JP3020215B2 - パーオキシダーゼの殺菌方法 - Google Patents
パーオキシダーゼの殺菌方法Info
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Description
ゼ、特に食品添加用として適したラクトパーオキシダー
ゼの殺菌方法に関する。
る)は、チオシアネート及び/又はハロゲンイオンと過
酸化水素との共存下で、大腸菌等のグラム陰性菌の細胞
膜に損傷を与えて抗菌作用を示すことが知られている。
このPOの性質を利用して食品の保存性を延長したり、
変異原性を減少させる試みが数多くなされている。しか
し、POは熱に対して不安定であるため、これらの試み
の多くは単離されたPOをただ単に添加するのみに終わ
っている。ところが、食品衛生法で加熱殺菌が義務付け
られている製品も多く、単にPOを添加しただけでは市
場に出せる製品の種類に限りがある。例えば、pH 4.6以
上の清涼飲料の場合85℃、30分間、またはそれと同等以
上の加熱殺菌が必要であり、牛乳や乳飲料の場合、62
℃、30分間、またはそれと同等以上の加熱殺菌が必要で
あり、アイスクリームの場合、68℃、30分間、またはそ
れと同等以上の加熱殺菌が必要である。
ーゼ(以下、LPOと略記する。本発明のパーオキシダ
ーゼはラクトパーオキシダーゼを含んだものを総称し、
このような意味で使用する場合は、以下PO/LPOと
略記する。)と称しているが、生乳を62〜65℃、30分間
の低温殺菌処理した場合、LPO活性がかなり残存する
ことが知られている。したがって、生乳を原料とした乳
飲料等を製造する場合やLPO活性が殆ど残存していな
い粉乳を水に還元したものに単離したPO/LPOを添
加して乳飲料等を製造する場合、それらを低温殺菌する
ことによって、PO/LPO活性が相当量残存した製品
を製造することが可能である。
殺菌温度が70℃程度まで上昇するとPO/LPO活性は
かなり低下する。また、アイスクリーム等を製造する場
合、68℃以上、30分間の加熱殺菌を行うことから、PO
/LPO活性が相当量失われることが予想される。
関するいくつかの研究について報告がなされている。例
えば、アミノアンチピレン等の化合物を添加する方法
(特開昭58-23786、特開平2-135090)が開示されている
が、これらの化合物は飲食品に添加することは認められ
ていない。また、多価金属イオン、特に鉄塩を添加する
方法(特開昭53-52686)も開示されているが、これは凍
結乾燥時におけるPOの変性を防止するための方法であ
る。
オンが関与していることが知られている。それ故に Has
chkeらはPOの熱安定性にもカルシウムイオンが寄与す
ることを示唆しており〔Biochem.Biophys.Res.Commun.
80,1039-1042(1978)〕、さらに HernandezらはLPOの
熱安定性にカルシウムイオンが寄与していることを報告
している〔Neth. Milk Dairy J.,44,213-231(1990)〕。
ウムを含有する製品を加熱殺菌する場合、低温殺菌処理
することによってPO/LPO活性をある程度保持させ
ることが可能である。しかし、本発明者等の行った実験
の結果によれば、カルシウム濃度0.01Mの時にPO/L
POの熱安定性が最大となり、約70%の活性残存率を示
したが、カルシウム濃度がさらに高くなるとPO/LP
O活性は低下した。また、70℃、30分間の加熱殺菌処理
では約13%の活性残存率を示すのみであった。
性蛋白質であるラクトフェリン(以下、LFと略記す
る)の殺菌方法に関して研究を進め、イオン強度を低く
すると熱安定性が増すことを見出した(特開平2-10862
9)。この研究の過程でPO/LPOの熱安定性に関し
ても同様の現象が認められるか否かについて検討を行っ
た結果、LFの場合とは逆にイオン強度を減少させると
PO/LPOの熱安定性が低下し、イオン強度を増加さ
せると熱安定性が高まることを見出し、本発明を成すに
至った。
条件を設定することにより、変異原性を低減させたり、
抗菌作用を有するLPOの活性を保持したまま、これを
殺菌し、食品添加用として適したLPOを提供すること
にある。
LPOを 0.1モル濃度以上の1価塩類の溶液に溶解し、
加熱殺菌することにある。
塩類 0.1モルを添加し、溶解したものをいう。Hernande
z らの報告ではLPOの熱安定性にイオン強度が関係し
ている可能性が示唆されているが、カルシウムについて
のみの記述であり、他の塩類についてやその濃度につい
ては何ら言及していない。
Oは、乳から分離されたLPOである。LPOは脱脂乳
あるいはホエーからLFを分離する過程で得ることがで
きる(特開平3-109400) 。
下するので、pH3以下の食品にPO/LPOを添加して
もその効果は期待できない。また、塩類溶液のpHが9以
上の場合も加熱した際にPO/LPOの活性が著しく低
下する。したがって、一価塩類は食品添加物として認め
られており、溶解時のpHが3以上9以下のものを用いる
か、あるいは別途pH調整を行ってpH3以上9以下にする
必要がある。なお、この際に沈澱物等を生成するものは
好ましくない。このような観点から、実際に使用し得る
一価塩類としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、亜
硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、炭酸水素アンモニウ
ム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩類、酢酸ナトリウ
ム、乳酸カリウム等の有機酸塩類を例示することができ
る。一価塩類の添加量は 0.1モル以上である。これに満
たないと、カルシウム等の二価塩類を添加した場合や塩
類を全く添加しなかった場合と同様の結果となり、一価
塩類を添加する意味がなくなる。一価塩類濃度に上限は
特にないが、5モル以上ではその効果は実質的に同じで
ある。従って、本発明における一価塩類溶液のモル濃度
は 0.1〜5モル程度が望ましい。
溶液にPO/LPOを添加して加熱殺菌を行うことも可
能であるが、0.1 モル以上の塩濃度になると飲食品の塩
味が強くなり過ぎるので実際上は不適である。したがっ
て、必要量のPO/LPOを少量の一価塩類の溶液中で
溶解して加熱殺菌を行った後、別途殺菌処理を行った飲
食品原料と混合することが望ましい。例えば、1001の飲
食品原料溶液に1gのPO/LPOを配合する場合、1
gのPO/LPOを50mlの1モル食塩水中で溶解して加
熱殺菌した後、別途殺菌処理を行った1001の飲食品原料
と混合すればよい。このようにして製造した飲食品の最
終食塩濃度は 0.5ミリモルとなり、飲食品の呈味に殆ど
影響を及ぼすことはない。
はPO/LPOの活性が損われず加熱殺菌できる温度で
あれば、特に制限はない。しかし、通常は62〜80℃で行
われる。低温加熱殺菌として認められている下限温度は
62℃であり、その温度より低い温度で加熱殺菌された製
品は市場に出すことができない。また、62℃以下の温度
では例え一価塩類が存在しなくてもPO/LPOの活性
は安定である。一方、80℃以上の温度ではPO/LPO
の活性は著しく低下する。因みに0.01モルのカルシウム
存在下よりも1モルの一価塩類存在下のほうが80℃にお
けるPO/LPOの残存活性は高いが、それでも活性の
残存率は10%以下であり、生理活性を期待して飲食品に
PO/LPOを添加する意味が薄れてしまう。
乳、アイスクリーム、チーズ、発酵乳、清涼飲料、チュ
ーインガム、あめ、パン、栄養ドリンク等の飲食品ある
いはその原料に添加される。
説明する。
溶解して均質化した還元乳をジャケット付タンク内で74
℃、10分間加熱殺菌した後、4℃に冷却した。一方、L
PO1gを50mlの2モル食塩水(117g/l) に溶解し、キ
ャップ付容器に注入して74℃、10分間加熱殺菌した。加
熱殺菌後、LPOを直ちに冷水で冷却し、殺菌済の還元
乳に添加した。LPO添加前還元乳のLPO濃度は0で
あったが、LPO添加後還元乳のLPO濃度は 6.2mg/1
00gであった。
冷却した還元乳、殺菌・冷却したLPO溶液、両者を混
合した最終製品の大腸菌数および一般細菌数を示す。
%、グラニュー糖 9.0%、粉あめ8.9%、安定剤〔アビ
セル(商品名)及びローカストビーンガム〕 0.7%、バ
ター10.0%、水38.3%となるように混合、溶解して均質
化したアイスクリーム原料液1000kgをジャケット付タン
ク内で70℃、30分間加熱殺菌した。加熱殺菌後、直ちに
緩やかに撹拌しながら4℃に冷却した。一方、LPO30
gを 500mlの 0.5モル塩化ナトリウム (30g/l)と 500ml
の 0.5モル塩化カリウム (37g/l)混合溶液に溶解し、蓋
付容器に注入して70℃、30分間加熱殺菌した。加熱殺菌
後、LPOを直ちに4℃に冷却し、殺菌済のアイスクリ
ーム原料液に添加した。このLPO添加アイスクリーム
原料液を用い、通常の工程でアイスクリームを製造し
た。このアイスクリームを−20℃、2週間凍結保存した
後、解凍してLPO含量を測定したところ、製品 100g
当たり0.95mgのLPOが検出された。
た。ウサギ抗LPO抗体を96穴マイクロタイタープレー
ト(ダイナテック社、イミュロン4)に加え、4℃で一
晩放置して抗体を吸着させた。脱イオン水で4倍に希釈
したブロックエース(大日本製薬)で非特異的吸着をブ
ロックした後、脱イオン水で10倍に希釈したブロック
エースで所定濃度となるように調製した標準LPO溶液
および同様に希釈した試料を加え、室温にて1時間放置
した。Tween 20を0.05%含む生理リン酸緩衝液でプレー
トをよく洗浄した後、0.003%過酸化水素/0.1Mクエン
酸緩衝液/ABTS(2,2’−アジノ−ビス(3−エチル
ベンズチアゾリン−6−硫酸塩)を加え、405 nmにおけ
る吸光度を測定した。試料中のLPO濃度は標準LPO
濃度と吸光度との関係から算出した。
ム溶液 (1.41g/l)に溶解した以外は実施例1と同じ工程
で製造したLPO添加還元乳のLPO濃度を測定したと
ころ、2.3mg/100gであった。
ム溶液 (0.60g/l)に溶解した以外は実施例2と同じ工程
で製造してLPO添加アイスクリームを製造した。この
アイスクリームを−20℃、2週間凍結保存した後、解凍
してLPO含量を測定したところ、製品 100g当たり0.
36mgのLPOが検出された。
用、抗変異原性等の活性を保持したままPO/LPOを
加熱殺菌することができる。また、特殊な設備を必要と
しないで、簡単にしかも安価に生理機能を有する飲食品
を得ることができる。
Claims (3)
- 【請求項1】 0.1モル濃度以上の一価塩類溶液に溶解
したラクトパーオキシダーゼ水溶液を70〜80℃の温度で
加熱殺菌することを特徴とするラクトパーオキシダーゼ
の殺菌方法。 - 【請求項2】 ラクトパーオキシダーゼ水溶液のpHが3
〜9である請求項1記載のラクトパーオキシダーゼの殺
菌方法。 - 【請求項3】 ラクトパーオキシダーゼが食品添加用ラ
クトパーオキシダーゼである請求項1または2記載のラ
クトパーオキシダーゼの殺菌方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3257010A JP3020215B2 (ja) | 1991-09-09 | 1991-09-09 | パーオキシダーゼの殺菌方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3257010A JP3020215B2 (ja) | 1991-09-09 | 1991-09-09 | パーオキシダーゼの殺菌方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0568545A JPH0568545A (ja) | 1993-03-23 |
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Family
ID=17300474
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3257010A Expired - Lifetime JP3020215B2 (ja) | 1991-09-09 | 1991-09-09 | パーオキシダーゼの殺菌方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5022060B2 (ja) * | 2007-02-28 | 2012-09-12 | 森永乳業株式会社 | インターロイキン−10産生促進剤 |
JP5516950B2 (ja) | 2007-07-26 | 2014-06-11 | 国立大学法人京都大学 | 吸引器具、吸引システムおよび吸引方法 |
CN103518847A (zh) * | 2013-10-27 | 2014-01-22 | 施东德 | 一种鲜马奶 |
-
1991
- 1991-09-09 JP JP3257010A patent/JP3020215B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JPH0568545A (ja) | 1993-03-23 |
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