JP3023060B2 - 永久アンカーのアンカーテンドン構造および加圧状況確認方法 - Google Patents

永久アンカーのアンカーテンドン構造および加圧状況確認方法

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JP3023060B2
JP3023060B2 JP6324014A JP32401494A JP3023060B2 JP 3023060 B2 JP3023060 B2 JP 3023060B2 JP 6324014 A JP6324014 A JP 6324014A JP 32401494 A JP32401494 A JP 32401494A JP 3023060 B2 JP3023060 B2 JP 3023060B2
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正良 深井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、アンボンドPC鋼より
線等を緊張材として組み込み、加圧注入されたグラウト
の固化により固定される定着部を自由長部シースの内部
に対し閉塞パッカーによって隔離した永久アンカーのア
ンカーテンドン構造、および、グラウト注入の際の加圧
状況を確認する永久アンカーの加圧状況確認方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、地盤や各種構造物等(地盤等)
は、永久アンカーの定着によって補強されている。永久
アンカーは、たとえば、アンボンドPC鋼より線等の緊張
材の組み込まれたアンカーテンドンを地盤等のアンカー
孔に挿入し、加圧注入したグラウトの固化に伴う、緊張
材の先端部分に規定された定着部の固定、および、所定
の荷重のもとでの緊張材の緊張、定着によって、地盤等
に対して定着されている。
【0003】永久アンカーにおいて使用されるアンカー
テンドンとして、たとえば、アンボンドPC鋼より線(緊
張材)やグラウト注入ホース等をパイプ体からなる自由
長部シースに挿通し、自由長部シースの先端に配設した
袋状の布製パッカーからなる閉塞パッカーによる自由長
部シースの先端の密閉により、定着部を自由長部シース
の内部から隔離した構成が知られている。このようなア
ンカーテンドンを使用する永久アンカーにおいては、自
由長部シースの内部と、定着部の回りで閉塞パッカーの
奥に規定されたグラウト注入スペースとに加圧注入した
それぞれのグラウトの固化により、アンカーテンドンの
定着部が地盤等に対して固定される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ここで、上記のような
永久アンカーにおいては、通常、自由長部シースの内
部、定着部(グラウト注入スペース)にグラウトを加圧
注入するための個別の注入ホース、および、グラウトの
加圧注入の妨げとなる空気、水等を定着部から外部に排
出するための排気ホース、ならびに、閉塞パッカーにセ
メントミルクを加圧注入するためのパッカー用注入ホー
ス等の各種ホースが、アンボンドPC鋼より線と共に自由
長部シース内に挿通されている。そのため、公知の構成
においては、自由長部シース内のスペースが各種ホース
によって占められ、アンボンドPC鋼より線のためのスペ
ースが、自由長部シースの内部に十分に確保できない。
【0005】従って、公知のアンカーテンドン構造にお
いては、ホース類の存在に起因する自由長部シースの大
径化が避けられず、アンカーテンドン、ひいては永久ア
ンカーの大型化を招く虞れがある。
【0006】ところで、このようなアンカーテンドン
は、自由長部シースの内部、定着部に加圧注入されたグ
ラウトの固化により、地盤等に対して固定、定着され
る。このような、グラウトの注入作業時においては、通
常、定着部からの水および注入されたグラウト等が排気
ホースから排出されるため、排気ホースからの排出物の
確認により、定着部等へのグラウトの注入状況が確認で
きる。
【0007】たとえば、排気ホースからの排出物が注入
初期の水からセメントミルクに移行し、その濃度が注入
グラウトと同程度の濃度になったことの確認により、定
着部等へのグラウトの注入状況が認識できる。そして、
グラウトの注入グラウトと同程度の濃度の排出物を確認
した後、排気ホースを閉塞し、グラウト注入ホースを介
して定着部を加圧する。公知の方法においては、アンカ
ー孔の口元でグラウト注入ホースに設けた圧力計によっ
て、定着部の加圧状況を確認している。
【0008】しかし、このような方法においては、排気
ホースとグラウト注入ホースとの相互による注入状況を
目視で行い、定着部の加圧状況を圧力計によって更に確
認しなければならないとともに、圧力計の設置作業を伴
うため、加圧状況の確認作業、つまりはグラウトの注入
作業が煩雑化しやすい。
【0009】また、圧力計での加圧状況の確認において
は、測定点のみに過剰な圧力が作用してその加圧状況に
誤認を生じる虞れがあり、信頼性の低下を招きやすい。
【0010】この発明は、アンカーテンドンに組み込む
ホース類の数を削減することで、自由長部シース内での
緊張材の配設スペースを広く確保可能とする永久アンカ
ーのアンカーテンドン構造の提供を目的としている。
【0011】また、圧力計を用いることなく、自由長部
シースの内部および定着部でのグラウトの注入、加圧状
況を作業者の目視により確認する永久アンカーの加圧状
況確認方法、特に、上方傾斜型の永久アンカー施工時に
おいても、グラウトの加圧状況を目視により確認できる
永久アンカーの加圧状況確認方法の提供を、この発明の
別の目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、この発明の永久アンカーのアンカーテンドン構造に
よれば、閉塞パッカーに貫通配置されたバイパスホース
で、定着部と自由長部シースの内部とを連通させること
により、自由長部シースを定着部からの排気経路の一部
として機能可能としている。
【0013】そして、内部を連通させて自由長部シース
の開口端に配置、固定した袋状の布製パッカーからなる
口元パッカーによって、自由長部シースの開口端を閉塞
することが好ましい。
【0014】
【作用】この発明では、バイパスホースによる自由長部
シースの内部と定着部との連通により、バイパスホース
および自由長部シース自体が定着部からの排気経路の一
部として機能するため、専用の排気ホースが省略でき
る。そして、バイパスホースを介した定着部からのグラ
ウトの流出のもとで、自由長部へのグラウトの注入が定
着部に連続して可能となるため、グラウト注入ホースの
兼用化により、自由長部シースの内部のためのグラウト
注入ホースが省略できる。従って、自由長部シースに挿
通されるホース類の数が削減できる。
【0015】また、口元パッカーによって自由長部シー
スの開口端を閉塞すれば、自由長部シースからのグラウ
トの漏出が阻止できるため、上方傾斜型の永久アンカー
においても、漏出を伴わないグラウトの加圧注入が容易
に可能となる。そして、口元パッカーの表面における水
分のにじみ出し状況を目視することで、自由長部シース
の内部、定着部双方の加圧状況が確認できる。
【0016】
【実施例】以下、図面を参照しながらこの発明の実施例
について詳細に説明する。
【0017】図1に示すように、永久アンカーのアンカ
ーテンドン10は、緊張材12の長さ方向の一部を被覆する
自由長部シース14に連続して配設された閉塞パッカー16
を有して形成され、地盤等18に予め穿設されたアンカー
孔19に先端(図中右方)から挿入されている。そして、
アンカーテンドン10においては、自由長部シース14、閉
塞パッカー16の位置する自由長部(非定着部とも称す
る)L1に対し、閉塞パッカーからの先端方向が、地盤等
18に固定、定着される定着部L2として規定されている。
【0018】図1、図2(A) に示すように、緊張材12と
して、たとえば、アンボンドチューブ12a でより線本体
12b を被覆したアンボンド部を部分的に有するアンボン
ドPC鋼より線が利用され、アンボンドチューブから露出
した部分が、定着部L2として規定されている。なお、ア
ンボンドPC鋼より線(緊張材)12は、通常、スペーサ
(図示しない)等を介して、後述するグラウト注入ホー
ス20等と共に複数本束ねられている。
【0019】図1に示すように、自由長部シース14、閉
塞パッカー16は、たとえば、アンボンドPC鋼より線12の
アンボンド部分に配設される。つまり、アンボンドPC鋼
より線12のアンボンド部分が、自由長部L1として規定さ
れている。
【0020】閉塞パッカー16として、たとえば、シーム
レス布、グラウトジャケット等からなる、緯方向での伸
縮性を有する袋状の布製パッカーが利用できる。そし
て、図1に示すように、閉塞パッカー16は、アンボンド
PC鋼より線12のアンボンド部分の端部における、止水部
22としての各端部の止水処理、および、内部へのパッカ
ー用注入ホース24の連通により、パッカー用注入ホース
からのセメントミルク26の加圧注入のもとで緯方向に膨
張するように構成されている。
【0021】なお、図1に加えて図2(A) を見るとわか
るように、パッカー用注入ホース24は、アンボンドPC鋼
より線12、グラウト注入ホース20と共に、自由長部シー
ス14の内部に挿通されている。
【0022】そして、図1に示すように、ポリエチレン
パイプ等のパイプ材からなる自由長部シース14が、た
とえば、閉塞パッカー16の後端部(左端部)に先端部
(右端部)14aを重ねて配設され、止水材28での止
水処理による先端部の密閉によって、自由長部シースの
内部が定着部L2から隔離されている。
【0023】また、図1に加えて図2(C) に示すよう
に、アンカーテンドン10の先端部分においては、圧着グ
リップ30がアンボンドPC鋼より線12の先端部分に固着さ
れるとともに、スパイラル補強筋からなる耐荷体32およ
び固定金具34によって、アンボンドPC鋼より線の定着部
の所定範囲が被覆されている。
【0024】なお、上記のようなアンカーテンドン10の
基本的な形態は、SSL-CE型の永久アンカー等に使用され
るアンカーテンドンとして既に公知であるため、他の細
部の説明は、ここでは省略する。
【0025】図1に示すように、このようなアンカーテ
ンドン10は、たとえば、地盤等のアンカー孔19に挿入さ
れ、セメントミルク26の加圧注入に伴う緯方向への閉塞
パッカー16の膨張のもとで、アンカー孔が当該位置で閉
塞され、これによって、定着部L2の回りにグラウト注入
スペース35が規定される。
【0026】そして、このアンカーテンドン10において
は、たとえば、アンボンドPC鋼より線12と共に定着部L2
に延出されたグラウト注入ホース20により、グラウト36
が、閉塞パッカー16により規定されたアンカー孔19のグ
ラウト注入スペース35、つまりは定着部L2を定着させる
ための部分に加圧注入される(図2(C) 参照)。
【0027】ところで、定着部L2、つまりはグラウト
注入スペース35にグラウト36を加圧注入する場合、
スペース内に存在する空気や水等を外部に排出する必要
がある。そこで、図1、図2(B)に示すように、この
発明においては、バイパスホース38が、閉塞パッカー
16を貫通し、閉塞パッカーの前後端部からそれぞれの
端末を延出させて配置されている。つまり、この発明の
永久アンカーのアンカーテンドン構造によれば、閉塞パ
ッカー16に貫通配置されたバイパスホース38によっ
て、定着部L2と自由長部シース14の内部とが通気可
能に連通されている。
【0028】このような構造のアンカーテンドン10にお
いては、自由長部シース14の開口端14b が、通常開口し
ているため、バイパスホース38、自由長部シースを介し
た空気の流通がグラウト注入スペース35と外部との間で
可能となり、バイパスホース、自由長部シースが、グラ
ウト注入スペースの空気、水等を外部に排出する排気経
路として機能する。
【0029】つまり、専用の排気ホース等をアンカーテ
ンドン10の全長にわたって設けることなく、グラウト注
入スペース35からの空気、水等の排出が行えるため、ア
ンカーテンドンの組み立て工程が簡単化できるととも
に、空気の残存によるグラウト36の加圧注入の妨害、お
よび、水との混合等が確実に防止でき、グラウトによる
定着力が高く維持できる。
【0030】そして、バイパスホース38は、閉塞パッ
カー16への貫通配置の可能な程度の長さを持てば足り
るため、組み立てが簡単に行えるとともに、バイパスホ
ース自体が安価に得られる。なお、バイパスホース38
は、閉塞パッカー16の長さとの関係から、通常、30
cm程度に形成される。
【0031】グラウト注入ホース20での加圧注入によ
り、グラウト36がグラウト注入スペース35に充満する
と、注入時の圧力のもとで、グラウトが、グラウト注入
スペースからバイパスホース38を経て自由長部シース14
の内部に流出される。つまり、この発明においては、グ
ラウト注入ホース20による加圧注入のもとで、グラウト
36が、グラウト注入スペース35、つまりは定着部L2、お
よび、自由長部シース14の内部に、連続して注入、充填
可能となっている。
【0032】上記のように、この発明の永久アンカーの
アンカーテンドン構造においては、閉塞パッカー16を
貫通したバイパスホース38を設け、自由長部シース1
2を排気経路の一部として機能させることにより、グラ
ウト注入スペース35のための排気ホースに加えて自由
長部シース14の内部のための専用のグラウト注入ホー
スも、自由長部シースの内部から削除できるため、ホー
ス類の数の削減により、アンカーテンドン10の構成が
簡素化できる。
【0033】そして、図2(A) に示すように、アンボン
ドPC鋼より線12と共にグラウト注入ホース20、パッカー
用注入ホース24を自由長部シース14の内部に挿通すれば
足りるため、自由長部シースの内部におけるホース類の
占有スペースが減少される。つまり、ホース類の削減に
より生じたスペースを利用して、アンボンドPC鋼より線
12を更に配設できるため、自由長部シース14の径の増加
を伴うことなく、アンカーテンドン10の定着荷重の増大
化がはかられる。
【0034】更に、グラウト注入ホース20からの加圧注
入のもとで、グラウト36がグラウト注入スペース35、自
由長部シース14の内部に連続して加圧注入されるため、
グラウトの注入先の切り換え作業が省略でき、この点に
おいても作業性が向上される。
【0035】なお、ここでは図示しないが、このように
定着部L2をグラウト36の固化のもとで地盤等18に定着さ
せた後、アンボンドPC鋼より線12を緊張装置等により所
定の荷重のもとで緊張し、より線本体12b に対する定着
具(図示しない)の固定、および、ヘッドキャップ等に
よる当該頭部定着部の処理によって、アンカーテンドン
10が定着される。このような頭部定着部の処理は、SSL
型の永久アンカー工法においては一般的であるため、こ
こでの詳細な説明は省略する。
【0036】ところで、先端に向かって下方に傾斜した
下方傾斜型の永久アンカーにおいては、注入したグラウ
ト36が、自重のもとで傾斜に沿って加圧されるため、通
常の工程のもとで施工できる。しかし、トンネル等の空
洞部において設けられる、先端に向かって上方に傾斜し
た上方傾斜型の永久アンカーにおいては、自由長部シー
ス14の内部に注入されたグラウト36が、傾斜に沿った流
動により、自由長部シースの開口端14b から漏出する虞
れがある。
【0037】そこで、図1に示すように、この発明の永
久アンカーのアンカーテンドン構造においては、自由長
部シースの開口端14b を口元パッカー40によって閉塞し
ている。口元パッカー40として、たとえば、袋状の布製
パッカーが利用できる。そして、口元パッカー40は、内
部間の相互の連通のもとで自由長部シースの開口端14b
に配置され、止水材42による各端部の密閉により、グラ
ウト36を漏出不能に受け止めるように構成されている。
【0038】このようなアンカーテンドン10において、
グラウト36が自由長部シース14に流入すると、傾斜に沿
って流動したグラウトが、口元パッカー40によって受け
止められ、口元パッカーを底部として自由長部シースの
内部に充満される。つまり、自由長部シースの開口端14
b からのグラウト36の漏出が、口元パッカー40によって
阻止されるため、グラウトの漏出が構成を複雑化するこ
となく防止でき、上方傾斜型の永久アンカーに適用可能
なアンカーテンドン10が容易に確保できる。
【0039】ここで、布製パッカーは、一般に、グラウ
ト等の注入材に含まれた空気、水分等のみを透過させる
性質を持つため、グラウト36がグラウト注入スペース3
5、自由長シース14の内部に充満し、充満後の適当な圧
力がグラウト注入ホース20から更に付与されると、膨張
の後、グラウトの水分が口元パッカー40の表面ににじみ
出る。そこで、この発明の永久アンカーの加圧状況確認
方法においては、口元パッカー40の表面での水分のにじ
み出し状況の目視によって、グラウト36の加圧状況を確
認可能としている。
【0040】この方法によれば、グラウト注入スペース
35、自由長部シース14の内部でのグラウト36の加圧状況
が、口元パッカー40の表面での水分のにじみ出し状況に
よって認識できるため、上方傾斜型の永久アンカーにお
いても、これらの加圧状況が、圧力計を用いることな
く、作業者の目視によって十分に確認できる。そのた
め、圧力計の設置作業の省略により、作業性が向上され
るとともに、加圧状況の誤認を生じることなく、高い精
度での加圧状況の確認が可能となる。
【0041】そして、自由長部シースの開口端14b を閉
塞しても、グラウト注入スペース35、自由長部シース14
の内部でのグラウト36の加圧状況が目視できるため、こ
の発明の永久アンカーの加圧状況確認方法が、上方傾斜
型の永久アンカーにおいて、特に有効に利用できる。
【0042】なお、この発明の加圧状況確認方法は、上
方傾斜型の永久アンカーに適しているとはいえ、自由長
部シースの開口端14b を口元パッカー40で閉塞すれば実
施可能であるため、上方傾斜型に限定されず、下方傾斜
型の永久アンカーに、この発明を応用してもよい。
【0043】また、この発明においては、排気経路の一
部として機能する自由長部シースの開口端14bを口元
パッカー40によって閉塞しているが、口元パッカーと
して、空気、水等の透過可能な布製パッカーを利用して
いるため、口元パッカーが定着部、自由長部シース14
の内部からの空気、水等の排出の妨げとなることもな
い。
【0044】ここで、実施例においては、パッカー用注
入ホース24を自由長部シース14の内部に挿通している
が、これに限定されず、たとえば、パッカー用注入ホー
スを自由長部シースの外部に配設する構成としてもよ
い。このような構成によれば、自由長部シース14の内部
から、パッカー用注入ホース24が削減できるため、アン
ボンドPC鋼より線12のためのスペースが更に広く確保で
きる。
【0045】しかしながら、パッカー用注入ホース24を
自由長部シース14の内部に配設すれば、自由長部シース
の外部の構成が複雑化しないため、アンカー孔19への挿
入の際の作業性が確実に向上される。そして、パッカー
用注入ホース24は、閉塞パッカー16までの部分的な配設
で足りるため、自由長部シース14の内部構成の複雑化を
招かない。
【0046】また、実施例においては、SSL-CE型の永久
アンカーに使用されるアンカーテンドンを例示している
が、閉塞パッカーを有する構成であれば同様の効果が得
られるため、SSL-CE型の永久アンカーに限定されず、た
とえば、SSL-P 型の永久アンカーに使用されるアンカー
テンドンに、この発明のアンカーテンドン構造を応用し
てもよい。
【0047】上述した実施例は、この発明を説明するた
めのものであり、この発明を何等限定するものでなく、
この発明の技術範囲内で変形、改造等の施されたものも
全てこの発明に包含されることはいうまでもない。
【0048】
【発明の効果】上記のように、この発明に係る永久アン
カーのアンカーテンドン構造によれば、バイパスホース
での自由長部シースの内部と定着部との連通によって可
能となるホースの兼用化により、自由長部シースの内部
におけるホースの数を削減しているため、緊張材の配設
スペースが自由長部シース内に広く確保できる。従っ
て、自由長部シースの径の増加を伴うことなく、アンカ
ーテンドンの定着荷重の増大化がはかられる。
【0049】また、グラウト注入ホースからの加圧注入
のもとで、グラウトが定着部、自由長部シースの内部に
連続して充填されるため、グラウトの注入先の切り換え
作業が省略でき、この点においても作業性が向上され
る。
【0050】そして、パッカー用注入ホースを自由長部
シースの内部に配設すれば、自由長部シースの外部の構
成が複雑化しないため、アンカー孔への挿入の際の作業
性が確実に向上される。
【0051】更に、自由長部シースの開口端を布製パッ
カーからなる口元パッカーによって閉塞すれば、上方傾
斜型の永久アンカーに適用可能なアンカーテンドンが容
易に得られる。
【0052】そして、自由長部シースの開口端を布製パ
ッカーからなる口元パッカーによって閉塞したアンカー
テンドンによれば、この発明の永久アンカーの加圧状況
確認方法が適切に遂行できる。この発明の永久アンカー
の加圧状況確認方法によれば、口元パッカー表面での水
分のにじみ出し状況によって、グラウトの加圧状況の認
識が可能であるため、作業者による加圧状況の目視が容
易に可能となる。
【0053】更に、グラウトの加圧状況を目視で確認す
れば、加圧状況の誤認が十分に防止できるため、高い精
度での状況判断が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る永久アンカーのアンカーテンド
ン構造における、グラウトの注入後を示す概略縦断面図
である。
【図2】図1の線A−A、線B−Bおよび線C−Cでの
それぞれの縦断面図である。
【符号の説明】 10 永久アンカーのアンカーテンドン 12 アンボンドPC鋼より線(緊張材) 14 自由長部シース(ポリエチレンパイプ) 14a 先端 14b 開口端 16 閉塞パッカー 19 アンカー孔 20 グラウト注入ホース 24 パッカー用注入ホース 35 グラウト注入スペース 36 グラウト 38 バイパスホース 40 口元パッカー

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グラウト注入ホースから加圧注入された
    グラウトの固化によってアンカー孔内に固定される定着
    部が、緊張材の長さ方向の一部を被覆する自由長部シー
    スの内部に対し、膨張のもとでアンカー孔を閉塞する自
    由長部シース先端の閉塞パッカーを介して隔離された永
    久アンカーのアンカーテンドンにおいて、 閉塞パッカーに貫通配置されたバイパスホースで、定着
    部とポリエチレンパイプからなる自由長部シースの内部
    とを連通させることにより、自由長部シースを、定着部
    からの排気経路の一部として機能可能としたことを特徴
    とする永久アンカーのアンカーテンドン構造。
  2. 【請求項2】 グラウト注入ホースから加圧注入された
    グラウトの固化によってアンカー孔内に固定される定着
    部が、緊張材の長さ方向の一部を被覆する自由長部シー
    スの内部に対し、膨張のもとでアンカー孔を閉塞する自
    由長部シース先端の閉塞パッカーを介して隔離された永
    久アンカーのアンカーテンドンにおいて、 自由長部シース先端の閉塞パッカー内部に連通したパッ
    カー用注入ホースからのセメントミルクの加圧注入のも
    とで、閉塞パッカーを膨張可能とし、 閉塞パッカーに貫通配置されたバイパスホースによっ
    て、定着部とポリエチレンパイプからなる自由長部シー
    スの内部とを連通させ、 バイパスホースおよび自由長部シース自体を、緊張材と
    ともに定着部に延出されたグラウト注入ホースによる定
    着部へのグラウト注入の際の排気経路の一部として機能
    可能とするとともに、バイパスホースを介した定着部か
    らのグラウトの流出のもとで、自由長部へのグラウトの
    注入を定着部に連続して可能としたことを特徴とする永
    久アンカーのアンカーテンドン構造。
  3. 【請求項3】 グラウト注入ホースから加圧注入された
    グラウトの固化によってアンカー孔内に固定される定着
    部が、緊張材の長さ方向の一部を被覆する自由長部シー
    スの内部に対し、膨張のもとでアンカー孔を閉塞する自
    由部シース先端の閉塞パッカーを介して隔離された永久
    アンカーのアンカーテンドンにおいて、 閉塞パッカー内部に連通したパッカー用注入ホースから
    のセメントミルクの加圧注入のもとで、閉塞パッカーを
    膨張可能とし、 閉塞パッカーに貫通配置されたバイパスホースにより、
    定着部とポリエチレンパイプからなる自由長部シースの
    内部とを連通させて、自由長部シースを定着部からの排
    気経路の一部として機能可能とするとともに、内部を連
    通させて自由長部シースの開口端に配置、固定した袋状
    の布製パッカーからなる口元パッカーによって、自由長
    部シースの開口端を閉塞したことを特徴とする永久アン
    カーのアンカーテンドン構造。
  4. 【請求項4】 閉塞パッカーにセメントミルクを加圧注
    入するためのパッカー用注入ホースが、緊張材、グラウ
    ト注入ホースと共に自由長部シース内に挿通された請求
    項1ないし3のいずれか記載の永久アンカーのアンカー
    テンドン構造。
  5. 【請求項5】 自由長部シース先端の閉塞パッカーに貫
    通配置されたバイパスホースにより、定着部と自由長部
    シースの内部とを連通させたアンカーテンドンを使用す
    る永久アンカーにおいて、 内部を連通させて自由長部シースの開口端に配置、固定
    された袋状の布製パッカーからなる口元パッカーによっ
    て、自由長部シースの内部に加圧注入したグラウトを受
    けさせ、注入に伴ったグラウトの圧力に起因する、膨張
    後における口元パッカー表面での水分のにじみ出し状況
    の目視により、自由長部シースの内部、定着部双方のグ
    ラウトの加圧状況を確認可能としたことを特徴とする永
    久アンカーの加圧状況確認方法。
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