JP3007372B2 - 顎訓練装置 - Google Patents
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Description
顎骨−下顎骨手術もしくは側頭−下顎骨手術を行った患
者あるいは下顎骨の運動範囲が著しく制限されている者
の顎を訓練するために使用される顎訓練装置に関する。
さらに詳しくは、この発明は、歯あるいは例えば口蓋あ
るいは上顎骨弓(arch)の歯肉及び下顎骨弓の歯肉のよ
うな他の口腔組織へ完全に着座するように挿入される上
顎骨部材及び下顎骨部材を有する受動式の顎訓練装置に
関する。この発明の顎訓練装置によれば、生来の解剖学
的方法で、あるいはその患者の側頭−下顎骨関節(join
t)に対して特別に処方された仕方で顎が開くように、
顎部材の動きを制御できる。この発明は、特に装置の顎
部材と患者の歯との間の係合に関連して述べられている
が、このことは発明の精神及び範囲を制限するものでは
ない。従って、この発明の顎訓練装置は歯の代わりに歯
肉や口蓋のような他の口腔組織へ力を加えるように設計
することも可能である。
する治療及びリハビリテーションの重要な部分を占め
る。例えば、通常骨折などに対する添木として施される
顎を閉じるための結紮顎(wiring jaw)や骨の手術によ
って、顎を閉じる筋肉が縮まったり顎を開ける筋肉が弱
まったりする。このため、患者はワイヤを外したあと、
口を開くことができなくなることもある。内科医や外科
医は、下圧子を用いたこじあけ(prying)や、筋肉を伸
ばすための、ネジで動作するくさび装置を使用して口を
開けるという手段に訴える。一旦顎を開けると、次に患
者は完全に自由な動きを回復するために筋肉を伸ばす訓
練が必要になる。今日まで顎訓練装置は顎の開閉運動を
行うだけと考えられてきたが、下顎骨が通常の開閉運動
を行っているときに下顎骨へ旋回運動の他に横方向の運
動を加えるのが、下顎骨を制御する筋肉システム及び側
頭−下顎骨関節に対する治療運動として好ましいと考え
られる。顎の訓練を行うために、受動式の弾性装置が提
案されてきた。また、ばねによって動作する高価な装置
もこうした目的のために開発されてきた。
練装置の典型的な欠点は、過度な力が加わって痛みや傷
を生じたり、臼歯に垂直の力が加わり下顎骨(condyle
s)を下方へ移動させて側頭−下顎骨関節を破壊してし
まうことにある。これらの装置はどれも、側頭−下顎骨
関節によって形成される顎ヒンジ(jaw hinge)の構造
的特徴を考慮した仕方で下顎を動かすようになっていな
い。すなわち、顎はその上側後方部における曲率のため
に顎ヒンジの旋回領域が口の開口部の上方かつ後方に位
置するということ、及び側頭−下顎骨関節が、その回り
を下顎骨が旋回する単一の正確な旋回点を形成していな
いということを考慮して下顎を動かすようになっていな
い。むしろ、側頭−下顎骨関節は可動の旋回点を形成し
ており、その結果として下顎骨は回転するときに複雑な
動きをする。
生来の運動角度を考慮し、生来の解剖学的ラインに沿っ
て歯に圧力を加える方法によって、顎を動かすように新
しい顎訓練機構を提供することである。
力を患者が絶えず図ることができるようにすることによ
って、傷が付くことを防ぐことのできる新しい受動式顎
訓練装置を提供することである。
の両方を調節でき、開閉運動を行う時の力を徐々に(gr
aded)加えるようになった新しい受動式顎訓練装置を提
供することである。
び第2指と患者の手とが有する生来の強さと持続力とを
利用して、顎を開く力と顎を閉じる抵抗力を提供するた
めに手持ち設計になっており、それによって顎を開閉す
る筋肉を訓練するようになっている新しい受動式顎訓練
機構を提供することである。
動及び横方向運動を与えたり、患者に対して適当な治療
を行うのに望ましい特別に設計された運動を与えること
のできる新しい治療用顎訓練装置を提供することであ
る。
うに安価に製造でき、単一の患者が使用し、従って患者
間の相互感染を防止できる受動式顎訓練機構を提供する
ことである。
び/あるいは顎部材の拡張部材(extensions)を使用す
ることによって、種々の寸法の顎を有する広範囲の患者
が使用することのできる新しい受動式顎訓練装置を提供
することである。
動制御用のトラックを使用することによって、顔面整形
に有益な運動を行うことのできる新しい受動式顎訓練装
置を提供することである。
された顎訓練装置は本体構造を有し、この本体構造から
はハンドルが延びている。ハンドルの自由端には、ばね
で付勢された顎移動用レバー(spring jaw moving leve
r)が旋回可能に取付けられている。レバーには装置を
利用する患者の手によって顎を開けるための力が加えら
れる。受動式顎訓練装置は上顎骨部材及び下顎骨部材を
有する。上顎骨部材は、使用中は本体へ取り外し可能に
固定される。下顎骨部材は、本体に対して可動に配置さ
れたキャリッジによって取り外し可能に支持される。
有する。キャリッジガイドトラックは複雑な曲線形状
と、横方向の単純なあるいは複雑な曲線形状とを有す
る。キャリッジガイドトラックはキャリッジが有するガ
イドレールあるいはガイドピンを受容し、キャリッジが
移動するとき曲線からなるトラックに沿ってキャリッジ
をガイドする。この発明においては、曲線形状のガイド
トラック、あるいは曲線からなるガイドトラックとは、
曲線形状を有するガイド面、すなわち細長い部材から形
成されるガイドスロット、ガイドワイヤ、ガイドリブあ
るいはガイドリッジ、ガイドエッジなどを形成する任意
の細長いガイド装置を意味する。
れ、他端は幾つかの位置付け用のノッチあるいは手で駆
動されるハンドル構造からなる他のコネクタ装置の任意
の一つへ連結される。患者はこれらノッチあるいはコネ
クタ装置によって、特定の機械的利点(mechanical adv
antage)及び顎の動きに望ましい運動範囲を選択するこ
とができる。この発明の一つの実施例においては、位置
付け用ノッチは、押し棒をキャリッジへ連結する旋回点
にその中心を有する円の弧に沿って配置されていて、押
し棒の長さに等しい径あるいは曲率(curvature)を形
成している。また、手動式のハンドルは、必要に応じて
顎が開いた状態あるいは顎が閉じた状態へばねによって
付勢される。押し棒に手で力を加えるとキャリッジはガ
イドトラックの中で移動する。ガイドトロックが曲線形
状を有することから、下顎骨部材は下方へ移動するとき
に上顎骨に対して傾いて、あるいは傾斜して配置され
る。正確に解剖学的な顎の動きや他の顎の動きが装置に
よって実現されるように、トラックが有する複雑な曲線
によって下顎骨部材の傾斜角度が制御される。従って、
スタート位置においては顎部材の歯係合面は平行である
が、下顎骨部材が開いた状態へ移動するにつれて、歯係
合面は互いに離れるとともに傾斜する。この傾斜の角度
は、切歯が臼歯よりも広く開いて、顎の本来の動きを模
倣し、顎が側頭−下顎骨関節のまわりに旋回するように
決められている。特定の顔面整形において別の顎の動き
が必要な場合には、曲線からなるガイドトラックの形状
は、治療のために選ばれた顎の動きを行うために予め決
められた形状を有する。
の上顎骨弓及び下顎骨弓の歯の間に装入される。このと
き、訓練装置を適正に揃えるために、上顎骨部材は上顎
骨弓の歯と完全に接触され、下顎骨弓の母下顎骨部材と
完全に係合される。次に患者は、指を駆動レバーに当て
て装置のハンドルを掴む。レバーに力を加え、ハンドル
に対してレバーを旋回させることによって、患者によっ
て加えられた力は押し棒を介して下顎骨へ伝えられ、曲
線形状を有するトラックの中で下顎骨を移動させる。患
者は下顎骨の動きを、適切な顎訓練が行えるように制御
することができる。反対方向においては、患者は顎の筋
肉を使って顎を閉じ、顎が閉じる動きに対する抵抗力を
手で加える。従って、顎の筋肉は開くときと閉じるとき
の両方において鍛えられ、一方顎は側頭−下顎骨関節に
対して所望の関係によって制御を行いつつ解剖学的に動
かされる。
の特殊な場合には、顎部材は歯よりは口腔組織へ係合す
るように力が印加されるような形状を有する。例えば、
上顎骨部材及び下顎骨部材はともに歯肉と接触するよう
に設計される。これとは違って、上顎骨部材を口蓋の所
望の部分と密着するように設計することも可能である。
図面を参照して説明するこの発明の実施例からより明ら
かになろう。
の実施例を説明する。第1図、第2図、第3図におい
て、この発明による受動式の顎訓練装置は参照番号10で
表されている。この装置はほぼ鏡像関係にある本体14,1
6から形成された本体構造12を有する。本体構造12は相
互密着(interfit)する本体によって形成されるハンド
ル18を有する。ハンドル18にはピボットピン21を受容す
るためのピボット穴20が形成されている。ピボットピン
21は旋回可能なレバー24の一端に形成されたピボット穴
22の中にも係合される。レバー24は、本体14,16のハン
ドル部分に形成されている細長い方形の開口部26を貫い
て延びている。レバー24は上部に曲面形状を有するフラ
ンジ部28を形成しており、フランジ部28はグリップ部29
を有する。グリップ部29は利用者の手の指によって握ら
れ、顎を開けるためのレバー24の手動操作を容易にし、
また顎を閉じる動作に抵抗する手動の抵抗力を加えるこ
とができる。レバー24は、第4図に示されたばね部材30
によって第1図に示された直立位置へ向けて付勢され
る。ばね部材30としては、ねじりばねや、板ばねなどの
適当なものを用いることができる。レバー24は、指が係
合する上側のフランジ部28に対して横方向に延びる一対
のウェブ材32,33を有する。各ウェブ材32,33は、ウェブ
材の内側曲面に沿って離間して設けられた複数の位置付
け用スロット34を有する。位置付け用スロット34は、以
下で説明する顎移動用キャリッジへ押し棒を連結する旋
回点に中心を有する円の弧に沿って配置されている。こ
れとは別に、位置付け用スロットは、手動による力を可
動の顎部材へ加えるのに適し、装置を手動操作するのに
望ましい機械的利点が得られるような任意の離間関係に
方向付けしてもよい。レバー24と協働して力を伝達する
押し棒36は、上部に横方向に延びる突起部38を有する。
突起部38はハンドル18のウェブ材32,33の中に受容され
て下顎骨部材を移動させ、患者の望む機械的利点を実現
する。押し棒36の下端はキャリッジ62によって形成され
たスロット40の中に受容される。また、押し棒36の下端
には開口部42が設けられている。開口部42はキャリッジ
62の開口部43と係合するように配置されており、ピボッ
トピン44によってキャリッジ62へ旋回可能に固定されて
いる。このため、以下で詳しく説明するように、押し棒
36の下端を顎移動用のキャリッジ62へ旋回可能に連結す
ることができる。
セプタクル46を形成している。リセプタクル46は上顎骨
部材50が有する連結用の突起部48をその中に密着した状
態で受容する。連結用の突起部48はリセプタクル46に対
応する台形形状を有し、本体構造12、リセプタクル46、
突起部48へ組付けられたときに上顎骨部材50が適切に方
向付けされるようになっている。連結用の突起部48は一
対の対向するノッチ52を有する。ノッチ52は、上顎骨部
材50の突起部48が開口部あるいはリセプタクル46の中に
挿入され、第1図、第2図、第3図、第4図に示されて
いる位置に配置されロックされたとき、各本体14,16に
形成されたラッチ54によって係合される。上顎骨部材50
は本体構造12に対してほとんど動かないようになってい
る。リセプタクル46と連結用の突起部48が台形形状を有
する理由は、顎部材を本体及びキャリッジへ組付けたと
きに顎部材を正しく方向付けするためである。しかし、
顎部材を正しく方向付けするために、他の設計による連
結構造を採用することも同様に可能である。上顎骨部材
50は曲線形状の垂直な壁56を有する。壁56は患者の前歯
が有するアーチ形とほぼ等しい形状を有する。壁56はほ
ぼフラットなプレート58を有し、プレート58は垂直な壁
56及び上顎骨部材50の他の構造部と一体化されており、
曲線形状を有する。プレート58は患者の咬合面及び切面
によって係合され、上顎骨部材50の位置が歯の咬合平面
に揃うようになっている。側頭−下顎骨関節のまわり
の、患者の顎の動きを保証するのは、この位置揃えであ
る。
(positive)咬合平面を形成しない場合には、一部の歯
のみが顎部材平面と力を伝達できる接触を行う。こうし
た場合には、それらの歯には過度の力が加わる。顎部材
と、患者の歯、あるいは歯槽弓(alveolar arch)の歯
肉組織のような他の口腔組織との間の力をもっと均一化
するために、顎部材の各々には力を均一化するためのマ
ウスインサートが設けられている。マウスインサート
は、適当な顎訓練治療に対して必要とされる、歯や歯肉
組織あるいは口蓋との適切な係合を可能にする。実施例
においては、口腔と係合する第4図に示されたマウスイ
ンサート59,61は、ソフトラバー、あるいは口腔内にお
いて使用するのに適した任意の適当な弾性高分子材料か
ら形成されている。この場合には明らかに、顎部材の形
状は口腔組織との適切な係合が行われるように変えられ
る。
実施例においては、本体14,16は曲線形状のスロットか
らなる対向するガイドトラック60も有する。このガイド
トラック60は、上顎骨部材50が患者の咬合平面と位置が
揃えられたとき、垂直のヒンジ点が患者の側頭−下顎骨
関節に近くなるように、曲率を持たせられている。どの
場合にも、この発明による顎訓練装置は、患者の口の前
に配置された少なくとも一つのキャリッジガイドトラッ
クを有する。この発明の他の実施例では、ガイドトラッ
ク60の位置及び曲線形状は、下顎骨の動きが顔面整形に
有益であり、筋肉機能障害の治療矯正ができ、側頭−下
顎骨関節の治療に有用なように設計されている。
ャリッジ62を有し、キャリッジ62は後方に延びる二股の
突起部64を有する。突起部64は、その中に押し棒36が受
容されるスロット40を有する。突起部64はボルトあるい
はピボットピン44を受容する開口部43を有する。ピボッ
トピン44または押し棒36の開口部42も貫いており、押し
棒36及び突起部64を旋回可能に保持している。押し棒36
の下端を受容しているスロット40は、レバー24のウェブ
材32,33の間に形成されるスペースに位置が合わされて
おり、押し棒36を介してレバー24からキャリッジ62の中
心部へ力を集中させることができるようになっている。
セプタクル63は台形形状を有し、その中に下顎骨部材72
が有する連結用の突起部71を受容する。キャリッジ62は
また、対向するラッチ部材74を有する。ラッチ部材74は
顎部材の連結用突起部に形成された適当なロック用のス
ロット75の中に係合され、顎部材をキャリッジ62にしっ
かりと組付ける。下顎骨部材72は上顎骨部材50の構造と
同じ構造を有するが、歯あるいは患者の下顎骨弓あるい
は顎の他の口腔組織と係合するように、上下が逆転され
ている。顎部材と本体とキャリッジは、参照番号73で表
されるフラットな整合面(mating surface)を形成して
いる。整合面73によって、顎部材のフラット面は第1図
に示すように並置される。この結果、顎の働きが小さい
場合でも、顎部材のフラット面を患者の上顎骨及び下顎
骨の歯の間に挿入することができる。力を均一化させる
マウスインサート59,61は取り外し可能であるか、ある
いは顎部材は交換可能であり、手術のあとの訓練治療と
して通常許される顎の小さな運動を可能にする。受動式
顎訓練装置の本体及びキャリッジの両方において台形形
状の連結用リセプタクルを使用することによって、上顎
骨部材及び下顎骨部材は第1図の位置でのみ本体及びキ
ャリッジへ組付けられるようになる。明らかに、連結用
リセプタクルを他の任意の形状にしても、適切な位置の
みに上顎骨部材及び下顎骨部材を本体及びキャリッジへ
組付けるようにすることも可能である。
キャリッジには曲線形状の一体のガイドレール76,77が
設けられている。ガイドレール76,77は本体に設けられ
た曲線形状のスロットあるいはガイドトラック60の中に
受容され、ガイドされる。従って、ハンドル18及び押し
棒36を介してキャリッジ62へ力を加えるとき、キャリッ
ジ62はガイドトラック60の長さ方向の動き及び曲がり
(curvature)が制限される。押し棒36に加えられた力
によってキャリッジ62はガイドトラック60内で移動する
が、ガイドトラック60が有する形状のために下顎骨部材
は下方へ移動するにつれて傾斜する。従って、顎部材の
フラットな咬合面は装置のスタート位置においては第1
図及び第2図に示された位置でレバー24と密着して平行
に配置されるが、移動を行う間、顎部材のプレート58や
整合面73あるいはそれらの各インサートは、歯あるいは
他の口腔組織との係合を維持する。また、顎が完全に開
いた状態へ向けて移動するにつれて、プレートや整合面
は互いに離れると同時に、互いに傾斜する。顎部材の傾
き、あるいは傾斜は、切歯が臼歯よりも広く開き、それ
によって顎が側頭−下顎骨関節のまわりに旋回するとき
に頭が本来有する解剖学的働きを模倣するように設計さ
れている。
の顎訓練機構も好ましい実施例であるが、第2A図に示さ
れているようなモータによって駆動される顎訓練機構、
あるいは第2B図に示されているようなキャリッジ及び下
顎骨部材の動きに対して抵抗を加えるような顎訓練機構
もまた望ましいものである。第2A図の部分立面図に示さ
れているように、本体構造12の本体14,16の一方あるい
は両方にはモータ支持部材15が備わっている。モータ支
持部材15は電気モータ17をそこへ固定している。電気モ
ータ17の駆動シャフトは、押し棒36が旋回可能に連結さ
れた偏心アーム19へ回転を伝える。偏心アーム19が電気
モータ17によって回転されると、押し棒36は往復運動を
行い、キャリッジ62とキャリッジ62に連結された下顎骨
部材へこの往復運動を伝える。電気モータ17は任意の適
当なギヤ装置あるいは速度制御装置を有し、それによっ
て所望の治療に合うように押し棒の往復運動を制御す
る。
を備えている場合の顎訓練装置を示している。患者は顎
を動かすときに前述の抵抗力に打ち勝って下顎骨部材を
動かさなければならない。第2B図に示されているよう
に、本体14,16にはばね支持部材21aが設けられている。
ばね支持部材21aにはテンションばね23の上端が取付け
られている。テンションばね23の下端は押し棒36の上端
へ取付けられており、押し棒36を圧縮している。このよ
うに、下顎骨を動かすためには、テンションばね23の圧
縮力に打ち勝たなければならず、患者の顎の筋肉はこう
して抵抗力によって鍛えられる。
中、大の大きさを有する相互に交換可能な顎部材を準備
しなければならない。また、顎部材はマウスインサート
59,61を受容できるように設計されていなければならな
い。マウスインサート59,61は、歯のなくなった患者、
あるいはほとんど歯のなくなった患者の歯肉及び歯へ加
わる力を均一にするため、弾性の印像材(resilient im
pression compound)から形成されている。顎部材に
は、患者に要求される動きに対応するため種々の長さの
コネクタ拡張部材を設ける。
一連の位置付け用スロット34が設けられている。位置付
け用スロット34の中には、押し棒36の突起部38が解放可
能に係合される。これら離間して設けられたノッチある
いはスロットは開口部43によって形成されたキャリッジ
62の旋回点にその中心を有するような円の弧に沿って配
置されている。従って、どの組のノッチが押し棒36の突
起部38によって結合されているかに係わらず、始動時の
レバーの高さは同じである。ノッチの形状は外側が狭く
なっており、突起部38はこの狭い部分へ押し込まれるこ
とによって各ノッチの中へ完全に係合される。こうした
ノッチ形状と、押し棒36が有する横方向の突起部38に対
するノッチの関係とによって、押し棒36を各ノッチへパ
チッと組付け、保持することが可能になる。しかし、押
し棒36は患者あるいは外科医によって簡単に取り外すこ
とができる。ノッチに対して番号付け(例えば1から5
まで)し、5番目のノッチがレバー24の旋回点に最も近
くなるように番号付けをすると、力にスケールを付ける
ことができる。その結果、患者あるいは外科医は、患者
が必要とする治療に対して適切な力を任意の時間に加え
るために、所望の機械的利点を選択することができる。
する適当な材料から形成されている。例えば、キャリッ
ジはアセタールのような適当な高分子材料から形成され
ており、本体構造や顎訓練装置の他の部材はナイロンな
どの適当な材料から形成されている。必要ならば、金属
を使用することもできる。この場合には、レバーから下
顎骨へスムースに力を伝達することができる。オートク
レーブなどによる殺菌が行えるような材料を選択するこ
ともできる。顎部材に対するラッチ装置は、顎部材を一
旦挿入すると取り外せないように設計することもでき
る。
を行っている間、下顎骨部材に対してガイドを行い、通
常の正確な解剖学的運動以外の方法で下顎骨部材を動か
して、処方された治療に基づいて顎の筋肉及び側頭−下
顎骨関節に適切な訓練を行うことが望ましい場合もあ
る。
装置の本体構造80の前部を示す部分斜視図である。相互
密着する本体によってリセプタクル82が形成されてお
り、リセプタクル82は第1図、第2図、第3図に示され
ている上顎骨部材50のような上顎骨部材の連結用突起部
を受容する。本体構造を形成する本体の各々は、特定の
曲線形状(curvature)と方向とを有する大きなガイド
トラック84と、ある曲線形状と方向とを有する小さなガ
イドトラック86とを形成している。小さい方のガイドト
ラック86が有する曲線は、必要な場合には、大きなガイ
ドトラック84と異なる複雑な曲線からなっていてもよ
い。第5A図に示されているように、下顎骨のキャリッジ
88は両側において横方向に突き出た大きなガイドピン90
からなるガイド装置を有する。ガイドピン90は大きなガ
イドトラック84の中に係合可能である。キャリッジ88は
また、対向する一対の小さなガイドピン92からなる別の
ガイド装置を有する。ガイドピン92は、小さなガイドト
ラック86に密着してこれをガイドするような具合にガイ
ドトラック86へ受容されるために十分な長さ及び寸法を
有する。キャリッジ88はさらに開口部94を有する。開口
部94を貫いてピン44のようなピンが延びており、キャリ
ッジ88と押し棒36の開口部42との間を旋回可能に連結し
ている。
を有する。コネクタ部材96は、キャリッジ72のコネクタ
リセプタクルの中に受容される。キャリッジ88は第2図
及び第3図に示されている場合と同様にして押し棒36に
よって移動されるため、大きなガイドピンはガイドトラ
ック84を形成する面によってガイドされ、一方小さなガ
イドピン92は小さなガイドトラック86と離間されたガイ
ドピン対の中に密着して受容されガイドされる。キャリ
ッジ88が移動されると、協働するガイドトラックと離間
したガイドピン対とはキャリッジ88に特別に設計された
運動を行わせ、その結果コネクタ部材96は顎部材を処方
されたように動かす。従って、患者の顎の動きは本来の
解剖学的な顎の動きであったり、あるいは治療を目的と
して処方された他の顎の動きであったりする。例えば、
ある顎の筋肉を操作するには、下顎骨部材に特定の動き
を与えるためには特定のキャリッジ移動が必要となる。
下顎骨関節に特別の運動を行う必要のある場合がある。
従って、キャリッジがガイドトラックの長さ方向へ移動
されるとき、キャリッジに複雑な曲線運動等の所望の動
きを行わせるために、キャリッジのガイドスロットある
いはガイドトラック84,86は任意の適当な方向に形成さ
れている。第10図及び第11図に示されているような幾つ
かの場合には、キャリッジは同じような大きさのガイド
ピンを用いており、キャリッジが曲線形状のガイドトラ
ックに沿って弧状に動かされるとき、キャリッジは旋回
運動を行う。
場合には、ガイドトラックには第6図、第7図、第8図
に示されているような対向する横方向のガイド面を設け
る。第6図に示されているように、顎の訓練を行うと
き、横方向のガイド面98,100はガイドピンと適当に協働
して下顎骨部材を横方向へ移動させる。この結果、患者
が顎を開閉するとき患者の顎は横方向へ移動し、それに
よって側頭−下顎骨関節にある程度の治療動作を行わせ
る。顎を動かして横方向のガイド面と適切に係合させる
と、第9図及び第10図に示されたガイドピンは第9図及
び第10図に示されているように半球あるいは円錐形の先
端を有しているため、この先端が横方向のガイド面に点
接触する。
ク84及び小さいガイドトラック86の別の曲線形状を示し
ている。第14図〜第16図は、外科医あるいは患者が選択
した特別に設計された顎治療に相応しい別のガイドトラ
ック形状を示している。
ンサートを有する受動式顎訓練装置を提供することもで
きる。このように、標準形式の本体構造を提供すること
によって、第5図に示されているような取り外し可能な
インサート部材85が患者の要求に従って外科医によって
選択される。また、治療期間中に、取り外し可能なガイ
ドトラック部材を取り外し、顎訓練装置全体を取り替え
ることなく、顎に異なる動きを行わせる別のガイドトラ
ック部材と取り替えることができる。取り外し可能なイ
ンサート部材85は任意の適当な方法で本体構造へ取付け
ることができるが、通常は本体に設けられた適当なリセ
プタクルの中に受容され、装置を使用している間はイン
サート部材は本体へほぼ固定されたままにされる。
で、六ケ月使用するものと考えられる。患者は最も大き
な機械的利点の得られる位置でレバーの使用を開始す
る。この位置は、スロットの中に配置された押し棒36の
横方向の突起部38がピボット穴20に最も近い位置付け用
スロット34内へ配置される場合に実現され、この位置を
位置5と呼ぶことにする。この位置5では、顎部材の動
きは小さく、一方レバー及び押し棒を介して顎部材へは
大きな力を加えることができる。患者の顎の動きが回復
するに従って、連続的に調節を行う。患者の顎が完全に
動く場合には、最後は押し棒36及び横方向の突起部が第
1図に示された位置になる。この位置を位置1と呼ぶこ
とにする。顎を閉じる訓練に対しては、患者は第1図に
示された位置1において顎訓練装置10をスタートさせ
る。レバーに緩やかな圧力を加えて顎を開き、レバーと
押し棒を介して加えられる手の力に抗して顎を閉じる。
必要な場合には、ばね部材30を用いて顎部材に開閉運動
を加える。装置にはチャートあるいはワークシートが設
けられており、患者はそれを訓練のガイドとして、また
プログレスシートとして利用する。
いは位置付け用スロット34から選択されたものと噛み合
わせることによって、運動の範囲と装置の機械的利点の
両方を調節することができる。動かすために必要な大き
な力に適した高い機械的利点を得るためにレバーの旋回
点に近いノッチを使用すると、顎はほとんど閉じる。レ
バーの先端に近いノッチを使用すると、なんら機械的利
点は得られず、約1.5インチ(3.81cm)に等しい大きな
移動範囲を得ることができる。これは、顎のリハビリテ
ーションの後期において顎を開ける訓練と閉じる訓練の
両方にとって理想的である。
保持する。親指はハンドル18の下に通し、指で可動のレ
バー24のまわりを掴む。このとき、指は緩やかな曲線を
描くフランジ面28と係合する。患者は次に曲線形状を有
する上顎骨部材50及び下顎骨部材72を、顎部材を第1図
のように閉じた状態にして歯の間に挿入する。このこと
は、顎部材を挿入できるように、少しだけ(約1/4イン
チ(0.635cm))既に開いていることが必要である。患
者は手を閉じてレバー24をハンドルの方へ引く。押し棒
36は下顎骨部材を曲線形状のトラックに沿って下方へ移
動させる。トラックが有する曲線形状のために、実際の
ヒンジ点は患者の側頭−下顎骨関節に近くなる。従っ
て、下顎骨部材は、本来の下傾の動きに従って下方へ移
動するときに傾斜する。押し棒の上部をレバーの異なる
ノッチと噛み合わせることによって、移動の範囲と機械
的利点の両方を調節することができる。
を制限するものではない。従って、この発明による顎訓
練装置は発明の精神及び範囲から逸脱しない限りいかな
る形によっても実現することが可能である。
り、第1図は顎を最大限に閉じた状態の顎部材を示す斜
視図、第2図は閉じた状態にある顎部材を示す第1図の
断面図、第2A図はモータによって駆動される別の実施例
に対するキャリッジ駆動部の部分断面図、第2B図は下顎
骨部材へ抵抗力を加えるようになっているさらに別の実
施例に対するキャリッジ駆動部の部分断面図、第3図は
開いた状態にある第1図及び第2図の顎訓練装置の断面
図、第4図は顎訓練装置の別の実施例を示す分解図、第
5図は顎訓練装置のさらに別の実施例の前半分を示す部
分斜視図、第5A図は第5図の顎訓練装置のキャリッジ部
を示す斜視図、第6図、第7図、第8図はキャリッジを
動かすときキャリッジ及び顎部材へ横方向の動きを与え
るように設計された種々のガイドトラックを示す部分断
面図、第9図〜第11図は第5図〜第8図及び第13図に示
されたような種々のキャリッジガイドトラックと協働す
るように設計された種々のキャリッジを示す斜視図、第
12図は第11図のキャリッジの後部を示す立面図、第13図
はキャリッジガイド及び方向付け用トラックの形状を示
す第5図の装置の部分立面図、第14図〜第16図は第5図
の装置の中に形成される種々のキャリッジガイドトラッ
クを示す部分立面図である。 14,16……本体 17……電気モータ 23……テンションばね 24……レバー 30……ばね部材 36……押し棒 46……リセプタクル 50……上顎骨部材 59,61……マウスインサート 60……ガイドトラック 62……キャリッジ 72……下顎骨部材 76,77……ガイドレール 84,86……ガイドトラック 88……キャリッジ 90,92……ガイドピン 98,100……ガイド面
Claims (12)
- 【請求項1】顎を動かす力を加えたり顎を動かすために
抵抗力を印加して、患者の顎の筋肉や側頭−下顎骨関節
を訓練するための顎訓練装置であって、 曲線形状を有するガイドトラック装置を形成する訓練装
置本体と、 この訓練装置本体から延びる上顎骨装置と、 前記訓練装置本体によって可動に受容される下顎骨装置
と、 前記訓練装置本体へ連結された機械的連結装置と、 を有し、前記訓練装置が患者によって使用されるとき前
記曲線形状を有するガイドトラック装置が患者の側頭−
下顎骨関節の前に配置され、前記上顎骨装置が、患者の
口腔組織と係合して力を伝達するために使用される上顎
骨係合部材を有し、前記下顎骨装置が、患者の口腔組織
と係合して力を伝達するために使用される下顎骨係合部
材を有し、前記下顎骨装置が、前記ガイドトラック装置
に受容、ガイドされるガイド装置を有し、このガイド装
置が前記訓練装置本体に対して前記下顎骨装置を予め決
められたように動かし、前記ガイドトラック装置が前記
下顎骨装置によって患者の顎に対して予め決められた治
療用の訓練動作を行わせるような形状を有し、前記機械
的連結装置が前記下顎骨装置と駆動連結されており、こ
の機械的連結装置の駆動により前記下顎骨装置を前記訓
練装置本体及び前記上顎骨装置に対して移動させるよう
になっている顎訓練装置。 - 【請求項2】前記機械的連結装置が前記訓練装置本体へ
旋回可能に取付けられたレバーと、このレバーと前記下
顎骨装置とを相互連結する押し棒とを有し、前記押し棒
が手動によって駆動されて前記押し棒と前記下顎骨装置
とを動かす特許請求の範囲第1項記載の顎訓練装置。 - 【請求項3】前記訓練装置本体によって支持されたモー
タが設けられ、このモータが前記機械的連結装置と駆動
連結されていて前記機械的連結装置と前記下顎骨装置へ
モータによって制御された動きを伝える特許請求の範囲
第1項記載の顎訓練装置。 - 【請求項4】前記訓練装置本体によって形成されたばね
支持装置と、ばねとが設けられ、このばねが前記ばね支
持装置と前記機械的連結装置へ相互に連結されていて、
前記機械的連結装置へばねの力を伝えて選択的に前記下
顎骨装置を動かす方向への作用力及びその動きを阻止す
る方向への作用力を付与する特許請求の範囲第1項記載
の顎訓練装置。 - 【請求項5】前記ガイドトラック装置が複雑な曲線形状
を有する特許請求の範囲第1項記載の顎訓練装置。 - 【請求項6】前記ガイドトラック装置が横方向に曲線形
状を有し、前記下顎骨装置が前記ガイドトラック装置に
沿って動くときに前記下顎骨装置を横方向へ動かすよう
になっている特許請求の範囲第1項記載の顎訓練装置。 - 【請求項7】前記ガイドトラック装置が、異なる曲線形
状を有する複数の曲線状ガイドトラックによって形成さ
れている特許請求の範囲第1項記載の顎訓練装置。 - 【請求項8】二つのガイド部材から成る前記ガイド装置
がキャリッジ上に離間して配置され、このガイド部材が
キャリッジの各側面から延びていてそれぞれが前記曲線
形状を有する複数のガイドトラック装置の中に受容さ
れ、前記訓練装置本体及び前記上顎骨装置へ力を印加し
てこれを動かすとき、前記ガイド部材がこのガイドトラ
ック装置によってガイドされることによって前記キャリ
ッジの予め決められた回転運動が誘起される特許請求の
範囲第7項記載の顎訓練装置。 - 【請求項9】前記曲線形状を有するガイドトラック装置
が、前記訓練装置本体によって形成された曲線形状を有
する第1の対向するガイドトラック対と、この第1の対
向するガイドトラック対とは別の異なる曲線形状を有す
る第2の対向するガイドトラック対と、前記第1及び第
2のガイドトラックに受容、ガイドされる前記キャリッ
ジの各側面に設けられた前記ガイドピンとを有する特許
請求の範囲第8項記載の顎訓練装置。 - 【請求項10】前記下顎骨装置が、前記訓練装置本体に
よって可動に支持されるキャリッジと、押し棒と、前記
キャリッジによって支持される顎係合部材とを有し、前
記キャリッジが、前記曲線形状を有するガイドトラック
装置と相互密着することによってガイドされるガイド部
材をその上に有し、前記押し棒が前記レバーと前記キャ
リッジとの間に駆動連結を形成し、手動操作によって前
記キャリッジへ駆動力を伝え、前記顎係合部材が患者の
予め決められた口腔組織と係合して力を伝達する目的に
使用される特許請求の範囲第1項記載の顎訓練装置。 - 【請求項11】前記訓練装置本体がガイドトラックリセ
プタクル装置を有し、このガイドトラックリセプタクル
装置の中へほとんど動かないような状態で一対のガイド
トラックインサートが取り外し可能に受容され、前記ガ
イドトラックインサートの各々が前記曲線形状を有する
ガイドトラック装置を形成する特許請求の範囲第1項記
載の顎訓練装置。 - 【請求項12】顎を動かすための力を印加することがで
き、患者の顎の筋肉や側頭−下顎骨関節を鍛える顎訓練
装置であって、 訓練装置本体と、 ほぼ動かない状態でこの訓練装置本体から延びる上顎骨
装置と、 前記訓練装置本体によって可動な状態で受容されるキャ
リッジと、 前記キャリッジから延びる下顎骨装置と、 前記訓練装置本体に連結された駆動用連結装置と、 を有し、前記訓練装置本体が利用者によって掴まれるハ
ンドルと、曲線形状を有するガイドトラック装置とを形
成し、前記顎訓練装置が患者によって使用されると前記
曲線形状を有するガイドトラック装置が患者の側頭−下
顎骨関節の前に配置され、前記上顎骨装置が、患者の歯
あるいは他の口腔組織と係合するために使用される上顎
骨係合部材を有し、前記キャリッジが前記曲線形状を有
するガイドトラック装置に受容、ガイドされるガイド装
置を有し、ガイドトラック装置が前記下顎骨装置によっ
て患者の顎に予め決められた治療訓練的な動きを行わせ
るような形状を有し、前記下顎骨装置が前記キャリッジ
とともに可動であり、前記下顎骨装置が患者の歯や歯肉
あるいは他の口腔組織と選択的に係合するための口腔係
合装置を形成し、前記駆動用連結装置が前記キャリッジ
と駆動連結されていて、その駆動により前記訓練装置本
体及び前記上顎骨装置に対して前記キャリッジ及び前記
下顎骨装置を移動させる顎訓練装置。
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