JP3014885B2 - 液体容器内からのリード線の導出構造 - Google Patents

液体容器内からのリード線の導出構造

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JP3014885B2 JP5008919A JP891993A JP3014885B2 JP 3014885 B2 JP3014885 B2 JP 3014885B2 JP 5008919 A JP5008919 A JP 5008919A JP 891993 A JP891993 A JP 891993A JP 3014885 B2 JP3014885 B2 JP 3014885B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両用トランスミッシ
ョンケースなどの液体容器内からソレノイド作動用のワ
イヤーハーネスや各種センサのリード線等を導出する場
合のリード線の導出構造に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の構造の従来例として実開昭61
−107165号公報に記載のものが知られている。
【0003】この構造は、図5に示すように、液体容器
の壁1に形成したリード線導出孔3にリード線保持部材
5を液密固定し、該リード線保持部材5に形成したリー
ド線挿通孔7に複数本の芯線と絶縁被覆からなるリード
線9を挿通し、該挿通箇所に隣接したリード線9の途中
に絶縁被覆剥離部11を設け、該絶縁被覆剥離部11に
圧着金具13を加締め、該圧着金具13を図6に示すよ
うに、前記リード線保持部材5に形成した収容凹部15
内に位置決めして該収容凹部15内に充填材17を充填
したものである。
【0004】リード線9に絶縁被覆剥離部11を設けて
その部分を充填材17でモールドするのは、リード線9
の芯線間を通って毛細管現象の作用で液体容器から油が
漏れるのを防止するためである。この場合、芯線間のわ
ずかな隙間に充填材17を侵入させなければならないこ
とから、充填材17として主に粘度の低いエポキシ樹脂
が用いられている。
【0005】圧着金具13は、この従来例では、内外の
リード線を接続するために設けているが、それ以外にリ
ード線9の長さ方向の位置決めをこれで行っている。し
たがって、内外のリード線を接続する目的でなく、位置
決めの目的だけのために中剥ぎ部分(リード線の途中の
絶縁被覆を剥いで芯線を露出させた部分)に圧着金具1
3を設けることもある。充填材17で固めた状態におい
てこの圧着金具13の位置決め精度が悪いと、リード線
9と他の機器との結線ができなくなることがあるので、
この位置決めは精度良く行う必要がある。
【0006】従来では、圧着金具13の端面を、リード
線保持部材5に形成した収納凹部15の端壁面に合わせ
ることで位置決めを行い、その状態で同収納凹部15内
に充填材17を充填している。
【0007】また、別の類似の従来構造として、図9に
示すように、リード線保持部材20の挿通孔7に隣接し
てゴム栓22を設け、このゴム栓22でリード線9を締
め付けるようにしたものもある。
【0008】さらに、特開平3−37975号公報に
は、図10に示すように、リード線保持部材24に弾性
部材34を嵌合し、該弾性部材34にリード線9の挿通
孔30と圧着金具13の収容凹部32とを形成した例が
示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図5の構造
においては、圧着金具13を収容凹部15内に収容して
充填材を注入しているだけであるから、充填材17の注
入時に、圧着金具13が図8に示すように浮いてしま
い、位置決め精度が低下するという問題がある。また、
充填材が固まるまでが不安定であるため、途中で圧着金
具13が収容凹部15から抜けてしまうという問題もあ
る。
【0010】そこで、収容凹部15の端部内壁に弾性係
合片を突設して、圧着金具13が収容凹部15内から抜
けないようにすることも考えられる。
【0011】しかし、従来の一体構造の保持部材に弾性
係合片を設けると、成形時の型抜きのためのアンダーカ
ットにより、リード線の挿通孔7が大きくなり、図7に
示すようにリード線9と挿通孔7との隙間が大きくなっ
て、充填材17が漏れるという問題が生じる。
【0012】また、図9に示した構造は、別部品として
のゴム栓22を装着する必要があるので、作業が面倒で
あり、さらに図10に示した構造は、圧着金具13の位
置決め及び漏れ防止の点では問題はなくなるものの、弾
性部材34に挿通孔30と収容凹部32を形成している
ので、挿通孔30へのリード線9の挿通作業がやりづら
いという問題がある。
【0013】本発明は、上記事情を考慮し、充填材の漏
れの問題、圧着金具の位置決めの問題、作業性の問題を
すべて解消し得る、液体容器内からのリード線の導出構
造を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、液体容器の壁
に形成したリード線導出孔にリード線保持部材を液密固
定し、該リード線保持部材に形成した挿通孔に複数本の
芯線と絶縁被覆とからなるリード線を挿通し、該挿通箇
所に隣接したリード線に絶縁被覆剥離部を設け、該絶縁
被覆剥離部に圧着金具を加締め、該圧着金具を前記保持
部材に形成した収容凹部内に位置決めして該収容凹部内
に充填材を充填してなる液体容器内からのリード線の導
出構造において、前記リード線保持部材を、前記リード
線の挿通孔及び収容凹部を有する本体部と、充填材の注
入空間を有する充填部とに2分割して、前記収容凹部に
隣接する前記充填部の注入空間の端壁に少なくとも前記
圧着金具の外径より小さいリード線挿通用の透孔を設
け、該透孔の内周縁に放射状のスリットを形成して前記
圧着金具の抜け止め用の弾性係合片を設けたことを特徴
としている。
【0015】
【作用】上記構成のリード線の導出構造では、圧着金具
の抜け止め用の弾性係合片を備えた部材を、リード線の
挿通孔を有する部材とは別に形成している。従って、樹
脂による成形を別に行うことができ、アンダーカット部
分の問題を生じることなく、挿通孔大きさを独立して決
めることができる。よって、充填材の漏れの問題を生じ
ることなく、圧着金具の位置決めを行うことができる。
また、充填材の漏れの問題を生じずに、圧着金具の位置
決めを行うことができ、しかも、ゴム栓や弾性部材を使
用しないので作業性が悪くなることがない。さらに、圧
着金具の外径より小さいリード線挿通用の透孔の内周縁
に弾性係合片を設けたことで、この弾性係合片が圧着金
具の端面に当接するため、圧着金具の確実な位置決め及
び収容凹部からの抜け止めを行うことができる。また、
圧着金具の確実な位置決めが可能になることで、芯線間
に充填材を確実に流入することができ、本体の効果をよ
り高めることができる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。なお、図5の従来例と同一構成部分には同一符
号を付してその説明を省略する。
【0017】図1は実施例のリード線の導出構造の断面
図、図2は図1のII−II矢視図であり、図におい
て、40はリード線保持部材である。このリード線保持
部材40は、リード線9の延びる方向に2つに分割され
ており、液体容器の壁1のリード線導出孔3にOリング
41を介して液密嵌合された本体部42と、本体部42
の端面に結合された充填材注入空間44を有した充填部
46とからなる。本体部42と充填部46は、樹脂によ
り独立して成形された上で一体的に結合されている。
【0018】本体部42は、図3にも示すように、外周
側の円筒部48と端壁50とからなり、該端壁50に、
圧着金具13の収容凹部15と挿通孔7が連続して形成
されている。挿通孔7は端壁50から突出する円筒体5
2の内孔として形成されている。また、挿通孔7と反対
の側の収容凹部15の端面は、収容凹部15の径のまま
端壁50の外端面に開放している。この外端面には、前
記充填部46の端壁56が当接している。
【0019】充填部46は、端壁56を有した円筒状の
もので、端壁56には収容凹部15に対応する位置にそ
れぞれ透孔58があけられている。これらの透孔58の
内周縁は、図4に拡大して示すように、放射状のスリッ
ト58aが形成されることによって弾性係合片60とし
て構成されている。弾性係合片60の内周縁部の内面側
(充填材注入空間44側)はテーパ状にカットされて、
内周端が刃のように鋭角になっており、充填材注入空間
44側からリード線9及び圧着金具13を挿入する際の
挿入力を最小限にするようになっている。
【0020】弾性係合片60の内径つまり透孔58の径
は、リード線9の絶縁被覆剥離部11の外径に近い値に
設定されており、少なくともリード線9の絶縁被覆の外
径よりも小さめ(勿論圧着金具13よりも小さい)に設
定されている。
【0021】そして、このように形成された本体部42
と充填部46とが、充填部46の外周側端面に突設した
ロック片62を、本体部42の外周側端面に形成したロ
ック孔64に係合することにより、一体に結合されてい
る。なお、ロック孔64は外周面にも開口している。
【0022】このような構造のリード線保持部材40を
用いて図1のリード線の導出構造を得るには、まず合体
したリード線保持部材40を、液体容器の壁1に形成し
たリード線導出孔3にOリング41を介して液密嵌合す
る。次いで、圧着金具13を加締めたリード線9を充填
部46側から挿入し、挿通孔7に挿通させる。そして、
圧着金具13を軽く押し込むことにより弾性係合片60
を通過させ、収容凹部15内に収容する。一旦、圧着金
具13を収容凹部15内に収容すれば、弾性係合片60
が圧着金具13の抜けを押さえるので、圧着金具13は
収容凹部15内に保持される。次いで、充填部46の充
填材注入空間44に充填材17を注入し、収容凹部15
内にも充填材17が行き渡るようにする。なお、この構
造では、図中A側が容器内側で、B側が容器外側であ
る。
【0023】この構造によれば、弾性係合片60が圧着
金具13の抜け止めを果たすので、充填材17の注入時
に圧着金具13の位置が設定位置に常に保持される。ま
た、弾性係合片60を備えた充填部46を、リード線9
の挿通孔7を有する本体部42とは別に成形しているの
で、アンダーカットの問題を生じることなく、挿通孔7
の大きさをリード線9に合わせた適切な大きさに設定す
ることができる。よって、挿通孔7とリード線9の隙間
からの充填材17の漏れの問題を回避することができ
る。また、本体部42と充填部46のロック位置がOリ
ング41の位置よりも容器外側に位置しているので、リ
ード線導出孔3とのシール性に関しての問題は生じな
い。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
充填材の漏れの問題を生じずに、圧着金具の位置決めを
行うことができる。しかも、ゴム栓や弾性部材を使用し
ないので、作業性が悪くなることもない。また、圧着金
具の外径より小さいリード線挿通用の透孔の内周縁に弾
性係合片を設けたことで、この弾性係合片が圧着金具の
端面に当接するため、圧着金具の確実な位置決め及び収
容凹部からの抜け止めを行うことができる。さらに、圧
着金具の確実な位置決めが可能になることで、芯線間に
充填材を確実に流入することができ、本体の効果をより
高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の断面図である。
【図2】図1のII−II矢視図である。
【図3】本発明の一実施例におけるリード線保持部材の
分解斜視図である。
【図4】図2の要部拡大図である。
【図5】従来のリード線の導出構造を示す側断面図であ
る。
【図6】図5の要部を示す断面図である。
【図7】従来例の問題点を説明するために示す要部断面
図である。
【図8】従来例の他の問題点を説明するために示す要部
断面図である。
【図9】従来の他のリード線の導出構造を示す側断面図
である。
【図10】従来のさらに他のリード線の導出構造を示す
側断面図である。
【符号の説明】
1 液体容器の壁 3 リード線導出孔 7 挿通孔 9 リード線 11 絶縁被覆剥離部 13 圧着金具 15 収容凹部 17 充填材 40 リード線保持部材 42 本体部 44 充填材注入空間 46 充填部 56 端壁 60 弾性係合片
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01R 9/16

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体容器の壁に形成したリード線導出孔
    にリード線保持部材を液密固定し、該リード線保持部材
    に形成した挿通孔に複数本の芯線と絶縁被覆とからなる
    リード線を挿通し、該挿通箇所に隣接したリード線に絶
    縁被覆剥離部を設け、該絶縁被覆剥離部に圧着金具を加
    締め、該圧着金具を前記保持部材に形成した収容凹部内
    に位置決めして該収容凹部内に充填材を充填してなる液
    体容器内からのリード線の導出構造において、 前記リード線保持部材を、前記リード線の挿通孔及び収
    容凹部を有する本体部と、充填材の注入空間を有する充
    填部とに2分割して、前記収容凹部に隣接する前記充填
    部の注入空間の端壁に少なくとも前記圧着金具の外径よ
    り小さいリード線挿通用の透孔を設け、該透孔の内周縁
    に放射状のスリットを形成して前記圧着金具の抜け止め
    用の弾性係合片を設けたことを特徴とする液体容器内か
    らのリード線の導出構造。
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