JP3009458B2 - ヒト胎盤リボヌクレアーゼインヒビターをコードするdna配列を含むプラスミド - Google Patents

ヒト胎盤リボヌクレアーゼインヒビターをコードするdna配列を含むプラスミド

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    • C07K2319/01Fusion polypeptide containing a localisation/targetting motif
    • C07K2319/035Fusion polypeptide containing a localisation/targetting motif containing a signal for targeting to the external surface of a cell, e.g. to the outer membrane of Gram negative bacteria, GPI- anchored eukaryote proteins

Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 1.技術分野 本発明は組換えDNA技術に関する。特に組織えヒト胎
盤性リボヌクレアーゼインヒビターをコードするcDNA遺
伝子配列、この遺伝子を含むベクターおよび該cDNA遺伝
子を含む宿主の作成に関する。
2.背景技術 組換えDNA技術の発展を通じて基本的にどの生物由来
のDNA配列も異種宿主において増殖するためのプラスミ
ドまたはウイルスベクターに簡単にクローン化できるよ
うになった。この形状にして該DNAの配列、構造、コー
ド容量またはその他の性質を研究し得る。またこれはサ
ンプル中の相補配列の検出、修正型の遺伝子産物の生
成、新しい生物への挿入による生物機能の調節など種々
の用途に使用し得る。
組換えDNA(rDNA)技術の出現は抗体プローブを用い
た相補DNA(cDNA)のコード配列の単離も可能にした。
ヤング(Young)、R.A.およびR.W.デービス(Davis)、
Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.80,1194−1198(1983)。こ
のシステムはどの生物のDNA由来のポリペプチド上の抗
原決定基(エピトープ)でも最も良く検出し得る特性を
有する。このシステムを用いてゲノムまたはcDNA配列を
うまく単離するにはcDNAライブラリーおよび適当な性質
をもつ抗体プローブの両方が必要である。ミエレンドル
フ(Mierendorf)、ロバート(Robert)C.等、“抗体に
よる〔ラムダ〕gt11ライブラリーのスクリーニングによ
る遺伝子の単離”分子クローニング技術ガイド(Guide
to Molecular Cloning Techiques),152,458−469(19
87)。この技術を使用して特定のたんぱく質をコードす
る遺伝子を単離し、これに対する抗体を作る。しかしこ
の技術を用いた遺伝子の単離は決して保証されない。た
とえば求められている構築物が宿主細胞、一般には大腸
菌を殺してしまうことが分る場合がある。また特に大腸
菌内で合成されるときたんぱく質に炭水化物が付加して
いる場合、主に目的たんぱく質の炭水化物部分に対する
抗体が生成することによりその遺伝子の単離が困難にな
る場合もある。このような場合、この抗体は検出に使用
できない。さらに複雑なことにはイムノスクリーニング
フィルター上の弱い陽性体の出現がある。この弱陽性体
は免疫たんぱく質調製物中の混入物に対する抗体により
認識されるたんぱく質である。この弱陽性体は目的のた
んぱく質と免疫原性を共有する別のたんぱく質であるこ
ともある。
目的たんぱく質がクローン化されたという確信は大腸
菌内で合成された組換えたんぱく質の活性に依存するし
かしこれは多くの真核性たんぱく質が大腸菌中では不正
な折りたたみ型、不溶型および不活性型として合成され
ることから不可能なことがよくある。ヘス(Hoess),A.
等、“イオン交換樹脂を用いた全細菌溶菌物からの可溶
性で生物学的活性のある組換えたんぱく質の回収”、Bi
otechnology,6,1214−1217(1988)。
不活性不溶性たんぱく質は可溶化され、かつ活性な形
に再生され得る場合がある。しかし活性型たんぱく質の
効率的回収に必要な条件の決定には再生プロセスに影響
し得る多くのパラメーターを至適化する実験が必要であ
る。マーストン(Marston),F.A.O.“大腸菌内で発現さ
れる真核性ポリペプチドの精製”、DNAクローニング、
第III巻、実際的方法、第4章、D.M.グローバー(Glove
r)編、IRLプレス版、1987およびここに引用されている
参考文献参照。このように特定のたんぱく質をコードす
るクローン化遺伝子のテストは実験を始めるまでは予測
できない多くの因子に依存する。
一般にcDNAクローン、すなわちたんぱく質に対するRN
Aの情報に相当する二本鎖DNAの単離は第1に目的たんぱ
く質の十分な精製およびウサギのような適当な動物での
該たんぱく質に対する抗体の発現に関すると考えられて
いる。次のステップはその抗体を免疫プローブとして使
用しそのようなたんぱく質が発現されている組織のcDNA
ライブラリーをスクリーニングすることである。cDNAラ
イブラリーは通常バクテリオファージラムダベクターで
構築され、特に抗体プローブがスクリーニングに使用可
能な時はバクテリオファージベクターラムダgt11で構築
される。これはラムダgt11が発現ベクターであるため
で、融合たんぱく質が大腸菌ベータガラクトシダーゼ、
天然の大腸菌酵素およびcDNA挿入物由来のたんぱく質の
間で形成されることを意味する。ジェンドリサク(Jend
risak),ジエリー(Jerry),等(1987)“〔ラムダ〕
gt10および〔ラムダ〕tg11へのcDNAのクローニング”、
「分子クローニング技術ガイド」(Guide to Molecular
Cloning techniques),152,359−371(1987)。RNAのD
NAコピー型として存在する目的たんぱく質の遺伝子もラ
ムダgt11中大腸菌プロモーターのコントロール下に存在
する。
目的たんぱく質をコードする組換えバクテリオファー
ジを大腸菌に感染したとき、いくらかの組換え融合たん
ぱく質が産生され、そのバクテリオファージのプラーク
中細胞溶解により細胞から放出される。このたんぱく質
をニトロセルロースフィルターに取り上げ、目的たんぱ
く質に対する抗体でそのたんぱく質を検出する。このス
クリーニング操作を外来遺伝子をもつ均一なファージプ
ラークが得られるまで反復する。それからこの遺伝子を
ゲノム中のDNAとは独立に複製し得る小さな環状DNAであ
るプラスミドにサブクローニングし発現させる。
この方法をヒト胎盤リボヌクレアーゼインヒビター
(PRI)に応用した。ブラックバーン(Blackburn),ピ
ーター(Peter),等、“ヒト胎盤由来のリボヌクレア
ーゼインヒビター”、The Journal of Biological Chem
istry,252/16,5904−5910(1977)。ブラックバーン(B
lackburn)等は可溶性PRIの調製法を公開した。ここで
はイオン交換およびアフィニティークロマトグラフィー
を組合せて4000倍に精製された。PRIは分子量約50,000
の酸性たんぱく質であることが分った。
天然のPRIはRNAの分解を触媒する酵素リボヌクレアー
ゼ(RNase)を特異的に阻害するヒト胎盤から単離され
るたんぱく質である。それは巾広いRNaseにしっかり結
合することにより機能し、RNAの保護に強いRNase阻害が
必要とされる場所で非常に有効である。PRIは研究での
応用やその他の用途に非常に期待されるたんぱく質であ
る。このたんぱく質の生理学的役割はまた明確ではない
が最近のデータはこのたんぱく質の生体内での役割は血
管発育の調節であるらしいことを示している。シャピロ
(Shapiro),ロバート(Robert)およびバート(Ber
t)L.バリー(Vallee),“ヒト胎盤リボヌクレアーゼ
インヒビターはアンギオゲニンのアンギオゲニン活性お
よびリボ又クレアーゼ活性の両方を阻害する“Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA,84,2238−2241(1987)。シャピロ(Sh
apiro)およびバリー(Vallee)はPRIとアンギオゲニン
の関係を明らかにした。彼等の実験結果はPRIおよび関
連するインヒビターがHT−29ヒト:アデノカルシノーマ
細胞由来の血管誘導たんぱく質アンギオゲニンの生体内
調節に関与していることを示している。ヒトPRIはアン
ギオゲニンの生物学的および酵素活性の両方を阻害する
ことが分った。したがってアンギオゲニン/PRIの相互作
用が機能的に有意であることが確認された。腫瘍転移、
糖尿病性網膜症(diabetic retinopathy)およびリュー
マチ関節炎を含む多くの病気で起こる病理学的血管形成
状態を作る上でのアンギオゲニンの関与のためPRIとの
強い相互作用およびPRIによるアンギオゲニンの阻害は
潜在的にこれらの病気を治療する有効な方法となり得る
であろう。したがってPRIは重要な機械学的、生理学
的、医薬的および、または治療に適した特性を有してい
る。またこのたんぱく質の別の機能も発見されてくるで
あろう。
動物における該たんぱく質PRIの役割を研究するため
にはヒト胎盤源由来の調製物中に存在する不純物を含ま
ない純粋なPRIを必要とする。これらの不純物は哺乳類
たんぱく質、おそらくプリオン(prions)および哺乳類
DNAであり、またその一部はHIVおよび肝炎ウイルスなど
ウイルス由来のものである。残念なことに自然界から十
分量の精製たんぱく質を抽出するには比較的に高いコス
トがかかる。したがって基本的に不純物を含まない大量
で廉価なヒトPRI源が必要である。
発明の概要 本発明に従うと不純物を含まないヒトPRIのクローン
化活性遺伝子産物を有用量得ることができる。この操作
にはヒトPRIサンプルから開始するヒトPRIをコードする
天然遺伝子の単離、クローン化遺伝子に関するDNAライ
ブラリーのスクリーニング、ヒトPRIプラスミド構築物
の形成、宿主細胞へのプラスミド構築物の導入および細
胞溶解と遠心によるヒトPRIたんぱく質の単離ステップ
を含む。
また本発明は単離したPRIの精製、可溶化および再生
法にも関しており、これらには上述の方法で得た粗PRI
の遠心によるヒトPRIの精製、化学試薬によるヒトPRIの
可溶化および可溶化PRIと十分量のバッファとの混合に
よるヒトPRIの再生が含まれる。
また本発明にはヒトPRIをコードする挿入DNA遺伝子配
列を含むベクター、ヒトPRIをコードする挿入DNA遺伝子
配列を含むベクターに適合しこれを含む宿主、および分
子量約51,000ダルトンの実質的に純粋な組換えヒトPRI
たんぱく質が含まれる。このベクターにはたとえばヒト
PRIをコードする外来遺伝子配列を含むプラスミドDNA鎖
が含まれる。
さらに本発明には宿主細胞、プロモーター、および該
プロモーターのコントロール下にあるヒトPRIをコード
する外来遺伝子配列を含むヒトPRIを発現し得る組換え
宿主細胞が含まれる。
さらに本発明に従がい組換えヒトPRIをコードする遺
伝子配列が決定された。
さらに本発明の目的、特徴および利点は以下の詳細な
説明および図式から明らかとなるであろう。
図面の簡単な説明 第1図はプラスミドpGEM −7Zf(+)の部分的制限
部位および機能マップを示している。
第2図は挿入したPRIコード遺伝子配列を有するプラ
スミドpGEM −7Zf(+)の部分的制限部位および機能
マップを示している。
第3図〜第3C図はヒトPRIをコードするクローン化遺
伝子のヌクレオチド配列を示している。
第4図は挿入したPRIをコードする遺伝子配列を有し
発現するよう作成されたpBR322プラスミドの部分的制限
部位および機能マップを示している。
発明の詳細な説明 本発明はヒトPRIをコードする遺伝子を得る方法、該
遺伝子産物の発現方法および組換えヒトPRIの精製およ
び再生方法に関する。PRIはPRIたんぱく質をコードする
遺伝子を含むプラスミドを有する宿主細胞から得られ
る。またヒトPRIの遺伝子のDNA配列も示されている。
本発明の重要な特徴には不活性組換えPRIの単離、組
換えPRIの可溶化および可溶化組換えPRIの活性化が含ま
れる。
宿主細胞に組換えPRIをコードする遺伝子を導入する
のに種々のベクターを使用し得る。使用するベクターに
はpGEM −7Zf(+)、pBR322、PA3、pBC12B1、pGPD−
2およびこれらの誘導体などの種々のプラスミドおよび
ラムダgt11、T7およびこれらの誘導体などのバクテリオ
ファージが含まれる。
典型的宿主細胞には大腸菌などの原核生物およびイー
ストなどの真核生物の両方が含まれる。ベクターおよび
そのプロモーターのコントロール下のPRIをコードする
外来遺伝子配列と合せた宿主細胞はヒトPRIを発現し得
る組換え宿主細胞を形成する。
組換PRIはいくつかの性質で特徴づけられる。
a)分子量:51,000ダルトン b)阻害型:非競合的 さらに本発明の組換えPRIはいくつかの特徴で天然のP
RIと区別される。たとえば天然のPRIとは異なり組換えP
RIのN末端アミノ酸は特定される。さらに天然のPRIと
は異なり組換えPRIは阻害を受けずかつアセチル化され
ることもない。さらに組換えPRIをコードする遺伝子に
は哺乳類DNA、プリオンおよびHIVなどの潜在的に有害な
物質を含まない。
不活性組換えPRIは宿主細胞中封入体として存在す
る。一般的に封入体は密に詰った顆粒状たんぱく質であ
る。宿主細胞からPRIを単離するためその細胞膜を破壊
しなければならない。いくつかの細胞溶解技術が使用し
得るが好ましい方法には適当量のリゾチームの使用とそ
れにつづく遠心およびドデシル硫酸ナトリウム(SDS)
による二次処理が含まれる。この方法で溶液として約0.
1%の可溶性活性PRIと99.9%の不溶性不活性PRIが生ず
る。不溶性たんぱく質は遠心により粗不活性たんぱく質
として除去する。このたんぱく質はさらにバッファサス
ペンジョン/遠心法で精製する。
不活性PRIたんぱく質を単離精製した後これを可溶
化、すなわち溶液に入れた。可溶化はまず好ましくは溶
液中でポリヌクレオチド鎖を互いに分離させるような化
学試薬を含むバッファ液中で開始する。有用な化学試薬
には尿素、塩酸グアニジンおよびSDSが含まれるが尿が
好ましい。使用前、この尿素溶液は遠心して望ましくな
い細胞分解物を除去することが好ましい。この可溶化ス
テップは比較的短かい時間、すなわちせいぜい30分間で
行うべきである。不活性PRIと化学試薬を合せる時間と
活性PRIの最終収量の間には逆比例関係があることが分
った。
活性化ステップにはPRIを含む溶液をバッファ溶液で
希釈し活性状態を再生するのに十分な時間維持すること
が含まれる。活性化状態にはいくつかの因子が重要であ
る。たとえば希釈ステップは比較的素速く、すなわち2
分以内、好ましくは30秒以内で行うべきである。このバ
ッファ溶液のpHは約6.5〜約8.5の範囲内でなければなら
ず約7.5であることが好ましい。またバッファ溶液には
グリセリンまたはスクロースのような活性剤を含めるこ
とが有効である。バッファ溶液中に十分量の活性剤を存
在させるとPRIたんぱく質再生能を増加させ得ることが
発見された。また約100部のバッファ溶液に対してPRI溶
液約1部の希釈率がPRI再生を助ける上で最適であるこ
とが分った。
溶液希釈後約10℃〜25℃の温度に少なくとも8時間、
好ましくは8〜18時間静置しなければならない。この条
件下でPRIたんぱく質が再生されPRI分子の約7%が活性
となる。
以下の実施例はヒトPRIをコードするクローン化遺伝
子の生成法および活性組換えヒトPRIの生成法の説明の
ために示されている。
実施例1 ヒトPRIの遺伝子を含むラムダgt11クローンの単離 ヒトPRIの遺伝子をクローン化する前に実質的に純粋
な天然のヒトPRIたんぱく質を入手しなければならな
い。このヒトPRIたんぱく質は精製法の説明のため参考
として本明細書で引用しているブラックバーン(Blackb
urn)等(上述)の方法に従って調製する。簡単に云う
とヒト胎盤からの可溶性リボヌクレアーゼインヒビター
はブラックバーン(Blackburn)等(上述)により示さ
れたイオン交換およびアフィニティークロマトグラフィ
ーの組合せにより4,000倍に精製し得る。
天然源からのPRIたんぱく質を、ブラックバーンら
(上述)に記載の方法により見掛け上均一性を示すまで
精製した。このたんぱく質はさらにDEAEセファロースCL
−6Bへの結合と勾配溶出により精製され、ゲル分析では
明確に現れない機能性混入物が除去される。
実験動物のニュージーランド白ウサギを精製PRIたん
ぱく質1mgで免疫化し、つづいて二次免疫化を行った後1
0週間飼育した。バクテリオファージラムダgt11中のヒ
ト胎盤の市販cDNAライブラリー(クロンテク社、パロア
ルト、カルホルニア)をプロトブロットイムノスクリー
ニングマニュアル(プロメガ社、1987)(参考として本
明細書で引用している)にリストしてある方法に従って
スクリーニングした。簡単に云うとこのライブラリーを
プレート当り50,000プラークの密度で大腸菌Y1090(r
マイナス)株上にプレーティングし、その10枚のプレー
ト計500,000個のプラークをスクリーニングした。強い
陽性を示すプラークを同定した。
このプレートに予めイソプロピル−ベーターD−チオ
ガラクトピラノシド(IPIG)に浸したニトロセルロース
フィルターを乗せた。フィルターへのたんぱく質の吸着
につづいてそのフィルターを持ち上げ、フィルター上の
たんぱく質結合部位の残りを1%v/vウシ血清アルブミ
ンを含むバッファ中でインキュベーションすることによ
りブロックした。次にこのフィルターをウサギの抗体の
バッファによる1000倍希釈物に浸し、約30分間室温で暖
やかに振盪した。このフィルターをバッファで3回洗浄
し市販のヤギ抗ウサギIgGアルカリホスファターゼ結合
体(プロメガ社)の1:7500希釈物に浸した。この“二次
抗体”はフィルター上のPRI融合たんぱく質に結合した
一次抗体の存在を検出する。二次抗体存在下での室温30
分間のインキュベーションの後、フィルターをバッファ
で3回洗浄した。アルカリホスファターゼの基質溶液を
加え発色させた。強い陽性を示すプラーク1個が50,000
個のプラークのスクリーニングから観測された。強い陽
性のプラークを特定のファージが純粋となるまでプラー
クの切り出しとプレーティングを行うことにより均一と
なるまで精製した。
推定上のPRI遺伝子をもつ組換えラムダファージ由来
のDNAを市販のファージアブソーベント(ラムダソー
ブ、プロメガ社)を用いた免疫沈殿法により精製した。
ファージDNAの制限分析は単一の1.6キロベース(kb)挿
入物の存在を示した。この挿入物は酵素EcoR Iによる消
化でファージDNAから除去し得た。PRIたんぱく質はそれ
をコードするのに14bpの遺伝子を必要とするのでこの挿
入物は全PRI遺伝子を担うのに適した大きさである。一
般に真核生物のメッセンジャーRNAはたんぱく質コード
配列に必要な大きさよりも長いが、これは5′非翻訳領
域、3′非翻訳領域およびポリA領域により増加してい
ることによる。
実施例2 PRI挿入物を含む遺伝子のプラスミドへのサブクローニ
ング 実施例1でPRI遺伝子を単一のEcoR Iフラグメントと
してラムダgt11から取り出した。それゆえこのフラグメ
ントを直接プラスミドpGEM −7Zf(+)(プロメガ
社)にサブクローニングすることにした。第1図にはプ
ラスミドpGEM −7Zf(+)を示した。このフラグメン
トをpGEM −7Zf(+)プラスミドにサブクローニング
することにより、この挿入物の正しい読み枠の発現がで
きた。
pGEM −7Zf(+)プラスミドのEcoR I部位における
読み枠はバクテリオファージラムダgt11のEcoR I部位の
ものと同じである。したがって、もしcDNAのコード配列
がラムダgt11で発現されるならばpGEM −7Zf(+)プ
ラスミド中でも発現されるであろう。
このフラグメントを正しい方向でベクター中に挿入し
たとき、このプラスミド上のプロモーター、すなわち1a
cプロモーターはPRI挿入物の発現を誘導する。PRIたん
ぱく質に付いているのはベータガラクトシダーゼの最初
のアミノ酸数残基、pGEM −7Zf(+)プラスミド中の
多重クローニング領域およびPRIたんぱく質のATCの前に
ある挿入物中の5′非コード領域によってコードされる
余分のアミノ酸である。
EcoR I PRI挿入物をもつバクテリオファージラムダg
t11をEcoR Iで消化し、マニアチス(Maniatis)等、
(分子クローニング、ラボラトリーマニュアル、(198
2)、コールドスプリングハーバー、ラボラトリープレ
ス版、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク)の
標準クローニング法に従いpGEM −7Zf(+)プラスミ
ドにサブクローニングした。この組換えプラスミドの地
図として第2図を示す。
実施例3 pGEM −7Zf(+)プラスミド中のPRI挿入物の発現 pGEM −7Zf(+)プラスミドに移したとき、この挿
入物は発現の読み枠の状態にある。すなわちこのプラス
ミドのEcoR I部位における発現読み枠はラムダgt11中の
EcoR I部位の発現読み枠と同じである。それゆえ、この
PRI融合たんぱく質は直接大腸菌中で産生され得る。pGE
M −7Zf(+)プラスミドの1acプロモーターの誘導に
よる発現の誘導につづいて約60,000ダルトンの見かけの
分子量をもつ融合たんぱく質をプローブとして天然のPR
Iに対するウサギ一次抗体を用いたウェスタンブロット
分析(トービン(Towbin),H,等、Proc.Natl.Acad.Sci.
U.S.A.76,4350(1979))により検出した。
生成する融合たんぱく質は天然のPRIよりもいくぶん
大きいことが期待される。事実この場合もこのことが観
察され、PRIの全コード領域がこのEcoR I挿入物中に存
在しているという仮定と一致した。
実施例4 ウサギ網状赤血球溶解物におけるPRIたんぱく質の生産 PRI挿入物のpGEM −7Zf(+)へのクローニングの
後、このベクターはベクター上のSP6プロモーターを用
いたインビトロでの挿入物からのRNAの合成に使用可能
である。RNAはこのプロモーターから合成され、ウサギ
網状赤血球溶解物のプログラムに使用される。天然のPR
Iたんぱく質の大きさをもつ51,000ダルトンのたんぱく
質が合成された。再びこの結果は全PRIコード配列がこ
のクローン上に含まれていることを示している。
実施例5 pGEM −7Zf(+)プラスミド中の挿入物のシーケンシ
ング PRI遺伝子挿入物の5′および3′末端の最初のシー
ケンシングはpGEM −7Zf(+)プラスミド中のクロー
ンで行った。このシーケンシングデータはEcoR Iクロー
ニング部位の数ヌクレオチド下流のATGコドンの存在お
よびクローニングされた遺伝子3′末端にある長さ36残
基のポリAテールの存在を示した。実施例4に従がって
産生された融合たんぱく質の大きさから、PRIたんぱく
質コード配列の論理的開始点はシーケンシングクローン
中に見い出される最初のATGコドンであると結論し得
る。
さらにシーケンシングデータは市販の欠失システム
(イレーズ・ア・ベース(Erase−a・Base )システ
ム,プロメガ社)を用いたpGEM −7Zf(+)クローン
の連続的エキソヌクレアーゼIII欠失により得られた。
エクソヌクレアーゼIIIは5′突出端または平滑端からD
NAを特異的に消化し、一方3′側は4塩基突出のまま残
すのに用いられる。この酵素の消化速度一定性はその反
応物から部分標本を取り出すことにより所定の間隔で欠
失を生じさせ得る。この戦術で実質的にクローン化挿入
物の全ヌクレオチド配列を生成させた。このようにして
得たヒトPRIのクローン化遺伝子のヌクレオチド配列を
第3−3C図に示す。ここには誘導されたそのたんぱく質
のアミノ酸配列を含めた。
もしヒトPRIのクローン化遺伝子のヌクレオチド配列
が与えられれば、cDNAライブラリーのハイブリダイゼー
ションによるPRI遺伝子の単離を可能にするハイブリダ
イゼーションプローブの構築するのは本発明の範囲内と
なる。
実施例6 天然の配列のたんぱく質を発現する遺伝子の作成 遺伝子産物に結合した融合部分をもたない天然配列の
たんぱく質を合成するため、クローンのシーケンシング
で見つかった最初のATGコドンは天然の翻訳開始コドン
であると仮定した。原核性リボゾーム結合部位をATG開
始部位から6〜8塩基の場所に挿入しその開始部位が大
腸菌内で機能するようにした。他の構築物のデータから
8個の余分なアミノ末端アミノ酸をもつPRIキメラたん
ぱく質は調節可能な大腸菌プロモーターから発現すると
き致死的であるようだ。したがってスダシア(Studie
r)F.ウィリアム(William)およびバーバラ(Barbar
a)A.モファット(Moffatt)(“クローン化遺伝子を選
択的レベルで発現させるためのバクテリオファージT7RN
Aポリメラーゼの使用”、J.Mol.Biol.189,113−130(19
86))が述べているようにT7プロモーターを有するPRI
遺伝子を誘導することにした。
この構築物の完成後これをT7RNAポリメラーゼを欠く
大腸菌宿主内で増巾した。したがってこの遺伝子はその
RNAポリメラーゼを発現する宿主に移されるまで発現し
ない。このような発現システムが提案されてきており
(スタジア(Studier)等上述、およびローゼンベルグ
(Rosenberg),アラン(Alan),H.等、“T7RNAポリメ
ラーゼによるクローン化DNAの選択的発現のためのベク
ター"Gene,56,125−135(1987))また基本的に本章で
行なわれている。
好ましい構築物ではリボゾーム結合部位およびATGコ
ドンの前の領域およびシャインダルガルノ配列の前につ
づく非翻訳リーダー配列はバクテリオファージT7遺伝子
10、リーダーおよびリボゾーム結合部位に由来してい
る。さらにT7プロモーターがこのRNAを生産するために
存在する。
ラムダgt11由来のPRI遺伝子のpGEM −7Zf(+)プラ
スミドへの移行はこの遺伝子がこのプラスミド中の多重
クローニング制限酵素部位に隣接していることから巾広
いクローニング戦術を切り開いた。
PRI遺伝子をBamH I−Aat IIフラグメントとして切り
出しプラスミドベクターpBR322のこれら2つの部位の間
に入れた。ローゼンベルグ(Rosenberg)等(上述)に
よって示されかつ合成オリゴヌクレオチドとして合成さ
れた配列のT7ターミネーターをその遺伝子の後のXba I
およびAat II部位の間に挿入した。Xba I部位はBamH I
−Aat IIフラグメントのPRI遺伝子の移行の際にpGEM
−7Zf(+)リンカーから誘導されたものである。
合成ヌクレオチドはT7プロモーターおよび遺伝子10
5′非翻訳配列および遺伝子10シャイン・ダルガルノ配
列を含むものを合成した。
このオリゴヌクレオチドをクローンのBamH IおよびBs
tX I部位の間のPRI遺伝子の始めに挿入した。PRI挿入物
の始めの配列分析で仮定される遺伝子配列の第3番目の
コドンの後にBstX I部位が存在することが明らかになっ
た。BstX Iはコード配列を切り出すのでこれらのアミノ
酸を置換するよう設計した。最終的構築物を第4図に示
した。これは大腸菌で発現するように作製されたプラス
ミドpBR322中のPRI遺伝子を含んでいる。
この合成構築物中のPRI遺伝子を発現するため第4図
に示したプラスミドをT7RNAポリメラーゼを産生する大
腸菌株の中に入れた。この株はスタジア(Studier)等
(上述)およびローゼンブルグ(Rosenburg)等(上
述)の方法に従って構築した。大腸菌JM109株を野生型
ファージラムダで溶原化した。この株をラムダベクター
のBamH I部位に挿入したT7RNAポリメラーゼの遺伝子を
もつ組換えラムダファージ(ラムダD69−T7)感染のた
めの宿主として用いた。T7RNAポリメラーゼの遺伝子を
大腸菌JM109−DE3株の染色体に挿入した。このクローン
を1990年2月21日アメリカン・タイプ・カルチャー・コ
レクション(12301パークローンドライブ、ロックビ
ル、メリーランド20850)に受理番号68230号として登録
された。
この培養物を光学濃度1となるまで増殖させ、IPTGで
誘導した。産生されたPRIたんぱく質は細菌たんぱく質
のポリアクリルアミド電気泳動(PAGE)でモニターし
(レムリ(Laemmli),U.K.Nature(ロンドン),227,680
(1970)、つづいてウェスタンブロッティング(トウー
ビン(Towbin),H.等、上述)およびPRIたんぱく質に対
するウサギ一次抗体による検出を行った。この分析でIP
TGによるPRI培養物の誘導および4時間培養後培養物1
リットル当り約40mgのPRIが合成されたことが示され
た。
実施例7 大腸菌JM109における活性PRIの産生 実施例6で述べたPRIプラスミドをもつ大腸菌JM109−
DE3は特定のレベルの活性PRIたんぱく質を産生し得る。
ほとんどのたんぱく質は不活性でかつ不溶性の形で合成
されるけれども全PRIたんぱく質の約0.1%は可溶性であ
りかつ活性である。活性PRIたんぱく質は結合したRNase
を含むアフィニティーマトリクスへのバッチ吸着を用い
遠心したフレンチプレス化溶解物から精製する(スコー
プス(Scopes),ロバート(Robert)K.“たんぱく質の
精製原則と実際"2版、27、1987)。この方法で回収した
PRIはゲルによる分子量が天然のPRI、ブラックバーン
(Blackburn)等(上述)およびブラックバーン(上
述)により報告されている非グリコシル化たんぱく質と
同じであり、かつ精製した天然産物とほぼ同じ比活性を
有している。
大腸菌中で産生されるPRIたんぱく質のほとんどは不
溶型として合成されるので活性組換えPRIたんぱく質を
生産する経済的方法を見つけるためまず不溶性物質を可
溶化し活性型に再生しなければならない。
実施例8 大腸菌Tacプロモーター制御下におけるPRIたんぱく質の
産生 pTTQベクター中の強力な宿主プロモーターpTacの制御
下(スターク(Stark),J.J.R.,Gene,51,pp255−267,19
87)大腸菌中で天然のPRIたんぱく質が産生された。PRI
挿入物をSph I−EcoR IフラグメントとしてpBR322から
取り出した。このフラグメントはPRI遺伝子の前に秀れ
たリボゾーム結合部位を含んでおり、ベクターpTTQ19
(アマーシャム)中のSph IおよびEcoR I部位の間にク
ローン化された。この構築物はビシストロンメッセージ
上のTacプロモーターによりPRI遺伝子が発現するよう設
計されている。1つのリボゾーム結合部位はpTTQベクタ
ーに由来し、もう1つはPRI挿入物に由来する。内部リ
ボゾーム結合部位は大腸菌中でよく機能するので、融合
たんぱく質ではなく天然のPRIたんぱく質はこの構築物
内に合成される。もっとも高いレベルの可溶性で、かつ
活性のあるたんぱく質を与える宿主をさがすためこの構
築物をいくつかの様々な大腸菌に入れた。テストした宿
主には大腸菌C6000、JM109、NM522、BSJ72、B121および
HB101が含まれる。少なくともいつくかの可溶性で活性
のあるPRIがテストした各宿主で産生された。
実施例9 大腸菌におけるPRIたんぱく質の分泌 PRIたんぱく質は天然たんぱく質のアミノ酸分析によ
り分子当り32個のシステインをもつことから多くのジス
ルフィド結合を有するであろう。これらの結合は細胞質
の還元的環境下では正しく形成されていない可能性が高
い。それゆえより酸化的条件下でジスルフィド結合が起
こるように細菌の細胞周辺腔にこのたんぱく質を分泌さ
せるように設計した。PRI遺伝子の開始部位の前にある
大腸菌ompAたんぱく質のシグナル配列をコードする合成
オリゴヌクレオチド(モバ(Movva),N.R.等,J.Mol.Bio
l.143pp.317−238,1980)を付加することによりpBR322
−PRIを修正した。これらのリーダアミノ酸はたんぱく
質を分泌させるためのものであり、このたんぱく質が細
胞から分泌される際に大腸菌のシグナルペプチターゼに
より切断される。この構築物においてT7プロモーターは
pBR322−PRIにおけるのと同様にPRI遺伝子の転写のため
に働きつづけるが、ompAシグナル配列が最初に作られ
る。結果的にPRIが正しくプロセシング(シグナル配列
の除去)を受け細胞から分泌されることが示された。分
泌したPRIたんぱく質は活性がないことが分った。さら
にたんぱく質レベルも細胞内で産生されるものの約10分
の1で培養物1リットル当りわずか約4mgであった。
実施例10 大腸菌に対して致死的なPRI構築物の例 ヒト組換えPRIに有用な発現ベクターを構築する際こ
れらの構築物が宿主細胞に対して致死的に働くことでPR
Iたんぱく質の発現が不可能となる状態がいくつかあっ
た。1つはベクターpTTQ9中12個の余分なアミノ末端ア
ミノ酸をもつPRI融合物の構築を企てた場合であり、も
う1つは分泌発現ベクターPI NIII ompA(マスイ(Masu
i),Y.等,“大腸菌における多目的発現クローニングベ
ヒクル”、“遺伝子発現の実験操作”、M.イノウエ(In
ouye)編、アカデミックプレス版、1983)中のPRIの発
現の場合である。前者の場合、まずpTTQ9をPst Iで切断
し末端をクレノーで平滑下したのちこのベクターを再び
ライゲーションした。pGEM −7Zf(+)−PRIのPRI挿
入物をBamH I−Sph Iフラグメントとして取り出し、Pst
I部位を平滑下したpTTQ9ベクターのBamH IおよびEcoR
I部位の間にクローン化した。Sal IおよびKpn Iによる
切断とこれらの粘着末端のクレノー処理およびライゲー
ションでベクター上の強力なTacプロモーターからの融
合たんぱく質の発現の読み枠に適合する場合にPRI遺伝
子を位置させ得るであろう。しかし最終構築物が得られ
なかったことからこの発現システムは非誘導条件下でさ
え致死量のPRI融合たんぱく質を生成していると結論さ
れる。後になってこれと同じ融合たんぱく質は基本的に
pBR322−PRIと同じ構築物においてT7プロモーターの制
御下生産し得るが、この場合はそのアミノ末端に余分の
12個のアミノ酸を組込むよう作製したクローンを用いて
いることが示された。発現システムにおける融合たんぱ
く質生産能の差はおそらく非誘導条件下の+、&システ
ムのより強い抑制によるものであろう。
分泌ベクターpIN III ompAへのPRI挿入物のクロー
化においても致死が観察された。このPRI挿入物をBstX1
−EcoR1フラグメントとしてpGEM −7Zf(+)−PRIか
ら切り出しEcoR1切断しリン酸化したpIN III ompAに
クローン化した。このPRIフラグメントは2つの方向に
挿入され、その結果ベクターのTacプロモーターに関しP
RI遺伝子が前後に位置するようになる。しかし、唯一観
察される構築物はPRI挿入物がこのプロモーターの後に
位置するもので、従ってこの遺伝子の発現は起こらなか
った。先に述べた理由で前置きの構築物は致死的である
ようだ。
実施例11 大腸菌で生産される不溶性PRIの単離および回収 PRI生産を誘導された大腸菌内で生成した不溶性PRIは
以下のように回収し得る。
1.不溶性PRIの生産を誘導された細胞を緩衝液に懸濁す
る。適当な緩衝液は50mMトリスHCl(pH7.5)、5mM EDTA
および5MMDTTを含むTESDTTバッファである。サスペンシ
ョンは400mlのバッファ溶液中一般には凍結状態の細胞
約20グラムを含むのが適当である。このプロセスのスケ
ールを変える事は本発明の範囲内にある。しかし1:20の
比(細胞グラム数/バッファ容積ml)を維持することが
好ましい。
2.このサスペンジョンを氷中約10分間激しく撹拌する。
3.細胞溶解により細胞膜を破壊する。1mg/mlの濃度で粉
末リゾチームを加え(シグマ、VI級)氷中で30分間撹拌
する細胞溶解法が好ましい。撹拌後約4mlの10%(v/v)
ドデシル硫酸ナトリウムを加え、再び氷中で30分間撹拌
する。
4.このサスペンジョンを約4℃で約20分間、約17,000×
gで遠心する。灰色の堅固な下層と、半透明で高粘性層
および上清からなる二相ペレット状態が得られる。
5.上清をペレットから注意深くデカンテーションで分離
しペレットだけを残す。このペレットは粗PRIたんぱく
質である。
実施例12 PRIの精製 1.実施例11の条件下バッファに実施例11で得た粗PRIペ
レットを再懸濁する。
2.このサスペンジョンを約4℃、約20分間および17000
×gで遠心する。遠心後高粘性層ができる。
3.遠心混合物から上清をデカンテーションする。
4.ペレットを攪拌しながらバッファに再懸濁する。この
バッファ溶液はペレット20グラム当り400mlのTE5DTTで
あることが望ましい。このサスペンジョンを氷中約30分
間激しく攪拌する。
5.このサスペンジョンを約4℃、約20分間、およそ17,0
00×gで遠心する。残ったペレットはうすい灰色をして
いる。
実施例13 PRIの可溶化 ペレットは以下のように懸濁し可溶化した。
1.最終ペレットを好ましくは200mlのTE5DTTバッファに
懸濁し氷中で約120分間攪拌する。乳白色のサスペンジ
ョンが得られる。
2.可溶化は好ましくは4Mほどの濃度で尿素を含むバッフ
ァ溶液中で開始する。バッファ溶液としてはTE5DTTが適
当である。尿素溶液は360gの尿素を含む800mlのTE5DTT
であることが望ましい。
3.可溶化したPRIは素速く攪拌しながら約10℃から25℃
の温度で800mlのバッファ溶液に対し約200mlの割合で希
釈する。この溶液を約3〜5分攪拌するといくかの細胞
破片を含むほぼ透明な溶液となる。
4.使用前この尿素溶液は遠心して不溶性物質を除去する
のが好ましい。遠心は約4℃で約15分間、6000×gで行
う。上清は無色透明となる。この上清が可溶化PRIを含
んでいる。
実施例14 PRIの活性化 この上清を100のバッファ溶液に素速く希釈し、十
分な時間維持してPRIを活性状態に再生させる。このバ
ッファ溶液は水活性剤10%(v/v)を含むTE5DTTである
ことが望ましい。スクロースも使用できるが水活性剤と
してはグリセリンが望ましい。バッファ溶液のpHは約6.
5〜約8.5の範囲にあり、7.5であることが好ましい。
この溶液を室温に約8〜18時間放置した後、PRIたん
ぱく質が再生し、この分子の約7%が活性となる。
実施例15 再生および不活性PRIの分離 100中の再生PRIはジエチルアミノエチル(DEAE)カ
ラムリアクターで濃縮し得る。DEAEカラムは再生PRIを
濃縮するだけでなくPRIたんぱく質の再生プロセスを助
ける点で有利であり、このことは本発明の利点となって
いる。代表的カラムには流速30リットル/時間で使用す
るクノ(Cuno )3200DEAEカートリッジがある。以下に
操作を示す。
1.再生したPRIをポンプでカートリッジに送り、0.5M Na
Clを含むTE5DTTで溶出する。
2.カラムからの溶出液を少なくとも1mg/mlの濃度で共有
結合したRNaseを含むアフィニティ樹脂に通した。活性P
RIはRNaseに吸着し、一方不活性で不正に再生した物質
はこのアフィニティーカラムを素抜けしてしまう。
3.アフィニティー樹脂から5mM DTTを含む0.05M酢酸ナ
トリウムバッファ(pH5.0)+3M NaCl溶液で活性PRIを
溶出する。この段階でPRIは基本的に純粋であり、PAGE
で均一である。
4.RNase混入が問題ならDEAEセファロースCL−6Bへの結
合と濃度勾配溶出によりさらにPRIたんぱく質から機能
性不純物を除去できる。再生および精製ステップによる
細胞20グラムからのPRIの収量は約3百万ユニットであ
る。
組換えたんぱく質はその非保護のアミノ末端の存在で
天然のたんぱく質と区別し得る。天然のPRIはそのアミ
ノ末端がおそらくアセチル化で保護されていることから
そのアミノ末端から配列決定することができない。組換
えたんぱく質のたんぱく質配列決定で組換え体の非保護
アミノ末端の存在が明らかになり、さらにN末端のメチ
オニンが大腸菌中で除去されたことが示された。
本発明は代表例として本明細書に示されている特定の
態に制限されるのではなく以下の請求の範囲内での修正
形を包含すると理解すべきである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 C12N 1/21 C12P 21/02 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プラスミドpBR322−PRIのセグメントと同
    一のDNAセグメント中に、ヒト胎盤リボヌクレアーゼイ
    ンヒビターをコードするDNA配列を含むプラスミドであ
    って、以下に示す破壊したBamH I及び破壊したAat II部
    位の間に存在するヒト胎盤リボヌクレアーゼインヒビタ
    ーをコードする配列に相当するDNA配列を含むことを特
    徴とする該プラスミド。
  2. 【請求項2】プラスミドpBR322−PRIである請求項1に
    記載のプラスミド。
  3. 【請求項3】誘導可能なT7RNAポリメラーゼ遺伝子を含
    み、かつ請求項1又は2に記載のプラスミドを用いて形
    質転換された大腸菌株。
  4. 【請求項4】形質転換されたJM109−DE3株である請求項
    3に記載の大腸菌株。
  5. 【請求項5】クローン化した活性ヒト胎盤リボヌクレア
    ーゼインヒビターを得る方法であって、請求項3又は4
    に記載の大腸菌株を培養する工程、及びそのようにして
    産生した活性形態ヒト胎盤リボヌクレアーゼインヒビタ
    ーを単離する工程を含む該方法。
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