JP3016932B2 - スルーホールを有するセラミックス基板の製造方法 - Google Patents
スルーホールを有するセラミックス基板の製造方法Info
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Description
等において使用されるスルーホールを有するセラミック
ス基板の製造方法に関するものである。
り、予め開孔されたグリーンシートのスルーホール形成
用孔に対して、タングステン等の導電性粒子にα−テル
ピネオール等の分散溶媒及びチキソ剤を所定量加え、三
本ロール混合機等で混練して得られたチキソトロピーな
ペーストを充填した後、ペースト中の分散溶媒を乾燥除
去して導電性粒子をスルーホール形成用孔内に定着させ
ていた。このようなグリーンシートを適宜積層して、そ
の積層体をるつぼに入れると共にその周囲をセッターで
包囲した後、ホットプレス焼成を施すことにより、セラ
ミックス基板を製造していた。
法にてグリーンシートをホットプレス焼成すると、セッ
ターに添加されたバインダ中またはるつぼ内の雰囲気中
に含まれる炭素化合物(CO等)との反応によって、前
記ペースト中の単体金属が種々の炭化物(XC,X2 C
等 X:単体金属)に変化し、この炭化物の生成によ
り、スルーホール内導体回路の抵抗値が増大してしま
う。タングステンペーストを用いた場合では、ホットプ
レス焼成時に一炭化二タングステン(W2 C)と一炭化
一タングステン(WC)とが生成されることが知られて
いるが、特に比抵抗の高いW2 Cの生成量がWCの生成
量に対して極めて多いことが抵抗値増大をもたらす主な
原因となっている。
に焼成する場合、例えば図2(a)及び図2(b)のよ
うに積層体を配置した後セッターで包囲すると、内側に
位置するものと外側に位置するものとの間で、炭化物の
生成割合に差ができてしまう。その結果、スルーホール
内導体回路の抵抗値のばらつきが大きくなるという問題
が生じる。
り、その目的は、スルーホール内導体回路の抵抗値を極
力小さくすることができ、かつその抵抗値のばらつきを
少なくし得るスルーホールを有するセラミックス基板の
製造方法を提供することにある。
に本発明は、予め開孔されたグリーンシートのスルーホ
ール形成用孔内に、タングステン(W)、モリブデン
(Mo)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)の炭化物
から選択される何れか少なくとも一種であって平均粒径
が1〜10μmの導電性粒子と、α−テルピネオール、
ブチラール、グリコールから選択される何れか少なくと
も一種の分散溶媒と、アニオン系分散剤、ノニオン系分
散剤から選択される何れか少なくとも一種の分散剤とか
らなるペーストを充填せしめて焼成することにより、ス
ルーホールを有するセラミックス基板を製造している。
内に充填されるペースト中の導電性粒子を予め炭化物に
しておくことにより、スルーホール内導体回路の抵抗値
のばらつきを少なくすることができる。また、このペー
ストを用いることにより、ホットプレス焼成における導
電性粒子の炭化反応の進行が防止され、スルーホール内
導体回路の抵抗値の増加が抑制される。
記導電性粒子としては、タングステン、モリブデン、タ
ンタル、ニオブ等の金属の炭化物があげられ、これらか
ら選択される何れか少なくとも一種が使用される。前記
炭化物としては、例えば、一炭化一タングステン(W
C)、炭化タンタル(TaC)、炭化ニオブ(NbC)
等がある。尚、前記炭化物の比抵抗、及び前記炭化物を
構成する単体金属の比抵抗は、表1に示す通りである。
mの範囲が好ましい。平均粒径が1μm未満では単位重
量当たりの粒子表面積が増大し、これら微細粒子をゾル
化させるための分散溶媒がより多く必要となるため、ペ
ーストの高濃度化が図れない。一方、平均粒径が10μ
mを超えると、スルーホール内への充填性が悪くなり、
また導電性粒子間の接点が少なくなるため、スルーホー
ル内導体回路の電気抵抗を増大させる虞れが生ずる。
ル、ブチラール、グリコール等があげられ、単独でまた
は二種以上混合して使用される。分散溶媒の配合割合
は、導電性粒子100重量部に対し、2〜10重量部の
範囲が好適である。この配合割合が2重量部未満では導
電性粒子を均一に分散してゾル状ペーストを得ることが
できず、10重量部を超えるとペースト中における導電
性粒子の含有率が低下し、乾燥後におけるスルーホール
内導体回路の電気抵抗を増大させる。
塩、芳香族アミン塩、複素環アミン塩、アルキルアミ
ン、ポリアルキレンポリアミン誘導体等のアニオン系分
散剤や、エステル型、エステルエーテル型、エーテル
型、含窒素型等のノニオン系分散剤があげられ、単独で
または二種以上混合して使用される。分散剤としては前
記導電性粒子との親和性がよくないカチオン系分散剤は
不適当で、このような分散剤を使用すると、導電性粒子
の分散性をかえって悪くする。また、前記分散溶媒に溶
解可能なものが使用される。この分散剤の配合によっ
て、ペーストが全体として低粘度化される。
一に混合され、三本ロール混合機等によって混練される
ことにより、所定の粘度及び密度の範囲に調製される。
本発明が適用可能なセラミックス基板は、窒化アルミニ
ウム、アルミナ、炭化珪素、窒化珪素等のセラミックス
材料によって成形されたグリーンシートを焼成してなる
基板である。とりわけ、配線板に必要な物性を備える窒
化アルミニウム基板を選択することが好ましい。
の充填に先立ち、前述したような溶媒が予め含浸され
る。これはスルーホール内に前記ペーストを充填する際
に、ペースト中の分散溶媒がスルーホールの内壁面から
吸収されてスルーホール内におけるペーストの流動性が
低下し、均一な充填が阻害されるのを未然に防止するた
めである。スルーホール内へのペーストの充填はローラ
ー印刷等の常法に従ってなされ、グリーンシートの裏側
からはみ出した過剰のペーストは掻き取り除去される。
その後、基板は乾燥され、基板に予め含浸させた溶媒及
びペースト中の分散溶媒が除去される。この乾燥工程に
おいて、時間短縮のため加熱乾燥を行う場合、導電性粒
子の酸化による電気抵抗の増大を防ぐため、不活性ガス
雰囲気下において乾燥することが好ましい。
粒子が定着されると、グリーンシートは適宜積層され、
その積層体をるつぼに入れると共にその周囲をセッター
で包囲した後、常法に従ってホットプレス焼成されるこ
とにより、スルーホールを有するセラミックス基板が形
成される。
ム製の多層配線板の製造方法に具体化した実施例及び比
較例について図面を参照しながら詳細に説明する。 〔実施例〕平均粒径が3.3μmかつ比抵抗が53×1
0-6Ωcmの一炭化一タングステン(WC)微粒子50
00gに、ジエチレングリコールに50重量%のアクリ
ルバインダを配合した混合溶媒を200g、分散剤を
5.0g配合した混合物を三本ロール混合機を使用し、
23℃にて1時間混練して、粘度が100000cps〜
150000cps の充填用ペーストを調製した。
m)が多数透設された窒化アルミニウム製グリーンシー
トの微細気孔中にα−テルピネオールを25℃にて1時
間かけて真空含浸し、その後、スピンナーにかけて56
00rpm にて15秒間処理し、スルーホール形成用孔内
に満たされたα−テルピネオールを吹き飛ばした。そし
て、このグリーンシートの表面にスルーホール形成用孔
とその周辺部のみを露出させるメタルマスクを施し、こ
のメタルマスクの上から前記ペーストを表2に示す条件
でローラー印刷を行い、ペーストを充填した。
裏面から押し出された過剰のペーストを掻き取り除去
し、グリーンシート1のスルーホール形成用孔2内にペ
ースト3を充填した(図1(a) 参照)。続いて、このグ
リーンシート1を50℃にて1時間窒素を吹き付けて予
備乾燥した後、150℃にて12時間窒素を吹き付けて
本乾燥を行ったところ、ペースト3が若干収縮してスル
ーホール形成用孔2内にWC粒子4が定着された(図1
(b) 参照)。そして、グリーンシート1の表面を厚さh
(本実施例では 200μm)だけ研磨、除去することによ
り、スルーホール内がWC粒子4によって完全に満たさ
れたグリーンシート1を得た(図1(c) 参照)。
(本実施例では4枚)、その積層体1aを16枚並べる
と共に、その上下両面及び周縁にそれぞれ窒化アルミニ
ウム生成形体製の板状セッターS1 及び棒状セッターS
2 を配置した(図2(a) 参照)。そして、各セッターS
1 ,S2 に包囲された状態の積層体1aを黒鉛製のるつ
ぼM内に収容し、窒素雰囲気下、100kg/cm2〜300
kg/cm2の加圧条件にてホットプレス焼成を施した(図2
(b) 参照)。尚、前記ホットプレス焼成では、10℃/
分〜20℃/分の割合で1700℃〜1900℃まで昇
温し、その焼成温度にて1時間〜5時間保持した。
して平面研削及び表面のラップ加工を施し、積層体1a
の厚みを0.75mm,表面粗度Raを0.2μmにし
た。そして、積層体1aの表面に化学メッキを施して、
所望のスルーホールを有する窒化アルミニウム製の多層
配線板を得た。
スルーホール内導体回路の抵抗値(平均値、標準偏差、
最大値及び最小値)を測定すると共に、スルーホール内
導体回路の組成についても調査を行った。尚、図2
(a)及び図2(b)に示すように、るつぼM内におい
て両方のセッターS1 ,S2 と密接する外側積層体群A
と、外側積層体群Aの内側に配置されると共に板状セッ
ターS1 のみと密接する内側積層体群Bとについて別々
に前記測定及び調査を行った。これらの結果を表3に示
す。 〔比較例〕平均粒径が3.3μmのタングステン(W)
微粒子5000gに、ジエチレングリコールに50重量
%のアクリルバインダを配合した混合溶媒を200g、
分散剤を5.0g配合した混合物を三本ロール混合機を
使用し、23℃にて1時間混練して充填用のペーストを
調製した。
様に、窒化アルミニウム製グリーンシートにローラー印
刷を施してスルーホール形成用孔内にペーストを充填し
た。以下、実施例の手順に従って、スルーホールを有す
る窒化アルミニウム製の多層配線板を作成した。この比
較例の配線板についても前記測定及び調査を行った。そ
の結果を同様に表3に示す。
例に比べてスルーホール内導体回路の平均抵抗値が全般
的に低くなることが判明した。また、実施例では抵抗値
の標準偏差の幅、最大抵抗値及び最小抵抗値も比較例に
比べて小さかった。更に、実施例では外側積層体群Aの
各測定値と内側積層体群Bの各測定値との差は、比較例
に比して小さくなる傾向が認められた。以上の測定結果
を総合すると、スルーホール内導体回路の抵抗値が小さ
い点及び抵抗値のばらつきが少ない点において、実施例
の配線板が比較例の配線板より優れることが判った。
組成を調査した結果、外側積層体群A及び内側積層体群
BともにWCのみからなるスルーホール内導体回路が形
成され、積層体1aの配置位置による抵抗値の変動は極
めて僅かであった。一方、比較例においては外側積層体
群AのW2 C生成割合は高く、特に内側積層体群Bでは
W2 Cの生成割合が高かった。尚、上述したように、W
2 Cの比抵抗値は81×10-6Ωcmと、WCの比抵抗
値に比して大きいものである。
の比較的小さいWCを予めペーストに配合した実施例の
製造方法によれば、比較例とは異なり、スルーホール内
導体回路の抵抗値増大の原因となるW2 Cが生成される
ことがない。従って、上述のように好適な結果がもたら
される。
ールを有するセラミックス基板の製造方法によれば、ス
ルーホール内導体回路の抵抗値を極力小さくすることが
でき、かつその抵抗値のばらつきを少なくすることがで
きるという優れた効果を奏する。
におけるスルーホール内導体回路の形成手順を示す一連
の説明図である。
シート積層体の配置を示す概略図である。
ペースト、4 導電性粒子としての一炭化一タングステ
ン粒子(WC)。
Claims (3)
- 【請求項1】予め開孔されたグリーンシート(1)のス
ルーホール形成用孔(2)内に、 タングステン、モリブデン、タンタル、ニオブの炭化物
から選択される何れか少なくとも一種であって平均粒径
が1〜10μmの導電性粒子(4)と、α−テルピネオ
ール、ブチラール、グリコールから選択される何れか少
なくとも一種の分散溶媒と、アニオン系分散剤、ノニオ
ン系分散剤から選択される何れか少なくとも一種の分散
剤とからなるペースト(3)を充填せしめて焼成するこ
とを特徴とするスルーホールを有するセラミックス基板
の製造方法。 - 【請求項2】前記ペースト(3)は、導電性粒子100
重量部に対して分散溶媒が2重量部〜10重量部、分散
剤が0.1重量部〜2.0重量部配合されてなることを
特徴とする請求項1に記載のスルーホールを有するセラ
ミックス基板の製造方法。 - 【請求項3】前記セラミックス基板は、窒化アルミニウ
ム基板であることを特徴とする請求項1に記載のスルー
ホールを有するセラミックス基板の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP34699191A JP3016932B2 (ja) | 1991-12-27 | 1991-12-27 | スルーホールを有するセラミックス基板の製造方法 |
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JP34699191A JP3016932B2 (ja) | 1991-12-27 | 1991-12-27 | スルーホールを有するセラミックス基板の製造方法 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP32421899A Division JP2000114682A (ja) | 1999-11-15 | 1999-11-15 | スル―ホ―ルを有するセラミックス基板 |
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WO2005120140A1 (ja) * | 2004-06-01 | 2005-12-15 | Exink Co., Ltd. | 回路基板、それを製造するための金属ペースト及び方法 |
-
1991
- 1991-12-27 JP JP34699191A patent/JP3016932B2/ja not_active Expired - Fee Related
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