JP2002212889A - 嵩高パルプの製造方法 - Google Patents
嵩高パルプの製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】従来使用していた架橋剤を用いることなく、嵩
高性に優れた嵩高パルプを製造する方法を提供する。 【解決手段】パルプをアルカリ水溶液を用いてマーセル
化処理した後、多価アルコールを用いて処理することを
特徴とする嵩高パルプの製造方法。
高性に優れた嵩高パルプを製造する方法を提供する。 【解決手段】パルプをアルカリ水溶液を用いてマーセル
化処理した後、多価アルコールを用いて処理することを
特徴とする嵩高パルプの製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新聞用紙、印刷用
紙、情報記録用紙あるいは塗工用原紙、一般用紙を初
め、特殊紙、壁紙その他の建築材料、車両、家具、装飾
品類、濾材、吸収材等に使用される嵩高性シート、マッ
ト、その他の成型品等の原料として有用な嵩高パルプの
製造方法に関する。
紙、情報記録用紙あるいは塗工用原紙、一般用紙を初
め、特殊紙、壁紙その他の建築材料、車両、家具、装飾
品類、濾材、吸収材等に使用される嵩高性シート、マッ
ト、その他の成型品等の原料として有用な嵩高パルプの
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、一般用紙分野での軽量化に伴い、
或いは特殊紙分野における不織布等からの紙基材への切
り替え等に伴って、嵩高紙の使用が増加してきている。
従来、嵩高化に対しては様々な取り組みがなされてお
り、架橋パルプを用いる方法(特開平4−18579
1号公報など)、合成繊維と混抄する方法(特開平3
−269199号公報など)、パルプ繊維間に無機物
を充填する方法(特開平3−124895号公報な
ど)、空隙をもたらす発泡性粒子を添加する方法(特
開平5−230798号公報など)、カレンダー処理
する方法(特開平4−370298号公報など)、嵩
高薬品を添加する方法(特開平11−350380号公
報など)、パルプをマーセル化処理する方法(特開平
7−189168号公報)等が提案されている。
或いは特殊紙分野における不織布等からの紙基材への切
り替え等に伴って、嵩高紙の使用が増加してきている。
従来、嵩高化に対しては様々な取り組みがなされてお
り、架橋パルプを用いる方法(特開平4−18579
1号公報など)、合成繊維と混抄する方法(特開平3
−269199号公報など)、パルプ繊維間に無機物
を充填する方法(特開平3−124895号公報な
ど)、空隙をもたらす発泡性粒子を添加する方法(特
開平5−230798号公報など)、カレンダー処理
する方法(特開平4−370298号公報など)、嵩
高薬品を添加する方法(特開平11−350380号公
報など)、パルプをマーセル化処理する方法(特開平
7−189168号公報)等が提案されている。
【0003】これらの中でも、パルプ自体を嵩高化する
方法として架橋パルプを使用する場合には、パルプをセ
ルロース繊維用架橋剤に浸漬した後、乾燥状態でキュア
リングさせることによって架橋基を繊維に導入すること
が従来行われていた。即ち、パルプ繊維はセルロース中
の水酸基に架橋剤が反応して架橋構造を取るため、繊維
が捲縮、屈曲した状態で強固に固定されるので、通常の
パルプと比較して嵩高な構造となる。
方法として架橋パルプを使用する場合には、パルプをセ
ルロース繊維用架橋剤に浸漬した後、乾燥状態でキュア
リングさせることによって架橋基を繊維に導入すること
が従来行われていた。即ち、パルプ繊維はセルロース中
の水酸基に架橋剤が反応して架橋構造を取るため、繊維
が捲縮、屈曲した状態で強固に固定されるので、通常の
パルプと比較して嵩高な構造となる。
【0004】この場合に使用するセルロース繊維用架橋
剤は数多く存在するが、これらの中で最も効果的なもの
として使用されている架橋剤は、分子内に環状部分を有
するN−メチロール化合物である。その具体例として
は、繊維処理剤等に汎用的に使用されているジメチロー
ルジヒドロキシエチレン尿素が挙げられる。しかしなが
ら、これらのN−メチロール化合物は合成時にホルムア
ルデヒドを使用するため、架橋剤水溶液中に若干のホル
ムアルデヒドが残留する。
剤は数多く存在するが、これらの中で最も効果的なもの
として使用されている架橋剤は、分子内に環状部分を有
するN−メチロール化合物である。その具体例として
は、繊維処理剤等に汎用的に使用されているジメチロー
ルジヒドロキシエチレン尿素が挙げられる。しかしなが
ら、これらのN−メチロール化合物は合成時にホルムア
ルデヒドを使用するため、架橋剤水溶液中に若干のホル
ムアルデヒドが残留する。
【0005】また、パルプとの加熱架橋反応する際にホ
ルムアルデヒドの脱離が起こるので、架橋パルプに微量
のホルムアルデヒドが残留する。従って、架橋パルプに
は微量とは言え常にホルムアルデヒドが併存するので、
かかる架橋パルプを使用してシート、マット、その他の
成型品等を製造すると、それらの成型品中には、微量で
はあるがホルムアルデヒドの含有が認められる。ホルム
アルデヒドは、刺激臭が有るだけでなく人体に対して有
毒でもあるため、作業環境下でホルムアルデヒドが発生
したり製品に残留することは好ましくない。そこで、ホ
ルムアルデヒドを皆無とするために脱ホルムアルデヒド
工程が必要となり、工程が更に繁雑化されるので、ホル
ムアルデヒドが関与した架橋パルプを使用して成型品を
製造する方法は汎用的な方法であると言えるものではな
かった。
ルムアルデヒドの脱離が起こるので、架橋パルプに微量
のホルムアルデヒドが残留する。従って、架橋パルプに
は微量とは言え常にホルムアルデヒドが併存するので、
かかる架橋パルプを使用してシート、マット、その他の
成型品等を製造すると、それらの成型品中には、微量で
はあるがホルムアルデヒドの含有が認められる。ホルム
アルデヒドは、刺激臭が有るだけでなく人体に対して有
毒でもあるため、作業環境下でホルムアルデヒドが発生
したり製品に残留することは好ましくない。そこで、ホ
ルムアルデヒドを皆無とするために脱ホルムアルデヒド
工程が必要となり、工程が更に繁雑化されるので、ホル
ムアルデヒドが関与した架橋パルプを使用して成型品を
製造する方法は汎用的な方法であると言えるものではな
かった。
【0006】一方、ホルムアルデヒドの関与しない架橋
パルプの製造方法としては、水溶性の低分子エポキシ化
合物を使用する例がある。この場合に使用される低分子
エポキシ化合物としては、エチレングリコールジグリシ
ジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエー
テル、グリセロールジグリシジルエーテル等のエポキシ
当量の大きな化合物が挙げられる。しかしながら、これ
らの化合物は製造するのに多くの費用が掛かかるので汎
用性に乏しいだけでなく、特有の臭気を有する上、これ
らの化合物を使用して製造する架橋パルプは嵩高性にや
や劣るという欠点もあるので、現実性に欠ける。
パルプの製造方法としては、水溶性の低分子エポキシ化
合物を使用する例がある。この場合に使用される低分子
エポキシ化合物としては、エチレングリコールジグリシ
ジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエー
テル、グリセロールジグリシジルエーテル等のエポキシ
当量の大きな化合物が挙げられる。しかしながら、これ
らの化合物は製造するのに多くの費用が掛かかるので汎
用性に乏しいだけでなく、特有の臭気を有する上、これ
らの化合物を使用して製造する架橋パルプは嵩高性にや
や劣るという欠点もあるので、現実性に欠ける。
【0007】また、嵩高性に優れた架橋剤が見つかって
も、嵩高性のパルプを製造するためにドライ状態で架橋
剤を反応させたものは、もともと水素結合により結合し
固定化されているパルプを、架橋剤の反応によって更に
化学結合を行わせるため、通常行われる水中での機械的
解繊が困難となり、パルプ繊維が切断されて短繊維化さ
れたり粉末化されたりする。このような短繊維化を予防
する手段としては、柔軟剤等の解繊助剤を添加する方法
が紹介されているが、十分な解決方法となるには至って
いない。
も、嵩高性のパルプを製造するためにドライ状態で架橋
剤を反応させたものは、もともと水素結合により結合し
固定化されているパルプを、架橋剤の反応によって更に
化学結合を行わせるため、通常行われる水中での機械的
解繊が困難となり、パルプ繊維が切断されて短繊維化さ
れたり粉末化されたりする。このような短繊維化を予防
する手段としては、柔軟剤等の解繊助剤を添加する方法
が紹介されているが、十分な解決方法となるには至って
いない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、ドライ状態で
架橋化したパルプを使用して嵩高性シート、マット、そ
の他の成型品を製造しても、これらの機械的強度は低下
し、目的とする嵩高性は低いものとなる。本来、乾燥時
におけるパルプ繊維は含有する水酸基に起因する水素結
合により固く結合されているので、シートやその他の成
型品からも明らかなごとく優れた機械的強度を有する
が、水中で撹拌することにより比較的容易に解繊するこ
とができる。水中で解繊し、ウエット状態で加工する抄
紙法やパルプモールド法等は、この性質を利用した優れ
た加工方法である。
架橋化したパルプを使用して嵩高性シート、マット、そ
の他の成型品を製造しても、これらの機械的強度は低下
し、目的とする嵩高性は低いものとなる。本来、乾燥時
におけるパルプ繊維は含有する水酸基に起因する水素結
合により固く結合されているので、シートやその他の成
型品からも明らかなごとく優れた機械的強度を有する
が、水中で撹拌することにより比較的容易に解繊するこ
とができる。水中で解繊し、ウエット状態で加工する抄
紙法やパルプモールド法等は、この性質を利用した優れ
た加工方法である。
【0009】そこで、本発明者らは、架橋剤を用いるこ
となく、嵩高パルプを製造する方法について鋭意検討し
た結果、一定の処理を施したパルプを使用すると共に、
全工程を湿潤状態で処理することによって良好な結果を
得ることができることを見い出し、本発明に到達した。
従って本発明の目的は、従来使用していた架橋剤を用い
ることなく、嵩高性に優れた嵩高パルプを製造する方法
を提供することにある。
となく、嵩高パルプを製造する方法について鋭意検討し
た結果、一定の処理を施したパルプを使用すると共に、
全工程を湿潤状態で処理することによって良好な結果を
得ることができることを見い出し、本発明に到達した。
従って本発明の目的は、従来使用していた架橋剤を用い
ることなく、嵩高性に優れた嵩高パルプを製造する方法
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の上記の目的は、
パルプをアルカリ水溶液を用いてマーセル化処理した
後、多価アルコールを用いて処理することを特徴とする
嵩高パルプの製造方法によって達成された。即ち、本発
明の最大の特徴は、パルプを単にウエット状態で多価ア
ルコールを用いて処理しても嵩高性が改善されないとこ
ろから、パルプをアルカリ水溶液で処理した後に多価ア
ルコールを用いて処理することにより、嵩高性に優れた
嵩高パルプを製造する点にある。
パルプをアルカリ水溶液を用いてマーセル化処理した
後、多価アルコールを用いて処理することを特徴とする
嵩高パルプの製造方法によって達成された。即ち、本発
明の最大の特徴は、パルプを単にウエット状態で多価ア
ルコールを用いて処理しても嵩高性が改善されないとこ
ろから、パルプをアルカリ水溶液で処理した後に多価ア
ルコールを用いて処理することにより、嵩高性に優れた
嵩高パルプを製造する点にある。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明に使用される嵩高パルプの
原料は特に制限されるものでは無く、針葉樹、広葉樹、
非木材繊維等を使用することができる。非木材繊維は、
例えばケナフ、ジュート、リンター、マニラ麻、竹、わ
ら、バガス、エスパルト等から選択することが可能であ
る。本発明においては、これらの材種を、亜硫酸塩パル
プ化(サルファイト法、SP)あるいは硫酸塩パルプ化
(クラフト法、KP)したもの、或いは、これらのSP
やKPに対して更に化学的精製を行い、α−セルロース
の含有量を高めた溶解パルプ(DP)を嵩高パルプの原
料として使用する。
原料は特に制限されるものでは無く、針葉樹、広葉樹、
非木材繊維等を使用することができる。非木材繊維は、
例えばケナフ、ジュート、リンター、マニラ麻、竹、わ
ら、バガス、エスパルト等から選択することが可能であ
る。本発明においては、これらの材種を、亜硫酸塩パル
プ化(サルファイト法、SP)あるいは硫酸塩パルプ化
(クラフト法、KP)したもの、或いは、これらのSP
やKPに対して更に化学的精製を行い、α−セルロース
の含有量を高めた溶解パルプ(DP)を嵩高パルプの原
料として使用する。
【0012】本発明におけるマーセル化処理は、アルカ
リ水溶液に浸漬する方法に限定されず、噴霧等によりア
ルカリ水溶液を含浸させる方法であっても良い。アルカ
リ水溶液としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム
等の苛性アルカリ及び炭酸塩等のアルカリ水溶液を使用
することが好ましい。マーセル化処理を行うとセルロー
スは著しく膨潤し、セルロースの結晶構造もセルロース
Iから、より安定な結晶形をとるセルロースIIへと変
化すると共に吸着性を増し、種々の試薬に対して反応し
やすくなる。本発明においては、セルロースIIの含有
量が50〜100%となるまでマーセル化処理すること
が、十分な嵩高性を付与する上で好ましい。マーセル化
は公知の方法によって行えば良く、通常は、パルプをア
ルカリ水溶液中に浸漬し、室温で10分〜24時間程度
処理すれば良い。
リ水溶液に浸漬する方法に限定されず、噴霧等によりア
ルカリ水溶液を含浸させる方法であっても良い。アルカ
リ水溶液としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム
等の苛性アルカリ及び炭酸塩等のアルカリ水溶液を使用
することが好ましい。マーセル化処理を行うとセルロー
スは著しく膨潤し、セルロースの結晶構造もセルロース
Iから、より安定な結晶形をとるセルロースIIへと変
化すると共に吸着性を増し、種々の試薬に対して反応し
やすくなる。本発明においては、セルロースIIの含有
量が50〜100%となるまでマーセル化処理すること
が、十分な嵩高性を付与する上で好ましい。マーセル化
は公知の方法によって行えば良く、通常は、パルプをア
ルカリ水溶液中に浸漬し、室温で10分〜24時間程度
処理すれば良い。
【0013】セルロースIIの含有量は次式により算出
される。 セルロースII含有量(%)=(I−II)/(III
−II)×100 ここで、II及びIIIはそれぞれ原料(セルロースI
含有量100%)と完全にマーセル化処理した試料(セル
ロースII含有量100%)の、2θ=19.8°におけるバッ
クグラウンドの強度を差引いた結晶性干渉強度である。
また、Iは測定しようとする試料の2θ=19.8°におけ
る結晶性干渉強度である(北海道大学工学部研究報告N
o.75、p125)。水酸化ナトリウムを例に取ると、セ
ルロースIIの含有量が50〜100%に達するのに必要な
アルカリ水溶液の濃度は9重量%以上であり、好ましく
は12〜20重量%である。
される。 セルロースII含有量(%)=(I−II)/(III
−II)×100 ここで、II及びIIIはそれぞれ原料(セルロースI
含有量100%)と完全にマーセル化処理した試料(セル
ロースII含有量100%)の、2θ=19.8°におけるバッ
クグラウンドの強度を差引いた結晶性干渉強度である。
また、Iは測定しようとする試料の2θ=19.8°におけ
る結晶性干渉強度である(北海道大学工学部研究報告N
o.75、p125)。水酸化ナトリウムを例に取ると、セ
ルロースIIの含有量が50〜100%に達するのに必要な
アルカリ水溶液の濃度は9重量%以上であり、好ましく
は12〜20重量%である。
【0014】パルプをマーセル化処理した後、アルカリ
水溶液を濾過や遠心分離などによってパルプから分離
し、リサイクルさせることが出来る。また、マーセル化
処理した後、水溶性の酸性物質や水洗浄によってパルプ
に付着するアルカリを除去することができる。酸性水溶
液は、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸等の鉱酸又はこれらの
酸性塩、たとえば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウ
ム、硝酸アンモニウム等のアンモニウム塩、塩化マグネ
シウム、硝酸マグネシウム等のマグネシウム塩、塩化亜
鉛、硝酸亜鉛等の亜鉛塩を水に溶解して調製される。
水溶液を濾過や遠心分離などによってパルプから分離
し、リサイクルさせることが出来る。また、マーセル化
処理した後、水溶性の酸性物質や水洗浄によってパルプ
に付着するアルカリを除去することができる。酸性水溶
液は、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸等の鉱酸又はこれらの
酸性塩、たとえば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウ
ム、硝酸アンモニウム等のアンモニウム塩、塩化マグネ
シウム、硝酸マグネシウム等のマグネシウム塩、塩化亜
鉛、硝酸亜鉛等の亜鉛塩を水に溶解して調製される。
【0015】マーセル化処理するだけでもパルプを嵩高
化することは可能であるが、それのみでは、シート形成
時のプレスやカレンダー等の外力に対してその嵩高性を
維持し難いため、本発明においては、マーセル化処理し
た後に更に多価アルコールで処理する。これによってセ
ルロース結晶内に多価アルコールを浸入させ、嵩高構造
を保持することが可能となる。
化することは可能であるが、それのみでは、シート形成
時のプレスやカレンダー等の外力に対してその嵩高性を
維持し難いため、本発明においては、マーセル化処理し
た後に更に多価アルコールで処理する。これによってセ
ルロース結晶内に多価アルコールを浸入させ、嵩高構造
を保持することが可能となる。
【0016】本発明で使用することのできる多価アルコ
ールは、2価アルコールとしては、例えばエチレングリ
コール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、
ブチレングリコール、ジブチレングリコールなどが挙げ
られる。また、3価以上のアルコールとしては、例えば
グリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール、
ジペンタエリスリトール、アラビトール、ソルビトー
ル、エリトリット、グルコース、ショ糖などが挙げられ
る。
ールは、2価アルコールとしては、例えばエチレングリ
コール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、
ブチレングリコール、ジブチレングリコールなどが挙げ
られる。また、3価以上のアルコールとしては、例えば
グリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール、
ジペンタエリスリトール、アラビトール、ソルビトー
ル、エリトリット、グルコース、ショ糖などが挙げられ
る。
【0017】パルプをアルカリ水溶液でマーセル化処理
した後、ウエット状態で上記のような多価アルコールを
用いて処理する。多価アルコールは通常単独の水溶液ま
たは粉末として添加される。処理温度は30〜100℃、好
ましくは50〜90℃に加温して行う。処理後には、必要に
応じて、多価アルコールを含む水溶液を濾過や遠心分離
によってパルプから分離し、リサイクルさせることが出
来る。多価アルコールで処理したパルプは、濾別後、極
めて容易に水中でスラリーとして分散するので、抄紙や
パルプモールド等の次工程に送られ、パルプ系の嵩高製
品の製造に使用される。勿論、精成乾燥して嵩高パルプ
シートとし、各種分野に送っても良く、この場合には離
解した後使用される。
した後、ウエット状態で上記のような多価アルコールを
用いて処理する。多価アルコールは通常単独の水溶液ま
たは粉末として添加される。処理温度は30〜100℃、好
ましくは50〜90℃に加温して行う。処理後には、必要に
応じて、多価アルコールを含む水溶液を濾過や遠心分離
によってパルプから分離し、リサイクルさせることが出
来る。多価アルコールで処理したパルプは、濾別後、極
めて容易に水中でスラリーとして分散するので、抄紙や
パルプモールド等の次工程に送られ、パルプ系の嵩高製
品の製造に使用される。勿論、精成乾燥して嵩高パルプ
シートとし、各種分野に送っても良く、この場合には離
解した後使用される。
【0018】
【発明の効果】本発明においてはホルムアルデヒドが全
く関与しないので、製造工程の安全性が確保できるだけ
でなく、製品としての安全性も十分であり、環境破壊も
おこすことがない。
く関与しないので、製造工程の安全性が確保できるだけ
でなく、製品としての安全性も十分であり、環境破壊も
おこすことがない。
【0019】
【実施例】以下に、実施例によって本発明をより具体的
に説明するが、本発明はこれらによって限定されるもの
ではない。尚、「%」は、特に明記しない限り「重量
%」を表す。
に説明するが、本発明はこれらによって限定されるもの
ではない。尚、「%」は、特に明記しない限り「重量
%」を表す。
【0020】実施例1.針葉樹晒クラフトパルプ(NB
KP)の未叩解品を、濃度が15%の水酸化ナトリウム水
溶液に20℃で30分間浸漬した。液量は、20g/パルプ1
gとし、反応後十分に水洗した。水洗後のパルプに濃度
が5%のペンタエリスリトール水溶液を加え、70℃で2時
間撹拌しながら処理した。液量は20g/パルプ1gとし
た。
KP)の未叩解品を、濃度が15%の水酸化ナトリウム水
溶液に20℃で30分間浸漬した。液量は、20g/パルプ1
gとし、反応後十分に水洗した。水洗後のパルプに濃度
が5%のペンタエリスリトール水溶液を加え、70℃で2時
間撹拌しながら処理した。液量は20g/パルプ1gとし
た。
【0021】反応後、遠心脱水機にかけてパルプと反応
液を分別した。上記のパルプをTappi離解機にて離
解した後、円型手抄き機を用いて坪量が80g/m2とな
るように量り取ってから抄紙し、プレス、乾燥した。乾
燥後のシートを恒温恒湿下(23℃、50%RH)で調湿し
た。調湿後、シート密度をJIS P8118に準じて
測定し、それを嵩高性の指標とした。得られたシート密
度は、0.214g/cm3であった。
液を分別した。上記のパルプをTappi離解機にて離
解した後、円型手抄き機を用いて坪量が80g/m2とな
るように量り取ってから抄紙し、プレス、乾燥した。乾
燥後のシートを恒温恒湿下(23℃、50%RH)で調湿し
た。調湿後、シート密度をJIS P8118に準じて
測定し、それを嵩高性の指標とした。得られたシート密
度は、0.214g/cm3であった。
【0022】比較例1.針葉樹晒クラフトパルプ(NB
KP)の未叩解品をTappi離解機を用いて離解した
後、実施例1と同様にして、円型手抄き機を用い、坪量
が80g/m2のシートを得た。得られたシートの密度
は、0.445g/cm3であった。
KP)の未叩解品をTappi離解機を用いて離解した
後、実施例1と同様にして、円型手抄き機を用い、坪量
が80g/m2のシートを得た。得られたシートの密度
は、0.445g/cm3であった。
【0023】比較例2.水酸化ナトリウム水溶液による
処理をしなかった他は、実施例1と全く同様にして、坪
量が80g/m2のシートを得た。得られたシート密度
は、0.419g/cm 3であった。
処理をしなかった他は、実施例1と全く同様にして、坪
量が80g/m2のシートを得た。得られたシート密度
は、0.419g/cm 3であった。
【0024】比較例3.多価アルコール処理をしなかっ
た他は、実施例1と全く同様にして坪量が80g/m2の
シートを得た。得られたシート密度は0.334g/cm3で
あった。これらの実施例、比較例から明らかなように、
本発明の嵩高パルプを用いたシートの密度は比較例の場
合より著しく小さく、嵩高になっていることが実証され
た。
た他は、実施例1と全く同様にして坪量が80g/m2の
シートを得た。得られたシート密度は0.334g/cm3で
あった。これらの実施例、比較例から明らかなように、
本発明の嵩高パルプを用いたシートの密度は比較例の場
合より著しく小さく、嵩高になっていることが実証され
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菊池 彩 東京都北区王子5丁目21番1号 日本製紙 株式会社商品研究所内 (72)発明者 成島 倫史 東京都北区王子5丁目21番1号 日本製紙 株式会社商品研究所内 Fターム(参考) 4L055 AA02 AC05 AC06 BB30 EA02 FA16 GA08 GA16 GA17 GA18 GA19 GA23 GA31 GA46
Claims (3)
- 【請求項1】 パルプをアルカリ水溶液を用いてマーセ
ル化処理した後、多価アルコールを用いて処理すること
を特徴とする嵩高パルプの製造方法。 - 【請求項2】 マーセル化処理後におけるパルプ繊維中
のセルロースIIの含有量が50〜100%である、請
求項1に記載された嵩高パルプの製造方法。 - 【請求項3】 原料パルプが化学パルプまたは化学パル
プを更に精製した溶解パルプである、請求項1または2
に記載された嵩高パルプの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001004512A JP2002212889A (ja) | 2001-01-12 | 2001-01-12 | 嵩高パルプの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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