JP3083210B2 - ポリイミド系樹脂組成物 - Google Patents

ポリイミド系樹脂組成物

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JP3083210B2
JP3083210B2 JP04287748A JP28774892A JP3083210B2 JP 3083210 B2 JP3083210 B2 JP 3083210B2 JP 04287748 A JP04287748 A JP 04287748A JP 28774892 A JP28774892 A JP 28774892A JP 3083210 B2 JP3083210 B2 JP 3083210B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は成形用樹脂組成物に関す
る。更に詳しくは、耐熱性、耐薬品性、機械的強度など
にすぐれ、かつ成形加工性にすぐれたポリイミド系の成
形用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からポリイミドはその高耐熱性に加
え、力学的強度、寸法安定性が優れ、難燃性、電気絶縁
性などを併せ持つために、電気電子機器、宇宙航空用機
器、輸送機器などの分野で使用されており、今後も耐熱
性が要求される分野に広く用いられることが期待されて
いる。
【0003】従来、優れた特性を示すポリイミドが種々
開発されている。しかしながら耐熱性に優れていても、
明瞭なガラス転移温度を有しないために、成形材料とし
て用いる場合に焼結成形などの手法を用いて加工しなけ
ればならないとか、また加工性は優れているが、ガラス
転移温度が低く、しかもハロゲン化炭化水素に可溶で、
耐熱性、耐溶剤性の面からは満足がゆかないとか、性能
に一長一短があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ポリ
イミドが本来有する優れた特性に加え、著しく成形加工
性の良好なポリイミド系樹脂組成物を得ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記問題
点を解決するために鋭意研究を行った結果、新規ポリイ
ミドと特定量のポリカーボネートとよりなるポリイミド
系樹脂組成物が特に前記目的に有効であることを見出
し、本発明を完成した。
【0006】本発明者は、さきに機械的性質、熱的性
質、電気的性質、耐溶剤性などにすぐれ、かつ耐熱性を
有するポリイミドとして、式(1)(化2)
【0007】
【化2】
【0008】〔式中、Xは直結、炭素数1ないし10の
2価の鎖式炭化水素基、六フッ素化されたイソプロピリ
デン基、カルボニル基、スルホニル基およびチオ基から
なる群より選ばれた基を表わし、イミド環の窒素原子の
結合位置はエーテル結合に対しメタ位またはパラ位であ
る。〕で表される繰り返し単位を有する樹脂を見出した
(特開昭62−185715等)。
【0009】上記のポリイミドは、ポリイミドに特有の
多くの良好な物性を有する新規な耐熱性樹脂である。し
かしながら、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレート、ポリエステルスルホン、ポリスルホ
ン、ポリフェニレンスルフィドなどに代表される通常の
エンジニアリングプラスチックに比較すると、耐熱性や
その他の特性においてはるかに優れているものの、成形
加工性はそれらの樹脂にいまだ及ばない。
【0010】本発明の目的は、ポリイミドが本来有する
特性を損なうことなく、溶融流動性の面において極めて
優れた成形用ポリイミド系樹脂組成物を提供することに
ある。すなわち本発明は、基本的に式(1)(化3)
【0011】
【化3】
【0012】〔式中、Xは直結、炭素数1ないし10の
2価の鎖式炭化水素基、六フッ素化されたイソプロピリ
デン基、カルボニル基、スルホニル基およびチオ基から
なる群より選ばれた基を表わし、イミド環の窒素原子の
結合位置はエーテル結合に対しメタ位またはパラ位であ
る。〕で表される繰り返し単位を有するポリイミド9
9.9〜50重量%とポリカーボネート0.1〜50重
量%とからなる樹脂組成物である。
【0013】本発明で使用されるポリイミドの製造は前
述の特開昭62−185715等に記載された方法によ
り行われる。すなわち、本発明のポリイミドはテトラカ
ルボン酸二無水物として、式(2)(化4)
【0014】
【化4】
【0015】で表される3,3’,4,4’−ジフェニ
ルエーテルテトラカルボン酸二無水物を用い式(3)
(化5)
【0016】
【化5】
【0017】〔式中、Xは直結、炭素数1ないし10の
2価の鎖式炭化水素基、六フッ素化されたイソプロピリ
デン基、カルボニル基、スルホニル基およびチオ基から
なる群より選ばれた基を表わし、アミノ基の結合位置は
エーテル結合に対しメタ位またはパラ位である。〕で表
されるエーテルジアミンと反応させて得られる式(4)
(化6)
【0018】
【化6】
【0019】〔式中、Xは直結、炭素数1ないし10の
2価の鎖式炭化水素基、六フッ素化されたイソプロピリ
デン基、カルボニル基、スルホニル基およびチオ基から
なる群より選ばれた基を表わし、アミド結合の窒素原子
の結合位置はエーテル結合に対しメタ位またはパラ位で
ある。〕で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸
を、さらに脱水環化して得られる前記式(1)で表され
る繰り返し単位を有するポリイミドである。
【0020】この方法で使用されるエーテルジアミンと
しては、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕メタン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェ
ニル〕メタン、1,1−ビス〔4−(3−アミノフェノ
キシ)フェニル〕エタン、1,1−ビス〔4−(4−ア
ミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,2−ビス〔4
−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,2
−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エタ
ン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェ
ニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェ
ノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(3
−アミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、2,2−ビス
〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、
2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパ
ン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェ
ニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロ
パン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェ
ニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェ
ニル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕
ケトン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕ケトン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェ
ニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(3−アミノフ
ェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−アミ
ノフェノキシ)フェニル〕スルホン等が挙げられ、これ
らは単独あるいは2種以上混合して用いられる。
【0021】本発明の方法で用いられる式(1)で示さ
れるポリイミドは、前述のように式(2)で示されるテ
トラカルボン酸二無水物と式(3)で示されるジアミン
を反応させて得られる。
【0022】反応の方法は特に制限されず、公知の方法
が制約なく用いられるが、有機溶媒中で行うのは特に好
ましい方法である。
【0023】また、上記2成分の他に、ジカルボン酸無
水物および/またはモノアミンを共存させて反応を行う
のは、成形加工性、耐熱性を向上させるのに有効な方法
である。本発明で流動化促進剤として用いられるポリカ
ーボネートは一般式(5)(化7)
【0024】
【化7】
【0025】〔式中、Yは直結、炭素数1ないし10の
2価の炭化水素基、六フッ素化されたイソプロピリデン
基、カルボニル基、スルホニル基、エーテル基およびチ
オ基から成る群より選ばれた基を表わし、R1〜R4は水
素、低級アルキル基、低級アルコキシ基、塩素または臭
素を示し、互いに同じであっても異なっていてもよ
い。〕で示される樹脂であって、レキサン(エンジニア
リングプラスチックス社商標)、パンライト(帝人化成
商標)、ユーピロン(三菱瓦斯化学商標)、ノバレック
ス(三菱化成商標)などとして市販されており、従って
目的のブレンド物に適正な溶融粘度特性を有するものを
任意に市場で選択することができる。
【0026】本発明の成形用樹脂組成物は前記ポリイミ
ド99.9〜50重量%、ポリカーボネートが0.1〜
50重量%の範囲にあるように調整される。
【0027】本発明のポリイミド/ポリカーボネート樹
脂系は、280℃以上の高温域において著しく低い溶融
粘度を示す。ポリカーボネートの良好な流動化効果は少
量でも認められ、その組成割合の下限は0.1重量%で
あるが、好ましくは0.5重量%以上である。
【0028】また、ポリカーボネートの吸水性、難燃性
は、耐熱性樹脂の中でも非常に優れた部類に属するが、
耐薬品性、耐熱性はポリイミドに比較すると劣るため、
該組成物中のポリカーボネートの量をあまり多くする
と、ポリイミド本来の耐薬品性、耐熱性が維持できなく
なり、好ましくない。そのためポリカーボネートの組成
割合には上限があり、50重量%以下が好ましい。
【0029】本発明による組成物を混合調整するにあた
っては、通常公知の方法により製造できるが、例えば次
に示す方法などは好ましい方法である。
【0030】1. ポリイミド粉末とポリカーボネート
粉末を乳鉢、ヘンシェルミキサー、ドラムブレンダー、
タンブラーブレンダー、ボールミルリボンブレンダーな
どを利用して予備混練し粉状とする。
【0031】2. ポリイミド粉末をあらかじめ有機溶
媒に溶解あるいは懸濁させ、この溶液あるいは懸濁液に
ポリカーボネートを添加し、均一に分散させた後、溶媒
を除去して粉状とする。
【0032】3. ポリイミドの前駆体であるポリアミ
ド酸の有機溶剤溶液にポリカーボネートを懸濁させた
後、100〜400℃に加熱処理するか、または通常用
いられるイミド化剤を用いて化学イミド化した後、溶剤
を除去して粉状とする。
【0033】このようにして得られた粉状ポリイミド樹
脂組成物は、そのまま各種成形用途、すなわち射出成
形、圧縮成形、トランスファー成形、押出成形などに用
いられるが、溶融ブレンドしてから用いるのはさらに好
ましい方法である。
【0034】ことに前記組成物を混合調製するにあた
り、粉末同志、ペレット同志、あるいは粉末とペレット
を混合溶融するのも簡易で有効な方法である。
【0035】溶融ブレンドには通常のゴムまたはプラス
チック類を溶融ブレンドするのに用いられる装置、例え
ば熱ロール、バンバリーミキサー、ブラベンダー、押出
機などを利用することができる。溶融温度は配合系が溶
融可能な温度以上で、かつ配合系が熱分解し始める温度
以下に設定されるが、その温度は通常280〜420
℃、好ましくは280〜350℃である。
【0036】本発明の樹脂組成物の成形方法としては、
均一溶融ブレンド体を形成し、かつ生産性の高い成形方
法である押出成形または射出成形が好適であるが、その
他のトランスファー成形、圧縮成形、焼結成形などを適
用してもなんらさしつかえない。
【0037】なお、本発明の樹脂組成物に対して固体潤
滑剤、例えば二硫化モリブデン、グラファイト、窒化ホ
ウ素、一酸化鉛、鉛粉などを一種以上添加することがで
きる。
【0038】また補強剤、例えばガラス繊維、炭素繊
維、芳香族ポリアミド繊維、チタン酸カリウム繊維、ガ
ラスビーズを一種以上添加することができる。
【0039】なお、本発明の樹脂組成物に対して、本発
明の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤、熱安定剤、
紫外線吸収剤、難燃性剤、難燃助剤、帯電防止剤、滑
剤、着色剤などの通常の添加剤を一種以上添加すること
ができる。
【0040】
【実施例】以下、本発明を合成例、実施例および比較例
によりさらに詳細に説明する。 合成例1 攪拌機、還流冷却器、水分離器および窒素導入管を備え
た容器に、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)
ビフェニル2.211kg(6.0モル)、3,3’,
4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水
物1.768kg(5.7モル)、無水フタル酸0.0
888kg(0.6モル)、およびクレゾール酸13.
4kgを装入し、窒素雰囲気下において攪拌しながら1
45℃まで加熱昇温した。この間、約200ccの水の
留出が確認された。さらに145℃で4時間反応を行っ
た。その後、室温まで冷却し、約7kgのメチルエチル
ケトンを装入後濾別し、黄色のポリイミド粉を得た。こ
のポリイミド粉をメチルエチルケトンで洗浄した後、1
80℃で24時間減圧乾燥して3.74kg(収率97
%)のポリイミド粉を得た。このポリイミド粉の対数粘
度は0.50dl/g、ガラス転移温度は208℃であ
り、Tc、Tmは観測されなかった。
【0041】実施例1〜4 合成例1で得られたポリイミド粉末とポリカーボネート
粉末(パンライトL−1225、帝人化成社商標)を表
1のように各種の組成でドライブレンドした後、圧縮比
3.0/1のスクリューを備えた口径40mm押出機
(処理温度280〜300℃)で溶融混練しながら押出
す操作を行って均一配合ペレットを得た。
【0042】次に上記で得た均一配合ペレットを通常の
射出成形機にかけて成形温度300〜320℃、金型温
度100℃で射出成形し、成形物の物理的、熱的性質を
測定した。
【0043】結果を表1に、実施例1〜4として示す。
表中引張強度及び破断伸度はASTM D−638、曲
げ強度及び曲げ弾性率はASTM D−790、熱変形
温度はASTM D−648に拠る。
【0044】比較例1 本発明の範囲外の組成物を用い、実施例1〜4と同様の
操作で得られた成形物の物理的、熱的性質を測定した結
果を、表1に併せて比較例1として示す。
【0045】ポリカーボネートの含有量が増えるに従っ
て最低射出圧力が低くなり、加工性が改良されているこ
とがわかる。また、ポリカーボネートの添加による機械
的強度、熱物性の低下も少なく、破断伸度はむしろ向上
している。
【0046】
【表1】
【0047】合成例2〜5 合成例1における4,4’−ビス(3−アミノフェノキ
シ) ビフェニルに代えて各種ジアミンを用い、反応を
行った他は全て合成例1と同様にして、各種ポリイミド
粉末を得た。表2にポリイミド樹脂の合成条件を示す。
【0048】
【表2】
【0049】実施例5〜10、及び比較例2〜3 合成例2〜3で得られたポリエーテルイミド粉を用い、
実施例1〜4と同様に均一配合ペレットを得、次いで同
様に射出成形し、成形物の物理的、熱的性質を測定し
た。
【0050】本発明の範囲内の組成物の結果を実施例5
〜10に、範囲外の組成物を比較例2〜3として表3に
示す。
【0051】
【表3】
【0052】
【発明の効果】本発明の方法によれば、ポリイミドが本
来有する優れた特性に加え、著しく成形加工性の良好な
ポリイミド系樹脂組成物が提供される。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 79/00 - 79/08 C08L 69/00 C08G 73/00 - 73/26 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基本的に式(1)(化1) 【化1】 〔式中、Xは直結、炭素数1ないし10の2価の鎖式炭
    化水素基、六フッ素化されたイソプロピリデン基、カル
    ボニル基、スルホニル基およびチオ基からなる群より選
    ばれた基を表わし、イミド環の窒素原子の結合位置はエ
    ーテル結合に対しメタ位またはパラ位である。〕で表さ
    れる繰り返し単位を有するポリイミド99.9〜50重
    量%とポリカーボネート0.1〜50重量%とからなる
    樹脂組成物。
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