JP3009277B2 - ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物

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JP3009277B2
JP3009277B2 JP3291129A JP29112991A JP3009277B2 JP 3009277 B2 JP3009277 B2 JP 3009277B2 JP 3291129 A JP3291129 A JP 3291129A JP 29112991 A JP29112991 A JP 29112991A JP 3009277 B2 JP3009277 B2 JP 3009277B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は成形用樹脂組成物に関す
る。
【0002】更に詳しくは、耐熱性、機械的強度などに
すぐれ、さらに成形加工性の向上された芳香族ポリカー
ボネート樹脂組成物に関する。
【0003】
【従来の技術】ポリカーボネート樹脂はすぐれた強度、
耐衝撃性、透明性等を有しており、エンジニアリング樹
脂として、電気部品、機械部品、建材などの製造に広く
用いられており、今後もこれらの特性が要求される分野
に広く用いられることが期待されている。
【0004】しかし、従来公知のポリカーボネート樹脂
は、溶融状態でニュートン流動体として挙動し、その見
掛け粘度は剪断速度に依存しないものであることが知ら
れている。従って、このようなポリカーボネートを射出
成形するには高い圧力を必要とし、また吹込成形に際し
ては厳しい温度制御が必要であった。そのためポリカー
ボネートの流動性を改善し、非ニュートン流動性を具備
せしめる目的で種々の化合物を添加することが試みられ
ている。
【0005】しかしながら、これらの試みでは流動性の
改善が図られる一方で、添加剤の耐熱性が乏しいため
に、ポリカーボネートが本来有する優れた機械的性質や
耐熱性が低下するという欠点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的はポリカ
ーボネート樹脂が本来有する優れた機械的強度、耐熱性
に加え、良好な成形加工性を有するポリカーボネート樹
脂組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意研究を行った結果、ポリカーボネ
ート樹脂と特定の芳香族ビスイミド化合物とよりなる樹
脂組成物が特に前記目的に有効であることを見出し、本
発明を完成した。即ち、本発明は、下記式(1)
【化10】 〔式中、Xは直結、炭素数1乃至10の二価の炭化水素
基、六弗素化されたイソプロピリデン基、カルボニル
基、チオ基、エーテル基およびスルホニル基から成る群
より選ばれた基を表わし、Y 1 〜Y 4 は水素、低級アルキ
ル基、低級アルコキシ基、塩素または臭素を示し、互い
に同じであっても異なっていてもよい。〕の繰り返し単
位を有する芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に
対し、下記式(3)〜(9)から選ばれる芳香族ビスイ
ミド化合物0.5重量部以上100重量部未満よりなる
ポリカーボネート樹脂組成物。
【化11】 〔式中、Xは直結、炭素数1乃至10の二価の炭化水素
基、六弗素化されたイソプロピリデン基、カルボニル
基、チオ基、またはスルホニル基から成る群より選ばれ
た基を表わし、Y 1 〜Y 4 はそれぞれ独立に水素、低級ア
ルキル基、低級アルコキシ基、塩素または臭素から成る
群より選ばれた基を表わし、Rは単環式芳香族基、縮合
多環式芳香族基、芳香族基が直接または架橋員により相
互に連結された非縮合多環式芳香族基から成る群より選
ばれた二価の基を表わす。〕
【化12】 〔式中、Rは単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳
香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮
合多環式芳香族基から成る群より選ばれた二価の基を表
し、二つのイソプロピリデン基は中心のベンゼン核に関
し、互いにパラ位又はメタ位を占める。〕
【化13】 〔式中、Rは単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳
香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮
合多環式芳香族基から成る群より選ばれた二価の基を表
す。〕
【化14】 〔式中、Rは単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳
香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮
合多環式芳香族基から成る群より選ばれた二価の基を表
し、二つのカルボニル基は中心のエーテル結合に対し、
メタ位又はパラ位を占め、その両隣りのエーテル結合は
カルボニル結合に対し、メタ位又はパラ 位を占める。〕
【化15】 〔式中、Zはカルボニル基またはスルホニル基から成る
群より選ばれた基を表し、Rは単環式芳香族基、縮合多
環式芳香族基、芳香族基が直接または架橋員により相互
に連結された非縮合多環式芳香族基から成る群より選ば
れた二価の基を表わす。〕
【化16】 〔式中、Rは単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳
香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮
合多環式芳香族基から成る群より選ばれた二価の基を表
す。また、二つのカルボニル基は中心のベンゼン核に対
し互いにパラ位又はメタ位を占め、二つのカルボニル基
が中心のベンゼン核に対してパラ位を占めるとき、両末
端の窒素原子はエーテル結合に対し互いにパラ位又はメ
タ位を占め、二つのカルボニル基が中心のベンゼン核に
対してメタ位を占めるとき、両末端の窒素原子はエーテ
ル結合に対し互いにパラ位又はメタ位を占める。〕
【化17】 〔式中、Rは単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳
香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮
合多環式芳香族基から成る群より選ばれた二価の基を表
し、二つのイソプロピリデン基は中心のベンゼン核に関
し、互いにパラ位又はメタ位を占める。〕芳香族ポリ
カーボネート樹脂が下記式(2)
【化18】 の繰り返し単位よりなる前記記載のポリカーボネート
樹脂組成物である。本発明で用いられるポリカーボネー
ト樹脂は、一般式(1)
【0008】
【化19】
【0009】〔式中、Xは直結、炭素数1乃至10の二
価の炭化水素基、六弗素化されたイソプロピリデン基、
カルボニル基、チオ基、エーテル基およびスルホニル基
から成る群より選ばれた基を表わし、Y1〜Y4は水素、
低級アルキル基、低級アルコキシ基、塩素または臭素を
示し、互いに同じであっても異なっていてもよい。〕の
繰り繰り返し単位よりなる樹脂であって、ジオキシジア
リールアルカン類とホスゲンをアルカリ水溶液あるいは
第3級アミンの如き酸結合剤及び溶剤の存在下に反応せ
しめる方法、ジオキシジアリールアルカン類と炭酸ジエ
ステル類とをエステル交換せしめる方法等により得ら
れ、例えばレキサン(エンジニアリングプラスチックス
社商標)、パンライト(帝人化成社商標)、ユーピロン
(三菱瓦斯化学社商標)、ノバレックス(三菱化成社商
標)などとして市販されており、各種溶融粘度特性を有
するものを任意に製造し、または市場で選択することが
できる。特に好ましいものは、下記式(2)
【0010】
【化20】
【0011】の繰り返し単位よりなるものである。本発
明において流動化促進剤として用いられる芳香族ビスイ
ミド化合物は、前記式(3)〜(9)で示される群から
選ばれる一種以上の芳香族ビスイミド化合物であり、下
記式(10)〜(16)
【0012】
【化21】
【0013】〔式中、Xは直結、炭素数1乃至10の二
価の炭化水素基、六弗素化されたイソプロピリデン基、
カルボニル基、チオ基、またはスルホニル基から成る群
より選ばれた基を表わし、Y1〜Y4はそれぞれ独立に水
素、低級アルキル基、低級アルコキシ基、塩素または臭
素から成る群より選ばれた基を表わす。〕
【0014】
【化22】
【0015】〔式中、二つのイソプロピリデン基は中心
のベンゼン核に関し、互いにパラ位又はメタ位を占め
る。〕
【0016】
【化23】
【0017】
【化24】
【0018】〔式中、二つのカルボニル基は中心のエー
テル結合に対し、互いにメタ位又はパラ位を占め、その
両隣りのエーテル結合はカルボニル結合に対し、メタ位
又はパラ位を占める。〕
【0019】
【化25】
【0020】〔式中、Zはカルボニル基またはスルホニ
ル基から成る群より選ばれた基を表す。〕
【0021】
【化26】
【0022】〔式中、二つのカルボニル基は中心のベン
ゼン核に対し互いにパラ位又はメタ位を占め、二つのカ
ルボニル基が中心のベンゼン核に対してパラ位を占める
とき、両末端の窒素原子はエーテル結合に対し互いにパ
ラ位又はメタ位を占め、二つのカルボニル基が中心のベ
ンゼン核に対してメタ位を占めるとき、両末端の窒素原
子はエーテル結合に対し互いにパラ位又はメタ位を占め
る。〕
【0023】
【化27】
【0024】〔式中、二つのイソプロピリデン基は中心
のベンゼン核に対し、互いにパラ位又はメタ位を占め
る。〕で示されるジアミンと芳香族ジカルボン酸無水物
の反応で得られる。
【0025】前記式(10)で表されるジアミンとして
は、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メ
タン、1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フ
ェニル〕エタン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェ
ノキシ)フェニル〕プロパン、2−〔4−(4−アミノ
フェノキシ)フェニル〕−2−〔4−(4−アミノフェ
ノキシ)−3−メチルフェニル〕プロパン、2,2−ビ
ス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニ
ル〕プロパン、2−〔4−(4−アミノフェノキシ)フ
ェニル〕−2−〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,
5−ジメチルフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−
(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニ
ル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノ
キシ)フェニル〕ブタン、2,2−ビス〔4−(4−ア
ミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3
−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス(4−アミ
ノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミ
ノフェノキシ)−3−メチルビフェニル、4,4’−ビ
ス(4−アミノフェノキシ)−3,3’−ジメチルビフ
ェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)−
3,5−ジメチルビフェニル、4,4’−ビス(4−ア
ミノフェノキシ)−3,3’,5,5’−テトラメチル
ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)
−3,3’−ジクロロビフェニル、4,4’−ビス(4
−アミノフェノキシ)−3,5−ジクロロビフェニル、
4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)−3,3’,
5,5’−テトラクロロビフェニル、4,4’−ビス
(4−アミノフェノキシ)−3,3’−ジブロモビフェ
ニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)−3,
5−ジブロモビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノ
フェノキシ)−3,3’,5,5’−テトラブロモビフ
ェニル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕ケトン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェ
ニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−アミノフェノキ
シ)−3−メトキシフェニル〕スルフィド、〔4−(4
−アミノフェノキシ)フェニル〕〔4−(4−アミノフ
ェノキシ)−3,5−ジメトキシフェニル〕スルフィ
ド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジ
メトキシフェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−アミ
ノフェノキシ)フェニル〕スルホン等が挙げられる。
【0026】また、前記式(11)で表されるジアミン
としては、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチ
ルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−
α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン等が挙げられ 、
前記式(12)で表されるジアミンとしては、ビス〔4
−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニ
ル〕スルホンが、また、前記式(13)で表されるジア
ミンとしては、ビス〔3−{4−(4−アミノフェノキ
シ)ベンゾイル}フェニル〕エーテル、ビス〔4−{4
−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル}フェニル〕エ
ーテル、ビス〔4−{3−(4−アミノフェノキシ)ベ
ンゾイル}フェニル〕エーテル、ビス〔3−{3−(4
−アミノフェノキシ)ベンゾイル}フェニル〕エーテル
等が挙げられる。
【0027】更に、前記式(14)で表されるジアミン
としては、4,4’−ビス〔4−(4−アミノ−α,α
−ジメチルベンジル)フェノキシ〕ベンゾフェノン、ビ
ス〔4−{4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジ
ル)フェノキシ}フェニル〕スルホン等であり、 前記
式(15)で表されるジアミンとしては、1,4−ビス
〔4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼ
ン、1,4−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)ベン
ゾイル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(3−アミノフ
ェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、1,3−ビス〔3−
(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン等が挙
げられる。 また、前記式(16)で表されるジアミン
としては、1,4−ビス〔4−(4−アミノフェノキ
シ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3−
ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチ
ルベンジル〕ベンゼン等が挙げられる。
【0028】本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物
を構成する芳香族ビスイミド化合物の製造に用いられる
芳香族ジカルボン酸無水物は、下記式(17)
【0029】
【化28】
【0030】〔式中、Rは単環式芳香族基、縮合多環式
芳香族基、芳香族基が直接または架橋員により相互に連
結された非縮合多環式芳香族基から成る群より選ばれた
二価の基を表わす。〕で示され、具体的に例示すると、
無水フタル酸、2,3−ベンゾフェノンジカルボン酸無
水物、3,4−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、
2,3−ジカルボキシフェニルフェニルエーテル酸無水
物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルエーテル酸
無水物、3,4−ビフェニルジカルボン酸無水物、2,
3−ビフェニルジカルボン酸無水物、2,3−ジカルボ
キシフェニルフェニルスルホン酸無水物、3,4−ジカ
ルボキシフェニルフェニルスルホン酸無水物、2,3−
ジカルボキシフェニルフェニルスルフィド酸無水物、
3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスルフィド酸無
水物、1,2−ナフタレンジカルボン酸無水物、2,3
−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,8−ナフタレン
ジカルボン酸無水物、1,2−アントラセンジカルボン
酸無水物、2,3−アントラセンジカルボン酸無水物、
1,9−アントラセンジカルボン酸無水物などが挙げら
れ、これらは単独あるいは2種以上混合して用いられ
る。
【0031】ジアミンとジカルボン酸無水物の反応は特
に限定されず、公知の方法が制限なく採用でき、特願平
3−004963、3−025932、3−21828
6、3−231295、3−231296、3−282
849等に詳しく開示されている。
【0032】本発明の成形用樹脂組成物は前記式(1)
のポリカーボネート100重量部に対して、前記式
(3)〜(9)で示される芳香族ビスイミド0.5重量
部以上100重量部未満の範囲で使用される。芳香族ビ
スイミド化合物の流動化促進剤としての効果は比較的少
量でも認められ、その下限はポリカーボネート100重
量部に対して0.5重量部であるが、1重量部以上が特
に効果がある。しかし、芳香族ビスイミド化合物を10
0重量部以上使用すると、得られるポリカーボネート樹
脂組成物の機械的強度が損なわれるので、その使用量に
は上限があり、100重量部未満、より好ましくは70
重量部未満の範囲で使用するのが好ましい。
【0033】本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物
を調整するにあたっては、通常公知の方法により製造で
きるが、例えば次に示す方法等は好ましい方法である。
【0034】1. ポリカーボネート樹脂粉末と芳香族
ビスイミド化合物とを乳鉢、ヘンシェルミキサー、ドラ
ムブレンダー、タンブラーブレンダー、ボールミルリボ
ンブレンダーなどを利用して予備混練し粉状とする。
【0035】2. ポリカーボネート樹脂粉末をあらか
じめ有機溶媒に溶解あるいは懸濁させ、この溶液あるい
は懸濁液に芳香族ビスイミド化合物を添加し、均一に分
散または溶解させた後、溶媒を除去して粉状とする。
【0036】3. 芳香族ビスイミドの前駆体であるビ
スアミド酸の有機溶媒溶液に、ポリカーボネートを溶解
または懸濁させた後、100〜300℃に加熱処理する
か、または通常用いられるイミド化剤を用いて化学イミ
ド化した後、溶剤を除去して粉状とする。
【0037】このようにして得られた粉状の樹脂組成物
は、そのまま各種成形用途、すなわち射出成形、圧縮成
形、トランスファー成形、押出成形などに用いられる
が、溶融ブレンドしてから用いるのはさらに好ましい方
法である。
【0038】溶融ブレンドには通常のゴムまたはプラス
チック類を溶融ブレンドするのに用いられる装置、例え
ば熱ロール、バンバリーミキサー、ブラベンダー、押出
機などを利用することができる。溶融温度は配合系が溶
融可能な温度以上で、かつ配合系が熱分解し始める温度
以下に設定されるが、その温度は通常280〜420
℃、好ましくは280〜400℃である。
【0039】本発明の樹脂組成物の成形方法としては、
均一溶融ブレンド体を形成し、かつ生産性の高い成形方
法である押出成形または射出成形が好適であるが、その
他のトランスファー成形、圧縮成形、焼結成形、押出フ
ィルム成形なども適用される。 また複合材料用のプリ
プレグの製造においては、前記の均一に調整された樹脂
組成物をカーボン繊維、ガラス繊維等に溶融含浸するこ
ともできるし、あるいはポリカーボネート樹脂、芳香族
ビスイミド化合物を均一に分散または溶解させた液を各
種繊維に含浸させた後、溶媒を除去する方法も採用でき
る。
【0040】なお、本発明の樹脂組成物に対して固体潤
滑剤、例えば二硫化モリブデン、グラファイト、窒化ホ
ウ素、一酸化鉛、鉛粉などを一種以上添加することがで
きる。また補強剤、例えばガラス繊維、炭素繊維、芳香
族ポリアミド、炭化ケイ素繊維、チタン酸カリウム繊
維、ガラスビーズ等を一種以上添加することもできる。
【0041】なお、本発明の樹脂組成物に対して、本発
明の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤、熱安定剤、
紫外線吸収剤、難燃性剤、難燃助剤、帯電防止剤、滑
剤、着色剤などの通常の添加剤を一種以上添加すること
ができる。
【0042】
【実施例】以下、本発明を合成例、実施例、比較例によ
り更に詳細に説明する。 合成例1 ビスイミドの合成 特願平3−282849の実施例に従い、4,4’−ビ
ス(4−アミノフェノキシ) ビフェニルと無水フタル
酸とから、融点292℃を有するビスイミドを得た。
【0043】合成例2〜7 ビスイミドの合成 合成例1と同様に、但しジアミンの種類を変えて各種ビ
スイミドを得た。表1に原料、生成ビスイミドの物性を
まとめて示す。なお、表1には合成例1の結果も併せて
示す。
【0044】
【表1】
【0045】実施例1〜6、比較例1 ポリカーボネート粉末“パンライト L−1225”
(帝人化成社商標)と合成例1または2で得られたビス
イミドを表2に示す割合でドライブレンドした。得られ
た樹脂組成物を高化式フローテスター (島津製作所
CFT−500)で直径0.1cm、長さ1cmのオリ
フィスを用い、300℃の温度に5分間保った後、20
kgの荷重で押し出し、溶融粘度を測定した。結果を表
2に示す。ビスイミド化合物の割合が増すに従って溶融
粘度の急激な低下が見られ、加工性が向上していること
がわかる。
【0046】実施例7〜12、比較例2 ポリカーボネート粉末“パンライト L−1250”
(帝人化成社商標)と合成例3または4で得られたビス
イミドを表2に示す割合でドライブレンドした。得られ
た樹脂組成物を実施例1〜6と同様にして、フローテス
ターを用いて溶融粘度を測定した。 結果を表2に示
す。
【0047】実施例13〜18、比較例3 ポリカーボネートペレット、“パンライト K−130
0”(帝人化成社商標)を塩化メチレンに溶解し、ポリ
マー成分20重量%の均一ポリマー溶液を得た。このポ
リマー溶液に合成例5または6で得られたビスイミドを
表2のように各種の組成で添加し、撹拌を続け均一溶液
を得た。 次いで溶媒である塩化メチレンを除去し、ポ
リカーボネート 、ビスイミドが均一に混合された樹脂
組成物粉末を得た。得られた樹脂組成物を実施例1〜6
と同様にして、フローテスターを用いて溶融粘度を測定
した。 結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】実施例19、比較例4 ポリカーボネート粉末“パンライト L−1225”
(帝人化成社商標)100重量部と合成例7で得られた
ビスイミド5重量部をドライブレンドした。得られた樹
脂組成物を高化式フローテスターにて、300℃にて荷
重を各種変えて溶融粘度を測定した。 結果を表3に示
す。ビスイミドを含む樹脂組成物は荷重が増すに従って
(即ち、剪断速度が増すと)溶融粘度が低下し、加工時
圧力の変化により、加工性が向上出来ることがわかる。
【0050】
【表3】
【0051】
【発明の効果】ポリカーボネートとビスイミド化合物と
を混合することにより、ポリカーボネートの溶融粘度を
低下させ、成形加工性を向上できた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福入 靖 福岡県大牟田市浅牟田町30 三井東圧化 学株式会社内 審査官 小野寺 務 (56)参考文献 特開 平4−320448(JP,A) 特開 昭50−119041(JP,A) 特開 平5−178828(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 69/00 C08K 3/00 - 13/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式(1) 【化1】 〔式中、Xは直結、炭素数1乃至10の二価の炭化水素
    基、六弗素化されたイソプロピリデン基、カルボニル
    基、チオ基、エーテル基およびスルホニル基から成る群
    より選ばれた基を表わし、Y1〜Y4は水素、低級アルキ
    ル基、低級アルコキシ基、塩素または臭素を示し、互い
    に同じであっても異なっていてもよい。〕の繰り返し単
    位を有する芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に
    対し、下記式(3)〜(9)から選ばれる芳香族ビスイ
    ミド化合物0.5重量部以上100重量部未満よりなる
    ポリカーボネート樹脂組成物。【化2】 〔式中、Xは直結、炭素数1乃至10の二価の炭化水素
    基、六弗素化されたイソプロピリデン基、カルボニル
    基、チオ基、またはスルホニル基から成る群より選ばれ
    た基を表わし、Y 1 〜Y 4 はそれぞれ独立に水素、低級ア
    ルキル基、低級アルコキシ基、塩素または臭素から成る
    群より選ばれた基を表わし、Rは単環式芳香族基、縮合
    多環式芳香族基、芳香族基が直接または架橋員により相
    互に連結された非縮合多環式芳香族基から成る群より選
    ばれた二価の基を表わす。〕 【化3】 〔式中、Rは単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳
    香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮
    合多環式芳香族基から成る群より選ばれた二価の基を表
    し、二つのイソプロピリデン基は中心のベンゼン核に関
    し、互いにパラ位又はメタ位を占める。〕 【化4】 〔式中、Rは単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳
    香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮
    合多環式芳香族基から成る群より選ばれた二価の基を表
    す。〕 【化5】 〔式中、Rは単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳
    香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮
    合多環式芳香族基から成る群より選ばれた二価の基を表
    し、二つのカルボニル基は中心のエーテル結合に対し、
    メタ位又はパラ 位を占め、その両隣りのエーテル結合は
    カルボニル結合に対し、メタ位又はパラ位を占める。〕 【化6】 〔式中、Zはカルボニル基またはスルホニル基から成る
    群より選ばれた基を表し、Rは単環式芳香族基、縮合多
    環式芳香族基、芳香族基が直接または架橋員により相互
    に連結された非縮合多環式芳香族基から成る群より選ば
    れた二価の基を表わす。〕 【化7】 〔式中、Rは単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳
    香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮
    合多環式芳香族基から成る群より選ばれた二価の基を表
    す。また、二つのカルボニル基は中心のベンゼン核に対
    し互いにパラ位又はメタ位を占め、二つのカルボニル基
    が中心のベンゼン核に対してパラ位を占めるとき、両末
    端の窒素原子はエーテル結合に対し互いにパラ位又はメ
    タ位を占め、二つのカルボニル基が中心のベンゼン核に
    対してメタ位を占めるとき、両末端の窒素原子はエーテ
    ル結合に対し互いにパラ位又はメタ位を占める。〕 【化8】 〔式中、Rは単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳
    香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮
    合多環式芳香族基から成る群より選ばれた二価の基を表
    し、二つのイソプロピリデン基は中心のベンゼン核に関
    し、互いにパラ位又はメタ位を占める。〕
  2. 【請求項2】芳香族ポリカーボネート樹脂が下記式
    (2)【化9】 の繰り返し単位よりなる請求項1記載のポリカーボネー
    ト樹脂組成物。
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