JP3164927B2 - 金属材料の電解処理装置 - Google Patents

金属材料の電解処理装置

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JP3164927B2
JP3164927B2 JP34758592A JP34758592A JP3164927B2 JP 3164927 B2 JP3164927 B2 JP 3164927B2 JP 34758592 A JP34758592 A JP 34758592A JP 34758592 A JP34758592 A JP 34758592A JP 3164927 B2 JP3164927 B2 JP 3164927B2
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賢一 尾崎
明宏 水津
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De Nora Permelec Ltd
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Permelec Electrode Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属材料の電解処理装置
に関し、とくにステンレス鋼の電解処理に使用する電解
用電極に特徴を有する金属材料の電解処理装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】金属材料は、一般に圧延、焼鈍等の工程
を経て製造されるために、金属表面にはスケールと称さ
れる酸化物の被膜が形成される。とくにステンレス鋼の
場合には、形成されるスケールは製品の商品価値を低下
させるために出荷前に除去することが行われている。
【0003】スケールの除去は酸によって処理を行う酸
洗法があるが、酸洗法ではフェライト系ステンレスでは
比較的容易に脱スケールが行えるのに対し、オーステナ
イト系ステンレスに形成されるスケールは、耐蝕性が大
きく、酸による溶解力に依存する酸洗法では容易に除去
することはできない。そこで、オーステナイト系ステン
レス鋼の処理には、処理すべき金属材料を一方の電極と
して電気化学的に処理する電解処理方法が用いられてい
る。電解処理方法は、電解液および電解によって生成す
る物質による化学的な作用、電気化学的な作用、発生す
る水素、酸素等の気泡による機械的な作用等の各種の機
能を利用したスケールの除去方法であり、スケールの状
態や処理面積等に応じて通電する電流量を調整すること
によって、容易にスケールの除去条件を調整することが
できる方法であり、広く利用されている。
【0004】電解処理方法は、通常は処理される金属材
料を陰極とし、対極には高ケイ素鋳鉄や鉛合金被覆電極
が用いられてきた。電解処理方法では無機酸や塩類の水
溶液を電解液としているが、対極として使用するこれら
の電極は陽分極時には溶出し、電極の寿命が短く、電極
の溶出に伴う電流分布の不均一が生じ脱スケールが適切
に行われなかったり、あるいは電極の交換を頻繁に行う
必要があった。そこで、これらの電極に代わりチタンあ
るいはチタン合金等の薄膜形成性金属の基体上に白金族
の金属、白金族の金属酸化物を含有する電極触媒被覆を
形成した不溶性電極が採用されるようになった。
【0005】電解による処理方法は、図2に示すよう
に、電解処理装置1の電解液2中に処理すべき金属材料
3を連続的に導入して、金属材料に給電装置4から通電
し、一方の電極とするとともに金属材料に対向して金属
材料の上方、下方に平板状の対極5を設けていた。
【0006】ところが、このような処理装置では下側の
電極上には、被処理物から除去されたスケール類が堆積
し、その結果電極として作用する部分が不均一となり、
また上側電極の下面には、電解で発生する気泡が滞留
し、電解電圧が上昇するとともに電流分布を不均一と
し、脱スケール特性の悪化や電極寿命を短命化させる原
因となっていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のステ
ンレス鋼の表面の脱スーケル等のような電解処理に使用
する電解処理装置において、対極上への析出物の堆積、
あるいは発生した気体の滞留によって生じる電解電流の
不均一による処理特性の悪化、電解電圧の上昇、電極寿
命の短命化等を防止し、一様な金属の処理が可能である
電極寿命の長い電解処理用電極を有する電解処理装置を
提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】金属材料の表面のスケー
ルを除去するための金属材料の電解処理装置において、
水平に配置した金属材料を一方の電極とし、金属材料の
上方および下方に金属材料に対向して金属基体上に電極
触媒被覆を形成した電極面に開口を有する対極を配置す
るとともに、金属材料の下方に配置する電極の開口を上
方に配置する電極の開口よりも大きな開口とした金属材
料の電解処理装置である。
【0009】
【0010】図1は、本発明の電解処理装置を示す図で
あり、図1(A)は電解処理装置の断面図であり、図1
(B)は電解処理装置に使用する対極の一例を示す斜視
図である。また、図1(C)は対極の開口の一例を示す
平面図である。
【0011】電解処理槽1には、電解液2が満たされて
おり、金属材料3が供給され、金属材料には給電装置4
によって通電されている。金属材料の上部および下部に
は開口を有する金属基体上に電極触媒被覆を形成した対
極5が設けられている。また、電解処理装置には電解液
処理装置6が結合されており、電解液中に溶出した金属
および析出物等の除去を行うとともに電解液の再調整を
おこなって再度電解処理装置へ供給している。また、対
極は電極触媒の被覆を形成した電極ユニット7を電極給
電体8に取り付けている。
【0012】対極の開口の形状は図1(C)に示すよう
に、網状、エキスパンデッドメタル等のほかに、丸形、
ひし形、長孔形等の形状をとることができる。そして、
金属材料の下方に配置する対極の開口は金属材料の上方
に配置する対極の開口よりも大きなものを使用してい
る。
【0013】電解処理装置に満たす電解液には、硫酸ナ
トリウム、塩化ナトリウム等の塩類の水溶液、硝酸、硫
酸などの無機酸を使用する。対極を陽極として使用する
場合には、電極基体にはチタン、チタン合金、タンタル
等の陽分極した場合に不導態化被膜を形成する薄膜形成
性金属を使用することが好ましい。また、電極触媒被覆
には、酸化イリジウムと酸化タンタルを含有する被覆、
酸化ルテニウムと酸化チタンを含有する被覆、白金の被
覆等の白金族の金属もしくは白金族の金属酸化物を含有
する被覆を形成することが好ましい。
【0014】開口を有する金属基体には、エキスパンデ
ッドメタル、平板に多数の開口を形成したパンチドメタ
ル、細線もしくは棒状の部材を間隔を設けて配置したす
だれ状の部材等を使用することができる。電極基体に形
成する開口の大きさは、3〜20mmとすることが好ま
しい。開口の大きさが小さいとスケール等が電極上に堆
積してしまう。また、大きすぎると実質的な電極の通電
面積が減少したり、電流通路が阻害されて電気抵抗が大
きくなったり電流密度が不均一となる等の問題を生じ
る。
【0015】本発明の金属の電解処理装置において、金
属材料の下方に配置する電極に設ける開口の大きさは、
一般の水溶液の電気分解に使用する電極とは異なり、開
口の大きさが大きく、またスケール等の析出物が電極の
開口部を容易に通過する形状を有していることを特徴と
している。すなわち、食塩水の電解槽の様に大量の気体
が発生する電気分解用の電極には、エキスパンデッドメ
ッシュ、パンチドメタル等の開口を有する電極が使用さ
れているが、これらの電極では、開口の大きさは小さ
く、むしろ電極の面積に占める実質的な電解面積の割合
が大きくなるように工夫されており、開口を有してはい
ても、開口の大きさは小さなものであり、また、電極の
構成部材を電極面と直角の方向へ変位させて電極面を投
影した場合には開口部が観察されないようなものが使用
されている。このように一般の電気分解に使用される電
極の場合には、スケールや析出物の通過等を意図するこ
とはなかった。むしろ、隔膜法の食塩水の電解槽のよう
に隔膜材料を分散した懸濁液を陰極上に付着させる形状
としている。また、金属の電解処理装置の金属材料の対
極が陽極の場合について述べたが、対極として陰極を用
いる場合についても同様の構成をとることができる。
【0016】
【作用】ステンレス鋼の脱スケールに使用する金属材料
の電解処理装置において、水平に配置した金属材料を一
方の電極とし、金属材料の上方あるいは下方の少なくと
もいずれか一方には、金属材料に対向して金属基体上に
電極触媒被覆を形成した電極面に開口を有する対極を配
置し、しかも下方に配置する対極の開口を上方に配置す
る対極の開口よりも大きくしたので、一様な金属の処理
が可能であるとともに、電極寿命の長い電解処理装置が
得られる
【0017】
【実施例】以下に本発明の実施例を示し、本発明をさら
に詳細に説明する。 実施例1 有効電解面積が縦100mm、横50mmの電解処理装
置を用い、開口が4×8mm、開口率50%の上方陽極
と、開口が6×12mm、開口率50%の下方陽極をそ
れぞれ水平に配置して電解処理を行った。陽極は、チタ
ンのエキスパンデッドメタルを基体とし、表面に酸化イ
リジウムを熱分解法によって被覆したものを用いた。厚
さ1mmの焼鈍によって表面に酸化物のスケールが形成
されたステンレス鋼板を陰極とし、両陽極との間隔を5
0mmとして平行に配置した。電解液には20重量%硫
酸ナトリウム水溶液を使用し、電解液温度を70℃、電
流密度20A/dm2 、電解電圧5.5Vで電気分解し
た。1日毎に陰極を交換しながら10日間電解を続けた
が、陽極の表面にはわずかにステンレスのスケールがみ
られたものの、電解電圧の変化はなかった。
【0018】比較例1 上下の陽極として開口のない平板陽極を使用した点を除
いて、実施例1と同様にして電解処理を行ったところ、
上方の陽極の表面には発生した気泡の滞留が見られ、初
期電圧が6Vであり、実施例1に比べて増大した。ま
た、実施例1と同様に1日毎に陰極を取り替えて10日
間の電気分解を行ったところ、下方の陽極表面に厚さ2
〜3mmのスケールが堆積し、電解電圧が7Vに上昇し
た。
【0019】
【発明の効果】本発明の金属材料の電解処理装置は、水
平に配置したステンレス鋼等の金属材料を一方の電極と
し、金属材料の上方あるいは下方の少なくともいずれか
一方には、金属材料に対向して金属基体上に電極触媒被
覆を形成した電極面に開口を有する対極を配置し、しか
も下方に配置する対極の開口を上方に配置する対極の開
口よりも大きくしたので、一様な金属の処理が可能であ
るとともに、電極寿命の長く、電極上へスケールの堆積
のない電解処理装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属材料の電解処理装置の一例を示す
図。
【図2】従来の金属材料の電解処理装置の一例を示す
図。
【符号の説明】
1…電解処理槽、2…電解液、3…金属材料、4…給電
装置、5…対極、6…電解液処理装置、7…電極ユニッ
ト、8…電極給電体

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属材料の電解処理装置において、水平
    に配置した金属材料を一方の電極とし、金属材料の上方
    および下方に金属材料に対向して金属基体上に電極触媒
    被覆を形成した電極面に開口を有する対極を配置すると
    ともに、金属材料の下方に配置する電極の開口を上方に
    配置する電極の開口よりも大きな開口としたことを特徴
    とする金属材料の電解処理装置。
JP34758592A 1992-12-28 1992-12-28 金属材料の電解処理装置 Expired - Lifetime JP3164927B2 (ja)

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