JP3015548B2 - 多孔体細孔の微細化方法 - Google Patents

多孔体細孔の微細化方法

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JP3015548B2
JP3015548B2 JP3279986A JP27998691A JP3015548B2 JP 3015548 B2 JP3015548 B2 JP 3015548B2 JP 3279986 A JP3279986 A JP 3279986A JP 27998691 A JP27998691 A JP 27998691A JP 3015548 B2 JP3015548 B2 JP 3015548B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に混合ガス中の水素
を分離するためのガス分離膜の製造に適用できる多孔体
細孔の微細化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】水素を含有する混合ガス中から水素を分
離し、99.9%以上の高純度の水素を得る方法としてパラ
ジウムを主体とする膜(Pd膜と呼ぶ)が知られている
{石油学会誌、Vol.15,No.1,(1972),P64}。このPd膜
は、従来、PdまたはPdを主体とする合金を伸延して
薄膜とすることによって製造され、支持枠で支持して使
用されていた。しかし、かかる伸延法によって得られる
膜の厚みの下限には限度がある。また、この膜は支持枠
で支持して使用されるため、このような支持方法に耐え
るだけの機械的強度を付与する必要があり、あまり薄い
膜を使用すると使用中に膜が破損しやすい。
【0003】また、混合ガス中から特定ガスをガス拡散
法によって分離する一手段として、ガス分子の平均自由
工程より小さな孔径、例えば10Å〜数千Åの細孔を持
つ多孔質のガス分離膜を使用するクヌーセン拡散による
分離法が知られている。かかる方法は、例えば、比較的
分子比の大きい水素(H2 )/窒素(N2 )、水素/一
酸化炭素(CO)等の混合ガス中の水素ガス分離に有効
であり、一般にはガス分離膜として有機高分子膜(ポリ
イミド、酢酸セルロース、シリコン系等)が採用されて
いる。しかしながら、かかる有機高分子膜は耐熱性、耐
薬品性等の耐久性に劣るという欠陥があるため、セラミ
ックス多孔体等の無機質材料からなる多孔質のガス分離
膜の使用が試みられており、また特開昭59−5922
3号公報にはかかる無機質材料からなる多孔質のガス分
離膜が提案されかつ従来例として示されている。
【0004】また、上記問題点を解決する方法として、
無機質材からなる多孔質支持体にPdを含有する薄膜を
形成させた水素分離膜を使用する方法が特開昭62−1
21616号公報に示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述した従
来の方法については各々次のような問題点がある。 1)クヌーセン拡散による分離法における混合ガスの透
過係数の比は、理論的には各ガスにおける分子量の逆数
の平方根に等しいため、かなり小さく、高濃度の水素ガ
スを得るのは困難である。 2)Pd膜法は60〜100μm程度の比較的厚いもの
を使用せざるを得ず、高価なPdの使用量が増大し、ま
た水素の透過速度が小さい。 3)無機質材料からなる多孔質支持体の例としては、多
孔質ガラス、多孔質セラミックス、多孔質金属等があ
る。多孔質ガラスは衝撃強度が非常に弱いので破損しや
すい。多孔質セラミックスの平均細孔径は0.1μm以上
であり、また多孔質金属の平均細孔径は数十μm以上も
あり、両者ともに細孔を被覆するためのPd膜の厚さが
数十μmとなり、水素の透過速度が小さい。
【0006】そこで、本出願人は、上述した従来の分離
膜におけるような不具合がなく、耐熱性,耐圧性があ
り、且つ透過速度及び分離係数共に実用上満足すること
ができる性質を有する分離膜を先に提案した(特願平3
−126105号)。すなわち、無機多孔体の細孔内に
シリカゲル、アルミナゲルまたはシリカ・アルミナゲル
からなる封止材を担持して細孔を微細化し、これにパラ
ジウムを含有する薄膜を形成したものである。
【0007】しかし、かかる分離膜は、高温で長時間使
用する場合、次のような問題を有している。 1)約700℃以上の高温に長時間保持すると、ゲルの
焼結が進行し、約10〜30Åの微細孔が消滅して無孔
化し、水素透過速度が低下する可能性がある。 2)ゲルの焼結により多孔体の細孔内に大きい空隙が発
生し、多孔体表面に担持したPd膜に亀裂が発生してピ
ンホールを生じる可能性がある。
【0008】本発明はこのような事情に鑑み、高温での
長時間使用によっても微細孔が消滅しない多孔体細孔の
微細化方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成する本発
明に係る[請求項1]の多孔体細孔の微細化方法は、無
機質多孔体の細孔内にシリカゲル、アルミナゲルまたは
シリカ・アルミナゲルからなる封止材を担持して細孔を
微細化する方法であって、上記封止材を担持後、200
℃、300℃、550℃と順次焼成温度を高くしつつ各
々の温度で焼成し、室温まで降温した後、これを複数回
処理することを特徴とする。 [請求項2]の発明は、請
求項1において、上記多孔体がアルミニウム酸化物を生
成した金属多孔体であることを特徴とする。 [請求項
3]の発明は、無機質多孔体の細孔内にシリカゲル、ア
ルミナゲルまたはシリカ・アルミナゲルからなる封止材
を担持して細孔を微細化する方法であって、上記封止材
を担持後、500℃近傍まで昇温し、500℃近傍で焼
成した後、室温まで降温した後、これを複数回処理する
ことを特徴とする。 [請求項4]の発明は、無機質多孔
体の細孔内にシリカゲル、アルミナゲルまたはシリカ・
アルミナゲルからなる封止材を担持して細孔を微細化す
る方法であって、上記封止材としてシリカ・アルミナゲ
ルを用いて担持した後、100℃の水蒸気中で保持し、
これを複数回処理することを特徴とする。 [請求項5]
の発明は、無機質多孔体の細孔内にシリカゲル、アルミ
ナゲルまたはシリカ・アルミナゲルからなる封止材を担
持して細孔を微細化する方法であって、金属多孔質体の
表面にアルミナゲル膜を担持し、該アルミナゲル膜を担
持した多孔質体金属をアルミナゲル中に浸漬し、乾燥
し、その後350℃、600℃の温度で各々焼成し、室
温まで降温した後、これを複数回処理することを特徴と
する。 [請求項6]の発明は、請求項1乃至5記載のい
づれか1項において、多孔質体処理後、約700℃で焼
成処理することを特徴とする。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。無機多孔
体としては多孔質セラミックス、多孔質ガラス、多孔質
磁器、金属穿孔ろ過体、金属金網焼結体等があり、本発
明においてはいずれのものも使用できる。しかしなが
ら、無機多孔体の細孔径が大きくなるとシリカゲル、ア
ルミナゲルまたはシリカ・アルミナゲルの前駆体である
ゾルの必要担持量が多く、かつクラックが発生しやすく
なり、また細孔径が小さすぎると透過性能を低下させる
ので細孔径が100〜10,000Å程度の無機多孔体を
使用することが好ましい。特に、細孔径1,000Å以上
の発泡シリカ、焼結アルミナ及びムライト等が好ましく
使用される。
【0011】また、本発明で封孔材とは、シリカゲル、
アルミナゲルまたはシリカ・アルミナゲルをいうが、特
に水素ガス分離膜などの用途に用いる場合に好適な封止
材を以下に述べる。
【0012】一般に、シリカゲルの製法としては、 (1)水ガラス溶液に大量にNaCl、Na2 SO4
の塩を添加し、更に酸が中和して白色粉末状のシリカゲ
ルを得る水ガラス溶液からの沈澱法 (2)SiCl4 を水蒸気流中で燃焼させてSiO2
スを生成させ、これを補集するSiCl4 燃焼法 (3)SiO2 を1,700℃付近で蒸発させ、これを凝
縮させるSiO2 蒸気凝集法 等がある。
【0013】しかしながら、これらの方法によって得ら
れたSiO2 粒子を数十μm程度の薄膜にコーティング
し、更に10〜30Å程度の多孔質のものとすることは
極めて困難である。そこで、本発明においては上記のよ
うな不具合がなく薄膜形成可能なシリカゲルを得る方法
としては特願平02−172639号の方法を推奨す
る。すなわち、前記方法においては、シリカゲルの前駆
体として例えばエトキシシラン基、メトキシ基等を含む
アルコキシシランを加水分解して得られるものを使用す
ることを推奨する。これらのアルコキシシランの例とし
ては、テトラエトキシシラン(ケイ酸エチル)、テトラ
メトキシシラン(ケイ酸メチル)等がある。
【0014】この方法で製造したシリカゲルの平均細孔
径は10〜30Åであり、分子径2.3ÅのH2 透過には
全く抵抗とならない細孔径である。また、このシリカゲ
ル表面は従来の多孔体に比べて非常に平滑であるため、
この表面に膜厚さ1μm以下のPd薄膜を担持してもピ
ンホールが発生する原因とはならず、H2 透過速度を大
きく向上させる。
【0015】アルミナゲルの製造方法としては一般に以
下の方法がある。 (1)Alアルコキシドを加水分解する方法 Alをイソプロピルアルコールに溶解させて作ったイソ
プロポキシドが低沸点(140.5 ℃)であるのでよく使
用される。加水分解法としては、アルコール溶液の均一
相加水分解、ベンゼン溶液の不均一相加水分解がある。 (2)Al塩に触媒を加えて加水分解する方法 Al塩としてはAl2(SO4)O3 、AlCl3 、Al(N
3 )O3 等があり、触媒としては硝酸、NH3 水、N
2 CO3 等がある。 (3)アルミン酸アルカリを加水分解する方法 NaAlO2 水溶液に塩酸を加えて加水分解する。そし
て、アルミナゲルは製造方法により異なるが、約15〜
30Åの細孔が形成される(特願昭59−34421
号、特願昭60−180980号)。
【0016】また、シリカ・アルミナゲルの製造方法と
しては一般に以下の方法がある。製造方法としてはアル
ミニウムアルコキシドまたはアルミニウムキレートを加
水分解して得たアルミナゾルを担持した後、けい酸ナト
リウム水溶液を担持し、酸処理後乾燥してゲル化する。
アルミニウムアルコキシドとしてはアルミニウムイソプ
ロポキシド、アルミニウム−2−ブチレート等が、ま
た、アルミニウムキレートとしてはアルミニウムトリス
(エチルアセトアセテート)やエチルアセテートアルミ
ニウムジイソプロピレート等がある。なお、上記の方法
で製造したシリカ・アルミナゲルの平均細孔径は約10
〜20Åである(特願昭60−30546号)。
【0017】本発明方法で細孔を微細化した多孔体は、
その後、その表面にPdを含有する薄膜を形成すること
により、水素ガス分離膜として好適に用いることができ
る。
【0018】Pd膜の担持方法としては以下の方法があ
る。 (1)メッキ等の液相法 表面活性化処理(塩化スズの水溶液と塩化パラジウムの
各溶液に交互に浸漬)後、無電解メッキ(パラジウムの
化合物と還元剤を含有する液に浸漬)する方法及び無電
解メッキ後に電気メッキする方法。 (2)真空蒸着法、イオンプレーティング、気相化学反
応法(CVD)等の気相法。
【0019】以上のようにしてPdまたはPd合金の薄
膜を形成させた水素ガス分離膜は水素のみを選択的に透
過する。すなわち、前記ガス分離膜の一方の側に水素を
含有する混合ガスを供給すると、水素ガス分離膜は水素
のみを選択的に透過させ、水素ガス分離膜の他方の側か
ら純粋な水素が流出する。また、水素透過速度は極めて
大きく、400℃、圧力差2kg/cm2の場合100〜14
0cm3/cm2 ・min 程度であり、従来の多孔質基材に直接
Pdを担持した水素ガス分離膜の4〜6倍となる。な
お、水素の透過速度は温度が高いほど大きく、また水素
ガス分離膜の両側の水素の圧力差が大きいほど大きくな
る。
【0020】さらに、このように製造された水素ガス分
離膜は約700℃以上の高温に長時間保持しても、ゲル
の焼結により微細孔が消滅して無孔化し、水素透過速度
が低下するおそれがない。また、同じくゲルの焼結によ
り多孔体の細孔内に大きな空隙が発生することがないの
で、多孔体表面に担持したPd膜に亀裂が発生してピン
ホールが発生するおそれもない。
【0021】
【作用】本発明では、無機多孔体の細孔内に封孔材を担
持することにより、平均細孔径10〜30Åのゲルを形
成する。そして、担持後、約350〜600℃で焼結処
理することにより封止材内部に平均細孔径10〜20Å
の微細孔を形成する。また、封孔剤の担持、及びその
後、焼結処理するという操作を複数回繰り返して実施し
た後、当該多孔体をさらに約700℃で焼成することに
より、封孔材を多孔質状態で安定化する。
【0022】さらに、本発明の作用を具体的に説明す
る。本発明の封孔材の材料は一般に金属アルコキシド、
例えば、Si(OC2 5 4 、Si(OCH3 4
Al(OC3 7 )、Al(OCH3 3 等が使用され
る。これらの原料は加水分解、重縮合されることにより
ゲル化される。これをSi(OC2 5 4 の反応につ
いて示すと、下記化1に示す反応式となる。そして、重
縮合反応が完全に進行すると、最終的には、−Si−O
−Si−O−構造(Alの場合には−Al−O−Al−
O−、Al/Siの場合には−O−Al−O−Si−O
−)の無孔状態となる。なお、この状態は下記化2に示
す。
【0023】
【化1】
【0024】
【化2】
【0025】本発明で約350〜500℃で焼成処理す
ると、上記反応初期の状態で反応が凍結され、平均細孔
径約10〜20Åの多孔質ゲルとなる。
【0026】この封孔材を多孔体に担持する、厚みを厚
くすると焼成時に原料中の−C2 5 、−CH3 、−C
37 等が分解して飛散する際にひび割れを生じる可能
性がある。従って、本発明では、封孔材を非常に薄く複
数回に分けて担持し焼成することによりひび割れがな
く、結合強度が強いゲルを生成するようにする。
【0027】一方、封孔材を最初から約700℃以上の
高温で徐々にゲル化させると、封孔材同士の結合が進行
し、−Si−O−Si−O−、−Al−O−Al−O
−、−O−Al−O−Si−O−のような無孔構造とな
る。そこで、本発明は以下の手順により多孔質状態を維
持したままゲルの安定化を行っている。 ア)封孔材を担持した多孔体を約350〜600℃で焼
成して多孔質状態のゲルを生成する。この状態で、ゲル
は表面に多数の−OH基を残存している。 イ)次に、この−OH基が残存するゲルを常用温度(一
般的に500℃以下)より高い約700℃で焼成する。
この操作で−OH基が分解し、−OH基が存在していた
部分が空隙状態で現存する。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
【0029】(実施例1)基材の無機多孔体として、日
本ガイシ(株)製セラミック管(平均細孔径0.5μm、
外径10mm、長さ250mm)を使用し、以下の処理を行
った。
【0030】(1)シリカゾル1の調製 ビーカ内に表1に示す組成の薬剤をいれ、常温でスター
ラで急速攪拌・混合した。攪拌を継続したまま、80℃
(沸騰状態)に予熱すると発熱反応を開始し、約20〜
25分で粘度が急速に高くなる。沸騰開始後、15分、
20分、25分の液をそれぞれ冷却し、1−A,1−
B,1−C液とする。1−A液はやや粘度が高い液であ
り、1−B液はさらに粘度が高く、常温に冷却するとゼ
リー状の液である。1−C液は常温冷却により固化する
状態にある。
【0031】(2)シリカゾル2の調製 ビーカ内に表1に示す組成の薬剤を入れ、常温でスター
ラにより60分間攪拌・混合し、シリカゾル2とした。
【0032】
【表1】
【0033】(3)シリカゾルの担持方法 (a)シリカゾル1液の担持 無機多孔体よりなる管を前記シリカゾル1−A液中に
浸漬して該多孔体管壁にシリカゾルを担持した。 該多孔体を200℃に設定した電気炉内で10分間焼
成した。 次に該多孔体を300℃に設定した電気炉内で10分
間焼成した。 次に該多孔体を550℃に設定した電気炉内で10分
間焼成した。 上記〜の操作を2回繰り返した。 次に1−B液を使用して上記〜の処理を行った。 次に1−C液を使用して上記〜の処理を行った。 (b)シリカゾル2液の担持 次にシリカゾル2液を使用して前記〜の処理を行っ
た。 (c)シリカゾル担持多孔体の安定化処理 前記(a)及び(b)処理後の多孔体を700℃の電気
炉内で3時間保持し、安定化処理を行った。
【0034】(実験例1)上記実施例1によって製作し
たシリカゲルを担持したセラミックス管を使用し、さら
にその表面にPdを蒸着したガス分離膜のサンプルを製
作した。このガス分離膜を図1に示す装置に使用して水
素透過実験を行った。すなわち、ガス分離膜1をOリン
グ2でステンレス鋼製外管3に固定し、その外側を電気
炉で加熱する。そして、供給孔4からH2 /N2 =1
(モル)の混合ガスを連続的に供給し、排出口5からブ
リードガスを排出して、下部の取出口6から純粋な水素
を得た。なお、温度はサーモカップル7を使用し、内管
の中心部で測定した。
【0035】混合ガスの圧力を3kg/cm2G、ガス流量を
20Nl/minとしたときの500℃における実験の初期性
能、及び500℃で105時間保持後の500℃での性
能を表2に示す。なお、何れにおいても、99.99 %以上
の純粋な水素を得ることができた。表2に示す結果よ
り、本発明方法により細孔の微細化を行った多孔体を用
いた水素分離膜は、何れの優れた性能を有することがわ
かる。なお、安定化処理を行わない場合には、500℃
で105時間保持した後の性能が、安定化処理を行った
場合と比較して、水素透過速度が多少低下したことが認
められる。
【0036】
【表2】
【0037】(実施例2)金網を積層焼結して得た金属
多孔体の表面にAlを蒸着し、その後真空中で加熱・拡
散処理し、金属多孔体にAlを拡散させたものを酸化処
理して、該金属多孔体表面にアルミニウム酸化物を生成
させた金属多孔体を支持材とし、該多孔体の表面に実施
例1と同様の方法でシリカゲル膜を担持し、多孔体の細
孔の微細化を行った。なお、金属の径は、0.5μm、材
質はSUS304である。
【0038】(実験例2)上記の方法によって製作した
シリカゲル膜を担持した金属多孔体を使用し、さらにそ
の表面にPdを蒸着したガス分離膜のサンプルを製作し
た。このサンプルを使用して、実験例1と同様な方法で
水素透過実験を行った。すなわち、供給孔4からH2
2 =1(モル)の混合ガスを連続的に供給し、排出孔
5からブリードガスを排出して、下部の取出孔6から9
9.99 %以上の純粋な水素を得ることができた。混合ガ
スの圧力を3kg/cm2G、ガス流量を20Nl/minとしたと
きの500℃における実験の初期性能、及び500℃で
100時間保持後の500℃での性能を表3に示す。な
お、表3に示す結果より、実施例1と同等な効果が得ら
れたことが認められた。
【0039】
【表3】
【0040】(実施例3)実施例1と同じ日本ガイシ
(株)製セラミックス管(平均細孔径0.5μm、外径1
0mm、長さ250mm)を使用し、以下の処理を行った。
【0041】(1)シリカゾルの調製 ビーカ内に表4に示す組成の薬剤をいれ、常温でスター
ラで急速攪拌・混合した。攪拌を継続したまま、80℃
(沸騰状態)に予熱すると加水分解により沸騰を開始す
る。25分沸騰後にビーカの外側から水道水で冷却す
る。この状態でシリカゲルはやや粘性がある液である。
【0042】
【表4】
【0043】(2)シリカゾルの担持方法 無機多孔体よりなる管を前記シリカゾル中に浸漬して
該多孔体管壁にシリカゾルを担持した。 該多孔体を電気炉内に設置し、昇温速度10℃で50
0℃まで昇温し、10分間保持して焼成した後、室温に
降温した。 上記〜の操作を4回繰り返した。
【0044】(3)シリカゲル担持多孔体の安定化処理 前記(2)処理後の多孔体を700℃の電気炉内で3時
間保持した。
【0045】(実験例3)実施例3によって製作したシ
リカゲル膜を担持した金属多孔体を使用し、さらにその
表面Pdを蒸着してガス分離膜のサンプルを製造した。
このサンプルを使用して、実験例1と同様な方法で水素
透過実験を行った。すなわち、供給孔4からH2 /N2
=1(モル)の混合ガスを連続的に供給し、排出孔5か
らブリードガスを排出して、下部の取出孔6から99.99
%以上の純粋な水素を得ることができた。混合ガスの圧
力を3kg/cm2G、ガス流量を20Nl/minとしたときの5
00℃における実験の初期性能、及び500℃で110
時間保持後の500℃での性能を表5に示す。なお、表
5に示す結果より、実験例1と同等な効果が得られたこ
とが認められた。
【0046】
【表5】
【0047】(実施例4)実施例1と同じ日本ガイシ
(株)製セラミックス管(平均細孔径0.5μm、外径1
0mm、長さ250mm)を使用し、以下の処理を行った。
【0048】(1)シリカゾルの調製 シリカゾルの原料として、ビーカ内に表6に示す組成の
薬剤をいれ、常温でスターラで急速攪拌・混合した。加
水分解により沸騰を開始する。10分沸騰後にビーカの
外側から水道水で冷却する。この状態でシリカゲルはや
や粘性がある液である。
【0049】
【表6】
【0050】(2)シリカゾルの担持方法 無機多孔体よりなる管を前記シリカゾル内に浸漬して
該多孔体管壁にシリカゾルを担持した。 該多孔体を電気炉内に設置し、昇温速度10℃で50
0℃まで昇温し、30分間保持して焼成した後、室温に
降温した。 上記〜の操作を4回繰り返した。
【0051】(3)シリカゲル担持多孔体の安定化処理 前記(2)処理後の多孔体を700℃の電気炉内で3時
間保持した。
【0052】(実験例4)実施例4によって製作したシ
リカゲル膜を担持した金属多孔体を使用し、さらにその
表面にPdを蒸着してガス分離膜のサンプルを製造し
た。このサンプルを使用して、実験例1と同様な方法で
水素透過実験を行った。すなわち、供給孔4からH2
2 =1(モル)の混合ガスを連続的に供給し、排出孔
5からブリードガスを排出して、下部の取出孔6から9
9.99 %以上の純粋な水素を得ることができた。混合ガ
スの圧力を3kg/cm2G、ガス流量を20Nl/minとしたと
きの500℃における実験の初期性能、及び500℃で
110時間保持後の600℃での性能を表7に示す。な
お、表7に示す結果より、実験例1と同等な効果が得ら
れたことが認められた。
【0053】
【表7】
【0054】(実施例5)実施例1と同じ日本ガイシ
(株)製セラミックス管(平均細孔径0.5μm、外径1
0mm、長さ250mm)を使用し、以下の処理を行った。
【0055】(1)アルミナゾルの調製 ビーカ内に表8に示す組成の薬剤をいれ、スターラによ
り攪拌・混合しながら、80℃で24時間加水分解し
た。
【0056】
【表8】
【0057】(2)シリカ・アルミナゲルの担持方法 セラミックス管を前記アルミナゾル中に5分間浸漬し
て該多孔体管壁にシリカゾルを担持した。 該多孔体を0.1モル/リットルのけい酸ナトリウム水
溶液に1分間浸漬した。 該多孔体を100℃の水蒸気中に1時間保持した。 上記〜の操作を4回繰り返した後、90℃の熱水
中に1分間浸漬した。
【0058】(3)シリカゲル担持多孔体の安定化処理 前記(2)処理後の多孔体を700℃の電気炉内で3時
間保持した。
【0059】(実験例5)実施例5によって製作したシ
リカ・アルミナゲル膜を担持したセラミックス管を使用
し、さらにその表面にPdを蒸着したガス分離膜のサン
プルを製作した。このサンプルを使用して、実験例1と
同様な方法で水素透過実験を行った。すなわち、供給孔
4からH2 /N2 =1(モル)の混合ガスを連続的に供
給し、排出孔5からブリードガスを排出して、下部の取
出孔6から99.99 %以上の純粋な水素を得ることができ
た。混合ガスの圧力を3kg/cm2G、ガス流量を20Nl/m
inとしたときの500℃における実験の初期性能、及び
500℃で110時間保持後の500℃での性能を表9
に示す。なお、表9に示す結果より、実験例1と同等な
効果が得られたことが認められた。
【0060】
【表9】
【0061】(実施例6) (1)ステンレス鋼繊維をランダムに重ねて焼結して得
た金属多孔体の表面に、Alを蒸着し、その後真空中で
加熱・拡散処理し、金属多孔体内にAlを拡散させたも
のを酸化処理して、該金属多孔体表面にアルミニウム酸
化物を生成させた金属多孔体を支持材とし、該多孔体の
表面にアルミナゲル膜を担持した。なお、平均細孔径は
1μmである。
【0062】(2)アルミナゲル膜の担持 水100gに対し5gのアルミニウムイソプロオキシド
を80℃に保持した水中に添加し、アルミニウムイソプ
ロオキシドを加水分解した。これに0.6mlの濃硫酸を加
え、80℃に24時間保持し、解膠してアルミナゾルを
得た。このアルミナゾルに多孔質金属を5分間浸漬した
後、室温で24時間乾燥し、80℃で2時間乾燥した
後、更に350℃で2時間焼成、600℃で2時間焼成
した。この操作を4回繰り返して金属表面に分離膜を担
持した。次に、トリクレン100に対してアルミニウム
イソプロオキシドを5の重量比で溶解し、アルミナの充
填を行った前記多孔質金属をこの溶液に含浸し、トリク
レンを揮発させ、細孔内にアルミニウムプロオキシドを
析出させた。次に、この多孔質金属の片側を減圧しなが
ら、100℃のスチーム中に入れてアルミニウムイソプ
ロオキシドを加水分解し、室温で乾燥した後、350℃
で2時間焼成し、更に600℃で1時間焼成した。この
操作を3回繰り返した。以上の操作で製造した分離膜の
平均細孔分布は、16Åであった。
【0063】(3)シリカゲル担持多孔体の安定化処理 前記(2)処理後の多孔体を700℃の電気炉内で3時
間保持した。
【0064】(実験例6)実施例6によって製作したア
ルミナゲル膜を担持した金属多孔体を使用し、さらにそ
の表面にPdを蒸着したガス分離膜のサンプルを製作し
た。このサンプルを使用して、実験例1と同様な方法で
水素透過実験を行った。すなわち、供給孔4からH2
2 =1(モル)の混合ガスを連続的に供給し、排出孔
5からブリードガスを排出して、下部の取出孔6から9
9.99 %以上の純粋な水素を得ることができた。混合ガ
スの圧力を3kg/cm2G、ガス流量を20Nl/minとしたと
きの500℃における実験の初期性能、及び500℃で
110時間保持後の500℃での性能を表10に示す。
なお、表10に示す結果より、実験例1と同等な効果が
得られたことが認められた。
【0065】
【表10】
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、本発明方法による
と、多孔体の細孔が微細化され、高温での使用によって
も微細孔が消滅しないという多孔体を得ることができ
る。したがって、これをガス分離膜に使用すると、混合
ガスから高分離性能で、しかも高温で長時間運転後も性
能低下せず高透過速度で分離することが可能であり、工
業上有益である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガス分離膜の性能を実証するために使
用した実験装置の概略図である。
【符号の説明】
1 水素ガス分離膜 2 Oリング 3 外管 4 供給孔 5 排出孔 6 取出孔 7 サーモカップル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−31822(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 38/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機質多孔体の細孔内にシリカゲル、ア
    ルミナゲルまたはシリカ・アルミナゲルからなる封止材
    を担持して細孔を微細化する方法であって、上記封止材を担持後、200℃、300℃、550℃と
    順次焼成温度を高くしつつ各々の温度で焼成し、室温ま
    で降温した後、これを複数回処理することを特徴とする
    多孔体細孔の微細化方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 上記多孔体がアルミニウム酸化物を生成した金属多孔体
    であることを特徴とする多孔体細孔の微細化方法。
  3. 【請求項3】 無機質多孔体の細孔内にシリカゲル、ア
    ルミナゲルまたはシリカ・アルミナゲルからなる封止材
    を担持して細孔を微細化する方法であって、 上記封止材を担持後、500℃近傍まで昇温し、500
    ℃近傍で焼成した後、室温まで降温した後、これを複数
    回処理することを特徴とする多孔体細孔の微細化方法。
  4. 【請求項4】 無機質多孔体の細孔内にシリカゲル、ア
    ルミナゲルまたはシリカ・アルミナゲルからなる封止材
    を担持して細孔を微細化する方法であって、 上記封止材としてシリカ・アルミナゲルを用いて担持し
    た後、100℃の水蒸気中で保持し、これを複数回処理
    することを特徴とする多孔体細孔の微細化方法。
  5. 【請求項5】 無機質多孔体の細孔内にシリカゲル、ア
    ルミナゲルまたはシリカ・アルミナゲルからなる封止材
    を担持して細孔を微細化する方法であって、 金属多孔質体の表面にアルミナゲル膜を担持し、該アル
    ミナゲル膜を担持した多孔質体金属をアルミナゲル中に
    浸漬し、乾燥し、その後350℃、600℃の温度で各
    々焼成し、室温まで降温した後、これを複数回処理する
    ことを特徴とする多孔体細孔の微細化方法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5記載のいづれか1項にお
    いて、 多孔質体処理後、 約700℃で焼成処理することを特徴
    とする多孔体細孔の微細化方法。
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