JP3013551B2 - 反射型スクリーン - Google Patents

反射型スクリーン

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JP3013551B2 JP3275379A JP27537991A JP3013551B2 JP 3013551 B2 JP3013551 B2 JP 3013551B2 JP 3275379 A JP3275379 A JP 3275379A JP 27537991 A JP27537991 A JP 27537991A JP 3013551 B2 JP3013551 B2 JP 3013551B2
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哲郎 大野
幸雄 康乗
真一 武村
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プロジェクター用の反
射型スクリーンに関する。
【0002】
【従来の技術】最近、表示装置としてブラウン管像や液
晶で形成した画像をスクリーンに投影する拡大投影が使
用されるようになった。この時用いられる反射型スクリ
ーンは、拡散フィルム及び反射フィルムから構成され、
プロジェクターから出射した光を観察側に散乱する役目
を持っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の反射型スクリー
ンは、水平方向や垂直方向に広く散乱するために画面が
暗くなるという問題点があった。これは、拡散フィルム
には拡散させるための無機フィラーが添加されており、
その故に水平方向及び垂直方向ともに広く拡散するため
である。
【0004】
【課題を解決するための手段】かかる事情に鑑み、本発
明者らは垂直方向の散乱を小さくして、明るい画面の反
射型スクリーンについて鋭意検討した結果、要求する性
能を有し、安定的に、しかも容易に製造することができ
る材料を見出し、さらに種々の検討を加えて本発明を完
成するに至った。
【0005】すなわち、本発明は、透明マトリックス中
に異方的形状を有し該透明マトリックスと異なる屈折率
の物質が互いに平行移動した位置関係で均質に分散して
いる異方的光散乱材料および反射フィルムから構成され
ており、異方的光散乱材料の異方的形状を有する物質の
長軸方向がスクリーンの上下方向になるように設置され
ていることを特徴とするプロジェクター用反射型スクリ
ーンを提供する。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
用いる透明マトリックスとしては、透明な素材であれば
必ずしも限定されず、巾広い材料の中から選択すること
ができる。
【0007】例えば、ポリエチレン、エチレン−プロピ
レン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びその
部分又は全部ケン化物、エチレン−アクリル酸エチル共
重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチ
レン−酢酸ビニル−メタクリル酸メチル共重合体、ポリ
プロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体等の
オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等の塩化ビニル
系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体等のアク
リロニトリル系樹脂、ポリスチレン、スチレン−メタク
リル酸メチル共重合体等のスチレン系樹脂、ポリアクリ
ル酸エチル等のアクリル酸エステル重合体、ポリメタク
リル酸メチル等のメタクリル酸エステル重合体、それら
の共重合体や他の共重合成分を加えた(メタ)アクリル
酸エステル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポ
リエステル樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリカ
ーボネート樹脂、エチルセルロース、アセチルセルロー
ス等のセルロース樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコン
系樹脂等が挙げられる。
【0008】次に本発明にて用いる異方的形状を有する
物質及びそれを透明マトリックス中に分散させる方法に
ついて説明する。
【0009】透明マトリックスと異方的形状を有する物
質とは、その屈折率が互いに異なるものであって、互い
に相溶しないものである。透明マトリックスと異方的形
状を有する物質の屈折率の差は、少なくとも0.001
であり、好ましくは0.01以上である。
【0010】異方的形状とは、回転楕円体、直方体、ま
たはこの両者の中間の形状、円柱状等が例示されるが、
好ましくは回転楕円体、直方体またはこの両者の中間の
形状をもつものが挙げられる。
【0011】形状的に要求される条件としては、等方的
な形状であってはいけないが、また全くの不定形でも効
果的でない。形状の異方性が大きいほど、つまり回転楕
円体であればその長軸と短軸の比が大きいほど、また直
方体であれば長辺と短辺の比が大きいほど、透過光の散
乱の異方性もより高度なものとなる。
【0012】異方的形状を有する物質の粒子径は、0.
1〜100μmであり、好ましくは0.5〜70μm程
度であり、最大径と最小径の比の値が1より大きいもの
である。
【0013】異方的形状を有する物質としては、前記し
たマトリックスと同様の材料であればよく、透明でなく
てもよい。
【0014】これらの異方的形状を有する物質は、透明
マトリックス中に、秩序よく互いに平行移動した位置関
係で分散されていることが必須要件である。すなわち、
例えば回転楕円体の場合にはその長軸の方向を一定に揃
えること、また直方体の場合は、その直方体の個々の対
応する辺の方向を一致させることである。
【0015】異方的形状の物質を前記のように秩序よく
配列させる方法は、例えば、透明の高分子化合物に既に
異方的な形状をした物質を配合し、これをフィルム又は
シート状に成形し、一軸方向に延伸を行なう方法等も考
えられる。しかしながら、この方法は生産の安定性に劣
り、工業面からは必ずしも好ましいものではない。
【0016】本発明においては、工業的に有用な方法に
ついて検討し、次のような新規な製造方法を見い出し
た。すなわち、本発明を構成する異方的光散乱材料の製
造法は互いに屈折率が異なり、かつマトリックスと異方
的形状とを形成する相分離型の2種以上の樹脂のうち少
なくとも1種は透明樹脂であって、これら樹脂を混練し
て得られる組成物を押出し成形し、ついで一軸方向に延
伸加工を行なう方法である。この方法によれば混練段階
では、島部である分散粒子は等方的形状(球状)をとる
ものであるが、延伸加工を施す際に島部である分散粒子
は、延伸方向に長軸を持つ回転楕円体型の異方的形状に
変形され、秩序よく互いに平行移動した位置関係でマト
リックス中に均質に分散させられる。
【0017】異方的形状物の異方性は延伸時の吐出量、
引取速度によく依存し、換言すれば、これらの加工条件
を適切に設定することにより、形状の異方性は任意に変
化させることができる。
【0018】このような延伸加工としては、インフレー
ション加工、T−ダイ加工等が挙げられ、T−ダイ加工
が加工条件の設定等の面で好ましい。
【0019】また、本発明の反射型スクリーンを構成す
る異方的光散乱材料の製造法に用いる樹脂組成物として
は、例えば、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重
合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びその部分又は
全部ケン化物、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−酢
酸ビニル−メタクリル酸メチル共重合体、ポリプロピレ
ン、プロピレン−α−オレフィン共重合体等のオレフィ
ン系樹脂に対して、塩化ビニル樹脂等の塩化ビニル系樹
脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体等のアクリロ
ニトリル系樹脂、ポリスチレン、スチレン−メタクリル
酸メチル共重合体等のスチレン系樹脂、ポリアクリル酸
エチル等のアクリル酸エステル重合体、ポリメタクリル
酸メチル等のメタクリル酸エステル重合体、それらの共
重合体や他の共重合成分を加えた(メタ)アクリル酸エ
ステル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエ
ステル樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリカーボ
ネート樹脂、エチルセルロース、アセチルセルロース等
のセルロース樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコン系樹
脂等を混練することが好ましい。
【0020】オレフィン系樹脂としては、例えば、低密
度ポリエチレンであり、より好ましくは超低密度ポリエ
チレンを挙げることができる。
【0021】オレフィン系樹脂に対して、混練する樹脂
としては、例えば、スチレン系樹脂が好ましい。スチレ
ン系樹脂としては、ポリスチレンを挙げることができ、
より好ましくは、分子量が14万以下のポリスチレンを
挙げることができる。
【0022】このような樹脂の配合は、重量比で95/
5〜5/95、好ましくは70/30〜30/70であ
る。
【0023】上記製造法により得られる本発明の反射型
スクリーンは、その異方的光散乱材料の異方的形状物の
長軸方向がプロジェクター用スクリーンの上下方向(垂
直方向)になるように設置する。
【0024】本発明の反射型スクリーンは、異方的光散
乱材料と異方的光散乱材料内に入射した光を反射する反
射フィルムとから構成される。
【0025】さらに本発明の反射型スクリーンは、偏光
を組合せて使用すると、コントラストの向上した反射
型スクリーンが得られる。液晶光源のプロジェクターか
ら出射される光は偏光しているため、スクリーン上の画
像の明度の低下は殆ど生じず、また偏光膜は、偏光して
いない外光を約50%カットすることによりコントラス
トの向上に寄与する。
【0026】光膜は、特に限定されるものではない
が、偏光性が高い程、高いコントラストが得られるので
好ましい。偏光膜は自然光の透過率が約50%で、偏光
光の透過率が約90%以上のものが好ましい。
【0027】
【発明の効果】本発明の反射型スクリーンは異方的光散
乱材料から構成されるため、異方的散乱を示し、垂直方
向の散乱が小さくなるため画面の輝度を向上させること
ができる。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0029】実施例1 (1)異方的光散乱材料の作製 屈折率1.54の超低密度ポリエチレン(密度0.9
0)60重量部と、屈折率1.59のポリスチレン(分
子量95000)40重量部を混練し、ポリエチレンを
マトリックスとし、ポリスチレンを球状分散物(海島構
造の島部分)とする相分離型樹脂組成物を調製した。こ
の相分離型樹脂組成物を吐出口クリアランス0.7mmの
T−ダイ式押出加工機に供給して溶融温度240℃にて
押出加工を行なった。押出されたシート状の溶融樹脂を
15m/分で押出し方向に強く引取り延伸をかけながら
冷却して、本発明の反射型スクリーンに用いる異方的光
散乱材料のフィルム(膜厚50μm)を得た。
【0030】その際、海島構造の島部分であるポリスチ
レンの球状分散物は延伸方向に長軸を持つ回転楕円体型
の異方的形状に変形され、秩序良く互いに平行移動した
位置関係に均質に分散されていた。異方的形状は、その
長軸が約20μm、短軸が約1μmであった。
【0031】(2)反射型スクリーンの作製 上記の異方的光散乱材料とアルミニウムフィルム(膜厚
100μm)の反射フィルムを粘着剤で貼合して反射型
スクリーンを作製した。 (3)反射型スクリーンの評価 液晶プロジェクターから投写し、反射型スクリーンの明
るさとコントラストを暗室及び明室でそれぞれ目視評価
した。その結果を表1に示す。なお、暗室は外光をまっ
たく遮断し、明室は1000ルックスの明るさとした。
【0032】実施例2 実施例1で作製した反射型スクリーンに偏光膜(住友化
学工業(株)製、登録商標スミカランSG1852A
P)を粘着剤で貼合したものを反射型スクリーンとし
た。用いた偏光膜は、自然光透過率50%、偏光光透過
率90%の光学特性を有するものであった。実施例1と
同様に評価した結果を表1に示す。
【0033】比較例1 表面凹凸の拡散フィルム(ポリカーボネートフィルム、
膜厚50μm)とアルミニウムフィルム(膜厚100μ
m)からなる従来の反射型スクリーンを用いて、実施例
1と同様に評価した結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−221333(JP,A) 特開 昭54−92234(JP,A) 特開 昭62−266980(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03B 21/56 - 21/60

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明マトリックス中に異方的形状を有し該
    透明マトリックスと異なる屈折率の物質が互いに平行移
    動した位置関係で均質に分散している異方的光散乱材料
    および反射フィルムから構成されており、異方的光散乱
    材料の異方的形状を有する物質の長軸方向がスクリーン
    の上下方向になるように設置されていることを特徴とす
    るプロジェクター用反射型スクリーン。
  2. 【請求項2】透明マトリックスが、オレフィン系樹脂、
    塩化ビニル系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、スチレン
    系樹脂、アクリル酸エステル重合体、メタクリル酸エス
    テル重合体、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリ
    エステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹
    脂、セルロース樹脂、ポリウレタン系樹脂またはシリコ
    ン系樹脂である請求項1に記載のプロジェクター用反射
    型スクリーン。
  3. 【請求項3】透明マトリックスと異方的形状を有する物
    質の屈折率の差は、少なくとも0.001である請求項
    1に記載のプロジェクター用反射型スクリーン。
  4. 【請求項4】異方的形状が、回転楕円体、直方体、若し
    くはこの両者の中間の形状または円柱状である請求項1
    に記載のプロジェクター用反射型スクリーン。
  5. 【請求項5】異方的形状を有する物質が、その粒子径が
    0.1〜100μmであり、最大径と最小径の比の値が
    1より大きいものである請求項1に記載のプロジェクタ
    ー用反射型スクリーン。
  6. 【請求項6】互いに屈折率が異なり、かつマトリックス
    と異方的形状の分散物質とを形成する相分離型の2種以
    上の樹脂のうち少なくとも1種は透明樹脂からなる組成
    物を延伸加工してなる異方的光散乱材料から構成される
    請求項1記載のプロジェクター用反射型スクリーン。
  7. 【請求項7】 偏光膜組み合わされてなる請求項1
    載のプロジェクター用反射型スクリーン。
  8. 【請求項8】偏光膜自然光の透過率が約50%であ
    り、偏光光の透過率が約90%以上である請求項に記
    載のプロジェクター用反射型スクリーン。
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