JP3014603B2 - 金属帯の連続プラズマ処理装置 - Google Patents

金属帯の連続プラズマ処理装置

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JP3014603B2
JP3014603B2 JP6295135A JP29513594A JP3014603B2 JP 3014603 B2 JP3014603 B2 JP 3014603B2 JP 6295135 A JP6295135 A JP 6295135A JP 29513594 A JP29513594 A JP 29513594A JP 3014603 B2 JP3014603 B2 JP 3014603B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、送給される金属帯に対
してプラズマ処理を実施する金属帯の連続プラズマ処理
装置に関するものであり、例えば極低炭素鋼からなるス
トリップを焼鈍炉内から浸炭炉内に通板して連続的に浸
炭する場合に、設定された通板速度で通板されるストリ
ップを所望する浸炭量で浸炭したり、所望する鋼中浸炭
濃度分布を得たりするのに好適なものである。
【0002】
【従来の技術】例えば自動車産業のような金属二次加工
産業界では、加工対象金属板に対してより高い加工性と
強度との両立が要求されている。具体的に前記自動車産
業界では、昨今問題化されている地球環境問題から低燃
費化を追求するために車体を軽量化する必要から、従来
の深絞り性を維持した上でより強度の高い鋼板が要求さ
れる。
【0003】このような金属板の評価指標としては、例
えば延性,深絞り性,時効性,強度,二次加工脆性,焼
付硬化性,スポット溶接性等が考えられる。そこで、前
記の深絞り性を特に重要視して、この深絞り性をランク
フォード値(以下r値:金属板幅歪み/板厚歪み)で評
価した場合、鋼中の炭素(以下Cと記す)量を低減する
ことが最も有利であることは公知であり、加えてこの低
炭素化により延性(Elongation:El)や常温遅時効性
(Aging Index :AIが低い程良い)も向上する。とこ
ろが、一方で鋼中のC量が低下するに従ってその他の評
価指標は大方について劣化する。例えば、析出物が減少
して組織強度が低下するために引張強度(Tensile Stre
ngth:TS)が低下し、粒界強度が低下するために二次
加工脆性が劣化し、固溶C量が低下するために焼付硬化
性が劣化する。また、鋼中C量50ppm以下では、溶
接による加熱で粒成長速度が促進されて熱影響部(Heat
Affected Zone:HAZ)の粗粒化によってスポット溶
接性が劣化する。
【0004】そこで、極低炭素鋼からなる金属帯を連続
焼鈍処理によって再結晶焼鈍することにより前記延性,
深絞り性,常温遅時効性を得ながら、これに続いて、連
続浸炭処理によって表層部に固溶Cを存在させることに
より前記引張強度,二次加工脆性,焼付硬化性(Baked
Hardness:BH性),スポット溶接性を向上するため
に、本出願人は特開平4−88126号公報に記載され
る連続焼鈍浸炭設備を開発した。
【0005】この連続焼鈍浸炭設備によれば、予熱帯か
ら加熱帯又は均熱帯で金属帯(ストリップ)に対して所
定の再結晶焼鈍を行った後、浸炭帯内の鋼板温度,雰囲
気諸元,搬送速度(在炉時間)及び冷却条件を制御して
連続ガス浸炭処理を行うことにより、金属帯の材質仕様
を満足させながら表層浸炭深さと濃度分布を所望の値と
した金属帯を連続的に製造することを可能とする。
【0006】一方で、このような金属帯表層部の浸炭深
さと浸炭濃度を制御する方法として特公昭54−319
76号公報に記載されるものがある。この浸炭深さ及び
浸炭濃度の制御方法は、浸炭期には浸炭ガスを所定の流
量で噴出導入して金属帯表層部に炭素を浸透させ、この
浸炭期に続く拡散期には浸炭ガスを排気した十分な減圧
下で,金属帯表層部に浸透した炭素を拡散させ、これら
の浸炭期と拡散期の時間を制御することによって浸炭深
さと浸炭濃度とをコントロールするようにしたものであ
る。この浸炭深さ及び浸炭濃度の制御方法によれば、特
に薄い浸炭層(浸炭肌)を必要とするガスジェット浸炭
で発生し易い,不均一浸炭を防止することが可能であ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら前述のよ
うな金属帯の連続ガス浸炭処理には、以下に述べるよう
な問題がある。まず、一般に知られるように浸炭反応は
一酸化炭素COから高温分離した遊離炭素[C]がスト
リップ等の金属帯の表層部に浸透すると考えてよいが、
その一方で,この浸炭反応に伴って雰囲気ガス中の二酸
化炭素CO2 やH2 Oが増大し、当該雰囲気ガスの浸炭
力(金属帯の炭素量を増加させる能力で,旧来はCO/
CO2 等により管理されている)は低下する方向に移行
する。この雰囲気ガスの浸炭力が低下するのを防止する
ためには,多量の雰囲気ガスを使用する必要があり、こ
の多量の雰囲気ガスに係るランニングコストばかりでな
く、前記一酸化炭素COや後述する煤等の環境対策上の
設備コスト並びにその運用コストも大きい。また、同時
に消費エネルギが大きいことも欠点として挙げられる。
【0008】また、浸炭反応に寄与しない分解ガスが大
量に炉内に滞留して,結果的に前記遊離炭素[C]が煤
となって存在するため、炉内の構成部材に煤が付着す
る,所謂スーティングを発生させ、それを除去して保守
するために多大なコストがかかる。また、ストリップへ
のスーティング発生を含んでスーティングそのものの発
生を防止するためには、雰囲気ガスの組成や浸炭に関与
する温度(単に浸炭温度とも記す)を高い精度で制御す
る必要があり、その分だけ設備等のコストも大きくなる
と考えられる。
【0009】なお、このスーティングの発生に関して
は,例えばストリップの通板方向をサポートするハース
ロールについても大きな問題があることが判明した。つ
まり、これらのハースロールには,ロール自体の強度及
び耐磨耗性を維持するためにクロムCr合金等が使用さ
れているが、前記スーティングの発生によって,ハース
ロールに付着したCがハースロール内部にCが拡散する
と、CrとCが結合してCr炭化物が析出し、これによ
りハースロールに用いられている耐熱合金の結晶粒が破
壊され或いは膨張し、一方で固溶Crが減少するため、
ハースロールが脆化、酸化されることにより孔状の腐食
が進行し、比較的短時間でハースロールを交換しなけれ
ばならない。
【0010】また、一般に知られるように浸炭の反応速
度を大きくするためには浸炭温度を高くすることが有利
であるが、当該ストリップの温度が再結晶温度以上とな
るような温度領域での浸炭は材質上好ましくない。例え
ば、前述のような極低炭素鋼等からなるストリップに対
して,表層部に浸炭が施された当該ストリップの板温を
高温で長時間(数十秒以上)保持すると、当該ストリッ
プの表層部に浸炭した固溶Cがストリップの内部にまで
拡散し、常温遅時効性AIを劣化させたり,耐二次加工
脆性やBH性の向上が見られなかったりすることがあ
る。従って、浸炭温度の上限から浸炭量が規制されるた
めに,ストリップの炉内滞在時間を延長する必要がある
場合には当該ストリップの通板速度を小さくするしかな
く、これによって単位時間当たりの処理能率が制限され
る。また、前記ストリップの材質面から鑑みれば,連続
ガス浸炭では、浸炭後,可及的速やかに急冷し、前記固
溶Cの拡散を抑制することが重要となるが、前述のスー
ティング問題と合わせて,ここでも浸炭ガスが冷却帯に
侵入することによってスーティングが発生する虞れがあ
り、材質上の浸炭量の確保と拡散の抑制との両立は困難
である。
【0011】また、前述のように大量の浸炭ガスを使用
し、しかもこの浸炭ガスが,温度や組成濃度等の種々の
面で全体に安定な状態にならないと,浸炭濃度の不均一
が生じるために、浸炭炉を停止した後,再び当該浸炭炉
を立ち上げる場合には、長時間のシーズニング,所謂な
らし運転を必要とし、時間的な無駄も多い。また、スト
リップへの浸炭量を変更するためには、炉内温度(炉
温),雰囲気ガス中のCO濃度等を変更する必要がある
が、これらの制御量の変更は応答性が低いために実際の
ストリップの通板との追従性に劣り、浸炭量の変更点で
材質不良が発生し易い。
【0012】また、材質面からは前記浸炭薄鋼板の仕様
諸元は更に微細な条件を要求される傾向にあり、そのよ
うな仕様諸元を満足するためには金属帯表層部の浸炭濃
度分布、即ち該表層部の浸炭濃度の深さ方向へのプロフ
ァイルまでも管理制御する必要が生じてきた。例えば、
車両や電気機器に使用される鋼板では多くの場合、プレ
ス加工後に焼付塗装を行うため、プレス加工時には前記
延性Elや深絞り性r値を発揮して成形性が高く、焼付
塗装時に前記焼付硬化性BHを発揮して強度が向上する
といった特性が必要となる。同時にこれらの鋼板ではプ
レス加工時まではその成形性を維持できる常温遅時効性
(低AI)も要求される。従って、これらの鋼板は深絞
り性を有する常温遅時効性高焼付硬化型鋼板(低AI−
高BH性鋼板)である必要が生じる。こうした鋼板を極
低炭素鋼の連続焼鈍浸炭によって得る場合に必要となる
鋼中浸炭濃度のプロファイル,即ち分布状態を検討する
と、鋼板の厚さ方向内層部の炭素濃度は前記極低炭素鋼
ながらに低いまま、表層部の炭素濃度を大きく高めて所
謂C濃度勾配が急峻になるようにしなければならない。
しかしながら、前記特公昭54−31976号公報に記
載される浸炭深さ及び浸炭濃度の制御方法でも、こうし
た浸炭濃度プロファイルは考慮されておらず、この制御
方法をそのまま浸炭濃度分布の制御に展開することはで
きない。
【0013】これらの連続ガス浸炭に係る諸問題を解決
する手段としては、例えば工業加熱Vol.24,No.5,P47 以
後(以下,文献1とも記す)に記載される低温プラズマ
浸炭処理を用いることが考えられる。この文献1から,
低温プラズマ浸炭処理の長所を簡潔に列記すれば、ま
ず、制御量となる雰囲気ガスはCH4 やC3 8 等の炭
化水素や或いは一酸化炭素COを浸炭用とし、その他に
反応ガスとしてArやH 2 等を直接的に使用し、しかも
その供給量が小さく且つ構造原理及び浸炭原理自体は非
常に簡潔であるために、設備コストが小さく,同時にラ
ンニングコストも小さくてエネルギ消費量も小さく、更
に浸炭量の制御が容易で、しかも応答性に優れる。ま
た、十分な減圧下では遊離炭素[C]が滞留しないか
ら、前記諸問題の根源であるスーティングが発生しな
い。また、原理的に急加速された炭素陽イオンC+ を被
処理品に衝突させて,当該被処理品の表層部に固溶Cと
して供給するものであるから、その供給速度,つまり連
続ガス浸炭処理でいうところの反応速度が非常に速く、
従って処理時間の短縮が可能で、しかも浸炭ムラが発生
しにくく、また結晶粒の粗粒化を抑制して材質面での劣
化を抑制することができる。また、このようにして得ら
れた表層部の固溶Cを,拡散期を適切に制御することで
内部に拡散させ、所望する鋼中炭素濃度プロファイルを
得ることも可能である。
【0014】しかしながら、この文献1に記載される低
温プラズマ浸炭処理は、あくまでもバッチ処理等で軸受
部品等の不連続被処理品を浸炭する場合に適用されてい
るものであり、以下のような理由によってストリップ等
の金属帯の連続被処理品の適用には実施化できない実状
がある。まず、文献1にも記載されるように浸炭雰囲気
圧力,つまり炉内の圧力が高いと、雰囲気ガスの絶縁を
破って前記炭素陽イオンC+ を急加速して被処理品に衝
突させるために大きなエネルギを必要とし、これによっ
て高温のアーク放電が発生して浸炭に係る温度,具体的
には当該雰囲気温度や板温が上昇する。ストリップ等の
金属帯の連続被処理品の表面に均一な低温プラズマを発
生させるためには、異常グロー放電領域,又はホローカ
ソード放電領域での放電が必要であり、その必須要件の
一つには炉内圧力を10〜2000Paの低圧にするこ
とが挙げられる(これにより前述のスーティングの問題
が解決される)。ところが、ストリップ等の金属帯を連
続的に送給しながら低温プラズマ浸炭処理を行うため
に,炉内圧力を減圧する具体的な手段は未だ開発されて
いない。
【0015】また、前記低温プラズマのその他の必須要
件には,補助陰極を含む各電極が必要であるが、これら
の電極を連続的に送給されるストリップ等の金属帯に対
して具体的に如何様に配設すればよいかは未だ解決され
ない問題である。また、低温プラズマ浸炭処理によって
被処理品の表層部に固溶Cを供給し、これを被処理品の
内部に拡散することは、前記文献1にも開示されている
のであるが、それでは連続的に送給されるストリップ等
の金属帯において実際に固溶Cを拡散するために必要な
構成要件は未だ解決されていない。
【0016】本発明は斯かる諸問題に鑑みて開発された
ものであり、まず連続的に送給されるストリップ等の金
属帯に対して安定した低温プラズマを発生させ、これ
を,要求される鋼中炭素濃度プロファイルを満足するよ
うに当該金属帯への低温プラズマ浸炭処理として使用可
能とすると共に、連続焼鈍炉においてこの低温プラズマ
浸炭処理を行って,要求される鋼板の仕様諸元を満足す
ることのできる金属帯のプラズマ処理装置を提供するこ
とを目的とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本件発明者等は前記諸問
題について鋭意検討を重ねた結果、以下の知見に基づい
て本発明を開発した。即ち、前記低温プラズマの原理に
よれば補助陰極とそれに対向した被処理面との間に,前
記ホローカソード放電が発生し、この放電によって浸炭
に関与するイオン分子や原子の電荷密度が高くなり、そ
の結果,浸炭速度が高くなるのである。従って、連続的
に通板されるストリップ等の金属帯に対しては、少なく
とも当該金属帯の板面に平行な補助陰極を配設すること
が限定要件として挙げられる。一方、被処理品である金
属帯は陰極とする必要がある。そして、被処理品である
金属帯の表層部に安定したホローカソード放電,即ち低
温プラズマを発生させるためには、具体的に電圧が印加
される陽極を,当該金属帯の幅方向端縁に対しては平行
で且つ板面に対しては垂直に配設すればよいことにな
る。また、昨今の鋼板の仕様諸元に要求される鋼中炭素
濃度プロファイルを制御するためには、浸炭処理後の温
度,具体的には板温の制御が必要であり、当該鋼中炭素
濃度プロファイルを工業的に制御するにあたって,必要
となる固溶Cの鋼中拡散速度を増速するためには具体的
な加熱手段が必要となる。この加熱手段としては,後述
する焼鈍処理を含めて浸炭処理そのものが冷延鋼板製造
の終盤工程に相当することから、輻射熱を利用するラジ
アントチューブバーナが好適であろう。ラジアントチュ
ーブバーナそのものは業界において周知のものであるか
ら、ここでは詳述しない。そして、前記特開平4−88
126号公報に記載されるような連続焼鈍炉で,同時に
浸炭処理を行うためには、前記浸炭処理装置の炉内だけ
を減圧する必要があり、例えば加熱又は均熱による焼鈍
工程から連続的に浸炭炉内に金属帯が送給される場合に
は,この浸炭処理装置の入出側に減圧帯等の圧力調整帯
を配設することで,当該浸炭処理装置の炉内だけを減圧
することが可能となることに着目した。なお、前記浸炭
処理装置に浸窒処理機能を付加することは極めて容易で
あり、また鋼板製品によっては浸窒だけを行うことも容
易である。
【0018】而して、本発明のうち請求項1に係る金属
帯の連続プラズマ処理装置は、連続的に送給される金属
帯をプラズマ処理する金属帯の連続プラズマ処理装置で
あって、前記金属帯を陰極とするための主陰極と、前記
金属帯の幅方向端縁に対して平行で且つ当該金属帯の板
面に対して垂直な陽極と、前記金属帯の板面に対して平
行な補助陰極とを備えたことを特徴とするものである。
【0019】また、本発明のうち請求項2に係る金属帯
の連続プラズマ処理装置は、前記請求項1に係る金属帯
の連続プラズマ処理装置において、送給されながらプラ
ズマ処理される金属帯の周りを浸炭雰囲気及び/又は浸
窒雰囲気に制御すると共に、その出側に加熱手段として
ラジアントチューブを配設したことを特徴とするもの
である。
【0020】また、本発明のうち請求項3に係る金属帯
の連続プラズマ処理装置は、前記請求項2に係る金属帯
のプラズマ処理装置を、連続焼鈍炉の加熱帯又は加熱帯
及び均熱帯の出側に、連続浸炭・浸窒装置として配設
し、少なくとも前記プラズマ処理部位の入側及び出側に
圧力調整帯を備えたことを特徴とするものである。
【0021】
【作用】本発明のうち請求項1に係る金属帯の連続プラ
ズマ処理装置では、例えば連続的に送給されるストリッ
プ等の金属帯に対して,当該金属帯の通板をサポートす
るロールを通電ロールとして接地するなどにより、当該
金属帯を陰極とする主陰極を構成し、一方、例えば前記
主陰極と共に接地される補助陰極は当該金属帯の板面に
対して平行に配設し、低温プラズマに必要な電圧が印加
される陽極は,当該金属帯の幅方向端縁に対して平行で
且つ当該金属帯の板面に対して垂直に配設したために、
前述のような10〜2000Pa程度の低圧で,前記陽
極に例えば200〜1500V程度の電圧を印加する
と、前記補助陰極と金属帯の板面との間に安定したホロ
ーカソード放電が発生し、この放電によって低温プラズ
マが安定して実施される。従って、この安定した低温プ
ラズマにより,例えば浸炭用の炭化水素ガス及び反応用
ガスが供給された雰囲気下では,炭素陽イオンC+ が急
加速されて当該金属帯の板面に衝突し、これにより金属
帯の表層部に固溶Cとして供給され,浸炭が実施され
る。このとき、前記ストリップ等の金属帯には主陰極で
あるロールが直接接触しているほかは,陽極も補助陰極
も非接触状態であるから、この金属帯が連続的に送給さ
れてもロールが回転するだけであり、原理的には当該金
属帯に疵がつく虞れなどはない。
【0022】また、本発明のうち請求項2に係る金属帯
の連続プラズマ処理装置では、送給 される金属帯の周り
を浸炭及び/又は浸窒雰囲気に制御すると共に、前記の
ように各電極を配設して安定した低温プラズマ浸炭処理
を可能としたプラズマ処理装置の出側に加熱手段として
ラジアントチューブ配設したことにより、前記低温
プラズマ浸炭処理によって表層部に固溶Cが供給されて
いるストリップ等の金属帯を、当該ラジアントチューブ
からなる加熱手段によって再加熱するなどして板温調節
し、これにより当該金属帯の表層部の固溶Cを内部に拡
散させることができる。従って、例えば前記連続プラズ
マ浸炭処理による浸炭量(つまり前記表層部に浸炭され
た総固溶C量)と、この加熱手段による板温ー時間プロ
ファイルとを制御することにより、前記低AIー高BH
鋼板等に要求される炭素濃度プロファイルを制御するこ
とができ、種々の鋼板の仕様諸元に幅広く対応すること
ができる。
【0023】また、本発明のうち請求項3に係る金属帯
の連続プラズマ処理装置では、前記のように連続プラズ
マ処理装置を配設した浸炭・浸窒装置を,連続焼鈍炉の
加熱帯又は加熱帯及び均熱帯の出側に配設して,連続焼
鈍による再結晶に引き続いて連続プラズマ浸炭・浸窒を
行う場合、当該連続プラズマ処理装置の入出側に圧力調
整帯を設けたことにより、少なくとも前記低温プラズマ
浸炭処理の雰囲気を,必要な低圧状態に制御することが
でき、これによりストリップ等の金属帯に対して一連の
連続焼鈍浸炭・浸窒工程で,所望する仕様諸元を満足す
る鋼板を容易に得ることができる。
【0024】
【実施例】図1は本発明の金属帯の連続プラズマ処理装
置を用いた,極低炭素鋼からなるストリップの連続焼鈍
浸炭設備の一例を示すものである。この実施例は,本発
明の金属帯の連続プラズマ処理装置によって連続プラズ
マ浸炭処理を可能とし、これを連続焼鈍炉に組合わせ
て,前記所望する鋼板の仕様諸元を満足しようとするも
のである。
【0025】同図において極低炭素鋼ストリップSは、
前記した板温制御の経緯・履歴を満足するように、コイ
ル巻戻し機,溶接機,洗浄機等を有する図示しない入側
設備、予熱帯1、加熱帯2、均熱帯3、第1冷却帯4、
入側減圧帯5、プラズマ浸炭帯6、出側減圧帯7、板温
調節帯8、第2冷却帯9、剪断機,巻取り機等の図示し
ない出側設備の順に通板される。
【0026】前記加熱帯2は、入側設備から連続的に送
給されて予熱帯1で予熱されたストリップSを再結晶温
度以上まで加熱するものであり、具体的には炉内温度が
850〜1000℃でストリップSの温度が700〜9
50℃になるように当該ストリップを加熱する。そして
加熱されたストリップSは前記均熱帯3で必要な時間,
再結晶温度以上に保持されることにより、深絞り性に有
利な{1,1,1}集合組織を発達させることができ
る。
【0027】前記第1冷却帯4は,前述のようにストリ
ップSは均熱帯3で再結晶温度以上に保持されている
が、後述するプラズマ浸炭帯6で実施される浸炭は後述
のように再結晶温度以下で行われるのが望ましく、この
両者間の温度差を制御するために設けられている。従っ
て、再結晶焼鈍後のストリップを,低温プラズマ浸炭処
理に好適な板温になるまで所望する冷却速度で急冷する
ために、例えばホストコンピュータにより,この冷却帯
4内を搬送されるストリップに対して冷却ガスジェット
から吹付けられる冷却ガス流量,流速及び冷却ロール温
度,巻付け角等が制御される。
【0028】前記入側の減圧帯5は、後述するプラズマ
浸炭帯6において,所望する低温プラズマ浸炭処理が実
施されるように,当該プラズマ浸炭帯6の炉内圧力を低
減して保持するためのものであり、具体的には出側の減
圧帯7との対でそれが実施される。この入側の減圧帯5
及び出側の減圧帯7は、共に複数のロール10と既知で
ある複数の差圧シール装置11とで構成されており、プ
ラズマ浸炭帯6の炉内圧力を,10〜2000Pa程度
の低圧に保持することができるようにしてあり、その差
圧シール装置11の作動制御は前記ホストコンピュータ
等によりプラズマ浸炭帯6の炉内圧力を見ながらフィー
ドバック制御されている。
【0029】前記プラズマ浸炭帯6は、ストリップS表
面の極薄い部分(表層部)に固溶炭素(C)が存在する
浸炭層を形成するために、当該プラズマ浸炭帯4内の浸
炭炉は図示されないホストコンピュータにより所定の炉
内温度に制御され、またストリップが再結晶温度以下と
なるようにして、浸炭炉内を10〜120秒で通過する
ように通板速度が制御される。
【0030】この浸炭炉内に供給される浸炭ガスの組成
及び供給・排出流量は、前記ホストコンピュータが、後
述する低温プラズマ浸炭処理の原理に基づいて,鋼板の
仕様諸元に要求される鋼中総炭素量(浸炭量)を十分に
達成できる諸条件に従って制御されている。この浸炭ガ
スには、実際の浸炭反応には関与しないプラズマ反応用
のガスも含まれており、具体的には前記文献1に記載さ
れるように浸炭用ガスとしてはCH4 やC3 8 等の炭
化水素や或いは一酸化炭素COが,また反応用ガスとし
てはArやH2 等が用いられる。なお、具体的なストリ
ップへの浸炭量制御は,これらの浸炭ガスによって直接
的に行うのではなく、後述するようにプラズマ放電に関
与する各電極への印加電圧で直接的に制御する。
【0031】そして、浸炭炉内のストリップSはハース
ロール12を介して炉内を昇降しながら通板されている
が、これらのハースロール12は,図2に明示するよう
に所謂通電ロールであって,ロール表面が接地されてお
り、これによりハースロール12に接触しているストリ
ップSを陰極とする主陰極が構成される。また、この浸
炭炉の通板路近傍には、ストリップSの両板面に対して
平行な補助陰極13が,各板面から所定距離だけ離して
二枚一組で多数組配設されており、更にストリップSの
幅方向両側縁に対して平行に対向し且つ板面に対しては
垂直な陽極14が二枚一組で,前記補助陰極13と同等
又はほぼ同等の高さに,各側縁から所定距離だけ離して
配設されている。このうち、補助陰極13は夫々ハース
ロール12と同様に接地されており、陽極14には所定
の可変電圧が印加できるようにしてある。従って、前記
二枚一組の補助陰極13,二枚一組の陽極14及び陰極
とされたストリップSとの間で基本的な低温プラズマ放
電が実施される。従って、この一対の補助陰極13及び
陽極14並びにストリップSの間隙に前記浸炭ガスが介
在していれば,低温プラズマ浸炭が実施されることにな
り、そのプラズマ電極対による浸炭量は当該電極対の電
位降下(陰極降下),つまり印加電圧に応じて決定され
るが、その原理については後段に説明する。そして、実
際には図1に示すように補助陰極13及び陽極14のプ
ラズマ電極対が,ストリップSの通板路に沿って複数組
配設されており、夫々のプラズマ電極対で与えられる浸
炭量の総和が当該ストリップSへの総浸炭量になろう。
【0032】なお、前記補助陰極13及び陽極14はス
トリップSに対して非接触であり、ハースロール12は
ストリップSの通板に際して共に回転するだけであるか
ら、原理的にはストリップに疵がつく虞れなどはない。
従って、前記ホストコンピュータでは、ストリップに形
成されるべき要求される浸炭層の浸炭濃度分布,浸炭深
さ等の仕様諸元から、例えば必要な浸炭量を設定し、各
プラズマ電極対に必要な浸炭量から当該プラズマ電極対
で行われる低温プラズマ浸炭処理の制御量である前記電
位降下(陰極降下),つまり印加電圧を算出設定し、こ
の印加電圧を,実際には前記陽極14への可変電圧によ
って制御する。
【0033】このプラズマ浸炭帯6から送出されたスト
リップSは、前記出側減圧帯7を介して板温調節帯8に
送給される。この板温調節帯8のストリップ通板路近傍
には,図示されないラジアントチューブが多数配設され
ている。これらのラジアントチューブはその輻射熱によ
ってストリップSを加熱するものであり、供給される燃
焼ガスの供給流量によってその輻射熱を制御することが
できる。従って、固溶Cが鋼板の内部に拡散する速度が
板温の上昇に伴って増加することは周知であるから、こ
の板温調節帯8では、前記プラズマ浸炭帯6でストリッ
プSの表層部にのみ浸炭された固溶Cを,後述する第2
冷却帯9を含めて,当該ストリップSの内部に拡散させ
る或いは所望する拡散速度を得るのに必要な板温に制御
することができる。
【0034】前記第2冷却帯9では、前記板温調節帯8
を含めて鋼中に拡散する固溶Cの拡散速度を制御するた
めに、前記ホストコンピュータにより冷却帯内を搬送さ
れるストリップに対して冷却ガスジェットから吹付けら
れる冷却ガス流量,流速及び冷却ロール温度,巻付け角
等が制御されて,当該ストリップの冷却速度が制御され
る。従って、前記板温調節帯8によるストリップの板温
上昇及び当該第2冷却帯9によるストリップの冷却速度
を適宜に組合わせ制御することで、鋼板の仕様諸元に要
求される炭素濃度プロファイルを達成することができ
る。
【0035】このようにして本実施例の連続焼鈍浸炭設
備によれば、最終的には表層部にのみ固溶Cが存在する
極低炭素のプレス成形用冷延鋼板を得ることができる。
なお、既知のようにストリップ表層部からの脱炭によっ
て当該表層部の炭素濃度が低下するのを抑制するために
は,前記特公昭54−31976号公報にも記載される
ように十分な減圧下で炭素拡散を行うのが望ましく、こ
のような脱炭を抑制するために,前記板温調節帯や第2
冷却帯等,炭素拡散に係る設備を、前記出側減圧帯より
入側に配設するようにしてもよい。
【0036】次に、本実施例の連続焼鈍浸炭設備におい
て、前記低温プラズマ浸炭処理の基本原理について簡単
に説明する。隔離された陽極と陰極との間隙を10〜2
00Paに減圧し、両電極間に200〜1500V程度
の電圧を印加すると、陰極近傍では陰極降下を称される
強い電位降下を生じ、陰極から電子が放出される。この
放出された電子は、陰極降下部の強電場により急加熱さ
れ、陽極に向かって移動する途中、CH4 やH2 等のガ
ス分子と衝突し、これらを励起してH+ ,CH4 + ,C
+ 等のイオン及びC*,H* 等の活性子を生成する。発
生したイオンのうち,陽イオンは前記陰極降下部で急速
に加速されるから、陰極である被処理品に激突し、この
際,Cを含むイオンは被処理品に固溶Cを付与すると共
に被処理品を加熱する。
【0037】一方、このプラズマ浸炭反応に補助陰極を
用いると、この補助陰極に対向した被処理品の被処理面
と当該補助陰極面との間にホローカソード放電が発生
し、その他の部分よりも関与するガス分子及び原子の電
荷密が高くなり、浸炭に寄与する炭素陽イオンC+ の加
速度が増加することから浸炭速度を高めることができ、
その分だけ浸炭に係る処理時間を短くして処理能力を向
上することができる。
【0038】なお、この低温プラズマ浸炭処理に関する
詳細な説明は,前記文献1等を参照されたい。従って、
前記補助陰極13及び陽極14からなるプラズマ電極対
とストリップSとによる浸炭量は,当該プラズマ電極対
に印加される電圧によって制御することができるから、
これらのプラズマ電極対を複数対設けた本実施例の連続
焼鈍浸炭設備では、各プラズマ電極対への電圧を制御す
ることで総浸炭量を制御することができ、この電圧制御
量の応答性は極めて高いから,仕様諸元の異なる鋼板に
対して浸炭量を変更する場合にも,速やかに制御系が応
答して材料の無駄を抑制又は低減することができる。
【0039】図3は本実施例の連続焼鈍浸炭設備により
連続焼鈍プラズマ浸炭処理を行った低AI−高BH鋼板
のデータである。また、比較例として従来の連続焼鈍ガ
ス浸炭処理を行った低AI−高BH鋼板のデータも併記
する。この図から明らかなように、本実施例では、従来
よりも更に常温遅時効性AIの低い新たな鋼板を作成す
ることができる。その他にも、浸炭処理に必要なガス流
量(CO換算)を従来の1000Nm3 /hrから50N
3 /hrに激減することができ、これによってランニン
グコスト及びエネルギ消費量を大幅に削減することがで
きる。また、同等の有効浸炭炉長で処理能率(単位時間
当たりの浸炭処理量)が約2倍になる。また、鋼板への
浸炭量を変更する際、ガス浸炭で浸炭条件の変更完了ま
でに20秒〜15分程度も要していた制御応答時間を,
1〜2秒程度まで短縮することができ、その結果,浸炭
量変更点で発生する材質不良を皆無又はほぼ皆無とする
ことができた。また、ガス浸炭炉の立ち上げで必要なシ
ーズニング時間が不要となり、炉の立ち上げには,炉内
を減圧する準備時間だけで立ち上げに要する時間を約1
/10程度にまで減縮することができた。
【0040】次に前記図1の連続焼鈍浸炭設備を用いて
種々の温度−時間プロファイルによる連続焼鈍浸炭を行
った結果について考察する。この連続焼鈍浸炭は何れ
も、板厚0.75mmのIF鋼板(0.0029%C−
0.006%S−0.0019%N−0.029%Ti
−0.008%Nb)を通板速度55mpmで送給し
て,図4〜図7に示す温度−時間プロファイルに従って
板温を制御した。このうち,図5〜図7は連続ガス浸炭
を用いた比較例である。
【0041】図4の実施例1では前記IF鋼板からなる
ストリップを所定の加熱速度で加熱して、これを850
℃で15秒間均熱状態に維持し、然る後,所定の冷却速
度で冷却して、450℃で12秒間,低温プラズマ浸炭
処理を行い、次いで所定の加熱速度で加熱して、これを
700℃で10秒間,再加熱状態に維持し、然る後,7
00℃から500℃までの間は12℃/秒の冷却速度で
冷却を行った。なお、前述のように,前記再加熱工程及
び最終冷却工程では、夫々,プラズマ浸炭によって鋼板
(ストリップ)の表層部に形成された浸炭層の固溶Cが
内部に拡散しているものと解される。
【0042】図5の比較例1では前記IF鋼板からなる
ストリップを所定の加熱速度で加熱して、これを850
℃で15秒間均熱状態に維持し、然る後,所定の冷却速
度で冷却して、450℃で12秒間,低温プラズマ浸炭
処理を行い、次いで450℃から200℃までの間は9
℃/秒の冷却速度で冷却を行った。なお、前記最終冷却
工程では、プラズマ浸炭によって鋼板(ストリップ)の
表層部に形成された浸炭層の固溶Cが内部に拡散してい
るものと解されるが、低温プラズマ浸炭を含むそれ以後
の板温が低いために,その拡散速度も小さいと解され
る。
【0043】図6の比較例2では前記IF鋼板からなる
ストリップを所定の加熱速度で加熱して、これを850
℃で15秒間均熱状態に維持し、然る後,所定の冷却速
度で冷却して、炉内温度850℃で20秒間,板温は8
00℃になるようにしてガス浸炭処理を行い、次いでこ
れを所定時間前記800℃の板温に保持し、然る後,8
00℃から500℃までの間は35℃/秒の冷却速度で
冷却を行った。なお、前記板温保持工程及び最終冷却工
程では、夫々,ガス浸炭によって鋼板(ストリップ)の
表層部に形成された浸炭層の固溶Cが内部に拡散してい
るものと解されるが、特に最終冷却工程では冷却速度が
大きいためにその拡散速度は小さいと解される。
【0044】図6の比較例3では前記IF鋼板からなる
ストリップを所定の加熱速度で加熱して、これを740
℃で所定時間均熱状態に維持し、然る後,この板温74
0℃を維持したまま,20分間,ガス浸炭処理を行い、
次いでこれを740℃から500℃までの間は160℃
/時の冷却速度で冷却を行った。なお、前記最終冷却工
程では、ガス浸炭によって鋼板(ストリップ)の表層部
に形成された浸炭層の固溶Cが内部に拡散しているもの
と解されるが、特に最終冷却工程では冷却速度が小さい
ためにその拡散速度は大きいと解される。
【0045】これらの連続焼鈍浸炭処理によって得られ
た鋼板の特性を下記表1に記す。なお、表中,比較例4
は浸炭処理を施さなかった鋼板の性状であり、また表中
の評価指標は、夫々,引張強度TS(MPa),降伏強
度YS(MPa),延性El(%),ランクフォードr
値(−),常温遅時効性AI(MPa),焼付硬化性B
H(MPa),浸炭量ΔC(ppm)を示し、夫々の評
価内容については前述の通りである。
【0046】
【表1】
【0047】この表1からも明らかなように,最も常温
遅時効性AI及び焼付硬化性BHに優れた連続焼鈍ガス
浸炭処理鋼板よりも、本実施例の連続焼鈍プラズマ浸炭
処理鋼板の方が,更に常温遅時効性AIも焼付硬化性B
Hも優れており、前記本実施例の連続焼鈍浸炭設備によ
れば更なる高性能鋼板の製造も可能となる。なお、本実
施例では特に極低炭素鋼からなるストリップを連続焼鈍
・浸炭する場合についてのみ詳述したが、浸炭のみを必
要とする場合,浸窒を必要とする場合,浸炭及び浸窒を
必要とする場合においても、或いはその他の金属帯につ
いても展開可能である。
【0048】また、本実施例では各熱処理帯を全て竪型
炉で構成したが、各炉の具体的な構成については水平炉
を含めて,各実施の場に応じて適宜に選定すればよい。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように本発明の金属帯の連
続プラズマ処理装置によれば、金属帯の板面に対して平
行に配設された補助陰極と当該金属帯の板面との間に安
定したホローカソード放電が発生し、この放電によって
低温プラズマが安定して実施されるために、この安定し
た低温プラズマにより,例えばその周囲を浸炭雰囲気状
態に維持することで連続的に送給される金属帯の表層部
に固溶Cとして供給されて連続低温プラズマ浸炭処理が
実施され、このとき前記陽極も補助陰極も非接触状態で
あるから、連続的に送給される金属帯に疵がつく虞れな
どはない。
【0050】また、前記連続低温プラズマ浸炭処理によ
って表層部に固溶Cが供給されているストリップ等の金
属帯を,ラジアントチューブからなる加熱手段によって
再加熱するなどして板温調節し、これにより当該金属帯
の表層部の固溶Cを内部に拡散する拡散速度を制御可能
としたために、例えば前記連続プラズマ浸炭処理による
浸炭量と,この加熱手段による板温−時間プロファイル
とを制御することにより、鋼板等に要求される炭素濃度
プロファイルを制御することができ、種々の鋼板の仕様
諸元に幅広く対応することができる。勿論、浸炭の代わ
りに或いは浸炭と共に浸窒を行うことも可能である。
【0051】また、連続焼鈍による再結晶に引き続いて
連続低温プラズマ浸炭・浸窒を行う場合、少なくとも前
記低温プラズマ浸炭処理の雰囲気を,必要な低圧状態に
制御することができ、これによりストリップ等の金属帯
に対して一連の連続焼鈍浸炭・浸窒工程で,所望する仕
様諸元を満足する鋼板を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属帯の連続プラズマ処理装置を用い
た連続焼鈍浸炭設備の一例を示す概略構成図である。
【図2】図1の連続プラズマ処理装置の各電極配置の説
明図である。
【図3】図1の連続焼鈍浸炭設備による製造鋼板の特性
説明図である。
【図4】図1の連続焼鈍浸炭設備による実施例の温度−
時間プロファイルの説明図である。
【図5】比較例1の温度−時間プロファイルの説明図で
ある。
【図6】比較例2の温度−時間プロファイルの説明図で
ある。
【図7】比較例3の温度−時間プロファイルの説明図で
ある。
【符号の説明】
1は予熱帯 2は加熱帯 3は均熱帯 4は第1冷却帯 5は減圧帯 6はプラズマ浸炭帯 7は減圧帯 8は板温調節帯 9は第2冷却帯 10はロール 11は差圧シール装置 12はハースロール 13は補助陰極 14は陽極 Sはストリップ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 花園 宣昭 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 山崎 義男 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社鉄鋼研究所内 (72)発明者 今中 誠 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社鉄鋼研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 8/20 - 8/32

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続的に送給される金属帯をプラズマ処
    理する金属帯の連続プラズマ処理装置であって、前記金
    属帯を陰極とするための主陰極と、前記金属帯の幅方向
    端縁に対して平行で且つ当該金属帯の板面に対して垂直
    な陽極と、前記金属帯の板面に対して平行な補助陰極と
    を備えたことを特徴とする金属帯の連続プラズマ処理装
    置。
  2. 【請求項2】 送給されながらプラズマ処理される金属
    帯の周りを浸炭雰囲気及び/又は浸窒雰囲気に制御する
    と共に、その出側に加熱手段としてのラジアントチュー
    を配設したことを特徴とする請求項1に記載の金属帯
    の連続プラズマ処理装置。
  3. 【請求項3】 連続焼鈍炉の加熱帯又は加熱帯及び均熱
    帯の出側に配設され且つ少なくとも前記プラズマ処理部
    位の入側及び出側に圧力調整帯を備えたことを特徴とす
    る請求項2に記載の金属帯の連続プラズマ処理装置。
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JP5942886B2 (ja) * 2013-02-18 2016-06-29 Jfeスチール株式会社 方向性電磁鋼板の窒化処理設備および窒化処理方法
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