JPH0780784B2 - 微小循環障害に基づく心筋虚血傷害治療薬 - Google Patents

微小循環障害に基づく心筋虚血傷害治療薬

Info

Publication number
JPH0780784B2
JPH0780784B2 JP62266308A JP26630887A JPH0780784B2 JP H0780784 B2 JPH0780784 B2 JP H0780784B2 JP 62266308 A JP62266308 A JP 62266308A JP 26630887 A JP26630887 A JP 26630887A JP H0780784 B2 JPH0780784 B2 JP H0780784B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gene
human
sod
ischemic injury
therapeutic agent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP62266308A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH01110631A (ja
Inventor
正二 堀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ube Industries Ltd filed Critical Ube Industries Ltd
Priority to JP62266308A priority Critical patent/JPH0780784B2/ja
Publication of JPH01110631A publication Critical patent/JPH01110631A/ja
Publication of JPH0780784B2 publication Critical patent/JPH0780784B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/0004Oxidoreductases (1.)
    • C12N9/0089Oxidoreductases (1.) acting on superoxide as acceptor (1.15)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、微小循環障害に基づく虚血傷害治療薬に関す
るものであり、さらに詳しくは、ヒト銅・亜鉛型スーパ
ーオキシドデイスムターゼ構造遺伝子を有する組替えDN
Aで形質転換された単細胞微生物中で産生されたヒトス
ーパーオキシドデイスムターゼと実質的に同一のアミノ
酸配列を有するポリペプチドを有効成分とする微小循環
障害に基づく虚血傷害治療薬に関するものである。
[従来の技術] スーパーオキシドデイスムターゼ(以下SODと略す)
は、次式に示す不均化反応により、スーパーオキシド
(・O2 -)を消失させる酵素である。
・O2 -+・O2 -+2H+→O2+H2O2スーパーオキシドは、生
体における酵素毒性の中で最も毒性の高い分子種で、炎
症、未熟児酸素網膜症、放射線傷害、ガンなどの疾病を
引き起こすと言われている。
虚血性心疾患は成人病の中で重要な位置を占めている。
この疾患は、心筋虚血による細胞傷害に基づくものであ
り、その細胞傷害の重要な因子として活性酵素が考えら
れている。
近年、急性心筋梗塞発症後に自然再疎通が高頻度に生じ
ることが明らかになり、また、血栓溶解療法が普及する
につれて再疎通する症例が増加してきた。かかる再疎通
時には、血球成分による微小冠血管塞栓が生じ虚血が遷
延すること、また、心臓手術時の人工心肺循環や人工弁
置換後に微小血栓による冠動脈塞栓が生じやすいことが
知られている。さらに、血管挙縮などに起因する冠微小
循環障害が、虚血性心疾患の原因として注目されてきて
いる。
このような冠微小循環障害による心筋虚血の特徴は、虚
血部位が散在性、かつ多発性であることである。虚血部
位が、かかる状態では、虚血は持続的であり、周辺部か
らの酸素供給が持続的に活性酸素を産生し、心筋虚血傷
害が助長される。
従って、フリー・ラジカル・スカベンジャーが、かかる
心筋傷害に対する有効な治療薬になると考えられるが、
未だ十分有効なものは見出されていない。
[発明が解決しようとする問題点] 本発明の目的は、ヒトスーパーオキシドデイスムターゼ
と実質的に同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを
含有する微小循環障害に基づく虚血傷害治療薬を提供す
ることにある。
[問題点を解決するための手段] 本発明者らは、前記の問題点を解決するために鋭意研究
した結果、ヒトスーパーオキシドデイスムターゼと実質
的に同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドが、微小
循環障害に基づく虚血傷害治療薬として有効であること
を見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明はヒトスーパーオキシドジスムターゼと実
質的に同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを有効
成分とすることを特徴とする微小循環障害に基づく虚血
傷害治療薬に関するものである。
本発明のポリペプチドは、例えばポジテイプレギュレー
ションサイトを有する形質発現調節遺伝子の下流にヒト
銅、亜鉛型スーパーオキシドデイスムターゼ構造遺伝子
を有する組替えDNAで形質転換された微生物を培養し、
培養物中に蓄積されたヒト銅、亜鉛型スーパーオキシド
デイスムターゼ(以下ヒトCu,Zn−SODという)を採取す
ることによって製造される。
前記ヒトCu,Zn−SODのcDNA合成の鋳型として用いられる
mRNAは正常なヒト組織(肝臓、胎盤、腎臓など)から分
離される。組織からのDNAの分離は、フェノールー−ク
ロロホルム法、グアニジニウム−熱フェノール法、グア
ニジニウム−塩化セシウム法などの公知の方法(Maniat
is,T.ら,Molecular Cloning,187−198,1982,Cold Sprin
g Harbor Laboratory)が利用できる。次いでオリゴ(d
T)セルロース、ポリ(U)セフアロースなどを用いて
ポリ(A)テイルをもつmRNAを分離する。
このようにして得られたmRNAは、ヒトCu,Zn−SODのmRNA
を含んでいるmRNA混合物であるが、これをそのままcDNA
合成に用いる。まず、逆転写酵素を用いmRNAを鋳型とし
て一本鎖cDNAを合成し、次いで逆転写酵素またはDNAポ
リメラーゼを用いて日本鎖cDNAを合成した後、適当なベ
クターに組込まれた形でcDNAを得る。これにはdG−dCま
たはdA−dTホモポリマー結合法(Nelson,T.S.Methods i
n Enzymolofy,68,41,1979,Academic Press Inc.)やOka
yama−Berg法(Okayama,H.and Berg,P.,Mol.Cell.Bel
l.,2,161,1982)が利用できる。
この場合のようにmRNA混合物中の目的mRNA含量が低い場
合は、効率の高いOkayama−Berg法が好ましい。この方
法に必要なDNAおよび宿主菌はフアルマシアP.L.バイオ
ケミカルズ社カタログNo.27−4750−01として入手でき
る。
このようにして得られる組換えDNAをたとえばエシエリ
ヒア・コリ(Escherichia coli)X1776株あるいはDH1株
(Low,B.,Proc.Natl.Acad.Sci.,60,160,1968;Meselson,
M.and Yuan,R.,Nature,217.1110,1968;Hanahan,D.,J.Mo
l,Biol,166,557,1983)に導入して形質転換させる。形
質転換法は公知の方法(重定勝哉,細胞工学、Vol.2,N
o.3,616,1983)またはそれに準ずる方法で行うことがで
きる。アンピシリン耐性などの薬剤耐性によりまず形質
転換体を選別したのち、ヒトCu,Zn−SOD遺伝子に対応す
ると考えられる塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを
化学合成し、これを32Pで標識してプローブとして用
い、公知のコロニーハイブリダイゼーション法(Hanaha
n,D.ら、Methods in Enzymology,100,333,1983)により
ボジテイブなシグナルを示した形質転換体を選択する。
これらの形質転換体より常法に従ってプラスミドDNAを
単離し、cDNA部分の塩基配列をMaxam−Gilbert法(Maxa
m,A.M.and Gilbert,W.,Proc.Natl.Acad.Sci.,74,560,19
77)またはジデオキシ法(Messing,J.ら,NucleicAcidsR
es.,,309,1981)によって決定し、ヒトCu,Zn−SOD cD
NAの存在を確認する。確認には、ヒト赤血球より単離さ
れたCu,Zn−SODのアミノ酸配列(Jabnsch,J.R.,Biochem
istry,19,2310,1980)またはダウン症候群患者に由来す
る樹立細胞株より分離されたmRNAから得られたcDNAの塩
基配列(Sherman,L.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.,80,5465,1
983)を参考にすることができる。
次に得られたヒトCu,Zn−SODのcDNAを適当な形質発現調
節遺伝子の下流に連結する。これにはトリプトファンオ
ペロンプロモーター(trpプロモーター)、ラクトース
オペロンプロモーター(lacプロモーター)、λフアー
ジのPLプロモーター、tacプロモーターなどの公知のプ
ロモーターが利用できる。
しかし、ここで注目すべきことは、生体内にはO2−を必
要とする酵素の存在が知られており(大柳善彦,スーパ
ーオキサイドと医学,58,1981,共立出版)、従って、O2 -
を消去する作用を持つSODを過剰生産させることにより
宿主菌の生理障害をひき起す可能性が充分に考えられる
ことである。これを避けるためには、遺伝子の発現を抑
制した状態で細胞を成育させたのち、適当な条件下にこ
の抑制を解除させて遺伝子を発現させSODを多量に産生
させることが好ましい。
エシエリヒア・コリから分離されたプラスミドCol E1上
に存在するコリシンE1遺伝子はコリシンE1タンパクの産
生を支配している遺伝子であり、通常の状態においては
リプレッサータンパクがオペレーターに結合することに
より遺伝子の発現は抑制されているが、DNAに損傷を与
えるような処理、たとえば紫外線照射、マイトマイシン
C処理、ナリジキシン酸処理などによりこの抑制が解除
されて誘発が起り、コリシンE1タンパクが多量につくら
れる。これはいわゆる負の制御と呼ばれる調節機構であ
る。これに加えて、コリシンE1遺伝子には正の制御も存
在しており(調恒明ら、生化学、Vol.56,No.8,1082,198
4)、ユニークな形質発現調節機構を持つ遺伝子であっ
て、誘発時には正の制御の効果も加わってきわめて多量
のコリシンE1タンパク質が産生される。さらにコリシン
E1タンパク質はエシエリヒア・コリに対する抗菌性を機
能とするタンパク質であって、通常時の細胞の成育には
必要ないタンパク質とみなし得るものであり、その性質
上、通常時のコリシンE1遺伝子の発現が厳密に抑制され
ていることからも、コリシンE1遺伝子の形質発現調節遺
伝子の利用は本発明にとってきわめて有利である。
Col E1 DNAはたとえばファルマシアP.L.バイオケミカル
ズ社のカタログNo.27−4914−01として入手することが
可能である。また、正の制御に関与する領域、プロモー
ター・オペレーター領域、リボソーム結合領域からなる
コリシンE1遺伝子の形質発現調節遺伝子の塩基配列は既
に報告されている(Ebina,Y.ら,Gene,15.119,1981)。
なお、本発明におけるコリシンE1遺伝子の形質発現調節
遺伝子とは、第1図の−140から78番目までの塩基配列
の存在を必須とするものである。
コリシンE1遺伝子の形質発現調節遺伝子の下流にヒトC
u,Zn−SOD cDNAを連結する際に、いわゆる融合タンパク
質を産生するような形での連結は、適当な制限酵素の切
断部位を利用することにより比較的容易に行うことがで
きる。しかし、コリシンE1タンパク質に由来する部分が
ある程度以上の長さを持つている場合、この融合タンパ
ク質を人体に投与した際に免疫原性(抗原性)を発揮す
る危険性が充分に考えられる。従って、コリシンE1遺伝
子の翻訳開始コドン(ATG)の直後にヒトCu,Zn−SODの
N末端アミノ酸コドンが連結される形が好ましい。しか
し、これを満足させてくれるような適当な制限酵素の切
断部位はどちらの遺伝子にも存在しない。そこで、制限
酵素を用いて両方のDNA断片を必要部分が欠失した形で
切り出し、欠失した部分は合成DNA断片により補完する
ことができる。
合成DNA断片は、たとえば固相トリエステル法(Miyosh
i,K.ら、Nucl.Acids Res.,,5507,1980)によりオリゴ
ヌクレオチドを化学合成し、これらをたとえばT4DNAリ
ガーゼでつなぎ合せることにより得られる。合成DNA断
片は、もとも塩基配列を再現するものである必要は必ず
しもない。アミノ酸コドンには縮重が存在し、かつ生物
の種によってコドンの使用頻度が異なることは良く知ら
れている。従って、アミノ酸の配列を変えない限りにお
いては、合成DNA断片の作製時にどのようなコドンを選
んでも自由であるが、宿主菌中で使用頻度の高いコドン
を選択すると、遺伝子の発現量の増大が期待できる。コ
リシンE1遺伝子の形質発現調節遺伝子領域に関しては、
もとの塩基配列を再現する方が好ましいが、結果として
遺伝子の発現量の増加につながるような塩基配列の変更
は採用できる。
自律複製できるベクターに、コリシンE1遺伝子の形質発
現調節遺伝子を含むDNA断片、合成DNA断片、ヒトCu,Zn
−SOD構造遺伝子断片を正しく組込むことにより目的の
組替えDNAが得られる。これらのDNA断片は、たとえばT4
DNAリガーゼにより連結することができ、最終的に得ら
れる組替えDNAの構造が目的とするものである限り、DNA
断片の連結順序に制限はない。使用するベクターは宿主
微生物内で複製可能なものであれば特に制限はなく、宿
主がエシエリヒア・コリの場合はpBR322が良く用いられ
ている。
得られた組替えDNAをベクターの宿主微生物内に導入し
形質転換させる。本発明では宿主微生物としてエシエリ
ヒア・コリを使用しているが、形質発現調節遺伝子、特
にコリシンE1遺伝子の形質発現調節遺伝子が機能する限
りにおいては、バチルス・ズブチリス(Bacillus subti
lis)、サツカロミセス・セレビシェ(Saccharomyces c
erevisiae)等の他の微生物も使用できる。エシエリヒ
ア・コリの場合はW3110株、20S0株、C600S株などの名前
があげられる。特にW3110株が好ましい。W3110株はエシ
エリヒア・コリK12株の野性株(λ+,F+)から誘導され
たλ-,F-株であり、栄養要求性などその他の点では野
性株と同一である(Bachmann,B.J.,Bacteriological Re
views,36,525,1972)。
テトラサイクリン耐性などによりまず形質転換体を選択
したのち、常法に従いプラスミドDNAを分離し、制限酵
素地図の解析により第2次のスクリーニングを行う。さ
らに誘発時のヒトCu,Zn−SODの産生能によって目的の形
質転換体を選択する。
SOD活性の測定法としては、チトクロームC−キサンチ
ン−キンチンオキシダーゼを用いる方法(Mc Cord,J.M.
and Fridovich,I.,J.Biol.Chem.,244,6049,1969)、ニ
トロブルーテトラゾリウム(NBT)−リボフラビンを用
いる方法(Beauchamp,C.and Fridovich,I.,Anal.Bioche
m.,44,276,1971)等が利用できる。NBT−リボフラビン
法は簡便であり、電気泳動後のタンパクの活性染色にも
利用できるため便利である。エシエリヒア・コリの場合
について言うと、組替えDNAから産生されるヒトCu,Zn−
SODに加えて、宿主染色体から産生されるMn−SODおよび
Fe−SODが混在している。これらのSODの酵素としての作
用は同一であるが、Cu,Zn−SODは1〜2mMのCN-又は青酸
イオンによって活性が阻害されるのに対し、Mn−SOD、F
e−SODは同条件下での阻害を受けないことから区別でき
る。また、これら3種のSODは分子量や等電点が互いに
異なるため、電気泳動、イオン交換またはゲル濾過カラ
ムクロマトグラフィーによって分離することができる。
このようにして得られた、形質発現調節遺伝子、特にコ
リシンE1遺伝子の形質発現調節遺伝子の下流にヒトCu,Z
n−SOD構造遺伝子を有する組替えDNAで形質転換された
微生物を、その宿主微生物の増殖に適した条件下で所定
の時間培養し、その後に誘発合成を行わせてヒトCu,Zn
−SODを大量に産生させる。エシエリヒア・コリの場
合、たとえばL培地、グルコースおよびカザミノ酸を含
むM9培地などの公知の培地により培養を行う。培養は通
常15〜43℃の温度で2〜24時間行う。必要により通気、
攪拌を加えることができる。対数増殖期にある培養物に
マイトマイシンC、ナリジキシン酸などの薬剤を添加し
たり、紫外線を照射することにより誘発合成を行わせる
ことができる。
培養後、公知の方法で菌体を集め破砕したのち、通常知
られているタンパク質の精製法に従ってヒトCu,Zn−SOD
活性を持つタンパク質を単離することによりヒトCu,Zn
−SODが製造できる。精製は、たとえば熱処理、塩析、
濃縮、透析、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過
クロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、電気泳
動、高速液体クロマトグラフィー、アフイニティクロマ
トグラフィーなどの操作を適宜組合せて行うことができ
る。
かくして製造されたヒトスーパーオキシドディスムター
ゼと実質的に同一のアミノ酸配列を有するポリペプチド
は、微小循環障害に基づく虚血傷害治療薬としての有効
性を示す。
本発明のポリペプチドは、通常の方法に従って注射剤、
錠剤、軟膏剤、カプセル剤、リポソームなどの製剤とす
ることができる。
本発明のポリペプチドは、例えば1〜10mgの量で好適に
用いられ、あるいは1日0.017〜0.17mg/Kg・体重の投与
量で1回〜数回に分けて、例えば、微小循環障害に基づ
く虚血傷害の治療を目的として、経口的または非経口的
に投与し得る。
[実施例] 以下、本発明の実施例および参考例を示す。なお、これ
らの実施例は、本発明の範囲を限定するものでない。
参考例1 (ヒトSODのcDNAを組込んだプラスミドpSOD2
の作製) 正常分娩によって得られたヒト胎盤から、グアニジウム
−塩化セシウム法によってRNAを分離し、ついでオリゴ
(dT)セルロースを用いてポリ(A)テイルをもったmR
NAを分離した。
得られたmRNAより、岡山−バーグ法に従って、cDNAライ
ブラリーを作成した。宿主菌として大腸菌DH1株を用い
た。
コロニーハイブリダイセーション法にて、ヒトSODのcDN
Aが組込まれたプラスミドpSOD2を保持した大腸菌DH1(p
SOD2)株を得た。この菌株より常法に従ってプラスミド
pSOD2を単離した。
参考例2 (ヒトSOD産生用組替えDNAの作製) コリシンE1遺伝子の形質発現調節遺伝子の下流にヒトSO
D構造遺伝子を連結して、組替えヒトSODを産生させるた
めのプラスミドは、第1図に示すストラテジーに従って
作製した。
(1)コリシンE1遺伝子の形質発現調節遺伝子断片を組
込んだプラスミドpAOK1の作製 コリシンE1DNAをDraIで切断し、ついで、StuIで切断し
たのち、5%ポリアクリルアミドゲル電気泳動法で340b
pのStuI−DraI断片を得た。この断片をプラスミドpBR32
2のDraIサイトに挿入し、プラスミドpAOK1を作製した。
(2)ヒトSOD構造遺伝子断片の作製 プラスミドpSOD2をAluIで切断し、ついでTaqIで切断し
たのち、5%ポリアクリルアミドゲル電気泳動法で440b
p断片を得た。
(3)合成DNAの作製 コリシンE1遺伝子の形質発現調節遺伝子の下流にヒトSO
D構造遺伝子を連結するために、コリシンE1340bp断片お
よびSOD構造遺伝子の440bp断片で欠失している部分84bp
を図2に示すように12個のオリゴペプチドに分割して合
成した。
(4)ヒトSOD産生用組替えDNAの作製 プラスミドpAOK1のDraIサイトに、84bpの合成DNAと440b
pのSOD構造遺伝子断片を挿入し、コリシンE1遺伝子の形
質発現調節遺伝子の下流に、ヒトSOD構造遺伝子が連結
したヒトSOD産生用組替えDNA、pUBE2を得た。
参考例3 ヒトSODを産生する組替え大腸菌W3110(pUBE
2)(微工研条寄第634号)株の作製 SOB培地でOD550=0.55まで培養した大腸菌W3110株をTfb
IついでTfbIIで処理したのち、処理液にプラスミドpUBE
2を加え、0℃で30分間、ついて42℃で90秒間熱処理し
て、プラスミドpUBE2を保持する大腸菌W3110(pUBE2)
株を得た。
参考例4 ヒトCu,Zn−SODと実質上同一のアミノ酸配列
を有するポリペプチドの製造 カザミノ酸300g、グルコース400g、テトラサイクリン1
g、Na2HPO4600g、KH2PO4300g、NaCl50g、NH4Cl100g、Mg
SO424g、CaCl21.11g、CuCl2・2H2O540mg、ZnSO4・7H208
80mg、FeSO4・7H2O600mg、MnSO4・H2O150mg、AlCl3・6H2
O150mgとH3BO37.5mgを含む滅菌培地100lに、大腸菌W311
0(pUBE2)を接種し、溶存酸素量を2ppm以上に保持する
ため攪拌およびエアレーションを行いながら、pH7.1〜
7.4で、37℃で培養を行った。
クレット75まで培養したのち、培養液に、Na2PO4600g、
KH2PO4300g、NaCl50gとNH4Cl100gを含む水溶液2l、グル
コース100gを含む水溶液1およびマイトマイシンC200
mgを含む水溶液0.5lを順次加えて誘発合成を37℃で2時
間行わせた。
誘発体150gを水600mlに懸濁して、フレンチプレスで破
砕した。破砕液を遠心分離(8000rpm、60分間)し、得
られた上清液に0.5M酢酸衝撃液(pH5.0)300mlとNaCl4
3.8gを加えたのち、水を加えて全量を1.5lとし、ついで
0.75mlを加えた。混合物を4℃付近の温度で1日攪拌し
たのち、β−メルカプトエタノール1.17gを加えた。混
合物をNaOH水溶液でpH7.0に調整したのち、4℃付近の
温度で1晩攪拌した。混合物に硫酸アンモニウム680gを
加え、4℃付近の温度で3時間攪拌したのち、遠心分離
(8000rpm、15分間)した。得られた上清液に硫酸アン
モニウム387gを加え、4℃付近の温度で1晩攪拌したの
ち、生た沈澱物を遠心分離(8000rpm、15分間)で集め
た。得られた沈澱物を10mMトリエタノールアミン緩衝液
(pH7.0)に溶解し、10mMトリエタノールアミン緩衝液
(pH7.0)に対して透析した。透析によって得た溶液
を、10mMトリエタノールアミン緩衝液(pH7.0)で平衡
化したDEAEセファロースFF(ファルマシア社製)カラム
に通した。このカラムを10mMトリエタノールアミン緩衝
液(pH7.0)1で洗ったのち、30mMNaCl−10mMトリエ
タノールアミン緩衝液(pH7.0)で展開し、ヒトSOD含有
画分を集めた。得られた画分に酢酸ナトリウム・3水和
物47.6gとNaCl102.3gを加え、塩酸でpHを5.0に調製した
のち、1MCuCl2水溶液90μlを加えた。混合物を4℃付
近の温度で1晩攪拌したのち、NaOH水溶液でpHを7.0に
調製し、05MNaCl−10mMトリエタノールアミン緩衝液(p
H7.0)で平衡化した同担持キレーティングセファロース
6B(ファルマシア社製)カラムに通した。このカラムを
0.5MNaCl−10mMトリエタノールアミン緩衝液(pH7.0)3
50ml、ついで0.5MNaCl−50mMリン酸緩衝液(pH6.0)180
0mlで洗ったのち、5mMグリシン−0.5MNaCl−10mMトリエ
タノールアミン緩衝液(pH7.0)で展開し、ヒトSOD含有
画分を集めた。集めた画分に硫酸アンモニウム355.5gを
加え、混合物を4℃付近の温度で4時間攪拌したのち、
生じた沈澱を遠心分離(9000rpm、20分間)で集めた。
得られた沈澱物を10mMトリエタノールアミン緩衝液(pH
7.0)対して透析した。透析液を、10mMトリエタノール
アミン緩衝液(pH7.0)で平衡化したQセファロースFF
(ファルマシア社製)カラムに通した。このカラムを10
mMトリエタノールアミン緩衝液(pH7.0)500mlで洗った
のち、20mMNaCl−10mMトリエタノールアミン緩衝液(pH
7.0)で展開し、ヒトSOD含有画分を集めた。この画分に
硫酸アンモニウム781gを加え、4℃付近の温度で4時間
攪拌したのち、生じた沈澱物を遠心分離(9000rpm、20
分間)で集めた。得られた沈澱物を水に溶解し、水に対
して透析したのち、凍結乾燥すると、淡青緑色固体とし
てヒトCu,Zn−SODと実質上同一のアミノ酸配列を有する
ポリペプチドが933mg得られた。実施例1(マウスにお
ける急性毒性試験) ddy系雄マウス(体重32±2g)1群8匹を用いて、本物
質を生理食塩液に溶解し、静脈内(i,v.)投与した。投
与量は30mg/Kg、100mg/Kg、300mg/Kgの3群である。投
与後2週間中毒症状について観察したが、各群とも異常
なく生存した。屠殺後の解剖所見においても、生理食塩
液のみを投与したコントロール群(投与量0mg/Kg)と何
ら変わるところがなかった。従って、マウスにおける本
物質の静脈内投与におけるLD50値は300mg/Kg以上であ
る。(第1表参照)。
実施例2(急性冠微小血管塞栓に対する効果) 体重18〜20Kgの雑種成犬をコントロール群(生理食塩水
投与)8例、ヒトCu,Zn−SOD投与群8例、計16例を用い
た。
実験犬をペントパルピタール麻酔下で左肋間開胸し、内
頸動脈より左冠動脈、前下行枝(LAD)を対外バイパス
チューブにて灌流した。急性冠微小血管塞栓モデルは本
チューブ内に直径15μmのマイクロスフェア(MS)を血
流量1ml/分あたり、5×104個注入することにより作成
した。冠血流量はバイパスチューブ内に装着した電磁流
量計により計測した。また心筋虚血の程度を表わす指標
として乳酸摂取率(LEP)を局所冠静脈血採取により算
出し、局所心機能の指標として、前下行枝領域に超音波
クリスタルディメンジョンゲージを装着し、局所心筋短
縮率(regional fractional shortening;FS)を計測し
た。ヒトCu,Zn−SOD(コントロール群では生理食塩水)
は、マイクロスフェア注入10分前に、25mg静注後、実験
終了時まで25mg/時間で持続注入した。マイクロフェア
の注入は、冠血流量1ml/分当り5万個で、血行動態の安
定する10分毎に反復投与を行なった。マイクロスフェア
注入前および注入後に冠血流量、心筋虚血(LER)、心
機能(%FS)を計測し、ヒトCu,Zn−SODの効果を検討し
た。
図3に示すようにヒトCu,Zn−SOD投与によりLER、%FS
の悪化が有意におさえられ(Mannovar analysisP<0.0
5)、冠血流量が0になるまでのマイクロスフェア塞栓
量(最大MS投与量)も50万個/g(心筋)から90万個/g
(心筋)に増大した。
次に、同モデルにおける心筋浮腫に対するヒトCu,Zn−S
ODの影響をしらべるために、虚血域(左前下行枝領域)
および非虚血域(左回旋枝領域)を取り出し、(湿重量
−乾燥重量)/乾燥重量=組織水分量を算出した。図4
に示したように、ヒトCu,Zn−SOD投与により、虚血領域
にみられる心筋浮腫は有意(P<0.01)に抑制された。
[発明の効果] 本発明の虚血傷害治療薬は、微小冠血管塞栓などの虚血
傷害の治療薬として有効である。
【図面の簡単な説明】
第1図は組替えヒトSODを産生せしめるためのプラスミ
ドの作製手順を示す図である。 第2図は合成DNA断片を示す図である。 第3図は、ヒトCu,Zn−SOD投与の有塞による心筋虚血
(LER)、心機能(%FS)、血流量の変化を示してい
る。 第4図は、Control時およびヒトCu,Zn−SOD投与時の組
織水分量の比較を示している。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒト銅・亜鉛型スーパーオキシドジスムタ
    ーゼと実質的に同一のアミノ酸配列を有するポリペプチ
    ドを有効成分とすることを特徴とする微小循環障害(持
    続性虚血)に基づく心筋虚血傷害治療薬。
  2. 【請求項2】ポリペプチドが単細胞微生物中で産生され
    たものである特許請求の範囲第1項に記載の微小循環障
    害(持続性虚血)に基づく心筋虚血傷害治療薬。
  3. 【請求項3】単細胞微生物がポジティレギュレーション
    サイトを有する形質発現調節遺伝子の下流にヒト銅・亜
    鉛型スーパーオキシドジスムターゼ構造遺伝子を有する
    組替えDNAで形質転換されたものである特許請求の範囲
    第2項に記載の微小循環障害(持続性虚血)に基づく心
    筋虚血傷害治療薬。
JP62266308A 1987-10-23 1987-10-23 微小循環障害に基づく心筋虚血傷害治療薬 Expired - Lifetime JPH0780784B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP62266308A JPH0780784B2 (ja) 1987-10-23 1987-10-23 微小循環障害に基づく心筋虚血傷害治療薬

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP62266308A JPH0780784B2 (ja) 1987-10-23 1987-10-23 微小循環障害に基づく心筋虚血傷害治療薬

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH01110631A JPH01110631A (ja) 1989-04-27
JPH0780784B2 true JPH0780784B2 (ja) 1995-08-30

Family

ID=17429124

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP62266308A Expired - Lifetime JPH0780784B2 (ja) 1987-10-23 1987-10-23 微小循環障害に基づく心筋虚血傷害治療薬

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0780784B2 (ja)

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0643341B2 (ja) * 1986-03-27 1994-06-08 宇部興産株式会社 臓器機能改善剤
BE1001425A4 (fr) * 1986-05-12 1989-10-31 Wellcome Found Utilisation de l'activateur tissulaire du plasminogene, son association avec une superoxyde-dismutase et formulation pharmaceutique contenant cette association.
CA1289092C (en) * 1987-01-15 1991-09-17 Robert A. Hallewell Thermostable human cu/zn superoxide dismutase muteins
IL85876A (en) * 1987-03-27 2001-11-25 Bio Technology General Corp Human manganese superoxide dismutase or analogs or mutants and uses thereof
DK310788A (da) * 1987-06-09 1988-12-10 Int Cardiovascular Med Inc Praeparat indeholdende superoxid-dismutase, dets fremstilling og anvendelse til behandling af global iskaemi
JP3304132B2 (ja) * 1992-07-23 2002-07-22 住友電気工業株式会社 フェルール配列部材及びフェルール保持具

Also Published As

Publication number Publication date
JPH01110631A (ja) 1989-04-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
ES2237753T3 (es) Mimeticos de superoxido dismutasa.
US5143836A (en) Plasmids for expression of human superoxide dismutase (SOD) analogs containing lambda pl promoter with engineered restriction site for substituting ribosomal binding sites and methods of use thereof
US5162217A (en) Plasmids for expression of human superoxide dismutase (SOD) analogs containing lambda PL promoter with engineered restriction site for substituting ribosomal binding sites and methods of use thereof
CA1217718A (en) Plasminogen activator derivatives
JPH0525470B2 (ja)
JPS61205487A (ja) ヒトプロティンc活性の発現ベクター
CA2019086A1 (en) Modified pf4 compositions and methods of use
US6897293B2 (en) Growth arrest homeobox gene
JP2011098985A (ja) 副作用が減少されたヘモグロビン組成物
JPS6230A (ja) 悪性腫瘍性貧血治療剤
JP3013896B2 (ja) ヒトマンガンスーパーオキシドジスムターゼを含む薬剤組成物
EP0414915B1 (en) New superoxide dismutase
AU671728B2 (en) Methods of production of analogues of human Cu/Zn superoxide dismutase
JPH11509180A (ja) 酸化体脱除剤
EP0173280B1 (en) Plasmids containing lambda pl promoter, and engineered restriction site for convenient replacement of ribosomal binding site, hosts containing the plasmids and related methods
JPH0780784B2 (ja) 微小循環障害に基づく心筋虚血傷害治療薬
AU677379B2 (en) Arteriosclerosis remedy
JPH0643341B2 (ja) 臓器機能改善剤
JPH0643340B2 (ja) 虚血性心疾患治療薬
JPS6377822A (ja) 臓器機能改善剤
JP3598322B2 (ja) ヒト変異マンガンスーパーオキシドジスムターゼ
JPS62215532A (ja) 抗炎症剤
WO2000012118A9 (en) Inhibiting cardiomyocyte death
JP3569904B2 (ja) 臓器障害治療薬
TWI331531B (en) Pharmaceutical preparation and method of treatment of human malignancies with arginine deprivation