JP3018447B2 - 磁気記録媒体用強磁性金属粒子 - Google Patents
磁気記録媒体用強磁性金属粒子Info
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、磁気記憶媒体の磁性粉末として使用される
磁気記録媒体用強磁性金属粒子に関する。
磁気記録媒体用強磁性金属粒子に関する。
本発明は、磁気記録媒体用強磁性金属粒子の表面処理
に用いられる処理材の酸性度の指標を単純π電子近似の
分子軌道計算に基づくヘテロ原子上のπ電荷とし、その
π電荷が一定範囲である有機酸を用いて表面処理するこ
とにより、耐酸化性の向上を図ろうとするものである。
に用いられる処理材の酸性度の指標を単純π電子近似の
分子軌道計算に基づくヘテロ原子上のπ電荷とし、その
π電荷が一定範囲である有機酸を用いて表面処理するこ
とにより、耐酸化性の向上を図ろうとするものである。
近年、強磁性金属粒子として、非常に微細な粒子形状
を有するものが供給されるようになってきており、これ
を磁気記録媒体の磁性粉末に用いることで、高記録密度
化や高周波数帯域における優れた電磁変換特性が達成さ
れている。
を有するものが供給されるようになってきており、これ
を磁気記録媒体の磁性粉末に用いることで、高記録密度
化や高周波数帯域における優れた電磁変換特性が達成さ
れている。
ところで、この強磁性金属粒子は、従来より磁気記録
媒体等の磁性粉末の構成材料として使用された酸化鉄系
材料に代わり、鉄又は鉄を主体とする金属材料を用いら
れるようになっている。これらの鉄又は鉄から構成され
る強磁性金属粒子は、酸化鉄やオキシ水酸化鉄、あるい
はCo,Ni,Cr,Mn,Cu,Zn,Ti,V等の鉄以外の金属を含む酸化
鉄やオキシ水酸化鉄等を水素ガスで還元することによっ
て製造される。このような強磁性金属粒子は、従来の酸
化鉄系強磁性粉末よりも優れた磁気特性を有している。
媒体等の磁性粉末の構成材料として使用された酸化鉄系
材料に代わり、鉄又は鉄を主体とする金属材料を用いら
れるようになっている。これらの鉄又は鉄から構成され
る強磁性金属粒子は、酸化鉄やオキシ水酸化鉄、あるい
はCo,Ni,Cr,Mn,Cu,Zn,Ti,V等の鉄以外の金属を含む酸化
鉄やオキシ水酸化鉄等を水素ガスで還元することによっ
て製造される。このような強磁性金属粒子は、従来の酸
化鉄系強磁性粉末よりも優れた磁気特性を有している。
ところが、この強磁性金属粒子は、表面活性が高く、
大気中で酸化され易く、場合によっては発火を伴う虞れ
がある。このため、このような強磁性金属粒子の経時的
な磁気特性の劣化が問題となっている。例えば、強磁性
金属粒子の保存中,或いは樹脂や有機溶剤等との組み合
わせによる塗料化の工程中、さらにはポリエステルフィ
ルム等の支持体上に塗布してシート化した後、所定の雰
囲気や温度、湿度等の条件下での保管中に、主として酸
素、ある種のガス及び水分等の影響により酸化が進行す
る。その結果、磁化量の低下や場合によっては抗磁力の
低下が起こり、強磁性金属粒子は本来有する特性を損な
うことになる。
大気中で酸化され易く、場合によっては発火を伴う虞れ
がある。このため、このような強磁性金属粒子の経時的
な磁気特性の劣化が問題となっている。例えば、強磁性
金属粒子の保存中,或いは樹脂や有機溶剤等との組み合
わせによる塗料化の工程中、さらにはポリエステルフィ
ルム等の支持体上に塗布してシート化した後、所定の雰
囲気や温度、湿度等の条件下での保管中に、主として酸
素、ある種のガス及び水分等の影響により酸化が進行す
る。その結果、磁化量の低下や場合によっては抗磁力の
低下が起こり、強磁性金属粒子は本来有する特性を損な
うことになる。
この問題に対して、強磁性金属粒子の表面の安定下を
図るために、一般的には液相法、又は気相法で粒子の表
面に酸化皮膜を形成して、不動態化させる方法が行われ
ている。また、強磁性金属粒子の表面をある種の金属元
素や界面活性剤,樹脂等の有機物で覆う方法等も知られ
ている。
図るために、一般的には液相法、又は気相法で粒子の表
面に酸化皮膜を形成して、不動態化させる方法が行われ
ている。また、強磁性金属粒子の表面をある種の金属元
素や界面活性剤,樹脂等の有機物で覆う方法等も知られ
ている。
しかしながら、前述の酸化皮膜を形成する方法やある
種の金属元素や有機物で覆う方法では、耐酸化性の向上
を図る上で必ずしも十分なものとは言い難い。また、処
理の方法によっては、表面処理すること自体が磁気特性
の劣化をもたらす場合や分散性の低下をきたす虞れがあ
る。
種の金属元素や有機物で覆う方法では、耐酸化性の向上
を図る上で必ずしも十分なものとは言い難い。また、処
理の方法によっては、表面処理すること自体が磁気特性
の劣化をもたらす場合や分散性の低下をきたす虞れがあ
る。
そこで、本発明はこのような実情に鑑みて提案された
ものであって、耐酸化性に優れ、経時的劣化の少ない磁
気記録媒体用強磁性金属粒子を提供することを目的とす
る。
ものであって、耐酸化性に優れ、経時的劣化の少ない磁
気記録媒体用強磁性金属粒子を提供することを目的とす
る。
本発明者等は、上述の目的を達成せんものと鋭意研究
の結果、強磁性金属粒子の表面を一定範囲の酸性度を有
する有機酸で化学的に修飾することにより、強磁性金属
粒子の酸化の防止することができることを見出し、本発
明を完成するに至ったものである。
の結果、強磁性金属粒子の表面を一定範囲の酸性度を有
する有機酸で化学的に修飾することにより、強磁性金属
粒子の酸化の防止することができることを見出し、本発
明を完成するに至ったものである。
即ち、本願第1の発明の磁気記録媒体用強磁性金属粒
子は、強磁性金属材料または強磁性合金材料の微粒子よ
りなり、単純π電子近似の分子軌道計算に基づくヘテロ
原子上のπ電荷が+0.15から+0.5までの酸性度の有機
酸で表面処理されたことを特徴とするものである。
子は、強磁性金属材料または強磁性合金材料の微粒子よ
りなり、単純π電子近似の分子軌道計算に基づくヘテロ
原子上のπ電荷が+0.15から+0.5までの酸性度の有機
酸で表面処理されたことを特徴とするものである。
また、本願第2の発明の磁気記録媒体用強磁性金属粒
子は、強磁性金属材料または強磁性合金材料の微粒子よ
りなり、ニトロ基を有するナフトール誘導体で表面処理
されたことを特徴とするものである。
子は、強磁性金属材料または強磁性合金材料の微粒子よ
りなり、ニトロ基を有するナフトール誘導体で表面処理
されたことを特徴とするものである。
更に、本願第3の発明の磁気記録媒体用強磁性金属粒
子は、強磁性金属材料または強磁性合金材料の微粒子よ
りなり、ニトロ基を有するカテコール誘導体で表面処理
されたことを特徴とするものである。
子は、強磁性金属材料または強磁性合金材料の微粒子よ
りなり、ニトロ基を有するカテコール誘導体で表面処理
されたことを特徴とするものである。
本発明において適用される磁気記録媒体用強磁性金属
粒子の種類は何ら限定されないが、とくにFe,Co,Ni等の
強磁性金属材料や、Fe−Co,Fe−Ni,Fe−Co−Ni,Co−Ni,
Fe−Mn−Zn,Fe−Ni−Zn,Fe−Co−Ni−Cr,Fe−Co−Ni−
P,Fe−Co−B,Fe−Co−Cr−B,Fe−Co−V等のFe,Co,Niを
主成分とする各種強磁性合金材料からなる強磁性金属粒
子が好適である。
粒子の種類は何ら限定されないが、とくにFe,Co,Ni等の
強磁性金属材料や、Fe−Co,Fe−Ni,Fe−Co−Ni,Co−Ni,
Fe−Mn−Zn,Fe−Ni−Zn,Fe−Co−Ni−Cr,Fe−Co−Ni−
P,Fe−Co−B,Fe−Co−Cr−B,Fe−Co−V等のFe,Co,Niを
主成分とする各種強磁性合金材料からなる強磁性金属粒
子が好適である。
上記磁気記録媒体用強磁性金属粒子においては、種々
の特性を改善する目的でAl,Si,Ti,Cr,Mn,Ce,Zn,Mg,P等
の元素が添加されても良い。これら強磁性金属粒子の比
表面積は任意であるが、比表面積25m2/g以上、特に30m2
/g以上のものを適用し場合の有効性が大きい。
の特性を改善する目的でAl,Si,Ti,Cr,Mn,Ce,Zn,Mg,P等
の元素が添加されても良い。これら強磁性金属粒子の比
表面積は任意であるが、比表面積25m2/g以上、特に30m2
/g以上のものを適用し場合の有効性が大きい。
本発明においては、前述のような強磁性金属粒子の表
面を一定範囲の酸性度を有する有機酸によって処理す
る。
面を一定範囲の酸性度を有する有機酸によって処理す
る。
有機酸の酸性度の指標としては、酸解離定数が一般に
使用されていが、この場合、多価の有機酸等について
は、逐次解離により多段階の酸解離定数を示すので、上
記有機酸の酸性度と該有機酸により表面処理された強磁
性金属粒子の耐酸化性との相関を評価することは困難で
ある。
使用されていが、この場合、多価の有機酸等について
は、逐次解離により多段階の酸解離定数を示すので、上
記有機酸の酸性度と該有機酸により表面処理された強磁
性金属粒子の耐酸化性との相関を評価することは困難で
ある。
これに対し、本発明においては、酸として解離するプ
ロトンが結合しているヘテロ原子上のπ電荷を単純π電
子近似の分子軌道法に基づいて計算し、このπ電荷を処
理剤として用いられる有機酸の酸性度の指標として用い
る。このπ電荷は、ヘテロ原子がπ電子共役系に寄与し
ている電子の個数から電子軌道計算において得られる結
合次数マトリックスの対角項(電子密度)を差し引いた
値であり、一般にこの正の値が大きいほど強い酸性であ
ることを意味する。このように、有機酸の酸性度の指標
として上記π電荷を用いれば、例えばカテコール等の2
価以上の有機酸についても、酸性度を1つのパラメータ
で表すことが可能となり、逐次酸解離による複数の酸解
離定数を用いる煩雑さがなくなる。従って、有機酸の酸
性度と該有機酸により表面処理された強磁性金属粒子の
耐酸化性との相関を容易に評価することが可能となる。
ロトンが結合しているヘテロ原子上のπ電荷を単純π電
子近似の分子軌道法に基づいて計算し、このπ電荷を処
理剤として用いられる有機酸の酸性度の指標として用い
る。このπ電荷は、ヘテロ原子がπ電子共役系に寄与し
ている電子の個数から電子軌道計算において得られる結
合次数マトリックスの対角項(電子密度)を差し引いた
値であり、一般にこの正の値が大きいほど強い酸性であ
ることを意味する。このように、有機酸の酸性度の指標
として上記π電荷を用いれば、例えばカテコール等の2
価以上の有機酸についても、酸性度を1つのパラメータ
で表すことが可能となり、逐次酸解離による複数の酸解
離定数を用いる煩雑さがなくなる。従って、有機酸の酸
性度と該有機酸により表面処理された強磁性金属粒子の
耐酸化性との相関を容易に評価することが可能となる。
なお、2価以上の有機酸のように解離するプロトンが
直接結合しているヘテロ原子が複数存在する場合におい
ては、酸性度の大きい方を指標として採用する。これ
は、酸性度が等価な有機酸においても、一般的には第一
解離が第二解離よりも数値が大きいことから判断され
る。
直接結合しているヘテロ原子が複数存在する場合におい
ては、酸性度の大きい方を指標として採用する。これ
は、酸性度が等価な有機酸においても、一般的には第一
解離が第二解離よりも数値が大きいことから判断され
る。
このように単純π電子近似の分子軌道法に基づいて計
算されるπ電荷と有機酸による表面処理後2週間を経た
強磁性金属粒子の飽和磁化σsの低下率δσsの関係を
第1図に示す。なお、飽和磁化σsの低下率δσsは、
次式(I) (但し、(1)式中、σs0は表面処理直後の飽和磁化を
表し、σs1は処理後2週間を経た時の飽和磁化を表
す。)で表される値である。
算されるπ電荷と有機酸による表面処理後2週間を経た
強磁性金属粒子の飽和磁化σsの低下率δσsの関係を
第1図に示す。なお、飽和磁化σsの低下率δσsは、
次式(I) (但し、(1)式中、σs0は表面処理直後の飽和磁化を
表し、σs1は処理後2週間を経た時の飽和磁化を表
す。)で表される値である。
第1図に示すように、強磁性金属粒子の酸化に由来す
る飽和磁化の経時的劣化は、有機酸のヘテロ原子上のπ
電荷に依存していることが明らかである。即ち、上記π
電荷が高くなるにつれて経時による飽和磁化σsの低下
率δσsは減少し、上記π電荷がある一定の値を越える
と逆にπ電荷の増加にともなって飽和磁化σsの低下率
δσsが増加する傾向にある。そこで、このπ電荷で示
される有機酸の酸性度を規定することにより、飽和磁化
σsの低下率δσsが抑えられ、強磁性金属粒子の耐酸
化性を改善することが可能となる。
る飽和磁化の経時的劣化は、有機酸のヘテロ原子上のπ
電荷に依存していることが明らかである。即ち、上記π
電荷が高くなるにつれて経時による飽和磁化σsの低下
率δσsは減少し、上記π電荷がある一定の値を越える
と逆にπ電荷の増加にともなって飽和磁化σsの低下率
δσsが増加する傾向にある。そこで、このπ電荷で示
される有機酸の酸性度を規定することにより、飽和磁化
σsの低下率δσsが抑えられ、強磁性金属粒子の耐酸
化性を改善することが可能となる。
ここで、処理剤による表面処理を施さない強磁性金属
粒子における2週間後の飽和磁化σsの低下率δσsは
10.06%であり、この値と第1図に示す相関曲線の接点
のπ電荷は約+0.1であることから、耐酸化性の向上を
図るためには、上記π電荷を約+0.1以上とすることが
必要である。
粒子における2週間後の飽和磁化σsの低下率δσsは
10.06%であり、この値と第1図に示す相関曲線の接点
のπ電荷は約+0.1であることから、耐酸化性の向上を
図るためには、上記π電荷を約+0.1以上とすることが
必要である。
このことから、処理剤として使用する有機酸の酸性度
は、ヘテロ原子上のπ電荷が+0.1から+0.7までである
ことが好ましく、+0.15から+0.5までであることがよ
り好ましい。ヘテロ原子上のπ電荷が+0.15から+0.5
である有機酸を処理剤とすれば、飽和磁化σsの低下率
δσsを半減させることができる。これに対して、有機
酸の酸性度が上記範囲を下回ると、耐酸化性に対する効
果がない。逆に有機酸の酸性度が上記範囲を越えると、
強磁性金属粒子の表面を破壊し、飽和磁化の劣化をもた
らす虞れがある。
は、ヘテロ原子上のπ電荷が+0.1から+0.7までである
ことが好ましく、+0.15から+0.5までであることがよ
り好ましい。ヘテロ原子上のπ電荷が+0.15から+0.5
である有機酸を処理剤とすれば、飽和磁化σsの低下率
δσsを半減させることができる。これに対して、有機
酸の酸性度が上記範囲を下回ると、耐酸化性に対する効
果がない。逆に有機酸の酸性度が上記範囲を越えると、
強磁性金属粒子の表面を破壊し、飽和磁化の劣化をもた
らす虞れがある。
このような有機酸としては、前記π電荷の値を満たす
ものであればいかなるものであっても良いが、例えばフ
タルイミド系誘導体、カテコール系誘導体、2,3−ナフ
タレンジオール系誘導体、フタルヒドラジド系誘導体等
が使用可能である。
ものであればいかなるものであっても良いが、例えばフ
タルイミド系誘導体、カテコール系誘導体、2,3−ナフ
タレンジオール系誘導体、フタルヒドラジド系誘導体等
が使用可能である。
これら有機酸においては、ベンゼン骨格に適当な有機
置換基を導入することにより、処理剤としての酸性度を
良好に調節することが可能である。上記有機置換基とし
ては、例えば第1表に示すような各種有機置換基が挙げ
られ、適宜選択して導入すれば良い。ここで、一例とし
て、有機置換基のパラ位とメタ位におけるフェノールの
酸性度への置換基効果を第1表に示す。
置換基を導入することにより、処理剤としての酸性度を
良好に調節することが可能である。上記有機置換基とし
ては、例えば第1表に示すような各種有機置換基が挙げ
られ、適宜選択して導入すれば良い。ここで、一例とし
て、有機置換基のパラ位とメタ位におけるフェノールの
酸性度への置換基効果を第1表に示す。
具体的には、ナフトール誘導体やカテコール誘導体に
電子吸引性の高いニトロ基を導入すると、高い防錆能が
期待できる。これは、ナフトール誘導体やカテコール誘
導体の酸性度の値が処理剤としての最適値よりも低いの
に対して、ニトロ基を導入することにより、酸性度が増
大して、最適な酸性度に調節することができるためであ
る。
電子吸引性の高いニトロ基を導入すると、高い防錆能が
期待できる。これは、ナフトール誘導体やカテコール誘
導体の酸性度の値が処理剤としての最適値よりも低いの
に対して、ニトロ基を導入することにより、酸性度が増
大して、最適な酸性度に調節することができるためであ
る。
ニトロ基を有するナフトール誘導体としては、少なく
とも1以上、7以下のニトロ基を有し、且つ1以上、7
以下の水酸基を有する化合物が好ましい。また、水酸基
が2以上存在する場合には、2つの水酸基が1,2位、も
しくは2,3位にオルト型で導入されていることが好まし
い。
とも1以上、7以下のニトロ基を有し、且つ1以上、7
以下の水酸基を有する化合物が好ましい。また、水酸基
が2以上存在する場合には、2つの水酸基が1,2位、も
しくは2,3位にオルト型で導入されていることが好まし
い。
このような化合物として、具体的に例示すれば、1,5
−ジニトロ−2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,4−ジニ
トロ−1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,4−ジニトロ−
1,7−ジヒドロキシナフタレン、5−ニトロ−2,3−ジヒ
ドロキシナフタレン、2,4,6−トリニトロ−5−アセチ
ル−1−ナフトール等が挙げられる。これら化合物は、
それぞれ次式(1)〜(5)で表される。
−ジニトロ−2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,4−ジニ
トロ−1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,4−ジニトロ−
1,7−ジヒドロキシナフタレン、5−ニトロ−2,3−ジヒ
ドロキシナフタレン、2,4,6−トリニトロ−5−アセチ
ル−1−ナフトール等が挙げられる。これら化合物は、
それぞれ次式(1)〜(5)で表される。
また、ニトロ基を有するカテコール誘導体としては、
少なくとも1以上、4以下のニトロ基を有する化合物が
好ましい。
少なくとも1以上、4以下のニトロ基を有する化合物が
好ましい。
このような化合物として、具体的に例示すれば、3−
ニトロピロカテコール、4−ニトロピロカテコール、3,
4−ジニトロピロカテコール、4,5−ジニトロピロカテコ
ール、3,5−ジニトロピロカテコール、3,6−ジニトロピ
ロカテコール、3,4,5−トリニトロピロカテコール、3,
5,6−トリニトロピロカテコール、3,4,5,6−テトラニト
ロピロカテコール等が挙げられる。これら化合物は、そ
れぞれ次式(6)〜(14)で表される。
ニトロピロカテコール、4−ニトロピロカテコール、3,
4−ジニトロピロカテコール、4,5−ジニトロピロカテコ
ール、3,5−ジニトロピロカテコール、3,6−ジニトロピ
ロカテコール、3,4,5−トリニトロピロカテコール、3,
5,6−トリニトロピロカテコール、3,4,5,6−テトラニト
ロピロカテコール等が挙げられる。これら化合物は、そ
れぞれ次式(6)〜(14)で表される。
上述の化合物のヘテロ原子上のπ電荷は、何れも前述
の範囲(+0.15〜+0.5)を満足するものであり、優れ
た耐酸化性を発揮する。
の範囲(+0.15〜+0.5)を満足するものであり、優れ
た耐酸化性を発揮する。
なお、各種有機酸におけるヘテロ原子上のπ電子を単
純π電子近似の分子軌道法に基づいて計算する際に必要
なパラメータ(ヘテロ原子のクーロン積分の変化量δα
X/β,ヘテロ原子に隣接した炭素原子のクーロン積分の
変化量δαC-X/β,ヘテロ原子と隣接炭素原子間の共鳴
積分βC-X)は第2表に示す通りである。
純π電子近似の分子軌道法に基づいて計算する際に必要
なパラメータ(ヘテロ原子のクーロン積分の変化量δα
X/β,ヘテロ原子に隣接した炭素原子のクーロン積分の
変化量δαC-X/β,ヘテロ原子と隣接炭素原子間の共鳴
積分βC-X)は第2表に示す通りである。
上記有機酸により強磁性金属粒子を表面処理する方法
としては、例えば上記有機酸を有機溶媒に溶解させた処
理液中に強磁性金属粒子を浸漬する,いわゆる浸漬法が
挙げられる。この場合、上記有機酸の溶媒としては、特
に限定されないが、水、エタノール等のアルコール系溶
媒、アセトン等のケトン系溶媒、トルエン等の芳香族系
溶媒等がいずれも使用可能である。
としては、例えば上記有機酸を有機溶媒に溶解させた処
理液中に強磁性金属粒子を浸漬する,いわゆる浸漬法が
挙げられる。この場合、上記有機酸の溶媒としては、特
に限定されないが、水、エタノール等のアルコール系溶
媒、アセトン等のケトン系溶媒、トルエン等の芳香族系
溶媒等がいずれも使用可能である。
上記有機酸の強磁性金属粒子に対する被着量として
は、強磁性金属粒子100重量部に対して0.03〜30重量部
であることが好ましく、0.1〜10重量部であることがよ
り好ましい。前記範囲を越えて上記有機酸が過剰に存在
してもその効果は変わらず、過剰分が無駄になる。ま
た、あまり過剰に被着しておくと、磁気記録媒体の磁性
塗膜の物性に悪影響を及ぼす虞れもある。逆に、前記範
囲を下回ると,即ち0.03重量部未満であると、効果が不
足して十分な経時安定性は得られない。
は、強磁性金属粒子100重量部に対して0.03〜30重量部
であることが好ましく、0.1〜10重量部であることがよ
り好ましい。前記範囲を越えて上記有機酸が過剰に存在
してもその効果は変わらず、過剰分が無駄になる。ま
た、あまり過剰に被着しておくと、磁気記録媒体の磁性
塗膜の物性に悪影響を及ぼす虞れもある。逆に、前記範
囲を下回ると,即ち0.03重量部未満であると、効果が不
足して十分な経時安定性は得られない。
本発明の磁気記録媒体用強磁性金属粒子は、樹脂結合
剤や有機溶剤、各種添加剤とともに混練して磁性塗料と
することができ、この磁性塗料を非磁性支持体上に塗布
することにより磁気記録媒体が作製される。この場合、
樹脂結合剤や有機溶剤、各種添加剤としては、通常の磁
気記録媒体に用いられるものがいずれも使用可能であ
り、配合比等も通常の磁気記録媒体の場合に準じて設定
される。
剤や有機溶剤、各種添加剤とともに混練して磁性塗料と
することができ、この磁性塗料を非磁性支持体上に塗布
することにより磁気記録媒体が作製される。この場合、
樹脂結合剤や有機溶剤、各種添加剤としては、通常の磁
気記録媒体に用いられるものがいずれも使用可能であ
り、配合比等も通常の磁気記録媒体の場合に準じて設定
される。
金属と錯形成する典型的な化合物である2,2′−ビピ
リジルや9,10−フェナンスロリンによる強磁性金属粒子
の表面処理では、強磁性金属粒子の表面にこれらの化合
物が多量に吸着するにもかかわらず、飽和磁化率の保持
率は未処理の場合とほぼ同程度であり、耐酸化性の効果
が全く発現しない。これに対して、本発明において使用
される一定範囲の酸性度を有する有機酸は、処理反応に
伴って水を生成していることが確認された。このこと
は、処理剤と強磁性金属粒子表面との吸着反応が脱水型
であり、処理剤としての有機酸のヘテロ原子と強磁性金
属粒子の表面(例えば鉄)とが直接結合する構造をとっ
ていることを示唆するものである。
リジルや9,10−フェナンスロリンによる強磁性金属粒子
の表面処理では、強磁性金属粒子の表面にこれらの化合
物が多量に吸着するにもかかわらず、飽和磁化率の保持
率は未処理の場合とほぼ同程度であり、耐酸化性の効果
が全く発現しない。これに対して、本発明において使用
される一定範囲の酸性度を有する有機酸は、処理反応に
伴って水を生成していることが確認された。このこと
は、処理剤と強磁性金属粒子表面との吸着反応が脱水型
であり、処理剤としての有機酸のヘテロ原子と強磁性金
属粒子の表面(例えば鉄)とが直接結合する構造をとっ
ていることを示唆するものである。
従って、一定範囲の酸性度を有する有機酸による表面
処理においては、その撥水性により耐酸化性の効果が得
られるのではなく、強磁性金属粒子の表面に存在するFe
−OHと有機酸としての処理剤とがイオン性の強い結合を
形成し、この結合形成のポテンシャルが内部構造に影響
を与え、耐酸化性に向上に寄与すると考えられる。
処理においては、その撥水性により耐酸化性の効果が得
られるのではなく、強磁性金属粒子の表面に存在するFe
−OHと有機酸としての処理剤とがイオン性の強い結合を
形成し、この結合形成のポテンシャルが内部構造に影響
を与え、耐酸化性に向上に寄与すると考えられる。
即ち、強磁性金属粒子を一定範囲の酸性度を有する有
機酸によって表面処理すると、前記有機酸と強磁性金属
粒子の表面が脱水反応を起こし、強磁性金属粒子の表面
に前記有機酸の被膜が形成される。この有機酸の被膜に
よって強磁性金属粒子の保存中,強磁性金属粒子を含む
磁性塗料の調製中,及び磁気記録媒体の保管中等に進行
する強磁性金属粒子の表面の酸化反応が防止される。
機酸によって表面処理すると、前記有機酸と強磁性金属
粒子の表面が脱水反応を起こし、強磁性金属粒子の表面
に前記有機酸の被膜が形成される。この有機酸の被膜に
よって強磁性金属粒子の保存中,強磁性金属粒子を含む
磁性塗料の調製中,及び磁気記録媒体の保管中等に進行
する強磁性金属粒子の表面の酸化反応が防止される。
以下、本発明を具体的な実施例により説明するが、本
発明がこの実施例に限定されるものでないことは言うま
でもない。
発明がこの実施例に限定されるものでないことは言うま
でもない。
実験例1 本実験においては、強磁性金属粒子の処理剤としてフ
タルイミド及びその誘導体を用いた。これら化合物は、
下記の構造式で表される。なお、フタルイミド及びその
誘導体の酸性度は、解離するプロトンが直接結合してい
る窒素原子(矢印で示す。)上のπ電荷により評価し
た。π電荷は構造式に併記した通りである。
タルイミド及びその誘導体を用いた。これら化合物は、
下記の構造式で表される。なお、フタルイミド及びその
誘導体の酸性度は、解離するプロトンが直接結合してい
る窒素原子(矢印で示す。)上のπ電荷により評価し
た。π電荷は構造式に併記した通りである。
上記構造式と該構造式で表されるフタルイミド及びそ
の誘導体の上記窒素原子上のπ電荷の値を見比べると、
上記π電荷はベンゼン環に導入された有機置換基の種類
や置換位置によって変化することが判る。
の誘導体の上記窒素原子上のπ電荷の値を見比べると、
上記π電荷はベンゼン環に導入された有機置換基の種類
や置換位置によって変化することが判る。
そこで、このようなπ電荷と処理剤としてのフタルイ
ミド及びその誘導体の耐酸化能との関係を調べるため
に、以下の実験を行った。
ミド及びその誘導体の耐酸化能との関係を調べるため
に、以下の実験を行った。
先ず、上記化合物の2.5×10-3mol/エタノール溶液5
0mlに、それぞれ微細な強磁性金属粒子2.5gを加えて、
約30分間超音波照射を行った。その後、約12時間放置
し、膜フィルターを用いて強磁性金属粒子を濾過し、物
理吸着した化合物を除去するためにエタノールで繰り返
し洗浄し乾燥させて処理粉末を得た。
0mlに、それぞれ微細な強磁性金属粒子2.5gを加えて、
約30分間超音波照射を行った。その後、約12時間放置
し、膜フィルターを用いて強磁性金属粒子を濾過し、物
理吸着した化合物を除去するためにエタノールで繰り返
し洗浄し乾燥させて処理粉末を得た。
得られた処理粉末を湿度60%、温度60℃の条件下にて
2週間放置し、飽和磁化σsの低下率δσsを調べた。
2週間放置し、飽和磁化σsの低下率δσsを調べた。
その結果、上記窒素原子上のπ電荷と飽和磁化σsの
低下率δσsは、第1図に示すような相関を示すことが
判った。また、フタルイミドに対してOCH3基やNH2基を
導入すれば、上記窒素原子上のπ電荷が調節され、好適
な酸性度を有する処理剤が得られ、強磁性金属粒子の飽
和磁化σsの低下率δσsが抑えられることが判った。
低下率δσsは、第1図に示すような相関を示すことが
判った。また、フタルイミドに対してOCH3基やNH2基を
導入すれば、上記窒素原子上のπ電荷が調節され、好適
な酸性度を有する処理剤が得られ、強磁性金属粒子の飽
和磁化σsの低下率δσsが抑えられることが判った。
実験例2 本実験においては、処理剤としてフタルヒドラジド及
びその誘導体を用いた。なお、フタルイミド及びその誘
導体の酸性度は、解離するプロトンが直接結合している
窒素原子(矢印で示す。)上のπ電荷により評価した。
これら化合物の構造式及び上記窒素原子上のπ電荷は以
下に示す通りである。
びその誘導体を用いた。なお、フタルイミド及びその誘
導体の酸性度は、解離するプロトンが直接結合している
窒素原子(矢印で示す。)上のπ電荷により評価した。
これら化合物の構造式及び上記窒素原子上のπ電荷は以
下に示す通りである。
上記構造式で表されるフタルヒドラジド及びその誘導
体の上記π電荷の値は、ベンゼン環に導入された有機置
換基の種類や置換位置によって変化することが判る。
体の上記π電荷の値は、ベンゼン環に導入された有機置
換基の種類や置換位置によって変化することが判る。
そこで、上記実験例1と同様にしてこれらフタルヒド
ラジド及びその誘導体により強磁性金属粒子の表面処理
を行って、2週間放置後の強磁性金属粒子の飽和磁化σ
sの低下率δσsを調べた。
ラジド及びその誘導体により強磁性金属粒子の表面処理
を行って、2週間放置後の強磁性金属粒子の飽和磁化σ
sの低下率δσsを調べた。
その結果、上記窒素原子上のπ電荷の変化に伴い、第
1図に示すように飽和磁化σsの低下率δσsが変化す
ることが判った。また、フタルヒドラジドに対してOCH3
基やNH2基を導入することにより、上記窒素原子上のπ
電荷の値が改善されて、良好な結果が得られた。
1図に示すように飽和磁化σsの低下率δσsが変化す
ることが判った。また、フタルヒドラジドに対してOCH3
基やNH2基を導入することにより、上記窒素原子上のπ
電荷の値が改善されて、良好な結果が得られた。
実験例3 本実験においては、処理剤としてピロカテコール及び
その誘導体を用いた。なお、ピロカテコール及びその誘
導体の酸性度は、解離するプロトンが直接結合している
酸素原子(矢印で示す。)上のπ電荷により評価した。
これら化合物の構造式及び上記酸素原子上のπ電荷は以
下に示す通りである。
その誘導体を用いた。なお、ピロカテコール及びその誘
導体の酸性度は、解離するプロトンが直接結合している
酸素原子(矢印で示す。)上のπ電荷により評価した。
これら化合物の構造式及び上記酸素原子上のπ電荷は以
下に示す通りである。
上記構造式で表されるピロカテコール及びその誘導体
の上記π電荷の値は、ベンゼン環に導入された有機置換
基の種類や置換位置によって変化することが判る。
の上記π電荷の値は、ベンゼン環に導入された有機置換
基の種類や置換位置によって変化することが判る。
そこで、上記実験例1と同様にしてこれらピロカテコ
ール及びその誘導体の上記π電荷と、これらピロカテコ
ール及びその誘導体により表面処理された強磁性金属粒
子の2週間放置後の飽和磁化σsの低下率δσsとの関
係を調べた。
ール及びその誘導体の上記π電荷と、これらピロカテコ
ール及びその誘導体により表面処理された強磁性金属粒
子の2週間放置後の飽和磁化σsの低下率δσsとの関
係を調べた。
その結果、上記酸素原子上のπ電荷と飽和磁化σsの
低下率δσsは、第1図に示すような相関を示すことが
確認された。また、ピロカテコールに電子吸引性の高い
NO2基を導入すると、上記酸素原子上のπ電荷が増大し
て処理剤としての酸性度が好適となり、優れた耐酸化性
が発現する。特に、NO2基を各水酸基に対してメタ位に
導入した化合物(4,5−ジニトロピロカテコール)で
は、極めて良好な耐酸化性が得られた。
低下率δσsは、第1図に示すような相関を示すことが
確認された。また、ピロカテコールに電子吸引性の高い
NO2基を導入すると、上記酸素原子上のπ電荷が増大し
て処理剤としての酸性度が好適となり、優れた耐酸化性
が発現する。特に、NO2基を各水酸基に対してメタ位に
導入した化合物(4,5−ジニトロピロカテコール)で
は、極めて良好な耐酸化性が得られた。
実験例4 本実験においては、処理剤として2,3−ナフタレンジ
オール及びその誘導体を用いた。なお、2,3−ナフタレ
ンジオール及びその誘導体の酸性度は、解離するプロト
ンが直接結合している酸素原子(矢印で示す。)上のπ
電荷により評価した。これら化合物の構造式及び上記酸
素原子上のπ電荷は以下に示す通りである。
オール及びその誘導体を用いた。なお、2,3−ナフタレ
ンジオール及びその誘導体の酸性度は、解離するプロト
ンが直接結合している酸素原子(矢印で示す。)上のπ
電荷により評価した。これら化合物の構造式及び上記酸
素原子上のπ電荷は以下に示す通りである。
上記構造式で表される2,3−ナフタレンジオール及び
その誘導体の上記π電荷の値は、ナフタレン環に導入さ
れた有機置換基の種類や置換位置によって変化すること
が判る。
その誘導体の上記π電荷の値は、ナフタレン環に導入さ
れた有機置換基の種類や置換位置によって変化すること
が判る。
そこで、上記実験例1と同様にしてこれら2,3−ナフ
タレンジオール及びその誘導体の上記π電荷と、これら
2,3−ナフタレンジオール及びその誘導体により表面処
理された強磁性金属粒子の耐酸化性との関係を調べた。
タレンジオール及びその誘導体の上記π電荷と、これら
2,3−ナフタレンジオール及びその誘導体により表面処
理された強磁性金属粒子の耐酸化性との関係を調べた。
その結果、これらの化合物においても、上記酸素原子
上のπ電荷と飽和磁化σsの低下率δσsの間に第1図
に示すような関係が成立することが確認された。また、
2,3−ナフタレンジオールにNO2基を導入することによ
り、上記酸素原子上のπ電荷を適度な値に調節すること
ができ、強磁性金属粒子の耐酸化性が向上した。
上のπ電荷と飽和磁化σsの低下率δσsの間に第1図
に示すような関係が成立することが確認された。また、
2,3−ナフタレンジオールにNO2基を導入することによ
り、上記酸素原子上のπ電荷を適度な値に調節すること
ができ、強磁性金属粒子の耐酸化性が向上した。
以上の検討結果をもとに、特に良好な結果を示したニ
トロ基を有する2,3−ジヒドロキシナフタレン及びニト
ロ基を有するピロカテコールについて、さらに多種類の
化合物について検討を加えた。
トロ基を有する2,3−ジヒドロキシナフタレン及びニト
ロ基を有するピロカテコールについて、さらに多種類の
化合物について検討を加えた。
実験例5 本実験においては、処理剤として2,3−ジヒドロキシ
ナフタレン及び5種類のニトロ基を有するナフトール誘
導体を用いた。これら化合物の酸性度は、解離するプロ
トンが直接結合している酸素原子上のπ電荷により評価
した。この酸素原子上のπ電荷は第3表に示す通りであ
る。
ナフタレン及び5種類のニトロ基を有するナフトール誘
導体を用いた。これら化合物の酸性度は、解離するプロ
トンが直接結合している酸素原子上のπ電荷により評価
した。この酸素原子上のπ電荷は第3表に示す通りであ
る。
なお、2,4−ジニトロ−1,5−ジヒドロキシナフタレン
や2,4−ジニトロ−1,7−ジヒドロキシナフタレン、5−
ニトロ−2,3−ジヒドロキシナフタレンの酸性度を評価
する際、2つの水酸基のπ電荷が異なる場合には、π電
荷の値の大きい方を採用した。これは、全く等価な水酸
基が2つ存在する場合においても、一般的には第一解離
が第二解離より大きい値となることから判断される。
や2,4−ジニトロ−1,7−ジヒドロキシナフタレン、5−
ニトロ−2,3−ジヒドロキシナフタレンの酸性度を評価
する際、2つの水酸基のπ電荷が異なる場合には、π電
荷の値の大きい方を採用した。これは、全く等価な水酸
基が2つ存在する場合においても、一般的には第一解離
が第二解離より大きい値となることから判断される。
第3表に示すように、2,3−ジヒドロキシナフタレン
の処理剤としての酸性度は低いのに対して、電気吸引性
の高いニトロ基が導入されたナフトール誘導体は、上記
酸素原子上のπ電荷が2,3−ジヒドロキシナフタレンよ
り大きく、処理剤として好適な酸性度を有している。
の処理剤としての酸性度は低いのに対して、電気吸引性
の高いニトロ基が導入されたナフトール誘導体は、上記
酸素原子上のπ電荷が2,3−ジヒドロキシナフタレンよ
り大きく、処理剤として好適な酸性度を有している。
これら化合物により表面処理された強磁性金属粒子の
磁気特性の経時変化を調べるために、以下の実験を行っ
た。
磁気特性の経時変化を調べるために、以下の実験を行っ
た。
即ち、上記化合物の2.5×10-3mol/エタノール溶液5
0mlに、それぞれ微細な強磁性金属粒子2.5gを加えて、
約8時間放置した。その後、膜フィルターを用いて上記
強磁性金属粒子を濾過し、物理吸着した化合物を除去す
るためにエタノールで繰り返し洗浄した。そして、温度
を30℃として約8時間真空乾燥させて処理粉末を得た。
0mlに、それぞれ微細な強磁性金属粒子2.5gを加えて、
約8時間放置した。その後、膜フィルターを用いて上記
強磁性金属粒子を濾過し、物理吸着した化合物を除去す
るためにエタノールで繰り返し洗浄した。そして、温度
を30℃として約8時間真空乾燥させて処理粉末を得た。
得られた処理粉末について、乾燥直後の抗磁力Hc,飽
和磁化σsをそれぞれ測定した。そして、湿度90%、温
度60℃に保持した恒温恒湿槽中で2週間放置した後、抗
磁力Hc,飽和磁化σsを測定した。
和磁化σsをそれぞれ測定した。そして、湿度90%、温
度60℃に保持した恒温恒湿槽中で2週間放置した後、抗
磁力Hc,飽和磁化σsを測定した。
なお、比較用として、表面処理を行わずメタノールに
よる洗浄した後、乾燥させた強磁性金属粒子についても
上述の方法により磁気特性の経時変化を調べた。その結
果を第4表に示す。
よる洗浄した後、乾燥させた強磁性金属粒子についても
上述の方法により磁気特性の経時変化を調べた。その結
果を第4表に示す。
第4表より、ニトロ基を有するナフトール誘導体を用
いた場合では、抗磁力Hcや飽和磁化σsの経時的劣化が
少ないことが明らかにされた。従って、ナフトール誘導
体に電気吸引性の高いニトロ基を導入すると、処理剤と
しての酸性度が好適な値になり、強磁性金属粒子の耐酸
化性を著しく向上させることができる。
いた場合では、抗磁力Hcや飽和磁化σsの経時的劣化が
少ないことが明らかにされた。従って、ナフトール誘導
体に電気吸引性の高いニトロ基を導入すると、処理剤と
しての酸性度が好適な値になり、強磁性金属粒子の耐酸
化性を著しく向上させることができる。
また、5−ニトロ−2,3−ジヒドロキシナフタレンや
2,4,6−トリニトロ−5−アセチル−1−ナフトールに
おいて、優れた結果が得られた。これは、処理剤として
の酸性度だけでなく、強磁性金属粒子表面に吸着する際
の処理剤の単位分子当たりの占有断面積が大きいことに
起因するものと考えられる。
2,4,6−トリニトロ−5−アセチル−1−ナフトールに
おいて、優れた結果が得られた。これは、処理剤として
の酸性度だけでなく、強磁性金属粒子表面に吸着する際
の処理剤の単位分子当たりの占有断面積が大きいことに
起因するものと考えられる。
実験例6 本実験においては、処理剤としてピロカテコール及び
4−ニトロピロカテコール、3,4−ジニトロピロカテコ
ール、4,5−ジニトロピロカテコールを用いた。これら
化合物の酸性度は、解離するプロトンが直接結合してい
る酸素原子上のπ電荷により評価した。この酸素原子上
のπ電荷は第5表に示す通りである。
4−ニトロピロカテコール、3,4−ジニトロピロカテコ
ール、4,5−ジニトロピロカテコールを用いた。これら
化合物の酸性度は、解離するプロトンが直接結合してい
る酸素原子上のπ電荷により評価した。この酸素原子上
のπ電荷は第5表に示す通りである。
なお、軸対称性の存在しない4−ニトロピロカテコー
ルや3,4−ジニトロピロカテコールは、水酸基の位置に
よってその水酸基におけるπ電荷が異なるが、この場合
には、上述と同様の根拠に基づき、π電荷の値の大きい
方を採用した。
ルや3,4−ジニトロピロカテコールは、水酸基の位置に
よってその水酸基におけるπ電荷が異なるが、この場合
には、上述と同様の根拠に基づき、π電荷の値の大きい
方を採用した。
第5表に示すように、ピロカテコールの処理剤として
の酸性度は低いのに対して、電気吸引性の高いニトロ基
が導入されたピロカテコール誘導体においては、上記酸
素原子上のπ電荷が改善されており、処理剤として好適
な酸性度を示している。
の酸性度は低いのに対して、電気吸引性の高いニトロ基
が導入されたピロカテコール誘導体においては、上記酸
素原子上のπ電荷が改善されており、処理剤として好適
な酸性度を示している。
これら化合物により表面処理された強磁性金属粒子の
磁気特性の経時変化を調べるために、上記実験例5と同
様にして処理粉末を作製した後、恒温恒湿槽中で2週間
放置して、乾燥直後と2週間放置後の抗磁力Hc,飽和磁
化σsを測定した。その結果を第6表に示す。
磁気特性の経時変化を調べるために、上記実験例5と同
様にして処理粉末を作製した後、恒温恒湿槽中で2週間
放置して、乾燥直後と2週間放置後の抗磁力Hc,飽和磁
化σsを測定した。その結果を第6表に示す。
第6表に示すように、ピロカテコールを用いた場合と
の比較から、ニトロ基を有するピロカテコール誘導体で
は、抗磁力Hcや飽和磁化σsの経時的劣化が極めて少な
いことが判った。これは、ピロカテコールにニトロ基を
導入することにより、処理剤としての酸性度が好適とな
り、耐酸化性が向上したことを示唆している。
の比較から、ニトロ基を有するピロカテコール誘導体で
は、抗磁力Hcや飽和磁化σsの経時的劣化が極めて少な
いことが判った。これは、ピロカテコールにニトロ基を
導入することにより、処理剤としての酸性度が好適とな
り、耐酸化性が向上したことを示唆している。
上述のように、本発明では、強磁性金属粒子の表面を
所定の酸性度を有する有機産により表面処理しているの
で、強磁性金属粒子の酸化が防止され、耐酸化性に優れ
た強磁性金属粒子を提供することができる。
所定の酸性度を有する有機産により表面処理しているの
で、強磁性金属粒子の酸化が防止され、耐酸化性に優れ
た強磁性金属粒子を提供することができる。
また、本発明の磁気記録媒体用強磁性金属粒子は良好
な耐酸化性を有しているので、この強磁性金属粒子を磁
性粉末として用いれば、磁気特性の経時安定性,保存安
定性に優れた高品位な磁気記憶媒体を製造することがで
きる。
な耐酸化性を有しているので、この強磁性金属粒子を磁
性粉末として用いれば、磁気特性の経時安定性,保存安
定性に優れた高品位な磁気記憶媒体を製造することがで
きる。
第1図は有機酸のヘテロ原子上のπ電荷と表面処理後2
時間を経た強磁性金属粒子の飽和磁化σsの低下率δσ
sの関係を示す特性図である。
時間を経た強磁性金属粒子の飽和磁化σsの低下率δσ
sの関係を示す特性図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 春夫 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22F 1/00 B22F 1/02
Claims (3)
- 【請求項1】強磁性金属材料または強磁性合金材料の微
粒子よりなり、 単純π電子近似の分子軌道計算に基づくヘテロ原子上の
π電荷が+0.15から+0.5までの酸性度の有機酸で表面
処理されたことを特徴とする磁気記録媒体用強磁性金属
粒子。 - 【請求項2】強磁性金属材料または強磁性合金材料の微
粒子よりなり、 ニトロ基を有するナフトール誘導体で表面処理されたこ
とを特徴とする磁気記録媒体用強磁性金属粒子。 - 【請求項3】強磁性金属材料または強磁性合金材料の微
粒子よりなり、 ニトロ基を有するカテコール誘導体で表面処理されたこ
とを特徴とする磁気記録媒体用強磁性金属粒子。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21722690 | 1990-08-20 | ||
JP2-217226 | 1990-08-20 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04176017A JPH04176017A (ja) | 1992-06-23 |
JP3018447B2 true JP3018447B2 (ja) | 2000-03-13 |
Family
ID=16700825
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP02248876A Expired - Fee Related JP3018447B2 (ja) | 1990-08-20 | 1990-09-20 | 磁気記録媒体用強磁性金属粒子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3018447B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9844789B2 (en) | 2010-12-27 | 2017-12-19 | Nhk Spring Co., Ltd. | Method of forming lubricative plated layer on viscous liquid feed nozzle and viscous liquid feed nozzle |
-
1990
- 1990-09-20 JP JP02248876A patent/JP3018447B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9844789B2 (en) | 2010-12-27 | 2017-12-19 | Nhk Spring Co., Ltd. | Method of forming lubricative plated layer on viscous liquid feed nozzle and viscous liquid feed nozzle |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04176017A (ja) | 1992-06-23 |
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Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |