JP3023069B2 - 複合成形物 - Google Patents

複合成形物

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JP3023069B2 JP7342008A JP34200895A JP3023069B2 JP 3023069 B2 JP3023069 B2 JP 3023069B2 JP 7342008 A JP7342008 A JP 7342008A JP 34200895 A JP34200895 A JP 34200895A JP 3023069 B2 JP3023069 B2 JP 3023069B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フェノール樹脂と
ポリビニルブチラールからなる樹脂組成物をマトリック
スとし、高強度繊維基材を強化材とする高強度繊維強化
プラスチックからなる成形物(以下、P−ACMと言
う)と金属体とを固定する際に、一液性ウレタン系接着
剤で接着することにより低温領域(0〜−40℃)にお
いて外部より衝撃を受けた場合でも接着層にハクリ、及
び貼れが生じない複合成形物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高所から落下する物体或いは高速に飛来
する物体に対する耐衝撃体に関しては特開平3−588
35にあるように、高強度繊維強化プラスチックを金属
体の裏面に固定することにより耐衝撃性の大きな複合成
形物が得られ又固定方法の一つとして「接着剤」との記
述がある。しかしながら、接着固定する方法において、
一般の接着剤(合成ゴム系、アクリル系、シアノボンド
系、エポキシ系、二液性ウレタン系等)で接合した場
合、特に低温領域(0〜−40℃)において、これらの
接着剤を用いた複合成形物に上記衝撃を受けた場合、剥
離、貼がれ等が発生するという欠点を見出し、耐衝撃体
としての性能を維持出来なくなる場合が考えられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、P−ACM
と金属体とを一液性ウレタン系接着剤で接着固定するこ
とにより、低温領域(0〜−40℃)でも耐衝撃性の大
きな複合成形物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、フェノール樹
脂とポリビニルブチラールからなる樹脂組成物をマトリ
ックスとし、高強度繊維基材を強化材とするP−ACM
と金属体とを一液性ウレタン系接着剤で接着、固定して
なることを特徴とする複合成形物である。
【0005】本発明に用いられる、ポリビニルブチラー
ル変性フェノール樹脂として、特許第1877592号
にある如くフェノール樹脂にはレゾール型樹脂とノボラ
ック型樹脂があるが、本発明にはレゾール型樹脂の使用
が好ましい。尚、レゾール型樹脂の反応触媒には苛性ソ
ーダ、アンモニア、水酸化バリウム、酸化マグネシウム
が使用され、特に限定されるものでない。フェノール樹
脂は数平均分子量が200から400の範囲で使用でき
るが、好ましくは250から350の範囲である。一
方、ポリビニルブチラールは重合度が500から500
0の範囲のものが使用出来るが、好ましくは800から
4000の範囲である。ブチラール化度については特に
限定されないが、好ましくは55〜70モル%である。
樹脂の配合割合はフェノール樹脂30重量部(固形分)
から80重量部(固形分)とポリビニルブチラール70
重量部(固形分)から20重量部(固形分)の範囲が使
用出来るが、好ましくはフェノール樹脂40重量部(固
形分)から75重量部(固形分)とポリビニルブチラー
ル60重量部(固形分)から25重量部(固形分)の範
囲である。マトリックスに上記樹脂を使用することによ
り適度の柔軟性と適度の剛性が付与され、衝撃吸収性が
向上し耐衝撃性に優れたP−ACM製品が得られる。
【0006】本発明において用いられる高強度繊維と
は、引張強度を密度で割った比引張強度が10×106
cm以上であり、弾性率を密度で割った比弾性率が2.5
×108 cm以上のものである。具体的には、高強度ガラ
ス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維、芳香族ポリエス
テル繊維、高強度ポリエチレン繊維、ビニロン繊維など
である。一般のガラス繊維、ナイロン繊維、ポリエステ
ル繊維などは該当しない。又繊維は織布、不織布どちら
でも良い。比引張強度あるいは比弾性率が前記値以下で
は、P−ACMと金属体との複合成形物の耐衝撃性は必
ずしも十分ではない。
【0007】P−ACMを得るには、高強度繊維にポリ
ビニルブチラール変性フェノール樹脂を含浸又は塗布し
てプリプレグを作成しこのプリプレグを複数枚重ね、加
熱加圧する圧縮成形法、あるいはプリプレグを作らない
ハンドレイアップ法などがある。この際、樹脂の含有率
は5〜80重量%の範囲であるが、通常は5〜50重量
%、好ましくは8〜25重量%である。樹脂の含有率が
小さいほど衝撃力に対するエネルギー吸収力が大きくな
るが、5重量%以下ではプリプレグを作ることが困難で
あり、50重量%以上でもプリプレグを作ることが困難
であり、耐衝撃性が低下する傾向がある。ハンドレイア
ップ法では最高80重量%の含有率のものも成形可能で
ある。
【0008】本発明における金属体としては、SS鋼、
SUS鋼、高張力鋼板、純チタン、チタン合金、アル
ミ、アルミ合金、マンガン鋼等金属であれば原則として
何でも良い。、金属体の厚みは通常1〜30mmである。
1mm以下では金属体を設ける効果が小さく、30mm以上
では軽量化の効果が得られ難い。好ましい厚みは1.5
〜8mmである。
【0009】一方、P−ACMの厚みは通常0.4〜4
0mmである。0.4mm以下では衝撃エネルギー吸収効果
が小さく、40mm以上厚くしても衝撃エネルギー吸収効
果は大差ない。好ましい厚みは1.5〜20mmである。
【0010】P−ACMと金属体とを接合する1液性ウ
レタン系接着剤としては、一般にはジイソシアネートと
ポリオール(多官能活性水素化合物)とを反応させ、末
端NCOのプレポリマーを製造し、空気中の水分や被着
材反面の吸着水などと反応して硬化する。NCOの原料
としてはMDI、デスモジュールR、デスモジュールR
F、又NCO変性体としてウレタンのプレポリマーやH
DIビューレット等がある。一方ポリオールとしてはジ
エチレングリコール、ジプロピレングリコール等の低分
子量ポリオール、ポリエチレングリコールやポリオキシ
プロピレングリコール等のポリエーテルポリオール及び
ポリカプロラクトン等のポリエステルポリオール等があ
る。
【0011】P−ACMと金属体とを接着させるには、
接着面両面のホコリやオイル等を溶剤等で除去し(場合
によってはサンディング後除去する)、接着面に適量の
接着剤を塗布後へら等で均一な膜厚を作り、指触乾燥後
(5〜20分)、両面を合せ、ハンドロール等で十分に
抑える。1〜数日後に完全硬化する。上記方法は一液性
である為、配合によるミスはなく調合も簡単で現場施行
も十分可能である。又、鋼板にP−ACMを接着する場
合、接着後、P−ACMを鋼板に固定しておく必要があ
る時は、永久磁石等で固定する方法もある。
【0012】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。 実施例1 比引張強度21×104 cm、比弾性率6.4×108
cmのアラミド繊維からなる織布(厚さ0.45、坪量5
00g/m2 )に特許第1877592号の実施例1に
あるポリビニルブチラール変性フェノール樹脂を含浸
し、乾燥して樹脂分15%のプリプレグを作製した。こ
のプリプレグを6枚重ね150℃、100kg/cm2 で加
熱、加圧してP−ACM(1)を得た。一方、MDIか
ら成るウレタン系プレポリマーとポリエチレングリコー
ルとを反応させて一液性ウレタン系接着剤を得た。この
接着剤をサイズが20cm角のP−ACM(1)(溶剤で
表面処理済)と5mm厚(溶剤で脱脂処理済)高張力鋼板
(引張強度約60kg/mm2 )に各5gずつ塗布し、15
分後に両面を接合させ、ローラーで抑えた後、5日間放
置し、「複合成形物A」を得た。 比較例1 実施例1におけるP−ACM(1)と5mm高張力鋼板と
を日本合成ゴム製マイティグリップ5000(二液性プ
ライマー処理付ウレタン系接着剤)にて接着し、「複合
成形物B」を得た。 比較例2 実施例1におけるP−ACM(1)と高張力鋼板とを住
友ベークライト製エポキシ系2液混合常温硬化型接着剤
(スミタックEA−268−03)にて接着し、「複合
成形物C」を得た。 比較例3 実施例1におけるP−ACM(1)と高張力鋼板とをク
ロロプレン製合成ゴム系接着剤(住友3M製 EC−1
368)にて接着し、「複合成形物D」を得た。 比較例4 実施例1におけるP−ACM(1)と高張力鋼板とをア
クリル系両面テープ(住友3M製 Scotch Y−
4930)にて接着し、「複合成形物E」を得た。
【0013】実施例2 比引張強度16×106 cm、比弾性率3.2×108
cmの高強度ガラス繊維からなる一方向繊維(厚さ0.2
0mm、坪量220g/m2 )に実施例1と同じポリビニ
ル変性フェノール樹脂を塗布し、乾燥して樹脂分23%
の一方向プリプレグを得た。このプリプレグを0°及び
90°方向に交互に10枚重ね、150℃、30kg/cm
2 で加熱、加圧してP−ACM(2)を得た。一方、M
DIから成るウレタン系プレポリマーとポリプロピレン
グリコールとを反応させて一液性ウレタン系接着剤を得
た。この接着剤をサイズが20cm角のP−ACM(2)
と6mm厚の純チタン板(JIS H 4600 TP3
5)(引張強度約39kg/mm2 )に各5gずつ塗布し、
両面を接合させ、ローラーで抑えた後、5日間放置し
「複合成形物F」を得た。 比較例5 実施例2におけるP−ACM(2)6mm純チタン板とを
二液性プライマー処理付ウレタン系接着剤(日本合成ゴ
ム製マイティグリップ5000)にて接着し、「複合成
形物G」を得た。 比較例6 実施例2におけるP−ACM(2)と純チタン板とを弊
社製エポキシ系2液混合常温硬化型接着剤(スミタック
EA−268−03)にて接着し、「複合成形物H」
を得た。 比較例7 実施例2におけるP−ACM(2)と純チタン板とをク
ロロプレン製合成ゴム系接着剤(住友3M製 EC−1
368)にて接着し、「複合成形物I」を得た。 比較例8 実施例2におけるP−ACM(2)と純チタン板とをア
クリル系両面テープ(住友3M製 Scotch Y−
4930)にて接着し、「複合成形物J」を得た。 上記複合成形物をMIL−STD−662に従った1.
1g弾を用い約800m/sec の速度で耐衝撃試験(図
1参照)を行った。射撃はいづれも金属板の方から行っ
た。評価結果を表−1に示す。
【0014】
【表1】
【0015】
【発明の効果】高強度繊維強化ポリビニルブチラール変
性樹脂組成物と金属体とを一液性ウレタン系接着剤で接
着、固定することにより、低温領域(0〜−40℃)で
大きな衝撃を受けた場合でも接着層にハクリは発生せ
ず、耐衝撃性のある複合成形物を得ることができる。一
液性ウレタン系接着剤が低温において効果があるのは、
接着時被着体の界面の水分が反応によって消費される
為、接着後界面に水分が無くなる。一方、他の接着剤の
場合には多少とも界面に水分か残り、低温になると氷結
して体積を広げる為、界面にスキ間が発生し易くなり、
大きな衝撃を受けるとハクリとなると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 耐衝撃試験の概要図
【符号の説明】
1:金属体 2:高強度繊維強化プラスチックからなる成形物(P−
ACM) 3:接着層 4:固定治具

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェノール樹脂とポリビニルブチラール
    からなる樹脂組成物をマトリックスとし、高強度繊維基
    材を強化材とする高強度繊維強化プラスチックからなる
    成形物と金属体とを一液性ウレタン系接着剤で接着、固
    定してなることを特徴とする複合成形物。
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