JP3023272U - 液圧制御装置 - Google Patents
液圧制御装置Info
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Abstract
(57)【要約】
[課題] ON−OFF弁の切換えにより発生するハン
マリング現象を抑制しながら、安定した絞り機能、およ
び安定した逆止機能を得ることができる液圧制御装置を
提供すること。 [解決手段] 液圧ポンプの吐出圧を受ける制御ピスト
ン33の軸状部33aが挿通される軸方向貫通路46の
端部に形成された弁座47に対して着座可能な弁体43
を球状とし、また、第2スリーブ部材36に絞り手段と
しての絞り通路55を軸方向貫通路46から径外方に偏
在させて設ける。以上のような構成により、弁体43の
弁座47に対するシール性が向上し安定した逆止機能を
得ることができ、また固定絞りとして絞り通路55を設
けているので、安定した絞り機能を得ることができる。
マリング現象を抑制しながら、安定した絞り機能、およ
び安定した逆止機能を得ることができる液圧制御装置を
提供すること。 [解決手段] 液圧ポンプの吐出圧を受ける制御ピスト
ン33の軸状部33aが挿通される軸方向貫通路46の
端部に形成された弁座47に対して着座可能な弁体43
を球状とし、また、第2スリーブ部材36に絞り手段と
しての絞り通路55を軸方向貫通路46から径外方に偏
在させて設ける。以上のような構成により、弁体43の
弁座47に対するシール性が向上し安定した逆止機能を
得ることができ、また固定絞りとして絞り通路55を設
けているので、安定した絞り機能を得ることができる。
Description
【0001】
本考案は液圧制御装置に関し、特に液圧制御弁であるON−OFF弁の切換え により発生する液圧の脈動を抑制するためにパイロット圧により規定圧力に到達 するとある通路に絞りを構成させるようにした液圧制御装置に関する。
【0002】
図5は、従来の液圧制御装置における絞り弁装置を示すものであるが、以下、 これについて説明する。
【0003】 図において絞り弁装置Sのシリンダ本体71内には段付のシリンダ孔72が形 成され、その段部に当接して第1スリーブ部材75が嵌着されている。またシリ ンダ孔72の小径孔部に摺動自在に外周にシールリング74を装着した制御ピス トン73が嵌合し、ばね79により図中左方へと付勢されているのであるが、通 常は第1スリーブ部材75に当接して図示の位置をとっている。また第1スリー ブ部材75に関し、制御ピストン73とは反対側に第2スリーブ部材76が外周 にシールリング80を装着してシリンダ孔72に嵌着されており、さらにこの第 2スリーブ部材76に関し、第1スリーブ部材75とは反対側に第3スリーブ部 材77が外周にシールリング81を装着してシリンダ孔72に嵌着している。そ して、シリンダ本体71の左方開口端部に形成されるねじ孔にはナット78が螺 着、締付けられることにより、第1、第2および第3スリーブ部材75、76、 77をシリンダ孔72の内部にて固定している。
【0004】 第2スリーブ部材76と第3スリーブ部材77との間には第1液室82が画成 されており、管路Aを介して図示しないマスタシリンダに接続されている。この 第1液室82内ではタペット弁体83が、第3スリーブ部材77の凹所77aに その一端を係止させた弁ばね84により、図中右方へと付勢されている。また、 第2スリーブ部材76に形成される軸方向貫通路86の端部には、タペット弁体 83が着座可能な弁座87が形成されており、この軸方向貫通路86と整列して 、第1スリーブ部材75には貫通孔88が形成されている。この貫通孔88には 一対のシール支持部材90、90を介してシールリング89が装着されているの であるが、これら軸方向貫通路86と貫通孔88とに摺動自在に制御ピストン7 3の軸状部73aが挿通されており、通常は図示するようにばね79のばね力に よりタペット弁体83と当接してタペット弁体83を弁座87から離座させてい る。また第2スリーブ部材76には軸方向貫通路86と直交するように径方向貫 通路91が形成されており、これは第1スリーブ部材75と第2スリーブ部材7 6との間で画成される第2液室85と連通している。さらに、第2液室85は管 路Bを介して図示しないホイールシリンダ側の液圧制御弁に接続されている。
【0005】 また、シリンダ孔72の小径孔部、第1スリーブ部材75および制御ピストン 73との間で液圧ポンプ圧室93が画成されているのであるが、第1スリーブ部 材75はシリンダ孔72の段部に押し付けられており(いわゆるメタルシール) 、このこととシールリング89とにより第2液室85と液圧ポンプ圧室93とが 液密に区画されている。また液圧ポンプ圧室93は管路Cを介して図示しない液 圧ポンプの吐出側に接続されるダンパーに接続されている。なおまた、制御ピス トン73を付勢するばね79のばね力および制御ピストン73の受圧面積により 、この絞り弁装置Sが絞り機能を有する位置に切り換わる所定の液圧が決定され る。そこで、タペット弁体83の右方端部には切欠き95が形成されているので あるが、図示しない液圧ポンプの吐出圧力が所定値以上になり、制御ピストン7 3が右方へと移動してタペット弁体83が弁座87に着座したときは、その切欠 き95により第1液室82と第2液室85との間に絞り通路を形成するように構 成されている。
【0006】 本従来例は以上のように構成されるが、次にこの作用について説明する。
【0007】 図示しないブレーキペダルを踏み込むことによりマスタシリンダにて発生した 液圧は管路A、絞り弁装置Sの第1液室82、軸方向貫通路86、径方向貫通路 91、第2液室85および管路Bを介してブレーキシリンダ側へと伝達され、ブ レーキがかけられる。アンチスキッド制御が行われると同時に図示しない液圧ポ ンプが駆動するのであるが、この液圧ポンプの吐出圧はこれまた図示しないダン パーにより脈圧を減衰され、管路Cを介して絞り弁装置Sの液圧ポンプ圧室93 に供給される。そして、この液圧ポンプ圧室93に供給される液圧、すなわち液 圧ポンプの吐出圧が所定値以上になると、制御ピストン73はばね79のばね力 に抗して図において右方へと移動する。すると、タペット弁体83も共に弁ばね 84のばね力により図において右方へと移動し、ついには弁座87に着座する。 その後は、タペット弁体83に形成された切欠き95による絞り機能が働き、マ スタシリンダ側の圧液はこの絞りを介してブレーキシリンダ側に供給されるよう にしている。そしてブレーキペダルへの踏み込みを解除すると、第2液室85側 の液圧の方が第1液室82側の液圧よりも高くなるので、タペット弁体83を弁 ばね84のばね力に抗して図において左方へと押し上げることにより、ブレーキ シリンダ側の圧液がマスタシリンダ側へと還流される。これにより、これまで絞 りとして機能していた絞り弁装置Sは逆止弁として働くことになる。
【0008】 また、図示しないダンパーと絞り弁装置の絞り機能により従来生じていたアン チスキッド制御に伴うハンマリング音(衝撃音)は大幅に減少され、よって、こ れによる車体振動も大幅に減少することができ、キックバック現象をも抑制する ことができる。
【0009】 以上のようにして、従来の絞り弁装置Sは、通常は図示するように液圧ポンプ の吐出圧を受ける制御ピストン73がばね79のばね力によりタペット弁体83 を弁座87から遠ざけておくことにより第1液室82と第2液室85との間を自 由な連通状態としている。そして、液圧ポンプの吐出圧が所定値以上に達すると 制御ピストン73は図中右方へと移動し、タペット弁体83が弁座87に着座し 、タペット弁体83に形成された切欠き95により絞り機能を働かせるようにし ている。
【0010】 しかしながら、タペット弁体83に切欠き95を形成するための溝加工が微細 で寸法安定性に欠けており、また、タペット弁体83と弁座87とは平面的な接 触であるので、そのシール機能が安定しないといった問題がある。すなわち、タ ペット弁体83が弁座87に着座すると、その微細な切欠き95の部分を介して のみ第1液室82側から第2液室85側へと圧液を供給しているため切欠き95 付近において圧力変動が生じ、またタペット弁体83と弁座87が平面的なシー ルであるということもあって、タペット弁体83を揺動させ、安定した絞り機能 が得られないということだけでなく、タペット弁体83の安定した逆止機能が得 られないといった問題がある。
【0011】
本考案は上述の問題に鑑みてなされ、ハンマリング現象を抑制しながら安定し た絞り機能、および安定した逆止機能が得られる液圧制御装置を提供することを 目的とする。
【0012】
以上の目的は、マスタシリンダと車輪ブレーキ装置のブレーキシリンダとの間 に配置され、車輪のスキッド状態を評価するコントロール・ユニットからの指令 を受けて該ブレーキシリンダのブレーキ液圧を制御する液圧制御弁と、該液圧制 御弁の制御によりブレーキ液圧を低下させる際、前記ブレーキシリンダから前記 液圧制御弁を介して排出されるブレーキ液を貯えるリザーバと、該リザーバのブ レーキ液を加圧して前記マスタシリンダと前記液圧制御弁とを接続する圧液供給 管路に還流する液圧ポンプと、前記圧液供給管路に介設され、前記液圧ポンプの 吐出圧力を受けて該吐出圧力が所定の値に達するまでは両方向の自由な連通を許 容し、該吐出圧力が前記所定の値以上になると両方向を絞り連通させるようにす る絞り弁装置と、該絞り弁装置と前記液圧制御弁との間の圧液供給管路側と前記 液圧ポンプの吐出口との間に接続されたダンパーとを備え、前記絞り弁装置はシ リンダ本体と、該シリンダ本体のシリンダ孔に嵌合し一端側で液圧ポンプの吐出 圧を受ける制御ピストンと、前記シリンダ孔に嵌着する第1スリーブ部材と、該 第1スリーブ部材に関し前記制御ピストンとは反対側で前記シリンダ孔に嵌着す る第2スリーブ部材と、該第2スリーブ部材に関し前記第1スリーブとは反対側 で前記シリンダ孔に嵌着する第3スリーブ部材と、該第3スリーブ部材の凹所で 弁ばねにより前記第2スリーブ部材側に付勢される弁体とから成り、前記第2ス リーブ部材に軸方向貫通路を形成し該軸方向貫通路の端部に前記弁体が着座する 弁座を形成し、前記第2スリーブ部材の前記軸方向貫通路と整列して前記第1ス リーブ部材に貫通孔を形成し、該貫通孔にはシール部材を介して該貫通孔と前記 軸方向貫通路とに前記制御ピストンの軸状部を挿通させて、前記弁体と当接可能 とし、前記第2スリーブ部材と前記第3スリーブ部材との間の第1液室は前記マ スタシリンダに連通させ、前記第2スリーブ部材の軸方向貫通路の他端側を前記 ブレーキシリンダに連通する第2液室に連通し、前記第1液室と前記第2液室と の間に前記制御ピストンが受ける液圧ポンプの吐出圧が所定値以上になると絞り として機能する絞り手段を設けて成る液圧制御装置において、前記弁体は球状で あり、前記絞り手段は前記第2スリーブ部材の前記軸方向貫通路からは径外方に 偏在して設けられていることを特徴とする液圧制御装置、によって達成される。
【0013】
液圧ポンプの吐出圧力が所定値以上になると絞り弁装置は絞り位置に切り換わ るが、絞り弁装置の弁体は球状であるので、軸方向貫通路の端部に形成した弁座 に対して常に安定に着座することができ、よって安定した逆止機能を得ることが できる。また絞り手段が軸方向貫通路から径外方に偏在して設けられることによ り、固定絞りとして常に安定した絞り機能を得ることができる。なお、この絞り 手段は、例えばきりもみ加工または打ち抜き加工によって簡単に得ることができ る。
【0014】
以下、本考案の実施例による液圧制御装置について図面を参照して説明する。
【0015】 図1乃至図3は本考案の第1実施例を示し、図1においてブースタ付マスタシ リンダ1はブレーキペダル4を踏み込むことにより駆動され、公知の構造のブー スタ部2および液圧発生部3を有している。液圧発生部3は2つの液圧発生室を 内蔵し、これらに管路5a、5bが接続され、管路5a側には後述する各弁部材 を介して右側後輪RRおよび左側前輪FLのブレーキシリンダが接続され、他方 の管路5bには同様な各弁部材を介して右側前輪FRおよび左側後輪RLのブレ ーキシリンダが接続されている。すなわち本実施例では、X型ブレーキ配管方式 が適用されている。なお、管路5a、5bには全く同一の配管構成が接続されて いるので、一方の系統すなわち右側後輪RRおよび左側前輪FLのブレーキシリ ンダの系統についてのみ説明し、他方の系統の対応する部分についてはaの代わ りにbを付するものとする。
【0016】 管路5aには絞り弁装置6aが接続されており、これには並列にブレーキシリ ンダ側からマスタシリンダ側への方向を順方向とする逆止弁7aが接続されてい る。この絞り弁装置6aは管路16aを介して供給弁17aおよび管路18aを 介して右側後輪RRのブレーキシリンダに接続される。また供給弁17aにはこ れと並列にブレーキシリンダ側からマスタシリンダ側への方向を順方向とする逆 止弁19aが接続される。また管路16aから分岐する管路26aには、他方の 供給弁20aおよび管路22aを介して左側前輪FLのブレーキシリンダに接続 され、この供給弁20aにも並列にホイールシリンダ側からマスタシリンダ側へ の方向を順方向とする逆止弁21aが接続されている。
【0017】 さらに、右側後輪RRおよび左側前輪FLのブレーキシリンダにはそれぞれ排 出弁23a、24aが接続され、これらは管路27aを介して低圧リザーバ25 aに接続される。低圧リザーバ25aは公知の構造を有し、ケーシング内に弱い ばねで固定されたピストンが摺動自在に嵌合しており、図において上方部にリザ ーバ室を画成している。また他方の系統のリザーバ25bと共通に液圧ポンプ1 0が接続されているのであるが、この液圧ポンプ10は公知の構造を有する。つ まり電動機11により偏心カム機構12が駆動され、これにより2つのピストン が交互に図において左右に駆動され、両側の液圧室に正圧、負圧を発生し、これ ら液圧室に接続される逆止弁15aを介してリザーバ25aからブレーキ液が吸 い込まれるとともに逆止弁13aを介してダンパー14aに接続されている。ダ ンパー14aは公知の構造を有し、逆止弁13aを介して吐出される液圧の流動 抵抗を小さくしてこの下流側に伝達する働きをするものであり、管路9aを介し て絞り弁装置6aに接続されている。また管路9aから分岐する管路28aには ダンパー14a側からマスタシリンダ側への方向を順方向とする逆止弁8aが接 続されている。
【0018】 各車輪のスキッド状態を評価する図示しないコントロール・ユニットにより、 前述の電磁切換弁である供給弁17a、20aおよび排出弁23a、24aのそ れぞれのソレノイド部が励磁されるとそれぞれ遮断位置および連通位置をとり、 励磁されないとそれぞれ図示の連通位置および遮断位置をとるように構成されて いる。また、絞り弁装置6aは管路9aの液圧、すなわち、液圧ポンプ10の吐 出圧が所定値以上になると図示の連通位置から絞り位置をとるように構成されて いる。
【0019】 本実施例では絞り弁装置6aは逆止弁7aと一体化され、絞り逆止弁装置Tと して構成されるのであるが、この詳細を図2に示し、説明する。
【0020】 図2においてシリンダ本体31内には段付のシリンダ孔32が形成され、その 段部に当接して第1スリーブ部材35が嵌着されている。またシリンダ孔32の 小径孔部に摺動自在に外周にシールリング34を装着した制御ピストン33が嵌 合し、ばね39により図中左方へと付勢されているのであるが、通常は第1スリ ーブ部材35に当接して図示の位置をとっている。また第1スリーブ部材35に 関し、制御ピストン33とは反対側に第2スリーブ部材36が位置するように、 外周にシールリング40、41を装着した第3スリーブ部材37が第2スリーブ 部材36をかしめた状態でシリンダ孔に嵌着されている。そして、シリンダ本体 31の左方開口端部に形成されるねじ孔にはナット38が螺着、締付けられるこ とにより、第1、第2および第3スリーブ部材35、36、37をシリンダ孔3 2の内部に図示するように固定している。
【0021】 第2スリーブ部材36と第3スリーブ部材37との間には、第1液室42が画 成され、これは管路5aを介してブースタ付マスタシリンダ1に連通している。 この第1液室42内では球状の弁体43が、第3スリーブ部材37の凹所37a にその一端を係止させた弁ばね44により、図において右方へと付勢されている 。また、第2スリーブ部材36には軸方向貫通路46および径方向貫通路51が 形成されており、このうち軸方向貫通路46の端部には弁体43が着座可能なよ うに円錐加工が施された弁座47が形成されている。径方向貫通路51は軸方向 貫通路46と直交するように形成されており、第1スリーブ部材35と第3スリ ーブ部材37とにより画成される第2液室45に連通し、この第2液室45は管 路16aを介して供給弁17a、20aに接続されている。
【0022】 軸方向貫通路46と整列して、第1スリーブ部材35には貫通孔48が形成さ れており、この貫通孔48にはシールリング49を装着した一対のシール支持部 材50、50が嵌着している。これら軸方向貫通路46および貫通孔48に対し て摺動自在に制御ピストン33の軸状部33aが挿通されており、通常は図示す るようにばね39のばね力により弁体43と当接して弁体43を弁座47から離 座させた状態としている。
【0023】 また、軸方向貫通路46よりも径外方の位置に本考案における絞り手段として の絞り通路55が形成されるが、この絞り通路55は、本実施例では、第1液室 42 と第2液室45とを連通する貫通孔56の第2液室45側を細孔部57とし てきりもみ加工し、第1液室42側には焼結フィルタ58を設けることにより構 成される。第1液室42側に焼結フィルタ58を設けるのは、本考案における絞 り手段が固定絞りとして機能することから、ブレーキ液中の微細なごみ等が細孔 部57に付着して、絞り機能に影響を与えるのを避けるためである。
【0024】 さらに、シリンダ孔32の小径孔部、第1スリーブ部材35および制御ピスト ン33との間で液圧ポンプ圧室53が画成されており、これは管路9a、すなわ ちダンパー14aを介して液圧ポンプ10の吐出側と連通している。なお、第1 スリーブ部材35はナット38の締付けによりシリンダ孔32の段部に押し付け られ(いわゆるメタルシール)、このこととシールリング49とにより第2液室 45 と液圧ポンプ圧室53とは液密に区画されている。
【0025】 本考案による第1実施例は以上のように構成されるが、次にこの作用について 説明する。
【0026】 ブレーキペダル4を踏み込むとブースタ部2の踏力助勢作用が加わり、液圧発 生部3に液圧が発生する。これは管路5a、5bを介してX配管された前後輪に 伝達されるが、一方の系統についてのみ説明する。管路5aからの液圧は、図2 の絞り逆止弁装置Tにおける第1液室42、軸方向貫通路46、径方向貫通路5 1および第2液室45を通って管路16a側、すなわち供給弁17aおよび管路 18aを通って右側後輪RRのホイールシリンダに伝達される。また管路16a から分岐する管路26aを介し、供給弁20aおよび管路22aを通って左側前 輪FLのホイールシリンダに伝達される。よって、全車輪にブレーキがかけられ る。
【0027】 図示しないコントロール・ユニットがブレーキを弛めるべきであると判断する と(なお、説明を分かりやすくするために1系統の右側後輪RRおよび左側前輪 FLは同じスキッド状態とする。)、供給弁17a、20aのソレノイドが励磁 され、管路18a側と管路16a側、および管路22a側と管路16a側とが遮 断される。また、排出弁23a、24aのソレノイド部が励磁されて連通状態に なり、右側後輪RRおよび左側前輪FLのホイールシリンダから排出弁23a、 24aを通り管路27aを介してリザーバ25aにブレーキ液が排出される。こ れと共に液圧ポンプ10が駆動され、直ちにリザーバ25aからブレーキ液が吸 入され、逆止弁13aを通りダンパー14aに供給される。ここで液圧ポンプ1 0の脈圧は大幅に減衰されて管路28aおよび逆止弁8aを通り、絞り弁装置6 aと供給弁17aとを接続する圧液供給管路16aに伝達される。
【0028】 他方、液圧ポンプ10の吐出側、すなわち管路9aは絞り弁装置6aに接続さ れており、液圧ポンプ10の吐出圧は図2に示すように液圧ポンプ圧室53に伝 達される。これが所定圧に達すると制御ピストン35がばね39のばね力に抗し て右方に移動し、図3に示すように弁体43が弁座47に着座する。これにより 第1液室42から軸方向貫通路46を通っての液連通は遮断され、以降は絞り通 路55を通って第2液室45に連通する。そしてブレーキペダル4への踏み込み を解除すると、第2液室45側の液圧の方が第1液室42側の液圧よりも高くな るので、弁体43を弁ばね44のばね力に抗して図において左方へと押し上げる ことにより、ブレーキシリンダ側の圧液がブースタ付マスタシリンダ1側へと還 流される。これにより、これまで絞りとして機能していた絞り弁装置6aは逆止 弁として働くことになる。
【0029】 以上本実施例によれば、ダンパー14aと絞り弁装置6aの絞り機能により、 従来生じていたアンチスキッド制御に伴うハンマリング音(衝撃音)は大幅に減 少し、よって、これによる車体振動も大幅に減少することができ、キックバック 現象をも抑制することができる。
【0030】 さらに本実施例によれば、絞り弁装置6aの弁体43は球状であり、弁座47 も円錐加工(テーパ状)が施されているので、弁体43は弁座47に対して、常 に安定に着座することができ、よって安定した逆止機能を得ることができる。ま た、きりもみ加工により形成される絞り通路55が固定絞りとして設けられてい るので、従来よりも安定した絞り機能を得ることができる。
【0031】 図4は本考案の第2実施例を示すが、図2に対応する部分については同一の符 号を付すものとし、その詳細な説明は省略する。
【0032】 本実施例による絞り逆止弁装置T’の絞り通路60は第2スリーブ部材36’ の軸方向貫通路46から径外方に偏在して形成される貫通孔64内に、打ち抜き 加工により成形されたプレス品の絞り部材61をその細孔部63が第2液室45 側に向くように嵌着させ、第1液室42側には第1実施例と同様に焼結フィルタ 62を設けることにより構成される。すなわち第1実施例の絞り通路55は、図 2に示すように第2スリーブ部材36に対して直接、細孔部57をきりもみ加工 して形成される一方、本実施例における絞り通路60は図4に示すように、細孔 部63を形成させたプレス品である絞り部材61を貫通孔64に嵌着させている 点で異なる。
【0033】 本実施例もまた、上述の第1実施例と同様な作用効果を得るので、その説明は 省略する。
【0034】 以上、本考案の各実施例について説明したが、勿論、本考案はこれらに限定さ れることなく、本考案の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0035】 例えば以上の実施例では、ブースタ付のマスタシリンダ1を説明したが、勿論 ブースタを備えていない通常のタンデムマスタシリンダを装備した車両にも、本 考案は適用可能である。また以上の実施例ではX型ブレーキ配管方式として説明 したが、前後分離型ブレーキ配管方式にも本考案は適用可能である。
【0036】 また以上の実施例では、液圧制御弁としては供給弁17a、20aと排出弁2 3a、24aとのそれぞれ2つの電磁切換弁で構成したが、これに代えて1個の 切換弁、例えば3ポート3位置電磁切換弁を一個ずつ用いるようにしてもよい。 また、以上の実施例では各車輪に対しそれぞれ液圧制御弁を設けて4チャンネル 方式として説明したが、勿論1系統に1個ずつ設けて2チャンネル方式としても 本考案は適用可能である。
【0037】 また以上の各実施例では、絞り通路55または60はそれぞれ1つずつ設けた が、これに限らず、絞り度に応じてその数を増やしてもよい。この場合は勿論、 軸方向貫通路46に関して対称な位置にそれぞれ絞り通路を形成することが望ま しい。
【0038】
以上述べたように本考案の液圧制御装置によれば、固定絞りにより安定した絞 り効果を得ることができ、また球状の弁体によりシール性能を向上させ安定した 逆止機能を得ることができる。
【提出日】平成7年10月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【0001】
【産業上の利用分野】 本考案は液圧制御装置に関し、特に液 圧制御弁であるON−OFF弁の切換えにより発生する液圧の脈動を抑制するた めにパイロット圧により規定圧力に到達するとある通路に絞りを構成させるよう にした液圧制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】 図5は、従来の液圧制御装置に おける絞り弁装置を示すものであるが、以下、これについて説明する。
【0003】 図において絞り弁装置Sのシリンダ本体71内には段付のシリン ダ孔72が形成され、その段部に当接して第1スリーブ部材75が嵌着されてい る。またシリンダ孔72の小径孔部に摺動自在に外周にシールリング74を装着 した制御ピストン73が嵌合し、ばね79により図中左方へと付勢されているの であるが、通常は第1スリーブ部材75に当接して図示の位置をとっている。ま た第1スリーブ部材75に関し、制御ピストン73とは反対側に第2スリーブ部 材76が外周にシールリング80を装着してシリンダ孔72に嵌着されており、 さらにこの第2スリーブ部材76に関し、第1スリーブ部材75とは反対側に第 3スリーブ部材77が外周にシールリング81を装着してシリンダ孔72に嵌着 している。そして、シリンダ本体71の左方開口端部に形成されるねじ孔にはナ ット78が螺着、締付けられることにより、第1、第2および第3スリーブ部材 75、76、77をシリンダ孔72の内部にて固定している。
【0004】 第2スリーブ部材76と第3スリーブ部材77との間には第1液 室82が画成されており、管路Aを介して図示しないマスタシリンダに接続され ている。この第1液室82内ではタペット弁体83が、第3スリーブ部材77の 凹所77aにその一端を係止させた弁ばね84により、図中右方へと付勢されて いる。また、第2スリーブ部材76に形成される軸方向貫通路86の端部には、 タペット弁体83が着座可能な弁座87が形成されており、この軸方向貫通路8 6と整列して、第1スリーブ部材75には貫通孔88が形成されている。この貫 通孔88には一対のシール支持部材90、90を介してシールリング89が装着 されているのであるが、これら軸方向貫通路86と貫通孔88とに摺動自在に制 御ピストン73の軸状部73aが挿通されており、通常は図示するようにばね7 9のばね力によりタペット弁体83と当接してタペット弁体83を弁座87から 離座させている。また第2スリーブ部材76には軸方向貫通路86と直交するよ うに径方向貫通路91が形成されており、これは第1スリーブ部材75と第2ス リーブ部材76との間で画成される第2液室85と連通している。さらに、第2 液室85は管路Bを介して図示しないホイールシリンダ側の液圧制御弁に接続さ れている。
【0005】 また、シリンダ孔72の小径孔部、第1スリーブ部材75および 制御ピストン73との間で液圧ポンプ圧室93が画成されているのであるが、第 1スリーブ部材75はシリンダ孔72の段部に押し付けられており(いわゆるメ タルシール)、このこととシールリング89とにより第2液室85と液圧ポンプ 圧室93とが液密に区画されている。また液圧ポンブ圧室93は管路Cを介して 図示しない液圧ポンプの吐出側に接続されるダンパーに接続されている。なおま た、制御ピストン73を付勢するばね79のばね力および制御ピストン73の受 圧面積により、この絞り弁装置Sが絞り機能を有する位置に切り換わる所定の液 圧が決定される。そこで、タペット弁体83の右方端部には切欠き95が形成さ れているのであるが、図示しない液圧ポンプの吐出圧力が所定値以上になり、制 御ピストン73が右方へと移動してタペット弁体83が弁座87に着座したとき は、その切欠き95により第1液室82と第2液室85との間に絞り通路を形成 するように構成されている。
【0006】 本従来例は以上のように構成されるが、次にこの作用について説 明する。
【0007】 図示しないブレーキペタルを踏み込むことによりマスタシリンダ にて発生した液圧は管路A、絞り弁装置Sの第1液室82、軸方向貫通路86、 径方向貫通路91、第2液室85および管路Bを介してブレーキシリンダ側へと 伝達され、ブレーキがかけられる。アンチスキッド制御が行われると同時に図示 しない液圧ポンプが駆動するのであるが、この液圧ポンプの吐出圧はこれまた図 示しないダンパーにより脈圧を減衰され、管路Cを介して絞り弁装置Sの液圧ポ ンプ圧室93に供給される。そして、この液圧ポンプ圧室93に供給される液圧 、すなわち液圧ポンプの吐出圧が所定値以上になると、制御ピストン73はばね 79のばね力に抗して図において右方へと移動する。すると、タペット弁体83 も共に弁ばね84のばね力により図において右方へと移動し、ついには弁座87 に着座する。その後は、タペット弁体83に形成された切欠き95による絞り機 能が働き、マスタシリンダ側の圧液はこの絞りを介してブレーキシリンダ側に供 給されるようにしている。そしてブレーキペダルへの踏み込みを解除すると、第 2液室85側の液圧の方が第1液室82側の液圧よりも高くなるので、タペット 弁体83を弁ばね84のばね力に抗して図において左方へと押し上げることによ り、ブレーキシリンダ側の圧液がマスタシリンダ側へと還流される。これにより 、これまで絞りとして機能していた絞り弁装置Sは逆止弁として働くことになる 。
【0008】 また、図示しないダンパーと絞り弁装置の絞り機能により従来生 じていたアンチスキッド制御に伴うハンマリング音(衝撃音)は大幅に減少され 、よって、これによる車体振動も大幅に減少することができ、キックバック現象 をも抑制することができる。
【0009】 以上のようにして、従来の絞り弁装置Sは、通常は図示するよう に液圧ポンプの吐出圧を受ける制御ピストン73がばね79のばね力によりタペ ット弁体83を弁座87から遠ざけておくことにより第1液室82と第2液室8 5 との間を自由な連通状態としている。そして、液圧ポンプの吐出圧が所定値以 上に達すると制御ピストン73は図中右方へと移動し、タペット弁体83が弁座 87に着座し、タペット弁体83に形成された切欠き95により絞り機能を働か せるようにしている。
【0010】 しかしながら、タペット弁体83に切欠き95を形成するための 溝加工が微細で寸法安定性に欠けており、また、タペット弁体83と弁座87と は平面的な接触であるので、そのシール機能が安定しないといった問題がある。 すなわち、タペット弁体83が弁座87に着座すると、その微細な切欠き95の 部分を介してのみ第1液室82側から第2液室85側へと圧液を供給しているた め切欠き95付近において圧力変動が生じ、またタペット弁体83と弁座87が 平面的なシールであるということもあって、タペット弁体83を揺動させ、安定 した絞り機能が得られないということだけでなく、タペット弁体83の安定した 逆止機能が得られないといった問題がある。
【0011】
【考案が解決しようとする問題点】 本考案は上述の問題に鑑み てなされ、ハンマリング現象を抑制しながら安定した絞り機能、および安定した 逆止機能が得られる液圧制御装置を提供することを目的とする。
【0012】
【問題点を解決するための手段】 以上の目的は、マスタシリン ダと車輪ブレーキ装置のブレーキシリンダとの間に配置され、車輪のスキッド状 態を評価するコントロール・ユニットからの指令を受けて該ブレーキシリンダの ブレーキ液圧を制御する液圧制御弁と、該液圧制御弁の制御によりブレーキ液圧 を低下させる際、前記ブレーキシリンダから前記液圧制御弁を介して排出される ブレーキ液を貯えるリザーバと、該リザーバのブレーキ液を加圧して前記マスタ シリンダと前記液圧制御弁とを接続する圧液供給管路に還流する液圧ポンプと、 前記圧液供給管路に介設され、前記液圧ポンプの吐出圧力を受けて該吐出圧力が 所定の値に達するまでは両方向の自由な連通を許容し、該吐出圧力が前記所定の 値以上になると両方向を絞り連通させるようにする絞り弁装置と、該絞り弁装置 と前記液圧制御弁との間の圧液供給管路側と前記液圧ポンプの吐出口との間に接 続されたダンパーとを備え、前記絞り弁装置はシリンダ本体と、該シリンダ本体 のシリンダ孔に嵌合し一端側で液圧ポンプの吐出圧を受ける制御ピストンと、前 記シリンダ孔に嵌着する第1スリーブ部材と、該第1スリーブ部材に関し前記制 御ピストンとは反対側で前記シリンダ孔に嵌着する第2スリーブ部材と、該第2 スリーブ部材に関し前記第1スリーブとは反対側で前記シリンダ孔に嵌着する第 3スリーブ部材と、該第3スリーブ部材の凹所で弁ばねにより前記第2スリーブ 部材側に付勢される弁体とから成り、前記第2スリーブ部材に軸方向貫通路を形 成し該軸方向貫通路の端部に前記弁体が着座する弁座を形成し、前記第2スリー ブ部材の前記軸方向貫通路と整列して前記第1スリーブ部材に貫通孔を形成し、 該貫通孔にはシール部材を介して該貫通孔と前記軸方向貫通路とに前記制御ピス トンの軸状部を挿通させて、前記弁体と当接可能とし、前記第2スリーブ部材と 前記第3スリーブ部材との間の第1液室は前記マスタシリンダに連通させ、前記 第2スリーブ部材の軸方向貫通路の他端側を前記ブレーキシリンダに連通する第 2液室に連通し、前記第1液室と前記第2液室との間に前記制御ピストンが受け る液圧ポンプの吐出圧が所定値以上になると絞りとして機能する絞り手段を設け て成る液圧制御装置において、前記弁体は球状であり、前記絞り手段は前記第2 スリーブ部材の前記軸方向貫通路からは径外方に偏在して設けられていることを 特徴とする液圧制御装置、によって達成される。
【0013】
【作用】 液圧ポンプの吐出圧力が所定値以上になると絞り弁装 置は絞り位置に切り換わるが、絞り弁装置の弁体は球状であるので、軸方向貫通 路の端部に形成した弁座に対して常に安定に着座することができ、よって安定し た逆止機能を得ることができる。また絞り手段が軸方向貫通路から径外方に偏在 して設けられることにより、固定絞りとして常に安定した絞り機能を得ることが できる。なお、この絞り手段は、例えばきりもみ加工または打ち抜き加工によっ て簡単に得ることができる。
【0014】
【実施例】 以下、本考案の実施例による液圧制御装置について 図面を参照して説明する。
【0015】 図1乃至図3は本考案の第1実施例を示し、図1においてブース タ付マスタシリンダ1はブレーキペダル4を踏み込むことにより駆動され、公知 の構造のブースタ部2および液圧発生部3を有している。液圧発生部3は2つの 液圧発生室を内蔵し、これらに管路5a、5bが接続され、管路5a側には後述 する各弁部材を介して右側後輪RRおよび左側前輪FLのブレーキシリンダが接 続され、他方の管路5bには同様な各弁部材を介して右側前輪FRおよび左側後 輪RLのブレーキシリンダが接続されている。すなわち本実施例では、X型ブレ ーキ配管方式が適用されている。なお、管路5a、5bには全く同一の配管構成 が接続されているので、一方の系統すなわち右側後輪RRおよび左側前輪FLの ブレーキシリンダの系統についてのみ説明し、他方の系銃の対応する部分につい てはaの代わりにbを付するものとする。
【0016】 管路5aには絞り弁装置6aが接続されており、これには並列に ブレーキシリンダ側からマスタシリンダ側への方向を順方向とする逆止弁7aが 接続されている。この絞り弁装置6aは管路16aを介して供給弁17aおよび 管路18aを介して右側後輪RRのブレーキシリンダに接続される。また供給弁 17aにはこれと並列にブレーキシリンダ側からマスタシリンダ側への方向を順 方向とする逆止弁19aが接続される。また管路16aから分岐する管路26a には、他方の供給弁20aおよび管路22aを介して左側前輪FLのブレーキシ リンダに接続され、この供給弁20aにも並列にホイールシリンダ側からマスタ シリンダ側への方向を順方向とする逆止弁21aが接続されている。
【0017】 さらに、右側後輪RRおよび左側前輪FLのブレーキシリンダに はそれぞれ排出弁23a、24aが接続され、これらは管路27aを介して低圧 リザーバ25aに接続される。低圧リザーバ25aは公知の構造を有し、ケーシ ング内に弱いばねで固定されたピストンが摺動自在に嵌合しており、図において 上方部にリザーバ室を画成している。また他方の系統のリザーバ25bと共通に 液圧ポンプ10が接続されているのであるが、この液圧ポンプ10は公知の構造 を有する。つまり電動機11により偏心カム機構12が駆動され、これにより2 つのピストンが交互に図において左右に駆動され、両側の液圧室に正圧、負圧を 発生し、これら液圧室に接続される逆止弁15aを介してリザーバ25aからブ レーキ液が吸い込まれるとともに逆止弁13aを介してダンパー14aに接続さ れている。ダンパー14aは公知の構造を有し、逆止弁13aを介して吐出され る液圧の流動抵抗を小さくしてこの下流側に伝達する働きをするものであり、管 路9aを介して絞り弁装置6aに接続されている。また管路9aから分岐する管 路28aにはダンパー14a側からマスタシリンダ側への方向を順方向とする逆 止弁8aが接続されている。
【0018】 各車輪のスキッド状態を評価する図示しないコントロール・ユニ ットにより、前述の電磁切換弁である供給弁17a、20aおよび排出弁23a 、24aのそれぞれのソレノイド部が励磁されるとそれぞれ遮断位置および連通 位置をとり、励磁されないとそれぞれ図示の連通位置および遮断位置をとるよう に構成されている。また、絞り弁装置6aは管路9aの液圧、すなわち、液圧ポ ンプ10の吐出圧が所定値以上になると図示の連通位置から絞り位置をとるよう に構成されている。
【0019】 本実施例では絞り弁装置6aは逆止弁7aと一体化され、絞り逆 止弁装置Tとして構成されるのであるが、この詳細を図2に示し、説明する。
【0020】 図2においてシリンダ本体31内には段付のシリンダ孔32が形 成され、その段部に当接して第1スリーブ部材35が嵌着されている。またシリ ンダ孔32の小径孔部に摺動自在に外周にシールリング34を装着した制御ピス トン33が嵌合し、ばね39により図中左方へと付勢されているのであるが、通 常は第1スリーブ部材35に当接して図示の位置をとっている。また第1スリー ブ部材35に関し、制御ビストン33とは反対側に第2スリーブ部材36が位置 するように、外周にシールリング40、41を装着した第3スリーブ部材37が 第2スリーブ部材36をかしめた状態でシリンダ孔に嵌着されている。そして、 シリンダ本体31の左方開口端部に形成されるねじ孔にはナット38が螺着、締 付けられることにより、第1、第2および第3スリーブ部材35、36、37を シリンダ孔32の内部に図示するように固定している。
【0021】 第2スリーブ部材36と第3スリーブ部材37との間には、第1 液室42が画成され、これは管路5aを介してブースタ付マスタシリンダ1に連 通している。この第1液室42内では球状の弁体43が、第3スリーブ部材37 の凹所37aにその一端を係止させた弁ばね44により、図において右方へと付 勢されている。また、第2スリーブ部材36には軸方向貫通路46および径方向 貫通路51が形成されており、このうち軸方向貫通路46の端部には弁体43が 着座可能なように円錐加工が施された弁座47が形成されている。径方向貫通路 51は軸方向貫通路46と直交するように形成されており、第1スリーブ部材3 5と第3スリーブ部材37とにより画成される第2液室45に連通し、この第2 液室45は管路16aを介して供給弁17a、20aに接続されている。
【0022】 軸方向貫通路46と整列して、第1スリーブ部材35には貫通孔 48が形成されており、この貫通孔48にはシールリング49を装着した一対の シール支持部材50、50が嵌着している。これら軸方向貫通路46および貫通 孔48に対して摺動自在に制御ピストン33の軸状部33aが挿通されており、 通常は図示するようにばね39のばね力により弁体43と当接して弁体43を弁 座47から離座させた状態としている。
【0023】 また、軸方向貫通路46よりも径外方の位置に本考案における絞 り手段としての絞り通路55が形成されるが、この絞り通路55は、本実施例で は、第1液室42と第2液室45とを連通する貫通孔56の第2液室45側を細 孔部57としてきりもみ加工し、第1液室42側には焼結フィルタ58を設ける ことにより構成される。第1液室42側に焼結フィルタ58を設けるのは、本考 案における絞り手段が固定絞りとして機能することから、ブレーキ液中の微細な ごみ等が細孔部57に付着して、絞り機能に影響を与えるのを避けるためである 。
【0024】 さらに、シリンダ孔32の小径孔部、第1スリーブ部材35およ び制御ピストン33との間で液圧ポンプ圧室53が画成されており、これは管路 9a、すなわちダンパー14aを介して液圧ポンプ10の吐出側と連通している 。なお、第1スリーブ部材35はナット38の締付けによりシリンダ孔32の段 部に押し付けられ(いわゆるメタルシール)、このこととシールリング49とに より第2液室45と液圧ポンプ圧室53とは液密に区画されている。
【0025】 本考案による第1実施例は以上のように構成されるが、次にこの 作用について説明する。
【0026】 ブレーキペダル4を踏み込むとブースタ部2の踏力助勢作用が加 わり、液圧発生部3に液圧が発生する。これは管路5a、5bを介してX配管さ れた前後輪に伝達されるが、一方の系銃についてのみ説明する。管路5aからの 液圧は、図2の絞り逆止弁装置Tにおける第1液室42、軸方向貫通路46、径 方向貫通路51および第2液室45を通って管路16a側、すなわち供給弁17 aおよび管路18aを通って右側後輪RRのホイールシリンダに伝達される。ま た管路16aから分岐する管路26aを介し、供給弁20aおよび管路22aを 通って左側前輪FLのホイールシリンダに伝達される。よって、全車輪にブレー キがかけられる。
【0027】 図示しないコントロール・ユニットがブレーキを弛めるべきであ ると判断すると(なお、説明を分かりやすくするために1系統の右側後輪RRお よび左側前輪FLは同じスキッド状態とする。)、供給弁17a、20aのソレ ノイドが励磁され、管路18a側と管路16a側、および管路22a側と管路1 6a側とが遮断される。また、排出弁23a、24aのソレノイド部が励磁され て連通状態になり、右側後輪RRおよび左側前輪FLのホイールシリンダから排 出弁23a、24aを通り管路27aを介してリザーバ25aにブレーキ液が排 出される。これと共に液圧ポンプ10が駆動され、直ちにリザーバ25aからブ レーキ液が吸入され、逆止弁13aを通りダンパー14aに供給される。ここで 液圧ポンプ10の脈圧は大幅に減衰されて管路28aおよび逆止弁8aを通り、 絞り弁装置6aと供給弁17aとを接続する圧液供給管路16aに伝達される。
【0028】 他方、液圧ポンブ10の吐出側、すなわち管路9aは絞り弁装置 6aに接続されており、液圧ポンプ10の吐出圧は図2に示すように液圧ポンプ 圧室53に伝達される。これが所定圧に達すると制御ピストン35がばね39の ばね力に抗して右方に移動し、図3に示すように弁体43が弁座47に着座する 。これにより第1液室42から軸方向貫通路46を通っての液連通は遮断され、 以降は絞り通路55を通って第2液室45に連通する。そしてブレーキペダル4 への踏み込みを解除すると、第2液室45側の液圧の方が第1液室42側の液圧 よりも高くなるので、弁体43を弁ばね44のばね力に抗して図において左方へ と押し上げることにより、ブレーキシリンダ側の圧液がブースタ付マスタシリン ダ1側へと還流される。これにより、これまで絞りとして機能していた絞り弁装 置6aは逆止弁として働くことになる。
【0029】 以上本実施例によれば、ダンパー14aと絞り弁装置6aの絞り 機能により、従来生じていたアンチスキッド制御に伴うハンマリング音(衝撃音 )は大幅に減少し、よって、これによる車体振動も大幅に減少することができ、 キックバック現象をも抑制することができる。
【0030】 さらに本実施例によれば、絞り弁装置6aの弁体43は球状であ り、弁座47も円錐加工(テーパ状)が施されているので、弁体43は弁座47 に対して、常に安定に着座することができ、よって安定した逆止機能を得ること ができる。また、きりもみ加工により形成される絞り通路55が固定絞りとして 設けられているので、従来よりも安定した絞り機能を得ることができる。
【0031】 図4は本考案の第2実施例を示すが、図2に対応する部分につい ては同一の符号を付すものとし、その詳細な説明は省略する。
【0032】 本実施例による絞り逆止弁装置T’の絞り通路60は第2スリー ブ部材36’の軸方向貫通路46から径外方に偏在して形成される貫通孔64内 に、打ち抜き加工により成形されたプレス品の絞り部材61をその細孔部63が 第2液室45側に向くように嵌着させ、第1液室42側には第1実施例と同様に 焼結フィルタ62を設けることにより構成される。すなわち第1実施例の絞り通 路55は、図2に示すように第2スリーブ部材36に対して直接、細孔部57を きりもみ加工して形成される一方、本実施例における絞り通路60は図4に示す ように、細孔部63を形成させたプレス品である絞り部材61を貫通孔64に嵌 着させている点で異なる。
【0033】 本実施例もまた、上述の第1実施例と同様な作用効果を得るので 、その説明は省略する。
【0034】 以上、本考案の各実施例について説明したが、勿論、本考案はこ れらに限定されることなく、本考案の技術的思想に基づいて種々の変形が可能で ある。
【0035】 例えば以上の実施例では、ブースタ付のマスタシリンダ1を説明 したが、勿論ブースタを備えていない通常のタンデムマスタシリンダを装備した 車両にも、本考案は適用可能である。また以上の実施例ではX型ブレーキ配管方 式として説明したが、前後分離型ブレーキ配管方式にも本考案は適用可能である 。
【0036】 また以上の実施例では、液圧制御弁としては供給弁17a、20 aと排出弁23a、24aとのそれぞれ2つの電磁切換弁で構成したが、これに 代えて1個の切換弁、例えば3ポート3位置電磁切換弁を一個ずつ用いるように してもよい。また、以上の実施例では各車輪に対しそれぞれ液圧制御弁を設けて 4チャンネル方式として説明したが、勿論1系統に1個ずつ設けて2チャンネル 方式としても本考案は適用可能である。
【0037】 また以上の各実施例では、絞り通路55または60はそれぞれ1 つずつ設けたが、これに限らず、絞り度に応じてその数を増やしてもよい。この 場合は勿論、軸方向貫通路46に関して対称な位置にそれぞれ絞り通路を形成す ることが望ましい。
【0038】
【考案の効果】 以上述べたように本考案の液圧制御装置によれ ば、固定絞りにより安定した絞り効果を得ることができ、また球状の弁体により シール性能を向上させ安定した逆止機能を得ることができる。
【図1】本考案の第1実施例による液圧制御装置の配管
系統図である。
系統図である。
【図2】同装置における要部の拡大断面図である。
【図3】同装置の作用を示す要部の拡大断面図である。
【図4】本考案の第2実施例による液圧制御装置の要部
を示す拡大断面図である。
を示す拡大断面図である。
【図5】従来の液圧制御装置の要部を示す拡大断面図で
ある。
ある。
6a 絞り弁装置 6b 絞り弁装置 43 弁体 46 軸方向貫通路 55 絞り通路 58 焼結フィルタ 60 絞り通路 62 焼結フィルタ
Claims (4)
- 【請求項1】 マスタシリンダと車輪ブレーキ装置のブ
レーキシリンダとの間に配置され、車輪のスキッド状態
を評価するコントロール・ユニットからの指令を受けて
該ブレーキシリンダのブレーキ液圧を制御する液圧制御
弁と、該液圧制御弁の制御によりブレーキ液圧を低下さ
せる際、前記ブレーキシリンダから前記液圧制御弁を介
して排出されるブレーキ液を貯えるリザーバと、該リザ
ーバのブレーキ液を加圧して前記マスタシリンダと前記
液圧制御弁とを接続する圧液供給管路に還流する液圧ポ
ンプと、前記圧液供給管路に介設され、前記液圧ポンプ
の吐出圧力を受けて該吐出圧力が所定の値に達するまで
は両方向の自由な連通を許容し、該吐出圧力が前記所定
の値以上になると両方向を絞り連通させるようにする絞
り弁装置と、該絞り弁装置と前記液圧制御弁との間の圧
液供給管路側と前記液圧ポンプの吐出口との間に接続さ
れたダンパーとを備え、前記絞り弁装置はシリンダ本体
と、該シリンダ本体のシリンダ孔に嵌合し一端側で液圧
ポンプの吐出圧を受ける制御ピストンと、前記シリンダ
孔に嵌着する第1スリーブ部材と、該第1スリーブ部材
に関し前記制御ピストンとは反対側で前記シリンダ孔に
嵌着する第2スリーブ部材と、該第2スリーブ部材に関
し前記第1スリーブとは反対側で前記シリンダ孔に嵌着
する第3スリーブ部材と、該第3スリーブ部材の凹所で
弁ばねにより前記第2スリーブ部材側に付勢される弁体
とから成り、前記第2スリーブ部材に軸方向貫通路を形
成し該軸方向貫通路の端部に前記弁体が着座する弁座を
形成し、前記第2スリーブ部材の前記軸方向貫通路と整
列して前記第1スリーブ部材に貫通孔を形成し、該貫通
孔にはシール部材を介して該貫通孔と前記軸方向貫通路
とに前記制御ピストンの軸状部を挿通させて、前記弁体
と当接可能とし、前記第2スリーブ部材と前記第3スリ
ーブ部材との間の第1液室は前記マスタシリンダに連通
させ、前記第2スリーブ部材の軸方向貫通路の他端側を
前記ブレーキシリンダに連通する第2液室に連通し、前
記第1液室と前記第2液室との間に前記制御ピストンが
受ける液圧ポンプの吐出圧が所定値以上になると絞りと
して機能する絞り手段を設けて成る液圧制御装置におい
て、前記弁体は球状であり、前記絞り手段は前記第2ス
リーブ部材の前記軸方向貫通路からは径外方に偏在して
設けられていることを特徴とする液圧制御装置。 - 【請求項2】 前記絞り手段は前記第2スリーブ部材に
形成された貫通孔の前記第2液室側にある一端側で細孔
として形成されている請求項1に記載の液圧制御装置。 - 【請求項3】 前記絞り手段は前記第2スリーブ部材に
形成された貫通孔に、前記第2液室側にある細孔を設け
た絞り部材を嵌着させて成る請求項1に記載の液圧制御
装置。 - 【請求項4】 前記第2スリーブの貫通孔の他端側に焼
結フィルタを設けた請求項2又は請求項3に記載の液圧
制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1995009958U JP3023272U (ja) | 1995-08-29 | 1995-08-29 | 液圧制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1995009958U JP3023272U (ja) | 1995-08-29 | 1995-08-29 | 液圧制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP3023272U true JP3023272U (ja) | 1996-04-16 |
Family
ID=43158549
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1995009958U Expired - Lifetime JP3023272U (ja) | 1995-08-29 | 1995-08-29 | 液圧制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3023272U (ja) |
-
1995
- 1995-08-29 JP JP1995009958U patent/JP3023272U/ja not_active Expired - Lifetime
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