JP3336033B2 - 抗ヒト精液γ−グルタミルトランスペプチダーゼモノクローナル抗体、ハイブリドーマおよび前立腺疾患検出方法 - Google Patents
抗ヒト精液γ−グルタミルトランスペプチダーゼモノクローナル抗体、ハイブリドーマおよび前立腺疾患検出方法Info
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Description
ルトランスペプチダーゼに特異的なモノクローナル抗
体、そのモノクローナル抗体を産生するハイブリドー
マ、および前立腺疾患の検出方法に関する。
症等の前立腺疾患の診断法としては、触診や前立腺組織
で作られるマーカー物質である血清酸性ホスファターゼ
(ACP)、前立腺性酸性ホスファターゼ(PAP)、
前立腺特異抗原(PA)、ヒト精漿特異抗原であるγ−
セミノプロテイン(γ−Sm)等を測定することによっ
て行われている。しかしながら、これらのマーカーは、
例えば早期癌での陽性率の低値、疾患に対する特異性の
面で未だ完全なものとはいえず、診断や治療効果の判定
等においては、異なる複数のマーカーとの併用測定を必
要とすることも生じ、特異性の高いマーカーの開発が望
まれている。
存在するγ−グルタミルトランスペプチダーゼ(以下、
ヒト精液γ−GTPと称することがある)について、そ
の分子量が250kDaで2つのサブユニット(95k
Daおよび150kDa)をもつ糖タンパクであること
を解明した(Biochimica Biophysica Acta,1077,259-26
4,1991)。この結果、分子量が84kDa(サブユニッ
ト:22kDaおよび62kDa)であるヒト腎の膜結
合型γ−GTPとヒト精液γ−GTPとが明らかに異な
るもので、アミノ酸組成においても異なることが確認さ
れた。
−GTP、EC2.3.2.2)は一群のアイソザイム
からなる転移酵素であり、腎の尿細管、腸絨毛、毛細胆
管、膵および肝等に広く分布している。これらγ−GT
Pは、臨床検査の分野において各種疾患の指標として日
常的に測定されている。例えば、血中γ−GTPの上昇
は肝・胆道系疾患を、尿中γ−GTPの上昇は腎疾患を
それぞれ反映することが知られている。これらのγ−G
TPの測定方法としては、発色性基質を用いた比色法が
一般的に用いられている。ヒト精液γ−GTPの測定方
法でも、一般的な血清中のγ−GTP測定方法に従い、
γ−グルタミル−p−ニトロアニリド、γ−グルタミル
−β−ナフチルアミド、γ−グルタミル−3−カルボキ
シ−4−ヒドロキシアニリド等を基質とし、γ−GTP
活性を比色法により定量する方法等が行われていた。し
かし、これらの方法では精液由来のγ−GTPや肝由来
のγ−GTP等を区別することができないので、前立腺
疾患による精液特異γ−GTPの血中への流入を検査す
ることができなかった。さらに、法医学分野での物証学
的な応用においても、精液と他の体液との識別は、活性
測定のみでは十分満足のいくものではなかった。
は、新規な前立腺疾患のマーカーとして期待できる精液
特異γ−GTPの分子量およびアミノ酸組成が、肝疾患
等に伴って血中に遊離してくる膜結合型γ−GTPと異
なることに着目し、両者を明瞭に識別できる方法を開発
することにある。これらの課題を解決するべく鋭意研究
したところ、前記ヒト精液γ−GTPに特異的なモノク
ローナル抗体SG1、SG2およびSG3を見出すこと
に成功し、これらのモノクローナル抗体を用いるとヒト
精液γ−GTPを免疫学的に迅速かつ特異的に検出でき
ることを見出した。本発明は、こうした知見に基づくも
のである。
精液γ−GTPに特異的に反応し、腎由来γ−グルタミ
ルトランスペプチダーゼ及び肝由来γ−グルタミルトラ
ンスペプチダーゼと反応しないモノクローナル抗体を用
いて、血中のヒト精液γ−グルタミルトランスペプチダ
ーゼを分析することを特徴とする、前立腺疾患の検出方
法に関する。また、本発明は、受託番号がFERM P
−12885、FERM P−12886、又はFER
M P−12887であるハイブリドーマから分泌さ
れ、ヒト精液γ−グルタミルトランスペプチダーゼに特
異的に反応し、腎由来γ−グルタミルトランスペプチダ
ーゼ及び肝由来γ−グルタミルトランスペプチダーゼと
反応しないモノクローナル抗体に関する。更に、本発明
は、ヒト精液γ−グルタミルトランスペプチダーゼに特
異的に反応し、腎由来γ−グルタミルトランスペプチダ
ーゼ及び肝由来γ−グルタミルトランスペプチダーゼと
反応しないモノクローナル抗体を産生する、受託番号が
FERM P−12885、FERM P−1288
6、又はFERM P−12887であるハイブリドー
マにも関する。更にまた、本発明は、ヒト精液γ−グル
タミルトランスペプチダーゼに特異的に反応し、腎由来
γ−グルタミルトランスペプチダーゼ及び肝由来γ−グ
ルタミルトランスペプチダーゼと反応しないモノクロー
ナル抗体を用いることを特徴とする、血中のヒト精液γ
−グルタミルトランスペプチダーゼの検出方法にも関す
る。
ブリドーマおよび前立腺疾患の検出方法の順に説明す
る。免疫源として用いる精製ヒト精液γ−GTPは、例
えばBiochimica Biophysica Acta,1077,259-264,1991に
記載の方法に従って調製することができる。次に、精製
したヒト精液γ−GTP免疫原溶液を用いて哺乳動物
(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギまたはウマ)
をイン・ビボ免疫法により免疫する。
−GTP免疫原溶液を等量のフロインド氏完全アジュバ
ントまたは不完全アジュバントと乳化するまで混合す
る。この混合液を、例えばマウスの皮下に投与する(第
1回免疫)。以後、2〜4週間の間隔で同様の操作を行
い、数回免疫する。最終免疫から数日後に脾臓を無菌的
に取り出し、ステンレスメッシュなどで押しつぶして脾
臓細胞を調製し、細胞融合工程に用いる。
ミエローマ細胞(骨髄腫細胞)としては、各種の公知の
細胞株、例えば、p3(p3/×63−Ag8)[Na
ture,256,495−497(1975)]、p
3−U1[CurrentTopics in Mic
robiology and Immunology,
81;1−7(1978)]、NS−1[Eur.J.
Immunol.,6;511−519(197
6)]、MPC−11[Cell,8;405−415
(1976)]、SP2/0[Nature,276;
269−270(1978)]、FO[J.Immun
ol.Meth.,35;1−21(1980)]、×
63.6.55.3[J.Immunol.,123;
1548−1550(1979)]、S194[J.E
xp.Med.,148;313−323(197
8)]、またはラットにおけるR210[Natur
e,277;131−133(1979)]などを使用
することができる。
合は通常の方法で行うことができ、例えば、公知の融合
促進剤(ポリエチレングリコールまたはセンダイウイル
スなど)を用い、場合により補助剤(ジメチルスルホキ
シドなど)を用いることもできる。免疫脾臓細胞とミエ
ローマ細胞との使用比率も常法と同様でよく、例えば、
ミエローマ細胞に対して脾臓細胞を約1〜10倍程度の
量で用いる。融合用培地としては、例えば、40%(w
/v)ポリエチレングリコールを含むダルベッコ改変イ
ーグル培地(DMEM)、RPMI1640培地等を用
いることができる。融合は、前記の培地内で免疫脾臓細
胞とミエローマ細胞とをよく混合することによって行
う。続いて、選別用培地(例えば、HAT培地)を用い
てハイブリドーマ以外の細胞を除去し、ハイブリドーマ
培養上清の抗体産生の有無を、例えばELISA法によ
って測定し、目的とするハイブリドーマを分離する。
反応するモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ
を分離することができる。本発明者は、具体的には、ヒ
ト精液γ−GTPと特異的に反応する3種のモノクロー
ナル抗体、即ち、モノクローナル抗体SG1、SG2お
よびSG3を分泌するハイブリドーマSG1、SG2お
よびSG3を分離した。これらのハイブリドーマは、通
常の培地で継代培養することができ、また液体窒素等の
中で容易に長期間保存することができる。
地としては、ハイブリドーマの培養に適した任意の培地
を用いることができ、例えばDMEMにウシ胎児血清、
L−グルタミン、L−ピルビン酸および抗生物質(ペニ
シリンGとストレプトマイシン)を含む培地やウシ胎児
血清を含むRPMI1640培地等が用いられる。
トロの場合には例えば培地中で5%CO2 濃度および3
7℃で約3日間、またイン・ビボ例えばマウスの腹腔中
で培養する場合には約14日間程度実施するのが好まし
い。
ーマSG1、SG2およびSG3)を常法によって培養
した培養液から、あるいは前記3種のいずれかのハイブ
リドーマを投与した適当な哺乳動物(例えばマウスまた
はラット)の腹水から、目的とするモノクローナル抗体
(特にはモノクローナル抗体SG1、SG2およびSG
3)を分離し、精製することが可能である。
ウスの腹水からモノクローナル抗体を分離、精製する場
合にはタンパク質の単離、精製に一般的に用いられる方
法を用いることが可能である。そのような方法としては
硫安塩析、イオン交換クロマトグラフィー、分子篩ゲル
を用いる分子篩カラムクロマトグラフィー、プロテイン
A結合多糖類を用いる親和性カラムクロマトグラフィ
ー、透析、凍結乾燥の方法等がある。
抗体は、ヒト精液γ−GTPと特異的に反応する。特
に、本発明のモノクローナル抗体SG1、SG2および
SG3について、ABC法(abidin−bioti
n−complexによる染色法)に従い免疫染色を行
うと、免疫組織学的反応性は以下の通りである。 (1)モノクローナル抗体SG1は、精巣上体管、精嚢
および前立腺上皮細胞と特異的に反応する。 (2)モノクローナル抗体SG2は、前立腺と特異的に
反応する。 (3)モノクローナル抗体SG3は、精嚢上皮細胞の一
部と特異的に反応する。
えば、上記の本発明によるモノクローナル抗体(即ち、
ヒト精液γ−GTPに特異性を示すモノクローナル抗
体、特には前記の3種のモノクローナル抗体SG1、S
G2および/またはSG3)を用いて実施するので、精
度良くヒト精液γ−GTPを検出することができる。
試料は、血中のヒト精液γ−GTPを分析可能な試料で
あれば特に制限されるものではないが、例えば、生体試
料、特には、血清又は血漿である。本発明の前立腺疾患
検出方法においては、被検試料中に存在するヒト精液γ
−GTPと由来を異にする各種γ−GTPの影響を避け
ることができる。
性を示すモノクローナル抗体を用いることを除けば、そ
れ以外の点で従来公知の免疫学的検出方法、例えばラジ
オイムノアッセイ、エンザイムイムノアッセイ等を広く
利用することができる。
ト、ラテックス等の不溶性担体)に本発明のモノクロー
ナル抗体を公知の手段により固定し、被検試料と接触
後、標識化した二次抗体を反応させ、その標識物質由来
の信号を検出することで、被検試料中のヒト精液γ−G
TPを測定する(いわゆるサンドイッチ法)ことができ
る。
組織染色等に用いることもできる。例えば、組織切片あ
るいは細胞診スメア標本をアルコール固定後、本発明の
モノクローナル抗体を添加して反応させる。洗浄後、標
識化二次抗体を反応させ、その標識物由来の信号を検出
することで、組織中のヒト精液γ−GTPの存在の有無
を確認することができる。
えばウサギ抗マウスIgG等を用いることができる。あ
るいは、一次抗体とは異なる別の本発明のモノクローナ
ル抗体を用いることもできる。
物質を任意に選択し使用することができる。例えば放射
性同位体(32P、35S、 3H等)、酵素(ペルオキシダ
ーゼ、アルカリホスファターゼ等)、蛍光物質(FIT
C等)、発光物質(ルミノール、アクリジニウムエステ
ル等)を用いることができる。
するが、本発明は以下の実施例によって限定されるもの
ではない。実施例1:抗ヒト精液γ−GTP抗体産生ハイブリドー
マの作成 (a)ヒト精液γ−GTPの調製 ヒト精液γ−GTPは、ヒト精液より、Biochimica Bio
physica Acta,1077,259-264,1991に記載の方法に従って
得た。即ち、ヒト精液を遠心分離(37000×g、3
0分間)して精漿を得た。この精漿に硫酸アンモニウム
(45%飽和)を加え、30分間攪拌を続けた後、遠心
分離(37000×g、30分間)して沈殿を分取し
た。上清液に硫酸アンモニウム(50%飽和)を加え、
同様の操作を行った。沈殿を蒸留水に溶解し、20mMト
リス塩酸緩衝液(pH8.5)に対して透析を行った。透
析した試料を、前もって同緩衝液で平衡化したDE−5
2カラムに充填し、同緩衝液で洗浄した後、塩化ナトリ
ウム(0〜0.5M)含有20mMトリス塩酸緩衝液(pH
8.5)による、リニア−グラジェントにより溶出を行
った。溶出液をトヨパールDEAE−650S(東ソ
ー)カラムに充填し、上記と同様の操作を行い、溶出液
を凍結乾燥によって濃縮した。濃縮液を、0.1M塩化
ナトリウムを含む20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.5)
で平衡化したトヨパールHW−65(東ソー)でゲル濾
過し、同緩衝液で溶出した。同様の操作を行い、分子量
約250kDaの精製ヒト精液γ−GTPを得た。
μg/ml、活性:4U/ml、比活性:20U/mgタンパ
ク質)を等量のフロインド氏完全アジュバントと乳化す
るまで混合し、その混合液300μlをBalb/c系
マウスの背の数か所に皮下注射した(第1回免疫)。2
週間後に同様の投与を行った(第2回免疫)。第2回免
疫から26日経過後、免疫原溶液250μlを、前記の
マウスの腹腔内に投与した(最終免疫)。最終免疫から
4日経過後、脾臓を無菌的にマウスから取り出し、次の
細胞融合工程に使用した。
的に抽出した前記の脾臓を入れた。次に、この脾臓細胞
を細かく刻みステンレスメッシュで濾しとった。細胞懸
濁液を15ml遠心チューブに集め、500×gで10分
間遠心した。こうして得たペレットをRPMI1640
培地で遠心法により2回洗浄し、生きている脾臓細胞数
を測定した。
マ細胞(骨髄腫細胞)p3−U1約6×107 個に前記
脾臓細胞2×105 個を加え、RPMI1640培地中
でよく混合し、遠心分離を行った(500×g、10分
間)。その上清を吸引し、ペレットをよく解きほぐし、
40%ポリエチレングリコール4000溶液(38℃に
保温)0.2mlを滴下し、遠心チューブを手で1分間穏
やかに回転することによってポリエチレングリコール溶
液と細胞ペレットとを混合させた。次に、38℃に保温
しておいたRPMI1640培地を1分間毎に1ml、1
ml、2ml、4ml、8mlの順で加えて、チューブを穏やか
に回転させた。この時、最後の8mlは、10%FCSを
含むRPMI1640培地を用いた。次に、遠心分離
(500×g、10分間)により上清を除去した後、1
5%ウシ胎児血清を含むHAT培地(RPMI1640
培地にアミノプテリン4×10-7M、チミジン1.6×
10-5M、ヒポキサンチン1×10-4Mになるように添
加したもの)45mlに懸濁した(3×105 個/ウエ
ル)。この細胞懸濁液を96ウエル細胞培養プレートの
各ウエルに90μlずつ分注し、5%炭酸ガスを含む炭
酸ガス培養器で37℃にて培養を開始した。5日目に前
記のHAT培地50μlを加え、更にその3日後から
は、培養中、2〜3日間隔で各ウエルの培地を約100
μl除き、新たに前記のHAT培地100μlを加える
ことによりHAT培地中で増殖するハイブリドーマを選
択した。10日目に、後記のELISA法により、抗ヒ
ト精液γ−GTP抗体産生ハイブリドーマをスクリーニ
ングした。
ELISA法により測定した。96ウエルELISA用
プレート(Farcon)の各ウエルに粗精製ヒト精液
γ−GTP希釈液(タンパク質量:0.1mg/ml、活
性:1.5U/ml、比活性:15U/mgタンパク質、P
BSで20倍希釈した)50μlずつを分注し、4℃で
1夜放置した。次に、0.05%Tween20−PB
Sで3回洗浄した後、ブロッキング剤(ブロックエー
ス、大日本製薬)で2時間処理し、各ウエルに培養液上
清20μlを加え、25℃で1時間反応させた。
に希釈したペルオキシダーゼ結合抗マウス抗体(Kir
kegaard & Perry Lab.,In
c.)50μlを各ウエルに加えた。反応終了後、0.
05%Tween20−PBSで各ウエルを3回洗浄
し、1mM−ABTSおよび0.015%過酸化水素水を
含む溶液100μlを各ウエルに加え、25℃で30分
間反応させ、各ウエルの405nmにおける吸光度を測定
した。その結果、480ウエル中、14ウエルに抗体産
生が認められた。そのうち5ウエル中のハイブリドーマ
を限界希釈法によりクローニングした。限界希釈法は、
HT培地でハイブリドーマが5個/mlとなるように希釈
した細胞浮遊液を、予め正常Balb/c系マウスの腹
腔細胞がウエルあたり2×104 個分注してある96ウ
エルプレートの各ウエルに100μlずつ分注した。1
0日後、ELISA法によってヒト精液γ−GTP特異
的抗体を産生するハイブリドーマのクローンをスクリー
ニングした。その結果、各ハイブリドーマにつき、20
〜40個の抗体産生クローンが得られた。これらのクロ
ーンの中から、増殖力が強く、抗体分泌能が高く、しか
も安定なクローンを選び、前記と同様の方法で再クロー
ン化を行い、3種の抗ヒト精液γ−GTP抗体産生ハイ
ブリドーマSG1、SG2およびSG3を樹立した。
それぞれ15%ウシ胎児血清を含むRPMA1640培
地で、37℃で5%二酸化炭素雰囲気中において72〜
96時間培養した。培養物を遠心分離(10000×
g、10分間)後、上清に固形の硫酸アンモニウムを5
0%最終濃度となるように徐々に加えた。混合物を氷冷
下で30分間攪拌した後、60分間放置してから遠心分
離(10000×g,10分間)処理し、得られた沈渣
を少量のPBS(pH7.6)に溶解後、PBSに透析し
た。次に、プロテインAアフィニティクロマトグラフィ
ー(MAPS−II、バイオラッド社)により処理し、精
製した抗ヒト精液γ−GTP特異モノクローナル抗体S
G1、同様にモノクローナル抗体SG2、およびモノク
ローナル抗体SG3の溶液を得た。
デカン)0.5mlを10〜12週齢のCDFI系マウス
の腹腔内に投与し、それから14〜20日目のマウスの
腹腔内にインビトロで増殖されたハイブリドーマSG
1、SG2およびSG3をマウス一匹あたり5×106
個となるように接種した。
約10〜15mlの腹水が得られた。その抗体濃度は、2
〜10mg/mlであった。腹水中のモノクローナル抗体の
精製は、前記のイン・ビトロ精製と同様の方法で行っ
た。
ブリンクラスおよび特異性の同定 モノクローナル抗体SG1、SG2またはSG3の免疫
グロブリンクラスの同定は、オクテロニー免疫拡散法に
より行った。その結果、SG1はIgG2a、κ−isotyp
e 、SG2およびSG3はそれぞれIgG1 、κ−isot
ype であった。
抗原としてヒト精液γ−GTP(活性値:50mU/m
l)、ヒト男女血清γ−GTP(活性値:29.4±2
5.2mU/ml、n=5)、腎由来γ−GTP(活性値:
50mU/ml)および肝由来γ−GTP(活性値:50mU
/ml)を50μl分注し、公知の手段によって固定化し
た。モノクローナル抗体SG1、モノクローナル抗体S
G2およびモノクローナル抗体SG3を加えて免疫反応
させた後、0.05%Tween20−PBSで洗浄し
た。次にペルオキシダーゼ抗マウス抗体(濃度1μg/
ml)50μlを各ウエルに加え、洗浄後、実施例1と同
様の操作によってモノクローナル抗体の特異性を確認し
た。その結果、本発明の各モノクローナル抗体は、いず
れもヒト精液γ−GTPのみと反応性を示した。 (2)従来公知のイムノブロッティング法により試験を
行った結果、モノクローナル抗体SG1、SG2および
SG3はヒト精液γ−GTPのみに反応し、その他の腎
由来γ−GTP、肝由来γ−GTPとは反応しなかっ
た。いずれのモノクローナル抗体もヒト精液γ−GTP
の2つのサブユニットである150kDaと95kDa
に反応した。 (3)解剖屍体より摘出した男性生殖器(精巣、精巣上
体、精嚢および前立腺)を10%ホルマリン固定後、パ
ラフィンに包埋し、それを4μmの厚さに薄切し、脱パ
ラフィン操作を行った。この組織標本について、ABC
法に従い免疫染色を行った。その結果は以下の通りであ
った。 (A)モノクローナル抗体SG1は、精巣上体管、精嚢
および前立腺上皮細胞と特異的に反応した。 (B)モノクローナル抗体SG2は、前立腺と特異的に
反応した。 (C)モノクローナル抗体SG3は、精嚢上皮細胞の一
部と特異的に反応した。
より固相(96穴プレート)に固定した。それに種々の
抗原としてヒト精液(γ−GTP活性値:1.3±0.
76〜9.9±0.10mU/ml)、ヒト唾液(3.2±
0.51mU/ml、n=3)、ヒト汗(4.3±0.45
mU/ml、n=2)、男性血清(27.36±18.21
mU/ml、n=6)、女性血清(9.42±1.60mU/
ml、n=5)、腎由来γ−GTP(4.2±0.74〜
200mU/ml)、および肝由来γ−GTP(4.1±
0.35〜100mU/ml)を反応させた後、標識化した
モノクローナル抗体SG3(プロテインAアフィニティ
クロマトグラフにより精製したIgGに、NHS−LC
−Biotinを結合させ、LC−Biotin化した
モノクローナル抗体SG3)を反応させ、常法により、
基質(ABC法に従い、abidin−biotin−
complexを反応させた後、パーオキシダーゼ−b
iotinをABTSにより発色)を加え、波長405
nmにて吸光度を測定した。その結果、ヒト精液のみが陽
性であった。その他の試料のO.D.は0.005以下
であった。ヒト精液を0.05%Tween20−PB
Sで希釈していきヒト精液γ−GTPを測定した時、本
発明のモノクローナル抗体を使用した時の測定感度は、
2×105 倍希釈精液まで検出可能(O.D.として
0.05)であった。
いて、実施例4に示したサンドイッチELISA法によ
り測定を行った結果を表1に示す。表1のように、健常
者に対して前立腺疾患々者血清中の精液γ−GTP量は
明らかに有意に高値を示した。
た前立腺癌組織について、モノクローナル抗体SG1お
よびSG2を用いてABC法により免疫染色を行った結
果、中分化型から低分化型癌細胞が陽性を示した。ま
た、周囲の結合組織内に湿潤した癌細胞が、特に強陽性
に染色された。以上のように、ヒト精液γ−GTPは前
立腺疾患のマーカーとなることが確認された。
1、SG2およびSG3は、それぞれ1992年3月1
8日に工業技術院微生物工業技術研究所に寄託された。
受託番号は、ハイブリドーマSG1が微工研菌寄第12
885号(FERM P−12885)、ハイブリドー
マSG2が微工研菌寄第12886号(FERM P−
12886)、およびハイブリドーマSG3が微工研菌
寄第12887号(FERM P−12887)であ
る。
γ−GTPを、由来の異なるγ−GTPの影響を受ける
ことなく、特異的に、簡便かつ迅速に測定することがで
きる。従って、本発明は前立腺疾患等の診断および病理
研究、また法医学的分野に有用な手段を提供するもので
ある。
Claims (4)
- 【請求項1】 ヒト精液γ−グルタミルトランスペプチ
ダーゼに特異的に反応し、腎由来γ−グルタミルトラン
スペプチダーゼ及び肝由来γ−グルタミルトランスペプ
チダーゼと反応しないモノクローナル抗体を用いて、血
中のヒト精液γ−グルタミルトランスペプチダーゼを分
析することを特徴とする、前立腺疾患の検出方法。 - 【請求項2】 受託番号がFERM P−12885、
FERM P−12886、又はFERM P−128
87であるハイブリドーマから分泌され、ヒト精液γ−
グルタミルトランスペプチダーゼに特異的に反応し、腎
由来γ−グルタミルトランスペプチダーゼ及び肝由来γ
−グルタミルトランスペプチダーゼと反応しないモノク
ローナル抗体。 - 【請求項3】 ヒト精液γ−グルタミルトランスペプチ
ダーゼに特異的に反応し、腎由来γ−グルタミルトラン
スペプチダーゼ及び肝由来γ−グルタミルトランスペプ
チダーゼと反応しないモノクローナル抗体を産生する、
受託番号がFERM P−12885、FERM P−
12886、又はFERM P−12887であるハイ
ブリドーマ。 - 【請求項4】 ヒト精液γ−グルタミルトランスペプチ
ダーゼに特異的に反応し、腎由来γ−グルタミルトラン
スペプチダーゼ及び肝由来γ−グルタミルトランスペプ
チダーゼと反応しないモノクローナル抗体を用いること
を特徴とする、血中のヒト精液γ−グルタミルトランス
ペプチダーゼの検出方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09866192A JP3336033B2 (ja) | 1992-03-24 | 1992-03-24 | 抗ヒト精液γ−グルタミルトランスペプチダーゼモノクローナル抗体、ハイブリドーマおよび前立腺疾患検出方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP09866192A JP3336033B2 (ja) | 1992-03-24 | 1992-03-24 | 抗ヒト精液γ−グルタミルトランスペプチダーゼモノクローナル抗体、ハイブリドーマおよび前立腺疾患検出方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05268989A JPH05268989A (ja) | 1993-10-19 |
JP3336033B2 true JP3336033B2 (ja) | 2002-10-21 |
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ID=14225701
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP09866192A Expired - Fee Related JP3336033B2 (ja) | 1992-03-24 | 1992-03-24 | 抗ヒト精液γ−グルタミルトランスペプチダーゼモノクローナル抗体、ハイブリドーマおよび前立腺疾患検出方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3336033B2 (ja) |
-
1992
- 1992-03-24 JP JP09866192A patent/JP3336033B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
Biochimica et Biophysica Acta,1077(1991),p.259−264 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05268989A (ja) | 1993-10-19 |
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