JP3016143U - 手動式パイプ押圧器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 使用の際ジョー部材を片手で押さえる必要の
ない手動式パイプ押圧器を提供することである。 【構成】 パイプの内面同志を圧着させるための手動式
パイプ押圧器において、ジョー部材に設けられた固定押
圧部材と、固定押圧部材と対向してジョー部材に形成さ
れた雌ねじ付き挿通孔と、挿通孔に螺合された、軸線方
向に往復動可能な雄ねじ付きロッドと、固定押圧部材と
対向して配置された可動押圧部材とを有し、可動押圧部
材は、前記雄ねじ付きロッドに対して回転自在に前記雄
ねじ付きロッドの先端に、且つ、前記可動押圧部材が前
記ジョー部材に対して回転しないように、前記ジョー部
材にその長手方向に摺動自在に取付けられ、更に、雄ね
じ付きロッドの回転によるジョー部材の回転を防止する
ための、ジョー部材から延び、パイプ押圧器の使用にお
いて雄ねじ付きロッドを回転させたときに該雄ねじ付き
ロッドの回転力によりパイプに衝合する、廻り止め手段
を有する構成である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、手動式パイプ押圧器に関し、特に、樹脂製水道管の手動式止水装置 に関する。

【０００２】

【従来技術】

水道管が破裂などして漏水している場合、その修復工事を行うに当たって、幹 線の水道管の止水栓を止めてしまうときには、当該幹線水道管に関連する地区一 帯を断水させてしまうことになり、非常に不便である。 そこで、最近、このような漏水修復工事に際しては、漏水している水道管が塩 化ビニール製やポリエチレン製などの樹脂製水道管である場合、この漏水してい る水道管の止水のみを行うための止水装置が開発された。 この種の止水装置としては、例えば、ジョー部材の対向する２本のアームのう ちの一方のアームに取付けられた固定押圧部材と、ジョー部材の他方のアームに 形成された雌ねじ付き挿通孔に螺合された、軸線方向に往復動可能な雄ねじ付き ロッドと、固定押圧部材に対向して雄ねじ付きロッドの先端に取付けられた可動 押圧部材と、雄ねじ付きロッドの後端に取付けられたハンドルとを有する、手動 式止水装置が知られている。この装置では、水道管を止水するに当たっては、水 道管を跨ぐように可動押圧部材と固定押圧部材とを配置し、ハンドルを廻すこと によってロッドを水道管に向けて移動させ、これによって、可動押圧部材を水道 管に押圧させると同時に固定押圧部材によって水道管を押圧し、ひいては、水道 管の内面同志を圧着させる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記構成の止水装置では、水道管は地中に埋まって固定されて いる一方、ジョー部材はロッドを介してハンドルと係合しているため、ハンドル を廻すときには、そのトルクがジョー部材に伝わり、ジョー部材が回転運動して しまう結果、可動押圧部材及び固定押圧部材が水道管から外れてしまいやすかっ た。このため、作業者は、ジョー部材が回転しないように、片手でジョー部材を 保持しながらもう一方の手でハンドルを廻さなければならないが、このことは、 水道管が浅い位置に埋設されている場合はともかく、深い位置に埋設されている 場合には、作業者にかなり窮屈な作業姿勢を強いるばかりか、ハンドルを廻すこ とさえ困難にした。

【０００４】

【考案の目的】

従って、本考案は、上述した従来の技術の問題点を解決するためになされたも のであり、ジョー部材を手で保持することなくジョー部材の回転を防止すること ができるパイプ押圧器を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案の手動式パイプ押圧器は、ジョー部材に設けられた固定押圧部材と、固 定押圧部材と対向してジョー部材に形成された雌ねじ付き挿通孔と、挿通孔に螺 合された、軸線方向に往復動可能な雄ねじ付きロッドと、固定押圧部材と対向し て配置された可動押圧部材とを有し、可動押圧部材は、雄ねじ付きロッドに回転 自在に、且つ、ジョー部材に摺動自在に取付けられ、更に、雄ねじ付きロッドの 回転によるジョー部材の回転を防止するための、ジョー部材から延び、パイプ押 圧器の使用において雄ねじ付きロッドを回転させたときに該雄ねじ付きロッドの 回転力によりパイプに衝合する、廻り止め手段を有することを特徴とする。

【０００６】

【考案の作用】

上記構成の摺動式パイプ押圧器によれば、ロッドを回転させることによってロ ッドが軸線方向下方に移動し、このロッドに取付けられた可動押圧部材も固定押 圧部材に向かって下方に移動する。すると、可動押圧部材は、これと固定押圧部 材との間に配置されたパイプを押圧し、同時に、押圧されたパイプが固定押圧部 材を押圧し（固定押圧部材がパイプを押圧する）、パイプは、ついには、両押圧 部材によって、内面が圧着される。 ロッドを回転させたときのジョー部材の回転は、ジョー部材に取付けられた廻 り止め手段がパイプに衝合することによって阻止することができる。 従って、本考案による手動式パイプ押圧器では、ジョー部材の回転防止のため に片手でジョー部材を把持する必要がなく、このため、作業者は、パイプ押圧の 際に窮屈な姿勢を強いられることがなく、また、両手を、軽くはないロッドを廻 すことに専念させることができる。

【０００７】

【実施例】

以下、添付図面を参照して、本考案の一実施例について説明する。この実施例 は、本考案を樹脂製水道管の止水装置に適用したものである。 図１及び図２に示すように、参照番号１は止水装置を全体的に示し、止水装置 １は、対向する２本のアーム部２Ａ、２Ｂと、これらのアーム部を連結する連結 部２Ｃとを有するＵ形のジョー部材２を有する。アーム部２Ａの内面にはほぼそ の長さに亘って固定押圧部材３が設けられ、固定押圧部材３の頂部、すなわち、 水道管Ｐを実際に押圧することになる押圧部３Ａは断面がほぼ半円形である。他 方、アーム２Ｂの先端には延長部材４が設けられ、延長部材４には雌ねじが切ら れた挿通孔５が形成されている。 止水装置１はまた、ジョー部材２の挿通孔５と螺合する雄ねじ部分６Ａを有す るロッド６を有する。ロッド６の後端部にはロッド６を回転させるためのハンド ル７が取付けられ、先端部には、固定押圧部材３と対向するように可動押圧部材 ８が取付けられる。 図３から良くわかるように、可動押圧部材８の頂部８Ａにはロッド６の先端部 を受入れるための取付穴９が設けられ、取付穴９の底部にはスラスト板１０が配 置され、このスラスト板１０は、ロッド６の軸線方向力を可動押圧部材８に伝え ると共に、ロッド６の軸線方向力による可動押圧部材８の磨耗を回避する役目を 有する。可動押圧部材８はまた、その側部８Ｂにピン穴１１を備え、このピン穴 １１には、ロッド６の先端部外周に形成された断面半円形の周溝１２に係合する 取付ピン１３が配置されるので、可動押圧部材８はロッド６に回転自在に保持さ れる。

【０００８】 図１からわかるように、ジョー部材２の連結部２Ｃの内縁部は、側方に突出し て矩形断面の案内部１４を構成し、可動押圧部材８は、案内部１４と相補形状に 形作られた切除部１５が案内部１４と係合するように、ジョー部材２に摺動自在 に取付けられる。尚、可動押圧部材８の底部、すなわち、水道管Ｐを実際に押圧 することになる押圧部８Ｃは断面がほぼ半円形である。 止水装置１はまた、ハンドル７の回転によるジョー部材２の回転を防止するた めの廻り止め手段を有する。この廻り止め手段は、図１で最も良くわかるように 、ジョー部材２から側方に延びる支持部材２０と、支持部材２０の自由端部に形 成された雌ねじ付きの取付穴２１と、この取付穴２１に螺合された、全ねじシャ フト２２とを有する。この全ねじシャフト２２は、ジョー部材２のアーム２Ａ、 ２Ｂ、可動押圧部材８及び固定押圧部材３の長手方向と平行に延びる。すなわち 、全ねじシャフト２２は、止水装置１の使用時において、水道管Ｐの長手方向軸 線に直交するように延びる。全ねじシャフト２２は支持部材２０に螺合されてい るので、支持部材２０から突出する全ねじシャフト２２の長さを調節すべく、全 ねじシャフト２２を支持部材２０に対して移動させることができる。全ねじシャ フト２２はその先端に、水道管との衝合部、すなわち、ボルトヘッドＨを有し、 このボルトヘッドＨは、水道管との衝合の際のシャフト２２の安定性を高めるた め、全ねじシャフト２２の先端面よりも大きな端面を有する。尚、ボルトヘッド Ｈと反対側のシャフト２２の後端のねじは、全ねじシャフト２２の取付穴２１か らの脱落を防止するため、一ねじ潰されている。

【０００９】 次に、上記実施例の動作を説明する。 樹脂製水道管を止水するに当たっては、可動押圧部材８と固定押圧部材３との 間に止水すべき水道管Ｐが配置されるように止水装置１をセットする。詳細には 、図１に示すように、外周面が全ねじシャフト２２のボルトヘッドＨに当接し、 ジョー部材２のアーム２Ａ、２Ｂ、可動押圧部材８、固定押圧部材３及び全ねじ シャフト２２の長手方向に対してほぼ垂直に位置するように、水道管Ｐを可動押 圧部材８と固定押圧部材３との間に配置する。水道管Ｐの径の大きさと、可動押 圧部材８及び固定押圧部材３の長さとの関係で、全ねじシャフト２２が邪魔をし て、水道管Ｐの長手方向軸線を可動押圧部材８や固定押圧部材３などの長手方向 軸線に対してほぼ垂直に位置決めすることができない場合には、全ねじシャフト ２２を支持部材２０に対して回転させることによって全ねじシャフト２２の長さ を調節することができる。 この状態において、ハンドル７を図１に矢印で示す方向に廻すると、ロッド６ は、その雄ねじ部分６Ａで挿通孔５に支持されながら軸線方向下方に移動する。 ロッド６の軸線方向力はスラスト板１０を介して可動押圧部材８に伝達されるけ れども、ロッド６の回転力によって可動押圧部材８が回転されることはない、と いうのは、可動押圧部材８が切除部１５を介してジョー部材２の案内部と係合し ている一方で、ロッド６は周溝１２が可動押圧部材８の取付ピン１３に対して摺 動回転するに過ぎない（要するに、ロッド６は可動押圧部材８に回転自在である ）からである。従って、可動押圧部材８は、ロッド６の軸線方向力によって、ジ ョー部材２の案内部１４に沿って下方に移動される。

【００１０】 他方、ロッド６の軸線方向力は、ロッド６の雄ねじ部分６Ａと延長部材４の雌 ねじとの係合によりジョー部材２には伝達されるので、ジョー部材２自体は回転 しようとするけれども、このジョー部材２の回転は、ジョー部材２の回転方向に ジョー部材２の側面から延びる支持部材２０に取付けられた全ねじシャフト２２ のボルトヘッドＨが、ジョー部材２の回転力によって水道管Ｐに衝合することに よって阻止される。この回転阻止を確実にするため、ボルトヘッドＨを水道管Ｐ の高さ方向中央に衝合させるのが好ましい。換言すると、水道管Ｐに対しては、 この水道管Ｐの半径に対応する、固定押圧部材３とボルトヘッドＨとの間の距離 を有する止水装置１を使用することが望ましい。 可動押圧部材８が下方に移動すると、可動押圧部材８の押圧部８Ｃが水道管Ｐ を押圧して水道管Ｐに食い込み、同時に、押圧された水道管Ｐは固定押圧部材３ の押圧部３Ａに食い込み（すなわち、固定押圧部材３の押圧部３Ａが水道管Ｐを 押圧しながら水道管Ｐに食い込む）、これにより、図４に示すように、水道管Ｐ の内面同志が圧着され（すなわち、押圧部材の押圧力により水道管の上部内面と 下部内面とが接触させられ）、水道管Ｐ内を水が流れないようにすることができ る。

【００１１】 本考案は、上述した実施例に限定されることなく、以下のような変更が可能で ある。 例えば、支持部材を水道管Ｐを跨ぐようにジョー部材２から延ばし、上記実施 例におけるのとは反対側から全ねじシャフト２２を水道管Ｐに衝合させても良い 。要するに、支持部材から延びる全ねじシャフトがジョー部材の回転力によって 水道管Ｐに衝合される構成であれば、その構成は自由であり、全ねじシャフトを 水道管Ｐの両側から衝合させるように構成することもできる。 また、上記実施例における全ねじシャフトは、その長さ全体に亘ってねじが切 られているけれども、ねじ部分はシャフト２２の一部のみであっても良いこと勿 論である。更に、構造を簡単にするため、シャフト２２と支持部材２０との螺合 による係合、或いは、取付けをやめ、シャフト２２からねじをなくし、シャフト ２２を支持部材２０に固定しても良い。勿論、この場合には、支持部材の雌ねじ 付き取付穴も省略されることになる。 更に、上記実施例ではシャフト２２の先端にボルトヘッドＨが取付けられたけ れども、このボルトヘッドＨは、シャフト２２と水道管との衝合時の安定性を高 めるためのものであるから、シャフト２２の先端面よりも大きな端面を有すれば 良く、従って、その形状はボルトヘッド形状以外の任意の形状、例えば、円形で あっても良い。

【００１２】 更にまた、雄ねじ付きロッドに形成されるねじ部分の長さは、ジョー部材の長 さ、適用すべき水道管の径などに応じて変えるべきものであり、任意の長さであ る。 また、可動押圧部材及び固定押圧部材の押圧部の断面形状は、任意の形状とす ることができ、例えば、矩形断面形状でも良い。

【００１３】

【考案の効果】

以上のとおり、本考案は、ジョー部材を手で保持することなくジョー部材の回 転を防止することができるパイプ押圧器を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による止水装置の一実施例を、地中に埋
設された水道管に使用した状態を示す図である。

【図２】図１に示す止水装置の側面図である。

【図３】図２に示す止水装置の縦断面図である。

【図４】図１に示す止水装置の可動押圧部材及び固定押
圧部材によって水道管の内面同志が圧着された状態を示
す概略断面図である。

【符号の説明】

１ 手動式止水装置 ２ ジョー部材 ３ 固定押圧部材と、 ６ 雄ねじ付きロッド ８ 可動押圧部材 ２０ 支持部材 ２２ 全ねじシャフト

Claims (7)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 パイプの内面同志を圧着させるための手
   動式パイプ押圧器において、 ジョー部材に設けられた固定押圧部材と、 前記固定押圧部材と対向して前記ジョー部材に形成され
   た雌ねじ付き挿通孔と、 前記挿通孔に螺合された、軸線方向に往復動可能な雄ね
   じ付きロッドと、 前記固定押圧部材と対向して配置された可動押圧部材と
   を有し、前記可動押圧部材は、前記雄ねじ付きロッドに
   対して回転自在に前記雄ねじ付きロッドの先端に、且
   つ、前記可動押圧部材が前記ジョー部材に対して回転し
   ないように、前記ジョー部材にその長手方向に摺動自在
   に取付けられ、 更に、前記雄ねじ付きロッドの回転による前記ジョー部
   材の回転を防止するための、前記ジョー部材から延び、
   前記パイプ押圧器の使用において前記雄ねじ付きロッド
   を回転させたときに該雄ねじ付きロッドの回転力により
   前記パイプに衝合する、廻り止め手段を有する、手動式
   パイプ押圧器。
2. 【請求項２】 前記廻り止め手段が、 前記ジョー部材から延びる支持部材と、 前記支持部材に取付けられ、前記可動押圧部材及び前記
   固定押圧部材の長手方向と平行に延びるシャフトとを有
   する、請求項１記載の手動式パイプ押圧器。
3. 【請求項３】 前記支持部材が雌ねじ付き取付穴を有
   し、前記シャフトが雄ねじ部分を有し、この雄ねじ部分
   によって前記シャフトが前記支持部材の取付穴に調節自
   在に螺合された、請求項２記載の手動式パイプ押圧器。
4. 【請求項４】 前記シャフトが、その先端に、該シャフ
   トの端面よりも大きな端面を有する衝合部を有する、請
   求項２又は請求項３記載の手動式パイプ押圧器。
5. 【請求項５】 前記シャフトが全ねじシャフトであり、
   前記シャフトの後端部のねじが、前記全ねじシャフトの
   前記廻り止め手段の前記取付穴からの脱落を防止するた
   め、一部潰され、前記シャフトの衝合部がボルトヘッド
   によって構成された、請求項４記載の手動式パイプ押圧
   器。
6. 【請求項６】 前記可動押圧部材及び前記固定押圧部材
   の、前記パイプと接する押圧部は、断面形状が半円径で
   ある、請求項１乃至請求項５のいずれか１項記載の手動
   式パイプ押圧器。
7. 【請求項７】 前記雄ねじ付きロッドを廻すための手段
   を有する、請求項１乃至請求項６のいずれか１項記載の
   手動式パイプ押圧器。