JP3024157B2 - 非水電解液二次電池 - Google Patents

非水電解液二次電池

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JP3024157B2
JP3024157B2 JP2048183A JP4818390A JP3024157B2 JP 3024157 B2 JP3024157 B2 JP 3024157B2 JP 2048183 A JP2048183 A JP 2048183A JP 4818390 A JP4818390 A JP 4818390A JP 3024157 B2 JP3024157 B2 JP 3024157B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、非水電解液二次電池に関するものであり、
特に炭素質材料を負極とする非水電解液二次電池に関す
るものである。
〔発明の概要〕
本発明は、(002)面の面間隔が3.70Å以上、真密度
が1.70g/cm3未満であり、且つ空気気流中における示差
熱分析で700℃以上に発熱ピークを有しない炭素質材料
を負極とする非水電解液二次電池において、炭素質材料
の体積加重平均粒径dMVのセパレータの厚さtに対する
比dMV/tを規定することで、製造工程中の絶縁不良の発
生を抑え、生産性,信頼性に優れた非水電解液二次電池
を提供しようとするものである。
〔従来の技術〕
近年の電子技術の目覚しい進歩は、電子機器の小型・
軽量化を次々と実現させている。それに伴い、移動用電
源としての電池に対しても、益々小型・軽量且つ高エネ
ルギー密度のものが求められている。
従来、一般用途の二次電池としては、鉛電池、ニッケ
ル・カドミウム電池等の水溶液系電池が主流であるが、
これらの電池はサイクル特性には優れるものの、電池重
量やエネルギー密度の点では充分に満足できる特性とは
言い難い。
最近、リチウムあるいはリチウム合金を負極に用いた
非水電解液二次電池の研究・開発が盛んに行われ、一部
商品化され始めている。この電池は高エネルギー密度を
有し、自己放電も少なく軽量という優れた特徴を有する
が、充放電サイクルの進行に伴い充電時にリチウムがデ
ンドライト状に結晶成長し、正極に到達して内部ショー
トに至る可能性が高くなる欠点があり、実用化への大き
な障害となっている。
これに対し、負極に炭素材料を使用した非水電解液二
次電池は、化学的・物理的方法により予め炭素材料に担
持させたリチウムや、正極活物質の結晶構造中のリチウ
ム、あるいは電解液中に溶解しているリチウム等の炭素
層間へのドープ/脱ドープを利用するもので、サイクル
が進行しても充電時のリチウムのデンドライト状析出は
見られず、数100回を超える優れた寿命性能を示す。
この場合、炭素材料としては、例えば特開昭62−1220
66号公報、あるいは特開昭62−90863号公報等に開示さ
れるように、通常は(002)面の面間隔が3.40〜3.60
Å、真密度が1.70〜2.20g/cm3程度のものが用いられて
いる。しかしながら、このような炭素材料を用いたので
は、リチウムのドープ可能量が不十分で、電池のエネル
ギー密度を決定する大きな要因である炭素の単位重量当
たりの容量(mAh/g)は、理論値の半分程度に過ぎない
ことがわかってきた。(理論的には、炭素原子6個に対
してリチウム原子1個の割合でドープされる。) 本願出願人は、この点について研究を重ね、特願昭63
−217295号に示されるように、(002)面の面間隔3.70
Å以上、真密度が1.70g/cm3未満であり、且つ空気気流
中に於ける示差熱分析で700℃以上に発熱ピークを有し
ない炭素質材料を用いることにより、サイクル寿命に優
れるだけでなく放電容量も大きな非水電解液二次電池を
得ることに成功した。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところで、前述の電池の製造に当たっては、炭素質材
料を所定の大きさに粉砕したものが負極材料として用い
られるが、特願昭63−217295号において規定される炭素
質材料の多くは、いわゆるガラス状炭素あるいはガラス
状炭素に近い性質を持った難黒鉛化性炭素材料であるた
め、硬く且つ粉砕粒子の稜部が鋭利である。
このため、正・負極間に設置したセパレータ材料を損
傷し易く、内部ショート等により絶縁不良が発生する虞
れがあり、なんらかの対策を講ずる必要が生じている。
そこで本発明は、かかる実情に鑑みて提案されたもの
であって、絶縁不良発生率が小さく、生産性や信頼性に
優れた非水電解液二次電池を提供することを目的とす
る。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者等は、前述の目的を達成せんものと鋭意検討
を重ねた結果、使用する炭素質材料の体積加重平均粒径
をセパレータの厚さに応じて選定すれば良いとの結論を
得るに至った。
本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものであ
って、(002)面の面間隔が3.70Å以上、真密度が1.70g
/cm3未満であり、且つ空気気流中における示差熱分析で
700℃以上に発熱ピークを有しない炭素質材料よりなる
負極と、負極炭素質材料1g当たり250mAh以上の充放電容
量相当分のリチウムを含んだ正極と、これら負極と正極
との間に介在されるセパレータと、非水電解液を有して
なり、前記炭素質材料の体積加重平均粒径dMVのセパレ
ータの厚さtに対する比dMV/tが0.04以上,0.8以下とさ
れたことを特徴とするものである。
すなわち、本発明は、(002)面の面間隔が3.70Å以
上、真密度が1.70g/cm3未満であり、且つ空気気流中に
於ける示差熱分析で700℃以上に発熱ピークを有しない
炭素質材料よりなる負極と、250mAh/g以上の充放電容量
相当分のリチウムを含んだ正極と、非水電解液とを有し
てなる非水電解液電池において、炭素質材料の体積加重
平均粒子径(μm)のセパレータの厚さ(μm)に対す
る比を適切な範囲内に規定することにより、電池製造時
の内部ショート不良品の発生を抑制することができたと
いうものである。
具体的には、上記炭素質材料の体積加重平均粒径をd
MV(μm)、正極と負極の間に設置するセパレータの厚
さをt(μm)とするとき、その比dMV/tを0.04以上、
0.8以下にする。
上記範囲の中で特に、dMV/tは0.05以上、0.6以下にす
ることにより、電池製造時の内部ショート不良発生率を
更に低減させることができる。
前記dMV/tがこれらの範囲の上限より大きい場合に
は、電池製造時に於ける内部ショート不良発生率が高く
なり、製造歩留りが低下するとともに、充放電サイクル
試験開始後数サイクルで内部ショート不良が発生する潜
在的な不良品も混入するようになる。
またdMV/tがこれらの範囲の下限より小さい場合に
は、一般的に使用されるセパレータの厚さから算出され
る炭素質材料の平均粒径が非常に小さいものとなり、そ
れに伴い自己放電量が増大し実用的でなくなる。
なお、本発明において規定される体積加重平均粒径
は、体積を基準として求められる平均粒径であって、例
えばレーザ回折法等により容易に測定することができ
る。
本発明に於いて使用される炭素質材料にあっては、上
記条件の他に更に次の条件を満たすことが望ましい。
すなわち、炭素質材料の累積90%粒径をd90(μ
m)、正・負極間に設置するセパレータの厚さをt(μ
m)とするとき、その比d90/tが0.06以上、1.8以下、好
ましくは0.08以上、1.5以下である。
これらの条件を満たす炭素質材料からなる負極を、25
0mAh/g以上の充放電容量相当分のリチウムを含んだ正極
と、非水電解液と組合せ電池を構成することにより、サ
イクル寿命放電容量等の優れた電池特性を損うことな
く、製造時の内部ショート不良発生率を低く抑えること
に成功した。
本発明において使用される炭素質材料としては、有機
材料を焼成等の手法により炭素化して得られる炭素質材
料が挙げられ、出発原料となる有機材料としては、フル
フリルアルコールあるいはフルフラールのホモポリマ
ー,コポリマーよりなるフラン樹脂が好適である。具体
的には、フルフラール+フェノール,フルフリルアルコ
ール+ジメチロール尿素,フルフリルアルコール,フル
フリルアルコール+ホルムアルデヒド,フルフラール+
ケトン類等よりなる重合体が挙げられる。このフラン樹
脂を炭素化した炭素質材料は、(002)面の面間隔d002
が3.70Å以上であり、空気気流中での示差熱分析(DT
A)において700℃以上に発熱ピークを持たず、電池の負
極材として非常に良好な特性を示す。
あるいは、原料としてH/C原子比0.6〜0.8の石油ピッ
チを用い、これに酸素を含む官能基を導入し、いわゆる
酸素架橋を施して酸素含有量10〜20重量%の前駆体とし
た後、焼成して得られる炭素質材料も好適である。かか
る炭素質材料は、例えば特公昭53−31116号公報等にも
記載されるが、ここでは酸素含有量を最適化することに
より(002)面の面間隔d002を3.70Å以上、示差熱分析
(DTA)において700℃以上に発熱ピークを持たない炭素
質材料とし、前記負極材料として使用する。
さらには、前記フラン樹脂や石油ピッチ等を炭素化す
る際にリン化合物,あるいはホウ素化合物を添加するこ
とで、リチウムに対するドープ量を大きなものとした炭
素質材料も使用可能である。
リン化合物としては、三酸化リン,四酸化リン,五酸
化リン等のリンの酸化物や、オルトリン酸(いわゆるリ
ン酸),メタリン酸,ポリリン酸等のリンのオキソ酸、
さらにはこれらオキソ酸の塩等が挙げられるが、取り扱
い易さ等の点からリン酸が好適である。
有機材料の炭素化の際に添加されるリン化合物の添加
量は、これら有機材料,炭素質材料に対してリンに換算
して0.2〜15重量%,また炭素質材料中のリンの含量は
0.2〜5.0重量%とすることが好ましい。
一方、ホウ素化合物としては、二酸化二ホウ素,三酸
化二ホウ素(いわゆる酸化ホウ素),三酸化四ホウ素,
五酸化四ホウ素等のホウ素の酸化物やオルトホウ酸(い
わゆるホウ酸),メタホウ酸,四ホウ酸,次ホウ酸等の
ホウ素のオキソ酸及びその塩等が挙げられる。これらの
ホウ素化合物は、いずれも水溶液の状態で炭素化のため
の反応系に添加することができる。
有機材料の炭素化の際に添加されるホウ素化合物の添
加量は、これら有機材料,炭素質材料に対してホウ素換
算で0.15〜2.5重量%、また炭素質材料中のホウ素の含
量は0.1〜2.0重量%とすることが好ましい。
前述の炭素質材料を非水電解液二次電池の負極とする
場合、正極材料としては十分な量のLiを含んだ材料を使
用することが好ましく、例えば一般式LiMO2(ただし、
MはCo,Niの少なくとも1種を表す。)で表される複合
金属酸化物やLiを含んだ層間化合物等が使用される。特
にLiCoO2やLiCo0.8Ni0.2O2等を使用した場合に良好な特
性が発揮される。
前記正極は、定常状態(例えば5回程度充放電を繰り
返した後)で負極炭素質材料1g当たり250mAh以上の充放
電容量相当分のLiを含むことが好ましいが、要するに電
池系内に負極炭素質材料1g当たり250mAh以上の充放電容
量相当分のLiが存在すればよい。なお、このLiの量は、
電池の放電容量を測定することによって判断することと
する。
非水電解液としては、有機溶媒と電解質を適宜組み合
わせて調製されるが、これら有機溶媒や電解質としては
この種の電池に用いられるものであればいずれも使用可
能である。
例示するならば、有機溶媒としてはプロピレンカーボ
ネート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタ
ン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テ
トラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,
3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジ
エチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセ
トニトリル、プロピオニトリル、アニソール等である。
電解質としては、LiClO4,LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiB
(C6H5、CH3SO3Li、CF3SO3Li、LiCl、LiBr等であ
る。
〔作用〕
炭素質材料の平均粒径をセパレータの厚さより小さく
設定することにより、炭素質材料の平均的粒子が電極よ
り脱落し電極平面上に付着しても、セパレータを貫通し
正極に電気的に接触する可能性が低減する。
〔実施例〕
以下に本発明を具体的な実験結果に基づいて説明す
る。
予備実験 炭素質材料の粒径とセパレータの厚さとの最適な関係
を求めるため、次のような実験を行った。
出発原料として石油ピッチ(H/C原子比0.6〜0.8)を
用い、これに酸素を含む官能基を10〜20重量%導入(い
わゆる酸素架橋)した後、不活性ガス雰囲気中1000℃で
焼成してガラス状炭素に近い性質を持った難黒鉛化性炭
素質材料を得た。この材料についてX線回折測定を行っ
た結果(002)面の面間隔が3.76Åであった。またピク
ノメータ法に準じて真密度を測定したところ1.62g/cm3
であった。更に、空気気流中において示差熱分析を行っ
たところ、最高温度の発熱ピークは650℃付近に存在
し、700℃以上には発熱ピークは見られなかった。
この材料を振動ミルにより0分、10分、30分、90分、
300分間粉砕し炭素質材料1〜5を得た。これらの材料
についてレーザー回折式粒度分布測定装置を用いて体積
加重平均粒径並びに累積90%粒径を求めた。第1表に測
定結果を示す。
実験用巻回体1 炭素質材料1を90重量部に結着剤としてポリフッ化ビ
ニリデン10重量部を加え混合し、負極合剤とした。この
負極合剤を溶剤N−メチルピロリドンに分散させてスラ
リー状にした。
次にこのスラリー状負極合剤を厚さ10μmの負極集電
体銅箔の両面に塗布し、乾燥した。乾燥後にローラープ
レス機により加工成型して、これを41.5mmの幅に切断
し、帯状の負極を作製した。この負極に於いて負極活物
質層は負極集電体の両面にほぼ同じ膜厚で形成されて
り、また電極の総厚は約170μmであった。
一方、正極は以下の手順で作製した。正極活物質材料
としてLiCoO2を用いた。LiCoO291重量部に、導電剤とし
てグラファイト6重量部、結着剤としてポリフッ化ビニ
リデン3重量部を加え混合し正極合剤とした。この正極
合剤を溶剤N−メチルピロリドンに分散させてスラリー
状にした。
次に、このスラリー状正極合剤を厚さ20μmの正極集
電体アルミ箔の両面に塗布し、乾燥した。乾燥後にロー
ラープレス機により加圧成型して、これを40.5mmの幅に
切断し、帯状の正極を作製した。この正極に於いて、正
極活物質層は正極集電体の両面にほぼ同じ膜厚で形成さ
れており、また電極の総厚は約180μmであった。
以上の様にして得られた帯状の負極(2)、正極
(1)を厚さ25μmの微孔性ポリプロピレン製フィルム
状セパレータ(3)と共に、負極(2)、セパレータ
(3)、正極(1)、セパレータ(3)の順に設置した
後、第1図に示すように渦巻型に多数回巻回することに
より、実験用巻回体を製作した。同様の手順で同じ炭素
質材料1を使用した実験用巻回体を合計400本作製し
た。
尚、負極(2)にはニッケル製負極リード(12)を溶
接して取付け、正極(1)にはアルミ製正極リード
(1)を溶接して取付けた。
実験用巻回体2 炭素質材料2を使用したこと以外は実験用巻回体1と
同様の手順で実験用巻回体2を400本作製した。
実験用巻回体3 炭素質材料3を使用したこと以外は実験用巻回体1と
同様の手順で実験用巻回体3を400本作製した。
実験用巻回体4 炭素質材料4を使用したこと以外は実験用巻回体1と
同様の手順で実験用巻回体4を400本作製した。
実験用巻回体5 炭素質材料5を使用したこと以外は実験用巻回体1と
同様の手順で実験用巻回体5を400本作製した。
実験用巻回体6 炭素質材料2を使用し、セパレータとして厚さ50μm
の微孔性ポリプロピレン製フィルム状セパレータを使用
したこと以外は実験用巻回体1と同様の手順で実験用巻
回体6を400本作製した。
以上の手順で作製した実験用巻回体1〜6、各400本
について露点−50℃以下に制御された乾燥室内、常温下
で、正・負極端子間の抵抗値の測定を行った。両極端子
間の抵抗値が10MΩを超えるものは、絶縁状態良好と考
えて良品とし、10MΩ以下のものは、絶縁状態が不良で
あり内部ショート不良品と判定した。
第2表に実験用巻回体1〜6の内部ショート不良品発
生率、使用した炭素質材料の体積加重平均粒径
(dMV)、累積90%粒径(d90)並びにセパレータの膜厚
(t)及びdMV/t値、d90/t値を示す。
また、第2図には、炭素質材料の体積加重平均粒径の
セパレータ厚さに対する比(dMV/t)と内部ショート不
良発生率との関係を、第3図には、炭素質材料の累積90
%粒径のセパレータ厚さに対する比(d90/t)と内部シ
ョート不良率の関係をそれぞれ示した。
第2表並びに第2図より明らかなように、正極、負極
並びにセパレータより成る電極群を渦巻状に巻回する工
程に於いて、負極に使用する炭素質材料の粒子を、体積
加重平均粒径のセパレータ厚さに対する比(dMV/t)が
0.8以下になるような大きさにすることによって、内部
ショート不良発生率を大きく抑制することができる。更
に、第2表によれば、dMV/tを0.6以下になるような大き
さの粒子の炭素質材料を用いることにより、この効果は
一層大きくなることがわかる。
また、炭素質材料の作製法あるいは粉砕法によって
は、体積加重平均粒径のセパレータ厚さに対する比(d
MV/t)は上記範囲内であっても粒度分布の幅が広く、大
きな粒子の混入する確率が高くなり、内部ショート不良
発生率が増加する可能性もある。従ってこのような材料
を排除するという意味から、小さな粒子から累積した合
計体積が全粒子の総体積の90%に相当する時の粒径(累
積90%粒径d90)のセパレータ厚さに対する比(d90/t)
が1.8以下になるような粒度分布を有する炭素質材料で
あることが望ましい。特に第2表や第3図からも明らか
な通り、d90/tが1.5以下になるような粒度分布を有する
炭素質材料とすることにより、この効果は一層大きくな
る。
ただし、炭素質材料の平均粒径が小さくなるに従い、
材料の比表面積は2乗に反比例し大きくなる。炭素質材
料の比表面積の増加により、電池を充電した状態で保存
した時の容量減少即ち自己放電量が大きくなりすぎ、実
用的ではない。したがって、体積加重平均粒径のセパレ
ータ厚さに対する比(dMV/t)の下限は0.04と規定され
る。更にdMV/tの下限を0.05以上とすることは、自己放
電量を低減させる意味で望ましい。
また同様な理由から、累積90%粒径のセパレータ厚さ
に対する比(d90/t)=0.06を下限とすることが良い。
更にd90/tの下限を0.08以上とすることにより、自己放
電量をより低減させることができ、このような条件を満
たす炭素材料を使用することは一層望ましい。
次に、実際に電池を組み立てて、その特性を評価し
た。
実施例1 良品と判定された実験用巻回体3を第4図に示すよう
にニッケルメッキを施した内径13.3mmの鉄製電池缶
(5)に収納した。外層容器と巻回体との良好な電気的
接触が得られるよう、正極リードは電池蓋(7)に、負
極リードは電池缶(5)に夫々溶接した。巻回体の上・
下断面部には絶縁板(4)を配設した。
電池缶(5)内には炭酸プロピレンと1,2−ジメトキ
シエタンとの混合溶媒中に六フッ化リン酸リチウムを1
モル1の割合で溶解した電解液を注入した。
次いで、電池缶(5)を封口ガスケット(6)を介し
てかしめて電池内の気密性を保持させるとともに、電池
缶(5)と電池蓋(7)との間の電気的な絶縁性も確保
した。なお、電池缶(5)と電池蓋(7)の間には、防
爆弁(8)を配設した。
以上のような構成で、直径13.8mm、高さ50mmの円筒型
非水電解液二次電池を100本試作した。
実施例2 実験用巻回体4を用いたこと以外は実施例1と同様の
構成で円筒型非水電解液二次電池を試作した。
実施例3 実験用巻回体5を用いたこと以外は実施例1と同様の
構成で円筒型非水電解液二次電池を試作した。
実施例4 実験用巻回体6を用いたこと以外は実施例1と同様の
構成で円筒型非水電解液二次電池を試作した。
比較例 実験用巻回体1を用いたこと以外は実施例1と同様の
構成で円筒型非水電解液二次電池を試作した。
実施例1〜実施例4並びに比較例に示す円筒型非水電
解液二次電池に対し、何れも充電上限電圧を4.1Vに設定
して充電電流460mAで2時間充電を行い、次いで18Ωの
負荷で終止電圧2.5Vまで放電を行うサイクルを繰返し10
回めの放電容量を測定した。
次に、これらの電池を再び上記充電条件にて充電した
後、電池を24℃温度下で720時間放置し、その後に上記
放電条件にて放電し、放電容量を測定した。この放電容
量を10回めの放電容量と比較して自己放電率を算出し
た。
上記試験を各仕様の電池について合計100本ずつ行っ
た。10回めの放電容量、24℃720時間放置に於ける自己
放電率の結果を、充放電試験途中で急激な容量減少を起
こした電池個数と共に第3表に示した。
第3表から明らかなように負極に使用する炭素材料の
粒子を体積加重平均粒径のセパレータ厚さに対する比
(dMV/t)が0.8以下の実施例1〜実施例4の円筒型非水
電解液二次電池は、充放電試験開始後の内部ショートが
原因と考えられる不良品の発生率が抑制されている。容
量、自己放電率性能への影響も比較的小さい。
またdMV/tを0.6以下(実施例2〜4)にすることによ
り、更に不良率が抑制されることがわかる。
〔発明の効果〕
以上の説明からも明らかなように、本発明において
は、負極材料として所定の特性を有する炭素質材料を使
用するとともに、当該炭素質材料の体積加重平均粒径と
セパレータの厚さの比率を規定しているので、電池製造
時,特に電極並びにセパレータを積層後渦巻型に巻回し
巻回体を作成する工程において正極・負極端子間の絶縁
不良発生率を大幅に低減することができ、生産性を向上
することが可能である。
また、充放電途中で急激な容量低下を起こす電池の発
生も抑制することができ、信頼性を向上することができ
る。
本発明においては、リチウムのドープ量の大きな炭素
質材料を負極としているので、充放電容量やサイクル特
性、充放電効率に優れるという特性はそのままに、生産
性,信頼性に優れた非水電解液二次電池を提供すること
ができ、その意義は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図は実験用巻回体の構成を示す概略断面図である。 第2図は体積加重平均粒径のセパレータ厚さに対する比
と内部ショート不良発生率の関係を示す特性図であり、
第3図は累積90%粒径のセパレータ厚さに対する比と内
部ショート不良発生率の関係を示す特性図である。 第4図は実際に組み立てた電池の構成を示す概略断面図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−54866(JP,A) 特開 平1−298645(JP,A) 特開 昭63−276873(JP,A) 特開 昭63−193463(JP,A) 特開 昭61−14881(JP,A) 特開 昭63−69155(JP,A) 特開 昭49−109284(JP,A) 特開 昭62−55875(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 10/40 H01M 4/02 H01M 4/58

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(002)面の面間隔が3.70Å以上、真密度
    が1.70g/cm3未満であり、且つ空気気流中における示差
    熱分析で700℃以上に発熱ピークを有しない炭素質材料
    よりなる負極と、 負極炭素質材料1g当たり250mAh以上の充放電容量相当分
    のリチウムを含んだ正極と、 これら負極と正極との間に介在されるセパレータと、 非水電解液を有してなり、 前記炭素質材料の体積加重平均粒径dMVのセパレータの
    厚さtに対する比dMV/tが0.04以上,0.8以下とされたこ
    とを特徴とする非水電解液二次電池。
  2. 【請求項2】上記正極は、一般式LiMO2(ただし、MはC
    o,Niの少なくとも1種を表す。)で表される複合金属酸
    化物を含有することを特徴とする請求項1記載の非水電
    解液二次電池。
  3. 【請求項3】上記炭素質材料の累積90%粒径をd90とし
    たときに、d90/tが0.06以上、1.8以下とされたことを特
    徴とする請求項1記載の非水電解液二次電池。
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