JP3016062B2 - 平行定規における水平スケール支持装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、水平スケールを備えた
平行定規に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、図板の左右方向に延びる水平スケ
ールが、図板両側の案内レールに案内されて、図板の面
上を移動するように構成された平行定規が知られてい
る。このような平行定規では、例えば製図用紙を交換し
たり、あるいは厚い製図用紙を用いるときのために、水
平スケールは、これと案内レールとを連結する部材に対
して回動自在に設けられている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが従来の平行定
規では、案内レールに移動自在に支持された回動部材
を、水平スケールを図板から離間させた上昇位置におい
て静止させることはできず、したがって、作業者は水平
スケールが製図用紙に摺接しないようにするため、水平
スケールを持ち上げた状態で移動させることが必要であ
り、その操作は煩雑であった。

【０００４】本発明は、以上の問題点に鑑みてなされた
ものであり、回動部材を静止させることにより、水平ス
ケールを図板から離間した上昇位置において保持するこ
とができ、しかも構造が簡単な平行定規を提供すること
を目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明に係る平行定規の
水平支持装置は、図板に設けられた案内レールに移動自
在に支持された移動部材と、この移動部材に固定された
支軸に、回動可能に取り付けられた回動部材と、この支
軸のフランジ部と回動部材との間に設けられた弾性部材
と、回動部材に連結されたスケールアームと、このスケ
ールアームに固定され、図板の面に平行に設けられた水
平スケールとを備え、移動部材にピンが設けられ、回動
部材にピンが係合する長穴が形成され、水平スケール
は、弾性部材によって生じる摩擦抵抗により、図板から
離間した上昇位置において静止可能であることを特徴と
している。

【０００６】

【作用】回動部材は、図板から離間して上昇位置におい
て、摩擦部材の摩擦により静止する。

【０００７】

【実施例】以下図示実施例により本発明を説明する。図
１は、本発明の一実施例に係る平行定規を上方から見た
図である。

【０００８】製図用紙（図示せず）を保持するための図
板１０の左右両側には、案内レール１１がそれぞれ取り
付けられる。案内レール１１は例えば略Ｃ形断面のアル
ミ軽量形材から成り、その開いている両端は樹脂製キャ
ップ１２で塞がれる。図板１０の手前側（製図者側）に
は、例えば略コ字形断面のアルミ軽量形材から成るトレ
イ１３が取り付けられる。

【０００９】図板１０の上には、その両側の案内レール
１１に直角に交差するように長板状の水平レール１８が
配置され、この水平レール１８の下面には、透明なアク
リル製の細長い水平スケール１９が、部分的に重複する
ように取り付けられる。水平レール１８は案内レール１
１に案内され、水平スケール１９は図板１０の面に平行
に移動自在である。なお水平スケール１９は、寸法測定
のための目盛を備えていてもよい。

【００１０】図２に示すように、案内レール１１にはス
ライダ２０が移動自在に取り付けられ、このスライダ２
０には、回転軸３１を介してスケールアーム３２が揺動
自在に支持されている。水平レール１８はスケールアー
ム３２の揺動端に固定されている。

【００１１】案内レール１１には、平行に向かい合う縁
部１１ａが形成されており、スライダ２０には、縁部１
１ａに係合して転動する一対のガイドローラ（図示せ
ず）が設けられている。案内レール１１のトレイ１３に
近接した部位には、案内ローラ３３が回動自在に設けら
れている。この案内ローラ３３には、スライダ２０に連
結されたワイヤＷが巻回され、これにより、各案内レー
ル１１に支持された一対のスライダ２０が相互に同期し
て図板１０に沿って移動する。

【００１２】スライダ２０には調整レバー３４が設けら
れている。後述するように、調整レバー３４を操作する
ことにより、水平スケール１９の図板１０の面内におけ
る姿勢が調整可能であり、水平スケール１９を例えばト
レイ１３に平行な状態に定めることができる。

【００１３】トレイ１３には、ワイヤＷの移動を固定し
て水平レール１８を所定位置に固定するための制動ツマ
ミ３５が設けられている。この制動ツマミ３５を回動さ
せることにより、ワイヤＷが図板１０に固定されて、ス
ライダ２０と水平スケール１９が図板１０に対してその
動きが完全に固定される。この制動ツマミ３５を備えた
制動機構は従来公知であるので、その説明は省略する。

【００１４】図３および図４は、スライダ２０とスケー
ルアーム３２を図板１０の側方から見た図である。図５
はスライダ２０の回動部材２２を示す正面図である。

【００１５】スライダ２０の移動部材２３は、後述する
ようにガイドローラ２４（図６参照）を介して案内レー
ル１１に移動自在に支持されており、この移動部材２３
に固定された支軸２１には、回動部材２２が回動可能に
取り付けられている。回動部材２２に形成された長穴２
２ａは移動部材に設けられたピン２３ａに係合してお
り、回動部材２２は、ピン２３ａに対して長穴２２ａが
移動する範囲内において、回動可能である。すなわち、
図３に示す状態ではスライダ２０は水平位置にあり、長
穴２２ａの上端がピン２３ａに当接している。図４に示
す状態ではスライダ２０は傾斜位置にあり、長穴２２ａ
の下端がピン２３ａに当接している。

【００１６】スケールアーム３２は回転軸３１の回りに
揺動自在であり、回動部材２２が水平位置（図３参照）
にあっても、傾斜位置（図４参照）にあっても、図４に
おいて想像線で示すように、水平スケール１９が図板１
０の表面から離間するように揺動可能である。回転軸３
１にはバネ３６が設けられており、このバネ３６の一端
は回動部材２２に突設されたピン２２ｂに係止し、バネ
３６の他端は回動部材２２に形成された係止部２２ｃに
係止している。スケールアーム３２は、これに取り付け
られたローラ（図示せず）がバネ３６に支持されること
により、回動部材２２に対して回動した位置において固
定される。

【００１７】図６は、支軸２１を通る水平面においてス
ライダ２０を切断し、上から見た断面図、図７は、回転
軸３１を通る垂直面においてスライダ２０を切断して示
す断面図である。

【００１８】移動部材２３には一対のガイドローラ２４
が回転自在に設けられ、これらのガイドローラ２４は、
案内レール１１の縁部１１ａに係合している。移動部材
２３の案内レール１１側の面には、山形のブラケット２
５が取り付けられている。このブラケット２５に固定さ
れたボルト軸２６には、調整レバー３４の軸部が螺着さ
れ、この軸部にはカラー２７が嵌合されている。ブラケ
ット２５とカラー２７との間にはワイヤＷが通され、調
整レバー３４を回動させることによりカラー２７がブラ
ケット２５に接近あるいは離間する方向に移動する。こ
れにより、ワイヤＷがスライダ２０に一体的に固定さ
れ、あるいはスライダ２０から解放される。すなわち、
一方のスライダ２０の調整レバー３４を緩めることによ
り、他方のスライダ２０との固定位置関係を変えること
ができ、図板１０の面内における水平スケール１９の水
平角度位置を無段階に変えることが可能である。

【００１９】移動部材２３には、ボルト２８を介して支
軸２１が固定され、支軸２１には摩擦部材であるウェー
ブワッシャ２９が嵌合されている。ウェーブワッシャ２
９は支軸２１のフランジ部２１ａと回動部材２２の間に
設けられ、移動部材２３と回動部材２２の間に摩擦抵抗
を発生させる。すなわち、ウェーブワッシャ２９の摩擦
作用により、回動部材２２は移動部材２３に対して傾斜
した位置において静止する。

【００２０】ウェーブワッシャ２９は図８に示すように
環状の弾性部材から成り、円周方向に沿って波状を呈し
ている。すなわち、ウェーブワッシャ２９が支軸２１の
フランジ部２１ａと回動部材２２の間に設けられた状態
において、ウェーブワッシャ２９の一部がフランジ部２
１ａに、またウェーブワッシャ２９の他の部分が回動部
材２２に当接しており、回動部材２２は移動部材２３に
対して押圧される。したがって回動部材２２と移動部材
２３の間に摩擦抵抗が生じ、回動部材２２が移動部材２
３に対して固定される。

【００２１】以上のように本実施例は、ウェーブワッシ
ャ２９によって生じる摩擦抵抗により、水平スケール１
９が図板１０から離間した上昇位置において静止可能で
ある。したがって、製図作業者は水平スケール１９を製
図用紙に沿って移動させる際に水平スケール１９を持ち
上げる必要はなく、製図作業が容易になる。また本実施
例はウェーブワッシャ２９を設けるだけでよく、その構
造は簡単である。

【００２２】なお、回動部材２２と移動部材２３の間に
摩擦抵抗を発生させる部材としては、ウェーブワッシャ
２９に限定されず、環状のゴム等の弾性部材であっても
よい。

【００２３】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、簡単な構
造により、水平スケールを図板から離間した上昇位置に
おいて保持することができるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る平行定規を上から見た
平面図である。

【図２】平行定規の要部を示す斜視図である。

【図３】スライダが水平位置にある状態を示す側面図で
ある。

【図４】スライダが傾斜位置にある状態を示す側面部で
ある。

【図５】回動部材を示す正面図である。

【図６】スライダを示す水平断面図である。

【図７】スライダを示す縦断面図である。

【図８】ウェーブワッシャを示す斜視図である。

【符号の説明】

１０ 図板 １１ 案内レール １８ 水平レール １９ 水平スケール ２１ 支軸 ２２ 回動部材 ２３ 移動部材 ２９ ウェーブワッシャ ３２ スケールアーム

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 図板に設けられた案内レールに移動自在
   に支持された移動部材と、 この移動部材に固定された支軸に、回動可能に取り付け
   られた回動部材と、前記支軸のフランジ部と前記回動部材との間に設けられ
   た弾性部材 と、 前記回動部材に連結されたスケールアームと、 このスケールアームに固定され、前記図板の面に平行に
   設けられた水平スケールとを備え、前記移動部材にピンが設けられ、前記回動部材に前記ピ
   ンが係合する長穴が形成され、 前記水平スケールは、前記弾性部材によって生じる摩擦
   抵抗により、前記図板から離間した上昇位置において静
   止可能であることを特徴とする平行定規の水平スケール
   支持装置。