JP3012272U - グリップ用伸縮性テープ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 スポーツ用具等のグリップに巻付けて使用し
てもズレや弛みが生じないグリップ用伸縮性テープを提
供する。 【構成】 伸縮性布材２に多孔性のウレタン樹脂３被覆
を施した伸縮性シート４からなる。また、伸縮性シート
４の少なくとも一方の面に、合成樹脂弾性発泡体層６を
全体又は部分的に形成した。 【効果】 スポーツ用具等のグリップに巻付けて使用し
てもズレや弛みが生じない。また、手触りがソフトで衝
撃を和らげ、汗や雨等でグリップが濡れた場合でも速や
かに水分を吸収し、滑りにくい。そして、肘痛や手のし
びれ等の予防や軽減を図ることができ、さらに製造コス
トの低減を図ることもできる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、グリップ用伸縮性テープに関する。詳しくは、テニス、バドミント ン、卓球、ホッケー等のラケット、ゴルフクラブ、野球のバット等のスポーツ用 具、電気ノコギリ、電動カンナ、チェンソー等の電動工具等の握り部分、すなわ ちグリップに巻付けて使用するグリップ用伸縮性テープに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来から、不織布に多孔性のポリウレタン被覆を施してなるグリップ用テープ が知られている（実公平４−２０４６２号公報）。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記公報に記載の考案は、不織布に、ポリアミド、ポリエチレ ンテレフタレート等の伸縮性を有さない繊維の不織布を使用しており、通常これ らの繊維を不織布に成形する場合、繊維と繊維とをバインダーにより接着して布 状としているため、必然的に伸縮性に乏しいものであった。従って、このグリッ プ用テープをスポーツ用具等のグリップへ巻付けると、使用中に容易にズレや弛 みが生じると共に、このズレや弛みを防止することは困難であった。

【０００４】 本考案は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであって、スポーツ用具 等のグリップに巻付けて使用してもズレや弛みが生じないグリップ用伸縮性テー プを提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するための本考案の手段とするところは、第１に、伸縮性布材 の縦方向に３ｃｍ、横方向に１２ｃｍの試験布及び縦方向に１２ｃｍ、横方向に ３ｃｍの試験布をそれぞれ切り取り、これら試験布の長さ方向の両端より各１ｃ ｍずつつかみ、１ｃｍ／秒の速度で３ｃｍ引き延ばし（総長１５ｃｍ）、その状 態で３秒間保持し、張力を解除したとき、縦方向及び横方向より切り取った試験 布のうち、少なくとも一方の試験布が試験前の長さ（１２ｃｍ）の１．１倍（１ ３．２ｃｍ）以内である伸縮性布材に、多孔性のウレタン樹脂被覆を施した伸縮 性シートからなることにある。 第２に、前記伸縮性シートの少なくとも一方の面に、合成樹脂弾性発泡体層を 全体又は部分的に形成したことにある。 第３に、前記伸縮性布材が、伸縮性の合成樹脂繊維から製造された不織布、織 物又は編物であることにある。 第４に、前記伸縮性布材が、非伸縮性の合成樹脂繊維又は天然繊維自体に加工 により伸縮性を付与した伸縮性繊維から製造された不織布、織物又は編物である ことにある。 第５に、前記伸縮性布材が、非伸縮性の合成樹脂繊維又は天然繊維を、製編後 に伸縮性が生じる製編形式で製編した編物であることにある。

【０００６】 なお、本考案に使用する伸縮性布材としては、ゴム、ウレタン等の伸縮性の合 成樹脂繊維から製造された不織布、織物及び編物、あるいはポリアミド、ポリエ ステル、ポリプロピレン、アクリル樹脂等の非伸縮性の合成樹脂繊維、又はセル ロース等の非伸縮性の天然繊維自体に、加撚−熱固定−解撚法、複合巻縮法等の 手段で、加工することにより伸縮性を付与した伸縮性繊維から製造された不織布 、織物又は編物、あるいはポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、アクリ ル樹脂等の非伸縮性の合成樹脂繊維、又はセルロース等の非伸縮性の天然繊維を 、横編、丸編、靴下編、経編等の製編後に伸縮性が生じる製編形式で製編した編 物、等々の伸縮性を有する布材を挙げることができる。

【０００７】 また、非伸縮性の合成樹脂繊維又は天然繊維自体に伸縮性を付与する加撚−熱 固定−解撚法としては、２〜１０本の繊維の束にひねりを加え、その状態を保持 したままで加熱し、更に冷却して繊維にカールを与え、伸縮性を付与する方法を 挙げることができる。また、複合巻縮法としては、延伸した繊維と延伸処理をし ていない繊維とを撚り合わせ、スチーム処理することにより、延伸した繊維と延 伸していない繊維との収縮率の差により繊維にカールを与え、伸縮性を付与する 方法を挙げることができる。

【０００８】 また、本考案の伸縮性布材とは、伸縮性布材の縦方向及び横方向に幅３ｃｍ、 長さ１２ｃｍの試験布をそれぞれ切り取り、各々の長さ方向の両端より各１ｃｍ ずつつかみ、１ｃｍ／秒の速度で３ｃｍ引き延ばし（総長１５ｃｍ）、その状態 で３秒間保持し、張力を解除したとき、縦方向及び横方向より切り取った試験布 のうち、少なくとも一方の試験布が試験前の長さ（１２ｃｍ）の１．１倍（１３ ．２ｃｍ）以内となる伸縮性を有する布材であり、その厚さとしては、０．１〜 ３．０ｍｍ、好適には０．３〜１．５ｍｍの範囲が望ましい。

【０００９】 また、伸縮性布材に多孔性のウレタン樹脂被覆を施して伸縮性シートを製造す る方法としては、ウレタン樹脂の水可溶性有機溶媒溶液を離型性基材に塗布し、 これを伸縮性布材に貼り合わせることにより、伸縮性布材にウレタン樹脂の水可 溶性有機溶媒溶液を含浸させた後、これを水中に浸漬することによりウレタン樹 脂を固化すると共に、該ウレタン樹脂に多数の細孔を発生させ、次いで離型性基 材を剥離する方法を挙げることができる。なお、ウレタン樹脂の水可溶性有機溶 媒溶液には、溶媒除去促進剤、セル形成微細化剤、ブロッキング防止剤、凝固速 度促進剤等の添加剤を添加することができる。また、このウレタン樹脂の水可溶 性有機溶媒溶液としては、例えば、三洋化成工業株式会社製造、カタログ番号： サンプレン ＬＱ−３３１６、サンプレン ＬＱ−３３５８を挙げることができ る。

【００１０】 また、水可溶性有機溶媒としては、使用するウレタン樹脂の種類にもよるが、 ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、トルエン、イソプロピルアルコー ル等を挙げることができる。

【００１１】 また、離型性基材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、又はナイ ロン、ポリエチレンテレフタレート、ビニロン等のフィラメント繊維の高密度の 織布等を挙げることができる。そして、ウレタン樹脂の水可溶性有機溶媒溶液を 離型性基材に塗布する際の、ウレタン樹脂の濃度としては、５〜２０重量／容量 ％の範囲を挙げることができる。さらに、離型性基材に塗布するウレタン樹脂の 水可溶性有機溶媒溶液の量としては、離型性基材１ｍ² 当たり、１００〜３００ ０ｇの範囲を挙げることができる。

【００１２】 また、本考案の伸縮性シートに合成樹脂弾性発泡体層を形成した、いわゆる多 層シートを製造する方法としては、ウレタン系エマルジョン（例えば、大日本イ ンキ化学工業株式会社製造、カタログ番号：ＤＩＣＦＯＡＭ Ｆ−５２０）、ア クリル系エマルジョン（例えば、大日本インキ化学工業株式会社製造、カタログ 番号：ボンコート ＡＮ−１２７）、合成ゴム系ラテックス（例えば、大日本イ ンキ化学工業株式会社製造、カタログ番号：ラックスター ＤＳ−６１５）、Ｎ ＢＲ系ラテックス（例えば、日本ゼオン株式会社製造、カタログ番号：Ｎｉｐｏ ｌ ＬＸ５３１）、ＳＢＲ系ラテックス（例えば、日本ゼオン株式会社製造、カ タログ番号：Ｎｉｐｏｌ ４８５０Ａ）、アクリレート系ラテックス（例えば、 日本ゼオン株式会社製造、カタログ番号：Ｎｉｐｏｌ ＬＸ８２０）等を、ミキ サーを使用した機械発泡で発泡させた後、伸縮性シートに全体的又は部分的に塗 布又は印刷し、次いで溶媒を加熱乾燥等の方法で除去することにより製造する方 法を挙げることができる。また、これらのエマルジョン又はラテックス等には、 増粘剤、架橋剤、起泡剤、粘着防止剤等の添加剤を添加することができる。

【００１３】 そして、本考案のグリップ用伸縮性テープは、上記の方法により製造した伸縮 性シート又は多層シートを、必要に応じて適当な寸法に切断し、グリップ用伸縮 性テープとすればよい。例えば、野球用バットのグリップ用テープとするために は、幅約３ｃｍ、長さ約９０ｃｍに切断すればよい。

【００１４】

【作用】

本考案の第１の手段によれば、グリップ用伸縮性テープは、伸縮性布材に多孔 性のウレタン樹脂被覆を施した伸縮性シートから構成されているので、伸縮性を 有しており、スポーツ用具等のグリップへの巻付けの際は、グリップ用伸縮性テ ープの伸縮性を利用して長さ方向に軽く引張りながら巻付けていくことができ、 また巻付け後のテープはその収縮力によりグリップに密着しているので、ずれた り弛んだりしにくくなる。

【００１５】 また、伸縮性布材に多孔性のウレタン樹脂被覆を施しているので、グリップ用 伸縮性テープは、伸縮性に加え、適度の柔軟性や弾力性をも有しており、手触り がソフトで衝撃を和らげる機能を有することとなり、さらに多数の細孔を有して いるので、汗や雨等でグリップが濡れた場合でも速やかに水分を吸収し、滑りに くくなる。

【００１６】 また、第２の手段によれば、伸縮性シートの少なくとも一方の面に、合成樹脂 弾性発泡体層を全体又は部分的に形成しているので、伸縮性シートのみの場合と 比較して柔軟性や弾力性がさらに増し、掌になじみやすく、衝撃吸収の効果がさ らに向上すると共に、合成樹脂弾性発泡体層も多数の細孔を有していることから 、滑り止めの効果もさらに向上することとなる。

【００１７】 また、第３の手段によれば、伸縮性布材に伸縮性の合成樹脂繊維を用いている ので、何ら特別な手段を用いなくても、その繊維から製造された不織布、織物又 は編物は、伸縮性を有することとなる。

【００１８】 また、第４の手段によれば、伸縮性布材に、非伸縮性の合成樹脂繊維又は天然 繊維自体を加工して伸縮性を付与した伸縮性繊維を用いているので、上記と同様 、その繊維から製造された不織布、織物又は編物は、伸縮性を有することとなる 。

【００１９】 また、第５の手段によれば、伸縮性布材に非伸縮性の合成樹脂繊維又は天然繊 維を用い、その繊維を製編後に伸縮性が生じる製編形式で編物に製編したので、 上記と同様、その編物は伸縮性を有することとなる。

【００２０】

【実施例】

次に、実施例により本考案をさらに説明するが、本考案は係る実施例に限定さ れるものではない。

【００２１】実施例１ ウレタン樹脂のジメチルホルムアミド溶液（三洋化成工業株式会社製造、カタ ログ番号：サンプレン ＬＱ−３３１６）をジメチルホルムアミドで２．３倍に 希釈した後、その１００部に溶媒除去促進剤（大日本インキ化学工業株式会社製 造、カタログ番号：ＣＲＩＳＶＯＮ ＡＳＳＩＳＴＯＲ ＳＤ−７）２部、セル 形成微細化剤（大日本インキ化学工業株式会社製造、カタログ番号：ＣＲＩＳＶ ＯＮ ＡＳＳＩＳＴＯＲ ＳＤ−８ｉ）１部を添加し、ポリエチレンテレフタレ ートフィルムの０．５ｍ² に９００ｇ／ｍ² の割合で塗布し、得られたウレタン 樹脂塗布面にポリエステルを経編（トリコット編）した伸縮性布材（帝人株式会 社製造、厚さ約１ｍｍ）を貼り合わせることによりウレタン樹脂溶液を伸縮性布 材に含浸させ、得られた貼り合わせ布材を水中に浸漬し、ウレタン樹脂の固化と 共に、ジメチルホルムアミドの水中への溶出による細孔を生成させ、次いでポリ エチレンテレフタレートフィルムを伸縮性布材から剥離し、伸縮性シートを製造 した。

【００２２】 上記のようにして製造した伸縮性シートを幅約３ｃｍ、長さ約９０ｃｍに切断 し、本考案のグリップ用伸縮性テープを製造した。本実施例のグリップ用伸縮性 テープの断面図を図１に示す。図中、１は、２の伸縮性布材に、３の多孔性のウ レタン樹脂被覆を施した４の伸縮性シートを上記により切断したグリップ用伸縮 性テープを示す。

【００２３】 また、図２は、本実施例により製造したグリップ用伸縮性テープを野球用バッ トのグリップに巻付けている状態を示す図である。図中、５ａは、５の野球用バ ットのグリップを示し、１はグリップ用伸縮性テープを示す。図２に示すように 、グリップ用伸縮性テープ１は、伸縮性を有しているので、図中の矢印の方向に 軽く引張りながら巻付けていくことができ、また巻付け後のグリップ用伸縮性テ ープ１は、その収縮力によりグリップ５ａに密着しているので、ずれたり弛んだ りすることなく容易に巻付けることができる。

【００２４】実施例２ 上記実施例１で製造した伸縮性シートの一方の面に、ウレタン樹脂のエマルジ ョン（大日本インキ化学工業株式会社製造、カタログ番号：ＤＩＣＦＯＡＭ Ｆ −５２０）１００部に起泡剤（大日本インキ化学工業株式会社製造、カタログ番 号：Ｆ−１）１０部、増粘剤（大日本インキ化学工業株式会社製造、カタログ番 号：ＶＯＮＣＯＡＴ ３７５０）１部、及び４％カルボキシメチルセルロース水 溶液（第一工業製薬株式会社製造、カタログ番号：セロゲン ＷＳ−Ｃ）３部、 架橋剤（大日本インキ化学工業株式会社製造、カタログ番号：ＣＲ−５Ｌ）２部 、反撥回復性付与剤（大日本インキ化学工業株式会社製造、カタログ番号：ＶＯ ＮＤＩＣ ＮＢＡ−１）０．５部を添加し、次いでミキサーにより機械発泡させ た溶液を、２５０ｇ／ｍ² の割合で塗布し、加熱により溶媒を蒸発除去すること により、該伸縮性シートに合成樹脂弾性発泡体層を形成した多層シートを製造し た。

【００２５】 上記で製造した多層シートをテニスラケット用に適合するように、幅２．５ｃ ｍ、長さ１００ｃｍに切断し、本考案のグリップ用伸縮性テープを製造した。本 実施例により製造したグリップ用伸縮性テープの断面図を図３に示す。図中、１ は、２の伸縮性布材に、３の多孔性のウレタン樹脂被覆を施した４の伸縮性シー トの一方の面に、６の合成樹脂弾性発泡体層を形成した７の多層シートを上記に より切断したグリップ用伸縮性テープを示す。

【００２６】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案のグリップ用伸縮性テープは、伸縮性を有してい るので、スポーツ用具等のグリップに軽く引張りながら巻付けていくことができ 、巻付け後の該テープは、その収縮力によりグリップに密着しているので、ずれ たり弛んだりすることなく容易に巻付けることができる。また、該テープを巻付 けたスポーツ用具等を使用しても、ズレや弛みが生じない。

【００２７】 また、伸縮性布材に多孔性のウレタン樹脂被覆を施しているために、伸縮性に 加え、適度の柔軟性や弾力性も有しているので、手触りがソフトで衝撃を和らげ る機能を有しており、さらに多数の細孔を有しているので、汗や雨等でグリップ が濡れた場合でも速やかに水分を吸収し、滑りにくいという効果を有している。

【００２８】 また、伸縮性シートに合成樹脂弾性発泡体層を形成したものでは、上記の効果 に加え、柔軟性や弾力性がさらに増し、掌になじみやすく、衝撃吸収の効果がさ らに向上すると共に、合成樹脂弾性発泡体層も多数の細孔を有していることから 、滑り止めの効果もさらに向上する。

【００２９】 そして、手触りがソフトなため、スポーツ用具や電動工具等のグリップに巻付 けて使用すると使い心地が良く、また激しい衝撃を発する電動工具等のグリップ にも好適に使用できると共に、ラケット等のスポーツ用具の使用による肘痛、電 動工具の使用による手のしびれ等の予防や軽減を図ることもできる。さらに、製 造が容易であるので、コストの低減を図ることもできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例１を示す断面図。

【図２】実施例１のグリップ用伸縮性テープを野球用バ
ットのグリップに巻付けている状態を示す要部拡大斜視
図。

【図３】本考案の実施例２を示す断面図。

【符号の説明】

１ グリップ用伸縮性テープ ２ 伸縮性布材 ３ 多孔性のウレタン樹脂 ４ 伸縮性シート ６ 合成樹脂弾性発泡体層 ７ 多層シート

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 伸縮性布材の縦方向に３ｃｍ、横方向に
   １２ｃｍの試験布及び縦方向に１２ｃｍ、横方向に３ｃ
   ｍの試験布をそれぞれ切り取り、これら試験布の長さ方
   向の両端より各１ｃｍずつつかみ、１ｃｍ／秒の速度で
   ３ｃｍ引き延ばし（総長１５ｃｍ）、その状態で３秒間
   保持し、張力を解除したとき、縦方向及び横方向より切
   り取った試験布のうち、少なくとも一方の試験布が試験
   前の長さ（１２ｃｍ）の１．１倍（１３．２ｃｍ）以内
   である伸縮性布材に、多孔性のウレタン樹脂被覆を施し
   た伸縮性シートからなることを特徴とするグリップ用伸
   縮性テープ。
2. 【請求項２】 前記伸縮性シートの少なくとも一方の面
   に、合成樹脂弾性発泡体層を全体又は部分的に形成した
   ことを特徴とする請求項１に記載のグリップ用伸縮性テ
   ープ。
3. 【請求項３】 前記伸縮性布材が、伸縮性の合成樹脂繊
   維から製造された不織布、織物又は編物であることを特
   徴とする請求項１又は２に記載のグリップ用伸縮性テー
   プ。
4. 【請求項４】 前記伸縮性布材が、非伸縮性の合成樹脂
   繊維又は天然繊維自体に加工により伸縮性を付与した伸
   縮性繊維から製造された不織布、織物又は編物であるこ
   とを特徴とする請求項１又は２に記載のグリップ用伸縮
   性テープ。
5. 【請求項５】 前記伸縮性布材が、非伸縮性の合成樹脂
   繊維又は天然繊維を、製編後に伸縮性が生じる製編形式
   で製編した編物であることを特徴とする請求項１又は２
   に記載のグリップ用伸縮性テープ。