JP3022251B2 - 印刷用紙の製造方法 - Google Patents
印刷用紙の製造方法Info
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Description
するものである。詳しくは、南方系広葉樹材を含む樹材
から製造されたパルプを使用しても、ベタ印刷部分の不
均一性を解消でき、かつ低密度で柔らかい風合いを有す
る印刷用紙を製造する方法に関するものである。
用紙も印刷適性が良好なことは無論のこと、手触りなど
の触感と見た目の美しさなどの視感を高めることが要求
されている。特に最近は柔らかい風合いに対する要求が
強く、紙を低密度にすることによってクッション性を出
し、触感を柔らかくする工夫がなされている。また軽量
化も同時に行うことができるため、印刷用紙の低密度化
は魅力ある機能である。
なるパルプの選択が第一である。一般に紙は木材パルプ
を使用して抄造されているが、木材パルプといっても樹
種やパルプ化の方法によってその性質は大きく異なる。
密度を低くするためには、剛直なパルプ繊維を選択する
必要があり、一般的には細胞壁が厚く、ルーメンが小さ
い方が剛直なパルプである。パルプ繊維の特性を示す尺
度としてルンケル比(細胞壁の厚さの2倍をルーメンの
幅で割った値)がある。このルンケル比が大きい方が剛
直な繊維であると言え、このような繊維を使用すること
で密度の低い紙を抄造できる。
葉樹パルプより広葉樹パルプの方が低密度紙を作るのに
有利と言える。また、地合が良く、平滑な紙の方が印刷
品質が良好なことからも印刷用紙には広葉樹パルプの方
が適している。
化を図ることも種々提案されている。例えば特開昭48
−103802号では、メチロール基を一分子中に二個
以上持つ多価メチロール化合物でセルロース繊維を処理
して得た蒿高性セルロース繊維の提案が、また本特許出
願人が出願した特公昭50−16442号では、天然パ
ルプをパルプ改質剤及び解繊助剤の1種若しくは2種以
上添加配合してなる処理液に浸漬飽充せしめた後、上記
改質剤の硬化或いは架橋反応が実質的に有効に働く条件
にてキュアリングを行って各種単繊維の縮曲形状を固定
保持せしめてなる解繊容易な改質パルプの製造方法を提
案した。
を低密度化出来ることは古くから知られている。最近で
は特開平7−34395号に、叩解後の保水度を60〜
120%のマーセル化パルプを含有する紙料を抄紙する
蒿が高く剛度の大きい紙の製造方法が提案されている。
が存在する。その巾はパルプ繊維(セルロース繊維)に
比べて非常に大きいことが特徴である。また叩解処理で
は導管はフィブリル化しにくく、従って抄紙時にはパル
プ繊維との絡み合いが悪いため導管と繊維との結合力は
弱くなる。また導管は細胞壁が薄いため、抄紙工程で押
し潰されて偏平状になりやすい性質も持っている。
られた紙は、印刷時に紙の表面付近に存在する導管が剥
がれ、印刷面に白い斑点が生じるという問題を起こし易
い。これは導管ムケ(ベッセルピック)と呼ばれ、この
導管ムケの対策としては、例えば抄紙時に紙力増強剤を
内添することにより、導管と木繊維間の結合強度を強め
る方法やサイズプレスにより澱粉、ポリビニルアルコー
ル等の接着剤を紙表面に塗布する表面サイズ処理法等の
対策がなされ、現在では大きな問題とはならなくなって
いる。
面強度のみに悪影響を与えるばかりでなく、本発明者ら
が得た知見によれば特に南方系の広葉樹材を含む樹材か
ら製造されたパルプ(以下本発明では南方系広葉樹パル
プと呼ぶ)に於いて、これを使用して抄造した紙ではベ
タ印刷をしたときに、紙の表面に存在する導管が点状の
光沢ムラとなって見えるという問題を多発させることが
判った。この光沢ムラは、高級な印刷紙などでは印刷品
質を著しく低下させるので非常に大きな問題となる。具
体的にはベタ印刷部分で一辺10cmの正方形内で30
個以上も確認できる場合もある。このような問題の解決
策として(1)パルプを高濃度叩解することにより導管
を破壊する方法、(2)液体サイクロン、フローテーシ
ョンあるいはスクリーンにより導管を分離除去する方
法、(3)酵素によって導管を破壊する方法などが知ら
れている。
を破壊する方法は、叩解を200〜300mlCSFと
著しく進める必要があるので低密度で柔らかい風合いの
紙を製造する場合には適さない。(2)の導管を分離除
去する方法は、専用の装置が必要となり、さらに収率を
低下させる問題もある。(3)の酵素による方法は、p
Hや温度を管理する必要があり、そのようなプラントを
作るのに大きな設備費が必要という問題点がある。
架橋反応でセルロース繊維そのものを改質するためには
専用の装置が必要であり、また改質のための薬品代が高
価になるという問題点がある。
を課題とする。即ち、太い導管が多く含まれる南方系広
葉樹パルプを主体として製造されているにも関わらず、
ベタ印刷部の導管による光沢ムラを無くし、かつ低密度
で柔らかい風合いを有した印刷用紙の製造方法を提供す
ることを課題とする。
を解決すべく鋭意研究を進めた結果、南方系広葉樹パル
プをあらかじめ水酸化ナトリウム水溶液で処理すること
で、上記課題を解決できること見出し、本発明を完成さ
せたものである。即ち本発明は、南方系広葉樹材を含む
樹材から製造されたパルプを水酸化ナトリウム水溶液で
処理し、パルプ中に含まれる導管を膨潤処理した後、必
要に応じて他の製紙用パルプや製紙用副資材を併用し、
フリーネスを400mlCSF以上に調整した紙料を抄
紙することを特徴とする印刷用紙の製造方法である。
べる。本発明者らはまず広葉樹材から製造した種々のパ
ルプを使用して印刷用紙を製造し、オフセット印刷機を
用いてベタ印刷を施し、顕微鏡を用いて印刷面を観察し
ミクロな部分のインキの着肉性や光沢性を調べた。その
結果パルプの種類によって大きな差があることを確認し
た。ベタ印刷部分を拡大して見ると、光沢ムラが目立つ
ものは大きな導管にインキが乗ったものが観察され、そ
の部分のインキの濃さが周囲より濃く見えた。この結果
から導管が光沢ムラの原因であることが判った。導管の
量が少ないかまたは小さいパルプの場合はこの現象は目
立たない。この場合でも顕微鏡では観察されるが、導管
の含まれる量が少ないためと、その大きさが小さいため
に印刷ムラとして観察されない訳である。
系広葉樹パルプで特にこの印刷ムラの現象が起こり易い
ことを見出した。本発明者らが測定した結果では、通常
南方系広葉樹材単独で製造したパルプの中に含まれる導
管の巾は100〜500μmで、長さは0.4〜2.0
mm程度であり、それ以外の広葉樹材から製造したパル
プは巾が20〜100μmで長さが0.4〜0.8mm
程度であった。通常広葉樹パルプのセルロース繊維の巾
は10〜50μm、長さが0.8〜1.8mm程度であ
るので、南方系広葉樹材単独で製造したパルプの導管が
いかに太いか理解できる。
ために、パルプを水酸化ナトリウム水溶液で処理する検
討を進めた。パルプを18%の水酸化ナトリウム水溶液
で処理したものをマーセル化パルプと呼び(「新・紙の
化学」中外産業調査会刊行、1989年)ビスコース・
レーヨンの原料として古くから使用されており、これを
混抄することで紙を低密度化できることも前述の如く古
くから知られていた。パルプを水酸化ナトリウム水溶液
で処理すると、パルプを構成するセルロース繊維が膨潤
し、繊維壁が厚くなり、繊維が円筒状のままで保持され
るようになる。通常セルロース繊維は乾燥によってやや
偏平なリボン状になるのでこの形態の差は紙質に大きな
変化を与える。更に化学構造からみると、マーセル化パ
ルプ中のセルロースの水酸基はほとんどナトリウムによ
って置換されているため、繊維間の水素結合ができなく
なる(結晶形で言うと天然セルロースであるセルロース
(1)がセルロース(2)に変化する)。したがってこ
のマーセル化パルプを配合すると繊維間構造がしまった
ものにならず、低密度の紙となる。
て水酸化ナトリウム水溶液処理を行い、その評価作業を
行った際に、紙の低密度化と印刷ムラの解消が同時に出
来ることを見いだした。前に述べたようにベタ印刷部分
の光沢ムラは、偏平状の導管が紙の表面付近の繊維に付
着することと、偏平であるため導管自身のインキ受理性
が良いために発生する。南方系広葉樹材から製造された
パルプを水酸化ナトリウ水溶液で処理することで、導管
に起因する光沢ムラを防げることは本発明者らが新たに
見い出したことである。本発明者らはこの理由を顕微鏡
による観察の結果、導管が水酸化ナトリウム水溶液の処
理によって膨潤し、乾燥時には著しく収縮すると同時に
表面も皺が入ることで平坦ではなくなり、その結果イン
キの乗りが悪くなることに拠るものと推定した。
リ、ラワン、マングローブ等の南方系広葉樹を含む樹材
から製造したパルプを意味する。パルプは製法によって
亜硫酸パルプ(SP)やクラフトパルプ(KP)等の化
学パルプ(ケミカルパルプ)や、サーモメカニカルパル
プや砕木パルプ(グラウンドパルプ)等の機械パルプ
(メカニカルパルプ)等に分類されるが、本発明ではい
ずれの製法に拠って製造されたパルプでもよい。
水酸化ナトリウム水溶液の濃度を18%として行う。こ
れに対して本発明の目的の一つである導管に起因する印
刷ムラの解消は、パルプをこれより低い濃度で処理して
も実現できることが判った。本発明では南方系広葉樹パ
ルプを水酸化ナトリウム水溶液で処理するが、その濃度
は5〜20重量%が好ましい。5%以下では目的とする
効果が得られ難く、20%以上では効果はあるが、セル
ロース成分が溶出し、パルプから紙への収率が悪くなる
傾向が大きくなるからである。処理する方法は、所定の
濃度の水溶液にパルプを浸漬する方法が一般的である
が、パルプマットへ水酸化ナトリウム水溶液を吹き付け
る方法や塗工する方法などを採用しても良い。この処理
はパルプ中に含まれる導管が膨潤するまで行うことが必
要である。またこの時の処理温度は処理効果を考えると
高い方が好ましい。水酸化ナトリウム水溶液で処理した
南方系広葉樹パルプは、導管が膨潤する条件下では同時
にセルロース繊維も円筒状に膨潤する。パルプを水酸化
ナトリウム水溶液で処理する場合は予め叩解処理したパ
ルプを使用してもよいし、叩解処理しないパルプを使用
してもよい。
要に応じて他の製紙用パルプと製紙用副資材を併用す
る。この際水酸化ナトリウムが残留していると各種添加
薬品や填料などに悪影響を及ぼす可能性があるので十分
な水で洗浄し、パルプのpHを6〜8の中性領域にして
おくことが好ましい。
にそれ以外(南方系広葉樹材を含む樹材から製造された
パルプ以外)のパルプを併用する場合はその混合比率
(重量比)は、90:10〜100:0とする。つまり
全パルプ中に含まれる水酸化ナトリウム水溶液で処理し
たパルプの割合を10重量%以上とする。10重量%よ
り少ないと効果が現れない。水酸化ナトリウム処理した
パルプを全て使用する場合は、低密度化の効果が大きい
印刷用紙を製造できる。
たパルプ以外のパルプとしては、前に述べた導管の悪影
響が殆ど無いものならあらゆるパルプが使用できる。例
えば、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹晒
サルファイトパルプ(NBSP)等の化学パルプ、針葉
樹材から調製された砕木パルプ(GP)、サーモメカニ
カルパルプ(TMP)等の機械パルプ等が用いられる。
また広葉樹パルプであっても南方系広葉樹パルプ以外
の、導管の非常に小さなパルプなら使用できる。これ以
外に非木材パルプとしては、コットンパルプや麻、バガ
ス、ケナフ、エスパルト、楮、三椏、雁皮等を適宜用い
ることができる。
直な繊維を多く含むパルプを使用することが好ましい。
一般に剛直な繊維は、細胞壁の幅が大きく、ルーメンの
幅が小さいためルンケル比が大きく、本発明で使用する
繊維はルンケル比が1.0以上であることが好ましい。
このようなパルプ繊維としては、針葉樹パルプでは、ダ
グラスファー、ヘムロック、レッドウッド、サウザーン
パイン、スカンジナビアパイン、ラジアタパインなどの
木材を原料としたものがあり、非木材パルプはほとんど
の材が適応する。
ズ剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、染顔料、填
料、定着剤等が使用される。本発明ではこの様にして調
製した紙料を使用して抄紙するがその際のフリーネス
は、強度との兼ね合いで400mlCSF以上であるこ
とが好ましい。特に500mlCSF以上であると低密
度化の効果が顕著に出る。なお上記で規定しているフリ
ーネスとは、JIS P8121に規定されているパル
プの濾水度試験方法の内、カナダ標準形によって得られ
る値である。フリーネスの調整は水酸化ナトリウム処理
したパルプを叩解し、叩解した他の製紙用パルプに混合
してもよいし、または両者を混合した後に叩解処理して
もよい。製紙用副資材の添加はパルプの叩解前でも叩解
後のいずれでもよい。
抄紙機、長網抄紙機、傾斜型抄紙機、ツインワイヤー抄
紙機等を使用して常法により抄紙して本発明の印刷用紙
は通常坪量40〜300g/m2で製造される。抄紙途
中でサイズプレス装置やビルブレード装置等を使用して
表面サイズ剤や紙力向上剤等を用紙の表面に塗工するこ
とも適宜行うことが出来る。また平滑度を調整するため
マシンカレンダー処理することやスーパーカレンダー処
理することも適宜行うことが出来る。また意匠性を付与
するために抄紙途中や抄紙後にエンボス処理することも
適宜行うことも出来る。
具体的に説明するが、重量%および重量部はいずれも絶
乾重量を意味する。 実施例1 10重量%の濃度の水酸化ナトリウム水溶液へユーカリ
パルプを固形分濃度で4重量%になるように添加してパ
ルパーで離解し、20℃の温度で1時間放置した。これ
をpHが7付近になるまで、十分な流水で洗浄した。こ
の処理パルプ50重量部とルンケル比が1.0であるス
カンジナビアパインを主材としたNBKP50重量部と
を混合しビーターで叩解した。これに軽質炭酸カルシウ
ム(商品名「PC−700]、白石工業株式会社製造)
5重量部、紙力増強剤(商品名「WS−500」、日本
PMC株式会社製造)1重量部、サイズ剤(商品名「サ
イズパインK−903」、荒川化学工業株式会社製造)
1重量部、歩留り向上剤(商品名「ハイホルダー35
1」、栗田工業株式会社製造)0.005重量部を添加
して均一に攪拌して調整した紙料(フリーネス400m
lCSF)を使用し通常の長網抄紙機によって坪量90
g/m2の印刷用紙を製造した。
1と同様の方法で印刷用紙を製造した。
ルンケル比が1.3であるダグラスファーを主材とした
NBKP50重量部を混合したこと以外は実施例1と同
様の方法で印刷用紙を製造した。
3と同様の方法で印刷用紙を製造した。
ルンケル比が1.0であるスカンジナビアパインを主材
としたNBKP90重量部を混合したこと以外は実施例
1と同様の方法で印刷用紙を製造した。
のみを使用したこと以外は実施例1と同様の方法で印刷
用紙を製造した。
6と同様の方法で印刷用紙を製造した。
ルンケル比が0.8であるホワイトスプルースを主材と
したNBKP90重量部を混合したこと以外は実施例5
と同様の方法で印刷用紙を製造した。
材であるアスペンから製造したNBKPとしたこと以外
は実施例8と同様の方法で印刷用紙を製造した。
ダグラスファーを主材としたNBKP50重量部とを混
合し、固形分濃度4重量%としてビーターで叩解した。
これに軽質炭酸カルシウム(商品名「PC−700]、
白石工業株式会社製造)5重量部、紙力増強剤(商品名
「WS−500」、日本PMC株式会社製造)1重量
部、サイズ剤(商品名「サイズパインK−903」、荒
川化学工業株式会社製造)1重量部、歩留り向上剤(商
品名「ハイホルダー351」、栗田工業株式会社製造)
0.005重量部を添加して均一に攪拌して調整した紙
料(フリーネス300mlCSF)を使用し通常の長網
抄紙機によって坪量90g/m2の印刷用紙を製造し
た。
ルンケル比が0.8であるホワイトスプルースを主材と
したNBKP90重量部を使用し、フリーネスを350
mlCSFとしたこと以外は実施例1と同様の方法で印
刷用紙を製造した。
ンケル比が1.3であるダグラスファーを主材としたN
BKP95重量部を使用し、フリーネスを600mlC
SFとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で印刷用
紙を製造した。
紙の特性を測定した結果を表1に示す。なお、それぞれ
の特性は、下記に示した方法により測定した。 1)密度:JIS P 8118に準拠して測定した。 2)紙質の柔らかさ:紙を常に扱っている熟練者50人
に柔らかさという特性値で評価してもらい、非常に柔ら
かいを5点、柔らかいを4点、どちらとも言えないを3
点、硬い2点、非常に硬い1点として5点法で評価し、
その平均値で評価した。3.5点以上が本発明の目的を
満たしている柔らかさであることを示す。 3)ベタ印刷部の点状の光沢ムラ:RI印刷テスター
(明製作所社製)で青インキ(商品名「TKハイプラス
藍MZ」、東洋インキ株式会社製造)をインキの盛り量
1.0gでベタ印刷し、導管に起因するく光沢ムラを、
紙2×20cm当たりの個数として目視評価した。導管
に起因する光沢ムラが殆ど確認できないことが本発明の
目的を満たしていることを示す。
なように、南方系広葉樹材を含む樹材から製造されたパ
ルプを水酸化ナトリウム水溶液で処理し、パルプ中に含
まれる導管を膨潤処理した後、必要に応じて他の製紙用
パルプや製紙用副資材を併用しフリーネスを400ml
CSF以上に調整した紙料を抄紙して得られる印刷用紙
は低密度で柔らかい風合いを持ち、ベタ印刷面に導管に
起因する点状の光沢ムラを無くすことができることを確
認した。また実施例1と2の対比からフリーネスを大き
くすると紙質が柔らかくなることが判る。
水酸化ナトリウムで処理しないと導管に起因する光沢ム
ラが多く確認でき、印刷品質を著しく損なうことが判
る。比較例では挙げていないが、本発明者らはこの欠点
は他の南方系広葉樹材を含む樹材から製造されたパルプ
に共通の欠点であることを確認した。
化ナトリウム処理したユーカリパルプと他の製紙用パル
プの混合率は少なくとも10:90であれば低密度で、
被検者にやや柔らかいと感じさせる印刷用紙を製造でき
ることが判る。
パルプを100%使用した例であるが、柔らかさに非常
に優れることが判る。この場合でもルンケル比とフリー
ネスが大きな実施例7の方がより柔らかさに優れてい
る。
で、水酸化ナトリウム処理したパルプが10重量%より
少なくなると、柔らかさに欠ける紙質になってしまうこ
とが判る。
水酸化ナトリウム処理されたパルプ以外の製紙用パルプ
のルンケル比が1.0以上であるものを選ぶと柔らかさ
に優れた印刷用紙を製造できることが判る。さらに、比
較例1と2の対比からフリーネスが400mlCSF未
満であると柔らかい感触が得られないことが判り、本発
明ではフリーネスは400mlCSF以上必要なことが
判る。
リウム処理されたパルプ以外の製紙用パルプのルンケル
比は、1.0以下であっても水酸化ナトリウム処理した
パルプが10重量部含まれればやや柔らかく感じること
ができることが判る。実施例9からは、水酸化ナトリウ
ム処理されるパルプがユーカリパルプでなくてもやや柔
らかく感じることができることが判る。
紙は製造され、低密度で柔らかい風合いを持ちながら、
ベタ印刷部で導管に起因する点状の光沢ムラを無くすこ
とができるという顕著な効果を有している。このような
特徴を生かし本発明の印刷用紙は、カタログ、書籍の本
文、書籍の見返し、ポスター、パンフレット、カレンダ
ー等々、高度な印刷適性を要求される分野に好適に用い
ることができる。また塗工用の原紙としても使用可能で
ある。
Claims (6)
- 【請求項1】 南方系広葉樹材を含む樹材から製造され
たパルプを水酸化ナトリウム水溶液で処理し、パルプ中
に含まれる導管を膨潤処理した後、必要に応じて他の製
紙用パルプや製紙用副資材を併用しフリーネスを400
mlCSF以上に調整した紙料を抄紙することを特徴と
する印刷用紙の製造方法。 - 【請求項2】 水酸化ナトリウム水溶液の濃度が5〜2
0重量%であることを特徴とする請求項1記載の印刷用
紙の製造方法。 - 【請求項3】 必要に応じて他の製紙用パルプを併用す
る時は全パルプ中に含まれる水酸化ナトリウム水溶液で
処理したパルプの割合を10重量%以上とすることを特
徴とする請求項1記載の印刷用紙の製造方法。 - 【請求項4】 他の製紙用パルプのルンケル比が1.0
以上であることを特徴とする請求項1記載の印刷用紙の
製造方法。 - 【請求項5】 南方系広葉樹材がユーカリであることを
特徴とする請求項1記載の印刷用紙の製造方法。 - 【請求項6】 フリーネスが500mlCSF以上であ
ることを特徴とする請求項1記載の印刷用紙の製造方
法。
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