JP2004121756A - 開口訓練器 - Google Patents
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Abstract
【課題】患者自身による前方運動訓練および開閉運動訓練を比較的容易に行うことができ、操作性も良好で、使用中の身体的負担も少ない開口訓練器を提供する。
【解決手段】開口訓練器1は、上顎歯牙に係合する上顎係合部2、把持部3、把持部3方向へ傾斜した部材誘導面4などを有する第一開閉部材5と、下顎歯牙に係合する複数の下顎係合部6a,6bを有し第一開閉部材5と摺接可能なスライド部材7およびスライド部材7に対し一定角度範囲内のみ回動可能に軸支され部材誘導面4に摺接する摺動部8を有する把持部材9とで形成された第二開閉部材10と、第二開閉部材10のスライド部材7の両側面に配置されたガイド部材11と、第一開閉部材5と第二開閉部材10とを連結する輪ゴム12などで構成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】開口訓練器1は、上顎歯牙に係合する上顎係合部2、把持部3、把持部3方向へ傾斜した部材誘導面4などを有する第一開閉部材5と、下顎歯牙に係合する複数の下顎係合部6a,6bを有し第一開閉部材5と摺接可能なスライド部材7およびスライド部材7に対し一定角度範囲内のみ回動可能に軸支され部材誘導面4に摺接する摺動部8を有する把持部材9とで形成された第二開閉部材10と、第二開閉部材10のスライド部材7の両側面に配置されたガイド部材11と、第一開閉部材5と第二開閉部材10とを連結する輪ゴム12などで構成されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
口の開閉運動に支障のある人などが機能回復のために口の開閉訓練を行う際に使用する開口訓練器に関する。
【0002】
【従来の技術】
顎関節症の治療、顎変形症や顎骨骨折の手術後における顎間固定解除後などには、顎関節可動域の増大あるいは筋ストレッチングによる閉口筋の伸展を目的として開口訓練が行われることが多い。従来の開口訓練は、手指を用いたり、市販の開口訓練器を用いたりして実施されていた。
【0003】
ところが、従来の開口訓練器は開閉口の単純な運動しかできなかったので、習慣性開閉運動と前方運動とが複雑に組み合わさった実際の下顎の動きに対応できず、十分な機能回復訓練を行うことができなかった。
【0004】
そこで、開閉方向のほかに前方向に対しても顎運動の訓練を行うことができる開口訓練器(顎運動装置)が開発されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載されている開口訓練器(顎運動装置)によれば、治療者または患者自身が患者の顎の反力を感じながら適切な開閉動作および前後動作の外力を加えるようにすることができ、また、顎の寸法、運動範囲、運動力などを適宜調整したり、適当な速さで徐々に運動外力を加えたりすることができ、簡単な操作で大きな治療効果をあげることのできる優れた装置である。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−33104号公報(第3−5頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載されている開口訓練器(顎運動装置)は、上下二つのレバー部を操作して開閉方向の運動を行い、ハンドルギア部などを操作して前後方向の運動を行う構成となっているため、使用者である治療者または患者自身は開口訓練の際に両手を使用する必要があり、患者自身による前後方向の運動訓練が困難となることがある。
【0007】
また、前記開口訓練器(顎運動装置)は、口の開閉運動を行うための上下二つのレバー部だけでなく、これら二つのレバー部を前後方向に相互運動させるための連結部および当該連結部を作動させるための操作部などを備えた複雑な構造であり、特に、二つのレバー部を前後方向に相互運動させるための連結部(ハンドルギア)の操作範囲を確保する必要があることから小型化および軽量化が困難であるので、装置を手と口で支えて使用しているときの身体的負担が大きく、搬送や収納の際には広いスペースが必要である。さらに、前記開口訓練器(顎運動装置)は、これを構成する部品点数が比較的多いので故障要因も多くなりがちであり、ギアや回転支軸などへの注油などのメンテナンスも必要となることがある。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、患者自身による前方運動訓練および開閉運動訓練を比較的容易に行うことができ、操作性が良好で、使用中の身体的負担も少ない開口訓練器を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の開口訓練器は、口腔内の上顎歯牙に係合する上顎係合部と、前記上顎係合部から離れた位置に設けられた把持部と、前記上顎係合部と前記把持部との間に前記把持部方向へ傾斜して形成された部材誘導面とを有する第一開閉部材と、
口腔内の下顎歯牙に係合する下顎係合部を有し前記第一開閉部材と摺接可能なスライド部材と、前記スライド部材に一定角度範囲内のみ回動可能に軸支され前記部材誘導面に摺接する摺動部を有する把持部材とで形成された第二開閉部材とを、
前記上顎係合部および前記下顎係合部をそれぞれ外側に向けて対向配置し、前記部材誘導面と前記摺動部とを摺動可能且つ前記摺動部を支点にして前記把持部材が回動可能な状態に連結して形成したことを特徴とする。
【0010】
このような構成とすることにより、本発明の開口訓練器の外観はペンチ形状となり、第一開閉部材の把持部と第二開閉部材の把持部材とは互いにペンチを操作するように開閉操作することができ、把持部と把持部材とを閉止する操作によって、スライド部材は第一開閉部材に沿って把持部材方向へ一定距離だけスライド移動し、その後、摺動部を中心に把持部材から離隔する方向へ開くように移動するので、上顎係合部および下顎係合部をそれぞれ上顎歯牙および下顎歯牙に係合させた状態で前記閉止操作を行えば、患者自身による口腔の前方運動訓練および開閉運動訓練を比較的容易に行うことができる。以下、第一開閉部材および第二開閉部材の開閉機構について説明する。
【0011】
第一開閉部材の把持部と第二開閉部材の把持部材とを互いに広げた状態、すなわち、把持部材の摺動部を第一開閉部材の部材誘導面の最もスライド部材寄りの位置に接触させた状態にした後、把持部と把持部材を掌で掴んで互いに接近する方向に操作すると、スライド部材に対し把持部材が回動可能な範囲内においては把持部材の摺動部が第一開閉部材の部材誘導面に沿って下り、全体的に把持部に近づく方向へ摺動するので、スライド部材は第一開閉部材に沿って把持部方向へ引き込まれるように移動する。
【0012】
そして、スライド部材が最も把持部方向へ移動した状態になるとスライド部材に対する把持部材の回動可能限度となり、この後さらに第一開閉部材の把持部と第二開閉部材の把持部材とを互いに接近させる方向へ操作すると、第二開閉部材全体が摺動部を支点にして回動し始めるため、これに伴ってスライド部材は摺動部を中心にして第一開閉部材から離れる方向へ回動し、両者は開脚するように開いていき、第一開閉部材の把持部と第二開閉部材の把持部材とが当接した時点で回動が阻止され、第一開閉部材とスライド部材とが最大に開いた状態となる。この後、逆の操作を行えば、スライド部材は逆の過程をたどる。
【0013】
したがって、第一開閉部材の把持部と第二開閉部材の把持部材とを互いに広げた状態にし、上顎係合部および下顎係合部をそれぞれ口腔内の上顎歯牙および下顎歯牙に係合させた後、第一開閉部材の把持部と第二開閉部材の把持部材とを互いに接近させる方向に操作すると、スライド部材が第一開閉部材に沿って把持部材方向へ引き込まれるように移動することにより下顎係合部が下顎歯牙に係合した状態で前方へ移動するので、比較的容易に前方運動訓練を行うことができる。
【0014】
一方、スライド部材が最も把持部方向へ移動した状態にして、上顎係合部および下顎係合部をそれぞれ口腔内の上顎歯牙および下顎歯牙に係合させた後、第一開閉部材の把持部と第二開閉部材の把持部材とを互いに接近させる方向に操作すると、スライド部材と第一開閉部材とが開脚することにより下顎係合部が下顎歯牙に係合したまま上顎係合部から離れる方向へ移動して開口させるので開口訓練を行うことができ、第一開閉部材の把持部と第二開閉部材の把持部材とに加えている力を解除すれば閉口できるので、通常の開閉運動訓練も比較的容易に行うことができる。
【0015】
このように、上顎係合部および下顎係合部をそれぞれ上顎歯牙および下顎歯牙に係合させ、第一開閉部材の把持部と第二開閉部材の把持部材とを手で掴んで互いに接近、離隔させる方向に操作するだけで口腔の前方運動訓練、開閉運動訓練を行うことができるので、両手を使用する必要がなく、操作性も良好である。さらに、第一開閉部材、スライド部材および把持部材などの比較的少ない部品で構成された簡素な構造であるため、小型化、軽量化を図り易く、使用中の身体的負担も小さくすることができる。
【0016】
ここで、前記第一開閉部材と前記スライド部材との相互移動範囲を前記口腔の前方運動および開閉運動方向と一致する平面内に規制するガイド部材を設けることが望ましい。これにより、第一開閉部材の把持部と第二開閉部材の把持部材との開閉操作中における上顎係合部および下顎係合部の横ぶれをなくすことができるので、操作性が安定し、さらに正確な前方運動訓練および開閉運動訓練を行うことができるようになる。
【0017】
また、前記第一開閉部材と前記第二開閉部材とを着脱可能な連結部材で連結する構造とすれば、第一開閉部材と第二開閉部材とを必要に応じて連結、分離することが可能となるので、使用後の清掃作業などが容易となりメンテナンス性が向上するだけでなく、運搬や保管のスペースを削減することもでき、損傷した部材のみの交換も可能となる。なお、連結部材としては、ゴムなどの弾性材が好適であり、第一開閉部材および第二開閉部材を束ねるようにゴムを巻き付ければ両者を一定方向へ付勢した状態で連結することができ、片手の力で把持部、把持部材を容易に操作することができ、力を解除した後のスライド部材の復元性も良好である。
【0018】
一方、前記上顎係合部と前記下顎係合部との最大開度を選択的に限定する開度規制手段を設けることが望ましい。これにより、上顎係合部と下顎係合部との最大開度を予め設定できるようになるため、個々の患者の状況に適した開閉運動訓練が可能となり、予め設定した最大開度まで開口できた時点で訓練結果を客観的に評価することができ、予め最大開度を設定することは訓練の目標値を設定することにもなるため、患者にとって訓練の動機付けが明確となり、訓練効果の向上に有効である。また、第一開閉部材に対してスライド部材を摺動させた際の移動距離を表示するための目盛およびカーソルなどを第一開閉部材、第二開閉部材に設ければ、前方運動訓練を行う場合の訓練結果を客観的に評価することができるようになるため、前述と同様に訓練効果の向上に有効である。
【0019】
前記開度規制手段としては、前記第一開閉部材、前記第二開閉部材の少なくとも一方に、前記把持部と前記把持部材との接近距離が一定以下になることを阻止する開度ストッパを設ければ、把持部と把持部材との接近距離が一定値になったことを開度ストッパで確認できることとなる、極めて簡素な機構で上顎係合部と下顎係合部との最大開度を正確に規制することができる。この場合、前記開度ストッパが着脱可能な複数のストッパ係止部とを設けることが望ましい。このような構成とすれば、開度ストッパの係止位置を変更するだけの簡単な作業で最大開度の変更が可能となるので、患者個々への適応性が向上する。
【0020】
また、前記部材誘導面、前記摺動部の少なくとも一方に、前記部材誘導面と前記摺動部との離隔を阻止する摺動ストッパを設けることにより、開閉操作中などにおける部材誘導面からの摺動部の離脱などを防止できるようになるので、さらに安定した操作性が得られる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1(a)は本発明の実施の形態である開口訓練器を示す平面図、(b)は前記開口訓練器を示す側面図、図2は図1に示す開口訓練器の透視側面図、図3は図1に示す開口訓練器の分解図である。
【0022】
本実施形態の開口訓練器1は、口腔内の上顎歯牙に係合する上顎係合部2と、上顎係合部2から離れた位置に設けられた把持部3と、上顎係合部2と把持部3との間に突起部4を設けることで把持部3方向へ傾斜して形成された部材誘導面4bとを有する第一開閉部材5と、口腔内の下顎歯牙に係合する複数の下顎係合部6a,6bを有し第一開閉部材5と摺接可能なスライド部材7と、スライド部材7に対して一定角度の範囲内のみ回動可能に軸支され部材誘導面4bに摺接する摺動部8を有する把持部材9とで形成された第二開閉部材10と、第二開閉部材10のスライド部材7の両側面に配置されたガイド部材11と、第一開閉部材5と第二開閉部材10とを連結する輪ゴム12などで構成されている。把持部材9はスライド部材7に支軸部9aを介して軸支され、スライド部材7に対して支軸部9aを中心に一定角度R(約35度)の範囲内のみ回動可能である。
【0023】
開口訓練器1では、上顎係合部2および下顎係合部6がそれぞれ外側に向けて対向配置され、第一開閉部材5の切欠部5aとスライド部材7の切欠部7aとに輪ゴム12を掛けることにより、部材誘導面4bと摺動部8とを摺動可能且つ摺動部8を支点にして把持部材9が回動可能な状態に連結されている。また、第一開閉部材5の把持部3において把持部材9と対向する部分には、スリット状のストッパ係止部13が複数設けられ、そのうちの一つのストッパ係止部13にゴム製の開度ストッパ14が着脱可能に係止されている。また、把持部3の端部には、同じくスリット状のストッパ収納部15が複数設けられ、予備の開度ストッパ14が着脱可能に保持されている。開度ストッパ14は、四角形のゴム板の一対の対辺を丸めた形状となっている。
【0024】
第一開閉部材5の把持部3のストッパ係止部13の底部付近に記載された数字16は、それぞれの位置に開度ストッパ14を係止した状態で把持部材9を当該開度ストッパ14に当接させたときの、第一開閉部材5の上顎係合部2と、スライド部材7の下顎係合部6bとの距離をmm単位で示している。また、第一開閉部材5の側面において、ガイド部材11が位置する部分には一定間隔の目盛り17が設けられ、ガイド部材11にはカーソル18が設けられている。
【0025】
ここで、図4を参照して、開口訓練器1を用いて、口腔の前方運動訓練を行なう場合について説明する。図4に示すように、第二開閉部材10のスライド部材7を第一開閉部材5に接触させ第一開閉部材5と把持部材9とを最大開度まで開いた状態にして、上顎係合部2および一方の下顎係合部6aをそれぞれ口腔内の上顎歯牙19および下顎歯牙20に係合させた後、第一開閉部材5の把持部3と第二開閉部材10の把持部材9とを掌で掴んで互いに接近させる方向に操作すると、角度Rの範囲内では把持部材9が支軸部9aを中心に回動し、保持部材9の摺動部8が第一開閉部材3の部材誘導面4bに沿って把持部3に近づく方向へ摺動していくので、スライド部材7は第一開閉部材5に沿って把持部材9方向へ引き込まれるように移動する。このとき、スライド部材7を含む第二開閉部材10とともにガイド部材11も移動するので、第一開閉部材5に対するスライド部材7の移動距離は目盛り17とカーソル18によって目視確認することができる。
【0026】
このように、開口訓練器1を図4に示す状態にセットした後、第一開閉部材5の把持部3と第二開閉部材10の把持部材9とを互いに接近させる方向に操作すると上顎係合部2に対して下顎係合部6aが患者の口腔の前方へ移動し、把持部3と把持部材9とを掴んでいる掌の力を緩めれば輪ゴム12の弾性によりスライド部材7は元の位置まで戻るので、このような操作を繰り返すことにより、患者自身による前方運動訓練を比較的容易に行うことができる。また、このときの下顎歯牙20の前方移動距離を目盛り17およびカーソル18で目視確認することにより訓練結果を客観的に評価することができるため、訓練効果の向上を図ることができる。
【0027】
次に、図5を参照して、開口訓練器1を用いて、口腔の開閉運動訓練を行なう場合について説明する。第一開閉部材5の把持部3と第二開閉部材10の把持部材9とを掌で掴んで、スライド部材7に対する把持部材9の回動可能範囲(角度R)に達するまで互いに接近させると、スライド部材7が第一開閉部材5に沿って把持部材9方向へ引き込む方向へ移動し、スライド部材7の後端部分が部材誘導面4bを構成する突起部4に当接した状態となり、第一開閉部材5の先端部とスライド部材7の先端部とが同位置となるので、上顎係合部2および一方の下顎係合部6bをそれぞれ口腔内の上顎歯牙19および下顎歯牙20に係合させた後、第一開閉部材5の把持部3と第二開閉部材10の把持部材9とがさらに接近する方向に操作していくと、図5に示すように、第二開閉部材10全体がくの字を保ったまま摺動部8を中心に回動していき、図5に示すように、スライド部材7が第一開閉部材5から離れていくことにより、上顎係合部2と下顎係合部6bとは互いに離れる方向へ回動していく。
【0028】
この後、第一開閉部材5の把持部3と第二開閉部材10の把持部材9とをさらに接近させていくと、第一開閉部材5の把持部3に係止された開度ストッパ14と第二開閉部材10の把持部材9とが当接した時点で回動が阻止されるが、当該開度ストッパ14が係止されたストッパ係止部13の数字16で示された数値が上顎係合部19と下顎係合部20との間の距離(mm)となる。この後、掌の力を緩めれば輪ゴム12の弾性によりスライド部材7は元の位置まで戻るので、このような操作を行なうことによって、上顎歯牙19と下顎歯牙20とを開いたり、閉じたりして、口腔の開閉運動訓練を行うことができる。
【0029】
このように、上顎係合部2および下顎係合部6bをそれぞれ上顎歯牙19および下顎歯牙20に係合させ、把持部3と把持部材9とを片方の掌で掴んで互いに接近させる方向に操作するだけで開閉運動訓練ができるので、両手を使用する必要がなく、操作性も良好である。また、第一開閉部材5、スライド部材7および把持部材9などの比較的少ない部品で構成された簡素な構造であるため、小型化、軽量化を図り易く、使用中の身体的負担も小さくすることができる。
【0030】
開口訓練器1では、スライド部材7の両側面に、当該スライド部材7、第一開閉部材5の部材誘導面4bおよび把持部材9の摺動部8と支軸部9aを挟持するようにガイド部材11を設けているので、第一開閉部材5とスライド部材7との相互移動範囲が口腔の開閉運動方向と一致する平面内に規制され、開閉操作中における上顎係合部2および下顎係合部6の横ぶれが発生せず、安定した操作性が得られ、正確な開閉訓練を行うことができる。
【0031】
また、第一開閉部材5と第二開閉部材10とは着脱可能な輪ゴム12で連結しているので、第一開閉部材5と第二開閉部材10とを容易に連結、分離することができ、使用後の清掃作業などが容易でメンテナンス性が良好であり、運搬や保管のスペースを削減することもできる。
【0032】
さらに、上顎係合部2と下顎係合部6bとの距離が一定以上になることを阻止するため、複数のストッパ係止部13とこれらに着脱可能な開度ストッパ14を設けているため、ストッパ係止部13のいずれかに開度ストッパ14を取り付けるという簡単な作業で上顎係合部2と下顎係合部6bとの距離を前もって設定することができる。したがって、個々の患者の状況に適した開閉運動訓練が可能であり、訓練結果を客観的に評価することができるだけでなく、目標値を設定することで、訓練の動機付けが明確となり、訓練効果の向上を図ることができる。
【0033】
また、部材誘導面4bおよび摺動部8の両方に、部材誘導面4bと摺動部8との離隔を阻止する摺動ストッパ4a,8aを設けているため、開閉操作中などに把持部材9を開き過ぎた場合でも部材誘導面4bから摺動部8が離脱することがなく、安定した操作性が得られる。
【0034】
本発明の開口訓練器を形成する素材については特に限定するものではないが、本実施形態においてメタクリル酸メチルエステルを主原料とする合成樹脂で開口訓練器1の第一開閉部材5および第二開閉部材10などを製作したところ比較的軽量で優れた実用強度を発揮するほか、この樹脂は削合性も良好であるため、患者個々の歯牙形態に応じて、上顎係合部2および下顎係合部6a,6bの形状を比較的容易に削合修正できるという点でも優れている。
【0035】
【発明の効果】
本発明により以下の効果を奏する。
【0036】
(1)口腔内の上顎歯牙に係合する上顎係合部と、上顎係合部から離れた位置に設けられた把持部と、上顎係合部と把持部との間に把持部方向へ傾斜して形成された部材誘導面とを有する第一開閉部材と、口腔内の下顎歯牙に係合する下顎係合部を有し第一開閉部材と摺接可能なスライド部材と、スライド部材に一定角度範囲内のみ回動可能に軸支され前記部材誘導面に摺接する摺動部を有する把持部材とで形成された第二開閉部材とを、上顎係合部および下顎係合部をそれぞれ外側に向けて対向配置し、部材誘導面と摺動部とを摺動可能且つ前記摺動部を支点にして把持部材が回動可能な状態に連結して形成したことにより、患者自身による前方運動訓練および開閉運動訓練を比較的容易に行うことが可能となり、操作性が良好となり、使用中の身体的負担も少なくなる。
【0037】
(2)前記第一開閉部材と前記スライド部材との相互移動範囲を前記口腔の開閉運動方向と一致する平面内に規制するガイド部材を設ければ、開閉操作中における上顎係合部および下顎係合部の横ぶれをなくすことができるので、操作性が安定し、さらに正確な開閉訓練を行うことができるようになる。
【0038】
(3)前記第一開閉部材と前記第二開閉部材とを着脱可能な連結部材で連結すれば、第一開閉部材と第二開閉部材との連結、分離が可能となるので、使用後の清掃作業などが容易となりメンテナンス性が向上するだけでなく、運搬や保管のスペースを削減することもでき、損傷した開閉部材のみの交換も可能となる。
【0039】
(4)前記上顎係合部と前記下顎係合部との最大開度を選択的に限定する開度規制手段を設けることにより、上顎係合部と下顎係合部との最大開度を予め設定できるようになるため、個々の患者の状況に適した開閉運動訓練が可能となり、訓練結果を客観的に評価することができ、予め最大開度を設定することで訓練の目標値が設定されるため、患者にとって訓練の動機付けが明確となり、訓練効果の向上に有効である。
【0040】
(5)前記開度規制手段として、前記第一開閉部材、前記第二開閉部材の少なくとも一方に着脱可能であって前記把持部と前記把持部材との接近距離が一定以下になることを阻止する開度ストッパを設けることにより、極めて簡素な機構で上顎係合部と下顎係合部との最大開度を正確に規制することができる。
【0041】
(6)前記第一開閉部材、前記第二開閉部材の少なくとも一方に、前記開度ストッパが着脱可能な複数のストッパ係止部を設けることにより、開度ストッパの係止位置を変更するだけの簡単な作業で最大開度の変更が可能となるので、患者個々への適合性が向上する。
【0042】
(7)前記部材誘導面、前記摺動部の少なくとも一方に、前記部材誘導面と前記摺動部との離隔を阻止する摺動ストッパを設けることにより、開閉操作中などにおける部材誘導面からの摺動部の離脱などを防止できるようになるので、さらに安定した操作性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の実施の形態である開口訓練器を示す平面図であり、(b)は前記開口訓練器を示す側面図である。
【図2】図1に示す開口訓練器の透視側面図である。
【図3】図1に示す開口訓練器の分解図である。
【図4】図1に示す開口訓練器の使用状態を示す側面図である。
【図5】図1に示す開口訓練器の使用状態を示す側面図である。
【符号の説明】
1 開口訓練器
2 上顎係合部
3 把持部
4 突起部
4a,8a 摺動ストッパ
4b 部材誘導面
5 第一開閉部材
5a,7a 切欠部
6 下顎係合部
7 スライド部材
8 摺動部
9 把持部材
9a 支軸部
10 第二開閉部材
11 ガイド部材
12 輪ゴム
13 ストッパ係止部
14 開度ストッパ
15 ストッパ収納部
16 数字
17 目盛り
18 カーソル
19 上顎歯牙
20 下顎歯牙
【発明の属する技術分野】
口の開閉運動に支障のある人などが機能回復のために口の開閉訓練を行う際に使用する開口訓練器に関する。
【0002】
【従来の技術】
顎関節症の治療、顎変形症や顎骨骨折の手術後における顎間固定解除後などには、顎関節可動域の増大あるいは筋ストレッチングによる閉口筋の伸展を目的として開口訓練が行われることが多い。従来の開口訓練は、手指を用いたり、市販の開口訓練器を用いたりして実施されていた。
【0003】
ところが、従来の開口訓練器は開閉口の単純な運動しかできなかったので、習慣性開閉運動と前方運動とが複雑に組み合わさった実際の下顎の動きに対応できず、十分な機能回復訓練を行うことができなかった。
【0004】
そこで、開閉方向のほかに前方向に対しても顎運動の訓練を行うことができる開口訓練器(顎運動装置)が開発されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載されている開口訓練器(顎運動装置)によれば、治療者または患者自身が患者の顎の反力を感じながら適切な開閉動作および前後動作の外力を加えるようにすることができ、また、顎の寸法、運動範囲、運動力などを適宜調整したり、適当な速さで徐々に運動外力を加えたりすることができ、簡単な操作で大きな治療効果をあげることのできる優れた装置である。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−33104号公報(第3−5頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載されている開口訓練器(顎運動装置)は、上下二つのレバー部を操作して開閉方向の運動を行い、ハンドルギア部などを操作して前後方向の運動を行う構成となっているため、使用者である治療者または患者自身は開口訓練の際に両手を使用する必要があり、患者自身による前後方向の運動訓練が困難となることがある。
【0007】
また、前記開口訓練器(顎運動装置)は、口の開閉運動を行うための上下二つのレバー部だけでなく、これら二つのレバー部を前後方向に相互運動させるための連結部および当該連結部を作動させるための操作部などを備えた複雑な構造であり、特に、二つのレバー部を前後方向に相互運動させるための連結部(ハンドルギア)の操作範囲を確保する必要があることから小型化および軽量化が困難であるので、装置を手と口で支えて使用しているときの身体的負担が大きく、搬送や収納の際には広いスペースが必要である。さらに、前記開口訓練器(顎運動装置)は、これを構成する部品点数が比較的多いので故障要因も多くなりがちであり、ギアや回転支軸などへの注油などのメンテナンスも必要となることがある。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、患者自身による前方運動訓練および開閉運動訓練を比較的容易に行うことができ、操作性が良好で、使用中の身体的負担も少ない開口訓練器を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の開口訓練器は、口腔内の上顎歯牙に係合する上顎係合部と、前記上顎係合部から離れた位置に設けられた把持部と、前記上顎係合部と前記把持部との間に前記把持部方向へ傾斜して形成された部材誘導面とを有する第一開閉部材と、
口腔内の下顎歯牙に係合する下顎係合部を有し前記第一開閉部材と摺接可能なスライド部材と、前記スライド部材に一定角度範囲内のみ回動可能に軸支され前記部材誘導面に摺接する摺動部を有する把持部材とで形成された第二開閉部材とを、
前記上顎係合部および前記下顎係合部をそれぞれ外側に向けて対向配置し、前記部材誘導面と前記摺動部とを摺動可能且つ前記摺動部を支点にして前記把持部材が回動可能な状態に連結して形成したことを特徴とする。
【0010】
このような構成とすることにより、本発明の開口訓練器の外観はペンチ形状となり、第一開閉部材の把持部と第二開閉部材の把持部材とは互いにペンチを操作するように開閉操作することができ、把持部と把持部材とを閉止する操作によって、スライド部材は第一開閉部材に沿って把持部材方向へ一定距離だけスライド移動し、その後、摺動部を中心に把持部材から離隔する方向へ開くように移動するので、上顎係合部および下顎係合部をそれぞれ上顎歯牙および下顎歯牙に係合させた状態で前記閉止操作を行えば、患者自身による口腔の前方運動訓練および開閉運動訓練を比較的容易に行うことができる。以下、第一開閉部材および第二開閉部材の開閉機構について説明する。
【0011】
第一開閉部材の把持部と第二開閉部材の把持部材とを互いに広げた状態、すなわち、把持部材の摺動部を第一開閉部材の部材誘導面の最もスライド部材寄りの位置に接触させた状態にした後、把持部と把持部材を掌で掴んで互いに接近する方向に操作すると、スライド部材に対し把持部材が回動可能な範囲内においては把持部材の摺動部が第一開閉部材の部材誘導面に沿って下り、全体的に把持部に近づく方向へ摺動するので、スライド部材は第一開閉部材に沿って把持部方向へ引き込まれるように移動する。
【0012】
そして、スライド部材が最も把持部方向へ移動した状態になるとスライド部材に対する把持部材の回動可能限度となり、この後さらに第一開閉部材の把持部と第二開閉部材の把持部材とを互いに接近させる方向へ操作すると、第二開閉部材全体が摺動部を支点にして回動し始めるため、これに伴ってスライド部材は摺動部を中心にして第一開閉部材から離れる方向へ回動し、両者は開脚するように開いていき、第一開閉部材の把持部と第二開閉部材の把持部材とが当接した時点で回動が阻止され、第一開閉部材とスライド部材とが最大に開いた状態となる。この後、逆の操作を行えば、スライド部材は逆の過程をたどる。
【0013】
したがって、第一開閉部材の把持部と第二開閉部材の把持部材とを互いに広げた状態にし、上顎係合部および下顎係合部をそれぞれ口腔内の上顎歯牙および下顎歯牙に係合させた後、第一開閉部材の把持部と第二開閉部材の把持部材とを互いに接近させる方向に操作すると、スライド部材が第一開閉部材に沿って把持部材方向へ引き込まれるように移動することにより下顎係合部が下顎歯牙に係合した状態で前方へ移動するので、比較的容易に前方運動訓練を行うことができる。
【0014】
一方、スライド部材が最も把持部方向へ移動した状態にして、上顎係合部および下顎係合部をそれぞれ口腔内の上顎歯牙および下顎歯牙に係合させた後、第一開閉部材の把持部と第二開閉部材の把持部材とを互いに接近させる方向に操作すると、スライド部材と第一開閉部材とが開脚することにより下顎係合部が下顎歯牙に係合したまま上顎係合部から離れる方向へ移動して開口させるので開口訓練を行うことができ、第一開閉部材の把持部と第二開閉部材の把持部材とに加えている力を解除すれば閉口できるので、通常の開閉運動訓練も比較的容易に行うことができる。
【0015】
このように、上顎係合部および下顎係合部をそれぞれ上顎歯牙および下顎歯牙に係合させ、第一開閉部材の把持部と第二開閉部材の把持部材とを手で掴んで互いに接近、離隔させる方向に操作するだけで口腔の前方運動訓練、開閉運動訓練を行うことができるので、両手を使用する必要がなく、操作性も良好である。さらに、第一開閉部材、スライド部材および把持部材などの比較的少ない部品で構成された簡素な構造であるため、小型化、軽量化を図り易く、使用中の身体的負担も小さくすることができる。
【0016】
ここで、前記第一開閉部材と前記スライド部材との相互移動範囲を前記口腔の前方運動および開閉運動方向と一致する平面内に規制するガイド部材を設けることが望ましい。これにより、第一開閉部材の把持部と第二開閉部材の把持部材との開閉操作中における上顎係合部および下顎係合部の横ぶれをなくすことができるので、操作性が安定し、さらに正確な前方運動訓練および開閉運動訓練を行うことができるようになる。
【0017】
また、前記第一開閉部材と前記第二開閉部材とを着脱可能な連結部材で連結する構造とすれば、第一開閉部材と第二開閉部材とを必要に応じて連結、分離することが可能となるので、使用後の清掃作業などが容易となりメンテナンス性が向上するだけでなく、運搬や保管のスペースを削減することもでき、損傷した部材のみの交換も可能となる。なお、連結部材としては、ゴムなどの弾性材が好適であり、第一開閉部材および第二開閉部材を束ねるようにゴムを巻き付ければ両者を一定方向へ付勢した状態で連結することができ、片手の力で把持部、把持部材を容易に操作することができ、力を解除した後のスライド部材の復元性も良好である。
【0018】
一方、前記上顎係合部と前記下顎係合部との最大開度を選択的に限定する開度規制手段を設けることが望ましい。これにより、上顎係合部と下顎係合部との最大開度を予め設定できるようになるため、個々の患者の状況に適した開閉運動訓練が可能となり、予め設定した最大開度まで開口できた時点で訓練結果を客観的に評価することができ、予め最大開度を設定することは訓練の目標値を設定することにもなるため、患者にとって訓練の動機付けが明確となり、訓練効果の向上に有効である。また、第一開閉部材に対してスライド部材を摺動させた際の移動距離を表示するための目盛およびカーソルなどを第一開閉部材、第二開閉部材に設ければ、前方運動訓練を行う場合の訓練結果を客観的に評価することができるようになるため、前述と同様に訓練効果の向上に有効である。
【0019】
前記開度規制手段としては、前記第一開閉部材、前記第二開閉部材の少なくとも一方に、前記把持部と前記把持部材との接近距離が一定以下になることを阻止する開度ストッパを設ければ、把持部と把持部材との接近距離が一定値になったことを開度ストッパで確認できることとなる、極めて簡素な機構で上顎係合部と下顎係合部との最大開度を正確に規制することができる。この場合、前記開度ストッパが着脱可能な複数のストッパ係止部とを設けることが望ましい。このような構成とすれば、開度ストッパの係止位置を変更するだけの簡単な作業で最大開度の変更が可能となるので、患者個々への適応性が向上する。
【0020】
また、前記部材誘導面、前記摺動部の少なくとも一方に、前記部材誘導面と前記摺動部との離隔を阻止する摺動ストッパを設けることにより、開閉操作中などにおける部材誘導面からの摺動部の離脱などを防止できるようになるので、さらに安定した操作性が得られる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1(a)は本発明の実施の形態である開口訓練器を示す平面図、(b)は前記開口訓練器を示す側面図、図2は図1に示す開口訓練器の透視側面図、図3は図1に示す開口訓練器の分解図である。
【0022】
本実施形態の開口訓練器1は、口腔内の上顎歯牙に係合する上顎係合部2と、上顎係合部2から離れた位置に設けられた把持部3と、上顎係合部2と把持部3との間に突起部4を設けることで把持部3方向へ傾斜して形成された部材誘導面4bとを有する第一開閉部材5と、口腔内の下顎歯牙に係合する複数の下顎係合部6a,6bを有し第一開閉部材5と摺接可能なスライド部材7と、スライド部材7に対して一定角度の範囲内のみ回動可能に軸支され部材誘導面4bに摺接する摺動部8を有する把持部材9とで形成された第二開閉部材10と、第二開閉部材10のスライド部材7の両側面に配置されたガイド部材11と、第一開閉部材5と第二開閉部材10とを連結する輪ゴム12などで構成されている。把持部材9はスライド部材7に支軸部9aを介して軸支され、スライド部材7に対して支軸部9aを中心に一定角度R(約35度)の範囲内のみ回動可能である。
【0023】
開口訓練器1では、上顎係合部2および下顎係合部6がそれぞれ外側に向けて対向配置され、第一開閉部材5の切欠部5aとスライド部材7の切欠部7aとに輪ゴム12を掛けることにより、部材誘導面4bと摺動部8とを摺動可能且つ摺動部8を支点にして把持部材9が回動可能な状態に連結されている。また、第一開閉部材5の把持部3において把持部材9と対向する部分には、スリット状のストッパ係止部13が複数設けられ、そのうちの一つのストッパ係止部13にゴム製の開度ストッパ14が着脱可能に係止されている。また、把持部3の端部には、同じくスリット状のストッパ収納部15が複数設けられ、予備の開度ストッパ14が着脱可能に保持されている。開度ストッパ14は、四角形のゴム板の一対の対辺を丸めた形状となっている。
【0024】
第一開閉部材5の把持部3のストッパ係止部13の底部付近に記載された数字16は、それぞれの位置に開度ストッパ14を係止した状態で把持部材9を当該開度ストッパ14に当接させたときの、第一開閉部材5の上顎係合部2と、スライド部材7の下顎係合部6bとの距離をmm単位で示している。また、第一開閉部材5の側面において、ガイド部材11が位置する部分には一定間隔の目盛り17が設けられ、ガイド部材11にはカーソル18が設けられている。
【0025】
ここで、図4を参照して、開口訓練器1を用いて、口腔の前方運動訓練を行なう場合について説明する。図4に示すように、第二開閉部材10のスライド部材7を第一開閉部材5に接触させ第一開閉部材5と把持部材9とを最大開度まで開いた状態にして、上顎係合部2および一方の下顎係合部6aをそれぞれ口腔内の上顎歯牙19および下顎歯牙20に係合させた後、第一開閉部材5の把持部3と第二開閉部材10の把持部材9とを掌で掴んで互いに接近させる方向に操作すると、角度Rの範囲内では把持部材9が支軸部9aを中心に回動し、保持部材9の摺動部8が第一開閉部材3の部材誘導面4bに沿って把持部3に近づく方向へ摺動していくので、スライド部材7は第一開閉部材5に沿って把持部材9方向へ引き込まれるように移動する。このとき、スライド部材7を含む第二開閉部材10とともにガイド部材11も移動するので、第一開閉部材5に対するスライド部材7の移動距離は目盛り17とカーソル18によって目視確認することができる。
【0026】
このように、開口訓練器1を図4に示す状態にセットした後、第一開閉部材5の把持部3と第二開閉部材10の把持部材9とを互いに接近させる方向に操作すると上顎係合部2に対して下顎係合部6aが患者の口腔の前方へ移動し、把持部3と把持部材9とを掴んでいる掌の力を緩めれば輪ゴム12の弾性によりスライド部材7は元の位置まで戻るので、このような操作を繰り返すことにより、患者自身による前方運動訓練を比較的容易に行うことができる。また、このときの下顎歯牙20の前方移動距離を目盛り17およびカーソル18で目視確認することにより訓練結果を客観的に評価することができるため、訓練効果の向上を図ることができる。
【0027】
次に、図5を参照して、開口訓練器1を用いて、口腔の開閉運動訓練を行なう場合について説明する。第一開閉部材5の把持部3と第二開閉部材10の把持部材9とを掌で掴んで、スライド部材7に対する把持部材9の回動可能範囲(角度R)に達するまで互いに接近させると、スライド部材7が第一開閉部材5に沿って把持部材9方向へ引き込む方向へ移動し、スライド部材7の後端部分が部材誘導面4bを構成する突起部4に当接した状態となり、第一開閉部材5の先端部とスライド部材7の先端部とが同位置となるので、上顎係合部2および一方の下顎係合部6bをそれぞれ口腔内の上顎歯牙19および下顎歯牙20に係合させた後、第一開閉部材5の把持部3と第二開閉部材10の把持部材9とがさらに接近する方向に操作していくと、図5に示すように、第二開閉部材10全体がくの字を保ったまま摺動部8を中心に回動していき、図5に示すように、スライド部材7が第一開閉部材5から離れていくことにより、上顎係合部2と下顎係合部6bとは互いに離れる方向へ回動していく。
【0028】
この後、第一開閉部材5の把持部3と第二開閉部材10の把持部材9とをさらに接近させていくと、第一開閉部材5の把持部3に係止された開度ストッパ14と第二開閉部材10の把持部材9とが当接した時点で回動が阻止されるが、当該開度ストッパ14が係止されたストッパ係止部13の数字16で示された数値が上顎係合部19と下顎係合部20との間の距離(mm)となる。この後、掌の力を緩めれば輪ゴム12の弾性によりスライド部材7は元の位置まで戻るので、このような操作を行なうことによって、上顎歯牙19と下顎歯牙20とを開いたり、閉じたりして、口腔の開閉運動訓練を行うことができる。
【0029】
このように、上顎係合部2および下顎係合部6bをそれぞれ上顎歯牙19および下顎歯牙20に係合させ、把持部3と把持部材9とを片方の掌で掴んで互いに接近させる方向に操作するだけで開閉運動訓練ができるので、両手を使用する必要がなく、操作性も良好である。また、第一開閉部材5、スライド部材7および把持部材9などの比較的少ない部品で構成された簡素な構造であるため、小型化、軽量化を図り易く、使用中の身体的負担も小さくすることができる。
【0030】
開口訓練器1では、スライド部材7の両側面に、当該スライド部材7、第一開閉部材5の部材誘導面4bおよび把持部材9の摺動部8と支軸部9aを挟持するようにガイド部材11を設けているので、第一開閉部材5とスライド部材7との相互移動範囲が口腔の開閉運動方向と一致する平面内に規制され、開閉操作中における上顎係合部2および下顎係合部6の横ぶれが発生せず、安定した操作性が得られ、正確な開閉訓練を行うことができる。
【0031】
また、第一開閉部材5と第二開閉部材10とは着脱可能な輪ゴム12で連結しているので、第一開閉部材5と第二開閉部材10とを容易に連結、分離することができ、使用後の清掃作業などが容易でメンテナンス性が良好であり、運搬や保管のスペースを削減することもできる。
【0032】
さらに、上顎係合部2と下顎係合部6bとの距離が一定以上になることを阻止するため、複数のストッパ係止部13とこれらに着脱可能な開度ストッパ14を設けているため、ストッパ係止部13のいずれかに開度ストッパ14を取り付けるという簡単な作業で上顎係合部2と下顎係合部6bとの距離を前もって設定することができる。したがって、個々の患者の状況に適した開閉運動訓練が可能であり、訓練結果を客観的に評価することができるだけでなく、目標値を設定することで、訓練の動機付けが明確となり、訓練効果の向上を図ることができる。
【0033】
また、部材誘導面4bおよび摺動部8の両方に、部材誘導面4bと摺動部8との離隔を阻止する摺動ストッパ4a,8aを設けているため、開閉操作中などに把持部材9を開き過ぎた場合でも部材誘導面4bから摺動部8が離脱することがなく、安定した操作性が得られる。
【0034】
本発明の開口訓練器を形成する素材については特に限定するものではないが、本実施形態においてメタクリル酸メチルエステルを主原料とする合成樹脂で開口訓練器1の第一開閉部材5および第二開閉部材10などを製作したところ比較的軽量で優れた実用強度を発揮するほか、この樹脂は削合性も良好であるため、患者個々の歯牙形態に応じて、上顎係合部2および下顎係合部6a,6bの形状を比較的容易に削合修正できるという点でも優れている。
【0035】
【発明の効果】
本発明により以下の効果を奏する。
【0036】
(1)口腔内の上顎歯牙に係合する上顎係合部と、上顎係合部から離れた位置に設けられた把持部と、上顎係合部と把持部との間に把持部方向へ傾斜して形成された部材誘導面とを有する第一開閉部材と、口腔内の下顎歯牙に係合する下顎係合部を有し第一開閉部材と摺接可能なスライド部材と、スライド部材に一定角度範囲内のみ回動可能に軸支され前記部材誘導面に摺接する摺動部を有する把持部材とで形成された第二開閉部材とを、上顎係合部および下顎係合部をそれぞれ外側に向けて対向配置し、部材誘導面と摺動部とを摺動可能且つ前記摺動部を支点にして把持部材が回動可能な状態に連結して形成したことにより、患者自身による前方運動訓練および開閉運動訓練を比較的容易に行うことが可能となり、操作性が良好となり、使用中の身体的負担も少なくなる。
【0037】
(2)前記第一開閉部材と前記スライド部材との相互移動範囲を前記口腔の開閉運動方向と一致する平面内に規制するガイド部材を設ければ、開閉操作中における上顎係合部および下顎係合部の横ぶれをなくすことができるので、操作性が安定し、さらに正確な開閉訓練を行うことができるようになる。
【0038】
(3)前記第一開閉部材と前記第二開閉部材とを着脱可能な連結部材で連結すれば、第一開閉部材と第二開閉部材との連結、分離が可能となるので、使用後の清掃作業などが容易となりメンテナンス性が向上するだけでなく、運搬や保管のスペースを削減することもでき、損傷した開閉部材のみの交換も可能となる。
【0039】
(4)前記上顎係合部と前記下顎係合部との最大開度を選択的に限定する開度規制手段を設けることにより、上顎係合部と下顎係合部との最大開度を予め設定できるようになるため、個々の患者の状況に適した開閉運動訓練が可能となり、訓練結果を客観的に評価することができ、予め最大開度を設定することで訓練の目標値が設定されるため、患者にとって訓練の動機付けが明確となり、訓練効果の向上に有効である。
【0040】
(5)前記開度規制手段として、前記第一開閉部材、前記第二開閉部材の少なくとも一方に着脱可能であって前記把持部と前記把持部材との接近距離が一定以下になることを阻止する開度ストッパを設けることにより、極めて簡素な機構で上顎係合部と下顎係合部との最大開度を正確に規制することができる。
【0041】
(6)前記第一開閉部材、前記第二開閉部材の少なくとも一方に、前記開度ストッパが着脱可能な複数のストッパ係止部を設けることにより、開度ストッパの係止位置を変更するだけの簡単な作業で最大開度の変更が可能となるので、患者個々への適合性が向上する。
【0042】
(7)前記部材誘導面、前記摺動部の少なくとも一方に、前記部材誘導面と前記摺動部との離隔を阻止する摺動ストッパを設けることにより、開閉操作中などにおける部材誘導面からの摺動部の離脱などを防止できるようになるので、さらに安定した操作性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の実施の形態である開口訓練器を示す平面図であり、(b)は前記開口訓練器を示す側面図である。
【図2】図1に示す開口訓練器の透視側面図である。
【図3】図1に示す開口訓練器の分解図である。
【図4】図1に示す開口訓練器の使用状態を示す側面図である。
【図5】図1に示す開口訓練器の使用状態を示す側面図である。
【符号の説明】
1 開口訓練器
2 上顎係合部
3 把持部
4 突起部
4a,8a 摺動ストッパ
4b 部材誘導面
5 第一開閉部材
5a,7a 切欠部
6 下顎係合部
7 スライド部材
8 摺動部
9 把持部材
9a 支軸部
10 第二開閉部材
11 ガイド部材
12 輪ゴム
13 ストッパ係止部
14 開度ストッパ
15 ストッパ収納部
16 数字
17 目盛り
18 カーソル
19 上顎歯牙
20 下顎歯牙
Claims (7)
- 口腔内の上顎歯牙に係合する上顎係合部と、前記上顎係合部から離れた位置に設けられた把持部と、前記上顎係合部と前記把持部との間に前記把持部方向へ傾斜して形成された部材誘導面とを有する第一開閉部材と、
口腔内の下顎歯牙に係合する下顎係合部を有し前記第一開閉部材と摺接可能なスライド部材と、前記スライド部材に一定角度範囲内のみ回動可能に軸支され前記部材誘導面に摺接する摺動部を有する把持部材とで形成された第二開閉部材とを、
前記上顎係合部および前記下顎係合部をそれぞれ外側に向けて対向配置し、前記部材誘導面と前記摺動部とを摺動可能且つ前記摺動部を支点にして前記把持部材が回動可能な状態に連結して形成したことを特徴とする開口訓練器。 - 前記第一開閉部材と前記第二開閉部材との相互移動範囲を前記口腔の前方運動方向および開閉運動方向と一致する平面内に規制するガイド部材を設けた請求項1記載の開口訓練器。
- 前記第一開閉部材と前記第二開閉部材とを、着脱可能な連結部材で連結した請求項1または2記載の開口訓練器。
- 前記上顎係合部と前記下顎係合部との最大開度を選択的に限定する開度規制手段を設けた請求項1記載の開口訓練器。
- 前記開度規制手段として、前記第一開閉部材、前記第二開閉部材の少なくとも一方に着脱可能であって前記把持部と前記把持部材との接近距離が一定以下になることを阻止する開度ストッパを設けた請求項4記載の開口訓練器。
- 前記第一開閉部材、前記第二開閉部材の少なくとも一方に、前記開度ストッパが着脱可能な複数のストッパ係止部を設けた請求項5記載の開口訓練器。
- 前記部材誘導面、前記摺動部の少なくとも一方に、前記部材誘導面からの前記摺動部の離脱を阻止する摺動ストッパを設けた請求項1記載の開口訓練器。
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