JP3008646U

JP3008646U - リードバルブ

Info

Publication number: JP3008646U
Application number: JP1994012121U
Authority: JP
Inventors: 政秀木村
Original assignee: Eagle Industry Co Ltd
Current assignee: Eagle Industry Co Ltd
Priority date: 1994-09-06
Filing date: 1994-09-06
Publication date: 1995-03-20
Anticipated expiration: 2000-09-06

Abstract

(57)【要約】【目的】リード１１の戻り時間を短くして多量の二次
空気を円滑に供給し得るようにし、排ガス規制の「１０
−１５モード」に適した高速対応のリードバルブを提供
する。【構成】リード１１のリフト量Ｌ₂ を制限するストッ
パ１２の先端部１２ａをリード１１側へ向けて凸の略円
弧形に折り曲げて、リード１１のリフト量Ｌ₂ を２ｍｍ
以下に設定することにした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、逆止弁の一種であるリードバルブの改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

我が国内における自動車の排ガス規制モードが、長らく「１０モード」であったところ、近年になって「１０−１５モード」が追加されたことにより、エンジンの高速回転領域において、多量の二次空気を如何にして円滑に導入するかが解決すべき課題として提起されている。

【０００３】一方、従来のリードバルブは、以下のように構成されている。

【０００４】すなわち、図７に示すように、流入ポート３を設けたインレットケース２と、流出ポート５を設けたアウトレットケース４とが組み合わされて、内部に弁室６を設けたケース１が備えられ、弁室６に弁シート９が設置されて、弁室６が流入ポート側空間７と流出ポート側空間８の二つに仕切られている。弁シート９に両空間７，８を互いに連通させる所要数の弁孔１０が設けられ、弁シート９の流出ポート５側に、両空間７，８の差圧に応じて弁孔１０を開閉するリード１１と、リード１１のリフト量Ｌ₁ を制限するストッパ１２とが片持ち式にビス止めされている。弁シート９の周縁に断面略コ字形のガスケット１３が取り付けられ、インレットケース２に設けた弁シート９の着座面１４に、このガスケット１３を介して弁シート９が着座せしめられ、インレットケース２とアウトレットケース４の間に弁シート９とガスケット１３が挟持されている。リード１１は常態において閉じており、両空間７，８の差圧が大きくなって所定値に達すると、リード１１が開いて流入ポート３側から流出ポート５側へ二次空気が供給され、両空間７，８の差圧が所定値を下回ると、リード１１が閉じて供給が停止せしめられ、排気の脈動に応じてリード１１の開閉が繰り返される。

【０００５】上記従来のリードバルブにおいては、リード１１のリフト量Ｌ₁ が６ｍｍ以上と大きく設定されており、これにより以下の問題がある。

【０００６】すなわち、リード１１のリフト量Ｌ₁ が６ｍｍ以上と大きく設定されているために、リード１１が開いた状態から閉じた状態となるまでのリード１１の戻り時間が長い。したがってリード１１の開閉動作が排気脈動のサイクルに追い付かなくなって、二次空気の供給量が不足することがある。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は以上の点に鑑み、リードの戻り時間を短くして、多量の二次空気を円滑に供給し得るようにしたリードバルブを提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため、本考案のリードバルブは、請求項１に示すように、流入ポート、流出ポートおよび前記両ポートの間に位置する弁室を設けたケースと、前記弁室に設置されて前記弁室を流入ポート側空間と流出ポート側空間の二つに仕切り、前記両空間を互いに連通させる弁孔を設けた弁シートと、前記弁シートの流出ポート側に取り付けられ、前記両空間の差圧に応じて前記弁孔を開閉するリードと、前記リードに重ねて設けられ、前記リードのリフト量を制限するストッパと、を備えたリードバルブにおいて、前記リードのリフト量を２ｍｍ以下に設定することにした。

【０００９】また請求項２に示すように、リードのリフト量を制限するストッパの先端部を前記リード側に折り曲げて、前記リードのリフト量を２ｍｍ以下に設定することにした。また請求項３に示すように、請求項２のリードバルブにおいて、ストッパの先端部を、リード側へ向けて凸の略円弧形に折り曲げることにした。

【００１０】

【作用】請求項１のように、リードのリフト量が２ｍｍ以下に設定されていると、リードの戻り距離が従来より短くなるために、リードの戻り時間が従来より短くなる。

【００１１】またリードのリフト量を２ｍｍ以下に設定するには、ストッパの形状を変えずにストッパの弁シートに対する傾斜角度を小さくするのが最も簡単であるが、これでは、リードが開弁していくときに、その基端部から先端部にかけてリードが徐々に長く（広く）ストッパに接触していくことになり、リードの有効長さが徐々に短くなってリードのばね定数が高くなってしまう。これに対して、請求項２のように、ストッパの先端部がリード側に折り曲げられて、その結果としてリードのリフト量が２ｍｍ以下に設定されている場合には、リードが開弁していくときに、その先端部がストッパの先端部に当接するまで、リードはその基端部寄りの僅かな部分でしかストッパに接触しないことなる。したがって開弁時にリードの有効長さが殆ど変わらないことになり、リードのばね定数が従来のように極端に高くなるのを防止することが可能となる。

【００１２】またストッパの先端部をリード側に折り曲げるには、この先端部を鉤形に折り曲げるのが最も簡単であるが、これでは、リードがストッパの先端部端面の角に当たって傷付けられる虞がある。これに対して、請求項３のように、ストッパの先端部がリード側へ向けて凸の略円弧形に折り曲げられている場合には、開弁時にリードがストッパの先端部における円弧の腹に当接することになるために、リードがストッパの角に当たって傷付けられるのを防止することが可能となる。

【００１３】

【実施例】

つぎに本考案の実施例を図面にしたがって説明する。

【００１４】第一実施例・・・図１および図２に示すように、流入ポート３を設けたインレットケース２と、流出ポート５を設けたアウトレットケース４とが組み合わされて、内部に弁室６を設けたケース１が備えられており、弁室６に弁シート９が設置されて、弁室６が流入ポート側空間７と流出ポート側空間８の二つに仕切られている。弁シート９に両空間７，８を互いに連通させる所要数の弁孔１０が設けられ、弁シート９の流出ポート５側に、両空間７，８の差圧に応じて弁孔１０を開閉するステンレス製のリード１１と、リード１１のリフト量Ｌ₂ を制限するストッパ１２とが片持ち式にビス止めされている。弁シート９の周縁に断面略コ字形のガスケット１３が取り付けられ、インレットケース２に設けた弁シート９の着座面１４に、このガスケット１３を介して弁シート９が着座せしめられ、インレットケース２とアウトレットケース４の間に弁シート９とガスケット１３が挟持されている。またストッパ１２の先端部１２ａが、リード１１側へ向けて凸の略円弧形に折り曲げられて、リード１１のリフト量Ｌ₂ が、従来の半分以下の２ｍｍに設定されている。

【００１５】上記構成を備えたリードバルブにおいては、ストッパ１２の先端部１２ａがリード１１側へ向けて凸の略円弧形に折り曲げられて、リード１１のリフト量Ｌ₂ が従来より小さく２ｍｍに設定されているために、リード１１の戻り距離が従来より短くなっており、これによりリード１１の戻り時間が従来より短くなる。したがって図４および図５のグラフ図に示すように、二次空気の供給量を、特に動的流量におけるエンジンの高速回転領域において、従来より多くすることができる（図４および図５においては、当該実施例に係るリードバルブが「○」プロットで示されている。また図５においては、従来例に係るリードバルブが「●」プロットで示されている）。

【００１６】またストッパ１２の先端部１２ａがリード１１側に折り曲げられて、その結果としてリード１１のリフト量Ｌ₂ が２ｍｍに設定されているために、リード１１が開弁していくときに、リード１１の有効長さが殆ど変わることがない。したがってリード１１のばね定数が従来のように極端に高くなるのを防止することができる。またストッパ１２の先端部１２ａがリード１１側へ向けて凸の略円弧形に折り曲げられているために、開弁時にリード１１がストッパ１２の先端部１２ａにおける円弧の腹に当接する。したがってリード１１がストッパ１２の角に当たって傷付けられるのを防止することができる。

【００１７】第二実施例・・・当該実施例は、上記第一実施例がフラットタイプのリードバルブであったのに対して、バンガロータイプのリードバルブを示している。すなわち、図３に示すように、流入ポート３を設けたインレットケース２と、流出ポート５を設けたアウトレットケース４とが組み合わされて、内部に弁室６を設けたケース１が備えられており、弁室６にバンガロー形の弁シート９が設置されて、弁室６が流入ポート側空間７と流出ポート側空間８の二つに仕切られている。弁シート９の一対の斜面にそれぞれ、両空間７，８を互いに連通させる所要数の弁孔１０が設けられ、弁シート９の流出ポート５側に、両空間７，８の差圧に応じて弁孔１０を開閉するステンレス製のリード１１と、リード１１のリフト量Ｌ₂ を制限するストッパ１２とが片持ち式にビス止めされている。弁シート９の周縁に断面略コ字形のガスケット１３が取り付けられ、インレットケース２に設けた弁シート９の着座面１４に、このガスケット１３を介して弁シート９が着座せしめられ、インレットケース２とアウトレットケース４の間に弁シート９とガスケット１３が挟持されている。またストッパ１２の先端部１２ａが、リード１１側へ向けて凸の略円弧形に折り曲げられて、リード１１のリフト量Ｌ₂ が、従来の半分以下の２ｍｍに設定されている。

【００１８】上記構成を備えたリードバルブにおいては、ストッパ１２の先端部１２ａがリード１１側へ向けて凸の略円弧形に折り曲げられて、リード１１のリフト量Ｌ₂ が従来より小さく２ｍｍに設定されているために、リード１１の戻り距離が従来より短くなっており、これによりリード１１の戻り時間が従来より短くなる。したがって図４および図５のグラフ図に示すように、二次空気の供給量を、特に動的流量におけるエンジンの高速回転領域において、従来より多くすることができる（図４および図５においては、当該実施例に係るリードバルブが「△」プロットで示されている。また図５においては、上記したように、従来例に係るリードバルブが「●」プロットで示されている）。

【００１９】またストッパ１２の先端部１２ａがリード１１側に折り曲げられて、その結果としてリード１１のリフト量Ｌ₂ が２ｍｍに設定されているために、リード１１が開弁していくときに、リード１１の有効長さが殆ど変わることがない。したがってリード１１のばね定数が従来のように極端に高くなるのを防止することができる。またストッパ１２の先端部１２ａがリード１１側へ向けて凸の略円弧形に折り曲げられているために、開弁時にリード１１がストッパ１２の先端部１２ａにおける円弧の腹に当接する。したがってリード１１がストッパ１２の角に当たって傷付けられるのを防止することができる。

【００２０】上記各実施例に共通して、これらのリードバルブにおいては、弁シート９の流入ポート側端面９ａとこの流入ポート側端面９ａに対向する弁室６の内壁６ａとの間隔Ｄ₂ が従来より小さく、２ｍｍ程度とされて、これに見合った従来より小さな内容積が流入ポート側空間７に設定されており（従来例において、前記間隔Ｄ₁ は４ｍｍ以上であった（図７参照））、これによってもリード１１の戻り時間が短くなるようになっている。したがって、図４および図５に示した試験結果は、本考案とこの間隔の短縮に係る考案との累積的効果を示していることになるが、間隔が短縮されていなくても、本考案は単独で充分な効果を奏するものである。図６はこれを確認した試験結果の一例を示しており、エンジンの高速回転領域において、二次空気の供給量が比較例より確実に増えている。尚、この図６においては、リード１１のリフト量Ｌ₂ を２ｍｍとしたフラットタイプのリードバルブが「○」プロットで示され、比較例として、リード１１のリフト量Ｌ₂ を６．４ｍｍとしたフラットタイプのリードバルブ（他の構成は「○」プロットのリードバルブと同じ）が「●」プロットで示されている。

【００２１】

【考案の効果】本考案は、以下の効果を奏する。

【００２２】すなわち、請求項１においては、上記構成によりリードの戻り時間を従来より短くして高速の脈動圧力に対する追随性を向上させたために、特に動的流量におけるエンジンの高速回転領域において、多量の二次空気を円滑に供給することができる。したがって排ガス規制の「１０−１５モード」に適した高速対応のリードバルブ製品を提供することができる。

【００２３】また請求項２においては、上記効果に加えて、開弁時にリードの有効長さが殆ど変わることがないようにしたために、リードのばね定数が極端に高くなるのを防止することができる。また請求項３においては、上記効果に加えて、開弁時にリードがストッパ先端部の円弧の腹に当接するようにしたために、リードがストッパの角に当たって傷付けられるのを防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第一実施例に係るリードバルブの断面
図

【図２】同リードバルブにおける弁シートの底面図で、
中心軸線より上側は弁シートにリードとストッパをビス
止めした状態を示している。

【図３】本考案の第二実施例に係るリードバルブの断面
図

【図４】差圧と静的流量の関係を示すグラフ図

【図５】脈動周波数と動的流量の関係を示すグラフ図

【図６】脈動周波数と動的流量の関係を示すグラフ図

【図７】従来例に係るリードバルブの断面図

【符号の説明】

１ケース２インレットケース３流入ポート４アウトレットケース５流出ポート６弁室６ａ内壁７流入ポート側空間８流出ポート側空間９弁シート９ａ流入ポート側端面１０弁孔１１リード１２ストッパ１２ａ先端部１３ガスケット１４着座面

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】流入ポート（３）、流出ポート（５）お
よび前記両ポート（３）（５）の間に位置する弁室
（６）を設けたケース（１）と、前記弁室（６）に設置
されて前記弁室（６）を流入ポート側空間（７）と流出
ポート側空間（８）の二つに仕切り、前記両空間（７）
（８）を互いに連通させる弁孔（１０）を設けた弁シー
ト（９）と、前記弁シート（９）の流出ポート（５）側
に取り付けられ、前記両空間（７）（８）の差圧に応じ
て前記弁孔（１０）を開閉するリード（１１）と、前記
リード（１１）に重ねて設けられ、前記リード（１１）
のリフト量（Ｌ₂ ）を制限するストッパ（１２）と、を
備えたリードバルブにおいて、前記リード（１１）のリ
フト量（Ｌ₂ ）を２ｍｍ以下に設定したことを特徴とす
るリードバルブ。
【請求項２】リード（１１）のリフト量（Ｌ₂ ）を制
限するストッパ（１２）の先端部（１２ａ）を前記リー
ド（１１）側に折り曲げて、前記リード（１１）のリフ
ト量（Ｌ₂ ）を２ｍｍ以下に設定したことを特徴とする
リードバルブ。
【請求項３】請求項２のリードバルブにおいて、スト
ッパ（１２）の先端部（１２ａ）を、リード（１１）側
へ向けて凸の略円弧形に折り曲げたことを特徴とするリ
ードバルブ。