JP3016543B2 - シロキサン含有セルロース誘導体およびその製造方法 - Google Patents
シロキサン含有セルロース誘導体およびその製造方法Info
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Description
ス誘導体、特にセルロースとシリコーンの両方の性質を
兼備した文献未載の安定なシロキサン含有セルロース誘
導体およびその製造方法に関するものである。
物を反応させてその両者の特徴を生かした組成物を得る
という試みについては数多くの報告がなされているが、
これには有機ケイ素化合物の反応効率が悪かったり、ト
リメチルシリルセルロースなどのようにセルロースに有
機ケイ素化合物が含有されているものは水に対して不安
定であるという欠点があり、さらには反応生成物が問題
なく得られても期待しているような性能が発揮できない
ために実用化に問題があった。
ン含有セルロース誘導体についてはアリルセルロース誘
導体に≡Si-H結合を有する有機ケイ素化合物を反応させ
てシロキサン含有セルロース誘導体を得る方法も公知と
なっている(特公昭64-11201号公報参照)が、この方法
では原料となるアリルセルロース誘導体の調製が難し
く、未反応のアリル基が残存している場合にはアリルセ
ルロース誘導体の保存中にアリル基同士が架橋してしま
うために溶剤に対する溶解性が失われるという欠点があ
った。
題点を解決した文献未載の新規なシロキサン含有セルロ
ース誘導体およびその製造方法に関するものであり、こ
のシロキサン含有セルロース誘導体は、一般式
のグルコース残基を、R1は炭素数1〜10の2価の炭化水
素基を表し、R2、R3、R4、R5、R6、R7はそれぞれ同一ま
たは互いに相異なる炭素数1〜10の1価の炭化水素基で
あり、R8、R9、R10 は、それぞれ同一または互いに相異
なる炭素数1〜10の1価の炭化水素基または -OSiR11R
12R13で示されるシロキシ基(R11 、R12 、R13 は、炭
素数1〜10の1価の炭化水素基)、mは0〜5の整数、
nは0〜60の数、x、yはy/xが0.01以上]で示され
る重合度が50〜 4,000のシロキサン含有セルロース誘導
体であり、またこの製造方法はA)水酸基を有するセル
ロース誘導体とB)一般式
R2、R3、R4、R5、R6、R7はそれぞれ同一または互いに相
異なる炭素数1〜10の1価の炭化水素基であり、R8、
R9、R10 はそれぞれ同一または互いに相異なる炭素数1
〜10の1価の炭化水素基または -OSiR11R12R13で示され
るシロキシ基(R11 、R12 、R13 は、炭素数1〜10の1
価の炭化水素基)、mは0〜5の整数、nは0〜60の
数]で示されるイソシアネート基含有オルガノポリシロ
キサンとを反応させることを特徴とするものである。
リコーンの両方の性質を兼備したシロキサン含有セルロ
ース誘導体を開発すべく種々検討した結果、水酸基を含
有するセルロース誘導体と前記一般式(化2)で示され
るイソシアネート基含有オルガノポリシロキサンとを反
応させると、このイソシアネート基含有オルガノポリシ
ロキサンのイソシアネート基が反応性の高いものである
ため、これがセルロース誘導体の水酸基と効率的に反応
して前記した一般式(化1)で示されるシロキサン含有
セルロース誘導体が容易に得られることを見出した。ま
た、このようにして得られたシロキサン含有セルロース
誘導体は、文献未載の新規なもので、セルロース誘導体
が持っている造膜性、強靭性などの特徴と有機ケイ素化
合物の持っている弾性、ガス透過性などの特徴を併せ持
ち、各種有機溶剤にも溶解するので、ガス分離膜、感熱
記録材料、化粧品材料、接着剤、繊維処理剤などの原料
として有用なものであることを確認して本発明を完成さ
せるに至った。以下にこれをさらに詳細に述べる。
その製造方法に関するものであり、このシロキサン含有
セルロース誘導体は前記した一般式(化1)で示される
ものであり、この製造方法はA)水酸基含有セルロース
誘導体とB)前記した一般式(化2)で示されるイソシ
アネート基含有オルガノポリシロキサンとを反応させる
ことを特徴とするものであるが、このシロキサン含有セ
ルロース誘導体は、セルロース誘導体とシリコーン化合
物の両方の性質を兼備した安定な化合物であり、セルロ
ース誘導体が持つ造膜性、強靭性などの特徴と、有機ケ
イ素化合物の持っている弾性、ガス透過性などの特徴を
併せ持ち、各種有機溶剤にも溶解するので、このものは
ガス分離膜、感熱記録材料、化粧品材料、接着剤、繊維
処理剤などの原料として有用なものである。
は、A)水酸基を含有するセルロース誘導体とB)一般
式(化2)で示されるイソシアネート基含有オルガノポ
リシロキサンを反応させて得られるものであるが、この
反応に使用可能なセルロース誘導体としては、メチルセ
ルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロ
キシエチルセルロースなどのセルロースエーテル誘導
体、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチ
レートなどのセルロースエステル誘導体などが例示され
る。これらのセルロース誘導体のグルコース単位当たり
の平均水酸基数が0.01未満では、これと反応するイソシ
アネート基含有オルガノポリシロキサンの量が少なくな
って、有機ケイ素化合物の特徴である弾性やガス透過性
の特徴が発揮されなくなるので、グルコース単位当たり
少なくとも平均0.01以上の水酸基を含有するものがよ
い。またその重合度は通常のセルロース誘導体の有する
範囲であれば良いが、反応時の溶液の粘性及び得られる
シロキサン含有セルロース誘導体を有機溶剤に溶解した
際の溶解性、溶液の粘度を考慮すると、好ましくは50〜
4,000である。
有オルガノポリシロキサンは、前記一般式(化2)で示
されるものである。このR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、
R8、R9、R10 、R11 、R12 、R13 で示される炭素数1〜
10の1価または2価の炭化水素基としては、メチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;シク
ロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル
基;フェニル基などのアリール基;ベンジル基などのア
ラルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;
クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基
などの置換炭化水素基などが例示され、このR1、R2、
R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10 、R11、R12 、R13
はそれぞれ互いに同じものでも相異なるものでもよい。
また、このR8、R9、R10 は -OSiR11R12R13で示されるシ
ロキシ基であってもよいが、このシロキシ基としてはト
リメチルシロキシ基、エチルジメチルシロキシ基、フェ
ニルジメチルシロキシ基、ビニルジメチルシロキシ基、
クロロメチルジメチルシロキシ基、3,3,3−トリフ
ルオロプロピルジメチルシロキシ基などが例示される。
ルガノポリシロキサンは、前記一般式(化2)で示され
るものであるが、その製造方法は下記一般反応式(化
5)で示されるように、1分子中にイソシアネート基と
ビニル基をそれぞれ有するシリコーン化合物とSiH 基を
1分子中に1個有する長鎖オルガノハイドロジェンポリ
シロキサンとを白金系触媒などのハイドロシリレーショ
ン触媒の存在下にハイドロシリレーションすることによ
り、イソシアネート基を1分子中に1個有するイソシア
ネート基含有オルガノポリシロキサンを製造することが
できる。〔式中R1 〜R10及びm,nは(化2)と同様
の内容を表す〕 本発明の実施例で使用される(化6)、(化7)のイソ
シアネート基含有オルガノポリシロキサンもこの方法に
より合成する。
の製造方法は分子中に水酸基を含有するセルロース誘導
体の水酸基とイソシアネート基含有オルガノポリシロキ
サンとのウレタン結合生成反応によるものであるため、
特別な反応条件や反応装置を用いる必要はないが、この
セルロース誘導体とイソシアネート基含有オルガノポリ
シロキサンとの速やかな混合、反応効率のアップ、反応
制御のためには溶媒を使用することが好ましい。この溶
媒としては酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸
イソブチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケト
ン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエ
ン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ジエチルエーテ
ル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ンなどのエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、
N−メチルピロリドン等のアミド類などが例示される
が、これらは単独で使用しても2種以上を混合して用い
てもよい。
によって異なるが、通常は20〜 150℃で1〜10時間とす
れば良く、使用する触媒としてトリエチルアミン、トリ
エチレンジアミン、N−メチルモルホリン等のアミン
類;ジラウリン酸ジ−n−ブチル錫、オレイン酸第一錫
等のようなウレタン結合生成反応に際して用いられる公
知の有機金属化合物触媒を添加してもよい。反応終了後
洗浄、乾燥して目的とするシロキサン含有セルロース誘
導体を得る。ここに使用するイソシアネート基含有オル
ガノポリシロキサンの量は、セルロース誘導体に含まれ
るグルコース単位当たりの水酸基の量によって変わる
が、イソシアネート基含有オルガノポリシロキサンが、
この水酸基の等量より多いとイソシアネート基含有オル
ガノポリシロキサンが無駄になるだけでなく、生成する
シロキサン含有セルロース誘導体の精製が難しくなるの
で、使用するイソシアネート基含有オルガノポリシロキ
サンの量はセルロース誘導体のグルコース単位当たりの
水酸基の等量以下で、且つグルコース単位当たり0.01モ
ル以上とすることがよい。またここで用いられるイソシ
アネート基含有オルガノポリシロキサンは、(化2)で
表されるものであるが、式中mは、前記した1分子中に
イソシアネート基とビニル基を有するケイ素化合物の合
成の容易さから0〜5の範囲であることが好ましく、n
は得られるシロキサン含有セルロース誘導体の溶解性及
びフィルムの強度を考慮すると0〜60の範囲であること
が好ましい。
る。 (実施例1)攪拌機、還流冷却器、滴下管、温度計を備
えた300ml の四つ口フラスコ内を窒素置換し、グルコー
ス単位当たりの水酸基が1.11でメトキシル基が1.89、ヒ
ドロキシプロピル基が0.24であるヒドロキシプロピルメ
チルセルロース・TC−5〔信越化学工業(株)製商品
名〕を 105℃で2時間乾燥させたもの10g とジラウリン
酸ジ−n−ブチル錫〔和光純薬工業(株)製〕 0.35gと
200mlのジメチルホルムアミド〔和光純薬工業(株)
製〕を仕込み、撹拌しながら溶解し、 100℃に昇温さ
せ、下記式
ン 25.5gを加え、 110〜120℃で2時間反応させて反応
を完結させ、反応液を水 600ml中に撹拌しながら注ぎ、
生じた析出物をヌッチェを用いて減圧で濾別し、繰り返
し水洗した、さらにn−ヘキサン 200mlで繰り返し洗浄
し、ヌッチェを用いて減圧で濾別した残渣を60℃、24時
間減圧乾燥したところ、生成物 24.9gが得られた。この
生成物のSi含有量を、1 H−NMR・GSX−270
(W)FT−NMR〔日本電子(株)製〕により定量、
算出したところ、19.7重量%であった。ついで、この生
成物をJIR−5500FT−IR〔日本電子(株)製〕に
よりIR定性分析するとともに13C-NMR ・GSX−270
(W)FT−NMR〔日本電子(株)製〕による同定を
行ったところ、(表1)、(表2)に示した通りの結果
が得られたので、これは目的とするシロキサン含有セル
ロース誘導体であることが確認された。
管、温度計を備えた300ml の四つ口フラスコ内を窒素置
換し、グルコース単位当たりの水酸基が0.62でアセチル
基を2.38含むアセチルセルロース・L−20F 〔ダイセル
化学工業(株)製商品名〕を 105℃で2時間乾燥させた
もの10g とジラウリン酸ジ−n−ブチル錫(前出) 0.0
7gと 200mlのジメチルホルムアミド(前出)を仕込み、
撹拌しながら溶解し、100 ℃に昇温させ、下記式
ン 17.1gを加え、 110〜120℃で4時間反応させて反応
を完結させ、反応液を水 600ml中に撹拌しながら注ぎ、
生じた析出物をヌッチェを用いて減圧で濾別した後、さ
らにn−ヘキサン200mlで繰り返し洗浄した。このヌッ
チェを用いて減圧で濾別した残渣を60℃、24 時間減圧乾
燥したところ、生成物 24.8gが得られた。この生成物の
Si含有量は、1 H−NMR・GSX−270 (W)FT
−NMR〔前出〕により定量、算出したところ、18.9重
量%であった。ついで、この生成物をIR定性分析(前
出の機器により)すると共に13C-NMR(前出の機器)に
よる同定を行ったところ、(表1)、(表3)に示した
通りの結果が得られたので、これは目的とするシロキサ
ン含有セルロース誘導体であることが確認された。
管、温度計を備えた300ml の四つ口フラスコ内を窒素置
換し、グルコース単位当たりの水酸基が1.11でメトキシ
ル基が1.89、ヒドロキシプロピル基が0.24であるヒドロ
キシプロピルメチルセルロース(前出)を 105℃で2時
間乾燥させたもの10g とジラウリン酸ジ−n−ブチル錫
(前出) 0.17gと 200mlのジメチルホルムアミド(前
出)を仕込み、撹拌しながら溶解し、 100℃に昇温さ
せ、前記(化7)で示されるイソシアネート基含有オル
ガノポリシロキサン 43.4gを加え、実施例2と同様に処
理したところ、生成物 31.5gが得られた。この生成物の
Si含有量は、26.0重量%であった。(前出の方法によ
る)ついで、前出の方法によりこの生成物のIR定性分
析及び 13C-NMRによる同定を行ったところ、(表1)、
(表3)に示した通りの結果が得られたことから、これ
は目的とするシロキサン含有セルロース誘導体であるこ
とが確認された。
体は新規物質で、これらはいずれもセルロースとシリコ
ーンの両方の性質を兼備した安定なもので、ガス分離
膜、感熱記録材料、化粧品材料、接着剤などの原料とし
て有用なものであり、その製造方法によれば、これに使
用するイソシアネート基含有オルガノポリシロキサンの
イソシアネート基が反応性の高いものであるため、セル
ロース誘導体の水酸基と効率よく反応して目的とするシ
ロキサン含有セルロース誘導体を容易にかつ効率よく得
ることができる。
ルロース誘導体のIRスペクトルを示す。
ルロース誘導体のIRスペクトルを示す。
ルロース誘導体のIRスペクトルを示す。
Claims (2)
- 【請求項1】 一般式 【化1】 [ここに Cell-はセルロースまたはセルロース誘導体の
グルコース残基を、R1は炭素数1〜10の2価の炭化水素
基を表し、R2、R3、R4、R5、R6、R7はそれぞれ同一また
は互いに相異なる炭素数1〜10の1価の炭化水素基を表
わし、R8、R9、R10 はそれぞれ同一または互いに相異な
る炭素数1〜10の1価の炭化水素基または-OSiR11R12R
13で示されるシロキシ基を(R11 、R12 、R13 は炭素数
1〜10の1価の炭化水素基)、mは0〜5の整数、nは
0〜60の数、x、yはy/xが0.01以上である数]で示
される重合度が50〜 4,000のシロキサン含有セルロース
誘導体。 - 【請求項2】A)水酸基を有するセルロース誘導体と B)一般式 【化2】 [ここにR1は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表し、
R2、R3、R4、R5、R6、R7はそれぞれ同一または互いに相
異なる炭素数1〜10の1価の炭化水素基であり、R8、
R9、R10 はそれぞれ同一または互いに相異なる炭素数1
〜10の1価の炭化水素基または -OSiR11R12R13で示され
るシロキシ基(R11 、R12 、R13 は炭素数1〜10の1価
の炭化水素基)、mは0〜5の整数、nは0〜60の数]
で示されるイソシアネート基含有オルガノポリシロキサ
ンとを反応させることを特徴とするシロキサン含有セル
ロース誘導体の製造方法。
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Publication Number | Publication Date |
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JPH08283302A JPH08283302A (ja) | 1996-10-29 |
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Family
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1995
- 1995-04-11 JP JP7085490A patent/JP3016543B2/ja not_active Expired - Fee Related
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