JP3021041B2 - アシルリン酸エステルおよびそれによる蛋白質の改質 - Google Patents

アシルリン酸エステルおよびそれによる蛋白質の改質

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 本発明は、特定のアシルリン酸エステルを用いる改質
蛋白質、特にヘモグロビンの製造方法に関するものであ
る。
アシルリン酸エステル(塩)(カルボン酸とリン酸の
混合無水物)は多くの生化学プロセスにおける中間体と
して生成する。アシルリン酸エステルは活性化されたカ
ルボン酸のように作用する場合もあり、かくしてアシル
基が受容体へ転移するのを促進する。例えば、ある種の
生体においてミトコンドリア内のアシル補酵素Aを形成
する際に、酢酸エステルは、アセチル基を補酵素Aへ転
移する前に、ATPとの反応を通じて酢酸キナーゼによっ
て活性化され、アセチルリン酸エステルを生成する(Wa
lsh,C.,Enzymatic Reaction Mechanisms,W.H.Freeman C
o.:New York,1979,234〜238頁)。アミノ酸はリボソー
ム上で、ペプチドおよび蛋白質に取込まれる前に、アミ
ノアシルアデニラートとして活性化される(同書、241
〜248頁)。
アシルリン酸エステルを製造するために報告された手
順には多くの制限がある。アセチルリン酸フェニルはリ
ン酸フェニルと無水酢酸から製造されている(Jencks,
W.P.;Carriuolo,J.,J.Biol.Chem.,1959、234、1272、12
80;DiSabato,G.,Jencks,W.P.,J.Am Chem.Soc.,1961、8
3、4400;Oestreich,C.H.,Jones,M.M.,Biochemistry 196
6、、2926;Oestreich,C.H.,Jones,M.M.,Biochemistry
1967、、1515;Briggs,P.J.他,J.Chem.Soc.B.1970、1
008)が、リン酸フェニルの代りにリン酸アルキルを使
用するのに、この方法を拡張すると純度が低く不特定な
生成物が得られる(Jencks,W.P.;Carriuolo,J.,J.Biol.
Chem.,1959、234、1272)。アミノアシルアデニラート
を合成する古典的な方法(ジシクロヘキシルカルボジイ
ミドを使用する、N−プロテクトしたアミノ酸とアデニ
ル酸のカップリング)も純度の低い生成物を生じる(Be
rg,P.,J.Biol.Chem.1958、233、608)。
アセチルリン酸ジメチルをアセトン中で沃化ナトリウ
ムと反応させることによってアセチルリン酸メチルが製
造された(Kluger,R.,Tsui,W.C.,J.Org.Chem.,1980、4
5、2723およびKluger,R.,Tsui,W.C.,Biochem.and Cell
Biol.1986、64、434)。アセチルリン酸ジメチルの合成
には塩化アセチルとリン酸トリメチルを長時間還流する
ことが必要である(Whetstone,R.,米国特許2,648,896;
およびケミカルアブストラクト 1954、48、8250;および
Kluger,R.,Wasserstein,P.,Biochemistry 1972、11、15
44)。しかし、本発明者は、この反応はより複雑な塩酸
化物または二酸塩化物、例えば塩化スクシニルまたは塩
化フマリルに拡張できないことを見出した。アセチルリ
ン酸ジメチルを製造するための可能性のある代わりのル
ートは、アシルハロゲン化物をジメチルリン酸塩と反応
させることである。塩化アセチルはトリエチルアンモニ
ウムジメチルリン酸塩と反応してアセチルリン酸ジメチ
ルを生成すると報告されているが、その物質は“不純で
不安定な状態”でしか単離されていない(Avison,A.W.
D.,J.Chem.Soc.1955、732)。この代替的なルートに
は、ジエステルは水中で非常に反応性であるので、有効
であるためには厳密に水を排除しなければならないとい
う追加的な制限がある(Kluger,R.,Wasserstein,P.,Bio
chemistry 172、11、1544)。
アシルリン酸エステルの中のモノエステルは中性の水
溶液中では安定であると見出されており(Klinman,J.
P.,Samuel,D.,Biochemistry 1971、10、2126)、アミノ
基を色々な部位でアセチル化し、これが陰イオンまたは
蛋白質を拘束すると報告されている(Kluger,R.,Tsui
W.C.,J.Org.Chem.,1980、45、2723;Kluger,R.,Tsui W.
C.,Biochem.and Cell Biol.,1986、64、434およびUeno,
H.他,Arch.Biochem.Biophys.1986、244、795)。Kern他
(Biochemistry,1985、24、1321)は、アミノアシルア
デニル酸はそれが正常な基質(normal substrate)では
ないアミノ酸から酵素によって作られる際に、アミノア
シルt−RNAシンテターゼのアミノ残基を選択的にアシ
ル化することを示した。アセチルリン酸メチルはヘモグ
ロビンの2−3−ジホスホグリセリン酸結合部位の領域
でアミノ基を特に独占的にアシル化することが見出され
ている(Ueno H.他,Arch.Biochem.Biophys.1986、244
795およびUeno H.他,1989、26、12344)。
発明の要約 本発明者は、アシルリン酸エステルはエーテル溶媒の
存在下で、ジアルキルまたはジフエニルリン酸エステル
(phosphate)とハロゲン化アシルの反応によって都合
よく、かつ高い収率で製造できることを見出した。得ら
れたジアルキルまたはジフェニルアシルリン酸エステル
はアルカリ金属ハロゲン化物との反応によってたやすく
それらの相当する塩に変換される。本発明者は、また、
このプロセスは改質蛋白質、例えば改質ヘモグロビンを
製造するための架橋剤として使用できるアシルリン酸エ
ステルを製造するのに有用であることを見出した。
したがって、本発明は下記の式Iのアシルリン酸エス
テルを製造するための方法を提供するものであり、 {式中、RとR1は同じでも、または異なっていても良
い、4つまでの炭素原子を有する直線状または分枝状の
アルキル基、フェニルまたはベンジルを表わし; nは整数であり; nが1の場合は、R2は下記の基 (式中、R4は直線状または分枝状のアルキル、アルケニ
ルまたはアルキニル、環式アルキル、環式アルケニル、
あるいはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリー
ル、アリールアルキルまたはアリールアルケニルで置換
されていても良いアリールを表わし)、または nが少なくとも2の場合は、R2は下記の基 (式中、nは少なくとも2であり、R4は上に定義された
通りである) を表わし}、 この方法は (a)下記の式II (式中、RとR1は上に定義された通りであり、R3は対イ
オンである) の化合物を、 (i)nが1である式Iの化合物を必要とするときは、
下記の式III (式中、R4は上に定義された通りであり、R5はエステル
化反応について広く知られている離脱基である) の化合物と、極性有機溶媒の存在下で反応させ、または (ii)nが少なくとも2である式Iの化合物を必要とす
るときは、化学量論的な量の、下記の式IV (式中、nは少なくとも2であり、R4とR5は上に定義さ
れた通りである) の化合物と、極性有機溶媒の存在下で反応させ、さらに (b)所望によって、得られたアシルリン酸エステルを
それらの塩に変換する、ことから構成されている。
本発明の1つの実施態様によれば、下記の式(II) (式中、RとR1は上に定義された通りであり、R3は対イ
オンである) の化合物を、下記の式III (式中、R4は上に定義された通りであり、R5はエステル
化反応について広く知られている離脱基である) の化合物と、極性有機溶媒の存在下で反応させ、さらに
所望によって、得られた下記の式I a (式中、RとR1は同じでも、または異なっていても良
い、4つまでの炭素原子を有する直線状または分枝状の
アルキル基、フェニルまたはベンジルを表わす;R4は直
線状または分枝状のアルキル、アルケニル、またはアル
キニル、環式アルキル、環式アルケニル、あるいはアル
キル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールア
ルキルまたはアリールアルケニルで置換されていても良
いアリールである)の化合物をそれらの塩に変換するこ
とからなる式I aのアシルリン酸エステルまたはそれら
の塩を製造する方法が提供される。
本発明の第2の実施態様によれば、 (式中、RとR1は上に定義された通りであり、R3は対イ
オンである) の化合物を、下記の式IV (式中、nは少なくとも2であり、R4は上に定義された
通りであり、R5はエステル化反応について広く知られて
いる離脱基である) の化合物と、極性有機溶媒の存在下で反応させ、さらに
所望によって、得られた式I b (式中、RとR1は同じでも、または異なっていても良
い、4つまでの炭素原子を有する直線状または分枝状の
アルキル基、フェニルまたはベンジルを表わす;nは少な
くとも2の整数であり、R4は直線状または分枝状のアル
キル、アルケニルまたはアルキニル、環式アルキル、環
式アルケニル、あるいはアルキル、アルケニル、アルキ
ニル、アリール、アリールアルキルまたはアリールアル
ケニルで置換されていても良いアリールである) の化合物をそれらの塩に変換することからなる式I bの
アシルリン酸エステルまたはそれらの塩を製造する方法
が提供される。
また本発明は、式I bの新しいアシルリン酸エステル
またはそれらの塩を提供する (式中、RとR1は同じでも、または異なっていても良
い、4つまでの炭素原子を有する直線状または分枝状の
アルキル基、ベンジルまたはフェニルを表わし、nは少
なくとも2の整数であり、R4は直線状または分枝状のア
ルキル、アルケニルまたはアルキニル、環式アルキル、
環式アルケニル、あるいはアルキル、アルケニル、アル
キニル、アリール、アリールアルキルまたはアリールア
ルケニルで置換されていても良いアリールを表わす)。
また、本発明は、改質ヘモグロビンの製造における架
橋剤として、上に定義された式I bの新しいアシルリン
酸エステルまたはその塩を使用することを企図してい
る。
さらに本発明は、ヘモグロビンを上に定義された式I
bの新しいアシルリン酸エステルまたはその塩で架橋す
ることによって得られる改質ヘモグロビンを企図してい
る。
さらにまた本発明は、 (a)ヘモグロビンを上に定義された式I bのアシルリ
ン酸エステルまたはその塩で架橋し;そして (b)生成する架橋ヘモグロビンを精製する、ことから
成る改質ヘモグロビンの製造法を企図している。
図面の説明 図面を参照して本発明をさらに説明する。
図中、 第1図は、デオキシヘモグロビンをフマリルビス(リ
ン酸メチル)[methyl phosphate)で処理した後の反応
混合物の陰イオン交換HPLC(高速液体クロマトグラフィ
ー)のクロマトグラムを示し; 第2図は、カーボンモノキシヘモグロビンをフマリル
ビス(リン酸メチル)で処理した後の反応混合物の陰イ
オン交換HPLCのクロマトグラムを示し; 第3図は、2,3−ジホスホグリセリン酸の存在下で、
フマリルビス(リン酸メチル)で処理されたデオキシヘ
モグロビンから生成する反応生成物の陰イオン交換HPLC
クロマトグラムを示し;そして 第4図は、2,3−ジホスホグリセリン酸の不在下で、
デオキシヘモグロビンをフマリルビス(リン酸メチル)
で処理した後の反応混合物のクロマトグラムを示すもの
である。
発明の詳細な説明 上に述べたように、本発明は式I {式中、RとR1は同じでも、または異なっていても良
い、4つまでの炭素原子を有する直線状または分枝状の
アルキル基、フェニルまたはベンジルを表わし; nは整数であり; nが1の場合は、R2は基 (式中、R4は直線状または分枝状のアルキル、アルケニ
ルまたはアルキニル、環式アルキル、環式アルケニル、
あるいはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリー
ル、アリールアルキルまたはアリールアルケニルで置換
されていても良いアリールである)、または nが少なくとも2の場合は、R2は基 (式中、nは少なくとも2であり、R4は上に定義された
通りである)を表わす}のアシルリン酸エステルまたは
それらの塩を製造する方法を提供するものであり、 この方法は (a)式II (式中、RとR1は上に定義された通りであり、R3は対イ
オンである) の化合物またはその塩を (i)nが1である式Iの化合物が必要な時は、式III (式中、R4は上に定義された通りであり、R5はエステル
化反応について広く知られている離脱基である) の化合物と、極性有機溶媒の存在下で反応させ、または (ii)nが少なくとも2である式Iの化合物を必要なと
きは、化学量論的な量の式IV (式中、nは少なくとも2であり、R4とR5は上に定義さ
れた通りである) の化合物と、極性有機溶媒の存在下で反応させ、さらに (b)所望によって、得られたアシルリン酸エステルを
それらの塩に変換する、 ことより構成されている。
本発明の1つの実施態様では、式I a (式中、R、R1及びR4は上に定義された通りである) の化合物が上に述べられた反応ステップ(i)を用いて
製造される。
本発明の第2の実施態様にしたがえば、式I b (式中、nは少なくとも2であり、R、R1およびR4は上
に定義された通りである) の化合物が上に述べられた反応ステップ(ii)を用いて
製造される。
nが2である反応ステップ(ii)を使用する反応は一
般的に次の略図によって表わされる。
式IIの化合物において、RとR1は同じでも、または異
なっていても良い、4つまでの炭素原子を有する直線状
または分枝状のアルキル基、フェニルまたはベンジル、
好ましくはメチル、エチルまたはベンジルを表わす。式
IIの化合物中のR3は対イオンであり、代表的にはナトリ
ウム、リチウム、カリウム、好ましくはナトリウムイオ
ンのようなアルカリ金属イオンである。
本発明の方法に使用される式IIIおよびIVの化合物
で、R4は直線状または分枝状のアルキル、アルケニルま
たはアルキニル、環式アルキル、環式アルケニル、ある
いはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ア
リールアルキルまたはアリールアルケニルで置換されて
いても良いアリール、好ましくは直線状のアルキルまた
はアルケニル、フェニル、フェニルアルキル、フェニル
アルケニル、ジフェニルアルキル、ジフェニルアルケニ
ルあるいはナフチルでも良い。式III及びIVの化合物中
のR5はエステル化反応について広く知られている離脱基
である。適当な離脱基の例はクロロ−、ブロモ−および
ヨード−である。代表的な離脱基を示すエステル化反応
についての一般的な議論はMorrison,R.T.およびR.N.Boy
d、Organic Chemistry,3d Ed.,Allyn and Bacon,Inc.,
ボストン、1974,672〜674頁に見出される。
本発明にしたがえば式IIIの化合物による反応、(す
なわち、反応ステップ(i))に対しては、RとR1がメ
チルまたはベンジルであり、R3がナトリウムまたはリチ
ウムイオンである式IIの化合物とR5がクロロ−基である
式IIIの化合物が好ましい。最も望ましいのは、式IIの
化合物がジメチルリン酸ナトリウムであり、式IIの化合
物においてR5がクロロ−基の場合である。
本発明にしたがえば式IVの化合物による反応、(すな
わち、反応ステップ(ii))に対しては、RとR1がメチ
ルであり、R3がナトリウムまたはリチウムイオンである
式IIの化合物と、nが2〜5であり、R4がアルケニル、
フェニル、フェニルアルキルまたはジフェニルアルケニ
ルであり、R5がクロロ−基である式IVの化合物が好まし
い。式IIの化合物がジメチルリン酸ナトリウムであり、
R5がクロロ−基であるのが最も好ましい。
nが2であり、2つのカルボニル基と併せてR4がフマ
リル、イソフタリル、テレフタリル、スチルベン3,3′
−ジカルボン酸またはスチルベン4,4′−ジカルボン酸
であり、R5がクロロ−基である式IVの化合物と、nが3
であり、3つのカルボニル基と併せてR4が1,3,5−ベン
ゼントリカルボン酸である式IVの化合物が最も好まし
い。
本発明にしたがえば式Iの化合物を製造するための方
法は極性有機溶媒、特にエーテル溶媒の存在下で行なわ
れる。適当なエーテル溶媒はジエチルエーテル、ジオキ
サンまたはテトラヒドロフランであり、テトラヒドロフ
ランが好ましい。
その方法に対する反応温度はかなり広い範囲内で変え
ることができる。一般的にその方法は−20℃から75℃、
好ましくは20℃から50℃、最も望ましくは20℃から25℃
の温度範囲内で行なうことができる。
本発明にしたがう方法において、出発物質として使用
される式II、IIIまたはIVの化合物は文献から知られて
おり、または文献から知られている方法で製造すること
ができる。例えば、ジメチルリン酸ナトリウムはリン酸
トリメチルと沃化ナトリウムからアセトン中で作ること
ができる。
温度範囲に依存し、反応時間は数時間から数日であ
る。代表的には、20℃から50℃の範囲の温度で、反応時
間は1時間と72時間の間であり、好ましくは48時間であ
る。反応は一般的に常圧下、乾燥雰囲気中で行なわれ
る。
式IIの化合物と式IVの化合物の反応(すなわち反応ス
テップ(ii))については、化学量論的な量の式IIの化
合物が加えられる。例えば、nが2の式Iの化合物を製
造する際には、式IIの化合物の2当量が式IVの化合物と
反応させられる。
必要であれば、この反応の生成物を適当な溶媒や溶媒
混合物から再結晶によって、またはカラムクロマトグラ
フィーによって精製してもよい。
式Iの化合物はアルカリ金属ハロゲン変物、例えば、
沃化ナトリウム又は沃化リチウムとの反応によってそれ
らの相当する塩に変化することができる。好ましくは、
式Iの化合物はアセトンのような溶媒の存在下で化学量
論的な量の沃化ナトリウムと反応させることによってそ
れらの塩に変換される。相当する塩への変換は、一般的
に−20℃〜80℃、好ましくは20℃〜25℃の温度範囲で行
なわれ、反応時間は約1〜12時間の間であり、好ましく
は12時間である。
また本発明は式I bの新しいアシルリン酸エステルま
たはそれらの塩を提供する。
(式中、nは少なくとも2、好ましくは2〜5の整数で
あり、RとR1は同じでも、または異なっていても良い、
4つまでの炭素原子を有する直線状または分枝状のアル
キル基、フェニルまたはベンジル、好ましくはメチル、
エチルまたはベンジルを表わし;そしてR4は直線状また
は分枝状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル、環
式アルキル、環式アルケニル、あるいはアルキル、アル
ケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキルまた
はアリールアルケニルで置換されていてもよいアリー
ル、好ましくは直線状または分枝状のアルキルまたはア
ルケニル、フェニル、ベンジル、フェニルアルキル、フ
ェニルアルケニル、ジフェニルアルキル、ジフェニルア
ルケニルあるいはナフチルを表わす)。
最も好ましくは、式I bの化合物またはそれらの塩に
おいて、nは2〜3、RとR1は同じで、メチル基を表わ
し;R4は直線状のアルケニル、フェニル、ジフェニルア
ルケニル、ベンジルまたはナフチルを表わす。
本発明における式I bの化合物の具体例としては次の
ようなものが含まれる: 下に示す式によって表わされるフマリルビス(リン酸
ジメチル): 下に示す式によって表わされるイソフタリルビス(リ
ン酸ジメチル): 下に示す式によって表わされるテレフタリルビス(リ
ン酸ジメチル): 下に示す式によって表わされるスチルベン3,3′−ジ
カルボン酸ビス(リン酸ジメチル): 下に示す式によって表わされるスチルベン4,4′−ジ
カルボン酸ビス(リン酸ジメチル): 式I bの化合物はそれらの塩の形で存在しても良い。
一般的にこれらはアルカリ金属ハロゲン化物、例えば沃
化ナトリウムおよび沃化リチウムとの塩である。式I b
の化合物の沃化ナトリウムとの塩が好ましい。
ラジカルR,R1およびR4は1つまたはそれ以上の、同一
の又は異なった置換基をもっていてもよい事が認められ
る。適当な置換基の例には、直線状または分枝状のアル
キル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキルチオ、アル
コキシ、アミノおよびヒドロキシが含まれる。
式I bの化合物およびそれらの塩は高度に選択的であ
り、アミン求核剤(amine nucleophiles)とたやすく反
応する。これらの化合物が蛋白質と会合するときは、そ
れらは隣接する求核剤と反応することが見出されてい
る。これらの性質、すなわち陰電荷と求電子的反応性に
よって、式I bの化合物およびそれらの塩は蛋白質改質
用の部位特異性の(site−directed)試薬として使用す
るのに適している。また、これらの化合物を他の選択的
求電子剤と結合させて別の型の特異性を持った試薬とす
ることもできる。
式I bの化合物およびそれらの塩は、血液代替品とし
て使用できる改質ヘモグロビンの製造における架橋剤と
して特に有用である。式Iの化合物およびそれらの塩
は、ヒトヘモグロビンの2,3−ジホスホグリセリン酸
(以下、DPGと略記する)結合部位における架橋アミノ
基からの既知の距離に対する大きさの計算に基づいて架
橋剤として適宜選択できる(Perutz,M.F.,Nature(ロン
ドン),1970,228,726およびUeno,H.他、Arch.Biochem.B
iophys.,1986,244,p.795;およびUeno,H.他、J.Biol.Che
m.1989,26,12344)。第I表は、蛋白質上のアミノ基と
フマリルビス(リン酸メチル)、イソフタリルビス(リ
ン酸メチル);テレフタリルビス(リン酸メチル);ス
チルベン3,3′−ジカルボン酸ビス(リン酸メチル);
またはスチルベン4,4′−ジカルボン酸ビス(リン酸メ
チル)との反応から生成するアシルリン酸エステルのカ
ルボキシアミド誘導体についての計算された距離を示し
ている。
式I bの化合物またはそれらの塩は配位した(オキシ
−、カルボキシ−、カーボンモノキシ−または誘導体)
および配位していない(デオキシ−)ヘモグロビンと反
応させることができる。架橋していても良いヘモグロビ
ンはヒト、ウマ、ブタ、ヒツジ、ウシ、サルまたは魚の
ヘモグロビンでも良い。
式I bの化合物またはそれらの塩とヘモグロビンの反
応は約0℃から50℃、好ましくは35℃の温度で起こすこ
とができる。反応のpHは約5.5から約10、好ましくは約
5から約8、最も望ましくは約6.8から7.5とすることが
でき、その反応は緩衝液、代表的には10mMのビス−トリ
ス緩衝液中で行なうことができる。反応時間は種々可能
であるが、一般的には充分な程度の架橋が2時間内に起
こる。改質ヘモグロビンは次いで文献に知られているテ
クニックを用いて未反応のヘモグロビンおよび他の不純
物から分離することができる。
上述した反応を使用して改質されたヘモグロビンはDP
G結合部位で架橋していることが見出された。特に、DPG
不在の場合は、ヘモグロビンとフマリルビス(リン酸メ
チル)の反応はβサブユニットの間(val−1からlys−
82)で、しかも一つのβサブユニット中の同じ残基の間
で架橋されており、同様にαサブユニットの間で、各サ
ブユニットの中でlys−99の間で架橋されている物質を
生成することが見出されている。DPGの存在下ではα−
架橋のみが形成される。
式Iの化合物とそれらの塩はヘモグロビン分子上の選
択された基に対して高度に特異的であり、望ましい改質
ヘモグロビン生成物を高い収率で生成する。
本発明におけるような改質ヘモグロビンは血液代替品
または血漿エキスパンダーとして使用することもでき
る。改質ヘモグロビンを薬学的に許容しうるキャリアー
と組合せて薬剤組成物を製造することができる。適当な
薬学的に許容しうるキャリアーには生理的食塩水、リン
ゲル液、乳酸エステル化(lactated)リンゲル液、ロッ
ク−リンゲル液、クレプス−リンゲル液、ハルトマンの
バランス食塩水およびヘパリン処理したナトリウム−ク
エン酸塩(エステル)−クエン酸−ブドウ糖液が含まれ
る。改質ヘモグロビンは他の血漿代替品または血漿エキ
スパンダーと組合せても良い。血漿代替品の例としては
ポリ(エチレンオキシド)、ポリビニルピロリドン、ポ
リビニルアルコールおよびエチレンオキシド−ポリプロ
ピレングリコール縮合物があり、血漿エキスパンダーの
例にはデキストラン、アルブミン、他の血漿タンパク、
ペクチン、バランス流動ゲラチン(balanced fluid gel
atin)およびヒドロキシエチルデンプン等の線状多糖類
がある。改質ヘモグロビンおよび改質ヘモグロビンを含
む薬剤的組成物は通常の方法を用いて投与することがで
きる。
さらに次の実施例を本発明の理解する目的でのみ提供
するが、これらは決して本発明の範囲を制限することを
意図しているものではない。
実施例1 a)アセチルリン酸ジメチル アセチルリン酸ジメチルを、予め、塩化アセチルとリ
ン酸トリメチルの溶液を長時間還流させることによって
調製した(Whetstone,R.,米国特許第2,648,896号,1953;
ケミカルアブストラクト1954,48,8250i;R.,Wasserstei
n,P.,Biochemistry 1972,11,1544)。反応は塩化アセチ
ルの替わりに臭化アセチルを使うことによってかなり早
く完了した。しかし、酸臭化物は、より複雑な酸塩化物
からは得られないので、この方法を一般的に使用するこ
とはできなかった。一般的な方法には、リン酸トリメチ
ル(10g,71mmol)に臭化アセチル(4g,32mmol)を50℃
で15分間の期間にわたって滴下してアセチルジメチルリ
ン酸エステルを製造することが含まれている。さらに15
分間経過した後、反応溶液を20×1mの直空ジャケット付
きカラムを通し、0.30トルで蒸留した。過剰のリン酸ト
リメチルからなる最初の低沸点留分に続いて55〜60℃で
生成物が留出した。収率、4.0g、75%。生成物の分析:
四塩化炭素中でのプロトンNMR、テトラメチルシランと
比較、δ2.2(3H,d,JP-B=1.5Hz),3.75(6H,d,JP-B=1
1Hz)。これらのスペクトルはアセチルリン酸ジメチル
1Hスペクトルと同じであった。(Avison,A.W.D.,J.Ch
em.Soc.1955,732)。
b)アセチルリン酸ジメチル アセチルリン酸ナトリウム(14.8g,0.1mmol,リン酸ト
リメチルと沃化ナトリウムから)および乾燥テトラヒド
ロフラン(80mL)に溶解した塩化アセチル(7.8g,0.1mm
ol)の懸濁液を、乾燥管を備えたフラスコ中で室温で2
日間撹拌した。反応溶液を濾過し、テトラヒドロフラン
を減圧下で除去した。生成する無色の液体をクーゲルロ
(Kugelrohr)装置(アルドリッヒ・クーゲルロー(Ald
rich Kugelrohr)装置、55〜60℃、0.30トル)して14.2
g(80%)のアセチルリン酸ジメチルを生成した。
c)アセチルリン酸メチル アセチルリン酸メチルをアセチルリン酸ジメチルから
製造した(Kluger,R.,Tsui W.−C.,J.Org.Chem.1908,4
5,2723)。乾燥アセトン(15mL)に溶解した沃化ナトリ
ウム(2.4g,16mmol)の溶液を乾燥アセトン(10mL)に
溶解したアセチルジメチルリン酸エステル(2g,16mmo
l)に加えた。淡黄色の溶液を室温で一晩放置した。沈
殿を半融ガラス濾斗中で濾過して厚め、乾燥アセトンと
次いで塩化メチレンで洗浄した。生成する白色粉末を真
空下で乾燥し、熱イソプロパノールから再結晶して2.2g
(80%)のアセチルリン酸メチルのナトリウム塩を生成
した。生成物の分析:重水(D2O)1H NMR,DSSと比較、
δ2.18(3H,JP-B=1.4Hz),3.67(3H,d,JP-B=11.6H
z)。スペクトルは以前報告されたアセチルリン酸メチ
ルの1H NMRスペクトルと同じであった。(同書、272
3)。
実施例2 フマリルビス(メチルリン酸ナトリウム) (a)フマリルビス(リン酸ジメチル)(1) ジメチルリン酸ナトリウム(リン酸トリメチルとアセ
トンに溶解した沃化ナトリウムからの、6.9g,47mmol)
と塩化フマリル(3.6g,24mmol)の懸濁液を乾燥テトラ
ヒドロフラン(60mL,ナトリウムベンゾフェノンケチル
(sodilm benzophenone ketyl)からの蒸留によって乾
燥)中で、窒素下、室温で二日間撹拌した。次いで、溶
液を半融ガラス漏斗を通して濾過し、溶媒を除去し、生
成物を固体として放置した。ベンゼンとエーテルからの
再結晶によって白色フレークの生成物を得た(4.7g,61
%,mp76〜77℃)。生成物の分析:IR(KBr) C=O 1
743cm-1;1H NMR(CDCl3)δ6.93(H−C=C,2H,s),4.
05(−OCH3,12H,d,JP-B=11.6Hz)。13C NMR(CDCl3
δ158.12(d,JP-C=7.9Hz),134.39(d,JP-C=9.4Hz),
55.39(d,JP-C=5.9Hz),31 NMR(CHCl3)δ−15.4(he
pt,JP-B=11.6Hz)。生成物の分析においては、プロト
ンNMRスペクトルはVarian(バリアン)T−60(60MHz)
またはVarian Gemini(バリアン・ジェミニ)(200MH
z)分光光度計に記録された。リンのスペクトルはVaria
n XL−200分光光度計に記録された。13C NMRスペクトル
はVarcan Gemini分光光度計に記録された。赤外線スペ
クトルは、Nicolet(ニコレット)SDX FTIR分光光度計
に記録された。
反応は(リン酸ナトリウムの溶解度を増すために)0.
01または0.1当量の18−クラウン−6を加えて繰り返し
た。何れの場合の収率はクラウンエーテル不在の場合よ
りも低くかった。
(b)フマリルビス(メチルリン酸ナトリウム)(1a) 乾燥アセトン(60mL)中に溶解した沃化ナトリウム
(0.9g,6mmol)を25mLのフラスコ中でフマリルビス(リ
ン酸ジメチル)(1g,3mmol)のアセトン(6mL)溶液に
加えた。溶液を振動させ、フラスコを12時間放置した。
この際沈殿する生成物は淡黄色の粉末であった。濾過
し、乾燥アセトンの塩化メチレンで洗浄すると少し黄色
がかった白色の粉末が得られ、これは真空下で乾燥し
た。この物質1gを20mLのメタノール中に溶解して再結晶
した。次いで40mLの1:1、エタノール:イソプロパノー
ルを加え、溶液を30分間放置した。生成する結晶を集
め、真空内で乾燥した(mp>200℃,収率93%)。生成
物の分析:IR(KBr):C=O 1714cm-1;1H NMR(D2O)δ
6.85(H−C=C,2H,d,J=2Hz)、3.65(−OCH3,6H,d,J
P-B=12Hz).13C NMR(D2O):δ163.0(d,JP-C=8H
z)、135.6(d,JP-C=7.6Hz),54.76(d,JP-C=6.4H
z)。分析(C6H8O10P2Na2)C,H,P. 生成物はプロトン−カップリング(proton−couple
d)31P NMRスペクトルとプロトンNMRスペクトルによっ
て対称性のリン酸モノメチルであると固定された。ビス
(リン酸ジメチル)のプロトン−カップリング31P NMR
は単一のリンのシグナルより成り、これは2つの等価
(equivalent)のリンの核と(2つのメチル基からの)
6つのプロトンの等価セットとのカップリングによる七
重線である。各端末(end)からの1つのメチル基が閉
裂すると、その物質はリンNMRシグナルが4重線のもの
に変化する。分子中の残存プロトンのシグナルと比較す
ると、プロトンNMRにおけるメトキシプロトンのシグナ
ルのインテグレーションは半分のエステル基の開裂が起
こったことを示している。
実施例3 イソフタリルビス(メチルリン酸ナトリウム) (a)イソフタリルビス(リン酸ジメチル)(2) 実施例1に示したようにして、乾燥テトラヒドロフラ
ン(50mL)中に溶解した、二塩化イソフタリル(4.83g,
23mmol)とジメチルリン酸ナトリウム(6.9g,47mmol)
からイソフタリルビス(リン酸ジメチル)を製造し、収
率83%で無色の油を得た。生成物の分析:IR(フィル
ム)C=O 1754cm-1;1H NMR(CDCl3)δ8.72(1H,t,J
=1.7Hz)、8.35(2H,dd,J=1.7,7.8Hz)、7.68(1H,t,
J=7.8Hz)、4.02(12H,d,J=11.7Hz)。13C NMR(CDCl
3)δ160.60(d,JP-C=7.0Hz),137.39(d,JP-C=11.5H
z),136.94,133.43,130,30,56.23(d,J P−C=4.8H
z). (b)イソフタリルビス(メチルリン酸ナトリウム)
(2a) 実施例1に示したようにして、イソフタリルビス(リ
ン酸ジメチル)(1.82g,4.8mmol)と沃化ナトリウム
(1.44g,9.6mmol)から収率95%とイソフタリルビス
(メチルリン酸ナトリウム)を製造した。生成物の分
析:mp>200℃;IR(KBr):C=O 1720cm-1;1H NMR(D
2O)δ8.52(1H,t,J=1.8Hz),8.17(2H,dd,J=1.8,7.9
Hz)、7.52(1H,t,J=7.9Hz),3Z56(6H,d,JP-B=11.4H
z);13C NMR(D2O)δ166.40(d,J P−C=8.1Hz),13
8.72,137.95(d,JP-C=10.0Hz),134.89,132.66,56.91
(d,JP-C=6.2Hz).生成物は、実施例1に示したよう
に、プロトン−カップリング31P NMRスペクトルおよび
プロトンNMRスペクトルの分析によって対称性のリン酸
モノメチルであると同定された。
実施例4 テレフタリルビス(メチルリン酸ナトリウム) (a)テレフタリルビス(リン酸ジメチル)(3) 実施例1に示したようにして、乾燥テトラヒドロフラ
ン(50mL)に溶解した二塩化テレフタリル(4.83g,23mm
ol)とジメチルリン酸ナトリウム(6.9g,47mmol)から
のテレフタリルビス(リン酸ジメチル)を製造して、白
色の固体を得た。エーテルを加えたベンゼンからの再結
晶によって結晶を生じた:mp81〜82℃、収率91%。生成
物の分析:IR(KBr)C=O 1743cm-11H NMR(CDC
l3)δ8.10(4H,s),4.00(12H,d,JP-B=12Hz。13C NMR
(CDCl3)δ160.00(d,JP-C=7.9Hz)、133.10(d,JP-C
=8.6Hz)、130.90,55.48(d,JP-C=4.7Hz). (b)テレフタリルビス(メチルリン酸ナトリウム)
(3a) 実施例1に示したようにして、アセトンに溶解したテ
レフタリルビス(リン酸ジメチル)(1g,2.6mmol)と沃
化ナトリウム(0.78g,5.2m mol)から収率95%でテレフ
タリルビス(メチルリン酸ナトリウム)を製造した。生
成物の分析mp>200℃;IR(KBr)C=O 1715cm-1;1H N
MR(D2O)δ7.93(4H,s),3.56(6H,d,JP-B=11.5Hz);
13C NMR(D2O)δ166.36(d,JP-C=8.1Hz)、136.63
(d,JP-C=7.0Hz),133.35,56.72(d,JP-C=2.6Hz).
分析(C10,H10,O10,P2,Na2)CHP。生成物は、実施例1
に示したようにして、プロトン−カップリング31P NMR
スペクトルおよびプロトンNMRスペクトルの分析によっ
て対称性のリン酸モノメチルであると同定された。
実施例5 スチルベン3,3′−ジカルボン酸ビス(メチルリン酸ナ
トリウム) (a)スチルベン3,3′−ジカルボン酸 スチルベン3,3′−ジカルボン酸をトラウンド、ジエ
イ(Toland,J.)他、J.Am Chem.Soc.1953、75、2263頁
の方法によって製造した。
(b)スチルベン3,3′−ジクロロギ酸エステル: スチルベン3,3′−ジカルボン酸(4.9g,18mmol)、塩
化チオニル(50mL)および触媒量の乾燥ジメチルホルム
アミド(10滴)を12時間還流させた。過剰の塩化チオニ
ル(20mL)を蒸留除去し、生成物は黄色針状に結晶化し
た。濾過によって結晶(2.53g,8.3mmol,46%)を集め、
エーテルで控え目に洗浄し、吸引して乾燥した。トルエ
ンから再結晶すると純粋な物質(mp179〜181℃)が得ら
れた。1H NMR(CDCl3)δ3.68(16H,s)、7.07(2H,
s)、7.20〜7.51(H,m)。
(c)スチルベン3,3′−ジカルボン酸ビス(リン酸ジ
メチル)(4) スチルベン3,3′−ジクロロギ酸エステル(2.4g,7.9m
mol)とジメチルリン酸ナトリウム(2.3g,15.8mmol)を
乾燥テトラヒドロフラン中で、窒素下、48時間撹拌し
た。反応混合物を濾過し、溶媒を蒸発させて固体を得
た。これをベンゼン/エーテルから再結晶させて純粋な
物質(2.62g,5.4mmol,収率68%)を得た。生成物の分
析:1H NMR(CDCl3)d8.19(1H,t,J=1.6Hz),7.99(1H,
dt,J=1.6,7.7Hz),7.95(1H,dt,J=1.6Hz,7.7),7.52
(1H,t,J=7.7Hz),4.02(12H,d,J=11.7Hz);13C NMR
(CDCl3)δ161.00(d,JP-C=8.3Hz),137.60,132.50,1
30.00,129.33,128.91,128.74,128.56(d,JP-C=8.5H
z),55.35(d,JP-C=5.4Hz).薄膜クロマトグラフィ
ー:Rf=0.29(シリカプレート、1:1ジクロロメタン:酢
酸エチル)。
(d)スチルベン3,3′−ジカルボン酸ビス(メチルリ
ン酸ナトリウム)(4a) 上述したようにして、アセトン中に溶解したスチルベ
ン3,3′−ジカルボン酸ビス(リン酸ジメチル)(3.52
g,7.3mmol)と沃化ナトリウム(2.19g,14.6mmol)から
収率93%でスチルベン3,3′−ジカルボン酸ビス(メチ
ルリン酸ナトリウム)を製造した。生成物の分析:mp>2
00℃,IR(KBr)C=O 1714cm-1;1H NMR(D2O)δ7.51
(2H,d,J=7.9Hz),7.47(2H,s)7.22(2H,d,J=7.9H
z),7.10(12H,t,J=7.9Hz),6.56(s,2H),3.62(6H,
d,J=11.4Hz);13C NMR(D2O)δ167.00(d,JP-C=8.3H
z),140.01,134.88,132.30,132.08,131.94,131.76,130.
05(d,JP-C=8.1Hz),56.95.薄膜クロマトグラフィー:R
f=0.39(シリカプレート、エタノール)。生成物は、
実施例1に示したようにして、プロトン−カップリング
31P NMRスペクトルとプロトンNMRスペクトルの分析によ
って対称性のリン酸モノメチルであると同定された。
実施例6 スチルベン4,4′−ジカルボン酸ビス(メチルリン酸ナ
トリウム) (a)スチルベン4,4′−ジカルボン酸 スチルベン4,4′−ジカルボン酸をトウランド、ジエ
イ・他J.Am.Chem.Soc.,1953,75,2263頁の方法によって
製造した。
(b)スチルベン4,4′−ジクロロギ酸エステル スチルベン4,4′−ジカルボン酸(5g,18.6mmol)、塩
化チオニル(60mL)および触媒量の乾燥ジメチルホルム
アミド(0.25mL)の懸濁液を24時間還流した。ジカルボ
ン酸は溶解しなかったが、直接に二酸塩化物変換し、こ
れも大部分反応媒体中に不溶であった。反応溶液を12時
間冷凍した。濾過によって黄色の結晶生成物を集め、ア
セトンで控え目に洗浄し、乾燥するまで吸引した(5.2
g,17mmol,収率92%)。生成物の分析:mp238℃。1H NMR
(ジメチルスルホキシド−d6)δ7.95(4H,d,J=10H
z),7.73(4H,d,J=10Hz),7.48(2H,s). (c)スチルベン4,4′−ジカルボン酸ビス(リン酸ナ
トリウム)(5) スチルベン4,4′−ジクロロギ酸エステル(2.6g,8.5m
mol)とジメチルリン酸ナトリウム(3.15g,21.3mmol)
を乾燥テトラヒドロフラン中で、スチルベン3,3′−、5
0℃で48時間撹拌した。半融ガラス漏斗を通して反応混
合物を濾過し、蒸発によって溶媒を除去して粗組成物を
得た。テトラヒドロフラン/エーテルから再結晶して純
粋物(1.19g,23%)を得た。生成物の分析:mp176〜177
℃,1H NMR(CDCl3)δ8.08(4H,d,J=8.5Hz),7.65(4
H,d,J=8.5Hz),7.29(2H,s),4.03(12H,d,J=11.7H
z).13C 160.5(d,JP-C=8.1Hz),142.5,131.1,130.5,1
27.1,127.0,55.2(d,J P−C=5.9Hz)。薄層クロマト
グラフィー:Rf=0.27(シリカプレート、1:1ジクロメタ
ン/酢酸エチル)。
(d)スチルベン4,4′−ジカルボン酸ビス(メチルリ
ン酸ナトリウム)(5a) 実施例1に示したようにして、アセトンに溶解したス
チルベン4,4′−ジカルボン酸ビス(リン酸ジメチル)
と沃化ナトリウムからスチルベン4,4′−ジカルボン酸
ビス(メチルリン酸ナトリウム)を製造した。生成物の
分析:mp>200℃,IR(KBr)C=O1715cm-1;1H NMR(D
2O)δ7.88(4H,d,J=8.1Hz),7.27(4H,d,J=8.1Hz),
6.77(2H,s),3.80(6H,d,J=11.3Hz);13C NMR(D2O)
δ166.77(d,J P−C=8.3Hz),144.8,133.5,132.7,130
8(d,JP-C=8.1Hz),129.7,56.6。31P NMR:δ2.38(H3P
O4から)。実施例1に示したようにして、生成物はプロ
トン−カップリング31P NMRスペクトルとプロトンNMRス
ペクトルの分析によって対称性のリン酸モノメチルであ
ると同定された。
実施例7 実施例3に示したようにして、ベンゼン1,3,5−トリ
カルボン酸トリス(リン酸ジメチル)(ジメチルリン酸
ナトリウムと1,3,5−ベンゼン三塩化トリカルボニル
(1,3,5−benzene tricarbonyl trichloride)から作ら
れた)と沃化ナトリウムから、その方法で使用された化
合物の量を比例して増加させることによってベンゼン1,
3,5−トリカルボン酸トリス(メチルリン酸ナトリウ
ム)を製造した。
実施例8 ビス(アシルリン酸メチル)の溶液安定性を調べた。
0.100Mのトリス−HCL緩衝液、pH7.4,37℃、中でフマリ
ルビス(メチルリン酸ナトリウム)、スチルベン3,3′
−ジカルボン酸ビス(メチルリン酸ナトリウム)および
スチルベン4,4′−ジカルボン酸ビス(メチルリン酸ナ
トリウム)を加水分解すると31P NMRスペクトルにおけ
る反応物とリン含有生成物、リン酸メチルに対するシグ
ナルがインデグレイトする。緩衝液の加水分解またはア
シル化の徴候としてリン酸メチルの生成が観察された。
このような条件下でフマリル化合物の半減期は36時間で
あった。3,3′−スチルベン誘導体の半減期は100時間で
あった。4,4′−スチルベン誘導体の反応は9時間続け
られ、この期間にわたってスペクトルの変化は観察され
なかった。このことは、試薬は溶液中で充分に安定であ
り、それらは緩衝液と迅速には反応しないことを示して
いる。これはアシルリン酸エステルの反応性に関する以
前の報告(ディサバトウ、ジー.(Disabato,G.);ジ
エンクス、ダブリウー・ピー.(Jencks,W.P.)、J.Am,
Chem.Soc.1961,83,4393,4400)と一致している。
実施例9 ヘモグロビンの架橋 0.3mM,3.0mM,30mM、または300mMの濃度のスチルベン
4,4′−ジカルボン酸ビス(リン酸メチル)の溶液(2m
L)を0.100Mのトリス−HCL緩衝液pH7.4に調製した。緩
衝液のみを含む対照溶液も作られた。新たに作られたこ
れらの溶液の各々に、生成する溶液のヘモグロビンが0.
3mMになるように40mgのヒトヘモグロビン(シグマ(Sig
ma)化学会社)を加えた。次いで反応混合物を激しく撹
拌し、37℃でインキュベートした。4時間後、溶液を0.
100Mのリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0に対して4℃で2
0時間透析して未反応のアシルリン酸エステルを除去し
た。ついでサンプルを凍結乾燥し、SDS(ドデシル硫酸
ナトリウム)−ポリアクリルアミドゲル電気泳動によっ
て分析してサブユニット間架橋の程度を評価した(ウィ
ーバー、ケイ(Weber,K.);オスボーン、エム(Osbor
n,M.)、J.Biol.Chem.1969、244、4406)。電気泳動の
前に、ヘモグロビンサンプル、架橋したウシヘモグロビ
ン標準品(二重に結晶化させ、透析し、凍結乾燥したシ
グマ・ダルトン・マーク(Sigma Dalton Mark)VII−L
と分子量標準品(molecular weight standards)を、1
%ドデシル硫酸ナトリウム、1%2−メルカプトエタノ
ール、36%尿素および0.015%ブロムフェノールブルー
を含んだ0.11Mのリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0中で15
分間沸騰させて変性させた。最終的な蛋白質濃度は2mg/
mLであり、10〜20μLのアリコット(aliquots)をゲル
に打ち込んだ。この方法はBio−Rad Mini−Protean II
デュアルスラブセル装置を使用して行なわれた。ヘモグ
ロビンの架橋度は、固定してクーマシー・ブリリアント
・ブルーRで染色した後、解像電気泳動バンドを目視で
比較することによって評価することができた。
上記方法を0.3mM,3.0mMまたは30mMの濃度のフマリル
ビス(リン酸メチル)、30mMの濃度のスチルベン3,3′
−ジカルボン酸ビス(リン酸メチル)および0.6Mの濃度
のアセチルリン酸メチルの溶液について繰り返した。
SDSゲル電気泳動は、ヘモグロビンとスチルベン3,3′
−ジカルボン酸ビス(リン酸メチル)、スチルベン4,
4′−ジカルボン酸ビス(リン酸メチル)との反応、お
よびフマリルビス(リン酸メチル)との反応は二重体お
よび四重体を生成したことを示した。これらの試薬で改
質されたヘモグロビンを含むレーンは(架橋したウシヘ
モグロビンの標準品と比べて)二量体(32,000)、三量
体(48,000)および四量体(64,000)に相当するバンド
を示した。なお、より高分子量の痕跡のバンドもあっ
た。未反応ヘモグロビンのバンドはそれが単量体に充分
に解離していることを示した。アセチルリン酸メチルお
よびスチルベン3,3′−ジカルボン酸と反応させたヘモ
グロビンについての対照実験は、ゲルのパターンによれ
ば、単量体状の物質を生成した。これらの結果は、架橋
反応は二官能性のアシルリン酸エステルの存在下でのみ
起こることを示している。
実施例10 架橋ヘモグロビンの特徴づけ pH、緩衝液の種類、および架橋ヘモグロビンの配位子
状態の影響をフマリルビス(リン酸メチル)(FMP)と
ヘモグロビンの反応について調べた。カーボンモノキシ
ヘモグロビン(COHb)をFMPとビストリス(bis Tris)
中でpH7.5,35゜で2時間反応させたときは、HEPES[4
−(2−ヒドロキシ−エチル)−1−ピペラジン−エタ
ンスルホン酸]に比べて反応生成物の量および種類にお
いて重要な違いは観察されなかった。6.8から7.5までの
pHの範囲はビストリス(bis Tris)中、pH7,2でCOHbとF
MPの間の反応はもっとも顕著であった。pH7.2、35゜で1
mMCOHbと2mM FMPの反応では2時間中に約75%のヘモグ
ロビンがフマリル誘導体に変換され、3時間までではそ
れ以上の変化はほとんどなかった。10分までに全ヘモグ
ロビンの概略35%が主要な改質成分となり、その後は評
価出来るほど変化しなかった。陰イオン交換クロマトグ
ラフ法で観察された反応物質の2番目のピークは10分で
14%から3時間で約30%と3時間の間に増加した。これ
らの結果から、反応条件は100mMビストリス中でpH7.2,1
mM Hb,2mM FMP,35℃で2時間として標準化された。
デオキシHbとCOHbをFMPと反応させることから生じる
主要なおよび若干の重要でない改質ヘモグロビンの構造
の特徴づけは、可能なかぎり単一のヘモグロビン成分を
単離することによって行なわれた。初期の分離は予備的
サイズのシンクロパック(Synchropak)AX300陰イオン
交換カラム上で行なわれた。その後の精製は、ヘモグロ
ビンの混合物を含む陰イオン交換帯域(zone)を調製用
サイズのシンクロパクCM300陽イオン交換カラム上で再
クロマトグラフ法(rechromatography)で処理すること
によって達成された。次いで陽イオン交換用クロマトグ
ラフ法による処理からの帯域は、バイダック(Vydak)
C−4大孔径逆相アラム(large pore reverse phase c
olumn)を用いてグロビン鎖の分離処理した。ある場合
には、未改質グロビン鎖の同定にはこれで充分であっ
た。大部分のケースでは、グロビン鎖を単離し、システ
イニル残基を安定化するため酸化またはアミノエチル化
し、トリプシンとグルコースプロテオナーゼ(glu−C p
roteonase)で加水分解し、生成したペプチドを分離
し、分析してアミノ酸組成を調べた。表IIは単離された
成分とFMPで処理されたヘモグロビンについて同定され
た構造的改質を記載している。
FMPと反応したヘモグロビン生成物の数、クロマトグ
ラフ溶離位置(elution position)および量はヘモグロ
ビンの配位子状態および2,3−DPG(2,3−ジホスホグリ
セリン酸)の存在または不存在によって変化する。第1
図はデオキシヘモグロビンをFMPで処理した後の反応混
合物の陰イオン交換高速液体クロマトグラフィーのクロ
マトグラムである。第2図はCOHbを使用した同じもので
ある。各々の場合における帯域1は同じであり、未反応
のHb Aを表わしている。COHbについての2番目の主要な
帯域は主としてデオキシHb反応混合物に対する3番目の
帯域について見出された成分の1つから構成されてい
る。COHbにおける3番目の主要な帯域はデオキシHb混合
物の最後または5番目の帯域と同様にクロマトグラフ展
開されると考えられる。第3図は2,3−DPGの存在下で、
FMPで処理されたデオキシHbから生じる反応生成物の陰
イオン交換高速液体クロマトグラフィーのクロマトグラ
ムである。溶離条件は、第1図と第2図に示されるクロ
マトグラムで使用されたものより僅かに異なっている。
同じクロマトグラフィーの条件を使用し、2,3−DPGの不
在下で、FMPと反応させられたデオキシHbの対照は第4
図に示される。各々における第1の帯域は未反応Hb Aで
ある。第3図における2番目の帯域は他の2つの条件の
いずれにも見出されず、2つのα−99リシル残基の間の
フマリル架橋による改質されたヘモグロビンを含んでい
る。これはバクスタートラベノール(Baxter Traveno
l)から得られるDBBF生成品中に見出される主要な反応
生成物と同じであり、それはビス(3,5−ジブロモサリ
チル)フマル酸(bis(3,5−diboromosalicyl)fumarat
e)架橋剤を用いて作られる。第3図における3番目の
帯域は重要な量の架橋ヘモグロビンなしに、アルファお
よびベーター鎖の両者の改質を含む生成物の混合物であ
るように見える。結果は、ヒトヘモグロビンとフマリル
ビス(リン酸メチル)の反応の架橋部位は2,3−ジホス
ホグリセリン酸を拘束する高度に陽イオン性の部位であ
ることを示している。2,3−ジホスホグリセリン酸の不
在下では、フマリルビス(リン酸メチル)との反応によ
ってβサブユニット間(バリン−1からリシン−82)お
よび単一のサブユニット中の同一残基間、ならびにαサ
ブユニット中の各々のリシン−99間が架橋されている物
質を生成する。2,3−ジホスホグリセリン酸の存在下で
は、β架橋のみが形成される。
実施例11 イソフタリルビス(リン酸メチル)またはスチルベン
3,3′−ビス(リン酸メチル)をヘモグロビンと反応さ
せた。改質ヘモグロビン成分を高速液体クロマトグラフ
ィーシステムを使用し、調製用サイズのシンクロパック
AX300とシンクロパックCM300のカラム上で精製した。β
11−β282およびβ182−β282スチルベンヘモグロビン
ならびにβ11−β282架橋およびβ182−β282未架橋イ
ソフタリルヘモグロビンが単離された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 グラント,アンドリュー エス. カナダ国、エム5エイ 4エイチ4 オ ンタリオ、トロント、サイデンハム ス トリート 21 (56)参考文献 米国特許3835203(US,A) 米国特許2748153(US,A) Biomaterials Arti ficial Cells and A rtificial organs (1989),第17巻,第5号,第643〜644 頁 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07F 9/09 C07K 14/805 C07K 1/113 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)ヘモグロビンを、 下記の式v (式中、nは2〜5の整数、Rはメチル基、エチル基、
    ベンジル基またはアルカリ金属イオンを表し、R4は直線
    状または分枝状のアルキル基、アルケニル基、アルキニ
    ル基、環式アルキル基、環式アルケニル基、アリール
    基、アリールアルケニル基、アリールアルキル基、ある
    いはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基で置換さ
    れたアリール基である) で示されるアシルリン酸エステル架橋剤で架橋し、 (b)生成した架橋ヘモグロビンを精製することからな
    る改質架橋ヘモグロビンの製造方法。
  2. 【請求項2】架橋反応をpH約5〜8でおこなう請求項1
    の方法。
  3. 【請求項3】架橋反応を反応温度約0℃〜50℃でおこな
    う請求項2の方法。
  4. 【請求項4】架橋反応に用いるヘモグロビンがリガンド
    したヘモグロビンである請求項1の方法。
  5. 【請求項5】架橋反応に用いるヘモグロビンがデオキシ
    ヘモグロビンである請求項1の方法。
  6. 【請求項6】アシルリン酸エステル架橋剤が式Vで示さ
    れ、nが2または3の整数であり、R4が直線状アルケニ
    ル基、フェニル基、ジフェニルアルケニル基、ベンジル
    基、ナフチル基であり、Rが金属またはアルカリ金属対
    イオンである請求項1の方法。
  7. 【請求項7】アシルリン酸エステル架橋剤が 式 但しR:金属またはアルカリ金属対イオン で表されるフマリルリン酸ビスメチルである請求項6の
    方法。
  8. 【請求項8】アシルリン酸エステル架橋剤が 式 但しR:金属またはアルカリ金属対イオン を有するイソフタリルリン酸メチルである請求項6の方
    法。
  9. 【請求項9】アシルリン酸エステル架橋剤が 式 但しR:金属またはアルカリ金属対イオン を有するイソフタリルリン酸メチルである請求項6の方
    法。
  10. 【請求項10】アシルリン酸エステル架橋剤が 式 但しR:金属またはアルカリ金属対イオン を有するスチルベン−3,3′−ジカルボン酸リン酸メチ
    ルである請求項6の方法。
  11. 【請求項11】アシルリン酸エステル架橋剤が 式 但しR:金属またはアルカリ対金属イオン を有するスチルベン−4,4′−ジカルボン酸リン酸メチ
    ルである請求項6の方法。
  12. 【請求項12】アシルリン酸エステル架橋剤がベンゼン
    −1,3,5−トリカルボン酸トリス(メチルリン酸ナトリ
    ウム)である請求項6の方法。
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