JP3006846U - 縦型鋼板メッキ用電極 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【構成】 導電性支持体３に複数のチタンライニング銅
製の通電バー４を吊下し、この通電バーに電極活性層を
有する長方形の金属電極板５を複数個、所定の間隔を置
いて水平に取付ける。 【効果】 鋼板のメッキむら及び操業中の吸い付き現象
を防止できる。電極板は軽量で簡単に取外すことができ
再生容易である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は縦型鋼板メッキ用電極に関する。特に錫，亜鉛，クロム又はこれらの 合金等の電気メッキに使用される縦型の酸素発生用電極に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

錫，亜鉛，クロム等の鋼板メッキ用陽極としてはチタン等のバルブ金属を基体 とし白金族金属又はそれらの酸化物を電極活性物質とした不溶性電極が種々提案 されており、経済性，加工性の面から広く用いられつつある。図３は縦型電気メ ッキ装置の概略を示し、縦型電気メッキ槽１の鋼板入側及び出側の上方に設けら れたコンダクターロールＣと電気メッキ槽１内の下部に設けられたシンクロール Ｃ′との間において電気メッキ槽１内を移動中の鋼板Ｓを間にして、陰極となる 鋼板Ｓと平行に配置された陽極となる金属電極板２，２及び２′，２′とからな っている。これらの金属電極板は上方より導電性支持体（図示せず）によって支 持されている。鋼板Ｓはメッキ浴が収容されかつ流れている電気メッキ槽１内を 下方に次いで上方に向って移動し、１対の陽極２，２及び２′，２′を通過する 間に連続的に電気メッキされる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記の金属電極板は通常、平板状の電極であるため通電抵抗が大きく、重量が 大であり、またメッキ液の循環が悪く、鋼板メッキにむらが発生する等の欠点が あった。さらに鋼板の通板速度が４０ｍ／ｍｉｎ以上になれば鋼板の陽極への吸 い付き現象が発生しやすい等の問題点があった。

【０００４】 そのため電極板に多数の孔を開口することによりメッキむら及び吸い付き現象 に関してはかなり改善されるが、開口部を多くすることで通電抵抗が増加し未だ 十分な性能が得られていない。他方、金属板に多数の規則正しい刻みを入れてこ れをエキスパンドした所謂エキスパンドメタルよりなる多孔性電極板も検討され ているが、その開口部に形成される多数のエッジ部分にメッキ浴よりのスラッジ が析出しやすく、エキスパンドメタルの開口部を塞ぐ等の現象があり、また表面 凸凹により電流分布の均等化が阻害される等の問題点があった。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記の課題を解決するためのもので、すなわち導電性支持体より垂 直に吊下した複数のチタンライニング銅製の通電バーに、電極活性層を有する長 方形の金属電極板を複数個、所定の間隔を置いて水平方向に取付けたことを特徴 とする縦型鋼板メッキ用電極である。

【０００６】 図１は本考案の実施態様を示し、導電性支持体３より複数個のチタンライニン グ銅製の通電バー４が吊下されている。この通電バー４には陽極をなす複数個の 長方形の金属電極板５が水平に所定の間隔を置いて取付けられている。金属電極 板５の基体はチタン等のバルブ金属であり、その表面に電極活性層が設けられて いる。電極活性層としては白金族金属及び／又は白金族金属酸化物を２０重量％ 含み、残部がバルブ金属よりなる活性層が好ましい。金属電極板５の幅は２０〜 ２００ｍｍ，隣接する金属電極板との間隔は５〜５０ｍｍの範囲にあることが好 ましい。通電バー４の幅は３０〜８０ｍｍ程度，隣接する通電バーとの間隔は１ ００〜３００ｍｍ程度が好ましい。

【０００７】 通電バー４に金属電極板５を取付けるには、図２に示すようなボルト締めによ るほか、溶接等の手段によってもよい。図２は図１Ａ−Ａ線の拡大断面図であり 、チタンライニング層４′を有する銅製の通電バー４にチタン製のボルト６及び ナット７により、電極活性層５′を被覆したチタン等のバルブ金属を基体とした 金属電極板５を締付け固定させる。図２においては予め点溶接８によって電極板 ５をボルト６に固着させた後、通電バー４を締付けているが、種々の変形が可能 であり、例えば電極板５にボルト６をねじ込んでもよい。ボルトを使用せず溶接 止めを行う場合は、電極板と通電バーとを隅肉溶接，点溶接等比較的取外しし易 いような方法を採ることが好ましい。

【０００８】

【実施例】

本考案電極として下記の構造のものを使用し、縦型の電気メッキ槽にて電流密 度３０〜１００Ａ／ｄｍ² にて３０日間、鋼板の亜鉛メッキを行った（ＺｎＳＯ ₄ ・４Ｈ₂ Ｏ ２８０ｇ／ｌ，Ｎａ₂ ＳＯ₄ ２０ｇ／ｌ ｐＨ１．２）。従来 の平板電極との比較を表１に示す。 従来電極 電極の外形：縦１７００ｍｍ，横１２００ｍｍ，厚み２５ｍｍ，平板状 材 質 ：チタン製（電極活性層：酸化イリジウム７０重量％，酸化タン タル３０重量％） 本考案電極 電極の外形：縦１７００ｍｍ，横１２００ｍｍ，厚み１４ｍｍ，簀子状 材質，構造 通電バー：チタンライニング銅製（１７００ｍｍ×５０ｍｍ×９ｍｍ ，７本） 電極部 ：材質は同上（１２００ｍｍ×５０ｍｍ×５ｍｍ，１０枚） 通電バーにボルトにて取付け

【０００９】

【表１】

【００１０】 なお本考案電極においては運転期間中スラッジの析出は認められなかった。こ の電極基体の制作費は従来品の１／２程度であった。

【００１１】

【考案の効果】 本考案電極は従来電極に比較して、通電部に銅を使用しているので通電抵抗が 小さく（約１／２）、軽量（約１／２）であり、開口率が高くかつ通液抵抗が少 ない構造のため、鋼板の中高速運転を行ってもメッキ液の循環が良好で、しかも 鋼板の吸い付き現象も防止される。また電流の分布が従来電極に比べ良好である ため鋼板のメッキむらが防止でき、さらに通電バーにボルト締め，点溶接，隅肉 溶接等により取付けられるため使用後は簡単に取外すことが可能であり電極活性 層の再被覆を容易に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案電極の実施態様を示す平面図（Ａ）と側
面図（Ｂ）である。

【図２】図１（Ａ）のＡ−Ａ線拡大断面図である。

【図３】縦型電気メッキ装置の説明図である。

【符号の説明】

１ 縦型電気メッキ槽 ２，２′陽極 ３ 導電性支持体 ４ 通電バー ４′ チタンライニング層 ５ 電極板 ５′ 電極活性層 Ｃ コンダクターロール Ｃ′ シンクロール Ｓ 鋼板

Claims (7)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 導電性支持体より垂直に吊下した複数の
   チタンライニング銅製の通電バーに、電極活性層を有す
   る長方形の金属電極板を複数個、所定の間隔を置いて水
   平方向に取付けたことを特徴とする縦型鋼板メッキ用電
   極。
2. 【請求項２】 金属電極板の幅が２０〜２００ｍｍであ
   り、隣接する金属電極板との間隔が５〜５０ｍｍである
   請求項１に記載の縦型鋼板メッキ用電極。
3. 【請求項３】 金属電極板を通電バーに溶接により取付
   けたことを特徴とする請求項１又は２に記載の縦型鋼板
   メッキ用電極。
4. 【請求項４】 溶接方法が点溶接又は隅肉溶接である請
   求項３に記載の縦型鋼板メッキ用電極。
5. 【請求項５】 金属電極板を通電バーにボルトにより取
   付けたことを特徴とする縦型鋼板メッキ用電極。
6. 【請求項６】 ボルトと金属電極板とを点溶接又は隅肉
   溶接することを特徴とする請求項５に記載の縦型鋼板メ
   ッキ用電極。
7. 【請求項７】 金属電極板がバルブ金属又はその合金よ
   りなる基体上に、白金族金属及び／又は白金族金属酸化
   物を２０重量％以上含み残部がバルブ金属酸化物よりな
   る電極活性層を設けたことを特徴とする請求項１又は２
   に記載の縦型鋼板メッキ用電極。