JP2774156B2 - ヒトプロテインcおよび/または活性化ヒトプロテインc様活性を有する蛋白 - Google Patents

ヒトプロテインcおよび/または活性化ヒトプロテインc様活性を有する蛋白

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、ヒトプロテインCおよび/または活性化ヒ
トプロテインC様活性を有する蛋白に関するものであ
る。さらに詳しくは抗凝固剤または線溶促進剤として使
用し得るヒトプロテインCおよび/または活性化ヒトプ
ロテインC様活性を有する蛋白に関するものである。
ここで、本明細書において、アミノ酸配列はIUPAC−I
UB生化学委員会(CBN)で採用された方法により略記す
るものとし、たとえば下記の略号を用いる。
Ala L−アラニン Arg L−アルギニン Asn L−アスパラギン Asp L−アスパラギン酸 Cys L−システイン Gln L−グルタミン Glu L−グルタミン酸 Gly グリシン His L−ヒスチジン Ile L−イソロイシン Leu L−ロイシン Lys L−リジン Met L−メチオニン Phe L−フェニルアラニン Pro L−ブロリン Ser L−セリン Thr L−スレオニン Trp L−トリプトファン Tyr L−チロシン Val L−バリン また、DNAの配列はそれを構成する各デオキシリボヌ
クレオチドに含まれる塩基の種類で略記するものとし、
たとえば下記の略号を用いる。
A アデニン(デオキシアデニル酸を示す。) C シトシン(デオキシシチジル酸を示す。) G グアニン(デオキシグアニル酸を示す。) T チミン (デオキシチミジル酸を示す。) [従来技術] プロテインCは血漿セリンプロテアーゼ前駆体の一種
であって、血小板や血管内皮細胞の表面で、トロンビン
とそのレセプターであるトロンボモジュリンとの複合体
による限定分解を受けて活性化され、セリンプロテアー
ゼである活性化プロテインC(以下APCという)に変換
される。APCは血液凝固系の活性化第5因子および活性
化第8因子を選択的に分解することによって抗凝固活性
を発揮する。この活性はプロテインSによって増強され
ることが知られている。また、APCは組織プラスミノー
ゲンアクチベータの阻害剤であるPAI−1を切断するこ
とにより、線溶促進活性をもつと考えられている。
ヒトプロテインCのアミノ酸配列については既に、Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA,82,4673−4677(1985)等で明ら
かなように、Glaドメインおよびエピダーマルグロース
ファクター(EGF)様ドメインからなる軽鎖(分子量約2
1,000)と活性化ペプチドおよび触媒ドメインからなる
重鎖(分子量約41,000)とがジスルフィド結合したもの
(2本鎖型)である。
ヒトプロテインCからAPCへの変換は、ヒトプロテイ
ンCの重鎖のアミノ末端(以下、N末という)から12番
目のアミノ酸から重鎖のN末のアミノ酸までの活性化ポ
リペプチドが除去されることによって行われる。従っ
て、APCのアミノ酸配列はヒトプロテインCのアミノ酸
配配列において、ヒトプロテインCのアミノ酸配列か
ら、重鎖のN末から12番目のアミノ酸から重鎖のN末の
アミノ酸までのすべてを除いたものである。
しかしながら、APCの活性発現のために、該ポリペプ
チドが完全に除去されることが必要であるかどうかにつ
いては明らかでない。
また、PCをAPC活性化酵素で処理する際の問題点とし
て、酵素の種類により、処理後の酵素の除去が必要であ
ったり、あるいはウイルスの混入が予想される。
[発明の目的] そこで本発明者らは蛋白質工学の技術を用いてヒトプ
ロテインCのアミノ酸配列の改変を行い、APC活性化酵
素で処理することなく直接細胞から天然型APCあるいはA
PC活性を有する蛋白を得ることを目的として研究を行っ
たところ前記の性質を有する蛋白を得ることができ本発
明に到達した。
[発明の構成] すなわち、本発明は、天然型ヒトプロテインCの構造
を有する蛋白において、その重鎖のアミノ末端側12残基
部分を、次のいずれかのアミノ酸配列で置換したものに
相当する構造である、活性化ヒトプロテインC様活性を
有するヒトプロテインC誘導体である。
A.(N末側)Asp−Pro−Arg(C末側) B. Pro−Arg C. Arg 本発明の種々のアミノ酸配列を有する蛋白は、細胞か
ら分泌された後においてもそのままのアミノ酸配列を有
し、かつAPC活性化酵素で処理することなくAPC様活性を
有している。APC様活性としては、前述したとおり、凝
固系の活性化第5因子および活性化第8因子を選択的に
分解する抗凝固活性、並びに組織プラスミノーゲンアク
チベーターの阻害剤であるPAI−1を切断する線溶促進
活性等が挙げられる。
更に本発明で得られる蛋白はGlaを有していることが
好ましい。
本発明における蛋白をコードするDNA配列は、天然型A
PCの軽鎖DNA−X−Y−天然型APCの重鎖DNAで表わすこ
とができる。ここでXは開裂部分のDNA配列を表わす。
また、Yは活性化ペプチド部分のDNA配列を表わし、下
記14)〜16)が挙げられる。
14) GAT CCG CGG 15) CCG CGG 16) CGG 本発明において、本発明の蛋白をコードするDNA配列
とは、それを含有するプラスミドを宿主に導入し、培養
せしめたときに、本発明の性質を有する蛋白が結果的に
発現されるDNA配列であればよく、例えば前記DNA配列
は、必ずしも前記の通りのDNA配列である必要はなく、
その中間に構造遺伝子以外の他の遺伝子(例えばイント
ロン)が介在していてもよい。
本発明の蛋白をコードするDNA断片は、宿主ベクター
系に応じて適当に選ばれた発現用ベクターに組み込まれ
る。そのような発現ベクターの具体例としては、アデノ
ウイルスMLP主要後期プロモーター、SV40初期プロモー
ター、SV40後期プロモーター、マウスメタロチオネイン
1・プロモーター、MMTV(マウス乳頭腫ウイルスのプロ
モーター)、RSV(ラウス肉腫ウイルスプロモーター)
等を有するプラスミドベクターあるいはBovineパピロー
マウイルス等のウイルス由来のベクター等が用いられ
る。
前記DNA断片のかかるベクターへの組み込みはそれ自
体既知の方法で行うことができ、例えばMiura O.et a
l.,J.Clin.Invest.83,1598−1604(1989)等の文献に記
載の方法によって行うことができる。
一方、宿主用の動物細胞としてはヒトまたはヒト以外
の動物細胞のいずれであってもよく、例えばCHO,C127,B
HK,Cos1,Cos7,LM,NIH3T3,293,HeLa等があげられ、中で
もCHO,BHK,293が好ましい。
上記発現型ベクターのこれら細胞へのトランスフェク
ションも、また当該分野でよく知られたそれ自体公知の
方法によって行うことができ、例えばSpandidos D.A.an
d Wilkie N.M.,Expression of Exogenous DNA in Mamma
lian Cells,Ed.Hames B.D.and Higgins S.J.Transcript
ion and Translation,IRL Press,Oxford,pp1−48等の文
献記載の方法によって行うことができる。
かくして得られる形質転換細胞は、それぞれの細胞に
適合した条件下に常法で培養し、その培養液から目的と
する本発明の蛋白を回収することができる。
本発明の蛋白の定量法は特開昭61−283868号公報によ
って示された方法を用いることができる。この方法によ
れば、GlaをもつヒトプロテインCおよび/または活性
化ヒトプロテインC様活性を有する蛋白(以下、ヒトプ
ロテインC誘導体という)のみを測定することもでき
る。
本発明のヒトプロテインC誘導体の精製には、バリウ
ム吸着法、イオン交換クロマトグラフィー法を含む天然
型ヒトプロテインCの精製法を応用することができる
が、カルシウムイオンによるGlaドメインのコンホメー
ション変化を認識する抗ヒトプロテインCモノクローナ
ル抵抗を使用したアフィニティカラムクロマトグラフィ
ーを用いるのが特に好ましい(特開昭64−85091号公報
参照)。この方法は、Glaを有するヒトプロテインC誘
導体のみを精製できる点と、EDTAという温和な溶離剤が
使える点で優れた方法である。
本発明のヒトプロテインC誘導体の活性は、あらかじ
め蛇毒(プロタック、アメリカンダイアグノスチカ社
製)で活性化してまたはあらかじめ活性化することなし
に合成基質(PCa、アメリカンダイアグノスチカ社製)
の切断活性で調べた。本発明のヒトプロテインC誘導体
は触媒ドメインについては天然型と同一であるので、合
成基質切断活性をもって、本来の活性である抗凝固活
性、線溶促進活性を表わすことができる。
<発明の効果> 本発明で得られる蛋白はAPC様活性を有するものであ
り、APC活性化酵素で処理することなくAPC活性を有して
いる。
従って本発明の蛋白を用いることにより、活性化処理
に伴う酵素の除去、ウイルスの混入等の問題が解消さ
れ、これにより抗凝固剤または線溶促進剤として用いら
れるAPCの供給をより安定的に行うことが可能となる。
[実施例] 本発明の実施例では、次の方法を用いた。
DNAの切断 1μgのプラスミドDNAまたはM13ファージのレプリカ
ティブ・フォーム(RF)DNAまたはDNA断片の切断は、10
μの緩衝液中、4〜10単位の制限酵素を用い、メーカ
ーにより指定された温度で2時間保つことにより行っ
た。緩衝液は、制限酵素に付属のものを用いた。
DNA断片のアガロースゲルからの回収 制限酵素で切断したDNA断片は、サブマリン型電気泳
動槽を用いた0.8%アガロースゲル電気泳動で分離し
た。目的のDNA断片を含むアガロースゲルを切り出し、G
ENECLEAN(Bio 101社)を用いて回収した。方法は添付
の説明書に従った。
DNA断片の結合 DNAライゲーションキット(宝酒造)を用いて行っ
た。方法は、添付の説明書に従った。
大腸菌の形質転換 大腸菌HB101株のコンピテントセル(宝酒造)に、20
μ以下のDNA溶液を加え、1時間氷上に置いた。次に4
2℃の水浴に1分間つけたあと、再び氷上に5分間置い
た。これを1mlのL−ブロスに加え、1時間振盪培養し
た後、その一部(50〜300μ)を、アンピシリンプレ
ート(L−ブロス、寒天15g/、アンピシリン50μg/m
l)にまいて一晩37℃で培養し、コロニーを作らせた。
プラスミドDNAの小スケール調製 アルカリ溶菌法(『Molecular Cloning』(T.Maniati
s,Cold Spring Harbor Laboratory,1982)P368参照)に
よる調製を行った。必要に応じて前述の『GENECLEAN』
による精製を行った。
プラスミドDNAの大スケール調製 アルカリ溶菌法(『Transcription and Translatio
n』(B.D.Hames,IRL press,1984)P8参照)およびCsCl
平衡密度勾配遠心法によって行った。ここで、超遠心用
ローターは日立製RP−67VFバーチカルローターを用い
た。またCsClの除去は透析によらず、TE(10mM Tris−H
Cl pH8.0,1mM EDTA)で4倍に希釈後、エタノール沈澱
をすることで代えた。
DNAの塩基配列の決定 ダイデオキシ・チェーン・ターミネーション(dideox
y chain termination)法を用いた。反応に用いた試薬
は宝酒造の『7−deaza・シークエンスキット』のもの
を使用した。操作手順はそれに添付された説明書に従っ
た。ラベルには35s−dCTPαS(400Ci/mmnl,アマシャム
社)を用いた。電気泳動は6%アクリルアミドの0.3mm
厚のゲルを使用し、泳動後乾燥してからオートラジオグ
ラフィーにかけた。用いたテンペレートDNAは、ヒトプ
ロテインC cDNAの改変操作後は一本鎖DNAを用いたが、
それ以外では2本鎖のプラスミドをアリカリ変性後、中
和したものを用いた。その際の手順は『ベクターDNA』
(榊佳之、講談社、1986)P67に記載の方法によった。
またプライマーは、調べたい部分の近傍の配列18塩基分
を化学合成し、それを精製して用いた。
DNA断片の化学合成およびその精製 cDBAを改変し、前述した1)〜6),8)〜16)のDNA
配列を作成するため、第1図にそれぞれ対応させて示し
たプライマーおよび塩基配列決定のためのプライマーを
用いた。これらはアプライド・バイオシステムズ社380A
型DNA合成装置で『Tr ON,AUTO』の条件で合成した。そ
の精製には同社製『オリゴヌクレオチド精製カートリッ
ジ』を添付の説明書に従って使用した。
実施例1 ヒトプロテインCをコードするcDNAの取得 ヒト肝細胞により、グアニジンチオシアネート法(J.
M.Chirgwin,『Biochemistry』,18,5294,1979参照)従
ってmRNAを抽出した。ヒト肝細胞2×108個に5mlのGTC
溶液(6Mグアニジニウムイソチオシアネート、5mMクエ
ン酸ナトリウム、0.1M2−メルカプトエタノール、0.5%
N−ラウロイルザルコシン酸ナトリウム)を加え、ホモ
ゲナイズした。3.8mlの5.7M CsCl,0.1MEDTA水溶液の上
に重層し、これをRPS−40Tローター(日立製)を用いて
35,000rpmで15時間、25℃で超遠心した。超遠心後注意
深く溶液を取り除いた後、エタノール約1mlで3回リン
スし、1.4mlの水に溶解後エタノール沈殿させた。この
沈殿を0.5M NaCl,10mM Tris−HCl(pH7.5),1mM EDTA,
0.5%SDSの組成の洗浄液0.5mlに溶解し、0.5mlのOligo
(dT)セルロースカラムを通した。このカラムを上記洗
浄液で洗った後、10mM Tris−HCl(pH7.5),1mMEDTA,0.
05%SDSの組成の溶出液で溶出し、約31μgのpolyA+RNA
を得た。これをもとに、GublerとHoffmanの方法(『Gen
e』,25,263,1983参照)に従いアマシャム社製cDNA合成
キットを用いてcDNAを合成した。
5μgのpolyA+RNAに50ユニットのヒト胎盤由来RNase
阻害剤(HPRI)の存在下5μgのOligo(dT)12〜18を
加え100ユニットの逆転写酵素を42℃で1.5時間働かせて
約30%の収率で一本鎖cDNAを合成した。この反応液に4
ユニットの大腸菌リボヌクレアーゼHと115ユニットの
大腸菌DNAポリメラーゼIを加え12℃で1時間、22℃で
1時間反応させた後70℃で10分間放置して酵素を欠活さ
せた。その後10ユニットのT4DNAポリメラーゼを加え37
℃で10分間反応させて、約95%の収率で2本鎖cDNAを得
た。この2本鎖cDNAに20ユニットのEcoR Iメチラーゼを
37℃で1時間作用させた後、EcoR Iリンカー(宝酒造
製)を結合させた。これに16ユニットのEcoR Iを加え37
℃で2時間反応させた後、セファロースCL−4Bカラムを
通し、純化した約0.8μgのcDNAを得た。
次にこのcDNA0.4μgとλgt10アーム1.0μg(ベクタ
ークローニングシステムズ社製)とを連結したものを用
いてin vitroパッケージングを行い、ヒト肝細胞由来cD
NAライブラリーを得た。このライブラリーを大腸菌C600
hfl-株に感染させ、プラークを形成させた。ヒトプロテ
インC遺伝子を含むクローンは、次に示す32Pで標識し
た合成DNA PC−1,PC−2をプローブとしたプラークハイ
ブリダイゼーション法により選別した。
(ここで(5′)および(3′)はそれぞれDNA配列
の5′末端側および3′末端側を示すものである。) ヒトプロテインCのcDNAを含むλgt10ファージからの
DNAの調製は、ThomasとDavisの方法(『Journal of Mol
ecular Biology』,91,315,1974参照)により行った。
このDNAをEcoR Iで消化し、アガロースゲル電気泳動に
かけ、ヒトプロテインCのcDNA断片を回収した。このDN
A断片を予め、EcoR I処理、およびバクテリアのアルカ
リ性ホスファターゼで処理したPUC8とライゲーションす
ることによりPUC8−PC1を造成した。このヒトプロテイ
ンC cDNAの塩基配列を調べたところ、完全長ヒトプロテ
インC cDNAと比較してその上流部分が欠けていることが
わかったため、実施例2で述べる方法で下記の部分を補
った。
実施例2 天然型ヒトプロテインC発現ベクターの造成 第2図に示されるように、実施例1で得られたPUC8−
PC1をそれぞれ1ケ所づつ切断部位をもつHind IIIとSac
IIで切断してアガロースゲル電気泳動にかけ、Sac II
−Hind IIIの小断片を回収した(これをA断片とす
る。)。
またPUC8−PC1をSac IIとEcoR Iで切断してアガロー
スゲル電気泳動にかけ、Sac IIより上流側のEcoR I−Sa
c II断片を回収した。このDNA断片をさらに、この断片
中1ケ所の切断部位をもつDde Iで切断した後アガロー
スゲル電気泳動にかけ、Dde I−Sac II断片を回収し
た。(これをB断片とする。) 一方、翻訳開始点の上流から、上記Dde IまでのDNA断
片を上流側の末端はHind IIIで切断された形で、下流側
の末端はDde Iで切断された形で化学合成法により合成
した。(これをC断片とする。) 次にそれぞれ1ケ所のHind III,Sac II切断部位をも
つプラスミドpNAKをHind IIIとSac IIとで切断し、アガ
ロースゲル電気泳動にかけることによりHind III−Sac
II大断片(アンピシリン耐性遺伝子および大腸菌中での
複数開始点を含む)を回収した。このDNA断片と上記B
断片,C断片との3分子ライゲーションを行い、pNAK−PC
Uを造成した。
次にこのpNAK−PCUをHind IIIとSac IIで切断し、ア
ガロースゲル電気泳動にかけることにより、Hind III−
Sac II小断片を回収した。(これをD断片とする) 一方、pSV2−gptをApa Iで部分消化し、アガロースゲ
ル電気泳動にかけ、2ケ所のApa Iサイトのうち1ケ所
だけが切断されたもの(linear型)回収し、さらにHind
IIIで完全消化後再アガロースゲル電気泳動にかけ、第
2図に示したHind III−(Apa I)−Apa I断片を回収し
た。この断片に、DNAポリメラーゼIクレノウ断片とデ
オキシリボヌクレオチド三リン酸を作用させて、Hind I
IIサイトおよびApa Iサイトを平滑末端化した。このDNA
断片にリン酸化されたHind IIIリンカー(宝酒造)をラ
イゲーションした後、Hind III処理を行い、アガロース
ゲル電気泳動にかけ再び回収した。このDNA断片を分子
内でライゲーションしたものを大腸菌HB101に導入する
ことにより、これを増やした。この大腸菌より抽出した
プラスミドDNAを再びHind IIIで切断し、バクテリアの
アルカリ性ホスファターゼで処理したものと、上記A断
片およびD断片と3分子ライゲーションし、天然型ヒト
プロテインC発現ベクターpSV2−PC1を得た。
実施例3 ヒトプロテインC誘導体発現ベクターの造成 第3図(a)に示すように、実施例2で造成したpSV2
−PC1をHind IIIで切断し、アガロースゲル電気泳動に
かけ、ヒトプロテインC cDNA部分を回収した。このDNA
断片をあらかじめHind IIIおよびバクテリアのアルカリ
性ホスファターゼで処理したM13 mp11のレプリカティブ
・フォーム(RF)DNAとライゲーションし、これを大腸
菌TG−1株に導入し、プラークを生じさせた。このプラ
ークから組み換えM13ファージをようじでとり、20μ
の大腸菌TG−1株の一晩培養液とともに2mlの2×TY培
地に加え、5時間37℃で振盪培養を行った。この培養液
中の大腸菌を集め、アルカリ溶菌法でレプリカティブ・
フォーム(RF)DNAを調製し、制限酵素切断による解析
で、ヒトプロテインC cDNAがM13の遺伝子とは逆方向に
挿入されたクローンを同定した。このクローンを培養し
た時の培養上清中の組み換えM13ファージから、アマシ
ャム社『Oligonucleotide directed in vitro mutagene
sis system』に添付の手順書に従ってテンペレートDNA
を調製した。このテンペレートDNAと第1図に示したプ
ライマーを用い、アマシャム社『Oligonucleotide dire
cted in vitro mutagenesis system』に添付の説明書に
従って使用することによりヒトプロテインC誘導体cDNA
を作成した。これは基本的には、F.Ecksteinらの方法に
寄るものである(Nucleic Acids Res.8749,1985参
照)。ここでプライマー8′),9′),10′),11′),1
2′),13′),14′),15′)については制限酵素BstE I
IおよびSac IIを用い、プライマー1′),2′),3′),
4′),5′),6′),16′)については制限酵素Sac Iを
用いた。得られたヒトプロテインC誘導体cDNAを含むM1
3ファージレプリカティブ・フォームDNAを大腸菌TG−1
株に導入し、プラークを作らせた。このプラーク中の組
み換えM13ファージを前述の方法で2mlのスケールで培養
し、その培養上清から組み換えM13ファージをポリエチ
レングリコール沈殿により調製し、それをフェノール処
理することにより、一本鎖DNAを得た。具体的にはアマ
シャム社『M13 cloning and sequencing kit』に添付の
ハイドブックに従った。この一本鎖DNAをテンペレート
とし、化学合成した改変部近傍の18塩基(+鎖)のプラ
イマーを使って塩基配列決定の操作を行い、目的の改変
がなされたクローンを選別した。保存しておいたそのク
ローンに対応する菌体からアルカリ溶菌法により組み換
えM13ファージのレプリカティブ・フォーム(RF)DNAを
調製した。これをBio 101社『GENECLEAN』で精製し、Bs
tE IIとSac II(8),9),10),11),12),13),14),1
5))、またはSac I(1),2),3),4),5),16))で
消化したものをアガロースゲル電気泳動にかけ、改変部
分を含むDNA断片を回収した。
次にpSV2−PC1をこれを同じ制限酵素で切断し(Sac I
で消化したものについてはさらにバクテリアのアルカリ
性ホスファターゼで処理した)、アガロースゲル電気泳
動にかけ、大きい方の断片を回収し、上記の改変部分を
含むDNA断片とライゲーションし、大腸菌HB101株に導入
した。得られた形質転換体からプラスミドをアルカリ溶
菌法で調製し、Hind IIIおよび組み換えに用いた制限酵
素で切断後アガロースゲル電気泳動で解析し、目的の組
み換えがなされたものを選別した。更に1),2),3),
4),5),16)についてはHind IIIおよびBstE II処理で
正しい向きに改変部を含む断片が挿入されたクローンを
選別した。また全てのプラスミドについて改変部近辺の
塩基配列を前述のプライマーを用いて調べ、正しい組み
換えがなされていることを確認した。このクローンを40
0mlL−ブロス中で培養したものからアルカリ溶菌法−Ca
Cl平衡密度勾配遠心法でプラスミドを調製し、ヒトプロ
テインC誘導体発現ベクターとして実施例4の発現に供
した。また第3図(b)に示したように、BstE IIサイ
トとSac IIサイト(いずれも1ケ所切断)を利用して、
4)と12),13)から6),7)を作製した。
実施例4 ヒトプロテインC誘導体の発現 BHK−21細胞(ATCC CCL−10)をファルコン3025シャ
ーレを用い、30mlの10%FCS−eRDF中で培養した。ほぼ
コンフルエントになったシャーレ5枚分の細胞をトリプ
シン処理ではがし、PBS(−)30mlの中に懸濁したもの
を1000rpm室温で5分間遠心し、上清を除いた。再度30m
lのPBS(−)に懸濁し、1000rpm室温で5分間遠心に、
上清を除いたものを0.3mlのPBS(−)に懸濁した。一方
ヒトプロテインC誘導体発現ベクター32μgはあらかじ
め1.5mlエッペンドルフチェーブの中でエタノール沈澱
することにより滅菌しておき、15000rpm10分間遠心後、
無菌的に上清を除き、PBS(−)0.2mlに溶解した。これ
を上記のBHK細胞の懸濁液と合わせて(ほぼ0.8mlとな
る)バイオラッド社『GENE PULSER』用キュベット(0.8
ml)に入れ、軽く振盪して混和した。バイオラッド社
『GENE PULSER』を用い、1200V,25μF1回の条件でエレ
クトロポレーションを行った。すみやかに細胞懸濁液を
ファルコン2059チューブに移し、4.2mlの10%FCS−eRDF
−2μg/mlビタミンK1を滴下しながらゆるやかに振盪
し、希釈した。これを30mlの10%FCS−eRDF−2μg/ml
ビタミンK1を入れたファルコン3025シャーレ5枚に1ml
づつ加え、希釈した。これをCO2インキュベーターで24
時間培養後、30mlのPBS(−)で2回よく洗い、ITES−e
RDF−2μg/mlビタミンK1の無血清倍地をシャーレ当り3
0ml加え、さらに48時間培養した。(ITES:9μg/mlイン
スリン、10μg/mlトランスフェリン、10μMエタノール
アミン2×10-8セレナイト、eRDF;極東製薬製) 培養上清を回収し、アミコン社YM10メンブレンを用い
た限外過法により、150mlの培養上清を2ml程度まで濃
縮した。さらにアミコン社セントリコン10を用いて約15
0μになるまで濃縮を行った。これに1mlのTBS(50mM
Tris−HCl pH7.4,0.15M NaCl)を加え、再び約150μ
まで濃縮した。
このうち6μを1%BSA−TBSで120μに希釈し、E
LISA法でその中のヒトプロテインC誘導体の濃度および
GlaをもつヒトプロテインC誘導体の濃度を測定した。
プレート側のモノクローナル抗体はJTC4(重鎖認識)を
用い、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRPO)標識抗体を
としてJTC1(Glaドメイン認識、Glaをもつヒトプロテイ
ンC誘導体の測定用)またはJTC5(活性化ペプチド認
識、ヒトプロテインC誘導体全体の測定用)を用いた。
これらのモノクローナル抗体は、『Journal of Biologi
cal Chemistry』Wakabayashi,K.,261,11097(1986)に
記載のものである。なお、1),2),3),4),5),18),
19),20)はJTC5によって認識されなかった。これらの
結果から濃縮したサンプルには3〜18μg/mlのGlaをも
つヒトプロテインC誘導体が含まれることがわかった。
また濃縮前の培養上清の一部について同様に測定したと
ころ、表2の値のヒトプロテインC誘導体が認められ
た。
実施例5 ヒトプロテインC誘導体の合成基質切断活性 実施例4で得られたGlaをもつヒトプロテインC誘導
体のうち100ng相当分のサンプルを0.1%BSA−TBS(50mM
Tris−HCl pH7.4,0.15M NaCl)で希釈して40μと
し、これに1V/mlのProtac(アメリカン ダイアグノス
チカ社)を10μ加え、37で1時間インキュベーション
した。あるいは100ng相当分のGlaをもつヒトプロテイン
C誘導体を0.1%BSA−TBAで希釈し50μとした。これ
らに30μ0.1%BSA−TBS,20μの4mg/ml PCa(APC活
性測定用合成基質、アメリカン ダイアグノスチカ社)
を加え、37℃でインキュベーションした。その間5分毎
に405nmの吸光度を東洋測器ETY−96型ELISAアナライザ
ーで測定した。5分の時点と25分の時点での吸光度の差
を表3に示す。この結果8),9),10),11),12),13)
は天然型ヒトプロテインCと同様な挙動を示すことがわ
かった。また14),15),16)は、活性化の操作をしなく
てもある程度のAPC活性をもつことが明らかになった。
一方1),2),3),4),5),6),7)も活性化の操作を施
さなくてもAPC活性をもつことが示された。なお、1),
2),3),4),5),6),7)については200ng相当のGla−
ヒトプロテインC誘導体を用いている。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)および(b)はサイト・ダイレクテッド・
ミュータジェネシス(side−directed mutagenesis)に
用いたプライマーの塩基配列を示す。 第2図は天然型ヒトプロテインC発現ベクターpSV2−PC
lの造成プロセスを示す。 第3図(a)および(b)は、ヒトプロテインC誘導体
発現ベクターの造成プロセスを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 市川 弥太郎 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝 人株式会社東京研究センター内 (56)参考文献 特開 平1−85084(JP,A) 特開 昭62−111690(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 15/57 C12N 9/64 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG) CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】天然型ヒトプロテインCの構造を有する蛋
    白において、その重鎖のアミノ末端側12残基部分を、次
    のいずれかのアミノ酸配列で置換したものに相当する構
    造である、活性化ヒトプロテインC様活性を有するヒト
    プロテインC誘導体。 A. Asp−Pro−Arg B. Pro−Arg C, Arg
  2. 【請求項2】請求項1に記載のヒトプロテインC誘導体
    をコードするDNA。
  3. 【請求項3】請求項2に記載のDNA配列を有するヒトプ
    ロテインC誘導体の発現ベクター。
  4. 【請求項4】請求項3に記載の発現ベクターによりトラ
    ンスフェクトされている細胞。
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