JP3007281B2 - サーミスタ材料およびその製造方法 - Google Patents

サーミスタ材料およびその製造方法

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JP3007281B2 JP7100213A JP10021395A JP3007281B2 JP 3007281 B2 JP3007281 B2 JP 3007281B2 JP 7100213 A JP7100213 A JP 7100213A JP 10021395 A JP10021395 A JP 10021395A JP 3007281 B2 JP3007281 B2 JP 3007281B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、サーミスタ材料および
その製造方法に関し、さらに詳しくは、測温域が広いサ
ーミスタ材料およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】サーミスタ材料は、温度などによって抵
抗値が敏感に変化する抵抗体となる材料であり、各種温
度センサ等に用いられている。なお、このサーミスタ材
料の用途は、電子レンジや電気釜などの調理器用温度セ
ンサ、エアコンやファンヒータなどの空調・暖房用温度
センサ、電子体温計や温水洗浄便座などの健康・美容器
用温度センサ、冷蔵庫や時計など上記以外の家電用温度
センサ、各種OA機器用温度センサ、吸気温度検知やエ
ンジン温度測定,冷却水温度検知などに用いる自動車用
温度センサ、タバコ葉乾燥用や製氷機用,海水温度測定
用,自動販売機用,冷凍ショーケース用などの各種産業
用温度センサ、各種検査用温度センサ、など、家電から
産業用、理化学研究用、医療・通信、宇宙開発に至るま
で、大変広範囲にわたっている。また、このサーミスタ
材料は、特殊な用途として、ホットサーミスタとしての
使い方、例えば湿度センサ、風速センサなどとして用い
ることができる。さらに、これらサーミスタ材料を検知
部として用いた応用機器の開発も活発であり、温度調節
器,温度記録計などの温度計測機器や、サーミスタ材料
を湿度検知素子として用いた絶対湿度センサを利用した
絶対湿度計や露点計,結露防止制御器,湿度調節器,水
分活性計などの湿度計測機器などのほか、風速,流速,
真空度,ガス濃度などを検知対象とするものが考えら
れ、これらの組み合わせの複合化機器の開発も考えられ
るなど、サーミスタ材料の適用範囲は幅広い。
【0003】ところが、従来のサーミスタ材料を用いた
温度センサは、使用温度範囲が限定されていた。例え
ば、低温用(−30℃〜300℃程度)では、Mn,C
o,Ni,Fe系の酸化物が、中温用(200℃〜80
0℃程度)では、Mn−NiO−Cr2 3 −Zr
3 ,SiC,MgAl2 4 −Cr2 3 系などが、
高温用(700℃〜1200℃程度)では、ZrO2
2 3 ,MgO−Al2 3 −Cr2 3 −Fe2
3 系などが用いられ、測温範囲が広い場合には、測温域
が異なる複数のサーミスタ温度センサを併用する必要が
あるという問題を有している。
【0004】これら従来技術の問題を解決するものとし
て、サーミスタ素体が30〜99.99 重量%のNiOと,0.
01〜70重量%のMgOとからなるNiO−MgO複合酸
化物からなる「高温用サーミスタ」(特開平6-163206号
公報)が提案されている。これにより、広い温度範囲に
わたって抵抗値変化領域が得られ、抵抗値及びB定数を
広範囲に自由に変えることができ、かつ、高温での直流
負荷寿命特性の良好な高温用サーミスタを提供すること
ができるとしている。
【0005】また、高抵抗値および高抵抗温度係数の
(Mn・Cr)O4 スピネルと低抵抗温度係数を示すY
CrO3 とを用いて、両者を適宜混合して焼結体を得る
ことにより抵抗値および抵抗温度係数を広い範囲で変化
させることができる「高温用サーミスタ」(特開平5-6
2805号公報)が提案されている。これにより、抵抗値と
抵抗温度係数の選択の幅の広い、高温用サーミスタ材料
を提供することができるとしている。
【0006】また、海−島構造を形成している2種の樹
脂又はゴム相と、その中に分散された導電性物質からな
る有機質正特性サーミスタにおいて、島部分が低温時に
おいては隣接島同士で部分的に接触して連続相を形成す
るが、高温時においては完全に分離した島を形成するこ
とができ、かつ前記導電性物質と親和性を有する樹脂又
はゴムからなる「有機質正特性サーミスタ」(特開平5
-47505号公報)が提案されている。これにより、本発明
のサーミスタは、マトリックス及び導電性物質の選択の
幅が広いため、使用目的に応じそれぞれに適合した特性
のものを調製しうる上に、抵抗変化率が大きい、経時変
化が小さい、スイッチング温度を広範囲に選択しうるな
どの多くの利点があるとしている。
【0007】また、結晶性重合体マトリックス中に、平
均長さ0.005〜1mm,直径3〜20μmの炭素短繊
維の三次元連続ミクロ網目構造を有する組成物をつくる
ことにより、通電行路連鎖を効率的に行わせる「正温度
係数組成物および製造法」(特開昭62−4750号公報)が
提案されている。これにより、PTC特性に優れた重合
体組成物を提供することができるとしている。また、使
用する炭素短繊維の量が少なくてよく、安価に重合体組
成物を製造することができるとしている。
【0008】また、絶縁体セラミックス相、半導体セラ
ミックス相およびそれらの混合の中から選ばれたセラミ
ックス相と、少なくとも部分的に連続した導電性物質相
からなる焼結セラミックスにおいて、前記セラミックス
相を少なくとも30μの粒径をもつ団粒で構成した「導
電性複合セラミックス」(特公昭60-18081号公報)が提
案されている。これにより、複合する両者の材料の種類
の選択、その割合などにより、非直線性だけでなく直線
性の、しかも正負の希望する温度特性にもすることがで
き、また希望する導電率を得ることができるとしてい
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開平6-163206号公報に開示された高温用サーミスタは、
導電体のNiOマトリックス中に絶縁物としてMgOを
単純に混合して抵抗値を上昇させているため、温度−抵
抗特性がNiOそのものの特性に強く依存し、温度Tに
対する抵抗値Rが従来と同様な指数関数に従って変化
し、直線的な関係に変化するまでには至っていないとい
う問題を有している。また、抵抗値およびB定数のコン
トロールに多量のMgO添加が必要であり、効率性に欠
けるという問題を有している。
【0010】また、特開平5-62805号公報に開示された
高温用サーミスタも、前記特開平6-163206号公報に開示
された高温用サーミスタと同様の問題を有している。
【0011】また、特開平5-47505号公報に記載の有機
質正特性サーミスタは、導電物質を島部分内に一様に分
散し、さらに島部分も海部分内に一様に分散しているた
め、島部分の接触に伴い、急激な抵抗低下、すなわちス
イッチングが現れるだけであり、一様な抵抗値低下が起
こりにくい構造となっているという問題を有している。
【0012】また、特開昭62−4750号公報に記載の正温
度係数組成物および製造法は、炭素短繊維が連続した3
次元ネットワーク構造を形成しているために、温度抵抗
特性が炭素の温度電気特性によって決まるため、温度に
よる抵抗変化の制御が難しいという問題を有している。
また、重合体および炭素繊維を用いているために、30
0℃以上の高温域で使用することができず、測温範囲が
狭いという問題を有している。
【0013】また、特公昭60-18081号公報に記載の導電
性複合セラミックスは、導電物質が部分的または全体的
な連続相をもった団粒により構成されているため、温度
−抵抗特性が添加する導電性物質のその特性に強く依存
し易く、温度に対して直線的な抵抗変化が得られにくい
という問題を有している。
【0014】そこで、本発明者らは、上述の如き従来技
術の問題点を解決すべく鋭意研究し、各種の系統的実験
を重ねた結果、本発明を成すに至ったものである。
【0015】(発明の目的)本発明の目的は、測温域が
広く、温度−抵抗変化に優れた直線性を有するサーミス
タ材料およびその製造方法を提供するにある。
【0016】本発明者らは、上述の従来技術の問題に対
して、以下のことに着眼した。すなわち、第2相である
導電物質を第1相としてのマトリックス中に連続して分
散させた場合には、その導電物質の温度−抵抗値特性に
よってサーミスタ材料の温度−抵抗特性が大きく支配さ
れる。昇温による一様な抵抗値低下を得るためには、マ
トリックス中に導電パスを形成させることが必要である
が、導電パスが連続した網目状構造を形成すると、導電
物質の温度−抵抗値関係に支配されてしまい、リニアな
抵抗値特性を得ることが難しい。そこで、マトリックス
結晶粒より粒径の小さい導電物質が三次元網目状でパス
を形成させるとともに、そのパスを所定の範囲内の間隔
で不連続な構造にすることに着目した。そして、導電物
質にマトリックスの熱膨張率と異なる(大きいまたは/
および小さい)ものを用い、前記構造を有する複合材料
とすることにより、昇温時のマトリックスと分散材との
熱膨張差に伴う導電の間隔の一様な減少を利用して、リ
ニアな抵抗値特性を発現することを見い出した。
【0017】
【課題を解決するための手段】(第1発明の構成) 本発明のサーミスタ材料は、絶縁性を有する物質からな
るマトリックスと、該マトリックス中に不連続に分散さ
せた,前記マトリックスと熱膨張率が異なる物質からな
る分散材と、からなるサーミスタ材料であって、 前記分散材は半導体物質または電導性を有する物質から
なり、前記分散材の間隔が、10μm以下であり、前記
分散材が、マトリックスを構成する物質の結晶粒の複数
個を取り囲むようにネットワーク構造を形成してなり、
不連続でネットワーク構造に分散した分散材が、前記サ
ーミスタ材料中で導電パスを形成することにより、測温
域が広く、温度−抵抗変化に優れた直線性を有してなる
ことを特徴とする。
【0018】(第2発明の構成) 本発明のサーミスタ材料は、絶縁性を有する物質からな
るマトリックスと、該マトリックス中に三次元網目状で
連続的に分散させた,前記マトリックスと熱膨張率が異
なりかつ熱膨張差によって内部応力が生じたときにこれ
を緩和する物質からなる第三相と、該第三相中に不連続
に分散させた,前記マトリックスと熱膨張率が異なる物
質からなる分散材と、からなるサーミスタ材料であっ
て、前記分散材は半導体物質または電導性を有する物質
からなり、前記第三相中に不連続に分散させた分散材
が、サーミスタ材料中において三次元網目状で不連続に
分散してネットワーク構造を形成してなり、不連続でネ
ットワーク構造に分散した分散材が、前記サーミスタ材
料中で導電パスを形成することにより、測温域が広く、
温度−抵抗変化に優れた直線性を有してなることを特徴
とする。
【0019】(第3発明の構成)本発明のサーミスタ材
料の製造方法は、絶縁性を有する物質からなるマトリッ
クス原料粉末と、該マトリックス原料粉末と熱膨張率が
異なる半導体物質または電導性を有する物質からなり,
かつ大きさがマトリックス原料粉末の1/2以下の分散
材原料粉末とを混合する原料粉末調製工程と、該原料粉
末を所定の形状に成形して成形体とする成形工程と、該
成形体を加熱して,絶縁性を有する物質からなるマトリ
ックスと,該マトリックス中に三次元網目状で不連続に
分散させた前記マトリックスと熱膨張率が異なる物質か
らなる分散材とからなる複合材料を形成する複合材料形
成工程と、からなることを特徴とする。
【0020】(第4発明の構成)本発明のサーミスタ材
料の製造方法は、絶縁性を有する物質からなるマトリッ
クス原料粉末の表面に、該マトリックス原料粉末と熱膨
張率が異なる半導体物質または電導性を有する物質から
なりかつ大きさがマトリックス原料粉末の1/2以下の
分散材原料粉末と,前記分散材原料粉末の熱膨張率より
前記マトリックス原料粉末の熱膨張率に近い熱膨張率を
有しかつ測温時に前記分散材原料粉末によって形成され
る分散材の熱膨張差によって生じる内部応力を緩和する
物質からなる第三相原料物質とをまぶすように混合する
原料粉末調製工程と、該原料粉末を所定の形状に成形し
て成形体とする成形工程と、該成形体を加熱して、絶縁
性を有する物質からなるマトリックスと、該マトリック
ス中に三次元網目状で連続的に分散させた,前記マトリ
ックスと熱膨張率が異なりかつ熱膨張差によって内部応
力が生じたときにこれを緩和する物質からなる第三相
と、該第三相中に不連続に分散させた,前記マトリック
スと熱膨張率が異なる物質からなる分散材とからなる複
合材料を形成する複合材料形成工程と、からなることを
特徴とする。
【0021】
【作用】本発明のサーミスタ材料およびその製造方法に
より、何故、測温域が広く、温度−抵抗値変化の直線性
に優れたサーミスタ材料が得られるメカニズムについて
は、未だ必ずしも明らかではないが、次のように考えら
れる。
【0022】(第1発明の作用) 本発明のサーミスタ材料は、絶縁性を有する物質からな
るマトリックス中に、前記マトリックスと熱膨張率が異
なる物質からなる分散材を不連続に分散させてなる。し
かも、前記分散材は半導体物質または電導性を有する物
質からなり、前記分散材の間隔が10μm以下で、かつ
前記分散材がマトリックスを構成する物質の結晶粒の複
数個を取り囲むようにネットワーク構造を形成してな
り、不連続でネットワーク構造に分散した分散材が、前
記サーミスタ材料中で導電パスを形成してなることを特
徴とする。このサーミスタ材料は、マトリックスと熱膨
張率が異なる分散材が三次元ネットワーク状で不連続に
分散されているので、本サーミスタ材料が加熱される
と、マトリックスと分散材の熱膨張差に従って、隣接し
た分散材の間隔が一様に減少または増加する。このと
き、加熱時の熱膨張が温度範囲に関係なく温度に比例し
て増大する/または減少するため、熱膨張差による分散
材の間隔の変化は、温度範囲に依存せず直線的となるも
のと考えられる。電気抵抗値は隣接する分散材の間隔に
比例して減少または増加するので、従来のように分散材
の温度−抵抗特性にあまり依存することなく、広い温度
範囲で直線的な温度−抵抗値特性を得ることができるも
のと考えられる。
【0023】以上により、本発明のサーミスタ材料は、
測温域が広く、温度−抵抗変化に優れた直線性を有する
ものと考えられる。
【0024】(第2発明の作用) 本発明のサーミスタ材料は、絶縁性を有する物質からな
るマトリックスと、該マトリックス中に三次元網目状で
連続的に分散させた,前記マトリックスと熱膨張率が異
なりかつ熱膨張差によって内部応力が生じたときにこれ
を緩和する物質からなる第三相と、該第三相中に不連続
に分散させた,前記マトリックスと熱膨張率が異なる物
質からなる分散材と、からなるサーミスタ材料であっ
て、前記分散材は半導体物質または電導性を有する物質
からなり、前記第三相中に不連続に分散させた分散材
が、サーミスタ材料中において三次元網目状で不連続に
分散してネットワーク構造を形成してなり、不連続でネ
ットワーク構造に分散した分散材が、前記サーミスタ材
料中で導電パスを形成することにより、測温域が広く、
温度−抵抗変化に優れた直線性を有してなることを特徴
とする。このサーミスタ材料は、マトリックスと熱膨張
率が異なる分散材がサーミスタ材料中に三次元網目状で
不連続に分散されているので、本サーミスタ材料が加熱
されると、マトリックスと分散材の熱膨張差に従って、
隣接した分散材の間隔が一様に減少または増加する。こ
のとき、加熱時の熱膨張が温度範囲に関係なく温度に比
例して増大/または減少するため、熱膨張差による分散
材の間隔の変化は、温度範囲に依存せず直線的となるも
のと考えられる。電気抵抗値は隣接する分散材の間隔に
比例して減少または増加するので、従来のように分散材
の温度−抵抗特性にあまり依存することなく、広い温度
範囲で直線的な温度−抵抗値特性を得ることができるも
のと考えられる。また、本発明のサーミスタ材料は、絶
縁性を有する物質からなるマトリックス中に、前記マト
リックスと熱膨張率が異なりかつ熱膨張差によって内部
応力が生じたときにこれを緩和する物質からなる第三相
を三次元網目状で連続的に分散させてなる。これによ
り、熱膨張差によって生じる内部応力(熱応力)を緩和
させることができ、亀裂の発生,進展や破壊を抑止する
ことができる。
【0025】以上により、本発明のサーミスタ材料は、
測温域が広く、温度−抵抗変化に優れた直線性を有する
とともに、機械的な特性に優れているものと考えられ
る。
【0026】(第3発明の作用)本発明のサーミスタ材
料の製造方法は、先ず、原料粉末調製工程において、絶
縁性を有する物質からなるマトリックス原料粉末と、該
マトリックス原料粉末と熱膨張率が異なる半導体物質ま
たは電導性を有する物質からなり,かつ大きさ(造粒粉
の場合は造粒粉の大きさ)がマトリックス原料粉末(造
粒粉の場合は造粒粉の大きさ)の1/2以下の分散材原
料粉末とを混合する。次に、成形工程において、前記原
料粉末調製工程において得られた原料粉末を所定の形状
に成形して成形体とする。
【0027】ここで、原料粉末調製工程において用いる
分散材原料粉末の大きさは、マトリックス原料粉末の大
きさの1/2以下の大きさである。このとき、造粒粉を
用いる場合は、造粒粉の大きさで1/2以下である。こ
の範囲の大きさの分散材原料粉末を用いることにより、
分散材が複数のマトリックス結晶粒の周りを取り囲む三
次元網目状構造を形成させ易いという利点がある。分散
材原料粉末の大きさが、マトリックス原料粉末の大きさ
の1/2を超えた場合、マトリックス中に分散材がラン
ダムに分散した形態となる。
【0028】次に、複合材料形成工程において、前記成
形工程において得られた成形体を加熱すると、所定温度
以上でマトリックスが液相となって結晶粒が析出して成
長するのに従って、分散材が移動(または排出)し、網
目状に再配列する。これにより、絶縁性を有する物質か
らなるマトリックスと該マトリックス中に三次元網目状
で不連続に分散させた前記マトリックスと熱膨張率が異
なる(大きいまたは小さい)物質からなる分散材とから
なる複合材料を形成することができる。
【0029】これより、測温域が広く、温度−抵抗変化
に優れた直線性を有するサーミスタ材料が容易に得られ
るものと考えられる。
【0030】(第4発明の作用)本発明のサーミスタ材
料の製造方法は、先ず、原料粉末調製工程において、絶
縁性を有する物質からなるマトリックス原料粉末(造粒
粉を含む)の表面に、該マトリックス原料粉末と熱膨張
率が異なる半導体物質または電導性を有する物質からな
りかつ大きさがマトリックス原料粉末の1/2以下の分
散材原料粉末と、前記分散材原料粉末の熱膨張率より前
記マトリックス原料粉末の熱膨張率に近い熱膨張率を有
しかつ測温時に前記分散材原料粉末によって形成される
分散材の熱膨張差によって生じる内部応力を緩和する物
質からなり,大きさが前記マトリックス原料粉末の1/
2以下の第三相原料物質とをまぶすように混合する。添
加量は、分散材原料粉末より第三相原料物質を多くす
る。次に、成形工程において、前記原料粉末調整工程に
おいて得られた原料粉末を所定の形状に成形して成形体
とする。
【0031】ここで、原料粉末調製工程において用いる
分散材原料粉末および第三相原料物質の大きさ(それぞ
れの造粒粉および混合粉の大きさも含む)は、マトリッ
クス原料粉末の大きさの1/2以下の大きさである。こ
の範囲の大きさのものを用いることにより、第三相原料
物質がマトリックス原料粉末の周囲に取り囲むような混
合状態となり、焼結後に、複合材料内に複数のマトリッ
クス結晶粒を取り囲む連続三次元網目構造を形成させる
ことが可能となる。また、分散材原料粉末は、マトリッ
クス原料粉末の周囲を、不連続に取り囲むような混合状
態となり、焼結後に、複合材料内に連続三次元網目状に
分散した第三相に不連続に分散させることができる。こ
の大きさが、マトリックス原料粉末の1/2 より大きい
場合は、第三相原料物質はその周囲を分散材によって取
り囲まれるとともに、マトリックス原料粉末とランダム
に混合した状態となり、焼結後には、第三相がマトリッ
クス内にランダムに分散し、分散材がそれらの周囲を三
次元網目状に分散するような微構造を形成する。一方、
分散材原料粉末は、第三相原料物質がその周囲にまぶさ
れたような状態で、マトリックス原料粉末とランダムな
状態で混合し、焼結後には、マトリックスと分散材とが
ランダムに分散した微構造を形成するので、何れも目的
とするサーミスタ材料を形成することができない。
【0032】次に、複合材料形成工程において、前記成
形工程において得られた成形体を加熱すると、所定温度
以上で第三相が液相となって結晶粒が析出して成長する
のに従って、分散材が移動(または排出)し、該分散材
が第三相内で網目状に再配列する。これにより、絶縁性
を有する物質からなるマトリックスと、該マトリックス
中に三次元網目状で連続的に分散させた,前記分散材の
熱膨張率より前記マトリックスの熱膨張率に近い熱膨張
率を有しかつ熱膨張差によって内部応力が生じたときに
これを緩和する物質からなる第三相と、該第三相中に不
連続に分散させた,前記マトリックスと熱膨張率が異な
る物質からなる分散材とからなる複合材料を形成するこ
とができる。
【0033】これより、マトリックスの機械的強度特性
を低下させることなく、測温域が広く、温度−抵抗変化
に優れた直線性を有するサーミスタ材料が容易に得られ
るものと考えられる。
【0034】
【発明の効果】
(第1発明の効果)本第1発明のサーミスタ材料は、測
温域が広く、温度−抵抗値変化の直線性に優れている。
【0035】(第2発明の効果)本第2発明のサーミス
タ材料は、測温域が広く、温度−抵抗値変化の直線性に
優れている。また、このサーミスタ材料は、機械的特性
が優れている。
【0036】(第3発明の効果)本第2発明のサーミス
タ材料の製造方法により、測温域が広く、温度−抵抗値
変化の直線性に優れたサーミスタ材料を容易に得ること
ができる。
【0037】(第4発明の効果)本第4発明のサーミス
タ材料の製造方法により、マトリックスの機械的特性を
低下させることなく、測温域が広く、温度−抵抗値変化
の直線性に優れたサーミスタ材料を容易に得ることがで
きる。
【0038】
【実施例】本発明のサーミスタ材料およびその製造方法
について、さらに具体的にした発明や限定した発明など
の発明(その他の発明)について、以下に説明する。
【0039】<その他の発明の説明>
【0040】(マトリックス)マトリックスは、絶縁性
を有する物質からなる。具体的には、ムライト、シリ
カ、サイアロン、窒化珪素、アルミナ、ジルコン、コー
ジェライト、窒化硼素、酸化クロム、酸化チタン、酸化
硼素、酸化モリブデン、酸化ハフニウム、イットリア、
酸化イットリビウム、酸化ニオブ、酸化タングステン、
酸化ランタン、マグネシア、ステアタイト、フェルステ
ライト、シリマナイト、スピネル、チタン酸アルミニウ
ム、ジルコン酸アルミニウム、NiO、V2 5 、Mo
3 、WO3 などが挙げられる。
【0041】(分散材)分散材は、前記マトリックスと
熱膨張率が異なる半導体物質または電導性を有する物質
からなる。具体的には、TiB2 、TiB、Ti
2 5 、ZrB2 、ZrB12、V3 2 、VB、V5
6 、V2 3 、VB2 、Nb3 2 、NbB、Nb3
4 、Nb6 2 、Ta2 B、Ta3 2 、TaB、Ta
3 4 、TaB2 、Cr2 B、Cr5 3 、CrB、C
3 4 、CrB2 、MoB、Mo2 B、MoB2 、M
2 5 、MoB12、W2 B、WB、W2 5 、W
2 、HfB、LaB6 、TiC、ZrC、VC、Nb
C、TaC、Cr3 2 、Mo2 C、W2 C、WC、T
iN、ZrN、VN、NbN、TaN、Cr2 N、Si
C、TiSi2 、ZrSi2 、TaSi2 、CrS
2 、Mo5 Si3 、MoSi2 、WSi2 、Cr2
3 、ZrO2 、ReO3 、RaO2 、LaTiO3 、C
aMnO3 、LaMnO3 、CaCrO3 、NiFeO
3 、SrCrO3 、Ca2 O、ZnO、CaO、Mn
O、などが挙げられる。
【0042】ここで、本発明のサーミスタ材料におい
て、マトリックスが、酸化物、窒化物、および珪化物か
ら選択されるセラミックスの一種以上であることが好ま
しい。これにより、分散材の間隔の調整によって直線的
な温度−抵抗特性を発現できるだけでなく、温度変化に
よる抵抗の変化率を制御することができる。
【0043】また、本発明のサーミスタ材料において、
分散材が、炭化物、珪化物、窒化物、硼化物、および酸
化物から選択されるセラミックスの一種以上であること
が好ましい。これにより、耐熱性の高い導電パスを形成
できるため、室温(あるいはそれ以下)から1000℃
以上の高温域までの広い範囲で高信頼性のサーミスタ材
料とすることができる。
【0044】(分散材の分散形態)分散材は、前記マト
リックス中に不連続に分散してなるとともに、マトリッ
クス中にネットワーク状の電気的なパス構造を形成して
なる。
【0045】ここで、本発明のサーミスタ材料におい
て、前記分散材が、マトリックスを構成する物質の結晶
粒の複数個を取り囲むようにネットワーク構造を形成し
てなることが好ましい。これにより、少ない添加量で分
散材の特性を十分に発現することができる。
【0046】また、本発明のサーミスタ材料において、
前記分散材が、サーミスタ材料中に三次元網目状で不連
続に分散してなることが好ましい。これにより、分散材
それ自身の電気抵抗特性と粒子間隔による比例した抵抗
の両方で抵抗調整ができ、それを組み合わせた複合体固
有の電気抵抗を発現することができる。
【0047】本発明の第1の好適なサーミスタ材料は、
絶縁性を有する物質からなるマトリックスを構成する第
1相と、該第1相を不連続に取り囲むように形成され,
前記第1相と熱膨張率が異なる半導体物質または電導性
を有する物質からなる分散材としての第2相とからなる
サーミスタ材料セルを構成単位としてなり、前記分散材
がサーミスタ材料中に三次元網目状で不連続に分散して
なり、しかも該分散材がサーミスタ材料中にネットワー
ク状の電気的なパス構造を形成してなることを特徴とす
るサーミスタ材料である。
【0048】ここで、前記サーミスタ材料セルの構造の
具体的一例を概念的に示した説明図を、図3〜図6に示
す。
【0049】図3および図4は、サーミスタ材料セルの
具体例の横断面の概略説明図を示し、図3は、第1相3
が多結晶質の材料の例で、サーミスタ材料セル2が、複
数個の結晶粒31を一つのブロックとして第1相3を構
成し、分散材41がその周りを不連続にとり囲んで第2
相4を形成した構造である。
【0050】図4は、第1相3が樹脂のような非結晶質
または単結晶質の物質からなる材料の例で、所定サイズ
の円盤状またはその変形形状の塊を一ブロックとし、分
散材41がその周りを不連続に囲んで第2相4を形成し
たような構造である。
【0051】図5および図6は、サーミスタ材料セルの
具体例を概念的に示した説明図であり、図5は、球状ま
たは楕円形状の第1相3のブロック全周を、分散材41
が不連続に取り囲んで第2相を形成したような構造であ
る。
【0052】図6は、柱状または長楕円形の第1相3の
全周に分散材41が不連続に分散するように第2相4を
形成したような構造である。
【0053】また、「三次元網目状で不連続に分散し
た」状態とは、図7にその一例を示すように、分散材が
単体及び/又は該単体の集合体(一部繋がった形態や接
触した形態を含む)の状態で、サーミスタ材料中に三次
元網目状に配列している状態をいう。また、マトリック
スが結晶粒からなる場合、一つの網目は、数個以上のマ
トリックス結晶粒を一単位として、その周囲に形成され
たものを指す。好ましくは、連続的につながった粒子が
少なく、かつ分散材からなる不連続相が微小な間隔で分
散するような形態である。さらに好ましくは、0.005
〜数μm程度の間隔で各分散粒が配列しているような形
態である。なお、前記分散材の分散形態は、上記のよう
に、基本的に不連続な状態で網目構造を形成しているも
のであればよく、網目1個の形状は、多角形、円形、楕
円形、または不定形でもよい。また、分散材は、本発明
の作用・効果を損なわない範囲で、粒子が一部連続的に
分散したり、または連続体を形成してもよい。
【0054】本発明のサーミスタ材料において、前記分
散材の間隔が、10μm以下であることが好ましい。こ
れにより、分散材が不連続であっても、所定の抵抗値を
もって電気伝導性を発現できる。なお、前記分散材の間
隔が、0.005μm〜1μmであることがより好まし
い。
【0055】また、本発明のサーミスタ材料において、
前記分散材の大きさが、0.01μm〜100μmである
ことが好ましい。これにより、マトリックス粉末の粒径
を大きくすることなく、サーミスタ材料複合体中に分散
材の三次元網目構造(導電パス)を形成し易くなる。ま
た、マトリックス粉末の粒径を小さくできるため、高い
焼結性を確保することができる。また、粒径が小さすぎ
ても、分散材が完全な連続ネットワークを形成すること
がない。なお、前記分散材の大きさが、0.01μm〜
1μmであることがより好ましい。
【0056】また、本発明のサーミスタ材料において、
前記分散材が不連続に分散して形成されたネットワーク
構造の一つの大きさ(例えば、前記セルの大きさ)が、
0.1μm〜500μmであることが好ましい。これによ
り、サーミスタ材料セルの外周部での剥離等による強度
低下を起こしにくく、かつ少量の分散材で第2相の特性
を十分に発現することができる。なお、前記ネットワー
ク構造の一つの大きさが、0.5μm〜50μmである
ことがより好ましい。また、このセルの幅や大きさを変
えることにより、抵抗変化を大きく可変できるので好ま
しい。
【0057】また、本発明のサーミスタ材料において、
前記分散材が不連続に分散して形成されたネットワーク
構造の一つの大きさが、前記分散材の5倍〜5×104
倍であることが好ましい。これにより、複数のマトリッ
クス結晶粒の周囲に所定の間隔で所定量の分散材を分散
させることができ、電気伝導性を発現できる。なお、前
記ネットワーク構造の一つの大きさが、前記分散材の1
0〜1000倍であることがより好ましい。
【0058】また、本発明のサーミスタ材料において、
分散材が、マトリックスを構成する物質の結晶粒の大き
さの1/3以下の大きさを有し、かつ、三次元網目状で
不連続に分散してなることが好ましい。これにより、分
散材によりマトリックスの粒子またはファイバ等を強化
することができる。なお、分散材の大きさが、マトリッ
クスを構成する物質の結晶粒の大きさの1/1000〜1/
4であることがより好ましい。
【0059】また、本発明のサーミスタ材料において、
分散材の存在割合は、2〜50重量%の範囲が好まし
い。該割合が2重量%未満の場合、分散材の間隔が広く
なり、骨格構造の効果および機能性の発現が困難になる
虞がある。また、50重量%を超えると、網目状の分散
相、強化層内の分散材の密度が高くなるため、焼結性が
低下し、強度が低下する虞ある。なお、該割合が、10
〜40重量%の範囲である場合、本発明の効果をよりよ
く発揮できるのでより好ましい。
【0060】また、本発明のサーミスタ材料において、
熱膨張によって内部応力が生じたときにこれを緩和する
第三相が、前記分散材とともに前記マトリックス中に不
連続にかつ網目状に分散してなることが好ましい。これ
により、測温時に発生する内部応力による繰り返し疲労
破壊や微小亀裂の発生を抑制することができる。
【0061】この第三相を構成する物質としては、熱膨
張差によって生じる内部応力を緩和できるような低ヤン
グ率、または易変形性、あるいは高強度で内部応力によ
る微小亀裂を発生させないような材料が好ましい。具体
的には、弾性率が小さい物質、結晶相変態がし易い
物質、微小気孔が存在する物質、などを用いる。さら
に、母材と馴染みがよく、かつ絶縁性が高いか、少なく
とも分散材に比べて電気抵抗が低い材料が好ましい。
【0062】本発明の第2の好適なサーミスタ材料は、
絶縁性を有する物質からなるマトリックスと、該マトリ
ックス中に三次元網目状で連続的に分散させた,前記マ
トリックスと同一または近似した物質からなる絶縁性を
有する強化層(サーミスタ材料の分散材添加により生じ
る強度低下を抑制する層または強化する層)としての第
三相と、該強化層中に不連続に分散させた,前記マトリ
ックスと熱膨張率が異なる半導体物質または電導性を有
する物質からなる分散材とからなるサーミスタ材料であ
って、前記分散材が、前記サーミスタ材料中に三次元網
目状で不連続に分散してなり、しかも該分散材がサーミ
スタ材料中に網目状の電気的なパス構造を形成してなる
ことを特徴とするサーミスタ材料である。
【0063】本発明の第2の好適なサーミスタ材料にお
いて、マトリックス中での第三相(強化層)の存在形態
は、マトリックス中に三次元網目状で連続的に分散して
なる(すなわち、第三相は、サーミスタ材料中に三次元
網目状で連続的に分散してなる)。具体的には、その一
例を図8に示すように、マトリックス3が第三相5によ
って分離されたサーミスタ材料セル(セル状ユニット)
2を一つの単位としてなり、第三相5がマトリックス中
に三次元網目状に連続的に分散し、該第三相中に分散材
を不連続に分散させた形態である。この形態の場合は、
三次元網目状に分散した第三相によってマトリックスど
うしを強く結合することができる。さらに、分散材間の
電気抵抗を調整することが可能である。
【0064】本発明の第2の好適なサーミスタ材料にお
いて、他の具体的な存在形態は、図9に示すように、マ
トリックス3と第三相5がともに連続三次元網目状に形
成された形態である。この形態の場合は、第三相5の特
性だけでなく、マトリックス3自身の特性もさらに強く
発現することができるという利点がある。
【0065】本発明の第2の好適なサーミスタ材料にお
いて、その他の具体的な存在形態は、図10に示すよう
に、二次元網目状に分散した第三相5が積層した形態で
ある。この形態の場合は、2次元方向(面方向)に対し
て強く特性を発現するような異方性をもたせることがで
きる。特に、薄板の場合に有効であるという利点があ
る。
【0066】本発明の第2の好適なサーミスタ材料にお
いて、より好適な第三相は、サーミスタ材料中に三次元
網目状で連続的に分散され、前記マトリックスと同一ま
たは近似した物質からなるとともに、該第三相と分散材
とから形成される部分の網目一つの大きさDが1μm≦
D≦1000μmの範囲内で、かつ、該部分が三次元網
目状にパスを形成するような構造である。この構造の場
合には、第三相内に混在するマトリックスと同一または
近似した物質、および分散材をともに粒界相によって強
く結合することができるとともに、それらによって構成
される三次元網目構造の第三相の効果を強く発揮するこ
とができるという特有の効果を奏することができる。
【0067】本発明の第2の好適なサーミスタ材料にお
いて、分散材の第三相(強化層)中での分散形態は、
強化層中に分散材が均一(ランダム)に分散している形
態、強化層中に分散材が不均一に分散している形態、
強化層中に分散材が網目、層状などの特定の形態で規
則的に分散している形態、などがある。また、このと
き、第三相中に分散している分散材の単位は、 (a) 一
つの粒子またはウィスカなど個体であっても、 (b) 個
体の部分(最小構成単位からなる部分)と該個体が連結
または集合した部分とが混在して不連続部分を形成して
いても、 (c) 前記個体が連結または集合した集合ブロ
ックを単位として不連続部分を形成していても、これら
の何れでも、これらの組合せでもよい。この場合、集団
を形成する分散材は、一種のものであっても、目的とす
る付与する電気抵抗特性が異なる複数種のものであって
もよい。
【0068】本発明の第2の好適なサーミスタ材料にお
いて、分散材の第三相中での分散形態は、具体的には、
図11に示すように、第三相5全体に分散材41がラン
ダムに分散した状態である。この形態の場合には、マト
リックス3と同一物質またはマトリックスに近似した物
質からなる第三相5で分散材41を個別(最小単位)に
保持できるため(残留応力分布が均一)、高い即時破断
強度を発現できるとともに、高い耐衝撃性や耐繰り返し
疲労性が得られるという利点がある。
【0069】本発明の第2の好適なサーミスタ材料にお
いて、他の具体的な分散材の分散形態は、図12に示す
ように、第三相5中において分散材41が不連続な網目
構造(部分的に不連続なものも含む)をした分散形態で
ある。この形態の場合は、分散材41をランダムに分散
させた場合に比べて強度的に多少低くなるが、分散材4
1の電気的特性や熱的特性等の機能的性質を強く発現す
ることが可能となるという利点がある。
【0070】本発明の第2の好適なサーミスタ材料にお
いて、他の具体的な分散材の分散形態は、図13に示す
ように、分散材41がマトリックス3および第三相5の
焼結を阻害しない範囲で近接して分散している状態であ
る。この形態の場合は、分散材をランダムに分散させた
場合に比べて強度的に多少低くなるが、高い電気伝導性
(低抵抗)を発現することが可能となるという利点があ
る。また、低熱膨張の分散材では、温度上昇に伴って電
気抵抗が直線的に増加するようなPTC効果の発現も可
能である。
【0071】本発明の第2の好適なサーミスタ材料にお
いて、他の具体的な分散材の分散形態は、図14に示す
ように、周方向に部分的に連続した分散材41が層状に
分散した形態である。この形態の場合には、分散材をラ
ンダムに分散させた場合に比べて強度的に多少低くなる
が、分散材41のより少ない添加量で高い電気伝導性を
(前記図13の具体例よりも強く)発現することが可能
となるという利点がある。
【0072】本発明の第2の好適なサーミスタ材料にお
いて、他の具体的な分散材の分散形態は、マトリックス
粒子の周方向に特性の異なる分散材を2層以上分散させ
た形態で、例えば、図15に示すように、第1分散材4
2と第2分散材43の二層で構成した形態がある。この
形態の場合には、複数の分散材の特性を付与することが
可能となるという利点がある。
【0073】本発明の第2の好適なサーミスタ材料にお
いて、他の具体的な分散材の分散形態は、図16に示す
ように、第三相5中およびマトリックス中の両者に分散
した形態である。この形態の場合には、マトリックス3
中に分散した分散材41(添加剤とする)は、第三相5
中の分散材41と特性が同じであっても異なってもよ
く、さらには、種々の特性を有する複数の添加剤を分散
させてもよい。
【0074】本発明の第2の好適なサーミスタ材料にお
いて、分散材は、前記第三相中に不連続に分散してなる
とともに、前記サーミスタ材料中に三次元網目状で不連
続に分散してなる。ここで、「三次元網目状で不連続に
分散」とは、図17にその一例を示すように、分散材4
1がサーミスタ材料中に分離または部分的に繋がった
(接触した)状態で三次元網目状に配列している状態を
いう。
【0075】本発明の第2の好適なサーミスタ材料にお
いて、マトリックスが結晶粒からなる場合、1つの網目
は、図18に示すように、数個以上のマトリックス結晶
粒12からなるユニット32,または該マトリックス結
晶粒と該結晶粒の周囲に形成した第三相の一部とからな
るユニットを一単位として、その周囲に分散材が網目の
骨格を形成した状態をさす。好ましくは、連続的に繋が
った粒子が少なく、かつ不連続相が微小な間隔で分散す
るような形態である。さらに好ましくは、サブミクロン
(0.数μm)〜数μm程度の粒界相を介して各分散粒が
つながっているような形態である。
【0076】なお、前記第2の好適なサーミスタ材料に
おいて、第三相を“マトリックスと同一または近似した
物質からなる絶縁性を有する強化相としての第三相”に
代えて、“分散材の熱膨張率よりマトリックスの熱膨張
率に近い熱膨張率を有し、かつ熱膨張差によって内部応
力が生じたときにこれを緩和する物質からなる緩和層と
しての第三相”とした場合も、上記と同様の分散形態、
存在形態、構造を採用することができる。このとき、該
緩和層としての第三相は、弾性率が小さい物質、結
晶相変態がし易い物質、微小気孔が存在する物質、な
どにより構成する。
【0077】(好適なサーミスタ材料の製造方法)本発
明の好適なサーミスタ材料の製造方法は、絶縁性を有す
る材料からなるマトリックス原料粉末と、該マトリック
ス原料粉末より熱膨張率が大きく,かつ大きさがマトリ
ックス原料粉末の1/2以下の分散材原料粉末とを混合
する原料粉末調製工程と、該原料粉末を所定の形状に成
形して成形体とする成形工程と、該成形体を加熱して、
絶縁性を有する材料からなるマトリックスと、該マトリ
ックス中に三次元網目状で不連続に分散させた,前記マ
トリックスより熱膨張率が大きい物質からなる分散材と
からなる複合材料を形成する複合材料形成工程と、から
なることを特徴とする。
【0078】この好適な製造方法において、先ず、原料
粉末調製工程において、絶縁性を有する材料からなるマ
トリックス原料粉末と、該マトリックス原料粉末より熱
膨張率が大きく,かつ大きさがマトリックス原料粉末の
1/2以下の分散材原料粉末とを混合する。このとき、
原料粉末が造粒粉の場合も、上記大きさの割合とする。
次に、成形工程において、前記原料粉末調製工程におい
て得られた原料粉末を所定の形状に成形して成形体とす
る。
【0079】次に、複合材料形成工程において、前記成
形工程において得られた成形体を加熱すると、所定温度
以上でマトリックスが結晶析出して成長するのに従っ
て、分散材が移動(または排出)し、網目状に再配列す
る。これにより、絶縁性を有する材料からなるマトリッ
クスと該マトリックス中に三次元網目状で不連続に分散
させた前記マトリックスより熱膨張率が大きい物質から
なる分散材とからなる複合材料を形成することができ
る。
【0080】これより、三次元網目状で不連続に分散し
た分散材の間隔が温度上昇に比例して狭くなる(あるい
は広くなる)ような構造を形成することができる。従っ
て、測温域が広く、温度−抵抗変化に優れた直線性を有
するサーミスタ材料が容易に得られるものと考えられ
る。
【0081】ここで、本発明のサーミスタ材料の製造方
法の原料粉末調整工程において、マトリックスの主材と
しての所定形状の造粒粉の表面に、マトリックスより熱
膨張率が大きい分散材を不連続に存在させたように原料
粉末を調製してなることが好ましい。これにより、焼結
体に複数のマトリックス結晶粒の周りに不連続な三次元
網目状組織を形成できる。なお、この場合、分散材の大
きさを、大きな強度低下を生じさせない大きさとするこ
とが好ましい。
【0082】(好適なサーミスタ材料の製造方法)本発
明の他の好適なサーミスタ材料の製造方法は、絶縁性を
有する物質からなるマトリックス原料粉末の表面に、該
マトリックス原料粉末と熱膨張率が異なる半導体物質ま
たは電導性を有する物質からなりかつ大きさがマトリッ
クス原料粉末の1/2以下の分散材原料粉末と,前記分
散材原料粉末の熱膨張率より前記マトリックス原料粉末
の熱膨張率に近い熱膨張率を有しかつ測温時に前記分散
材原料粉末によって形成される分散材の熱膨張差によっ
て生じる内部応力を緩和する物質からなり,大きさが前
記マトリックス原料粉末の1/2以下の第三相原料物質
とをまぶすように混合する原料粉末調製工程と、該原料
粉末を所定の形状に成形して成形体とする成形工程と、
該成形体を加熱して、絶縁性を有する物質からなるマト
リックスと、該マトリックス中に三次元網目状で連続的
に分散させた,前記マトリックスと熱膨張率が異なりか
つ熱膨張差によって内部応力が生じたときにこれを緩和
する物質からなる第三相と、該第三相中に不連続に分散
させた,前記マトリックスと熱膨張率が異なる物質から
なる分散材とからなる複合材料を形成する複合材料形成
工程と、からなることを特徴とする。
【0083】これにより、絶縁性を有する物質からなる
マトリックスと、該マトリックス中に三次元網目状で連
続的に分散させた,分散材の熱膨張率よりマトリックス
の熱膨張率に近い熱膨張率を有し,かつ熱膨張差によっ
て内部応力が生じたときにこれを緩和する物質からなる
第三相と、該第三相中に不連続に分散させた,前記マト
リックスと熱膨張率が異なる物質からなる分散材とから
なるサーミスタ材料であって、前記分散材は、半導体物
質または電導性を有する物質からなり、前記第三相中に
不連続に分散させた分散材が、サーミスタ材料中におい
て三次元網目状で不連続に分散してネットワーク状の電
気的なパス構造を形成してなるサーミスタ材料を、容易
に製造することができる。
【0084】このとき、原料粉末調整工程において、分
散材原料粉末と第三相原料物質は、予め混合または造粒
して添加原料粉末とした後、該添加原料粉末をマトリッ
クス原料粉末の表面にまぶすように混合することがより
好ましい。これにより、所望の混合を容易に行うことが
できる。また、第三相原料物質は、弾性率が小さい物
質、結晶相変態がし易い物質、微小気孔が存在する
物質、などにより構成する。
【0085】(好適なサーミスタ材料の製造方法)本発
明の他の好適なサーミスタ材料の製造方法は、絶縁性を
有する物質からなるマトリックス原料粉末の表面に、該
マトリックス原料粉末と熱膨張率が異なる半導体物質ま
たは電導性を有する物質からなり,かつ大きさがマトリ
ックス原料粉末の1/2以下の分散材原料粉末と、前記
マトリックス原料粉末と同一または該マトリックス原料
粉末に近似した物質からなり,大きさがマトリックス原
料粉末の1/2以下の第三相原料物質とをまぶすように
混合する原料粉末調製工程と、該原料粉末を所定の形状
に成形して成形体とする成形工程と、該成形体を加熱し
て、絶縁性を有する物質からなるマトリックスと、該マ
トリックス中に三次元網目状で連続的に分散させた,前
記マトリックスと同一または近似した物質からなる絶縁
性を有する強化層としての第三相と、該第三相中に不連
続に分散させた,前記マトリックスと熱膨張率が異なる
半導体物質または電導性を有する物質からなる分散材と
からなる複合材料を形成する複合材料形成工程と、から
なることを特徴とする。
【0086】これにより、絶縁性を有する物質からなる
マトリックスと、該マトリックス中に三次元網目状で連
続的に分散させた,前記マトリックスと同一または近似
した物質からなる絶縁性を有する強化層としての第三相
と、該強化層中に不連続に分散させた,前記マトリック
スと熱膨張率が異なる半導体物質または電導性を有する
物質からなる分散材と、からなるサーミスタ材料であっ
て、前記分散材が、前記サーミスタ材料中に三次元網目
状で不連続に分散してなり、しかも該分散材がサーミス
タ材料中にネットワーク状の電気的なパス構造を形成し
てなるサーミスタ材料を容易に製造することができる。
【0087】このとき、原料粉末調整工程において、分
散材原料粉末と第三相原料物質は、予め混合または造粒
して添加原料粉末とした後、該添加原料粉末をマトリッ
クス原料粉末の表面にまぶすように混合することがより
好ましい。これにより、所望の混合を容易に行うことが
できる。また、第三相原料物質は、弾性率が小さい物
質、結晶相変態がし易い物質、微小気孔が存在する
物質、などにより構成する。
【0088】〔実施例〕以下、本発明の実施例を説明す
る。
【0089】第1実施例 先ず、79重量%および74重量%のSi34 粉末
(平均1次粒子径:0.2μm)と6重量%のY23
粉末(平均1次粒子径:0.5μm)に対し、粒径比(S
34 /SiC)が6〜7のSiCを15重量%およ
び20重量%加え、ボールミルで湿式混合し、乾燥、ス
プレードライにより造粒粉を作製した。
【0090】得られた造粒粉末を、金型に入れて一軸プ
レス成形(圧力:20MPa)した後、1850℃×1
時間(N2 中)の条件でホットプレス焼結して、本実施
例にかかる複合材料を得た(試料番号:1〔SiC添加
量20重量%〕、試料番号2〔SiC添加量15重量
%〕)。
【0091】得られた複合材料の断面をECRプラズマ
エッチングし、その表面を金属顕微鏡観察した。その結
果、本実施例の複合材料は、複数のSi34 (マトリ
ックス)結晶粒の周りをSiC粒子が取り囲むように、
かつSiC粒子が母材中に三次元網目状で不連続に分散
していることが確認された。
【0092】第2実施例 平均1次粒子径0.1μmのSi34 粉末82重量%
と、平均1次粒子径0.5μmのY23 粉末5重量%、
および平均1次粒子径0.1μmのAl23 粉末3重量
%とを、ボールミルで湿式混合して、粒径が数10μm
〜300μmの母材原料造粒粉を作製した。
【0093】次に、該母材原料造粒粉の表面に、平均1
次粒子径0.4μmのSiC粒子を10重量%となるよう
にまぶして不連続に点在させて、原料粉末を得た。
【0094】次に、この原料粉末を金型に入れてプレス
成形し、さらにCIP処理(3t/cm2)した後、185
0℃、4時間、N2 圧10kg/cm2 の条件で加圧焼結
し、本実施例にかかる本発明の複合材料を得た(試料番
号:3)。
【0095】得られた複合材料の断面をプラズマエッチ
ングして、該断面の粒子構造をSEM(走査型電子顕微
鏡)により観察した。その結果、分散材がマトリックス
中において、三次元網目状で不連続に分散していること
が確認された。
【0096】比較例1 比較のため、82重量%のSi34 粉末(平均1次粒
子径0.3μm)と5重量%のY23 粉末(平均1次
粒子径1μm)および平均一次粒子径0.1μmのAl
23 粉末3重量%と10重量%の平均1次粒子径0.
4μmのSiC粉末とを同時にボールミルで湿式混合し
て、SiC粒子がマトリックス中に均一に分散している
造粒粉(平均粒径500μm以下)を作製し、それ以外
は上記第2実施例と同様の条件で成形および加圧焼結を
行った(試料番号:C1)。この比較用焼結体の断面を
観察したところ、マトリックスのSi34 中にSiC
粒子が均一に分散していた。
【0097】比較例2 比較のため、70体積%のSiO2 粉末(平均1次粒子
径1.2μm)とSiO2 /SiC粒径比が1/1.5程度
の30体積%のSiC粒子とを、ボールミルで湿式混合
して作製した造粒粉を金型に入れてプレス成形し、その
後、1800℃×1時間、20MPaの条件でホットプ
レス焼結して、比較用焼結体を得た(試料番号:C
2)。得られた比較用焼結体の断面を観察したところ、
マトリックスのSiO2 中にSiC粒子がランダムに分
散しているのが観察された。
【0098】比較例3 比較のため、SiCが分散していないSi34 のみよ
りなる焼結体(試料番号:C3)を用意した。
【0099】比較例4 比較のため、SiCのみからなる焼結体(試料番号:C
4)を用意した。
【0100】比較例5 比較のため、市販のMgO−Al2 3 −Cr2 3
のサーミスタ材料よりなる焼結体を用意した(試料番
号:C5)を用意した。
【0101】性能評価試験 以上、第1実施例および第2実施例により得られた複合
材料、および比較例1〜比較例5で得られた比較用焼結
体について、室温〜1000℃の温度域における電気抵
抗値(4接点法)を測定した。その結果を、図1、図2
および表1に示す。
【0102】
【表1】
【0103】図1、図2および表1より明らかなよう
に、本第1実施例および第2実施例の焼結体は、何れ
も、室温から1000℃までの広範囲において温度−抵
抗値特性が直線関係にあることが分かる。さらに、マト
リックスの一次粒子または造粒粉の平均粒径と分散材と
の粒径比を調整することによって温度上昇に対する抵抗
値変化率を制御することも可能であった。これに対し、
SiCを均一分散させた比較用焼結体(試料番号:C
1)、Si34 焼結体(試料番号:C3)、および市
販のMgO−Al2 3 −Cr2 3 系焼結体は、温度
上昇に伴って電気抵抗値が対数的に減少し、SiCをラ
ンダム分散させた比較用焼結体(試料番号:C2)は曲
線的な温度−抵抗値特性が得られ、SiC焼結体(試料
番号:C4)では電気抵抗値が400℃付近から一定化
した。このように、比較用焼結体は、何れも、直線的な
温度−抵抗値特性を得ることが困難であることが分か
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例および第2実施例において
得られた複合材料、および比較例1、比較例4、比較例
5の焼結体の温度−抵抗値特性を示す線図である。
【図2】比較例2において得られた比較用焼結体の温度
−抵抗値特性を示す線図である。
【図3】本発明のサーミスタ材料のサーミスタ材料セル
の具体的一例を概念的に説明した説明図である。
【図4】本発明のサーミスタ材料のサーミスタ材料セル
の他の具体的一例を概念的に説明した説明図である。
【図5】本発明のサーミスタ材料のサーミスタ材料セル
の他の具体的一例を概念的に説明した説明図である。
【図6】本発明のサーミスタ材料のサーミスタ材料セル
の他の具体的一例を概念的に説明した説明図である。
【図7】本発明のサーミスタ材料の、三次元網目状で不
連続分散組織の具体的一例を概念的に説明する説明図で
ある。
【図8】本発明のサーミスタ材料の第三相(強化層また
は/および緩和層)の存在形態の具体的一例を概念的に
示した説明図である。
【図9】本発明のサーミスタ材料の第三相(強化層また
は/および緩和層)の存在形態の他の具体的一例を概念
的に示した説明図である。
【図10】本発明のサーミスタ材料の第三相(強化層ま
たは/および緩和層)の存在形態の他の具体的一例を概
念的に示した説明図である。
【図11】本発明のサーミスタ材料の分散材の分散形態
の具体的一例を概念的に示した説明図である。
【図12】本発明のサーミスタ材料の分散材の分散形態
の他の具体的一例を概念的に示した説明図である
【図13】本発明のサーミスタ材料の分散材の分散形態
の他の具体的一例を概念的に示した説明図である。
【図14】本発明のサーミスタ材料の分散材の分散形態
の他の具体的一例を概念的に示した説明図である。
【図15】本発明のサーミスタ材料の分散材の分散形態
の他の具体的一例を概念的に示した説明図である。
【図16】本発明のサーミスタ材料の分散材の具体的一
例の分散形態を示す図で、「三次元網目状で不連続に分
散」の形態を概念的に示した説明図である。
【図17】本発明のサーミスタ材料を構成する網目の具
体的一例を概念的に説明した説明図である。
【図18】本発明のサーミスタ材料を構成する微細組織
の具体的一例を概念的に説明した説明図である。
【符号の説明】
1・・・サーミスタ材料 2・・・サーミスタ材料セル 3・・・マトリックス(第1相) 31・・・マトリックス構成物質 4・・・第2相 41・・・分散材 5・・・第三相(場合によっては強化層) 6・・・添加剤 A1・・・試料番号:1(第1実施例) A2・・・試料番号:2(第1実施例) A3・・・試料番号:3(第2実施例) C1・・・試料番号:C1(比較例1) C2・・・試料番号:C2(比較例2) C3・・・試料番号:C3(比較例3) C4・・・試料番号:C4(比較例4) C5・・・試料番号:C5(比較例5)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−132102(JP,A) 特開 昭60−37101(JP,A) 特開 昭60−1803(JP,A) 特開 平5−234664(JP,A) 特開 昭60−18081(JP,A) 特開 平5−47505(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01C 7/02 - 7/22

Claims (17)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁性を有する物質からなるマトリック
    スと、該マトリックス中に不連続に分散させた,前記マ
    トリックスと熱膨張率が異なる物質からなる分散材とか
    らなるサーミスタ材料であって、 前記分散材は、半導体物質または電導性を有する物質か
    らなり、前記分散材の間隔が、10μm以下であり、 前記分散材が、マトリックスを構成する物質の結晶粒の
    複数個を取り囲むようにネットワーク構造を形成してな
    り、 不連続でネットワーク構造に分散した分散材が、前記サ
    ーミスタ材料中で導電パスを形成することにより、測温
    域が広く、温度−抵抗変化に優れた直線性を有してなる
    ことを特徴とするサーミスタ材料。
  2. 【請求項2】 請求項記載のサーミスタ材料におい
    て、前記分散材が、サーミスタ材料中に三次元網目状で
    不連続に分散してなることを特徴とするサーミスタ材
    料。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のサーミスタ材料におい
    て、前記分散材の間隔が、0.005μm〜1μmであるこ
    とを特徴とするサーミスタ材料。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のサーミスタ材料におい
    て、前記分散材の大きさが、0.01μm〜100μmで
    あることを特徴とするサーミスタ材料。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のサーミスタ材料におい
    て、前記分散材の大きさが、0.01μm〜1μmである
    ことを特徴とするサーミスタ材料。
  6. 【請求項6】 請求項記載のサーミスタ材料におい
    て、前記分散材が不連続に分散して形成されたネットワ
    ーク構造の一つの大きさが、0.1μm〜500μmであ
    ることを特徴とするサーミスタ材料。
  7. 【請求項7】 請求項6記載のサーミスタ材料におい
    て、前記分散材が不連続に分散して形成されたネットワ
    ーク構造の一つの大きさが、前記分散材の2倍〜5×1
    4 倍であることを特徴とするサーミスタ材料。
  8. 【請求項8】 請求項1記載のサーミスタ材料におい
    て、マトリックスが、酸化物、窒化物、および珪化物か
    ら選択されるセラミックスの一種以上であることを特徴
    とするサーミスタ材料。
  9. 【請求項9】 請求項1記載のサーミスタ材料におい
    て、分散材が、炭化物、珪化物、窒化物、硼化物、およ
    び酸化物から選択されるセラミックスの一種以上である
    サーミスタ材料。
  10. 【請求項10】 請求項記載のサーミスタ材料におい
    て、分散材が、マトリックスを構成する物質の結晶粒の
    大きさの1/3以下の大きさを有してなることを特徴と
    するサーミスタ材料。
  11. 【請求項11】 絶縁性を有する物質からなるマトリッ
    クスと、該マトリックス中に三次元網目状で連続的に分
    散させた,前記マトリックスと熱膨張率が異なりかつ熱
    膨張によって内部応力が生じたときにこれを緩和する物
    質からなる第三相と、該第三相中に不連続に分散させ
    た,前記マトリックスと熱膨張率が異なる物質からなる
    分散材と、からなるサーミスタ材料であって、 前記分散材は半導体物質または電導性を有する物質から
    なり、 前記第三相中に不連続に分散させた分散材が、サーミス
    タ材料中において三次元網目状で不連続に分散してネッ
    トワーク構造を形成してなり、不連続でネットワーク構
    造に分散した分散材が、前記サーミスタ材料中で導電パ
    スを形成することにより、測温域が広く、温度−抵抗変
    化に優れた直線性を有してなることを特徴とするサーミ
    スタ材料。
  12. 【請求項12】 絶縁性を有する物質からなるマトリッ
    クスと、該マトリックス中に三次元網目状で連続的に分
    散させた,前記マトリックスと熱膨張率が異なりかつ弾
    性率が小さい物質からなる第三相と、該第三相中に不連
    続に分散させた,前記マトリックスと熱膨張率が異なる
    物質からなる分散材と、からなるサーミスタ材料であっ
    て、 前記分散材は、半導体物質または電導性を有する物質か
    らなり、 前記第三相は、前記分散材の熱膨張率より前記マトリッ
    クスの熱膨張率に近い熱膨張率を有してなり、 前記第三相中に不連続に分散させた分散材が、サーミス
    タ材料中において三次元網目状で不連続に分散してネッ
    トワーク構造を形成してなり、不連続でネットワーク構
    造に分散した分散材が、前記サーミスタ材料中で導電パ
    スを形成することにより、測温域が広く、温度−抵抗変
    化に優れた直線性を有してなることを特徴とするサーミ
    スタ材料。
  13. 【請求項13】 絶縁性を有する物質からなるマトリッ
    クスと、該マトリックス中に三次元網目状で連続的に分
    散させた,前記マトリックスと同一または近似した物質
    からなる絶縁性を有する強化層としての第三相と、該強
    化層中に不連続に分散させた,前記マトリックスと熱膨
    張率が異なる半導体物質または電導性を有する物質から
    なる分散材と、からなるサーミスタ材料であって、 前記分散材が、前記サーミスタ材料中に三次元網目状で
    不連続に分散してなり、しかも該分散材がサーミスタ材
    料中にネットワーク構造を形成してなり、不連続でネッ
    トワーク構造に分散した分散材が、前記サーミスタ材料
    中で導電パスを形成することにより、測温域が広く、温
    度−抵抗変化に優れた直線性を有してなることを特徴と
    するサーミスタ材料。
  14. 【請求項14】 絶縁性を有する物質からなるマトリック
    ス原料粉末と、該マトリックス原料粉末と熱膨張率が異
    なる半導体物質または電導性を有する物質からなり,か
    つ大きさがマトリックス原料粉末の1/2以下の分散材
    原料粉末とを混合する原料粉末調製工程と、 該原料粉末を所定の形状に成形して成形体とする成形工
    程と、該成形体を加熱して、絶縁性を有する物質からな
    るマトリックスと、該マトリックス中に三次元網目状で
    不連続に分散させた,前記マトリックスと熱膨張率が異
    なる物質からなる分散材とからなる複合材料を形成する
    複合材料形成工程と、からなることを特徴とするサーミ
    スタ材料の製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項14記載のサーミスタ材料の製造方
    法において、 原料粉末調整工程において、マトリックスの主材として
    の所定形状の造粒粉の表面に、マトリックスと熱膨張率
    が異なる分散材を不連続に存在させたように原料粉末を
    調製してなることを特徴とするサーミスタ材料の製造方
    法。
  16. 【請求項16】 絶縁性を有する物質からなるマトリック
    ス原料粉末の表面に、該マトリックス原料粉末と熱膨張
    率が異なる半導体物質または電導性を有する物質からな
    りかつ大きさがマトリックス原料粉末の1/2以下の分
    散材原料粉末と、前記分散材原料粉末の熱膨張率より前
    記マトリックス原料粉末の熱膨張率に近い熱膨張率を有
    しかつ測温時に前記分散材原料粉末によって形成される
    分散材の熱膨張差によって生じる内部応力を緩和する物
    質からなり,大きさが前記マトリックス原料粉末の1/
    2以下の第三相原料物質とをまぶすように混合する原料
    粉末調製工程と、 該原料粉末を所定の形状に成形して成形体とする成形工
    程と、該成形体を加熱して、絶縁性を有する物質からな
    るマトリックスと、該マトリックス中に三次元網目状で
    連続的に分散させた,前記マトリックスと熱膨張率が異
    なりかつ熱膨張差によって内部応力が生じたときにこれ
    を緩和する物質からなる第三相と、該第三相中に不連続
    に分散させた,前記マトリックスと熱膨張率が異なる物
    質からなる分散材とからなる複合材料を形成する複合材
    料形成工程と、からなることを特徴とするサーミスタ材
    料の製造方法。
  17. 【請求項17】 絶縁性を有する物質からなるマトリック
    ス原料粉末の表面に、該マトリックス原料粉末と熱膨張
    率が異なる半導体物質または電導性を有する物質からな
    りかつ大きさがマトリックス原料粉末の1/2以下の分
    散材原料粉末と,前記マトリックス原料粉末と同一また
    は該マトリックス原料粉末に近似した物質からなり,大
    きさがマトリックス原料粉末の1/2以下の第三相原料
    物質とをまぶすように混合する原料粉末調製工程と、 該原料粉末を所定の形状に成形して成形体とする成形工
    程と、該成形体を加熱して、絶縁性を有する物質からな
    るマトリックスと、該マトリックス中に三次元網目状で
    連続的に分散させた,前記マトリックスと同一または近
    似した物質からなる絶縁性を有する強化相としての第三
    相と、該第三相中に不連続に分散させた,前記マトリッ
    クスと熱膨張率が異なる半導体物質または電導性を有す
    る物質からなる分散材とからなる複合材料を形成する複
    合材料形成工程と、からなることを特徴とするサーミス
    タ材料の製造方法。
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