JP4594151B2 - 印刷用塗工紙及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は印刷用塗工紙に関し、嵩高(低密度)でありながら柔軟性、印刷適性に優れた印刷用塗工紙及びその製造方法に関するものである。
近年、印刷物のビジュアル化やカラー化が進み、印刷用紙の高品質化の要求が高まっている。一方で、輸送および郵送コストの削減などのため、印刷物の軽量化に対する要求も高い。従来、これらの二つの要望は相反するものであり、高品質印刷塗工紙は原紙坪量および塗工量が多く、また表面処理による平滑化などにより、同一坪量で比較して密度の高いものであった。印刷物の軽量化には低坪量の用紙を選択することが可能であるが、密度が同等であれば軽量化に伴い紙厚も低くなり、冊子のボリューム感を損なうため好まれない。このため嵩高な、すなわち同一坪量で比較して紙厚の高いもしくは同一紙厚で比較して坪量が低く、かつ高級印刷用途としての塗工紙の要求を満たす高品質な塗工紙が求められている。
また近年、ムックやポケットガイドと呼ばれる、版型が小さく携帯に便利な情報誌が好まれる傾向にある。これらの用紙に要求される特性としては柔軟性が重要である。剛直な用紙を使用した場合、冊子の版型が小さくなるほどページをめくる際にページが立ち易くなり、例えば外出先などで、冊子を片手で開いて読むには非常に不便であった。用紙の柔軟性の指標としては、クラークこわさ等が用いられるが、こわさは紙厚の3乗に比例して高くなるため、嵩高化により同一坪量で紙厚が高くなる場合剛度はそれに伴い高くなることから、用紙の柔軟性と嵩高を両立させることは極めて困難であると考えられてきた。
嵩高化のための手法としては、嵩高なパルプおよび嵩高な填料の使用による塗工紙用原紙の嵩高化、および塗工液組成物塗工量減少、および得られる塗工紙の表面処理の緩和等が考えられる。
製紙用パルプとしては、化学薬品により繊維中のリグニンを抽出した化学パルプと、化学薬品を使用せずグラインダーで木材を磨り潰した砕木パルプやリファイナーで木材を解繊したサーモメカニカルパルプ等の機械パルプに大別される。一般的には、化学パルプと比較して機械パルプの方が繊維が剛直で低密度化には効果的である。しかしこれらの機械パルプは上質紙への配合は品質上問題があり、また中質紙においても、結束繊維等による紙ムケ等印刷欠陥を生じ易いためその配合量には限界がある。また、近年の環境保護気運の高まりや資源保護の必要性から、古紙パルプが配合されることが多くなっている。しかし古紙パルプは一般的に、上質紙、新聞紙、雑誌、塗工紙等が混合されてパルプ化されることが多いため、バージン(紙に抄かれていない未使用の)機械パルプと比較して密度が高い。以上のように、上述のパルプを配合したのみでは嵩高化と剛度が高くなるため、用紙に十分な柔軟性を付与することは不可能であった。
また、塗工紙用原紙の嵩高化として嵩高な填料の使用が考えられる。例えば、中空の合成有機物カプセルを配合することにより低密度化する手法が開示されている(特許文献1参照)。しかしながらこのような合成有機物は紙力を低下させるため、印刷時の紙ムケや断紙などの問題がある上、十分な嵩高効果を得るには高配合する必要があるため、製造原価が高くなる等の問題もあった。シラスバルーンを用いる方法が提案されている(特許文献2参照)が、製紙用パルプとの混合性が悪く、それを配合した用紙も印刷むらが発生するなどの問題があった。更に、これらの手法を用いても、紙厚は増加し、嵩高の傾向にあるが、用紙に柔軟性を付与することは不可能であった。
また、紙の嵩高剤として、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物等の嵩高剤を使用する方法が開示されている(特許文献3)。しかしながら、嵩高剤を添加した場合には紙力が低下しやすい、あるいはカレンダー処理を行ったときに嵩高の効果がなくなるなどの問題があった。
本発明に近い従来技術として、通常のマーセル化パルプやこれを配合した紙に関して、多くの文献が開示されている。マーセル化パルプとは、クラフトパルプやサルファイトパルプを強アルカリ溶液に浸漬処理した後、残留アルカリを除去するために十分に水洗して得られるパルプである。このようなマーセル化パルプは、パルプセルロース中のヘミセルロース等が溶出し、短繊維強度が増加することや極めて剛直になることが知られており、また、セルロース中の水酸基のほとんどがアルカリ処理によりアルカリ金属で置換されるためパルプ繊維間の水素結合がしにくくなる結果、マーセルパルプを使用した紙は嵩高な低密度の紙となる。しかし、通常のマーセル化パルプを配合すると平滑性が悪くなるという問題があった。
塗工紙の塗工層は一般的に原紙に比較して密度が高い。このため、塗工層を設けない印刷用紙と比較して塗工紙の密度は高い。塗工紙の嵩高化のためには、塗工組成物の塗工量を少なくする事によっても達成される。これは、塗工紙全体に占める塗工層の比率が小さくなるためである。しかし、塗工層を少なくする事は同時に、塗工層による原紙の被覆性を低下させるため、白紙光沢度、平滑性、印刷光沢度などの印刷品質を低下せしめるため、目標とする品質を維持しながら塗工量を減少させることには限界があった。
塗工紙の印刷品質、特に画線部の光沢度(以下、印刷光沢度という)を向上するためには、塗工紙の平滑性を高める事が有効な手段の一つである。しかし、これらの処理は用紙を加圧して表面の平滑性を高めるものであるため、同時に用紙の紙厚が低くなり、目標とする印刷品質を得るには十分な嵩高化が達成できない場合があった。
印刷用塗工紙として、原料パルプを9重量%以上50重量%以下のアルカリ水溶液でマ
ーセル化処理した後、pH3〜12で50℃以上の温水を用いて温水処理した嵩高パルプを原紙に含有することにより、嵩高でありながら柔軟性及び表面強度などの印刷適性に優れることが開示されている(特許文献4)。しかしながら、印刷品質が不十分であり、マーセル化処理後に、更に温水で処理する後工程が必要であり、マーセル化パルプを効率よく
得られないという問題があった。
以上のように、従来の技術単独もしくは組み合わせだけでは、嵩高(低密度)でありながら柔軟性に優れ、印刷適性等の良好な印刷用塗工紙を効率良く得ることは困難であった。
特開平5−339898号公報 特開昭52−74001号公報 特開平11−350380号公報 特開2003−293283号公報
この様な状況に鑑みて、本発明の課題は、嵩高でありながら柔軟性に優れ、表面強度などの印刷適性の良好な印刷用塗工紙、及びその印刷用塗工紙を効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の如き困難な状況において鋭意検討を重ねた結果、原紙上に、顔料と接着剤を含有する塗工層を有する印刷用塗工紙において、広葉樹の化学パルプを、固形分重量濃度9%以上50%以下のアルカリ水溶液中で、混練機を用いて機械的に撹拌処理することによって、平均繊維長を0.5mm以下とすると同時にマーセル化したパルプを全パルプ当たり10固形分重量%以上50固形分重量%以下で含有する原紙を用いることにより、嵩高でありながら柔軟性、印刷光沢度、表面強度などの印刷適性に優れ、特にカレンダー処理した場合の嵩高性にも優れる印刷適性が良好な印刷用塗工紙が得られることを見出した。
本発明により、嵩高でありながら柔軟性に優れ、更に印刷光沢度、表面強度などの印刷適性の良好な印刷用塗工紙を得ることができ、マーセル化処理後に後工程なく、効率的に製造することができる。

本発明は、機械的処理をしたマーセル化パルプを特定量配合した原紙に、顔料と接着剤を含有する塗工層を設けた印刷用塗工紙である。
本発明のマーセル化パルプの製造方法について説明する。マーセル化パルプの原料パルプの材種は広葉樹であり、針葉樹では平滑性が悪化してしまう。広葉樹パルプとしては、亜硫酸塩パルプ化法(サルファイト法、SP法)または硫酸塩パルプ化法(クラフト法、KP法)で製造される化学パルプ、あるいはSPやKPを更に化学的精製を行い、α−セルロース含有量を高めた溶解パルプ(DP)を使用することが好ましい。
マーセル化反応時の広葉樹パルプの濃度は5〜25固形分重量%の範囲である。
広葉樹パルプのマーセル化処理は、広葉樹パルプをアルカリ水溶液に浸漬して行うことができる他、噴霧等によりアルカリ水溶液を含浸させることによって行うこともできる。アルカリ水溶液としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物あるいは炭酸塩等のアルカリ水溶液を使用することが好ましく、強アルカリのものがより好ましい。マーセル化を進めるとパルプセルロースは著しく膨潤し、セルロースの結晶構造もセルロースIからアルカリセルロースI、そして更により安定的な結晶形であるアルカリセルロースIIへと変化する。このアルカリセルロースI及びIIは、洗浄・乾燥されることによってセルロースIIに変化する。また、セルロースIIは吸着性が増し、種々の試薬に対して反応しやすくなると言われている。本発明においては、十分な嵩高性を付与する上で、原料パルプ中のセルロースIIの含有量が50〜100重量%、好ましくは80〜100重量%となるように、一連の処理を行うことが好ましい。マーセル化処理は公知の方法によって行えば良く、通常は、パルプをアルカリ水溶液中に浸漬し、室温で10分〜24時間程度処理すれば良い。
セルロースIIの含有量は次式により算出される。
セルロースII含有量(%)=(I−II)/(III−II)×100
上記式中、IIは原料パルプ(セルロースI含有量100重量%)の2θ=19.8゜におけるバックグラウンドの強度を差引いた結晶性干渉強度、IIIは完全にマーセル化処理した試料(セルロースII含有量100%)の2θ=19.8゜におけるバックグラウンドの強度を差引いた結晶性干渉強度である。また、Iは測定しようとする試料の2θ=19.8゜における結晶性干渉強度である(北海道大学工学部研究報告No.75、p125)。水酸化ナトリウムを例に取ると、嵩高パルプ中のセルロースIIの含有量を50〜100重量%とするために必要なアルカリ水溶液の濃度は9重量%以上50重量%以下であり、好ましくは12〜25重量%である。なお、マーセル化処理がアルカリ水溶液の濃度が9重量%以上25重量%以下の場合には10〜40℃で行うことが好ましい。
混練機内で広葉樹パルプとアルカリ溶液を混練し、マーセル化および短繊維化の処理を行う時間は30分間〜5時間の範囲である。
パルプを処理した後のアルカリ水溶液は、必要に応じて濾過や遠心分離などによってパルプから分離し、再使用することができる。本発明においては、アルカリ水溶液によるマーセル化処理によって多量のアルカリ分が残存するので、水や酸水溶液による洗浄によってアルカリ分を除くことが好ましい。酸水溶液は、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸の鉱酸又はこれらの酸性塩、例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等のアンモニウム塩、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム等のマグネシウム塩、塩化亜鉛、硝酸亜鉛等の亜鉛塩を水に溶解して調製される。
また、マーセル化処理の際に、アルカリ水溶液を繊維に十分に浸透させること、および繊維長を短くする目的で、混練機を用いて機械的な撹拌処理を行う。この処理により、紙の原料パルプとして使用した場合、嵩高効果が高く且つ平滑性に優れた、マーセル化パルプが得られる。このマーセル化パルプの画像解析法による平均繊維長は0.5mm以下であり、それよりも長いと十分な平滑性が得られなくなる。
本発明のマーセル化パルプの製造方法で用いる混練機は、マーセル化反応時のパルプ懸濁アルカリ液を十分に撹拌・混合でき、更にパルプ繊維長を短くできるものであれば良く、公知の装置から選定して用いることができる。具体的には、ブレード型混練機(高粘度用混練機、横軸混練機、縦軸混練機、横軸高速混練機、縦軸高速混練機)やロール型混練機が好ましく用いられる。この中でも、各種のニーダ型混練機が更に好ましく用いられる。混練機の条件として、回転数は30〜200rpmが好ましい。
本発明のマーセル化パルプの製造方法は、パルプのマーセル化と短繊維化を同時に行うことに特徴があり、パルプをマーセル化した後、叩解機を用いてマーセル化パルプを叩解するという従来技術に比較して、処理工程を短縮・省略化できると同時に、短繊維化を容易に行うことができ、処理時間としては1〜5時間が好ましい。
本発明の塗工原紙に含まれるマーセル化パルプの配合量は全パルプ成分当たり10固形分重量%以上50固形分重量%以下であり、好ましくは20固形分重量%以上30固形分重量%以下である。配合量が10固形分重量%未満であると嵩高化の効果が不十分であり、50固形分重量%を越えると強度の低下が大きくなってしまう。
また、原紙には、通常の填料を使用しても良く、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、水和珪酸、酸化チタン、合成樹脂填料などの公知の填料を使用することができる。填料を使用する場合は、パルプ重量に対して2〜30重量%の範囲で使用することが好ましい。
本発明の原紙は、嵩高性、柔軟性に優れるものの、繊維表面が疎水化され、繊維間結合が形成しにくく、紙力が低下する傾向にあるため、紙力増強剤を含有させることが好ましい。紙力向上剤としては、澱粉、加工澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリアミド・ポリアミン系樹脂、尿素・ホルマリン系樹脂、メラミン・ホルマリン系樹脂などがある。紙力増強剤としては、対パルプ重量に対して0.05〜1.0%が好ましい。
原紙にはさらに必要に応じて、硫酸バンド、サイズ剤、柔軟化剤、歩留まり向上剤、着色剤、染料、消泡剤などを含有しても良い。また、表面強度やサイズ性の向上の目的で、原紙に水溶性高分子を主成分とする表面処理剤の塗布を行っても良い。水溶性高分子としては、酸化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、酵素変性澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の、表面処理剤として通常使用されるものを単独、あるいはこれらの混合物を使用することができる。また、表面処理剤の中には、水溶性高分子の他に耐水化、表面強度向上を目的とした紙力増強剤やサイズ性付与を目的とした外添サイズ剤を添加することができる。表面処理剤は、2ロールサイズプレスコーターや、ゲートロールコーター、およびブレードメタリングサイズプレスコーター、およびロッドメタリングサイズプレスコーター、シムサイザー等のフィルム転写型ロールコーター等の塗工機によって塗布することができる。また、本発明に使用される印刷用塗工紙用原紙のpHは、酸性、中性、アルカリ性の何れでも良い。
本発明においては、原紙に顔料と接着剤を有する塗工層を設ける。
塗工層に用いる顔料として塗工紙用に従来から用いられている、カオリン、クレー、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、ケイ酸、ケイ酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料、プラスチックピグメントなどの有機顔料であり、これらの顔料は必要に応じて1種以上を適宜選択して使用することが出来る。
本発明において使用する接着剤は、塗工紙用に従来から用いられている、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合およびポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成系接着剤;カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類;酸化澱粉、陽性澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などのエーテル化澱粉、デキストリン等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等の通常の塗工紙用接着剤1種類以上を適宜選択して使用される。これらの接着剤は顔料100重量部に対して5〜50重量部程度の範囲で使用される。表面強度をより良好にするためには、スチレン・ブタジエン系の共重合体ラテックスを5〜25重量部含有することが好ましく、より好ましくは10〜25重量部である。また、柔軟性の点から澱粉は5重量部以下が好ましい。また、必要に応じて、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤等、通常の塗工紙用顔料に配合される各種助剤が適宜使用される。
原紙上に設ける塗工層は、原紙の片面あるいは両面に、単層はあるいは二層以上設けるが、塗工層のトータルの塗工量は、好ましくは片面当たり5〜30g/m、より好ましくは8〜20g/mである。また、アンダー塗工層を設ける場合の塗工量は、好ましくは2〜8g/mである。
塗工組成物を原紙に塗工するための方法としては、2ロールサイズプレスコーターや、ゲートロールコーター、およびブレードメタリングサイズプレスコーター、およびロッドメタリングサイズプレスコーター、シムサイザー等のフィルム転写型ロールコーターや、フラデッドニップ/ブレードコーター、ジェットファウンテン/ブレードコーター、ショートドウェルタイムアプリケート式コーターの他、ブレードの替わりにグルーブドロッド、プレーンロッド等を用いたロッドメタリングコーターや、カーテンコーター、ダイコーター等の公知のコーターにより塗工することができる。アンダー塗工液を塗工する場合、原紙に適度にしみこませるために、ゲートロールコーターなどのフィルムトランスファー方式が好ましい。
また、平滑性向上および印刷品質向上等のため、上述の手法で得られた塗工紙を、表面処理することができる。表面処理方法としては弾性ロールにコットンロールを用いたスーパーカレンダーや、弾性ロールに合成樹脂ロールを用いたソフトニップカレンダー等、公知の表面処理装置を用いることができる。本発明においては、特にカレンダー処理した場合に、従来のものより嵩高の効果を有する印刷用塗工紙を得ることができる。
以下、本発明の実施例および比較例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何等限定されるものではない。尚、特に断らない限り、例中の部、および%はそれぞれ、重量部および重量%を示す。得られた印刷用塗工紙について、以下に示すような評価法に基づいて試験を行った。
<評価方法>
(パルプ) 平均繊維長画像解析法(測定機器:ファイバーラボ、メッツオートメーション社製)で測定した重量の積算分布の50%に対する繊維長である。
(坪量) JIS P 8124:1998に従った。
(密度) JIS P 8118:1998に従った。
(裂断長) JIS P 8113:1998に従った
(柔軟性:ページのめくり易さ)白紙100枚をA5版サイズに断裁し、クリップを挟んで冊子のモデルを作成し、ページをめくった際のめくり易さを10人のモニターにより評価した。
◎非常に優れる、○優れる、△やや問題あり、×問題あり
(印刷光沢度) RI−II型印刷試験器を用い、東洋インキ株式会社製枚葉プロセスインキ(商品名TKハイエコー紅MZ)を0.3cc使用して印刷を行い、一昼夜放置後、得られた印刷物の表面をJIS P8142に基づいて測定した。
(表面強度) RI−II型印刷試験器を用い、東洋インキ株式会社製特殊インキ(商品名SMXタックグレード15)を0.4cc使用して印刷を行い、裏取りを行い、剥け状態を以下の基準で目視評価した。
◎:極めて良好、○:良好、△:やや劣る、×:劣る
〔マーセル化パルプIの調整〕 広葉樹晒クラフトパルプ(以下、LBKPと記述する)の未叩解品に、濃度15%の水酸化ナトリウム水溶液をパルプ濃度が5固形分重量%となるように加え、回転数を100rpmに調節した二軸ニーダ(佐竹化学機械工業製)で混練しながらマーセル化処理した。処理時間は120分間であった。次に、75%メタノールで30分間2回洗浄し、硫酸及び酢酸でpH7に調整した後、乾燥してマーセル化パルプIを得た。得られたマーセル化パルプ1の平均繊維長は0.22mmであり、セルロースIIの含有率は100重量%であった。
〔マーセル化パルプIIの調整〕
二軸ニーダーの回転数を50rpmに調節して混練しながらマーセル化処理した以外はマーセル化パルプIと同様にしてマーセル化パルプIIを得た。得られたマーセル化パルプIIの平均繊維長は0.47mmであり、セルロースIIの含有率は100重量%であった。
〔マーセル化パルプIIIの調整〕
二軸ニーダ−で混練せずにマーセル化処理した以外はマーセル化パルプIと同様にしてマーセル化パルプIIIを得た。得られたマーセル化パルプIIIの平均繊維長は0.92mmであり、セルロースIIの含有率は100重量%であった。
〔マーセル化パルプIVの調整〕
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)の未叩解品を原料にした以外はマーセル化パルプIと同様にしてマーセル化パルプIVを得た。得られたマーセル化パルプIVの平均繊維長は1.11mmであり、セルロースIIの含有率は100重量%であった。結果を表1に示した。
〔マーセル化パルプVの調整〕
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)の未叩解品を原料とし、二軸ニーダ−で混練せずにマーセル化処理した以外はマーセル化パルプIと同様にして、マーセル化パルプVを得た。得られたマーセル化パルプVの平均繊維長は2.45mmであり、セルロースIIの含有率は100重量%であった。
[実施例1]
製紙用パルプとして上記マーセル化パルプI10部、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP、ろ水度410ml)90部からなるパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウム15部、紙力増強剤としてポリアクリルアミド0.6部、硫酸アルミニウム1.0部、歩留まり向上剤0.02部を添加した紙料を長網抄紙機で抄紙して坪量64g/mの原紙を得た。
次に、顔料として重質炭酸カルシウムを20部、2級カオリンを80部、分散剤としてポリアクリル酸ソーダを0.05部、バインダーとしてカルボキシ変性スチレンブタジエンラテックスを15部、燐酸エステル化澱粉を5部を加え、さらに水を加えて53重量%濃度に調整した下塗り塗工液を、塗工量が片面あたり5g/mとなるようにゲートロールコーターで両面塗工を行った。
更に、顔料として重質炭酸カルシウムを20部、2級カオリンを30部、微粒カオリンを50部、分散剤としてポリアクリル酸ソーダを0.05部、バインダーとしてカルボキシ変性スチレンブタジエンラテックスを14部、燐酸エステル化澱粉を4部を加え、さらに水を加えて65重量%濃度に調整した上塗り塗工液を、塗工量が片面あたり9g/mとなるようにブレードコーターで両面塗工を行った後、スーパーカレンダー(線圧150kg/m、ロール温度75℃)処理して印刷用塗工紙を得た。
[実施例2]
製紙用パルプとしてマーセル化パルプI20部、LBKP(ろ水度410ml)を80部とした以外は、実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[実施例3]
製紙用パルプとしてマーセル化パルプI50部、LBKP(ろ水度410ml)を50部とした以外は、実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[実施例4]
製紙用パルプとしてマーセル化パルプII10部、LBKP(ろ水度410ml)を90部とした以外は、実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[実施例5]
製紙用パルプとしてマーセル化パルプII20部、LBKP(ろ水度410ml)を80部とした以外は、実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[実施例6]
製紙用パルプとしてマーセル化パルプII50部、LBKP(ろ水度410ml)を50部とした以外は、実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[比較例1]
製紙用パルプとしてマーセル化パルプIII10部、LBKP(ろ水度410ml)を90部とした以外は、実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[比較例2]
製紙用パルプとしてマーセル化パルプIV10部、LBKP(ろ水度410ml)を90部とした以外は、実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[比較例3]
製紙用パルプとしてマーセル化パルプV10部、LBKP(ろ水度410ml)を90部とした以外は、実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[比較例4]
製紙用パルプとしてLBKP(ろ水度410ml)を100部とし、填料としてホワイトカーボン(商品名:チキソレックス17、ローディア社製)12部含有した以外は、実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[比較例5]
製紙用パルプとしてLBKP(ろ水度410ml)を100部とし、嵩高剤(商品名:KB−115、花王(株)製)を1.0部含有した以外は、実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[比較例6]
製紙用パルプとしてLBKP(ろ水度410ml)を100部とした以外は、実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。

次に実施例1から比較例6の印刷用塗工紙においてスーパーカレンダー処理しなかったものを実施例7から比較例12とした。
実施例1から比較例6の結果を表1に、実施例7から比較例12の結果を表2に示した。
Figure 0004594151
表1から明らかなように実施例1〜6は、嵩高で、柔軟性に優れ、表面強度、印刷光沢度などの印刷適性に優れる印刷用塗工紙を効率よく得られる。比較例1〜3は、印刷光沢度に劣る。比較例4は、柔軟性、表面強度、印刷光沢度に劣る。比較例5は、密度、表面強度に劣る。比較例6は、密度に劣る。
Figure 0004594151
表2から明らかなように、実施例7〜12は、嵩高で、柔軟性に優れ、表面強度、印刷光沢度などの印刷適性に優れる印刷用塗工紙を効率よく得られる。比較例7〜9は、印刷光沢度に劣る。比較例10は、柔軟性、表面強度、印刷光沢度に劣る。比較例11は、密度、表面強度に劣る。比較例12は、密度に劣る。

Claims (2)

  1. 原紙上に顔料と接着剤を含有する塗工層を有する印刷用塗工紙において、前記原紙に、広葉樹の化学パルプを、固形分重量濃度9%以上50%以下のアルカリ水溶液中で、混練機を用いて機械的に撹拌処理することによって、平均繊維長を0.5mm以下とすると同時にマーセル化したパルプを全パルプ当たり10固形分重量%以上50固形分重量%以下で含有することを特徴とする印刷用塗工紙。
  2. 原紙に顔料と接着剤を含有する塗工液を塗工する印刷用塗工紙の製造方法において、広葉樹の化学パルプを、固形分重量濃度9%以上50%以下のアルカリ水溶液中で、混練機を用いて機械的に撹拌処理することによって、平均繊維長を0.5mm以下とすると同時にマーセル化したパルプを全パルプ当たり10固形分重量%以上50固形分重量%以下配合した原紙に、塗工液を塗工することを特徴とする印刷用塗工紙の製造方法。
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