JP3013896B2 - ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼを含む薬剤組成物 - Google Patents

ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼを含む薬剤組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 本明細書では種々の刊行物を参考文献として括弧内の
数字で紹介し、これら参考文献の完全目録を明細書の発
明の詳細な説明の末尾に添付した。本発明の出願された
時点で当業者に公知の技術状態を完全に理解するため
に、これら参考文献の開示内容全部が本明細書に含まれ
るものとする。
スーパーオキシドジムスターゼ(SOD)と酸素遊離ラ
ジカル(O2 -)の現象とは1968年にMcCord及びFridovich
(1)によって発見された。スーパーオキシドラジカル
及びその他の高度に反応性の酸素種は全ての呼吸細胞中
で種々の高分子及び細胞成分に対する酸化性損傷の副生
物として産生される(参考文献2,3)。スーパーオキシ
ドジスムターゼとして公知の金属タンパク質のグループ
は酸化還元反応2O2 -+2H+→H2O2+O2を触媒し酸素毒性
に対する防御メカニズムを与える。
異なる金属及び異なるタンパク質を含む複数の形態の
SODが公知である。SOD中に存在する金属としては鉄、マ
ンガン、銅及び亜鉛がある。公知形態のSODは全て同じ
反応を触媒する。これら酵素は幾つかの進化的グループ
で検出される。鉄を含有するスーパーオキシドジスムタ
ーゼは主として原核細胞中で検出される。銅及び亜鉛を
含有するスーパーオキシドジスムターゼは実質的に全て
の真核生物中で検出される(4)。マンガンを含有する
スーパーオキシドジスムターゼは微生物からヒトまでの
生物中に検出された。
全ての生体高分子は過剰のスーパーオキシドラジカル
の損傷作用の標的となり得るので、SODの潜在的治療能
力の研究が盛んになって来ている。科学文献はSODの臨
床用途が広いことを示唆している。これらは、発癌及び
腫瘍増殖の阻止、抗癌剤の細胞薬害及び心臓薬害の低減
(10)、虚血組織の保護(12)及び精子の保護(13)を
含む。更に、老化過程でのSODの効果の研究も重要であ
る(14)。
しかし乍らヒトSODが少量しか入手できないことがヒ
トSODの治療能力に関する研究の主な障害になってい
る。
スーパーオキシドジスムターゼはまたその抗炎症特性
のために重要である(11)。ウシ由来のスーパーオキシ
ドジスムターゼ(オルゴテイン)は抗炎症特性をもつこ
とが認められておりヨーロッパの一部でヒト用の薬剤と
して市販されている。また、米国では、特に炎症を起こ
したウマの腱を治療する獣医薬として販売されている。
しかし乍らオルゴテインの供給量も限られている。ウシ
又はその他の動物細胞からの回収を含めて従来技術には
重大な制約があり、このような細胞から得られたオルゴ
テインはヒト由来でないためヒトではアレルギー反応を
起こす可能性もある。
銅亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ(CuZn SOD)は
種々の形態のスーパーオキシドジスムターゼのうちで最
も研究が進み、その特性も最も解明されている。
ヒトCuZn SODは、非共有的に結合した同一のサブユニ
ットから成り、各サブユニットが分子量16,000ダルトン
で銅1原子と亜鉛1原子とを含む二量体金属タンパク質
である(5)。各サブユニットは153個のアミノ酸から
成りその配列は解明されている(6,7)。
ヒトCuZnスーパーオキシドジスムターゼをコードする
cDNAがクローニングされた(8)。クローン化DNAの全
配列も決定された(9)。更に、細菌中でスーパーオキ
シドジスムターゼを産生及び回収するためのスーパーオ
キシドジスムターゼをコードするDNAを含む発現ベクタ
ーも記載されている(24,25)。スーパーオキシドジス
ムターゼDNAの発現及びその酵母中でのSODの産生も開示
された(26)。
最近、ヒト染色体21上のCuZn SOD遺伝子座が決定され
(27)、CuZnスーパーオキシドジスムターゼに関する最
近の研究成果がまとめられた(28)。
マンガンスーパージスムターゼ(MnSOD)については
まだ未知の部分が多い。大腸菌(E.colo)K−12のMnSO
Dが最近クローニングされその地図が作成された(2
2)。Barra等はヒト肝臓細胞から単離されたMnSODポリ
ペプチドの196個のアミノ酸配列を開示している(1
9)。しかし乍ら従来技術の開示では、MnSOD分子の構造
について、特に該構造の同一のサブユニットが2つであ
るか4つであるかについて意見が分かれている。しかし
乍ら、MnSODポリペプチドとCuZnSODポリペプチドとが相
同でないことについては一致している(19)。種々のソ
ースからのMnSODとFeSODとのアミノ酸配列の相同性も比
較されている(18)。
Baret等はラットモデルに於いて、ヒトMnSODの半減期
がヒト銅SODの半減期より実質的に長いことを開示して
いる。彼等はまた、ラットモデルに於いて、ヒトMnSOD
とラット銅SODとは抗炎症剤として有効でないが、ウシ
銅SODとヒト銅SODとが完全に有効であることを開示して
いる(20)。
McCord等は、in vitro試験では天然産生ヒトマンガン
スーパーオキシドジスムターゼが食作用を行なうヒト多
形核(PMN)白血球をウシ又はブタのCuZnスーパーオキ
シドジスムターゼよりも十分にスーパーオキシド遊離ラ
ジカルから保護することを開示している(21)。
本発明はヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼ
ポリペプチドもしくはその類似体又はそれらの突然変異
体をコードするcDNA分子の調製に係る。本発明はまた、
該cDNAを有効な細菌発現ベクターに挿入し、細菌中にヒ
トMnSODポリペプチド、その類似体、その突然変異体及
び酵素を産生し、細菌産生ヒトMnSODポリペプチド、そ
の類似体、その突然変異体又は酵素を回収することを目
的とする。本発明はまた、このように回収されたヒトMn
SODポリペプチド、その類似体又はその突然変異体とそ
れらの使用とに係る。
本発明は更に、細菌中での酵素活性ヒトMnSODの産生
方法及びこのような酵素活性ヒトMnSODの回収及び精製
方法に係る。
本発明はまた、ヒトマンガンスーパーオキシドジスム
ターゼ遺伝子をコードするDNA分子に係る。本発明はま
た、マンガンスーパーオキシドジスムターゼポリペプチ
ド、類似体、突然変異体及び酵素を産生するためにDNA
を哺乳類細胞に挿入することを目的とする。
本発明はまた、スーパーオキシドラジカルが過酸化水
素及び分子酸素に還元することを触媒するためのヒトマ
ンガンスーパーオキシドジスムターゼ又はその類似体も
しくは突然変異体の使用に係る。本発明は特に、虚血後
の再潅流障害の抑制及び摘出単離器官の生存期間延長の
ための細菌産生マンガンスーパーオキシドジスムターゼ
又はその類似体もしくは突然変異体の使用に係る。
本発明は更に、炎症を治療するための細菌産生ヒトマ
ンガンスーパーオキシドジスムターゼ、ヒトマンガンス
ーパーオキシドジスムターゼ類似体又はヒトマンガンス
ーパーオキシドジスムターゼ突然変異体の使用に係る。
本発明は特に、不快な症状を生起する量の酸素遊離ラジ
カルの発生に関連する疾患の治療のためのヒトマンガン
スーパーオキシドジスムターゼ、ヒトマンガンスーパー
オキシドジスムターゼ類似体又はヒトマンガンスーパー
オキシドジスムターゼ突然変異体の使用に係る。治療さ
れる疾患の例は、(1)細菌性リポ多糖内毒素(LPS)
によって誘発される滑膜炎症;(2)アジュバント誘発
関節炎によって生じる炎症;又は(3)ブレオマイシン
誘発肺線維症である。本発明は更に、ヒトマンガンスー
パーオキシドジスムターゼ、ヒトマンガンスーパーオキ
シドジスムターゼ類似体又はヒトマンガンスーパーオキ
シドジスムターゼ突然変異体の投与方法、及び、ヒトマ
ンガンスーパーオキシドジスムターゼ、ヒトマンガンス
ーパーオキシドジスムターゼ類似体又はヒトマンガンス
ーパーオキシドジスムターゼ突然変異体の量及び投与量
に係る。
本発明はまた、天然ヒトマンガンスーパーオキシドジ
スムターゼに比べてN末端の1つ以上のアミノ酸の欠失
を異にするヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼ
を少なくとも1つ含む種々のヒトマンガンスーパーオキ
シドジスムターゼ類似体に係る。これらの類似体は組成
物として使用され、これらの組成物は酸素遊離ラジカル
の発生に関連する不快な症状を軽減することによって種
々の疾患の治療に使用され得る。
発明の概要 ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼポリペプ
チドもしくはその類似体又はそれらの突然変異体をコー
ドするcDNAを含むDNA分子がヒトT−細胞ライブラリー
から単離された。ヒトマンガンスーパーオキシドジスム
ターゼポリペプチドもしくはその類似体又はそれらの突
然変異体をコードする二重鎖のヌクレオチド配列が発見
された。該ポリペプチドもしくはその類似体をコードす
る1つの鎖の配列は第1図のヌクレオチド115から下流
にヌクレオチド708までの配列である。類似体又はそれ
らの突然変異体をコードする別の配列は該ポリペプチド
をコードする鎖と実質的に同様であろう。24個のアミノ
酸プレペプチドをコードする二重鎖DNA分子の1つの鎖
のヌクレオチド配列は同じく第1図にヌクレオチド43か
らヌクレオチド114で示される。
ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼポリペプ
チドもしくはその類似体又はそれらの突然変異体をコー
ドする配列をもつヌクレオチド鎖を含む二重鎖DNA分子
又はその他の任意の二重鎖DNAをプラスミド又はウィル
スの如きクローニングベヒクルに組み込んでもよい。い
ずれのDNA分子も、原核細胞例えば細菌又は真核細胞例
えば酵母もしくは哺乳動物に公知方法で導入され得る。
この公知方法はいずれかの分子を含むクローニングベヒ
クルを使用する方法でもよいがこの方法に限定はされな
い。
好ましくはヒトマンガンスーパーオキシドジスムター
ゼポリペプチドもしくはその類似体又はそれらの突然変
異体をコードするcDNA又はDNAをプラスミド例えばpMSE
−4又はpMSΔRB4に組み込んで、次にDNAが発現できる
適当な宿主細胞に導入し、ヒトマンガンスーパーオキシ
ドジスムターゼ(hMnSOD)ポリペプチドもしくはその類
似体又はそれらの突然変異体を産生する。好ましい宿主
細胞は大腸菌(Escherichia coli)、特に大腸菌A4255
株及び大腸菌A1645株である。大腸菌A4255株中のプラス
ミドpMSE−4はAmerican Type Culture CollectionにAT
CC受託番号No.53250で寄託された。プラスミドpMSΔRB4
は第4図に示し図面に関する説明に記載のごとく調製さ
れ得る。
かかるDNA分子が導入された細胞を、DNAをmRNAに転写
しmRNAをタンパク質として発現させ得る適当な条件下で
当業者に公知の方法で培養又は増殖させる。得られたマ
ンガンスーパーオキシドジスムターゼタンパク質を回収
する。
ヒトMnSODもしくはその類似体又はそれらの突然変異
体と適当な担体とを含む獣医薬又は医薬組成物を調製す
ることも可能である。このヒトマンガンスーパーオキシ
ドジスムターゼもしくはその類似体又はそれらの突然変
異体は以下の反応を触媒するために使用され得る。
これによりスーパーオキシドラジカルによって生じる
細胞傷害が低減する。
より特定的には、これら酵素もしくはその類似体又は
それらの突然変異体は、虚血後の再潅流によって生じる
傷害を低減するため、摘出単離器官の生存時間を延長す
るため又は炎症治療に使用され得る。
本発明の目的は、酵素活性ヒトマンガンスーパーオキ
シドジスムターゼもしくはその類似体又はそれらの突然
変異体を細菌細胞中で産生する方法を提供することであ
る。細菌細胞は、マンガンスーパーオキシドジスムター
ゼもしくはその類似体又はそれらの突然変異体をコード
するDNA配列を含み該配列を発現し得る。本発明方法で
は、細菌細胞を適当な産生培地中で適当な条件下に維持
する。培地中で細胞が利用できるMn2+の濃度が約2ppmを
上回るように産生培地にMn2+を補給する。
本発明の好適具体例に於いて、細菌細胞はヒトマンガ
ンスーパーオキシドジスムターゼポリペプチドをコード
するDNA配列を含むプラスミド、例えばpMSE−4又はpMS
RB4を含む大腸菌細胞、例えば大腸菌A4255株である。
産生培地中のMn2+の濃度範囲は約50ppm〜約1500ppmであ
り、好ましくは150ppm及び750ppmである。
本発明は更に、マンガンスーパーオキシドジスムター
ゼもしくはその類似体又はそれらの突然変異体を含有細
菌細胞から回収する方法に係る。ヒトマンガンスーパー
オキシドジスムターゼもしくはその類似体又はそれらの
突然変異体を含む細胞中に存在するタンパク質を含むタ
ンパク質分画を回収すべく細胞を先ず処理し、次にタン
パク質分画を処理してヒトマンガンスーパーオキシドジ
スムターゼもしくはその類似体又はそれらの突然変異体
を回収する。本発明の好適具体例に於いては、細胞を先
ず処理して不溶タンパク質と細胞壁破片とから可溶タン
パク質を分離し、次に可溶タンパク質を回収する。次に
可溶タンパク質を処理して、hMnSODもしくはその類似体
又はそれらの突然変異体を含む可溶タンパク質の分画を
分離例えば沈殿させ、hMnSODもしくはその類似体又はそ
れらの突然変異体を含む分画を回収する。回収した可溶
タンパク質分画を次に処理してヒトマンガンスーパーオ
キシドジスムターゼもしくはその類似体を分離回収す
る。
より好ましい方法によれば、ヒトマンガンスーパーオ
キシドジスムターゼもしくはその類似体又はそれらの突
然変異体を含有する細菌細胞からヒトマンガンスーパー
オキシドジスムターゼもしくはその類似体又はそれらの
突然変異体を回収する。該方法では先ず産生培地から細
菌細胞を単離し、pH約7.0〜8.0の適当な溶液に懸濁させ
る。次に細胞を破壊し遠心して得られた上清を55〜65℃
で約30〜120分間、好ましくは58〜62℃で45〜75分間、
より好ましくは60℃で1時間加熱し、10℃未満好ましく
は約4℃まで冷却する。形成された沈澱物を例えば遠心
によって完全に除去し、冷却された上清を適当なバッフ
ァ、例えばpH約7.8の2mM燐酸カリウムバッファに透析す
る。好ましくは30Kより小さい過膜を使用し限外過
によって透析する。透析と同時又は透析後に、冷却した
上清を適当な容量、例えば初期容量の0.03まで任意に濃
縮してもよい。保持物(retentate)を適当なバッファ
溶液例えばpH約7.8の20mM以上の燐酸カリウムバッファ
溶液でアニオン交換クロマトグラフィーカラムから溶出
する。スーパーオキシドジスムターゼを含む溶出物の分
画を収集し、プールし、pH5.5の約40mMの酢酸カリウム
に透析する。透析したプール分画をpH5.5の約40〜約200
mMの酢酸カリウムの直線濃度勾配をもつカチオン交換ク
ロマトグラフィーカラムで溶出する。スーパーオキシド
ジスムターゼを含むピーク分画を収集し、プールする。
プールしたピーク分画を任意に適当な溶液、例えば水又
はpH約7.8の約10mM燐酸カリウムバッファのバッファ溶
液に透析する。
本発明はまた、本発明の方法で産生され精製された酵
素活性ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼもし
くはその類似体例えばmet−hMnSOD又はそれらの突然変
異体に係る。
本発明はまた、ヒトマンガンスーパーオキシドジスム
ターゼ遺伝子をコードするDNA分子に係る。マンガンス
ーパーオキシドジスムターゼ遺伝子の1つの鎖のエキソ
ンコード領域のヌクレオチド配列を第6図に示す。マン
ガンスーパーオキシドジスムターゼ遺伝子をコードする
DNAはプラスミド又はウイルスのごときクローニングベ
ヒクルに組み込まれ得る。DNA又はクローニングベヒク
ルは公知方法で真核細胞に導入され得る。ヒトマンガン
スーパーオキシドジスムターゼ遺伝子をコードするDNA
は、プラスミドpMSG11−1、pMSG4及びpMSG−1b中にコ
ードされる。軽質転換される真核細胞は好ましくはHeLa
細胞系又はマウスL細胞系のごとく哺乳類細胞系であ
る。本発明の別の目的は、本発明の細胞を適当な培地中
で適当な条件下に増殖することによってヒトマンガンス
ーパーオキシドジスムターゼポリペプチド、類似体、突
然変異体又は酵素を産生することである。
本発明はまた、ヒトマンガンスーパーオキシドジスム
ターゼ、ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼ類
似体をコードしそのコード鎖が第6図のヌクレオチド配
列をもつ二重鎖DNA分子に係る。本発明は更に、ヒトマ
ンガンスーパーオキシドジスムターゼ突然変異体をコー
ドしそのコード鎖が第6図のヌクレオチド配列に比べて
1つ以上のヌクレオチドを異にするヌクレオチド配列を
もつ二重鎖DNA分子に係る。
本発明はまた、ヒトマンガンスーパーオキシドジスム
ターゼ、ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼ類
似体又はヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼ突
然変異体をコードするDNA配列が発現された真核細胞に
係る。本発明はまた、ヒトマンガンスーパーオキシドジ
スムターゼ、ヒトマンガンスーパーオキシドジスムター
ゼ類似体又はヒトマンガンスーパーオキシドジスムター
ゼ突然変異体をコードするDNA配列を含むプラスミドに
よって軽質転換された真核細胞に係る。このDNA配列は
単一コピーで存在してもよく又は多数コピーで存在して
もよい。ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼ、
ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼ類似体又は
ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼ突然変異体
をコードするDNA配列は、ヒトマンガンスーパーオキシ
ドジスムターゼ遺伝子を含むヒトゲノムDNAのフラグメ
ントに由来する。更に、ヒトマンガンスーパーオキシド
ジスムターゼをコードするDNA配列は、ヒトゲノムマン
ガンスーパーオキシドジスムターゼ、ヒトマンガンスー
パーオキシドジスムターゼ類似体又はヒトマンガンスー
パーオキシドジスムターゼ突然変異体の天然調節要素に
よって調節される。ヒトマンガンスーパーオキシドジス
ムターゼ、類似体又は突然変異体をコードし且つこれら
の遺伝子を調節する天然調節要素をコードするDNA配列
の一例が第6図のDNA配列に示される。
ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼ、ヒトマ
ンガンスーパーオキシドジスムターゼ類似体又はヒトマ
ンガンスーパーオキシドジスムターゼ突然変異体のゲノ
ムDNA配列を発現する真核細胞は、哺乳類細胞である。
ゲノムDNA配列を発現し得る哺乳類細胞の例はヒトHeLa
細胞及びマウスL細胞である。
本発明はまた、ヒトマンガンスーパーオキシドジスム
ターゼ、その類似体もしくは突然変変異体を産生させ得
る適当な条件下に適当な培地中で前記真核細胞を増殖さ
せ、得られたヒトマンガンスーパーオキシドジスムター
ゼ、その類似体もしくは突然変異体を回収するヒトマン
ガンスーパーオキシドジスムターゼ、ヒトマンガンスー
パーオキシドジスムターゼ類似体又はヒトマンガンスー
パーオキシドジスムターゼ突然変異体の産生方法を提供
する。本発明はまた、本発明方法によって産生されたヒ
トマンガンスーパーオキシドジスムターゼポリペプチ
ド、ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼ類似体
及びヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼ突然変
異体を提供する。
本発明はまた、炎症の治療、特にリポ多糖内毒性(LP
S)によって誘発された滑膜炎症、アジュバント誘発関
節炎に起因する炎症及びブレオマイシン誘発肺線維症の
治療に使用されるヒトマンガンスーパーオキシドジスム
ターゼ、ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼ類
似体又はヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼ突
然変異体に係る。これらの種々の疾患を治療するための
マンガンスーパーオキシドジスムターゼ、マンガンスー
パーオキシドジスムターゼ類似体及びマンガンスーパー
オキシドジスムターゼ突然変異体の使用に関しては後出
の実施例で詳細に説明する。本発明はまた、症状を軽減
し疾患を治療するために使用されるヒトマンガンスーパ
ーオキシドジスムターゼ、その類似体もしくは突然変異
体の量及び投与量と投与方法とに係る。
本発明は更に、天然ヒトマンガンスーパーオキシドジ
スムターゼに比べてN末端のアミノ酸が1つ以上欠失し
たヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼポリペプ
チドを1つ以上含むヒトマンガンスーパーオキシドジス
ムターゼ類似体に係る。
本発明はまた、ヒトマンガンスーパーオキシドジスム
ターゼ、ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼ類
似体又はヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼ突
然変異体と適当な担体とを含む組成物に係る。これらの
組成物は、天然スーパーオキシドジスムターゼを使用で
きる任意の疾患の治療のため及び酸素遊離ラジカルの発
生に関連する不快な症状の軽減のために使用され得る。
これらの疾患及び症状の非限定例は、虚血又は臓器移植
後の再潅流障害、炎症、気管支肺異形成、放射線治療に
起因する線維症、クローン病に起因する炎症又は大腸炎
(collitis)に起因する炎症である。
図面の説明 第1図。ヒトMnSODcDNAの配列 第1図はヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼ
をコードする二重鎖DNA分子の1つの鎖のヌクレオチド
配列と該DNA配列に対応するヒトMnSODの198個のアミノ
酸配列とを示す。第1図はまた、24個のアミノ酸から成
る、成熟ヒトMnSODに対するプレペプチドをコードする
二重鎖DNA分子の1つの鎖のヌクレオチド配列と該DNA配
列に対応するアミノ酸配列とを示す。また5′及び3′
の未翻訳配列を示す。
第2図。pMSE−4:ヒトMnSOD発現プラスミドの構築 EcoR I(R1)インサートにMnSODを含むプラスミドpMS
8−4をNde IとNar I制限酵素で完全消化した。大きい
断片を単離し第2図に示すように合成オリゴマーと結合
した。得られたプラスミドpMS8−NNはATG開始コドンの
直後に成熟MnSODのコード領域を含む。このプラスミド
をEcoR Iで消化し、Polymerase IのKlenow断片で末端を
充填し、更にNde Iで開裂した。MnSOD遺伝子を担持する
小さい断片をNde IとStu Iとによって処理したpSODα13
に挿入した。pSODα13は、1984年8月27日出願の米国特
許出願第644245号に開示された方法で得られる。該特許
出願は本明細書に含まれるものとする。この結果得られ
たプラスミドpMSE−4はλPLプロモータのコントロール
下でcI Iルボソーム結合部位の直後にMnSODコード領域
を含む。プラスミドpMSE−4はAmerican Type Culture
CollectionにATCC受託番号No.53250で寄託されている。
第3図。大腸菌中で産生されたSODの活性に対するMn2+
の濃度の影響 第3図のチャート図は、非誘発条件(32℃)及び誘発
条件(42℃)下でプラスミドpMSE−4を含む大腸菌A425
5株によって産生された組換体可溶性MnSODの比活性(単
位/mg)と増殖培地中のMn2+濃度(ppm)との相関関係を
示す。
第4図。pMSΔRB4:ヒトMnSOD発現プラスミドの構築 pSODβ1T−11をEcoR Iで完全消化しBamH I制限酵素で
部分開裂することによってTetR発現ベクターpΔRBを調
製した。pSODβ1T−11はAmerican Type Culture Collec
tion(ATCC)に受託番号No.53468で寄託されている。消
化されたプラスミドを合成オリゴマー と結合しλPLプロモータを含むpΔRBを調製した。
cI Iリボソーム結合部位と成熟酵素の完全コード配列
とを含むMnSOD発現プラスミドpMSE−4のEcoR I断片を
pΔRBの単一EcoR I部位に挿入した。得られたプラスミ
ドpMSΔRB4はλPLのコントロール下のMnSOD遺伝子とcI
I RBSとを含みテトラサイクリン耐性であった。
第5図。ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼ遺
伝子の制限地図及び編制 太い実線はゲノムDNAを種々の制限エンドヌクレアー
ゼの位置と共に示す。黒塗りの矩形I〜VIはエキソンを
示す。上方の3つの白抜き横線はマンガンスーパーオキ
シドジスムターゼ遺伝子を含むゲノムクローンを示す。
第6図。ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼ遺
伝子のヌクレオチド配列 コード領域及び隣接ヌクレオチドを示す。エキソン
(斜線部分)はcDNAクローンとの比較によって同定され
た。下線を付けた部分は、開始コドン(ATG)、終止コ
ドン(TAA)及びポリアデニレーションシグナル(AATAA
A)を示す。配列に上線を引いた部分はSplヘキサヌクレ
オチド(GGGCGG)結合部位を示す。点線矢印は可能なス
テム−ループ構造を示す。実線矢印はダイレクトリピー
トを示す。図の左から始まる番号は、本文中で言及した
領域が同定できるように任意に選択した数であることを
理解されたい。非コード領域又はコード領域の全体を示
してはいない。
第7図。ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼ遺
伝子のエキソン−イントロン接合 全部で5つのイントロンの縁端のヌクレオチド配列を
コンセンサス配列と比較する。イントロン#1の1つの
ヌクレオチドのシフトがドナー配列又はアクセプター配
列を変更させ得ることに注目されたい。
第8図。ラットに皮下注射後のマンガンスーパーオキシ
ドジスムターゼの薬物動態 50mg/kgのCuZn SOD(下のグラフ)又はマンガンスー
パーオキシドジスムターゼ(上のグラフ)の皮下投与後
のラットの血清レベルのSOD酵素活性の経時変化。比活
性3000ユニット/mgをもつと想定しμg/mlで算出した酵
素活性の平均と標準偏差(各点3ラット)とを示す。
第9図。マンガンスーパーオキシドジスムターゼとCuZn
SODとの比較 カラゲナンで誘導されたラットの前足腫脹に対するCu
Zn SOD及びマンガンスーパーオキシドジスムターゼの投
与の効果。マンガンスーパーオキシドジスムターゼ(50
mg/kg)はカラゲナン注射の24時間前に皮下投与(−24h
Mn)し、CuZn SOD(50mg/kg)はカラゲナン注射の2時
間前(−2h Cu)又は24時間前(−24h Cu)に皮下投与
した。コントロールラットにはカラゲナンだけを投与し
た。棒グラフ及び縦の鉤括弧はカラゲナン投与の1、
2、3及び4時間後の前足腫脹の増加の平均±標準偏差
(各グループ8ラット)を示す。*印はコントロールグ
ループと処置グループとの間の統計的有意差を示す。
(*)p0.05;(**)p0.01;(***)p0.001。
第10図。ラットにおける組換マンガンスーパーオキシド
ジスムターゼの薬物動態 3つの経路でラットに投与した組換マンガンスーパー
オキシドジスムターゼの薬物動態。曲線(1)は体重
(b.w.)当たり25mg/kgで静注投与(i.v.)、曲線
(2)は25mg/kg b.w.で腹膜組織内投与(i.p.)、曲線
(3)は25mg/kg b.w.で皮下投与(s.c.)した場合を示
す。
ラット(各グループ7匹)に時間0で注射し、注射の
0.03、0.5、2、4、24、30及び48時間後に血液サンプ
ルを採取し、酵素学的及びRIAの双方を用いて各ラット
の血清中のマンガンスーパーオキシドジスムターゼの存
在量を分析した。各サンプル毎に平均値(±標準偏差)
を注射後の時間の関数としてプロットする。
第11図。炎症治療における組換マンガンスーパーオキシ
ドジスムターゼとCuZnスーパーオキシドジスムターゼ類
似体との治療効果 棒グラフは細菌リポ多糖(LPS)によって誘発された
膝関節炎症に対するマンガンスーパーオキシドジスムタ
ーゼ及びCuZn SODの治療効果を示す。膝関節炎症の滑液
重量(g)で示す。5つのグループのラットを使用して
試験した。グループ1(ポジティブコントロール;LPS)
にはLPSだけを与えてマンガンスーパーオキシドジスム
ターゼで治療しない。グループ2(ネガティブコントロ
ール)には偽注射として生理食塩水だけを与えた。グル
ープ3には膝関節当たり5mgのCuZnをLPSと共に使用し
た。グループ4には膝関節当たり1mgのCuZn SODをLPSと
共に使用した。グループ5には膝関節当たり0.6mgのマ
ンガンスーパーオキシドジスムターゼをLPSと共に使用
した。マンガンスーパーオキシドジスムターゼとCuZn S
ODとのLPS誘発炎症阻害効果の有意性を決定するために
統計的試験(スチューデント式テスト)を行なった。
第12図。アジュバント誘発関節炎の治療における組換マ
ンガンスーパーオキシドジスムターゼ及びCuZn SODの効
果 棒グラフはアジュバント(フロインドアジュバント)
で誘発された関節炎の阻害に対するマンガンスーパーオ
キシドジスムターゼ及びCuZn SODの効果を示す。関節炎
の程度をアジュバント注射後の前足腫脹の増加によって
示す。免疫的に誘発された慢性関節炎の期間に相当する
アジュバント注射14日後の前足体積に対する前足体積増
加を測定する。アジュバント注射14日後からアジュバン
ト処置ラットに対してマンガンスーパーオキシドジスム
ターゼ及びCuZn SODの体重(b.w.)に応じた量の投与を
開始する。(各グループ6匹から成る)7グループのラ
ットを使用して試験した。第1日目にヒト結核菌の死菌
を10mg/ml含むフロインドアジュバント50μを動物全
部に注射した。14日〜20日目に以下の処置を与えた。グ
ループ1(コントロール)のラットは全く処置しない。
グループ2のラットには体重に対して12.5mg/kgのマン
ガンスーパーオキシドジスムターゼを毎日1回ずつ7日
間投与した。グループ3のラットには体重に対して25mg
/kgのマンガンスーパーオキシドジスムターゼを毎日1
回ずつ7日間投与した。グループ4のラットには体重に
対して12.5mg/kgのCuZn SODを毎日1回ずつ7日間投与
した。グループ5のラットには体重に対して25mg/kgのC
uZn SODを毎日1回ずつ7日間投与した。グループ6の
ラットには体重に対して50mg/kgのマンガンスーパーオ
キシドジスムターゼを隔日毎、即ち1、3及び5日目に
投与した。グループ7のラットには50mg/kgのCuZn SOD
を隔日毎、即ち1、3及び5日目に投与した。
14日目に対する21日目の動物の前足腫脹の程度を測定
した。スチューデント式テストで統計的分析を行なっ
た。
第13図。ブレオマイシン誘発肺線維症の治療における組
換マンガンスーパーオキシドジスムターゼの治療効果 棒グラフはブレオマイシン誘発肺線維症に対するマン
ガンスーパーオキシドジスムターゼの治療効果を示す。
ブレオマイシンに誘発された肺線維症の程度は2つの
方法で表現できる。(1)体重に対する肺重量の比、又
は(2)肺当たりのヒドロキシプロリンの量(μg/g湿
潤重量)。
3グループのラット(1グループ15匹)を試験した。
グループ1のラット(ネガティブコントロール)には偽
処置によって生理食塩水だけを与えた。グループ2のラ
ットには1日目に1匹当たり1.5ユニット(=1.5mg)の
ブレオマイシンを気管内投与した。グループ3のラット
(ポジティブコントロール)には1日目にブレオマイシ
ン(ラット1匹当たり1.5ユニットを気管内投与)を与
え、以後7日目までマンガンスーパーオキシドジスムタ
ーゼ(体重に対して50mg/kg)を毎日1回皮下注射し
た。
試験開始3週後に生存動物を殺し肺を摘出した。各肺
の湿潤重量を測定し、各肺のヒドロキシプロリン含量を
(実施例14に記載の標準方法で)検定した。白い棒グラ
フは体重に対する肺重量の比を示し、斜線棒グラフは湿
潤組織重量当たりのヒドロキシプロリンの含量を示す。
鉤括弧は平均の標準偏差(S.E.M.)を示す。
第14図。ブレオマイシン誘発肺線維症に対する組換ヒト
マンガンスーパーオキシドジスムターゼの毎日皮下注射
の効果 3つのグループのラット(体重100〜120g)(15匹/
グループ)を使用して試験した。第1グループには1日
目にブレオマイシン(1.5ユニット/ラット)を気管内
投与した。第2グループには第1グループ同様のブレオ
マイシンを投与し同時に7日目まで組換ヒトマンガンス
ーパーオキシドジスムターゼ(50mg/μg)を毎日1回
ずつ皮下投与した。(組換ヒトマンガンスーパーオキシ
ドジスムターゼはブレオマイシン投与の2時間前に投与
した)。第3グループ(ネガティブコントロール)には
1日目に生理食塩水を気管内注射した。
3週後、全部の生存動物を殺し肺を摘出して肺のコラ
ーゲン含量(ヒドロキシプロリンとして示される)を測
定した。結果を第14図に示す。
第15図。ブレオマイシン誘発肺線維症に対するマンガン
スーパーオキシドジスムターゼ投与頻度の効果 実験の細部は第14図の記載と本質的に同じであるが、
マンガンスーパーオキシドジスムターゼの投与頻度を変
更した。組換ヒトマンガンスーパーオキシドジスムター
ゼを1日目に1回皮下注射するか又は隔日毎に3回
(1、3、5日)皮下注射した。また、組換CuZn SOD類
似体の肺線維症阻害効果も分析した。結果を第15図に示
す。
第16図。ブレオマイシン誘発肺線維症に対する腹膜組織
内に投与したマンガンスーパーオキシドジスムターゼの
効果 実験の細部は第14図の記載と本質的に同じであるが、
マンガンスーパーオキシドジスムターゼ又はCuZn SOD類
似体を皮下でなく腹膜組織内に投与した。第15図の記載
と同様に単一投与量のマンガンスーパーオキシドジスム
ターゼ又はCuZn SODを隔日毎に1回ずつに分割投与し
た。結果を第16図に示す。
詳細な説明 ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼポリペプ
チドもしくはその類似体又はそれらの突然変異体をコー
ドするcDNAを含む二重鎖DNA分子がヒトT−細胞DNAライ
ブラリーから単離された。ヒトマンガンスーパーオキシ
ドジスムターゼポリペプチドもしくはその類似体又はそ
れらの突然変異体をコードする二重鎖DNA分子のヌクレ
オチド配列が発見された。ヒトマンガンスーパーオキシ
ドジスムターゼポリペプチドもしくはその類似体をコー
ドするDNA分子の1つの鎖の配列は第1図に示されてお
りヌクレオチド115から708までを含む。hMnSOD類似体又
はそれらの突然変異体をコードする1つの鎖の配列はhM
nSODポリペプチドをコードする鎖に実質的に等しい。ヒ
トマンガンスーパーオキシドジスムターゼのプレペプチ
ドのヌクレオチド配列も第1図に示されている。ヌクレ
オチド43から114までがこのプレペプチドをコードす
る。
ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼポリペプ
チドもしくはその類似体又はそれらの突然変異体をコー
ドするcDNAを調製しDNAの配列を決定する方法は当業者
に公知であり詳細に後述する。更に、ヒトマンガンスー
パーオキシドジスムターゼをコードするDNA配列が発見
されたので、この配列部分を含むDNA分子を調製するた
めに公知の合成方法を使用し得る。
従来のクローニングベヒクル例えばpBR322の如きプラ
スミド、ウィルス又は例えばλの如きバクテリオファー
ジはヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼポリペ
プチドもしくはその類似体又はそれらの突然変異体をコ
ードするcDNAを含む新規なクローニングベヒクルを産生
するように公知方法によって修飾及び操作され得る。同
様にかかるクローニングベヒクルは、1つの鎖が第1図
に示すヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼポリ
ペプチドの配列をもつ断片又はこれと実質的に等しい断
片を含むDNA分子を含むように修飾又は操作され得る。
挿入されるDNA分子は酵素合成又は化学合成の如き種々
の方法によって調製され得る。
得られたクローニングベヒクルは、天然には産生しな
い化学物質であり、一般にDNA組換技術と指称される最
新の技術でしか調製できない。好ましくはクローニング
ベヒクルはプラスミド、例えばpMSE−4又はpMSΔRB4で
ある。これらクローニングベヒクルは軽質転換、トラン
スフェクション等の当業者に公知の技術を使用し原核細
胞例えば細菌(大腸菌、枯草菌)に導入されてもよく、
又は真核細胞例えば酵母もしくは哺乳動物に導入されて
もよい。従って、クローニングベヒクルが導入される細
胞はクローニングベヒクル中にcDNAが存在するときはヒ
トマンガンスーパーオキシドジスムターゼポリペプチド
もしくはその類似体又はそれらの突然変異体をコードす
るcDNAを含み、クローニングベヒクル中にDNAが存在す
るときはそのDNAの1つの鎖の全部又は一部が第1図の
ヒトMnSODポリペプチドの配列又はこれと実質的に等し
い配列を含む該DNAを含む。
大腸菌は本発明のクローニングベヒクルの好ましい宿
主細胞である。現状で大腸菌の好ましい栄養要求菌はプ
ラスミドpApoE−Ex2を含む大腸菌A1645である。該大腸
菌はAmerican Type Culture Collection、Rockville、M
aryland、USAにATCC受託番号No.39787で受託されてい
る。本出願に記載のAmerican Type Culture Collection
への寄託はいずれも微生物の寄託の国際的承認に関する
ブダペスト条約に従ってなされたものである。
A1645はGal+(ガラクトース発酵能)とテトラサイク
リン耐性の喪失とに基づく選択によってA1637から得ら
れた。A1645はλファージのエレメントを維持してい
る。その表現型は、C600r-m+gal+thr-lel-lacZ-bl(λc
I857 ΔH1 ΔBamH1N+)である。
A1637はテトラサイクリン耐性遺伝子を含むトランス
ポゾンをガラストースオペロンとcIリプレッサー合成を
生起させるエレメントを含むλファージのエレメントと
に導入することによってc600から得られた。C600はAmer
ican Type Culture CollectionからATCC受託番号No.237
24として得られる。
最小培地中で増殖するときでも高いレベルのポリペプ
チドを発現し得る大腸菌の原栄養株はマンガンスーパー
オキシドジスムターゼをコードする遺伝子の発現用宿主
として更に好ましい。現在の好ましい原栄養株はA4255
である。プラスミドpMSE−4を含むA4255株はAmerican
Type Culture CollectionにATCC受託番号No.53250で寄
託されている。
得られた細胞はヒトマンガンスーパーオキシドジスム
ターゼポリペプチドもしくはその類似体又はそれらの突
然変異体をコードするDNAを取り込んでおり、この細胞
を当業者に公知の適当な条件下で増殖又は培養によって
適宜処理するとDNAは、そのDNAによってコードされた遺
伝情報の発現を指令する。例えばDNAがhMnSODポリペプ
チドもしくはその類似体又はそれらの突然変異体の発現
を指令し、細胞はhMnSODポリペプチドもしくはその類似
体又はそれらの突然変異体を発現させ、次にこれを回収
する。
本明細書中の「スーパーオキシドジスムターゼ(SO
D)」なる用語は、受容体としてスーパーオキシド又は
酵素遊離ラジカルに作用するか又は不均化反応 を触媒する酵素又はポリペプチドを意味する。
本明細書中の「マンガンスーパーオキシドジスムター
ゼ(MnSOD)」なる用語は、マンガン元素を任意の化学
的形態で含有するスーパーオキシドジスムターゼ分子を
意味する。
本明細書中の「ヒトマンガンスーパーオキシドジスム
ターゼポリペプチド」なる用語は、198個のアミノ酸か
ら成りその一部分が第1図のアミノ酸配列であるポリペ
プチドを意味する。配列のN末端は第1図のヌクレオチ
ド115〜117によってコードされるリジンであり、配列の
COOH末端は第1図のヌクレオチド706〜708によってコー
ドされるリジンである。
本明細書中の「ポリペプチドマンガン複合体」なる用
語は、ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼポリ
ペプチドを任意の化学的形態のマンガンとの複合体とし
て含み、天然産生ヒトマンガンスーパーオキシドジスム
ターゼの酵素活性をもつ分子を意味する。
本明細書中の「ヒトマンガンスーパーオキシドジスム
ターゼ」なる用語は、少なくとも2つのヒトマンガンス
ーパーオキシドジスムターゼポリペプチドを任意の化学
的形態のマンガンとの複合体として含み、天然産生ヒト
マンガンスーパーオキシドジスムターゼの酵素活性をも
つ分子を意味する。
本明細書中の「ヒトマンガンスーパーオキシドジスム
ターゼポリペプチド類似体」なる用語は、一端又は両端
に1つ以上の付加アミノ酸が結合したヒトマンガンスー
パーオキシドジスムターゼポリペプチドを含むポリペプ
チドを意味する。
本明細書中の「ポリペプチドマンガン複合体類似体」
なる用語は、一端又は両端に結合した1つ以上の付加ア
ミノ酸を含むポリペプチド部分をもつポリペプチドマン
ガン複合体を含む分子を意味する。
本明細書中の「ヒトマンガンスーパーオキシドジスム
ターゼ類似体」なる用語は、2つ以上のポリペプチドを
任意の化学的形態のマンガンとの複合体として含み、ポ
リペプチドの少なくとも1つがヒトマンガンスーパーオ
キシドジスムターゼポリペプチド類似体であり、天然産
生ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼの酵素活
性をもつ分子を意味する。
本明細書中の「ヒトマンガンスーパーオキシドジスム
ターゼポリペプチド突然変異体」なる用語は、ヒトマン
ガンスーパーオキシドジスムターゼポリペプチドに実質
的に等しいが1つ以上の異なるアミノ酸を含むアミノ酸
配列をもつポリペプチドを意味する。
本明細書中の「ポリペプチドマンガン複合体突然変異
体」なる用語は、ヒトマンガンスーパーオキシドジスム
ターゼポリペプチド突然変異体を任意の化学的形態のマ
ンガンとの複合体として含みマンガンスーパーオキシド
ジスムターゼの酵素活性をもつ分子を意味する。
本明細書中の「ヒトマンガンスーパーオキシドジスム
ターゼ突然変異体」なる用語は、2つ以上のポリペプチ
ドを任意の化学的形態のマンガンとの複合体として含
み、ポリペプチドの少なくとも1つがヒトマンガンスー
パーオキシドジスムターゼポリペプチド突然変異体であ
り、天然産生ヒトマンガンスーパーオキシドジスムター
ゼの酵素活性をもつ分子を意味する。
本発明の一部を構成するhMnSODポリペプチド及びhMnS
ODの突然変異体は第1図のDNA配列の突然変異によって
調製され得る。該配列のN末端はヌクレオチド115〜117
によってコードされるリジンであり、該配列のCOOH末端
はヌクレオチド706〜708によってコードされる。
DNAは当業者に公知の方法、例えばBauer等、Gene、3
7:73−81(1985)の方法で突然変異させ得る。突然変異
した配列を本文に記載の適当な発現ベクターに挿入し、
これを細胞に導入し処理して突然変異DNAがhMnSODポリ
ペプチド突然変異体とhMnSOD突然変異体との発現を指令
する。
ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼの酵素活
性形態は、少なくとも2つ、場合によっては4つの等し
いサブユニットをもつタンパク質であり、サブユニット
の各々が第1図のヒトマンガンスーパーオキシドジスム
ターゼの配列中のほぼ198個のアミノ酸をもち、配列の
N末端が第1図のヌクレオチド115〜117でコードされる
リジンであり、配列のCOOH末端が第1図のヌクレオチド
706〜708でコードされるリジンであると推定される。
ヒトMnSODもしくはその類似体又はそれらの突然変異
体はヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼもしく
はその類似体又はそれらの突然変異体をコードするDNA
又はcDNAを導入した細胞から調製される。このヒトMnSO
Dもしくはその類似体又はそれらの突然変異体は陽子の
存在下でスーパーオキシドアニオンの不均化反応又は一
価還元によって式 で示される過酸化水素を形成する反応を触媒する。
有効量のhMnSOD又は1種類以上のhMnSOD類似体又はそ
れらの突然変異体と適当な担体とを含有する獣医薬及び
医薬組成物の調製も可能である。かかる担体は当業者に
公知である。hMnSODもしくはその類似体又はそれらの突
然変異体は、炎症にかかった患者を治療するため又は虚
血もしくは臓器移植後の再潅流のときの酸素遊離ラジカ
ルによる患者に対する傷害を低減するために直接に又は
動物又はヒト患者に適した組成物の形態で投与すること
ができる。hMnSODもしくはその類似体又はそれらの突然
変異体はまた、摘出後の潅流のときの酸素遊離ラジカル
による単離器官の傷害を低減しこの器官の生存期間を延
長するために、単離器官の潅流媒体に直接添加されても
よく又は組成物の形態で添加されてもよい。更に、hMnS
ODもしくはその類似体又はそれらの突然変異体は虚血後
の再潅流のときの神経傷害を低減するために使用されて
もよく又は気管支肺形成異常の治療に使用されてもよ
い。
本発明はまた、細菌細胞中で酵素活性ヒトマンガンス
ーパーオキシドジスムターゼもしくはその類似体又はそ
れらの突然変異体を産生する方法を提供する。細菌細胞
はヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼもしくは
その類似体又はそれらの突然変異体をコードするDNA配
列を含み該配列を発現し得る。本発明方法では、細菌細
胞を適当な条件下で適当な産生培地中に維持する。培地
中のMn2+濃度が約2ppmを上回るような量のMn2+を産生培
地に補給する。
細菌細胞はDNA組換技術によってヒトマンガンスーパ
ーオキシドジスムターゼをコードするDNA配列が導入で
きるいかなる細菌でもよい。細菌はDNA配列を発現しタ
ンパク物質を産生し得る必要がある。細菌の種及び株に
従って適正条件及び産生培地を任意に調整し得る。
細菌細胞はプラスミドの如きベクターDNA分子本体に
スーパーオキシドジスムターゼ又は類似体をコードする
DNA配列を含む必要がある。ベクター即ちプラスミドは
分子の適当な位置に取り込まれたSODをコードする配列
をもつようにDNA組換技術によって構築され得る。
本発明の好適具体例では細菌細胞が大腸菌細胞であ
る。大腸菌の好ましい栄養要求株はA1645である。大腸
菌の好ましい原栄養株はA4255である。本発明の大腸菌
細胞はヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼもし
くはその類似体又はそれらの突然変異体をコードするプ
ラスミドを含む。
本発明の好適具体例で細菌細胞はプラスミドpMSE−4
を含む。このプラスミドの構築方法は図面の説明に記載
されておりプラスミド自体は実施例2に記載されてい
る。このプラスミドはATCC受託番号NO.53250で寄託され
ている。
本発明の別の好適具体例によれば、細菌細胞がプラス
ミドpMSΔRB4を含む。このプラスミドの構築方法は図面
の説明に記載されておりプラスミド自体は実施例5に記
載されている。このプラスミドはATCC受託番号No.53468
で寄託されたプラスミドpSODβ1T−11から構築される。
本発明の特定具体例に於いて、酵素活性ヒトマンガン
スーパーオキシドジスムターゼ類似体は、プラスミドpM
SE−4を含む大腸菌A4255株細胞及びプラスミドpMSΔRB
4を含む大腸菌A4255株によって産生される。
細菌細胞の適当な産生培地はカゼイン水解物又はLB
(Luria Broth)培地の如き許容されるいかなるタイプ
の増殖培地でもよい。後者の方が好ましい。大腸菌の株
及び大腸菌が含むプラスミドに従って増殖条件を適宜調
整し得る。例えばプラスミドpMSE−4を含む大腸菌A425
5は42℃で誘発され、この温度で約1〜5時間維持され
る。産生段階以前に接種物を増殖させ培養物を所望濃度
まで増殖させ且つ産生期間中に培養物を維持するための
適当な温度、時間、撹拌及び通気条件は適宜変化し得、
当業者に公知である。
酵素活性MnSODを産生するに必要な培地中のMn2+濃度
は使用培地の種類によって調整される。
LB−タイプ増殖培地では150ppm〜750ppmのMn2+濃度が
有効である。全ての複合タイプの増殖培地では、培地中
のMn2+濃度は約50〜約1500ppmであるのが好ましい。
適当な保存、培養、接種及び産生用培地の個々の成分
を種々に調整し得ることも当業者に公知である。
本発明はまた、ヒトマンガンスーパーオキシドジスム
ターゼもしくはその類似体又はそれらの突然変異体を含
有する細菌細胞からこれらを回収する方法を提供する。
細胞を先ず処理してヒトマンガンスーパーオキシドジス
ムターゼもしくはその類似体又はそれらの突然変異体を
含む細胞中に存在するタンパク質を含むタンパク質分画
を回収し、このタンパク質分画を処理してヒトマンガン
スーパーオキシドジスムターゼもしくはその類似体又は
それらの突然変異体を回収する。
本発明の好適具体例によれば、細胞を先ず処理して可
溶タンパク質を不溶タンパク質及び細胞壁破片から分離
し次に可溶タンパク質を回収する。このように回収され
た可溶タンパク質を処理しヒトマンガンスーパーオキシ
ドジスムターゼもしくはその類似体又はそれらの突然変
異体を含む可溶タンパク質の分画を分離例えば沈澱さ
せ、この分画を回収する。次にこの分画を処理してヒト
マンガンスーパーオキシドジスムターゼもしくはその類
似体又はそれらの突然変異体を分離回収する。
本発明の好適具体例を以下により詳細に説明する。先
ず、細菌細胞を産生培地から単離しpH約7.0又は8.0の適
当な溶液に懸濁させる。次に細胞を破壊し遠心する。得
られた上清を約55〜65℃の範囲の温度で約30〜120分
間、好ましくは58〜62℃で45〜75分間、より好ましくは
60℃で1時間加熱し、10℃未満好ましくは約4℃に冷却
する。冷却中に形成された沈澱物を例えば遠心によって
完全に除去し、次に冷却上清を適当なバッファに透析す
る。好ましくは30Kより好ましくは10Kより小さい過膜
を用いる限外過によって冷却上清を透析する。適当な
バッファとしてはpH約7.8の2mM燐酸カリウムバッファが
ある。この透析と同時又は透析後に、冷却上清を適当な
容量に任意に濃縮し得る。例えば上清の初期容量の0.03
容に濃縮するのが有利である。次に保持物を適当なバッ
ファ溶液例えばpH約7.8の少なくとも20mMの燐酸カリウ
ムバッファ溶液を用い、アニオン交換クロマトグラフィ
ーカラムから溶出する。スーパーオキシドジスムターゼ
を含む溶出物の分画を収集しプールし、pH5.5の約40mM
酢酸カリウムに透析する。透析したプール分画をpH5.5
の約40〜約200mM酢酸カリウム(KOAC)直線勾配をもつ
カチオン交換クロマトグラフィーカラムから溶出する。
スーパーオキシドジスムターゼを含むピーク分画を収集
しプールする。プールしたピーク分画を適当な溶液例え
ば水又はpH約7.8の約10mMの燐酸カリウムのバッファ溶
液で任意に透析してもよい。
本発明はまた、本発明方法によって産生される精製さ
れた即ち実質的にヒト由来の別の物質を含まないヒトマ
ンガンスーパーオキシドジスムターゼもしくはその類似
体又はそれらの突然変異体に係る。特に本発明は、2つ
以上のポリペプチドを含み、このポリペプチドの少なく
とも1つが第1図のアミノ酸配列をもち、該配列のN末
端が第1図のヌクレオチド115〜117でコードされるリジ
ンであり、該配列のCOOH末端が第1図のヌクレオチド70
6〜708でコードされるリジンであり、該配列のN末端に
付加メチオニン残基が結合している(Met−hMnSOD)ヒ
トマンガンスーパーオキシドジスムターゼ類似体に係
る。本発明の好適具体例は比活性3500単位/mgをもつ精
製Met−hMnSODである。
本発明は更に、哺乳類細胞に導入されてMnSODを産生
できる完全ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼ
遺伝子フラグメントを得るために種々のプラスミドから
採取されたヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼ
遺伝子フラグメントの結合に係る。プラスミドから単離
された種々のヒトマンガンスーパーオキシドジスムター
ゼフラグメントは、コードヌクレオチドと隣接ヌクレオ
チドとを含むゲノムヒトマンガンスーパーオキシドジス
ムターゼ遺伝子のヌクレオチド配列と遺伝子の制限地図
と編制(organization)とを詳細に示す。
ゲノム遺伝子は、第6図の下線部分で示すATG開始コ
ドンの第一ヌクレオチドであるヌクレオチド479から始
まる。ゲノム遺伝子のTAA終止コドンはヌクレオチド202
2〜2024にある。これらの番号はヌクレオチド領域が同
定され易いように採用した任意の番号である。
ゲノムヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼ遺
伝子の制限地図及び編制を第5図に示す。
ゲノムマンガンスーパーオキシドジスムターゼDNAの
部分は、同じく第5図に示す異なる3つのクローンpMSG
11−1、pMSG4及びpMSG−1bの各々において検出され、
これらのクローンから得られたDNAを使用して第6図の
ヌクレオチド配列の地図を作成した。第6図及び第7図
はまた、ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼ遺
伝子のエキソン領域及びイントロン領域を示す。
本発明はまた、ヒトマンガンスーパーオキシドジスム
ターゼをコードするDNA配列が発現された真核細胞、及
び、ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼをコー
ドするDNA配列を含むプラスミドによって形質転換され
た真核細胞に係る。このDNA配列は細胞中に単一コピー
又は多数コピーとして存在し得る。ヒトマンガンスーパ
ーオキシドジスムターゼをコードするDNA配列は、ヒト
マンガンスーパーオキシドジスムターゼ遺伝子を含むヒ
トゲノムDNAのフラグメントに由来する。
更に、ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼを
コードするDNA配列は、ヒトマンガンスーパーオキシド
ジスムターゼの天然調節要素によって調節される。遺伝
子発現を調節する天然調節要素をコードする遺伝子配列
を含むゲノムヒトマンガンスーパーオキシドジスムター
ゼポリペプチド又はその類似体の複合DNA配列は第6図
の非コード領域のプレポリペプチドコード領域の後に示
される。
ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼのゲノム
配列を発現する真核細胞は哺乳類細胞である。ゲノムDN
A配列を発現するために使用され得る哺乳類細胞の例
は、ヒトHeLa細胞系及びマウスL細胞であるが任意の哺
乳類細胞株を使用し得ることが理解されよう。
本発明はまた、ヒトマンガンスーパーオキシドジスム
ターゼ、ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼ類
似体、又はヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼ
突然変異体を産生し得る適当な条件下に適当な培地中で
前記真核細胞を増殖させ、得られたヒトマンガンスーパ
ーオキシドジスムターゼ、ヒトマンガンスーパーオキシ
ドジスムターゼ類似体、ヒトマンガンスーパーオキシド
ジスムターゼ突然変異体を回収するヒトマンガンスーパ
ーオキシドジスムターゼの産生方法に係る。
本発明はまた、本発明のヒトマンガンスーパーオキシ
ドジスムターゼ、ヒトマンガンスーパーオキシドジスム
ターゼ類似体、ヒトマンガンスーパーオキシドジスムタ
ーゼ突然変異体の種々の用途に係る。
ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼ、ヒトマ
ンガンスーパーオキシドジスムターゼ類似体又はヒトマ
ンガンスーパーオキシドジスムターゼ突然変異体は例え
ば、不快な症状を生起するに十分な量の酸素遊離ラジカ
ルの発生に関連する疾患に罹患した患者を治療するため
に、不快な症状を軽減する量のヒトマンガンスーパーオ
キシドジスムターゼ、類似体又は突然変異体を患者に投
与することによって使用される。化合物はまた、炎症を
生じた患者、特に滑膜炎症を生じた患者の治療に使用さ
れ得る。炎症は、リポ多糖内毒素(LPS)又はその他の
炎症原因物質に起因する。ヒトマンガンスーパーオキシ
ドジスムターゼは好ましくは、関節当たり約1〜約200m
gの一日投与量で直接関節内投与される。別の投与方法
の使用も可能である。
ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼ、ヒトマ
ンガンスーパーオキシドジスムターゼ類似体又はヒトマ
ンガンスーパーオキシドジスムターゼ突然変異体は更
に、関節炎の治療及び関節炎に起因する炎症の治療に使
用され得る。関節炎は例えば、アジュバントによって誘
発される。ヒトマンガンスーパーオキシドジスムター
ゼ、類似体もしくは突然変異体は好ましくは、患者の体
重に対し約1〜約100mg/kg、より好ましくは約3〜約50
mg/kgの一日投与量で皮下投与される。化合物はまた、
静注によって投与されてもよく当業者に公知の別の方法
によって投与されてもよい。
ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼ、ヒトマ
ンガンスーパーオキシドジスムターゼ類似体、ヒトマン
ガンスーパーオキシドジスムターゼ突然変異体は更に、
ブレオマイシンの副作用としてしばしば発症する肺線維
症の治療に使用され得る。ヒトマンガンスーパーオキシ
ドジスムターゼ、類似体もしくは突然変異体は好ましく
は、患者の体重に対して約1〜約100mg/kg、より好まし
くは約3〜約50mg/kgの一日投与量で皮下投与される。
化合物はまた、静注によって投与されてもよく気管内投
与されてもよい。
本発明は更に、ヒトマンガンスーパーオキシドジスム
ターゼポリペプチドの1つが天然ヒトマンガンスーパー
オキシドジスムターゼと比べて1つ以上のN末端アミノ
酸の欠失の点で異なるような特定のヒトマンガンスーパ
ーオキシドジスムターゼ類似体に係る。
本発明はまた、適当な薬剤担体中にヒトマンガンスー
パーオキシドジスムターゼ、ヒトマンガンスーパーオキ
シドジスムターゼ類似体又はヒトマンガンスーパーオキ
シドジスムターゼ突然変異体を含む薬剤組成物に係る。
本発明組成物は、種々の疾患の治療に使用される。本
発明組成物が使用され得る疾患の非限定例は、虚血又は
臓器移植後の再潅流障害の治療、炎症の治療、関節炎の
治療、気管支肺異形成の治療、クローン病に起因する炎
症の治療、大腸炎(collitis)に起因する炎症の治療で
ある。組成物は酸素遊離ラジカルの発生に関連する不快
な症状を軽減する。
実施例 以下の実施例は本発明の理解を助けるための記載であ
り、本発明の範囲を限定するものと解釈されてはならな
い。実施例はベクター構築、ポリペプチドをコードする
遺伝子の該ベクター内挿入、又は、得られたプラスミド
の宿主内導入の従来方法に関する詳細な記載を含まな
い。実施例はまたかかる宿主ベクター系によって産生さ
れるポリペプチドの検定に使用される従来方法又は等電
点フォーカシング(IEF)ゲルの活性染色によるかかる
ポリペプチドの同定に使用される従来方法についても詳
細に説明しない。かかる方法は当業者に公知であり多く
の文献に記載されている。これら文献の例を以下に挙げ
る。
T.Maniatis、E.F.Fritsch及びJ.Somobrook、Molecular
Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor La
boratory、New York(1982): J.M.McCord及びI.Fridovich、J.Biol.Chem.244:6049−5
5(1969): C.Beauchamp及びI.Fridovich、Anal.Biochem.44:276−8
7(1971)。
実施例1 MnSOD cDNAクローンを同定するために、公表されてい
るアミノ酸配列(18,19)に従って混合オリゴマープロ
ーブを合成した。
5′プローブ−AA15−AA24の30個の配列(18,19) 3′プローブ−AA179−AA189の32個の配列(18) 30個のヌクレオチドから成る5′−プローブは成熟Mn
SODのアミノ酸15〜24に対応する。32個のヌクレオチド
から成る3′−プローブは成熟MnSODのアミノ酸179〜18
9に対応する。5′−プローブは上記のごとく異なる36
個の配列から成る混合プローブである。3′−プローブ
は上記のごとく異なる16個の配列から成る混合プローブ
である。(所与の位置に1つ以上のヌクレオチドが図示
されるとき、DNA鎖は図示のヌクレオチドの各々を等モ
ル量ずつ用いて合成される混合プローブである)。
λgt−10ベクターにクローニングされたT−細胞cDNA
ライブラリーの300,000のプラークを5′−プローブを
使用してスクリーニングした。ニトロセルロースフィル
ターに固定したファージプラークレプリカに対するハイ
ブリダイゼーションを標準方法(上掲のManiatis等)を
準用し50℃の8×SSC中で16時間行なった。次にフィル
ターを50℃の5×SSC及び0.1%SDSで洗浄した。3つの
陽性プラークを単離しPhi MS8、Phi MS1及びPhi MS1Jと
命名した。
Phi MS8及びPhi MS1から得たDNAのEcoR I消化物は、
双方ともが長さ約800bpのcDNAインサートをもち5′−
及び3′−末端のオリゴヌクレオチドプローブにハイブ
リダイズすることが判明した。
Phi MS1Jは5′−末端プローブのみにハイブリダイズ
する僅か450bpのcDNAインサートを担持していた。
3つのファージクローンのEcoR IのインサートをpBR3
22のEcoR I部位にサブクローニングすると夫々pMSS−
4、pMS1−4及びpMS1Jをが得られた。制限解析及び
5′−及び3′−オリゴヌクレオチドプローブへのハイ
ブリダイゼーションによって、pMS8−4及びpMS1−4の
双方で同様のパターンが判明した。双方のプラスミドに
ついて5′−→3′−方向の以下の制限地図が推定され
た。
pMS8−4のcDNAインサートの配列を第1図に示す。予
想されるアミノ酸配列は公表されているアミノ酸配列
(19)に比較して3つの位置(AA42、88、108)でGlnが
Gluで置換されAA123124間に2つの付加アミノ酸Gly及
びTrpがある。pMS1−4及びpMS1Jの配列解析より、3つ
のMnSODクローンが別々に誘導されることが判明し、公
表アミノ酸配列に比較して上記の違いをもつことが確認
された。
成熟MnSODのN末端リジンの上流の配列は24個のアミ
ノ酸のプレペプチド配列を予想させる。
実施例2 pMSE−4:AmpRヒトMnSOD発現プラスミドの構築 pMSE−4の構築の出発点は実施例1に記載のごとく得
られたプラスミドpMS8−4である。EcoR Iインサートに
ヒトMnSOD cDNAを含むプラスミドpMS8−4をNde I及びN
ar I制限酵素で完全消化した。大きい断片を単離し第2
図に示すごとく合成オリゴマーと結合した。得られたプ
ラスミドpMS8−NNはATG開始コドンの直後の成熟MnSODの
コード領域を含んでいた。前記プラスミドをEcoR Iで消
化し末端をPolymerase IのKlenow断片で充填し更にNde
Iで開裂した。MnSOD遺伝子を含む小さい断片をNde I及
びStu Iで処理したpSOD13に挿入した。pSOD13は1984年
8月27日出願の米国特許出願第644245号に記載の方法で
得られる。該特許出願は本明細書に含まれるものとす
る。得られたプラスミドpMSE−4はcIIリボソーム結合
部位の直後のMnSODコード領域を含みλPLプロモータの
コントロール下にある。プラスミドpMSE−4はATCC受託
番号No.53250で寄託されている。上記手順で使用される
全ての方法は上掲のManiatisの方法と実質的に同じであ
る。
実施例3 組換体ヒトMnSODの発現 公知方法を用いプラスミドpMSE−4を大腸菌A4255株
に導入した。pMSE−4を含む大腸菌A4255株を100g/mlの
アンピシリンを含むLuria Broth(LB)培地で32℃で600
nmの光学密度(OD)が0.7になるまで増殖させた。誘発
は42℃で行なった。種々の時点でサンプルを採取しドデ
シル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
(SDS−PAGE)で分離した。該ゲルによるとヒトMnSODレ
ベルは誘発後の120分間まで増加し、Coomasie−blue染
色ゲルの走査によって定量するとこの時期に組換体MnSO
Dタンパク質は全細胞タンパク質の27%を構成してい
た。W−375超音波処理装置でサンプルを90秒間超音波
処理し10,000gで5分間遠心してタンパク質を可溶
(s)分画と不溶(p)分画とに分別すると、産生され
た殆んどの組換体MnSODが不溶であることが判明した。
標準方法で検定すると、誘発された可溶タンパク質分画
は誘発されない同様の分画よりもSOD活性をすこしだけ
多く含むことが判明した。上掲のMcCord等参照。可溶分
画中に検出されるMnSODの一部分は明らかに不活性であ
る。これはこの実施例に記載の条件下で産生されたヒト
MnSODの殆どが事実上不活性であることを示唆する。
実施例4 MnSODの溶解度及び活性に対する増殖培地中のMn2+濃度
の影響 42℃での誘発の2時間前にpMSE−4を含む大腸菌A425
5の増殖培地に450ppmまで濃度を増加させ乍らMn2+を添
加するとヒトMnSODの総収率に不利な影響を与えないこ
とが判明した。超音波処理した可溶タンパク質(s)分
画と不溶タンパク質(p)分画とをドデシル硫酸ナトリ
ウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SOD−PAGE)
で分析すると、Mn2+の濃度増加に伴って組換体タンパク
質の溶解度が増加することが判明した(表1)。SOD活
性の定量アッセイ(上掲のMcCord等参照)は、増殖培地
中のMn2+濃度の増加とMnSODの溶解度の増加との相関関
係があり培地中のMn2+濃度150ppmで見掛け上最適の溶解
度が得られることを示唆する(第3図)。更にMn2+濃度
を増加するとそれまで不活性の可溶酵素が活性化され
た。これらのMn2+レベルで増殖させた誘発培養物の可溶
タンパク質分画は、これらのMn2+レベルで増殖させた非
誘発培養物の可溶タンパク質分画に比較して60倍までの
SOD活性を示した。等電点フォーカシング(IEF)ゲル
(上掲のBeauchamp等参照)の活性染色では多数の形態
の組換体MnSODが天然のヒト肝臓MnSODの形態に等しいこ
とが判明した。
pMSE−4を含む大腸菌A1645によるヒトMnSOD産生の結
果は上記と同様であった。
実施例5 pMSΔRB4:TetRヒトMnSOD発現プラスミドの構築 EcoR Iで完全消化しBamH I制限酵素で部分開裂してpS
ODβ1T−11からTetR発現ベクターpΔRBを生成した。pS
ODβ1T−11はACTT受託番号No.53468で寄託されている。
消化されたプラスミドを合成オリゴマー と結合しλPLプロモータを含むpΔRBを調製した。
cI Iリボソーム結合部位と成熟酵素の完全コード配列
とを含むMnSOD発現プラスミドpMSE−4のEcoR I断片を
pΔRBの唯1つのEcoR I部位に挿入した。得られたプラ
スミドpMSΔRB4はλPLのコントロール下のMnSOD遺伝子
及びcI I RBSを含みテトラサイクリン耐性(第4図)で
ある。
実施例6 pMSΔRB4からのヒトMnSODの発現 公知方法を用い大腸菌A4255株にプラスミドpMSΔRB4
を導入した。種々の濃度のMn2+を含むLuria Broth(L
B)培地中で32℃で600nmの光学密度(OD)が6.7になる
まで培養物を増殖させた。42℃で誘発した。種々の時点
でサンプルを採取しSDS−PAGEの電気泳動にかけた。hMn
SODレベルは120分間までは誘発時間に伴って増加し、こ
の時期にCoomasie Blue染色ゲルの走査によって定量す
ると総細胞タンパク質の約15%を含んでいた。
増殖培地中のMn2+濃度にかかわりなく誘発MnSODは可
溶であった。これはAmpRプラスミドpMSE−4での観察と
対照的である(実施例4参照)。しかし乍ら最大SOD活
性及び発現レベルはMn2+の補給量に依存した(表2)。
実施例7 酵素活性組換体ヒトMnSODの精製 プラスミドpMSΔRB4を含む大腸菌A4255株を750ppmのM
n2+を補給したLB中で32℃でA600が17.0になるまで発酵
させた。温度を42℃にし2時間維持してヒトMnSODの発
現を誘発した。この時期に培養物のA600は43.0に達して
いた。細胞を遠心によって回収し、250mMのNaClを含むp
H7.8の50mMの燐酸カリウムバッファの出発容量の0.2容
で再懸濁させた。Dynomillに2回通して細菌を破壊し、
遠心し、細胞破片を廃棄した。上清を60℃で1時間加熱
し、4℃に冷却し、透明な上清を初期容量の0.03容に濃
縮し、10K膜を備えたPelicon限外過装置でpH7.8の2mM
の燐酸バッファに透析した。粗酵素調製物をDE52カラム
に充填しpH7.8の2mM燐酸カリウムバッファで完全に洗
い、pH7.8の20mMの燐酸カリウムバッファで溶出した。
酵素を含有するプール分画をpH5.5の40mMの酢酸カリウ
ムに透析し、CM52カラムに充填しpH5.5の40〜200mM酢酸
カリウムの直線勾配で溶出した。ヒトMnSODを含むピー
ク分画をプールし、pH7.8の10mM燐酸カリウムバッファ
に調整したH2Oに透析し−20℃で凍結した。
得られた組換体ヒトMnSODは純度99%以上であり比活
性約3500単位/mgであった。精製手順の総収率は約30%
であった(表3)。
精製酵素の配列決定によって公知のヒトMnSOD(19)
に比較してN末端アミノ酸に付加メチオニンが存在する
ことが判明した。
原子吸収によって金属含量を分析すると、酵素サブユ
ニット当たり約0.77原子Mnが存在していた。これは公表
データと一致する(23)。
実施例8 ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼ遺伝子の単
離及び構造 Hind III及びBamH Iで消化したヒト胎盤DNAを大きさ
に応じて分別し、マンガンスーパーオキシドジスムター
ゼcDNAプローブでハイブリダイズして、陽性高濃度分画
をpBR322中でクローンした。3つの異なるクローンを制
限及びハイブリダイゼーションパターンによって同定し
た。これら3つのクローンのうちpMSG11−1はpMSG4と
一部重複していて双方共マンガンスーパーオキシドジス
ムターゼ遺伝子の5′未満を含み、それに続くクローン
pMSG−1bは前記遺伝子の3′末端を含む。プラスミドpM
SG11−1は受託番号No.67363でATCCに寄託され、プラス
ミドpMSG4は受託番号No.67364でATCCに寄託され、プラ
スミドpMSG−1bは受託番号No.67365でATCCに寄託されて
いる。第5図はマンガンスーパーオキシドジスムターゼ
遺伝子の制限地図及び機構(編制)を示す。この遺伝子
のヌクレオチド配列は第6図に示した。このマンガンス
ーパーオキシドジスムターゼ遺伝子は約15kbの範囲にわ
たり、エキソンを6個含んでいる。最初のイントロンは
リーダーペプチドをコードする領域を切断し、最後のイ
ントロンはTAA終止コドンの下流の3′未翻訳領域に現
れている。
エキソン−イントロン境界の供与及び受容スプライス
部位の配列を第7図に要約して示し、コンセンサス配列
と比較した。ここで留意すべきこととして、最初のイン
トロンは通常と異なる供与配列を含む、即ち(第6図に
示すような)極めて一般的なGTではなくGGを含むか、又
は通常と異なる受容配列を含み、即ち(エキソンをヌク
レオチド1個分動かしたとして)AGではなくGGを含む。
残りの4つのイントロンは総て通常のGT...AGヌクレオ
チドによって結合されている。
プロモーター領域にはTATA及び/又はCATボックスが
欠失している。しかしながらこの領域にはGCが多く含ま
れ、転写因子SP1を結合するためのコンセンサスヘキサ
ヌクレオチド核(GGGCGG)が8回反復している。この領
域は更に、一連の直接反復も含み、場合によってはステ
ムループ構造も含む、ポリアデニル化信号AATAAAは(既
知のcDNA配列に基づいて説明すると)最終エキソンから
ヌクレオチド85個分下流に現れる。このプロモーター領
域の配列並びにコード領域及び隣接ヌクレオチドの配列
を調べた。
プラスミドpMSG11−1、pMSG4及びpMSG−1bからのマ
ンガンスーパーオキシドジスムターゼ遺伝子領域はこれ
らのプラスミドから単離して、完全マンガンスーパーオ
キシドジスムターゼ遺伝子を構成すべく互いに連結する
ことができる。例えば、pMSG11−1からの約6KBのHind
III−部分的BamH IフラグメントをプラスミドpMSG4中の
完全BamH I挿入部位に連結し、次いでpMSG−1bからの完
全BamH I挿入部位に連結するようにし得る。この連結の
結果得られるのは、ヒトマンガンスーパーオキシドジス
ムターゼ遺伝子をコードするDNAフラグメントである。
このDNAフラグメントは次いで公知の方法により直接的
に、又はプラスミドもしくはウイルスのごときクローニ
ングベヒクルへの連結の後で、哺乳類細胞中に導入し得
る。軽質転換した細胞系は次いで、適当な培地中適当な
条件下での培養によりマンガンスーパーオキシドジスム
ターゼポリペプチド、その類似体又は突然変異体を産生
するのに用いることができる。このようにして産生した
ポリペプチドは次いで、実施例7と同様の方法で回収し
得る。回収したポリペプチドは製剤化して、例えば虚血
もしくは炎症の治療に使用し得る。
実施例9 ヒト細胞中でのマンガンスーパーオキシドジスムターゼ
の転写 プラスミドpMS−84(第2図)からのヒトマンガンス
ーパーオキシドジスムターゼcDNAをヒト細胞系、ヒト胎
盤、マウスWEHI−3細胞及びウシ肝臓からのポリA+RNA
とハイブリダイズした。マンガンスーパーオキシドジス
ムターゼに関するヒトmRNAの種を2つ同定した。即ち、
ヌクレオチド約1000個分(nt)の長さのマンガンスーパ
ーオキシドジスムターゼをコードするヒトmRNA主転写
体、及び長さ約4000ntの副転写体である。マンガンスー
パーオキシドジスムターゼに関するマウスmRNAはヒト主
転写体と同様の大きさを有するが、ウシマンガンスーパ
ーオキシドジスムターゼに関するmRNAはそれより約300n
t長い。長い方のヒト転写体(4000個のヌクレオチド)
はヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼのカルボ
キシ末端をコードするエキソン下流で、該酵素の5番目
のイントロンにハイブリダイズする。この部分的にスプ
ライスした転写体は組織特異性をもたない。
種々の細胞系におけるCuZn及びマンガンスーパーオキ
シドジスムターゼmRNAの割合は、連続的に希釈したポリ
A+RNAのドットブロットに対するSODcDNAプローブのハイ
ブリダイゼーションによって測定したところ、10-3%の
オーダーであった(表IV)。マンガンスーパーオキシド
ジスムターゼメッセージは肝癌細胞に最も多く存在し
(2.5x10-3%)、CuZn SOD転写体はTリンパ球系に最も
多く存在していた(4x10-3%)。 表 IV ヒト細胞系におけるマンガンスーパーオキシドジ スムターゼ及びCuZn SODの転写レベル ポリA+RNAの% 細胞系 MnSOD CuZnSOD 1.PEER T細胞 0.6x10-3 4.0x10-3 2. 5637膀胱癌 0.8x10-3 1.6x10-3 3.アレキサンダー 2.5x10-3 2.0x10-3 肝細胞癌 実施例10 ヒト組換えマンガンスーパーオキシドジスムターゼの薬
物動態学特性及び抗炎症特性 序論 CuZn SODの抗炎症活性は種々の生物学的モデルについ
て実証されている。種々の経路で投与した後のCuZn SOD
の薬物動態学的特性も研究され、その結果比較的短い半
減期(静脈注射した場合で約7分)を有することが判明
した。これに対し、MnSODの薬物動態学的特性及び生物
学的活性は殆ど知られていない。CuZn及びMn含有酵素の
物動態学的特性及び抗炎症特性の比較に関する報告が1
つ存在するだけである(Baret他、1984)。Baret等は、
静脈注射したマンガンスーパーオキシドジスムターゼの
半減期が極めて長い(6.45時間)と主張している。ま
た、マンガンスーパーオキシドジスムターゼはカラゲナ
ンによって誘発したラットの足(paw)の炎症に対して
効果がなく、CuZn SODはこの炎症の軽減に効果があった
とも述べている。本明細書に記載の研究では、ヒト組換
えマンガンスーパーオキシドジスムターゼの薬物動態学
的特性を、皮下注射したヒト組換えCuZnSOD類似体のそ
れと比較した。それと同時に、カラゲナンで足に水腫を
誘発したモデルを用いて、これら2つの酵素の抗炎症活
性も比較した。その結果意外なことに、マンガンスーパ
ーオキシドジスムターゼはこのラットモデル系で炎症を
軽減させる効果を示した。
薬物動態学的研究 ラットにヒト組換えCuZnSOD類似体又はヒト組換えMnS
ODのいずれかを体重kg当たり50mgで皮下注射した。注射
後0.5、2、4、8、24、30及び48時間の時点で血液サ
ンプルを採取し、これらサンプルにおけるスーパーオキ
シドジスムターゼ活性を酵素アッセイ(Fridovich法)
によって測定した。
その結果を第8図に示す。この図から明らかなよう
に、CuZn SOD類似体の値は2時間後に約10μg/mlの最高
値に達し、このレベルに更に約6時間維持され、24時間
後に注射前のレベルに戻った。これに対し、マンガンス
ーパーオキシドジスムターゼのレベルは徐々に上昇して
約8時間後までに約70μg/mlの最高レベルに達し、ほぼ
このレベルに少なくとも30時間維持された。48時間後ま
でに血清中の酵素活性は約20μg/mlに落下したが、それ
でもこの値は注射前のレベルより十分に高かった。
抗炎症活性 カラゲナンで足に水腫を誘発したラットのモデルを用
いて、CuZnSOD類似体及びMnSODの抗炎症活性を分析し
た。このモデルでは、Wistar系雄ラット(体重130〜150
g)の左後足の底の皮下に0.1%w/vのカラゲナンを注射
した。注射前の他、注射後1時間毎に足の大きさをHg移
動容積計(イタリー、Corerio社のUgo−BasileRを改変
したもので)測定した。ラットを4つのグループに分け
た(8ラット/グループ)。1つのグループにはカラゲ
ナン投与の24時間前に50mg/kgのマンガンスーパーオキ
シドジスムターゼを皮下注射した(−24時間Mn;第9図
参照)。第2のグループにはカラゲナンでチャレンジ処
理する24時間前にCu/Zn SOD類似体(50mg/kg)を注射し
(−24h Cu)、第3のグループにはカラゲナンチャレン
ジの僅か2時間前にCuZn SOD類似体を60mg/kg注射した
(−2h Cu)。第4のグループは予処理せず対照として
使用した。
結果を第9図に示す。この図から明らかなように、炎
症誘発の2時間前にCuZn SOD類似体を投与すると腫張反
応が50%低下した。これに対し、チャレンジの24時間前
にCuZn酵素で予処理した場合には効果がなかった。しか
しながら、24時間前にマンガンスーパーオキシドジスム
ターゼで予処理すると、2時間前にCuZn SOD類似体で予
処理した場合と同程度の抗炎症反応が得られた。
結論 本発明の研究では、ラットにおけるヒト組換えマンガ
ンスーパーオキシドジスムターゼの消失速度が組換えCu
Zn SOD類似体のそれより遥かに遅いことが判明した。こ
の結果は、天然ヒトマンガンスーパーオキシドジスムタ
ーゼに関するBaret等の前記報告(1984)と合致する。
しかしながら、このマンガン含有酵素は本発明の研究で
はin vivoで抗炎症剤として有効であることが立証され
た。この活性はそのスーパーオキシドジスムターゼ能力
に帰する。マンガンスーパーオキシドジスムターゼが同
様の系において不活性であるというBaret等の報告を考
えると、前記発見は驚嘆に値する。マンガンスーパーオ
キシドジスムターゼが投与後24時間の時点でも抗炎症剤
として有効であり続けるという発見は、この酵素を長期
間作用する治療剤として使用できることを示唆するもの
である。
実施例11 組換えマンガンスーパーオキシドジスムターゼの生物学
的モデル及び該酵素の抗炎症剤としての役割:静脈注射
したMnSODの薬物動態学的特性 雄ラット(体重100〜110g、各グループ毎に7匹)に
生理食塩溶液(生理食塩=0.51M NaCl)中で調製したヒ
ト組換えマンガンスーパーオキシドジスムターゼを静脈
注射した。マンガンスーパーオキシドジスムターゼの投
与量はラットの体重に応じて決定され、本発明の研究で
は体重kg当たり25mgにした。
生理食塩中の組換えマンガンスーパーオキシドジスム
ターゼの用量(25mg/kg体重)及びグループ当たりのラ
ット数(n=7)を同じにして、静脈注射したグループ
を、腹腔内注射したグループ及び皮下注射したグループ
と比較した。
前記3つのグループにマンガンスーパーオキシドジス
ムターゼを投与し、投与後0.03、0.5、2、4、24、30
及び48時間後の時点で血液サンプルを採取して、酵素分
析又はRIA分析にかけた。酵素アッセイは実施例10と全
く同じ方法で実施した(Fridovich法を使用)。RIAは標
準的方法に従い抗マンガンスーパーオキシドジスムター
ゼ抗体(本発明者等が調製したもの)及びタンパク質A
(Staphylococcus aureausに由来)を用いて実施した。
結果を第10図に示す。れは下記のように要約し得る。
(1)静脈注射した(曲線(1))マンガンスーパーオ
キシドジスムターゼは予想通り430μg/mlという極めて
高い初期血清レベルを示す。このレベルは注射後最初の
2時間で激減する(240μmg/kgまで)。この急激な減少
は、マンガンスーパーオキシドジスムターゼが(取込み
メカニズムにより)体の種々の組織にわたって再分配さ
れるために生じる。最初の2時間が経過すると、マンガ
ンスーパーオキシドジスムターゼのクリアランス速度が
一次速度を示す。半減期は6.2時間である。
(2)腹腔内投与した(曲線(2))マンガンスーパー
オキシドジスムターゼは初期に(最初の2時間)急激な
血清マンガンスーパーオキシドジスムターゼレベルの上
昇を示した。これは、腹腔膜を介する急速な取込み(0
μg/mlから115μg/mlまで)に呼応する。その後2時間
のレベル上昇は緩慢であり、4時間後に最高血清レベル
120μg/ml到達する。この時点で血清マンガンスーパー
オキシドジスムターゼは一次クリアランス速度で降下し
始める。半減期は5.5時間である。
(3)皮下注射したマンガンスーパーオキシドジスムタ
ーゼは血清中への侵入速度が緩慢であり、4時間後に27
μg/mlのレベルに到達するにすぎない。この時点で血清
マンガンスーパーオキシドジスムターゼレベルは一次ク
リアランス速度で下降する。半減期は7.3時間である。
ここでは、特に静脈注射した組換えマンガンスーパー
オキシドジスムターゼの場合には、注射後48時間の時点
でもまだかなり高い血清レベル(10μg/ml)が存在する
ことにも留意されたい。
以上の理由から我々は、マンガンスーパーオキシドジ
スムターゼの最も効果的な投与法は静脈注射であると結
論する。この方法で投与すると、極めて高い初期血清レ
ベルが得られ、これが注射後最初の4時間で極めて高い
レベル(160μg/ml)に維持される。この方法は、同じ
用量のマンガンスーパーオキシドジスムターゼを腹腔内
注射又は皮下注射した場合より遥かに効果的である。
前記のいずれの場合でも、血清マンガンスーパーオキ
シドジスムターゼの半減期はCuZn SODの半減期(約7〜
30分)より遥かに長い。従ってマンガンスーパーオキシ
ドジスムターゼはCuZn SODより有効な治療剤となる可能
性がある。
ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼは、ラッ
トに静脈注射した後の半減期(6.45時間)が、系統的に
関係のない酵素CuZn SODの半減期(6分)より遥かに長
いと報告されている(Baret,Jadot及びMichelson,Bioch
em.Pharmacol.33:2755(1984))。また、CuZn SODと異
なり、マンガンスーパーオキシドジスムターゼはin viv
oで炎症モデルについてテストした場合に薬理学的に不
活性であるとされていた。前述のごとく、我々はヒトマ
ンガンスーパーオキシドジスムターゼをクローンし且つ
大腸菌中に発現させた。この精製組換えタンパク質は更
にアミノ末端にメチオニンを有するという点で天然酵素
と異なる。しかしながら、このタンパク質はヒト肝臓か
ら精製した天然ミトコンドリアマンガンスーパーオキシ
ドジスムターゼのそれと区別のつかない特異的酵素活性
を示す。
ラットに静脈注射したヒト組換えマンガンスーパーオ
キシドジスムターゼ(r−hMnSOD)の薬物動態学的分析
の結果、半減期は6.2時間であった。これは、天然酵素
の公表値と合致する。r−hMnSODの潜在的抗炎症活性
を、カラゲナンで足に水腫を誘発したラットのモデルを
用いてテストした。比較用としてヒト組換えCuZn SOD
(r−hCuZnSOD)を使用した。これら2つの酵素を下記
の2つの実験条件に従って投与した:(1)酵素をカラ
ゲナンチャレンジの2時間又は24時間前に皮下注射する
(体重kg当たり50mg);(2)酵素をカラゲナンチャレ
ンジの10分前に体重kg当たり8〜20mgで静脈注射する。
結果を表5に示す。
これらの結果は、r−hMnSODが効果的な抗炎症剤であ
ることを立証している。更に、r−hMnSODは血液中での
半減期がCuZn SODより長いため、慢性炎症性疾患、例え
ば関節炎、大腸炎及び放射性障害の治療により適してい
ると言える。
実施例12 組換マンガンスーパーオキシドジスムターゼとその抗炎
症剤としての役割の生物学的モデル:マンガンスーパー
オキシドジスムターゼの関節内投与のリポ多糖菌体内毒
素(LPS)誘発滑膜炎症に対する効果 滑膜炎症と、このような炎症を抑制するマンガンスー
パーオキシドジスムターゼの効能とのモデルとして、ラ
ットにおける膝関節(滑膜)炎症モデルを用いた(本明
細書に参考として含まれる細部については、Ginsburg e
t al.,“Bayer−Symposium VI:Experimental Medels of
Chronic Inflammatory Diseases,"256−299(1977),S
pringer Verlagに述べられている)。
このモデルにおいて、炎症をリポ多糖菌体内毒素(LP
S)の関節内注射(0.1mg/ラット)によって誘発する。
炎症の程度は滑膜組織の腫脹に反映され、投与後8〜16
時間の重量増加として測定することができる。第11図
に、LPSと共に投与したヒトCuZn SOD及びマンガンスー
パーオキシドジスムターゼ間の比較を示す。マンガンス
ーパーオキシドジスムターゼ及びCuZn SODの上記モデル
における抗炎症作用を試験するには、LPS毒素とマンガ
ンスーパーオキシドジスムターゼあるいはCuZn SODとを
共投与することが最良である。用いた投与量は、マンガ
ンスーパーオキシドジスムターゼが膝一つにつき0.6m
g、CuZn SODが膝一つにつき1mg及び5mgであった。図示
のように、マンガンスーパーオキシドジスムターゼはLP
S誘発滑膜炎症の抑制にCuZn SODと同様に有効であっ
た。CuZn SODの両投与量(1mg/膝、5mg/膝)もマンガン
スーパーオキシドジスムターゼの投与量(0.6mg/膝)
も、LPSで誘発される膝関節の炎症の量を著しく減少す
るのに有効であった。実際、SOD(CuZn SODあるいはMnS
OD)とLPSとの共注射によってもたらされる炎症レベル
は、生理的食塩水のみで行なう擬注射(陰性対照)の場
合のレベルを越えない。従ってこのことから、SOD(MnS
OD及びCuZn SOD)の抗炎症作用が明らかである。炎症の
抑制は、3レベル、即ち5%、1%及び0.1%レベル
(それぞれp<0.05、p<0.01及びp<0.001)の確率
的精度(probabilistic stringency)でのスチューデン
ト式テストによる統計分析に基づいて有効であると判定
した。即ち、多い方の投与量(5mg/膝)のCuZn SODがそ
の作用において最も有効であり、マンガンスーパーオキ
シドジスムターゼ(投与量0.6mg/膝)並びに少ない方の
投与量(1mg/膝)のCuZn SODも炎症の抑制にきわめて有
効であった。
実施例13 組換マンガンスーパーオキシドジスムターゼとその抗炎
症剤としての役割の生物学的モデル:マンガンスーパー
オキシドジスムターゼのアジュバント誘発関節炎に対す
る効果 フロイントアジュバントの投与によりラットにおいて
関節の炎症を誘発することが、実験的慢性関節リウマチ
の特に好ましいモデルと看做される(本明細書に参考と
して含まれる細部については、Newbould,Brit.J.Pharma
col.,21(1963),127−に述べられている)。アジュバ
ント(10mg/mlの死菌Mycobacterium Tuberculosisを伴
ったフロイントアジュバント50μl)を肉趾に注射する
と、まず足が腫脹して3日後にプラトーに達し、14日後
再び足が腫脹し、更には関節が腫脹して、これが7〜10
日継続する。第二の期間は、免疫誘発される慢性関節炎
の段階と看做される。SODの抗関節炎薬としての有効性
を調べるため、CuZn SOD及びマンガンスーパーオキシド
ジスムターゼをアジュバント処理したラットにアジュバ
ント投与後14〜21日間皮下投与した(投与量は、体重1k
g当たりの割合において単位mgで表す)。両酵素は毎日
(いずれも投与量12.5mg/kg及び25mg/kg)か、あるいは
1日おき(投与量50mg/kg)に投与した。第12図に示し
た結果は、マンガンスーパーオキシドジスムターゼが毎
日投与する治療薬としてより有効であり、一方1日おき
に投与したCuZn SODは無効と考えられることを示唆して
いる。処理の有効性のレベルは、(実施例12に述べた)
三つの精度レベルでのスチューデント式テストを用いた
統計分析によって決定した。得られた結果から、マンガ
ンスーパーオキシドジスムターゼの抗関節炎薬としての
有効性が明らかである。
実施例14 組換マンガンスーパーオキシドジスムターゼとその抗炎
症剤としての役割の生物学的モデル:マンガンスーパー
オキシドジスムターゼのブレオマイシン誘発肺繊維症に
対する効果 ブレオマイシン(BLM)は、様々な種類の癌及びリン
パ腫に対して広く用いられている抗腫瘍薬である(本明
細書に参考として含まれる細部についてはCounts et a
l.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,219:675−678(1981)に述
べられている)。ブレオマイシンを用いることに伴う主
な問題点は、この薬剤を大量投与すると肺繊維症が誘発
されることで、このことが該薬剤の治療上の有用性を制
限している(例えばCrooks & Bradner,J.Med.,:333
(1976)参照)。ブレオマイシンの上記副作用は、肺組
織中での酸素遊離基の発生によって媒介されると考えら
れる(例えばFrank,Trends Pharmacol.Sci.,:124(19
83)参照)。ブレオマイシンによって誘発される繊維症
から肺を保護するのにマンガンスーパーオキシドジスム
ターゼを用いることが可能かどうか調べるため、ラット
を生物学的モデルとして用いた(例えばKelley et al.,
J.Lab.Clin.Med.,96:254(1980)参照)。このモデルに
おいて、ラット(体重100〜120g)15匹を、ブレオマイ
シン1.5mg(=1.5単位)の気管内投与によって処理し
た。陰性対照としての第二のグループのラット(15匹)
には生理的食塩水のみを付与する一方、第三のグループ
(15匹)のラットを、第一のグループでのようにブレオ
マイシンを投与し、その後7日間毎日マンガンスーパー
オキシドジスムターゼを(体重1kg当たり50mgの投与量
で)皮下注射することによって処理した。表6に、ブレ
オマイシン投与後3週間の死亡率データを示す。この表
から知見されるように、マンガンスーパーオキシドジス
ムターゼで毎日処理することによって著しい保護が達成
される(生存率40%に対して87%;統計的有意性p>0.
05でスチューデント式テストによる)。生存ラットの肺
を切除して、(ヒドロキシプロリン含量で表される)コ
ラーゲン含量を測定した(Woessner,“The Methodology
of Connentive Tissue Research,"Hall,Ed.,Oxford(1
976)Joynson−Bruvvers Ltd.,pp.227−233及びWoessne
r,Arch.Biochem.Biophys.,93:440−447(1961)による
標準的な方法を用いた)。第13図に、処理動物の肺重量
(体重100gについて正規化)及びヒドロキシプロリン含
量を示す。第13図に示したように、MnSOD処理によって
全肺重量の増加が幾分抑制され、肺は(ヒドロキシプロ
リンレベルに反映される)コラーゲンの増加から有効に
保護された。
第13図及び第14図から知見されるように、r−ヒトマ
ンガンスーパーオキシドジスムターゼ処理したグループ
のOH−プロリンレベルはBLMグループの25%までしか上
昇しておらず、このことは上記酵素が繊維症を有効に抑
制したことを示している。
二つの付加的な実験において、異なる投与頻度及び投
与方法の影響を、r−ヒトマンガンスーパーオキシドジ
スムターゼ及びr−CuZn SODを用いて比較した。第一の
実験では酵素を、1日1回1日おき(第1日、第3日、
第5日)にか、あるいは第1日におけるただ1回の注射
によって皮下投与(50mg/kg)した。第15図から知見さ
れるように、r−ヒトマンガンスーパーオキシドジスム
ターゼはただ1回投与した場合幾分保護能力を示し(BL
M結果の約34%減)、1週間の間1日おきにかあるいは
毎日投与した場合(第14図及び第15図)は更に有効であ
った(BLM結果のほぼ75%減)。r−ヒトCuZn SODは、
ただ1回の投与では保護能力を示さなかったが、1日お
きに投与した場合にはr−ヒトマンガンスーパーオキシ
ドジスムターゼをただ1回投与した場合と同程度の保護
能力を示した。
同じ実験を、皮下投与法ではなく腹膜組織内投与法を
用いて繰り返した。第16図に示したこの実験の結果も、
r−ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼを1週
間に3回投与する組み合わせが好ましいことを示してい
る。
全体として、得られた結果から、肺繊維症におけるBL
Mが酸素遊離基により媒介され、上記繊維症はr−ヒト
マンガンスーパーオキシドジスムターゼあるいはr−ヒ
トCuZn SODによって抑制され得るという仮定が確認され
る。この過程でr−hMnSODの方がr−CuZn SODより有効
であるのは、恐らく静脈内注射後の循環における半減期
がより長いことに起因する(ラットにおいて、r−hMnS
OD及びCuZn SODに関するt 1/2 i.v.はそれぞれ約6時間
及び6分である)。第10図に、3種の投与法を用いた、
ラットにおけるr−ヒトマンガンスーパーオキシドジス
ムターゼの薬物動態試験(25mg/kg)の結果を示す。
ピークレベルからの動的一次減衰が、静脈内投与法、
腹膜組織内投与法及び皮下投与法における半減期がそれ
ぞれ6.2、5.5及び7.3時間であることを示している。r
−ヒトCuZn SODの半減期ははるかに短い(第8図)の
で、r−ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼの
場合と等価の薬理学的レベルを達成して同様の保護効果
を生じさせるには投与回数を増し、場合によっては投与
量も増さなければならない。用量応答を評価する実験が
更に進行中である。
組換SOD酵素、特にr−ヒトマンガンスーパーオキシ
ドジスムターゼは、ブレオマイシン(及び場合によって
はタリソマイシンのようなブレオマイシン誘導体)での
治療に有用な佐剤であり得よう。
結論 本明細書において、組換マンガンスーパーオキシドジ
スムターゼが有効な抗炎症剤であることを、炎症の3種
の生物学的モデルにおける上記酵素の治療効果によって
示した。3種のモデルの総てにおいて、組換マンガンス
ーパーオキシドジスムターゼは炎症の抑制にきわめて優
れた効果を有し、少なくとも比較のために用いたCuZn S
ODと同程度に有効(多くの場合CuZn SODより有効)であ
った。そのうえ、薬物動態試験によって示したようにマ
ンガンスーパーオキシドジスムターゼは血清中に長期間
残存するので、この酵素を持続性治療薬として用いるこ
とが可能である。
実施例15 ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼ類似体の製
造 ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼを、実質
的に実施例7で述べたようにして製造した。マンガンス
ーパーオキシドジスムターゼは次のアミノ末端配列を有
する。
Met−Lys−His−Ser−Leu−Pro−…… 後述するように、マンガンスーパーオキシドジスムタ
ーゼ(MnSOD)をAeromonasアミノペプチダーゼで処理し
た。Aeromonasアミノペプチダーゼは、実質的にJ.M.Pre
scott & S.H.Wilkes,Methods Enzymol.,46:530−543
(1976)によりアメリカタイプカルチュアコレクション
(ATCC受託番号第15338号)から得られるAeromonas pro
teolyticaの細胞外液から製造した。精製操作は、細
菌の沈降及び過、液の硫酸アンモニウム沈澱(1l当
たり367g)、アセトン分別(アセトン43.7〜70%)、70
℃での(8時間の)熱処理によるエンドペプチダーゼ活
性破壊、セファデックスG−75(登録商標)でのゲル
過、及びDEAEセファデックスA−50(登録商標)でのイ
オン交換クロマトグラフィーを含んでいた。全実験にお
いて、Prescott & Wilkesの用いたpH8.0の10mMトリシ
ンバッファに替えてpH8.0の10mMトリスHClバッファを用
いた。予平衡化並びにセファデックスG−75カラムから
の溶離を、元来の操作(Prescott & Wilkes,supra)で
のように50μMではなく5μMのZnCl2含有する溶液を
用いて実施した。DEAEセファデックスA−50カラムでの
精製を、5μMのZnCl2を含有するpH8.0の10mMトリスHC
l中で0.1M NaClで上記カラムを予平衡化し、カラムに試
料を付与し、かつ(5μMのZnCl2を含有する)上記と
同じバッファ中で0.6M NaClで傾斜溶離を行なうことに
よって実施した。塩濃度が約0.5Mに達したところで、同
一バッファで0.7M NaClでカラムからの溶離を行なっ
た。カラムから溶出した主要ピークを集めて、5μMの
ZnCl2を含有するpH8.0の10mMトリスHCl、0.1M NaClに対
して透析し、その後−20℃で凍結状態にした。
ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼ(hMnSO
D)、(hMnSODの)類似体あるいは突然変異体との反応
の前にアミノペプチダーゼ酵素溶液を、製造中保持さ
れ、かつ長期の貯蔵後に再活性化され恐れのあるエンド
ペプチダーゼのあらゆる可能性な痕跡を不活性化するべ
く70℃に2時間保温した。
FMOC(9−フルオロエニルメチルオキシカルボニルク
ロリド)を用いるプレカラム誘導法(Josefsson & Ein
arssonによる方法であり、例えばEinarsson et al.,J.C
hromatography,282:609−618(1983)及びEinarsson,J.
Chromatography,348:213−220(1985)参照)によって
アミノ酸分析を実施した。アミノ酸誘導体をHPLC(高圧
液体クロマトグラフィー)系(製造者の仕様説明に従っ
て操作されるHewlett Packard(登録商標)1090HPLC
系)において、逆相Lichrocart Supersphere(登録商
標)(C18)カラム(Merck(登録商標))で分離した。
処理中の溶液のpH並びに処理時間に従って、MnSODの
N末端から1種以上のアミノ酸を除去した。pHは4.5〜1
0であり、また処理時間は最長24時間であった。次の実
験によって、MnSODのN末端からアミノ酸を除去するう
えで目下のところ好ましい条件を説明する。
実施例3に述べたようにして製造した30mg/mlのMet−
MnSODを、pH4.5の5mM酢酸カリウム中で一晩透析した。
pH4.5のMet−MnSOD溶液(最終濃度6mg/ml)250μl
と、pH4.5の5mM KOAcバッファ700μlと、アミノペプチ
ダーゼ溶液(1mg/ml)50μlとを混合し、37℃に保温し
た。0時間、5時間及び24時間後に、108μlのアリコ
ート二つを取得した。
第一のアリコートに15%スルホサリチル酸水溶液12μ
lを添加して混合し、得られた混合物を37℃に15分間保
温した後、Eppendorf(登録商標)ベンチ遠心分離機で
遠心分離した。100μl試料を、(酸加水分解を行なわ
ない)直接アミノ酸分析のために除去した。第二のアリ
コートはN末端配列分析用とした。
上述の操作で用いたようなアミノペプチダーゼの不在
下にMet−MnSODを保温することによって行なう対照実験
を並行実施した。上記各時点に108μlのアリコート二
つを取得し、これらのアリコートを実際の試料と同様に
処理及び分析した。
37℃に24時間保温後、次の表7に示すような分子が得
られた。
実施例10〜14に述べたような治療目的に、異なる類似
体を用いることが可能である。
所望であれば、当業者に公知である標準的な技術を用
いて、異なる類似体を互いから精製することができる。
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【図面の簡単な説明】
第1図はヒトMnSOD cDNAの配列を示す。第2図はヒトMn
SOD発現プラスミドpMSE−4の構築を示す。第3図は大
腸菌中で生産されるSODの活性に及ぼすMn2+の濃度の影
響を示す。第4図はヒトMnSOD発現プラスミドpMSΔRB4
の構築を示す。第5図はヒトMnSOD遺伝子の制限地図を
示す。第6図はヒトMnSOD遺伝子のヌクレオチド配列を
示す。第7図はヒトMnSOD遺伝子のエキソン−イントロ
ン結合を示す。第8図はSODの薬物動態を示す。第9図
はSODの治療効果を示す。第10図はSODの薬物動態を示
す。第11図〜第16図はいずれもSODの治療効果を示す。
フロントページの続き (72)発明者 ヤツフア・ベツク イスラエル国、ガデラ、パインズ・スト リート・(番地なし) (72)発明者 アブラハム・ニムロツド イスラエル国、レホボツト、アイゼンバ ーグ・ストリート・8 (56)参考文献 特開 昭58−16685(JP,A) 「J.Biol.Chem.」259 p.12595−12601(1984) 「Free Rad.Res.Cam nsa」2(2)p.27−42(1986)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】滑膜炎症、関節炎または肺繊維症を治療す
    るための薬剤組成物であって、該治療に有効な量の下記
    の配列を有するヒトマンガンスーパーオキシドジスムタ
    ーゼ、その類似体又はその突然変異体を薬剤として許容
    される担体と共に含むことを特徴とする薬剤組成物。 ここで、Xはメチオニン又は存在しない。
  2. 【請求項2】肺繊維症が抗腫瘍剤によって誘発されるこ
    とを特徴とする請求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】肺繊維症が放射線によって誘発されること
    を特徴とする請求項1記載の組成物。
  4. 【請求項4】抗腫瘍剤がブレオマイシンであることを特
    徴とする請求項2記載の組成物。
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