JP3017773B2 - エンドセリン認識モノクローナル抗体、該抗体産生ハイブリドーマおよび該抗体を用いるエンドセリンのラジオイムノアッセイ - Google Patents

エンドセリン認識モノクローナル抗体、該抗体産生ハイブリドーマおよび該抗体を用いるエンドセリンのラジオイムノアッセイ

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、エンドセリン認識モノクローナル抗体、該
抗体産生ハイブリドーマおよび該抗体を用いるエンドセ
リンのラジオイムノアッセイ(以下、RIAともいう)に
関する。
[従来の技術] エンドセリン(以下、ETともいう)はブタ大動脈内皮
細胞の培養培地より精製された21個のアミノ酸残基より
なる新しいペプチドである(ヤナギサワら、ネイチャー
(Nature)、332、411〜415頁(1988)参照)。プレプ
ロエンドセリンmRNAは培養内皮細胞においてのみでな
く、in vivoでブタ大動脈内膜においても発現している
(ヤナギサワら、Nature、322、411〜415頁(1988)参
照)。また麻酔したラットなどの実験動物にエンドセリ
ンの静脈内投与を行なうと、初期血圧下降を伴った持続
性の動脈血圧の上昇がみられる(ヤナギサワら、Natur
e、322、411〜415頁(1988)、ヤナギサワら、プロシー
ディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・
サイエンシズ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステイツ・オ
ブ・アメリカ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、85、6964〜
6967頁(1988)、ミラー(Miller)ら、ジャーナル・オ
ブ・クリニカル・インヴェスティケーション(J.Clin.I
nvest.)、83、317〜320頁(1989)およびファース(Fi
rth)ら、ランセト(Lancet)、8621、1179〜1181頁(1
988)参照)。エンドセリンは単離された大動脈、腎の
動脈および冠状動脈においてin vitroで血管収縮を引き
起こすことが報告されている(ヤナギサワら、Nature、
332、411〜415頁(1988)、ヤナギサワら、Proc.Natl.A
cad.Sci.USA、85、6964〜6967頁(1988)およびヴァン
ホッテ(Vanhoutte)ら。ティアイピーエス(TIPS)、
、229〜230頁(1989)参照)。また、エンドセリンは
イヌにおいて強力な冠状血管収縮物質であるという報告
もなされている(クリハラら、トゥウェルブス・サイエ
ンティフィック・ミーティング・オブ・ジ・インターナ
ショナル・ソサイエティ・オブ・ハイパーテンション、
キョウト、ジャパン、アブストラクト(12th Scientifi
l Meeting of the International Society of Hyperten
sion,Kyoto,Japan,Abstract)06148頁(1988)およびミ
ラーら、J.Clin.Invest.、83、317〜320頁(1989)参
照)。
これらの結果はエンドセリンが心臓血管の恒常性のコ
ントロールに必要とされるということを示唆し、またエ
ンドセリンが高血圧の発達および(または)維持に重大
な役割を果たすという可能性を高めている。
最近、ヤナギサワら、ヒトゲノム中のエンドセリン関
連遺伝子の存在を報告し、これら産生物をET−1、ET−
2およびET−3と称した(イノウエら、Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA、86、2863〜2867頁(1989)参照)。ET−1
はブタ大動脈内皮細胞の培養培地から初めて単離された
分子形(original form)であり(イトーら、フェデレ
ーション・オブ・ヨーロピアン・バイオケミカル・ソサ
イティーズ・レターズ(FEBS Lett.)、231、440〜444
頁(1988)参照)、ET−3は初めにラットゲノム中で発
見された配列である(ヤナギサワら、Proc.Natl.Acad.S
ci.USA、85、6964〜6967頁(1988)参照)。さらに、合
成ET−2も強い血管収縮作用および昇圧作用をもってい
る。
[発明が解決しようとする課題] 現在、エンドセリンが高血圧・血管攣縮の発生機序に
どのように関与しているかを解明するにあたって、ある
いは高血圧・血管攣縮にかかわる疾患の診断にあたっ
て、それらに適した高精度のエンドセリンの免疫学的測
定法が切望されている。
そこで本発明者らは、かかる実情に鑑み鋭意研究を重
ねた結果、すぐれた特性を有するエンドセリン認識モノ
クローナル抗体を見出し、本発明を完成するにいたっ
た。
[課題を解決するための手段] 本発明は2.1×1011M-1以上の親和定数Kaを有するエン
ドセリン認識モノクローナル抗体、該抗体産生ハイブリ
ドーマおよび該抗体を用いることを特徴とするエンドセ
リンのラジオイムノアッセイに関する。
すなわち、本発明は2.1×1011M-1以上の親和定数Kaを
有するエンドセリン認識モノクローナル抗体に関する。
また、本発明は2.1×1011M-1以上の親和定数Kaを有す
るエンドセリン認識モノクローナル抗体産生ハイブリド
ーマに関する。
さらに、本発明は前記のエンドセリン認識モノクロー
ナル抗体を用いることを特徴とするエンドセリンのラジ
オイムノアッセイに関する。
[実施例] 本発明のモノクローナル抗体を作製するためには、従
来よりモノクローナル抗体の作製のために実施されてき
た方法を用いることができる。すなわち、抗体産生細胞
(たとえば、エンドセリンで免疫したマウスの脾細胞)
とミエローマ細胞との細胞融合によりハイブリドーマを
作製し、えられたハイブリドーマの中から目的の抗体を
産生するクローンを分離し、そのハイブリドーマを用い
て公知の方法によりモノクローナル抗体を産生させるこ
とができる。
以下、本発明の実施例を、抗原として用いるペプチ
ド、それによる免疫、モノクローナル抗体の製法、モノ
クローナル抗体の特定、該モノクローナル抗体を用いる
ラジオイムノアッセイ、試料として用いるウシ大動脈内
皮細胞の培養、被験者および血液採取、血漿からのエン
ドセリンの分離・抽出、血漿ET−1−LIレベルの測定、
ゲル透過クロマトグラフィー、他の血漿ホルモンレベル
の測定、中和実験(neutralization experiments)およ
び統計分析について説明する。
ペプチド ET−1、ET−2およびET−3の合成品はペプチド研究
所(大阪府箕面市、日本)から購入した。ヒトbigET(h
uman prepro−ET[53−90])およびET(ET[17−2
1])の共通のC末端フラグメントは固相法により合成
した(サイトウら、バイオケミカル・アンド・バイオフ
ィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ(Biochem.
Biophys.Res.Commun.)、161、320〜326頁(1989)参
照)。ペプチドの純度は、逆相高速液体クロマトグラフ
ィーおよびアミノ酸分析により確認した。
免 疫 合成ET−1はカルボジイミドカップリング反応により
ウシチログロブリンと結合させて複合体をえた(ヨシマ
サら、J.Clin.Invest.、69、643〜650頁、(1982)およ
びナカオら、Biochem.Biophys.Res.Commun.、124、815
〜821頁(1984)参照)。
(1)ハイブリドーマKY−ET−1−Iの調製 まずET−1 10μgを含むその複合体(conjugate)を
完全フロイントアジュバント中に乳化させたものを成熟
雌性BALB/cマウス10匹に皮下注射および腹腔内注射を組
み合わせて行なうことにより免疫した(ムコヤマら、ハ
イパーテンション(Hypertension)、12、117〜121頁
(1988)、ムコヤマら、Biochem.Biophys.Res.Commu
n.、151、1277〜1284頁(1988)およびサイトウら、Bio
chem.Biophys.Res.Commun.、161、320〜326頁(1989)
参照)。それらを3週間ごとに追加免疫し、それぞれ追
加免疫注射後10〜14日目に125I−ET−1(アマーシャム
(Amersham)社製、バッキンガムシャー(Buckinghamsh
ire)、英国)を使用してRIAにより抗体の存在を調べる
ために採血を行なった。10匹のマウスのうち3匹が抗体
応答が陽性であった。これらのマウスよりえられたポリ
クローナル抗体(抗血清)をそれぞれET−F5、ET−F9お
よびET−F10とした。
(2)ハイブリドーマKY−ET−1−II〜VIの調製 前記(1)で10匹のマウスを用いたかわりに20匹のマ
ウスを用いて同様の処理を行なった結果、5匹のマウス
が陽性の抗体応答を示した。
モノクローナル抗体の製法 さらに、最後に皮下注射してから3週間後に、抗原を
10μg含む複合体をマウスの腹腔内に追加免疫した。3
日後、細胞融合のために、それらの脾臓を摘出した。脾
細胞と非産生マウスミエローマ細胞系X63−Ag8.653(no
n−producing mouse myeloma cell line)との融合を細
胞数比6:1の割合で50%ポリエチレングリコールPEG4000
(商品名、メルク(Merck)社製、ダルムシュタット(D
armstadt)、西独国)を用いてすでに報告した方法によ
り行なった(ムコヤマら、Hypertension、12、117〜121
頁(1988)およびムコヤマら、Biochem.Biophys.Res.Co
mmun.、151、1277〜1284頁(1988)参照)。融合のの
ち、ハイブリドーマを15%ウシ胎児血清を含むヒポキサ
ンチン−アミノプテリン−チミジン培地で選択した。高
い抗体価をもつ細胞を限界希釈法(limiting dilution
technique)により、2回クローニングした。陽性クロ
ーンをBALB/cマスウに腹腔内注射し、高濃度の抗体を含
む腹水をえた。
なお、細胞融合に用いるミエローマ細胞としては、マ
ウス、ラット、ヒトその他の動物由来のものを用いるこ
ともできる。
えられたハイブリドーマのうちKY−ET−1−I、KY−
ET−1−II、KY−ET−1−III、KY−ET−1−IVおよびK
Y−ET−1−VはそれぞれFERM BP−2365、FERM BP−290
1、FERM BP−2902、FERM BP−2903およびFERM BP−2904
として寄託されている。
本発明は、とくにハイブリドーマ、KY−ET−1−II、
KY−ET−1−IIIおよびKY−ET−1−IVからなる群より
選ばれた細胞ラインおよびそれから誘導された細胞ライ
ン、およびハイブリドーマKY−ET−1−II、KY−ET−1
−IIIおよびKY−ET−1−IVより産生されたエンドセリ
ン認識モノクローナル抗体KY−ET−1−II、KY−ET−1
−IIIおよびKY−ET−1−IVはもちろん、それから誘導
された細胞ラインより産生されたエンドセリン認識モノ
クローナル抗体を含む。
モノクローナル抗体の特定 モノクローナル抗体のイソタイピング(Isotyping)を
オクターロニー法(Ouchterlony technique)(マウス
モノクローナルタイピングキット、マイルス・ラボラト
リーズ社(Miles Laboratories,Inc.)製、(エルクハ
ート(Elkhart)、インド)により行なった(ムコヤマ
ら、Biochem.Biophys.Res.Commun.、151、1277〜1284頁
(1988)およびサイトウら、Biochem.Biophys.Res.Comm
un.、161、320〜326頁(1989)参照)。また、以下に述
べるRIAでET−1のスキャッチャード・プロットを描く
ことによってモノクローナル抗体の結合親和力を分析し
た。
本発明のモノクローナル抗体は、競合的イムノアッセ
イ法に適した2.1×1011M-1以上の親和定数Kaを有する。
ラジオイムノアッセイ(RIA) RIAのアッセイバッファーは0.5%ゼラチン(メルク
(Merck)社製)、1mM Na2EDTA、0.2mMシスチン、0.1%
トライトンX−100(TritonX−100:商品名)および0.01
%メルチオレートを含む0.1Mリン酸バッファ(pH7.0)
で、すべて試薬を溶解するのに用いた。RIA用混合物は5
0μの標準ET−1あるいは試料、50μの抗体(腹水
あるいは抗血清)および100μのアッセイバッファー
からなる。該混合物を4℃で24時間インキュベートした
のち、125I−ET−1(約3,000cpm)を添加し、さらに24
時間インキュベーションを行なった。結合型リガンドと
遊離型リガンドは、250μのアッセイバッファーおよ
び0.01%メルチオレート含有0.05Mリン酸バッファー(p
H7.4)中に400mgのノリットSXプラス(Norit SX Plus:
商品名、ノリット(N.V.Norit−Vereeninging)社製、
オランダ王国)と40mgのデキトスランT−70(商品名、
ファルマシア・ファイン・ケミカルズ(Pharmacia Fine
Chemicals)社製、ウプサラ、スウェーデン王国(Upps
ala,Sweden))からなるデキストラン膜で覆った活性炭
の懸濁液1mlを加えることによって分離した。以下、上
記RIAを利用して、ET−1様免疫反応性物質(以下、ET
−1−LIという)の濃度の測定および分子形態の同定を
行う例として、ウシ大動脈内皮細胞およびヒト血漿の場
合をあげて説明する。
ウシ大動脈内皮細胞の培養 ウシ大動脈内皮細胞を以前に報告されたようにして
(ハギワラら、トロンボシス・リサーチ(Thrombos.Re
s.)33、363〜379頁(1984)参照)、コラゲナーゼで分
散させた。分散した内皮細胞を15%ウシ胎児血清を含む
ダルベッコ変型イーグル(Dulbecco's modified Eagl
e)培地に培養した。サンプリングの2時間前に培養培
地を無血清培地(serum−free medium)(GIT:商品名、
日本製薬(株)製、東京)にかえた。
被験者および血液採取 (1)健常者におけるヒト血漿中のET−1−LIレベル 年齢26〜40歳の8人の健常男性のボランティアについ
て調べた。血漿ET−1−LIレベルの測定のために、前夜
から絶食して横臥位で肘前の静脈から血液採取を行なっ
た。
(2)本態性高血圧症の患者における血漿ET−1−LIレ
ベル 薬物治療前の本態性高血圧症患者20人(年齢、平均±
SD:51.7±2.8才)および年齢をつり合わせた対照被験者
12人(年齢、平均±SD:50.0±0.6才)について検討し
た。世界保健機構(WHO)の分類により、高血圧症患者
は第I期が13人、第II期が5人および第III期が2人か
ら構成されていた。すべての患者の血清クレアチニンレ
ベルは1.5mg/dlより低かった。患者の収縮期血圧、拡張
期血圧および心拍数はそれぞれ160±5mmHg、98±2mmHg
および71±3回/分であった。患者の毎日の食塩は10.6
±0.7gであった。血液は前夜から絶食して横臥位で肘前
の静脈から採取した。
血漿からのエンドセリンの分離・抽出 血漿からのエンドセリンの分離・抽出を精製されたモ
ノクローナル抗体(KY−ET−1−I)でコーティングし
たポリスチレンビーズを用いて行なった。
モノクローナル抗体としては、プロテインAアフィニ
ティーカラム(アフィーゲル プロテインA MAPS IIキ
ット(Affi−Gel Protein A MAPS II kit):商品名、
バイオ・ラド・ラボラトリーズ(Bio−Rad Laboratorie
s)社製、リッチモンド(Richmond)、カナダ)を用い
て精製したものを用いた。
精製モノクローナル抗体0.01%、塩化ナトリウム0.9
%およびアジ化ナトリウム0.05%を含む0.05Mリン酸バ
ッファー(pH7.5)中にポリスチレンビーズ(直径6.5m
m、(株)イチコより入手)を4℃で24時間浸漬して抗
体結合ビーズを調製した。
血漿1mlと、0.1%ゼラチン、1mM EDTA、0.2mMシスチ
ンおよびアプロチニン(2,000カリクレイン失活単位/ml
(kallikrein inactivator unit、バイエル(Bayer)社
製)を含むリン酸バッファー(0.1M、pH7.0)1mlとから
なる混合物を、抗体結合ビーズと共に穏やかに振盪しな
がら4℃で24時間インキュベートした。そのビーズを0.
05Mリン酸バッファーで洗浄し、ついで、0.5%ゼラチン
を含む0.1Mリン酸バッファー(pH7.0)300μ中でヒー
ティング・ブロック(品番:HF−21、ヤマト科学
(株))を用いて85℃で30分間加熱した。加熱抽出物は
血漿ET−1−LIレベルの測定のための試料として直接RI
Aに使用した。
血漿ET−1−LIレベルの測定 血漿ET−1−LIレベルは、以前に報告されたようにモ
ノクローナル抗体(KY−ET−1−I)使用RIAにより測
定した(サイトウら、Biochem.Biophys.Res.Commun.、1
61、320〜326頁(1989)参照)。血漿1mlに加えられた2
5pgおよび50pgのET−1の回収率はそれぞれ52%および5
5%であった(サイトウら、Biochem.Biophys.Res.Commu
n.、161、320〜326頁(1989)参照)。血漿1mlに加えら
れた50pgのbig ETの回収率は48%であった。RIAにおけ
るインター−およびイントラ−アッセイ偏差(inter−a
nd intra−assay variations)はそれぞれ6.8±2.8%お
よび7.3±2.2%であった(サイトウら、Biochem.Biophy
s.Res.Commun.、161、320〜326頁(1989)参照)。
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC) GPCはセファデックス(Sephadex)G−50(ファルマ
シア・ファイン・ケミカルズ、ウプサラ(Uppsala)、
スウェーデン王国)カラム(0.7×50cm)を用い、アッ
セイバッファーを、溶媒として溶出を行なった(ナカオ
ら、J.Clin.Invest.62、1395〜1398頁(1878)参照)。
流速は3ml/時でフラクション容積は0.5mlであった。ブ
ルーデキストラン(ボイド容量:Vo)、γ−ヒト心房性
ナトリウム利尿ペプチド(分子量:13K)、ヒトbigET
(分子量:4K)、α−ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチ
ド(分子量:3K)、ET−1、ET−2、ET−3および125I
(salt peak用)を分子量マーカーとして用いた。ウシ
大動脈内皮細胞培養培地の分析においては、培地200μ
を直接カラムに掛けた。また、血漿の分析においては
ヒト血漿30mlからの抽出物を使用した。上述のとおりモ
ノクローナル抗体結合ビーズを使用してETを抽出した。
他の血漿ホルモンレベルの測定 以前に報告されたようにして(サイトウら、サーキュ
レーショ(Circulation)、76、115〜124頁(1987)、
サイトウら、アクタ・エンドクリノロジカ(Acta Endoc
rinologica)。116、59〜65頁(1987)およびヤマダ
ら、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジ
ー(Eur.J.Pharmacol.)、125、453〜456頁(1986)参
照)、心房性ナトリウム利尿ペプチド、アルギニンバソ
プレシン、ノルエピネフリン、エピネフリンおよびアル
ドステロンなどの種々のホルモン類の血漿レベルならび
に血漿レニン活性も測定した。
中和実験 ラット大動脈細片(rat aortic strips)の収縮性の
応答を以前に報告されたようにして行なった(トダら、
ジャーナル・オブ・カルディオバソキュラー・ファーマ
コロジー(J.Cardiovasc.Pharmacol.)、、1118〜112
6頁(1985)参照)。大動脈細片を37℃で139.7mEqNa+
5.4mEqK+、2.2mEqCa2+、1.0mEqMg2+、131.5mEqCl-およ
び20mEqHCO3 -を含有する平衡塩類溶液を用いて潅流した
器官浴(organ bath)中でインキュベートした。ET−1
投与の3分前に、精製されたモノクローナル抗体(0.05
〜5μg/ml)を加えた。
ET−1により誘導された血圧上昇作用(ET−1−indu
ced pressor action)に対するモノクローナル抗体の効
果を脳脊髄切断したラットにおいて調べた。脳脊髄切断
したラットにおいては、自律性の神経反射が欠如してい
るので、血管平滑筋の収縮または弛緩の評価を直接調べ
た。脳脊髄切断したラットは以前に報告されたようにし
て作製した(ナカジマら、フォリア・ファーマコル・ジ
ャポン(Folla Pharmacol.Japon)、90、13〜21頁(198
7)参照)。動脈圧を大腿動脈に挿入したカテーテルを
経て直接モニターした。精製した抗体または等用量のマ
ウス免疫グロブリンG1(400μg/kg)をET−1(0.3nmol
/kg)の一回投与注射(bolus injection)の60分前に注
射した。
統計分析 血漿ET−1−LIレベルの数値は平均±平均の標準誤差
(SE)として示した。グループ間の平均データの一変量
分析(univariate analysis)はスチューデントのt検
定により行なった。グループ間の比率の一変量分析はカ
イ二乗検定により行なった。結果間の相関性を求めるた
めに線形回帰分析を用いた。
以下に具体的な実施例を示して、本発明を更に説明す
るが、本発明はもとよりこれら実施例のみに限定される
ものではない。
比較例1(調製法およびモノクローナル抗体の特定) 前記のように、ET−1で免疫したマウスの脾細胞と非
産生マウスミエローマ細胞とを融合した。ET認識抗体産
生細胞は2つのウエルに認められた。さらに培養および
クローニングを行ない、最も高い力価を示す抗体を産生
する1つのクローンを選択し、大量培養に付し、産生す
るモノクローナル抗体の性質を検討した。えられたモノ
クローナル抗体(KY−ET−1−I)は。オクターロニー
法によりサブクラスIgG1に属するものと決定された。ス
キャッチャードプロットによる分析の結果、ET−1に対
する親和定数Kaが7.0×1010M-1であることを示した。そ
の結果を第1図に示す。
実施例1〜3および比較例2〜3 比較例1と同様にしてモノクローナル抗体KY−ET−1
−II、KY−ET−1−III、KY−ET−1−IV、KY−ET−1
−VおよびKY−ET−1−VIをえた。オクターロニー法に
より、モノクローナル抗体KY−ET−1−II、KY−ET−1
−III、KY−ET−1−IV、KY−ET−1−VおよびKY−ET
−1−VIはそれぞれサブクラスIgG1、IgG2a、IgG1、IgG
1およびIgG2aに属するものと決定された。スキャッチャ
ードプロットによる分析の結果、親和定数Kaが2.1×10
11、2.4×1011、4.8×1011、5.3×1010および6.0×1010
M-1であることを示した。
ET−1に対する各モノクローナル抗体特性を第1表に
示す。
スキャッチャードプロットによる分析で本発明の抗体
はET−1に対して高い親和力(Ka:2.1×1011〜4.8×10
11M-1)をもつことが明らかにされた。すべての抗体はE
T−2を認識した(交差反応性:80〜100%)が、ET−3
との交差反応性はモル濃度比で(on a molar basis)3
〜60%であった。KY−ET−1−Iは6種の抗体の中で最
も高いET−3との交差反応性を示した。また、すべての
抗体はヒトbig ETを認識した。第1表に示すように、6
種の抗体のそれぞれ1種を用いる各RIAの50%阻害濃度
の数値は2〜10pg/チューブの範囲であった。KY−ET−
1−IV使用RIAがET−1に対して最も感受性が高かっ
た。
比較例4(ET−1に対するRIA) 腹水(KY−ET−1−I)および抗血清(ET−F5)を最
終希釈をそれぞれ3.0×107:1および1.5×104:1としてRI
Aの抗体として使用した。KY−ET−1−IおよびET−F5
を使用したRIAの標準曲線をそれぞれ第2図および第3
図に示す。
KY−ET−1−Iを用いたRIAではET−1、ET−2およ
びET−3を検出したが、一方ET−F5を用いたRIAではET
−3をごく微弱に認識した。
双方のRIAにおいて、50%阻害濃度の数値は6pg/チュ
ーブで、最小検出量は0.5pg/チューブであった。第1表
に示すように、6種のモノクローナル抗体のそれぞれ1
種を用いる各RIAの50%阻害濃度の数値は2〜10pg/チュ
ーブの範囲であった。KY−ET−1−IVを用いたRIAにお
いてET−1に対して最も感受性が高かった。ET−F5使用
RIAはET−3をごく微弱に認識するが(交差反応性:2
%)、KY−ET−1−I使用RIAはET−3に60%の交差反
応性を示した。それぞれのRIAでET−2とbig ETの交差
反応性は質量基準で100%であった。
すべてのモノクローナル抗体のET−2に対する交差反
応性は80〜100%であったがET−3に対する交差反応性
はモル濃度比で3〜60%であった。KY−ET−1−Iは6
種の抗体の中で最も高いET−3との交差反応性を示し
た。
これらのRIAはET−1、ET−2およびET−3に共通な
C端フラグメントEST[17−21]を認識しなかった(第
2図参照)。
比較例5(ウシ大動脈内皮細胞培養培地中のET−1−L
I) ET−1−LIはKY−ET−1−IおよびET−F5のいずれを
使用するRIAにおいてもウシ大動脈内皮細胞培養液中に
検出された。培地の希釈曲線はそれぞれのRIAで標準曲
線と平行であった。無血清培養の開始後2〜5時間の内
母細胞からのET分泌速度は0.45ng/時/106細胞であっ
た。RIAと組合せたGPCにより培養液中のET−1−LIは2
つの主要成分と1つの微量成分からなることがわかった
(第6図参照)。2つの主要ピークは合成ヒトbig ETお
よびET−1の溶出位置にそれぞれ現われた。KY−ET−1
−I使用RIAにより測定された2つのピークのET−1−L
IはET−F5使用RIAにより測定されたのと一致した。微量
ピークはbig ETより大きな分子の位置に溶出した。
比較例6(健常者におけるヒト血漿中のET−1−LIレベ
ル) ET−1−LIは両方のRIAで、ヒト血漿の抽出物中に検
出された。血漿抽出物の連続希釈曲線はそれぞれのRIA
で標準曲線と平行であった(第4図および第5図参
照)。正常で健康なボランティアの血漿ET−1−LIレベ
ルを第2表に示す。血漿ET−1−LIレベルはKY−ET−1
−I使用RIAでは19.1±1.1pg/ml,ET−F5使用RIAでは9.9
±0.5pg/mlであった。
比較例7(本態性高血圧症の患者における血漿ET−1−
LIレベル) 本態性高血圧症の患者(n=20)における血漿ET−1
−LIレベルは30.1±1.4pg/mlであり、年齢をつり合わせ
た対照被験者(n=12)における血漿ET−1−LIレベル
(18.5±0.9pg/ml)と比べて著しく上昇した(p<0.0
1)(第8図参照)。第II期および第III期の患者は第I
期の患者よりも高い血漿ET−1−LIレベルを示した(2
8.1±1.7pg/mlに対して33.9±1.8pg/ml)。患者を血漿E
T−1−LIレベルにより全部の患者の平均値(30pg/ml)
より低いレベル(グループA)および高いレベル(グル
ープB)に分けた。グループBにおける8人の患者のう
ち5人が第II期または第III期に属していたが、グルー
プAにおける12人の患者のうち2人が第II期または第II
I期であった。したがってグループBにおける臓器の合
併症の発生率はグループAにおける臓器の合併症の発生
率より著しく高い(第9図参照)。
血漿ET−1−LIレベルと臨床および実験的なパラメー
ターとの相関係数を第3表に示す。
血漿ET−1−LIレベルと本態性高血圧症の患者におけ
る収縮期血圧または拡張期血圧との間に有意な相関性は
なかった。血漿ET−1−LIレベルは血圧および水分平衡
のコントロールにかかわるいかなる血漿ホルモンレベル
とも相関していなかった。
比較例8(中和実験) 合成ET−1は単離したラット大動脈細片において血管
収縮を用量依存的に誘導した。精製されたモノクローナ
ル抗体(KY−ET−1−I)の投与により用量−応答曲線
は用量依存的に右へシフトした(第10図参照)。脳脊髄
切断したラットにおいてET−1により誘導された平均動
脈圧の上昇は、精製されたモノクローナル抗体をET−1
投与60分前に前処理することにより著しく抑制された
(第11図参照)。
第7図は、ヒト血漿抽出物中のET−1−LIの代表的な
GPC像を示す。ヒト血漿中のET−1−LIは明白な2つの
主要成分からなっていた。小分子サイズのピークは合成
ET−1の溶出位置に一致した。他方のピークはヒトbig
ET(4K)の溶出位置より先行するフラクション(6K)に
溶出した。big ETの溶出位置にもET−1−LIは存在し
た。小分子形のET−1−LIはKY−ET−1−I使用RIAで
はET−1−LIの25.8±1.5%(4.9pg/ml)に相当した
が、ET−F5使用RIAでは36.7±2.4%(3.6pg/ml)に相当
した。小分子のET−1−LIについては2つのRIA間で有
意差はないが、ET−F5使用RIAにより測定された大分子
のET−1−LIはKY−ET−1−I使用RIAにより測定され
たものの約70%であった。
ウシ大動脈内皮細胞培養液中のET−1−LIのGPC像
は、合成big ETおよびET−1の位置に溶出する2つのピ
ークの存在を示し、KY−ET−1−I使用RIAでのGPC像は
ET−F5使用RIAでのGPC像とほとんど一致したことは、内
皮細胞が小分子形ETのみならず、big ETをも分泌するこ
とを示す。ET−F5使用RIAにおけるET−3の低い交差反
応性より、内皮細胞はET−3を産生していたとしてもき
わめて僅かであり、また、ET−2遺伝子が内皮細胞で発
現しているという根拠が全くない(イノウエら、Proc.N
atl.Acad.Sci.USA、86、2863〜2867頁、(1989)参照)
ので、培養液中の小分子形ETは、主にET−1であると考
えられる。大動脈内側細胞の培養液中のbig ETおよびET
−1に関するこの所見は以前に出された仮説と矛盾しな
い(ヤナギサワら、Nature、332、411〜415頁(1988)
参照)。2つのRIAで測定されたそれぞれの分子形でのE
T免疫反応性に違いが全くないことから我々のRIAの有効
性も示される。
また、KY−ET−1−I使用RIAにより測定された19.1
±1.1pg/mlとET−F5使用RIAにより測定された9.9±0.5p
g/mlの平均値でET−1−LIがヒト血漿中に存在するとい
う証拠を示した。この観察は、ETが局所ホルモンである
と共に循環ホルモンである可能性を示唆している。
本発明者らはET−1に対する6種のモノクローナル抗
体を調製し、それらの抗体をRIAおよび中和実験に適用
した。これらの抗体の結合定数は5.3±1010〜4.8±1011
M-1の範囲であった。すべての抗体は最近報告されたET
−1モノクローナル抗体(スズキら、ジャーナル・オブ
・イムノロジカル・メソッド(J.Immunol.Method)、11
8、245〜250頁(1989)参照)より高い親和力を有す
る。6種の抗体のそれぞれ1種を用いた各RIAにおける5
0%阻害濃度の値は2〜10pg/チューブの範囲であった。
最も感受性の高い抗体(KY−ET−1−IV)を用いたRIA
を使ってヒトおよびラット血漿中の血漿ET−1−LIを直
接に検出することができる。本発明において、血漿から
ETを抽出するためにモノクローナル抗体でコーティング
したビーズを用いた。抽出にアフィニティビーズを用い
る主な利点は、Sep−Pak C18カートリッジなどの他の抽
出方法と比べて特異性を有する点である。これらの抗体
においてET−3との交差反応性は3〜60%であったの
で、それぞれの抗体は異なるエピトープを認識する。し
たがって、これらの抗体は二抗体サンドイッチ免疫測定
法に用いうる。
また、本発明者らは本態性高血圧症の患者における血
漿ET−1−LIレベルの上昇を証明した。この所見は明ら
かに本態性高血圧症におけるETの病態生理学的意義を示
している。第II期および第III期の患者の血漿ET−1−L
Iレベルは第I期の患者のものより著しく高かった。さ
らに、より高い血漿ET−1−LIレベルをもつ患者はより
ひんぱんに臓器合併症をもつ傾向にある。これらの所見
は、血漿ET−1−LIレベルの上昇が高血圧症に合併する
アテローム性動脈硬化症を含む臓器合併症にかかわって
いる可能性を示唆している。最近、ゲル透過クロマトグ
ラフィーを用いて、正常血漿におけるET−1−LIがET−
2、big ETおよびETのもうひとつの前駆体分子型(6Kダ
ルトン)からなることが報告されている(サイトウら、
Biochem.Biophys.Res.Commun.、161、320〜326頁(198
9)参照)。本態性高血圧症の患者においてどの成分(C
omponent(s))が優先的に増加するかが明らかにされ
なければならない。急性心筋梗塞の患者においてET−1
およびbig ETが平行に増加することも報告されている
(ミヤウチら、Lancet、8653、53〜54頁(1989)参
照)。したがって血漿ET−1−LIレベルの上昇はET−
1、big ETおよびもうひとつの成分が平行に増加するた
めである可能性がある。
本態性高血圧症における増加した血漿ET−1−LIレベ
ルの役割は現在は不明である。最近、コムロらはET−1
は血管平滑細胞に対して増殖効果をもつという報告をし
た(コムロら、FEBS Lett.238、249〜252頁(1988)参
照)。したがって内皮細胞からの増加したETの分泌は血
液内膜および中膜におけるアテローム性動脈硬化症病変
の発達および悪化を引き起こす役割を果し、それによっ
て臓器合併症に関連しているということが可能であろ
う。一方、ET−1の低用量はプロスタグランジンI2およ
び(または)内皮由来弛緩因子の生成を経て血管収縮の
かわりに血管拡張を引き起こすことが報告された(デ・
ヌッチ・ジー(de Nucci G)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA、85、9797〜9800頁(1988)、ポール・ユー(Pohl
U)ら、J.Cardiovasc.Pharmacol.、13「サプリメント
(Suppl.)5]、S188〜S190頁(198)およびミンケス
・アールケー(Minkes RK)ら、アメリカン・ジャーナ
ル・オブ・フィジオロジー(Am.J.Physiol.)、256、H5
98〜H602頁(1988)参照)。本態性高血圧症におけるET
の正確な役割の解明には、ETに対して感受性がありかつ
特異的な拮抗薬の開発が必要である。
コヤマらは最近、尿毒症患者における血漿ET−1−LI
レベルのきわだった上昇を報告した(コヤマら、Lance
t、8645、991〜992頁(1989)参照)。本発明におい
て、正常な腎機能をもつ高血圧症患者の血漿ET−1−LI
レベルと血清クレアチニンレベルの間に有意の相関性は
なかった。しかしながら、血清クレアチニンレベルが0.
5〜9.0mg/dlの範囲にある高血圧症患者の大部分におい
ては血漿ET−1−LIレベルと血清クレアチニンレベルの
間に正の相関性が観察された。
最近、スズキらは正常者における血漿ET−1レベルが
1.5±0.32pg/mlであることを酵素免疫測定法(EIA)を
用いて示し(スズキら、J.Immunol.Method、118、245〜
250頁(1989)参照)、この値は本発明においてよりも
低いように思われる(ムコヤマら、Biochem.Biophys.Re
s.Commun.、151、1277〜1284頁(1988)参照)。このち
がいはそれぞれの実験で用いたアッセイシステムの特異
性による。前記のように、血漿におけるET−1−LIはET
−1、big ETおよびもうひとつのペプチド(6K)からな
り、血漿における全ET−1−LIに対するET−1の割合は
約1:5である(サイトウら、Biochem.Biophys.Res.Commu
n.、161、320〜326頁(1989)参照)。スズキらによっ
て開発されたEIAはET−1のみを認識するが、モノクロ
ーナル抗体KY−ET−1−IはET−1およびbig ETを等し
く認識し、さらに前記の6Kペプチドをも認識する(サイ
トウら、Biochem.Biophys.Res.Commun.、161、320〜326
頁(1989)参照)。したがって、本発明のアッセイシス
テムにおける正常被験者の血漿ET−1レベルはスズキら
によって報告されたものに匹敵する。しかしながら、ア
ンドウらはRIAによるかなり低い血漿ET−LIレベルの正
常値を報告した(アンドウら、FEBS Lett.、245、164〜
166頁(1989)参照)。現在のところこのちがいに対す
る理由は明らかではない。
中和実験には高い親和力の抗体が要求される。血管平
滑筋細胞におけるET受容体の解離定数は4×10-10M(Ka
=2.5×109M-1)であると報告された(ヒラタら、Bioch
em.Biophys.Res.Commun.、154、868〜875頁(1988)参
照)。本発明において開発されたモノクローナル抗体の
結合定数は2.1×1011M-1以上である。また、精製された
モノクローナル抗体(KY−ET−1−I)はin vitroでET
−1により誘導された血管収縮およびin vivoでの血圧
上昇作用の効果を減じた。これらの所見は、本発明のモ
ノクローナル抗体が本態性高血圧症における内因性のET
の役割を研究するために有用であるという可能性を示唆
している。
本発明者らはET−1に対して本発明の3種のモノクロ
ーナル抗体を調製し、異なる特異性をもち感受性の高い
RIAを提供する。本発明者らはRIAを用いて、本態性高血
圧症の患者における血漿ET−1−LIレベルの上昇を見出
した。本発明のモノクローナル抗体およびRIAは本態性
高血圧症を含む循環器系疾患におけるETの病態生理学的
意義を研究するために有力な手段となる。
[発明の効果] 本発明のラジオイムノアッセイは血液、組織、培養液
等に存在する大分子形および小分子形ETを明確に検出
し、同定しうるものである。すなわち、本発明のモノク
ローナル抗体、該抗体産生ハイブリドーマおよびラジオ
イムノアッセイはETの生理学的および病態生理学的研究
ならびに高血圧・血管攣縮に係わる疾患の診断にとって
極めて有用なものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は、モノクローナル抗体KY−ET−1−Iに対する
125I−ET−1の結合のスキャッチャードプロットを示す
グラフである。125I−ET−1(1.3pM〜54pM)の濃度を
増加させながら、KY−ET−1−Iを含む希釈腹水液(3
×106:1)を4℃で48時間のインキュベーションを行な
い、特異的結合をデキストランコート炭沫法による分離
ののち測定したものである。第2図は、KY−ET−1−I
A使用RIAにおけるおよび第3図はET−F5使用RIAにおけ
るET−1および他の関連ペプチドとの交差反応性の典型
的な標準曲線を示す。第2図および第3図中ET−1は
●、ET−2は○、ET−3は■、ヒトbig ETは□およびET
[17−21]は▲で示す。第4図はKY−ET−1−Iにおけ
るおよび第5図はET−F5におけるヒト血漿抽出物の連続
希釈曲線および標準曲線を示す。第4図および第5図
中、●は標準曲線、■は連続希釈曲線を示す。第6図
は、セファデックスG−50(0.7×50cm)で行なったウ
シ大動脈内皮培養液のGPC像を示す。矢印I、II、IIIお
よびIVはそれぞれγ−ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチ
ド(ANP)(13K)、ヒトbig ET(4K)、α−ヒトANP(3
K)およびET−1(2.5K)を示す、第6図中印●および
印○はKY−ET−1−I使用RIAおよびET−F5使用RIAによ
り測定されたそれぞれの免疫反応性を示す。第7図はセ
ファデックスG−50(0.7×50cm)で行なったヒト血漿
抽出物の代表的なGPC像を示す。第7図中矢印および印
●および○は第6図と同様の意味をなす。第8図は本態
性高血圧の患者および年齢をつり合わせた対照被験者の
血漿ET−1−LIレベルを示すグラフである。第9図は本
態性高血圧の患者における臓器合併症の発生率を示すグ
ラフである。第10図は単離したラット大動脈細片におけ
るエンドセリンに対する収縮率の用量−応答曲線を示す
グラフである。第10図中、抗体KY−ET−1−Iの投与量
が5μg/mlのばあいは●、0.5μg/mlのばあいは▲、0.0
5μg/mlのばあいは■、ビヒクルのみのばあいは○で示
す。第11図は脳脊髄切断したラットにおいてET−1によ
り誘導された動脈血圧上昇に対するモノクローナル抗体
の作用を示す経時的なグラフである。第11図中、抗体KY
−ET−1−I(400μg/kg)で前処理したものを●、ビ
ヒクルのみのものを○で示す。また、第11図中の矢印
は、その時点に抗体KY−ET−1−I(●のみ)またはET
−1を投与したことを示し、印*はビヒクル群と比較し
てp<0.05で有意差があることを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12P 21/08 C12N 15/00 C (C12P 21/08 C12R 1:91) (56)参考文献 Biochem Biophys R es.Comm.,Vol.161,No. 1(1989.May.30)p.320−326 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07K 16/18 C12P 21/08 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ハイブリドーマKY−ET−1−II(FERM BP
    −2901)、ハイブリドーマKY−ET−1−III(FERM BP
    −2902)およびハイブリドーマKY−ET−1−IV(FERM
    BP−2903)からなる群より選ばれた細胞ラインまたはそ
    れから誘導された細胞ラインより産生される2.1×1011M
    -1以上の親和定数Kaを有するエンドセリン認識モノクロ
    ーナル抗体。
  2. 【請求項2】ET[17−21]との交差反応性が0.01%未満
    である請求項1記載のエンドセリン認識モノクローナル
    抗体。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載のエンドセリン認識
    モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ。
  4. 【請求項4】請求項1または2記載のエンドセリン認識
    モノクローナル抗体を用いることを特徴とするエンドセ
    リンのラジオイムノアッセイ。
JP02150617A 1989-06-22 1990-06-08 エンドセリン認識モノクローナル抗体、該抗体産生ハイブリドーマおよび該抗体を用いるエンドセリンのラジオイムノアッセイ Expired - Lifetime JP3017773B2 (ja)

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