる。
【0008】エステラーゼを生産する微生物としては、
シクロンテンエステル類の光学異性体の一方のみを選択
的に加水分解する能力を有するエステラーゼを生産する
微生物であればよく特に限定されるものではない。この
ような微生物の具体例としては、例えばエンテロバクタ
ー属、アルスロバクター属、ブレビバクテリウム属、シ
ュードモナス属、アルカリゲネス属、ミクロコッカス
属、クロモバクテリウム属、ミクロバクテリウム属、コ
リネバクテリウム属、バシルス属、ラクトバシルス属、
トリコデルマ属、キャンディダ属、サッカロミセス属、
ロドトルラ属、クリプトコッカス属、トルロプシス属、
ピヒア属、ペニシリウム属、アスペルギルス属、リゾプ
ス属、ムコール属、オーレオパシディウム属、アクチノ
ムコール属、ノカルディア属、ストレプトミセス属、ハ
ンゼヌラ属、アクロモバクター属に属する微生物が例示
される。
【0009】上記微生物の培養は、通常、常法に従って
行われ、例えば液体培養を行なうことにより培養液を得
ることができる。たとえば、滅菌した液体培地〔かび
類、酵母類用には麦芽エキス・酵母エキス培地(水1l
にペプトン5g、グルコース10g、麦芽エキス3g、
酵母エキス3gを溶解し、pH6.5とする)、細菌用
には加糖ブイヨン培地(水1lにグルコース10g、ペ
プトン5g、肉エキス5g、NaCl3gを溶解し、p
H7.2とする)〕に微生物を接種し、通常20〜40
℃で1〜3日間往復振盪培養をすることにより行なわ
れ、また必要に応じて固体培養を行なってもよい。
【0010】また、これらの微生物起源のエステラーゼ
のなかには市販されているものがあり、容易に入手する
ことができる。市販エステラーゼの具体例としては、た
とえばシュードモナス属のリパーゼ〔リパーゼアマノ
P、リパーゼアマノPS(ともに天野製薬製)〕、アス
ペルギルス属のリパーゼ〔リパーゼアマノAP、リパー
ゼアマノA12(ともに天野製薬製)〕、ムコール属の
リパーゼ〔リパーゼアマノM−AP(天野製薬製)〕、
キャンディダ・シリンドラッセのリパーゼ〔リパーゼM
Y(名糖産業製)〕、アルカリゲネス属のリパーゼ〔リ
パーゼPL(名糖産業製)〕、アクロモバクター属のリ
パーゼ〔リパーゼAL(名糖産業製)〕、アルスロバク
ター属のリパーゼ〔リパーゼ合同BSL(合同酒精
製)〕、クロモバクテリウム属のリパーゼ(東洋醸造
製)、リゾプス・デレマーのリパーゼ(タリパーゼ(田
辺製薬製)〕、リゾプス属のリパーゼ〔リパーゼサイケ
ン(大阪細菌研究所)〕等が挙げられる。また、動物・
植物エステラーゼを用いることもでき、これらの具体的
なエステラーゼとしては、ステアプシン、パンクレアチ
ン、ブタ肝臓エステラーゼ、Wheat Germエステラーゼ等
を挙げることができる。
【0011】本反応は、シクペンテンエステル類〔1〕
と上記酵素もしくは微生物との混合物を、通常緩衝液中
で激しく攪拌することによって行われる。緩衝液として
は、通常用いられるリン酸ナトリウム、リン酸カリウム
のごとき無機酸塩の緩衝液、酢酸ナトリウム、クエン酸
ナトリウムの如き有機酸塩の緩衝液等が用いられ、その
pHは、好アルカリ性菌の培養液やアルカリ性エステラ
ーゼではpH8〜11、好アルカリ性でない微生物の培
養液や耐アルカリ性を有しないエステラーゼでは、pH
5〜8が好ましい。濃度は通常0.05〜2M、好まし
くは0.05〜0.5Mの範囲である。
【0012】反応温度は通常10〜60℃であり、反応
時間は一般的には0.5〜70時間であるが、これに限
定されることはない。また、不斉加水分解の際、緩衝液
に加えてトルエン、クロロホルム、メチルイソブチルケ
トン、ジクロルメタン等の反応に不活性な有機溶媒を使
用することもできる。
【0013】本反応により、シクロペンテンエステル類
〔1〕の光学異性体のいずれか一方のみが加水分解され
て、目的の一般式〔2〕で示される光学活性なシクロペ
ンテンアルコール類が生成し、一方、シクロペンテンエ
ステル類〔1〕のうちの他方の光学活性体である光学活
性なシクロペンテンエステル類〔3〕は加水分解残とし
てそのまま残存することになる。本反応終了後、反応液
をたとえばメチルイソブチルケトン、酢酸エチル、エチ
ルエーテル等の溶媒により抽出処理し、有機層から溶媒
を留去したのち濃縮残渣をカラムクロマトグラフィーで
処理する等の方法により、光学活性なシクロペンテンア
ルコール類〔2〕と光学活性なシクロペンテンエステル
類〔3〕を分離することができる。
【0014】ここで得られた光学活性なシクロペンテン
エステル類〔3〕は必要に応じて更に加水分解し、先に
得た光学活性なシクロペンテンアルコール類〔2〕とは
対掌体の光学活性なシクロペンテンアルコール類とする
ことができる。また、光学活性なシクロペンテンアルコ
ール類〔2〕や光学活性なシクロペンテンエステル類
〔3〕は必要により脱保護、加水分解し、一般式
〔9〕 で示される光学活性なジオールとすることもできる。
【0015】また、光学活性なシクロペンテンアルコー
ル類〔2〕は、例えば通常の保護化、酸化、脱保護化並
びに環化反応等を行なうことにより、式〔8〕で示され
る光学活性なラクトンへと容易に導くことができる。
【0016】一般式〔1〕で示されるシクロペンテンエ
ステル類は、例えば下記に示すルートにより製造するこ
とができる。 以下、このルートについて詳述する。
【0017】シクロペンテンエステル類〔1〕は、一般
式〔4〕 (式中、Aは前記と同じ意味を表す。)で示されるシク
ロペンテンアルコール類を、触媒存在下一般式〔5〕 R1 COOH 〔5〕 (式中、R1 は前記と同じ意味を表す。)で示されるカ
ルボン酸もしくはその誘導体と反応させることにより製
造することができる。
【0018】本反応において、カルボン酸もしくはその
誘導体としては、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉
草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、これらの酸無水物ある
いは酸クロリドもしくは酸ブロミド等の酸ハライドを挙
げることができる。本反応は、溶媒の存在または非存在
下に行われ、溶媒を使用する場合、その溶媒としては例
えば、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、アセト
ン、メチルエチルケトン、トルエン、ベンゼン、クロル
ベンゼン、ジクロルメタン、ジクロルエタン、クロロホ
ルム、四塩化炭素、ジメチルホルムアミド、ヘキサン等
の脂肪族もしくは芳香族炭化水素、エーテル、ケトン、
ハロゲン化炭化水素、非プロトン性極性溶媒等の反応に
不活性な溶媒を挙げることができ、これらは単独または
混合して使用される。その使用量については特に制限さ
れない。
【0019】本反応に用いるカルボン酸もしくはその誘
導体はシクロペンテンアルコール類〔4〕に対して1当
量以上必要であり、上限については特に制限されない
が、好ましくは1〜6当量であり、より好ましくは4当
量程度である。
【0020】触媒としては、例えばジメチルアミノピリ
ジン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピ
リジン、ピコリン、イミダゾール、炭酸ナトリウム、ナ
トリウムメチラート、炭酸水素カリウム等の有機あるい
は無機塩基物質が挙げられる。また、トルエンスルホン
酸、メタンスルホン酸、硫酸等の酸類を触媒として用い
ることもできる。かかる触媒を使用するにあたり、例え
ばカルボン酸もしくはその誘導体として酸ハライドを用
いる場合には、触媒としてピリジン、トリエチルアミン
が特に好ましく使用される。触媒の使用量は、カルボン
酸もしくはその誘導体の種類と触媒の組み合わせ等によ
っても異なり、必ずしも特定できないが、例えば酸ハラ
イドを使用する場合には、当該酸ハライドに対して1当
量以上使用される。
【0021】反応温度は通常、−30℃〜100℃であ
り、好ましくは−20℃〜80℃である。反応終了後、
通常の分離手段、例えば抽出、分液、濃縮等の操作によ
り、シクロペンテンエステル類〔1〕を収率よく得るこ
とができ、これは必要によりカラムクロマトグラフィー
などで精製することができる。
【0022】シクロペンテンアルコール類〔4〕は、式
〔6〕 で示されるジオールに、触媒存在下、水酸基の保護化剤
を反応させることにより製造することができる。
【0023】ここで、水酸基の保護化剤としては、例え
ば2,3−ジヒドロピラン、トリメチルシリルクロリ
ド、トリエチルシリルクロリド、t−ブチルジメチルシ
リルクロリド、エチルビニルエーテル、メトキシメチル
クロリド等のエーテル系、トリアルキルシリル系保護化
剤を挙げることができる。本反応は、通常の保護化の条
件が適用され、通常、溶媒の存在化に行われる。溶媒と
しては、例えばテトラヒドロフラン、エチルエーテル、
アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、ベンゼン、
クロルベンゼン、ジクロルメタン、ジクロルエタン、ク
ロロホルム、四塩化炭素、ジメチルホルムアミド、ヘキ
サン等の脂肪族もしくは芳香族炭化水素、エーテル、ケ
トン、ハロゲン化炭化水素、非プロトン性極性溶媒等の
反応に不活性な溶媒の単独または混合物が挙げられる。
その使用量については特に制限されない。本反応に用い
る保護化剤はジオール〔6〕に対して通常、0.1当量
以上2当量以下であるが、好ましくは1当量程度であ
る。
【0024】触媒としては、例えば保護化剤としてトリ
アルキルシリル系化合物を用いる場合、ジメチルアミノ
ピリジン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミ
ン、ピリジン、ピコリン、イミダゾール、炭酸ナトリウ
ム、ナトリウムメチラート炭酸水素カリウム等の有機あ
るいは無機塩基物質を挙げることができる。また、保護
化剤としてエーテル系化合物を用いる場合、トルエンス
ルホン酸、メタンスルホン酸、硫酸等の酸類を触媒とし
て用いることもできる。かかる触媒を使用するにあた
り、例えば保護化剤としてトリアルキルシリル系化合物
を用いる場合には、触媒としてピリジン、イミダゾール
が特に好ましく使用される。触媒の使用量は、保護化剤
の種類と触媒の組み合わせ等によっても異なり、必ずし
も特定できないが、例えば保護化剤としてトリアルキル
シリル系化合物を使用する場合には、当該化合物に対し
て1当量以上使用される。
【0025】反応温度は通常、−30℃〜100℃であ
り、好ましくは−20℃〜80℃である。反応終了後、
通常の分離手段、例えば抽出、分液、濃縮等の操作によ
り、シクロペンテンアルコール類〔4〕を収率よく得る
ことができ、これは必要によりカラムクロマトグラフィ
ーなどで精製することができる。
【0026】ジオール〔6〕は、式〔7〕 で示されるラクトンを還元することによって製造するこ
とができる。
【0027】本反応において用いる還元剤としては、例
えば水素化リチウムアルミニウム、水素化リチウムホウ
素、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウム
ナトリウム等の金属水素化物が挙げられる。本反応は、
通常の還元の条件が適用され、通常、溶媒の存在下に行
われる。その溶媒としては、例えばテトラヒドロフラ
ン、エチルエーテル、トルエン、ベンゼン、エキサン等
の脂肪族もしくは芳香族炭化水素、エーテル等の反応に
不活性な溶媒を挙げることができ、これらは単独または
混合して使用される。その使用量については特に制限さ
れない。本反応に用いる還元剤は、ラクトン〔7〕に対
して2当量以上必要であり、上限については特に制限さ
れないが、好ましくは2〜50当量である。
【0028】反応温度は通常、−30℃〜100℃であ
り、好ましくは、−20〜80℃である。反応終了後、
通常の分離手段、例えば抽出、分液、濃縮等の操作によ
り、ジオール〔6〕を収率よく得ることができ、これは
必要によりカラムクロマトグラフィーなどで精製するこ
とができる。
【0029】ラクトン〔7〕は、市販のシス−ビシクロ
〔3.2.0〕ヘプト−2−エン−6−オンに過酢酸等
の過酸を作用させる、いわゆる通常のバイヤービリガー
反応により、製造することができる。
【0030】
【発明の効果】本発明のシクロペンテンエステル類
〔1〕は、医薬、農薬、特にプロスタグランディン中間
体として有用であり、該化合物を用いることにより、光
学活性なシクロペンテンアルコール類〔2〕及び光学活
性なシクロペンテンエステル類〔3〕を、工業的に有利
に製造することができる。
【0031】
【実施例】以下、本発明を実施例により、更に詳細に説
明するが、本発明は実施例に制限されるものではない。
【0032】製造例1 市販のシス−ビシクロ〔3.2.0〕ヘプト−2−エン
−6−オン27.0g(0.22モル)を90%酢酸水
溶液160mlに溶かし、氷浴中で攪拌しながら35%
過酸化水素水(60.6ml)−90%酢酸水溶液(1
70ml)の混合溶液をゆっくり滴下し、一晩冷蔵庫で
放置した。反応液に水600ml及び重曹の粉末を加え
てpHをほぼ7に調整し、更に酢酸エチル−ヘキサン
(4:1)混合液200mlを加え、水層と有機層に分
離した。水層を酢酸エチル−ヘキサン(4:1)100
mlで3回抽出し、全ての有機層を混合し、飽和重曹水
50mlで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
溶媒留去後、減圧蒸留(0.35torr,65〜70
℃)によってシクロペンテノラクトン〔7〕19.75
g(収率63.7%)を得た。 スペクトルデータ IR(neat,cm-1):1770(C=O) 1 HNMR(60MHz,δ,CCl4 ):2.31-2.96
(4H, m), 3.26-3.70(1H,m), 4.90-5.23(1H, m), 5.42-
5.88(2H, m)
【0033】製造例2 予め乾燥し、窒素置換した反応器中に水素化リチウムア
ルミニウム468mg(12.32ミリモル)、THF
60mlを加え、攪拌しつつ氷冷下で上記で得られた化
合物〔7〕2.00g(16.13ミリモル)をTHF
15mlに溶かして、ゆっくり滴下し、4時間攪拌し
た。反応器から反応液をビーカーに取り出し、泡が出な
くなるまで10%塩酸を加えた。セライトを4.00g
加え、吸引濾過を行い、濾液を飽和食塩水5mlで洗浄
後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒留去して2−
(2−ヒドロキシエチル)−3−シクロペンテン−1−
オール〔6〕を1.99g得た。(収率96.6%)得
た。 スペクトルデータ IR(neat,cm-1):3400(O−H) 1 HNMR(60MHz,δ,CCl4 ):1.50-1.90
(2H, m), 2.30-2.90(3H,m), 3.33-3.86(2H, m), 4.20-
4.70(3H, m), 3.34-5.80(2H, m)
【0034】製造例3 予め乾燥し、窒素置換した反応器中に上記で得られた化
合物〔6〕994mg(7.77ミリモル)及びイミダ
ゾール1.32g(19.41ミリモル)のTHF溶液
を仕込み、氷浴中で攪拌し、t−ブチルジメチルクロル
シラン1.17g(7.76ミリモル)のTHF溶液1
0ml溶液をゆっくり滴下し、1時間攪拌後、氷浴を取
り除き室温下、一晩攪拌した。反応液に水2mlをゆっ
くり加え、反応器中の白色塩が完全に溶けたことを確認
し、水層を分離し、この水層を酢酸エチル2mlで3回
抽出した。全ての有機層を併せて無水硫酸マグネシウム
で乾燥し、溶媒留去後、カラムクロマトグラフィー(S
iO2 40g、展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=1
0:1〜)によって精製し、2−(2−t−ブチルジメ
チルシリルオキシエチル)−3−シクロペンテン−1−
オール〔4−1〕1.42g(収率75.7%)を得
た。 スペクトルデータ IR(neat,cm-1):3450(O−H) 1 HNMR(60MHz,δ,CCl4 ):0.03(6H,
s), 0.85(9H, s), 1.57-1.96(2H, m), 2.26-2.87(3H,
m), 3.20-3.37(2H, m), 3.50-3.86(1H, m), 4.15-4.50
(1H, m), 5.16-5.70(2H, m)
【0035】製造例4 上記で得られた化合物〔4−1〕360mg(1.48
8ミリモル)を塩化メチレン4mlに溶かし、DMAP
544mg(4.459ミリモル)を加えた後、蒸留精
製したアセチルクロリド0.15ml(2.118ミリ
モル)をゆっくり滴下し、室温で5時間攪拌した。反応
液に水4mlを加え、水層を分離し、水層を塩化メチレ
ン4mlで10回抽出した。全ての有機層を併せて無水
硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒留去後、カラムクロマ
トグラフィー(SiO2 50g、展開溶媒;ヘキサン:
酢酸エチル=5:1〜)によって精製し、2−(2−t
−ブチルジメチルシリルオキシエチル)−3−シクロペ
ンテン−1−オールアセテート〔1−1〕409mg
(収率96.7%)を得た。 スペクトルデータ IR(neat,cm-1):1735(C=O) 1 HNMR(60MHz,δ,CCl4 ):0.07(6H,
s), 0.92(9H, s), 1.45-1.91(2H, m), 2.02(3H, s), 2.
36-3.13(3H, m),3.50-3.80(2H, t), 5.22-5.50(1H, m),
5.67(2H, m)
【0036】実施例1 反応器に化合物〔1−1〕600mg(2.11ミリモ
ル)、リパーゼ(リパーゼアマノ−P)480mg及び
0.1Mリン酸緩衝液(pH7.2)20mlを仕込
み、35℃恒温槽中で7時間攪拌した。反応液を酢酸エ
チル10mlで5回抽出し、抽出した有機層を併せて無
水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒留去し、カラムクロ
マトグラフィー(SiO2 25g、展開溶媒;ヘキサ
ン:酢酸エチル=20:1〜)によって分離し、(+)
−2−(2−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル)
−3−シクロペンテン−1−オール〔2−1〕189m
g{収率37%、旋光度〔α〕D =+47.7°(c=2.
50, CHCl3 )、光学収率99%ee以上}と、(−)−
2−(2−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル)−
3−シクロペンテン−1−オールアセテート〔3−1〕
234mg{収率39%、旋光度〔α〕D =−18.6
°(c=2.79, CHCl3 )、光学収率92%ee}を得た。
【0037】実施例2 反応器に化合物〔1−1〕1010mg、リパーゼ(リ
パーゼアマノ−P)800mg及び0.1Mリン酸緩衝
液(pH7.2)30mlを仕込み、35℃恒温槽中で
5.5時間攪拌した。以下実施例1と同様の処理を行
い、(+)−2−(2−t−ブチルジメチルシリルオキ
シエチル)−3−シクロペンテン−1−オール〔2−
1〕340mg{収率38%、旋光度〔α〕D =+4
7.7°(c=2.50, CHCl3 )、光学収率98%ee}
と、(−)−2−(2−t−ブチルジメチルシリルオキ
シエチル)−3−シクロペンテン−1−オールアセテー
ト〔3−1〕234mg{収率44%、旋光度〔α〕D
=−18.0°(c=2.79, CHCl3 )、光学収率68%e
e}を得た。 実施例3 恒温槽中での攪拌時間を16.5時間にする以外は実施
例1と同様の操作を行い、(+)−2−(2−t−ブチ
ルジメチルシリルオキシエチル)−3−シクロペンテン
−1−オール〔2−1〕(収率37%、光学収率96%
ee)と、(−)−2−(2−t−ブチルジメチルシリ
ルオキシエチル)−3−シクロペンテン−1−オールア
セテート〔3−1〕(収率33%、光学収率95%e
e)を得た。
【0038】実施例4 反応器中に実施例2で得た化合物〔3−1〕250mg
(0.88ミリモル)のTHF(4.5ml)溶液を仕
込み、氷浴中で攪拌しながらテトラブチルアンモニウム
フルオライド0.51ml(1.76ミリモル)をゆっ
くり滴下した。2時間攪拌後、水2mlを加え、塩化メ
チレン2mlで5回抽出した。全ての有機層を併せて無
水硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒留去後、カラムクロマ
トグラフィー(SiO2 10g、展開溶媒;ヘキサン:
酢酸エチル=20:1〜)によって精製し、(−)−2
−(2−ヒドロキシエチル)−3−シクロペンテン−1
−オールアセテート〔3−2〕88mg(収率74.9
%)を得た。
【0039】参考例1 反応器に実施例1で得られた化合物〔2−1〕140m
g(0.58ミリモル)のTHF(3ml)溶液を仕込
み、氷浴中で攪拌しながらテトラブチルアンモニウムフ
ルオライド0.2ml(0.69ミリモル)をゆっくり
滴下し、6.5時間攪拌した。反応液にエーテル10m
lを加え、飽和塩化ナトリウム水溶液1mlで洗浄後、
無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒留去後、カラムク
ロマトグラフィー(SiO2 4g、展開溶媒;ヘキサ
ン:酢酸エチル=10:1〜)で精製し、(+)−2−
(2−ヒドロキシエチル)−3−シクロペンテン−1−
オール〔9−1〕48mg{収率64.6%、旋光度
〔α〕D =+63.0°(c=1.51, CH3OH )}を得た。
【0040】参考例2 反応器に実施例1で得られた化合物〔3−1〕83mg
(0.29ミリモル)、水酸化リチウム14mg(0.
58ミリモル)及びエタノール10mlを仕込み、室温
で一晩攪拌した。エタノールを留去後、酢酸エチル8m
lを加え、10%塩酸でpHをほぼ4に調整し、無水硫
酸マグネシウムで乾燥、溶媒留去後、カラムクロマトグ
ラフィー(SiO2 5g、展開溶媒;ヘキサン:酢酸エ
チル=10:1〜)で精製し、(−)−2−(2−t−
ブチルジメチルシリルオキシエチル)−3−シクロペン
テン−1−オール〔2−2〕65mg(収率92.6
%)を得た。
【0041】参考例3 予め乾燥し、窒素置換した反応器中に水素化リチウムア
ルミニウム56mg(1.47ミリモル)及びTHF1
0mlを仕込み、氷冷下で攪拌しながら実施例2で得ら
れた化合物〔3−1〕240mg(0,85ミリモル)
をTHFに溶かしてゆっくり滴下し、2.5時間攪拌し
た。反応液をビーカーに取り出し、泡が出なくなるまで
酢酸エチルを加え、pH試験紙を用いて酸性になるまで
10%塩酸を加えた(3ml)。セライト1.0gを加
え、濾過後、濾液を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶
媒留去後、カラムクロマトグラフィー(SiO2 10
g、展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=10:1〜)に
よって精製し、(−)−2−(2−ヒドロキシエチル)
−3−シクロペンテン−1−オール〔9−2〕81mg
{収率74.9%、旋光度〔α〕D =−63.3°(c=
1.51, CH3OH )}を得た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12P 41/00 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (式中、R1 は低級アルキル基を表し、Aは水素原子ま
    たは水酸基の保護基を表す。)で示されるシクロペンテ
    ンエステル類。
  2. 【請求項2】一般式 (式中、R1 は低級アルキル基を表し、Aは水素原子ま
    たは水酸基の保護基を表し、*印は不斉炭素原子を表
    す。)で示される光学活性なシクロペンテンエステル
    類。
  3. 【請求項3】一般式 (式中、R1 は低級アルキル基を表し、Aは水素原子ま
    たは水酸基の保護基を表す。)で示されるシクロペンテ
    ンエステル類に、該エステル類の光学異性体の一方のみ
    を選択的に加水分解する能力を有するエステラーゼを作
    用させることを特徴とする一般式 (式中、Aは前記と同じ意味を表し、*印は不斉炭素原
    子を表す。)で示される光学活性なシクロペンテンアル
    コール類及び一般式 (式中、R1 及びAは前記と同じ意味を表し、#印は*
    印とは逆の立体配置の不斉炭素原子を表す。)で示され
    る光学活性なシクロペンテンエステル類の製造法。
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