JP3026714U - 液圧制御装置 - Google Patents

液圧制御装置

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JP3026714U
JP3026714U JP1996000380U JP38096U JP3026714U JP 3026714 U JP3026714 U JP 3026714U JP 1996000380 U JP1996000380 U JP 1996000380U JP 38096 U JP38096 U JP 38096U JP 3026714 U JP3026714 U JP 3026714U
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JP1996000380U
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Inventor
寿文 西村
陽一郎 川畑
信二 小泉
哲久 矢部
浩文 水尾
孝之 藤井
正 小松
雅人 菊池
哲明 吉田
武志 篠原
Original Assignee
日本エービーエス株式会社
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ON−OFF弁の切換えにより発生するハン
マリング現象を抑制しながら、安定した絞り機能、およ
び安定した逆止機能を得ることができる液圧制御装置を
提供すること。 【解決手段】 液圧ポンプの吐出圧を受ける制御ピスト
ン33の軸状部33aが挿通される軸方向貫通路46の
端部に形成された弁座47に対して着座可能な弁体とし
て有底筒体43を配設し、その底部に形成した小孔43
bを絞りとする。制御ピストン33の軸状部33aの先
端部33aaは尖鋭化し、通常は小孔43bに係合して
いる。弁体としての有底筒体43の弁座47に対するシ
ール性が向上し安定した逆止弁機能を得ることができ、
また固定絞りとして安定した絞り機能を得ることができ
る。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は液圧制御装置に関し、特に液圧制御弁であるON−OFF弁の切換え により発生する液圧の脈動を抑制するためにパイロット圧により規定圧力に到達 するとある通路に絞りを構成させるようにした液圧制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、従来の液圧制御装置における絞り弁装置を示すものであるが、以下、 これについて説明する。
【0003】 図において絞り弁装置Sのシリンダ本体71内には段付のシリンダ孔72が形 成され、その段部に当接して第1スリーブ部材75が嵌着されている。またシリ ンダ孔72の小径孔部に摺動自在に外周にシールリング74を装着した制御ピス トン73が嵌合し、ばね79により図中左方へと付勢されているのであるが、通 常は第1スリーブ部材75に当接して図示の位置をとっている。また第1スリー ブ部材75に関し、制御ピストン73とは反対側に第2スリーブ部材76が外周 にシールリング80を装着してシリンダ孔72に嵌着されており、さらにこの第 2スリーブ部材76に関し、第1スリーブ部材75とは反対側に第3スリーブ部 材77が外周にシールリング81を装着してシリンダ孔72に嵌着している。そ して、シリンダ本体71の左方開口端部に形成されるねじ孔にはナット78が螺 着、締付けられることにより、第1、第2および第3スリーブ部材75、76、 77をシリンダ孔72の内部にて固定している。
【0004】 第2スリーブ部材76と第3スリーブ部材77との間には第1液室82が画成 されており、管路Aを介して図示しないマスタシリンダに接続されている。この 第1液室82内ではタペット弁体83が、第3スリーブ部材77の凹所77aに その一端を係止させた弁ばね84により、図中右方へと付勢されている。また、 第2スリーブ部材76に形成される軸方向貫通路86の端部には、タペット弁体 83が着座可能な弁座87が形成されており、この軸方向貫通路86と整列して 、第1スリーブ部材75には貫通孔88が形成されている。この貫通孔88には 一対のシール支持部材90、90を介してシールリング89が装着されているの であるが、これら軸方向貫通路86と貫通孔88とに摺動自在に制御ピストン7 3の軸状部73aが挿通されており、通常は図示するようにばね79のばね力に よりタペット弁体83と当接してタペット弁体83を弁座87から離座させてい る。また第2スリーブ部材76には軸方向貫通路86と直交するように径方向貫 通路91が形成されており、これは第1スリーブ部材75と第2スリーブ部材7 6との間で画成される第2液室85と連通している。さらに、第2液室85は管 路Bを介して図示しないホイールシリンダ側の液圧制御弁に接続されている。
【0005】 また、シリンダ孔72の小径孔部、第1スリーブ部材75および制御ピストン 73との間で液圧ポンプ圧室93が画成されているのであるが、第1スリーブ部 材75はシリンダ孔72の段部に押し付けられており(いわゆるメタルシール) 、このこととシールリング89とにより第2液室85と液圧ポンプ圧室93とが 液密に区画されている。また液圧ポンプ圧室93は管路Cを介して図示しない液 圧ポンプの吐出側に接続されるダンパーに接続されている。なおまた、制御ピス トン73を付勢するばね79のばね力および制御ピストン73の受圧面積により 、この絞り弁装置Sが絞り機能を有する位置に切り換わる所定の液圧が決定され る。そこで、タペット弁体83の右方端部には切欠き95が形成されているので あるが、図示しない液圧ポンプの吐出圧力が所定値以上になり、制御ピストン7 3が右方へと移動してタペット弁体83が弁座87に着座したときは、その切欠 き95により第1液室82と第2液室85との間に絞り通路を形成するように構 成されている。
【0006】 本従来例は以上のように構成されるが、次にこの作用について説明する。
【0007】 図示しないブレーキペダルを踏み込むことによりマスタシリンダにて発生した 液圧は管路A、絞り弁装置Sの第1液室82、軸方向貫通路86、径方向貫通路 91、第2液室85および管路Bを介してブレーキシリンダ側へと伝達され、ブ レーキがかけられる。アンチスキッド制御が行われると同時に図示しない液圧ポ ンプが駆動するのであるが、この液圧ポンプの吐出圧はこれまた図示しないダン パーにより脈圧を減衰され、管路Cを介して絞り弁装置Sの液圧ポンプ圧室93 に供給される。そして、この液圧ポンプ圧室93に供給される液圧、すなわち液 圧ポンプの吐出圧が所定値以上になると、制御ピストン73はばね79のばね力 に抗して図において右方へと移動する。すると、タペット弁体83も共に弁ばね 84のばね力により図において右方へと移動し、ついには弁座87に着座する。 その後は、タペット弁体83に形成された切欠き95による絞り機能が働き、マ スタシリンダ側の圧液はこの絞りを介してブレーキシリンダ側に供給されるよう にしている。そしてブレーキペダルへの踏み込みを解除すると、第2液室85側 の液圧の方が第1液室82側の液圧よりも高くなるので、タペット弁体83を弁 ばね84のばね力に抗して図において左方へと押し上げることにより、ブレーキ シリンダ側の圧液がマスタシリンダ側へと還流される。これにより、これまで絞 りとして機能していた絞り弁装置Sは逆止弁として働くことになる。
【0008】 また、図示しないダンパーと絞り弁装置の絞り機能により従来生じていたアン チスキッド制御に伴うハンマリング音(衝撃音)は大幅に減少され、よって、こ れによる車体振動も大幅に減少することができ、キックバック現象をも抑制する ことができる。
【0009】 以上のようにして、従来の絞り弁装置Sは、通常は図示するように液圧ポンプ の吐出圧を受ける制御ピストン73がばね79のばね力によりタペット弁体83 を弁座87から遠ざけておくことにより第1液室82と第2液室85との間を自 由な連通状態としている。そして、液圧ポンプの吐出圧が所定値以上に達すると 制御ピストン73は図中右方へと移動し、タペット弁体83が弁座87に着座し 、タペット弁体83に形成された切欠き95により絞り機能を働かせるようにし ている。
【0010】 しかしながら、タペット弁体83に切欠き95を形成するための溝加工が微細 で寸法安定性に欠けており、また、タペット弁体83と弁座87とは平面的な接 触であるので、そのシール機能が安定しないといった問題がある。すなわち、タ ペット弁体83が弁座87に着座すると、その微細な切欠き95の部分を介して のみ第1液室82側から第2液室85側へと圧液を供給しているため切欠き95 付近において圧力変動が生じ、またタペット弁体83と弁座87が平面的なシー ルであるということもあって、タペット弁体83を揺動させ、安定した絞り機能 が得られないということだけでなく、タペット弁体83の安定した逆止機能が得 られないといった問題がある。
【0011】
【考案が解決しようとする課題】
本考案は上述の問題に鑑みてなされ、ハンマリング現象を抑制しながら安定し た絞り機能、および安定した逆止機能が得られる液圧制御装置を提供することを 目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
以上の目的は、マスタシリンダと車輪ブレーキ装置のブレーキシリンダとの間 に配置され、車輪のスキッド状態を評価するコントロール・ユニットからの指令 を受けて該ブレーキシリンダのブレーキ液圧を制御する液圧制御弁と、該液圧制 御弁の制御によりブレーキ液圧を低下させる際、前記ブレーキシリンダから前記 液圧制御弁を介して排出されるブレーキ液を貯えるリザーバと、該リザーバのブ レーキ液を加圧して前記マスタシリンダと前記液圧制御弁とを接続する圧液供給 管路に還流する液圧ポンプと、前記圧液供給管路に介設され、前記液圧ポンプの 吐出圧力を受けて該吐出圧力が所定の値に達するまでは両方向の自由な連通を許 容し、該吐出圧力が前記所定の値以上になると両方向を絞り連通させるようにす る絞り弁装置とを備え、前記絞り弁装置はシリンダ本体と、該シリンダ本体のシ リンダ孔に嵌合し一端側で液圧ポンプの吐出圧を受ける制御ピストンと、前記シ リンダ孔に嵌着する第1スリーブ部材と、該第1スリーブ部材に関し前記制御ピ ストンとは反対側で前記シリンダ孔に嵌着する第2スリーブ部材と、該第2スリ ーブ部材に関し前記第1スリーブ部材とは反対側で前記シリンダ孔に嵌着する第 3スリーブ部材と、該第3スリーブ部材の凹所に設けられた弁ばねにより前記第 2スリーブ部材側に付勢される弁体とから成り、前記第2スリーブ部材に軸方向 貫通路を形成し該軸方向貫通路の端部に前記弁体が着座する弁座を形成し、前記 第2スリーブ部材の前記軸方向貫通路と整列して前記第1スリーブ部材に貫通孔 を形成し、該貫通孔にはシール部材を介して該貫通孔と前記軸方向貫通路とに前 記制御ピストンの軸状部を挿通させて、前記弁体と当接可能とし、前記第2スリ ーブ部材と前記第3スリーブ部材との間の第1液室は前記マスタシリンダに連通 させ、前記第2スリーブ部材の軸方向貫通路の他端側を前記ブレーキシリンダに 連通する第2液室に連通し、前記第1液室と前記第2液室との間に前記制御ピス トンが受ける液圧ポンプの吐出圧が所定値以上になると絞りとして機能する絞り 手段を設けて成る液圧制御装置において、前記弁体は開口部にフランジ部を有す る有底円筒体であって、その底部の中央に小孔を形成させ、前記フランジ部が前 記弁座に着座するときに、前記小孔が絞り手段として働き、前記制御ピストンの 軸状部の先端部は尖鋭化しており、通常は前記小孔に係合していることを特徴と する液圧制御装置、によって達成される。
【0013】 制御ピストンが第1液室、第2液室とは反対側へと移動する。これにより、弁 体としての有底筒体もその弁ばねにより制御ピストンに追随し、第2スリーブ部 材に形成されている弁座に着座する。以後、この有底筒体の底部に形成された小 孔が絞りとして働く。よって液圧制御弁の制御により従来生じていたハンマリン グ現象はこれにより防止され、また有底筒体は底部に小孔を形成しているのみで 絞り手段を構成しているので、固定絞りとして常に安定した絞り機能を得ること ができ、またこの弁体の加工は、例えば打ち抜きにより簡単に加工され、底部に 小孔を形成するだけである。更に制御ピストンが液圧ポンプの駆動停止と共に第 1、第2液室側へと移動するが、この時、有底筒体の底部の小孔に制御ピストン の軸状部の尖鋭化された端部が係合し、もしこの時、小孔に細かいゴミや異物が 付着していればこれを押し出し、次のアンチスキッド制御時には確実に絞り作用 を行なうことができる。
【0014】
【考案の実施の形態】
以下、本考案の実施の形態による液圧制御装置について図面を参照して説明す る。
【0015】 図1乃至図5は本考案の実施の形態を示し、図1においてブースタ付マスタシ リンダ1はブレーキペダル4を踏み込むことにより駆動され、公知の構造のブー スタ部2および液圧発生部3を有している。液圧発生部3は2つの液圧発生室を 内蔵し、これらに管路5a、5bが接続され、管路5a側には後述する各弁部材 を介して右側後輪RRおよび左側前輪FLのブレーキシリンダが接続され、他方 の管路5bには同様な各弁部材を介して右側前輪FRおよび左側後輪RLのブレ ーキシリンダが接続されている。すなわち本考案の実施の形態では、X型ブレー キ配管方式が適用されている。なお、管路5a、5bには全く同一の配管構成が 接続されているので、一方の系統すなわち右側後輪RRおよび左側前輪FLのブ レーキシリンダの系統についてのみ説明し、他方の系統の対応する部分について はaの代わりにbを付するものとする。
【0016】 管路5aには絞り弁装置6aが接続されており、これには並列にブレーキシリ ンダ側からマスタシリンダ側への方向を順方向とする逆止弁7aが接続されてい る。この絞り弁装置6aは管路16aを介して供給弁17aおよび管路18aを 介して右側後輪RRのブレーキシリンダに接続される。また供給弁17aにはこ れと並列にブレーキシリンダ側からマスタシリンダ側への方向を順方向とする逆 止弁19aが接続される。また管路16aから分岐する管路26aには、他方の 供給弁20aおよび管路22aを介して左側前輪FLのブレーキシリンダに接続 され、この供給弁20aにも並列にホイールシリンダ側からマスタシリンダ側へ の方向を順方向とする逆止弁21aが接続されている。
【0017】 さらに、右側後輪RRおよび左側前輪FLのブレーキシリンダにはそれぞれ排 出弁23a、24aが接続され、これらは管路27aを介して低圧リザーバ25 aに接続される。低圧リザーバ25aは公知の構造を有し、ケーシング内に弱い ばねで固定されたピストンが摺動自在に嵌合しており、図において上方部にリザ ーバ室を画成している。また他方の系統のリザーバ25bと共通に液圧ポンプ1 0が接続されているのであるが、この液圧ポンプ10は公知の構造を有する。つ まり電動機11により偏心カム機構12が駆動され、これにより2つのピストン が交互に図において左右に駆動され、両側の液圧室に正圧、負圧を発生し、これ ら液圧室に接続される逆止弁15aを介してリザーバ25aからブレーキ液が吸 い込まれるとともに逆止弁13aを介してダンパー14aに接続されている。ダ ンパー14aは公知の構造を有し、逆止弁13aを介して吐出される液圧の流動 抵抗を小さくしてこの下流側に伝達する働きをするものであり、管路9aを介し て絞り弁装置6aに接続されている。また管路9aから分岐する管路28aには ダンパー14a側からマスタシリンダ側への方向を順方向とする逆止弁8aが接 続されている。
【0018】 各車輪のスキッド状態を評価する図示しないコントロール・ユニットにより、 前述の電磁切換弁である供給弁17a、20aおよび排出弁23a、24aのそ れぞれのソレノイド部が励磁されるとそれぞれ遮断位置および連通位置をとり、 励磁されないとそれぞれ図示の連通位置および遮断位置をとるように構成されて いる。また、絞り弁装置6aは管路9aの液圧、すなわち、液圧ポンプ10の吐 出圧が所定値以上になると図示の連通位置から絞り位置をとるように構成されて いる。
【0019】 本考案の実施の形態では絞り弁装置6a、6bは逆止弁7a、7bと一体化さ れ、絞り逆止弁装置Tとして構成されるのであるが、この詳細を図2に示す。両 系統の絞り逆止弁装置T、Tは同一の構成であるので、一方について説明するが 、内蔵する絞り6a、6b、逆止弁7a、7bは同一構成である。
【0020】 図2においてシリンダ本体31内には段付のシリンダ孔32が形成され、その 段部に当接して第1スリーブ部材35が嵌着されている。またシリンダ孔32の 小径孔部に摺動自在に外周にシールリング34を装着した制御ピストン33が嵌 合し、ばね39により図中左方へと付勢されているのであるが、通常は第1スリ ーブ部材35に当接して図示の位置をとっている。また第1スリーブ部材35に 関し、制御ピストン33とは反対側に第2スリーブ部材36が位置するように、 外周にシールリング40を装着して嵌着し、これに当接して外周にシールリング 41を装着してシリンダ孔32に嵌着されている。そして、シリンダ本体31の 左方開口端部に形成されるねじ孔にはナット38が螺着、締付けられることによ り、第1、第2および第3スリーブ部材35、36、37をシリンダ孔32の内 部に図示するように固定している。
【0021】 第2スリーブ部材36と第3スリーブ部材37との間には、第1液室42が画 成され、これは管路5aを介してブースタ付マスタシリンダ1に連通している。 この第1液室42内では弁体としての有底円筒43が、第3スリーブ部材37の 凹所37aにその一端を係止させた弁ばね44により、図において右方へと付勢 されている。
【0022】 弁ばね44の他端は有底筒体43のフランジ部43aで受けられている有底筒 体43は、その開口部にフランジ部43aを有しているのであるが、図4に明示 されるように、これには等角度間隔で複数のほゞ半円形の切欠き43aaが設け られている。これにより弁体としての有底筒体43が第2スリーブ部材36の凹 所36a内で制御ピストン33の軸状部33aの左右動に応じて追随するのであ るが、そのフランジ部43aと凹所36aとの隙間を充分に小さくして多少、そ のガイド作用を与えるようにしており、このため上記切欠き43aaは第1液室 42 から第2液室45への液流を容易なものとさせている。
【0023】 また制御ピストン33の軸状部33aは、図5に明示されるようにその先端部 33aaは尖鋭化して形成されており、通常の図2に図示する状態においては、 この尖鋭化された先端部33aaが小孔43bに係合すべく形成されている。小 孔43bは後述するように絞りとして働くのであるが、断面が円錐形状を呈して 、第1液室42側を大径とし、第2液室45側を小径としている。なお、この小 孔43bは本考案の実施の形態では円錐形状を呈しているが、円筒形状すなわち 真直な小孔であってもよい。
【0024】 また、第2スリーブ部材36には軸方向貫通路46および径方向貫通路51が 形成されており、このうち軸方向貫通路46の端部には弁体としての有底円筒体 43のフランジ部43aが着座可能なように弁座47が形成されている。径方向 貫通路51は軸方向貫通路46と直交するように形成されており、第1スリーブ 部材35と第2スリーブ部材36とにより画成される第2液室45に連通し、こ の第2液室45は管路16aを介して供給弁17a、20aに接続されている。
【0025】 軸方向貫通路46と整列して、第1スリーブ部材35には貫通孔48が形成さ れており、この貫通孔48にはシールリング49を装着した一対のシール支持部 材50、50が嵌着している。これら軸方向貫通路46および貫通孔48に対し て摺動自在に制御ピストン33の軸状部33aが挿通されており、通常は図示す るようにばね39のばね力により有底筒体43の小孔43bと係合しておりこの 弁体43を弁座47から離座させた状態としている。
【0025】 さらに、シリンダ孔32の小径孔部、第1スリーブ部材35および制御ピスト ン33との間で液圧ポンプ圧室53が画成されており、これは管路9a、すなわ ちダンパー14aを介して液圧ポンプ10の吐出側と連通している。なお、第1 スリーブ部材35はナット38の締付けによりシリンダ孔32の段部に押し付け られ(いわゆるメタルシール)、このこととシールリング49とにより第2液室 45 と液圧ポンプ圧室53とは液密に区画されている。
【0026】 本考案の実施の形態は以上のように構成されるが、次にこの作用について説明 する。
【0027】 ブレーキペダル4を踏み込むとブースタ部2の踏力助勢作用が加わり、液圧発 生部3に液圧が発生する。これは管路5a、5bを介してX配管された前後輪に 伝達されるが、一方の系統についてのみ説明する。管路5aからの液圧は、図2 の絞り逆止弁装置Tにおける第1液室42、軸方向貫通路46、径方向貫通路5 1および第2液室45を通って管路16a側、すなわち供給弁17aおよび管路 18aを通って右側後輪RRのホイールシリンダに伝達される。また管路16a から分岐する管路26aを介し、供給弁20aおよび管路22aを通って左側前 輪FLのホイールシリンダに伝達される。よって、全車輪にブレーキがかけられ る。
【0028】 図示しないコントロール・ユニットがブレーキを弛めるべきであると判断する と(なお、説明を分かりやすくするために1系統の右側後輪RRおよび左側前輪 FLは同じスキッド状態とする。)、供給弁17a、20aのソレノイドが励磁 され、管路18a側と管路16a側、および管路22a側と管路16a側とが遮 断される。また、排出弁23a、24aのソレノイド部が励磁されて連通状態に なり、右側後輪RRおよび左側前輪FLのホイールシリンダから排出弁23a、 24aを通り管路27aを介してリザーバ25aにブレーキ液が排出される。こ れと共に液圧ポンプ10が駆動され、直ちにリザーバ25aからブレーキ液が吸 入され、逆止弁13aを通りダンパー14aに供給される。ここで液圧ポンプ1 0の脈圧は大幅に減衰されて管路28aおよび逆止弁8aを通り、絞り弁装置6 aと供給弁17aとを接続する圧液供給管路16aに伝達される。
【0029】 他方、液圧ポンプ10の吐出側、すなわち管路9aは絞り弁装置6aに接続さ れており、液圧ポンプ10の吐出圧は図2に示すように液圧ポンプ圧室53に伝 達される。これが所定圧に達すると制御ピストン35がばね39のばね力に抗し て右方に移動し、図3に示すように弁体43が弁座47に着座する。これにより 第1液室42から軸方向貫通路46を通っての自由な液連通は遮断され、以降は 絞りとしての小孔43bを通って第2液室45に連通する。そしてブレーキペダ ル4への踏み込みを解除すると、第2液室45側の液圧の方が第1液室42側の 液圧よりも高くなるので、弁体43を弁ばね44のばね力に抗して図において左 方へと押すことにより、ブレーキシリンダ側の圧液がブースタ付マスタシリンダ 1側へと還流される。これにより、これまで絞りとして機能していた絞り弁装置 6aは逆止弁として働くことになる。
【0030】 以上本考案の実施によれば、ダンパー14aと絞り弁装置6aの絞り機能によ り、従来生じていたアンチスキッド制御に伴うハンマリング音(衝撃音)は大幅 に減少し、よって、これによる車体振動も大幅に減少することができ、キックバ ック現象をも抑制することができる。
【0031】 また図5に明示されるように、通常は制御ピストン33の軸状部33aは、そ のC図で示すように有底筒体43の底部に形成した小孔43bに係合しているの であるが、アンチスキッド制御時にこの軸状部33aがA図に示すように後退す る時には、この小孔43bが絞りとして働き、マスタシリンダからの圧液はこれ を通って第2液室45側へと流れるのであるが、ブレーキ液中に小さいゴミや異 物が存在していると、これが小孔43bにA図で示すように閉塞してしまう場合 がある。これでは本来の絞り機能を果たすことができないのであるが、本考案の 実施の形態によれば、軸状部33aが通常の位置を取るべく左方へ移動する時に は、その先端部33aaがB図に示すように小孔43bに突入する時に異物mを 押し出して小孔43bから除去する。すなわちC図に示すような状態になる。よ って以後、アンチスキッド制御時において所望の絞り機能を確実に果たすことが できる。
【0032】 さらに本考案の実施の形態によれば、絞り弁装置6aの弁体43は有底筒体状 であり、そのフランジ部43aは弁座47に対して、常に安定に着座することが でき、よって安定した逆止機能を得ることができる。
【0033】 以上、本考案の各実施の形態について説明したが、勿論、本考案はこれらに限 定されることなく、本考案の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0034】 例えば、以上の本考案の実施の形態では、ブースタ付のマスタシリンダ1を説 明したが、勿論ブースタを備えていない通常のタンデムマスタシリンダを装備し た車両にも、本考案は適用可能である。また以上の本考案の実施の形態ではX型 ブレーキ配管方式として説明したが、前後分離型ブレーキ配管方式にも本考案は 適用可能である。
【0035】 また以上の本考案の実施の形態では、液圧制御弁としては供給弁17a、20 aと排出弁23a、24aとのそれぞれ2つの電磁切換弁で構成したが、これに 代えて1個の切換弁、例えば3ポート3位置電磁切換弁を一個ずつ用いるように してもよい。また、以上の本考案の実施の形態では各車輪に対しそれぞれ液圧制 御弁を設けて4チャンネル方式として説明したが、勿論1系統に1個ずつ設けて 2チャンネル方式としても本考案は適用可能である。
【0036】 なお又以上の本考案の実施の形態では、弁体としての有底筒体43のフランジ 部43aには切欠き43aaを形成させたが、勿論、これを形成させなくても第 1液室42側と第2液室45側との間の自由な液連通は可能である。なお上述し たように、弁体のガイド作用を確実に得るために有底筒体のフランジ部を省略し 、円周部の肉厚を大とし、この円周部を第2スリーブ部材36の凹所36aに摺 動自在とさせ、その外周部に等角度間隔に軸方向に貫通した複数の溝を形成させ 、この溝を通って第1液室42側と第2液室45側との間の液連通を自由なもの としてもよい。なおこの場合には、弁座47に着座する内方部分には上記溝は形 成されておらず、これより浅い溝である。
【0037】
【考案の効果】
以上述べたように本考案の液圧制御装置によれば、固定絞りにより安定した絞 り効果を得ることができ、また有底筒体としての弁体によりシール性能を向上さ せ安定した逆止機能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施の形態による液圧制御装置の配管
系統図である。
【図2】同装置における要部の拡大断面図である。
【図3】同装置の作用を示す要部の拡大断面図である。
【図4】同実施例における要部の拡大正面図である。
【図5】同作用を説明するための拡大断面図である。A
はアンチスキッド制御時、Bは通常状態に戻る時、Cは
通常状態を示す。
【図6】同従来の液圧制御装置の要部を示す拡大断面図
である。
【符号の説明】
6a 絞り弁装置 6b 絞り弁装置 43 有底筒体 43b 小孔 46 軸方向貫通路
フロントページの続き (72)考案者 矢部 哲久 栃木県那須郡西那須野町五軒町1−8 日 本エービーエス株式会社 西那須野寮301 (72)考案者 水尾 浩文 栃木県那須郡西那須野町三区町615−13 (72)考案者 藤井 孝之 栃木県那須郡西那須野町五軒町1−8 日 本エービーエス株式会社 西那須野寮213 (72)考案者 小松 正 神奈川県横浜市磯子区汐見台1−2−2− 1208 日本エービーエス株式会社 汐見台 寮205 (72)考案者 菊池 雅人 神奈川県横浜市金沢区釜利谷東7−2−17 セブンハイム303 (72)考案者 吉田 哲明 神奈川県横浜市磯子区森4−14−2 日本 エービーエス株式会社 屏風ケ浦寮206 (72)考案者 篠原 武志 神奈川県横須賀市湘南鷹取3−9−2

Claims (3)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マスタシリンダと車輪ブレーキ装置のブ
    レーキシリンダとの間に配置され、車輪のスキッド状態
    を評価するコントロール・ユニットからの指令を受けて
    該ブレーキシリンダのブレーキ液圧を制御する液圧制御
    弁と、該液圧制御弁の制御によりブレーキ液圧を低下さ
    せる際、前記ブレーキシリンダから前記液圧制御弁を介
    して排出されるブレーキ液を貯えるリザーバと、該リザ
    ーバのブレーキ液を加圧して前記マスタシリンダと前記
    液圧制御弁とを接続する圧液供給管路に還流する液圧ポ
    ンプと、前記圧液供給管路に介設され、前記液圧ポンプ
    の吐出圧力を受けて該吐出圧力が所定の値に達するまで
    は両方向の自由な連通を許容し、該吐出圧力が前記所定
    の値以上になると両方向を絞り連通させるようにする絞
    り弁装置とを備え、前記絞り弁装置はシリンダ本体と、
    該シリンダ本体のシリンダ孔に嵌合し一端側で液圧ポン
    プの吐出圧を受ける制御ピストンと、前記シリンダ孔に
    嵌着する第1スリーブ部材と、該第1スリーブ部材に関
    し前記制御ピストンとは反対側で前記シリンダ孔に嵌着
    する第2スリーブ部材と、該第2スリーブ部材に関し前
    記第1スリーブ部材とは反対側で前記シリンダ孔に嵌着
    する第3スリーブ部材と、該第3スリーブ部材の凹所に
    設けられた弁ばねにより前記第2スリーブ部材側に付勢
    される弁体とから成り、前記第2スリーブ部材に軸方向
    貫通路を形成し該軸方向貫通路の端部に前記弁体が着座
    する弁座を形成し、前記第2スリーブ部材の前記軸方向
    貫通路と整列して前記第1スリーブ部材に貫通孔を形成
    し、該貫通孔にはシール部材を介して該貫通孔と前記軸
    方向貫通路とに前記制御ピストンの軸状部を挿通させ
    て、前記弁体と当接可能とし、前記第2スリーブ部材と
    前記第3スリーブ部材との間の第1液室は前記マスタシ
    リンダに連通させ、前記第2スリーブ部材の軸方向貫通
    路の他端側を前記ブレーキシリンダに連通する第2液室
    に連通し、前記第1液室と前記第2液室との間に前記制
    御ピストンが受ける液圧ポンプの吐出圧が所定値以上に
    なると絞りとして機能する絞り手段を設けて成る液圧制
    御装置において、前記弁体は開口部にフランジ部を有す
    る有底円筒体であって、その底部の中央に小孔を形成さ
    せ、前記フランジ部が前記弁座に着座するときに、前記
    小孔が絞り手段として働き、前記制御ピストンの軸状部
    の先端部は尖鋭化しており、通常は前記小孔に係合して
    いることを特徴とする液圧制御装置。
  2. 【請求項2】 前記液圧ポンプの吐出口と前記圧液供給
    管路との間にダンパが接続されている請求項1に記載の
    液圧制御装置。
  3. 【請求項3】 前記フランジ部の外周縁部に複数の切欠
    きが形成されている請求項1に記載の液圧制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0647123U (ja) * 1992-12-03 1994-06-28 雪印乳業株式会社 ジッパー付き紙箱

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JPH0647123U (ja) * 1992-12-03 1994-06-28 雪印乳業株式会社 ジッパー付き紙箱

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